21
(甕幣墜驕鵡1難請)
脳卒中死亡率に関する一考察
一東京都における死亡牽の推移について一
東京女子医科大学衛生学教室(主任吉岡博人教授)
:金 銀 滋
キン ギン ジ
(受付昭和33年11月261il)
1 緒 言
脳卒中死亡率が:最近におけるわが国国民死因の 第一位となってきたことに注目しユ),著者はさき に本邦脳卒中死亡率の年代的推移を究明し,その 結果種々なる知見を得た2)〜14)。
その得た知見のうちの一つとして,府県別死亡 率の年代的推移を明らかにすることにより,二三 の興味ある傾向を観察し得た。すなわち各府県の 脳卒中死亡率の年代的推移をみると,その死亡率 の推移の傾向によって上昇型,下向型および中鵜 型に大別出来るものと考えられる8)。
すでに上昇型については発表14)したが,今回は 下向型についてのべる.ここで下向型というの は,昭和25年は明治32年遅り死亡率の低下の程度 が著明にて,両年の死亡率の差が人口10万に対し 30以上をしめす府県である。すなわち,宮城,茨 城,東京,神奈川のほか17県となっており,この 中には東京,神奈川,京都,大阪,福岡など大都 会をふくむ地方がすべてふくまれておるのが注目 される。この中東京都をこれら諸県の代表とし て,主として全国と比較しつつその年代的推移を 観察してみる。
U 資料および研究方法
資料:明治31年,明治36年,明治41年,大正2年 人ロ静態統計
大正9年,大正14年,昭和5年,昭和10年,
昭和22年,昭和25年 国勢調査報告 明治32年〜昭和18年,昭和22年〜昭和25年 人口動態統計
研究方法:明治32年,36年,41年,大正2年,9年,
14年および昭和5年,10年,22年,25年の10力年の各
年度について,全国総数,男女別ならびに東京都総 数,男女別のそれぞれの粗死亡率および訂正死亡率を 算出し,これに加え上記各年度における全国および東 京都の性別年令別特殊死亡率を算出し観察した(但し 明治32年は明治31年末人口を用いた)。これは先に発 表した本邦脳卒中死亡率の研究第1報〜第IV報までに 算出したものを用いた。
なお訂正死亡率は昭和5年度全国人口を標準人口と して計算した。
皿 研 究 結 果 ユ、総数の観察
表一1 脳卒中死亡率(人口10万対)
全国・東京都(男女総数)
全 国 同
趣亡率薩棄甑纏亡率
明治32年 169.1
36 i 158.2 41 i 152.7
大正2年 124. 7
9 1 157.4
14 i 161.0昭和5年
163.7i10
22 i 129. 4 i 2s 1 127.1
騰・hs・.5
iig.gl 一Ei4.7i
欝191:劃
109. 0 1 117. 0 1 147.V 1 131. 6 ) 155. 9 131. 9 i
i6i.sil 151h l・ 12g.11
130, 7 1 86. 2 i 124. 2 i 93. 2
京 都 正
196. 8
179.0
174. 6 141. 6
160.9
196. 5 199. 2
194.9
118. 6 125. 0
表一1に上記10力年の各年度にわける男女総数 の粗死亡率ならびに訂正死亡率を,全国わよび東 京都についてしめした。また図一一1は表を図にし めしたものである。
図表によって,東京都の死亡率の年代的推移を GiRji KIN 〈Department of Hygiene, Tokyo Women s Medical College) : An obseTvation on the
death−rates of apoplexia secular changes of the death−rates in Tokyo. (1899xv1950)
一 103 一
る推移は粗および訂正死亡率とも一つの谷と一つ の峰を形成している。すなわち,大正2年にに死 亡率は低率をしめして一つの谷を形成し,以後年
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夏
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全野=韓嘩
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占める順位・東京都,全国訂正死亡率
\\…灘灘東京都1全国
\\二塁妄麓訂正死亡剰訂翫亡率
明治36年 4
大正9年1 11
遠慮 、1
il 179.0 i 142.3 160.9 1 147.7
1 IZg19, i :8,Z15,
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鐸・痔一野・盈貯
図一一1 脳卒中死亡率(人口10万対)
全国・東京都(男女総数)
度とともに上昇の一途を辿り,昭和10年には最高 となり,一つの峰を形成した。戦後になると,死 亡率は再び低率となる。すなわち昭和25年は明治 32か日り粗死亡率においては42.0(169.1(明治32 年)一127.1(昭和25年)),訂正死亡率においても 29.6(153.8(明治32年)一142.2(昭和25年))だけ 低下している2)。
これを東京都についてみると,粗ならびに訂正 死亡率とも死亡曲線は大正2年の一つの谷と大正 エ4年,昭和5年,昭和10年となだらかな峰をつく
り,戦後急激に死亡率は下向するも15),昭和25年 にはやや上昇している。しかし,粗および訂正死 亡率とも明治初期よりははるかに低い死亡率をし めしている。昭和25年と明治32年の死亡率を比較 すると,粗死亡率ではユ2ユ,5(214,7(明治32年)
一93. 2(昭和25年)),訂正死亡率においても71.8
(196.8(明治32年)一125.0(昭和25年))のごとく,
明らかに昭和年代における死亡率は明治年代にく らべ著しく低下している。
つぎに各年度の東京都訂正死亡率が各都道府県 訂正死亡率中において占める順位をみるべく,表
一Hに明治36年,大正9年,昭和10年ならびに昭 和25年の各年度の順位および全国ならびに東京都 死亡率を,明治,.大正,昭和(戦前)および昭和
(戦後)の各年代を代表して表示した。
表一Hによってしめすごとく,明治年代の明治 36年においては東京都は全府県中妻4位の高位に ある。年代が大正となり大正9年になる,とその順 位は明治年代にくらべ低下し,第11位を占めるに いたった。さらに年代が進み,昭和に入り戦前の 昭和10年になると,東京都死亡率順位はやや上位 になり第8位をしめしている。戦後の昭和25年に なると,再び順位は低下し第17位で全府県の約%
の低位にある。かつまた全国死亡率と、比較する と,全年代いずれも東京都の死亡率は全国死亡率 より高率となっている。しかし両死亡率の差をみ ると,明治36年には入口10万対36.7であったが,
年代のすすむにつれてその差は漸次小となり,昭 和25年になるとわずかt;・O.8で,東京都と全国は
ほぼ同様な死亡率をしめしている。
かくのごとく,東京都死亡率の各府県死亡率中 に占める順位は,明治36年は高位acあったが,昭 和25年になると全府県の約1/3の並倉に下向してい
ること,ならびに各年代とも全国死亡率よりも高 率となっていることを観察し得た。
2.男女別による観察
二一mは全国男女別および東京都男女易ゆ粗死 亡率ならびに訂正死亡率を表lIZしめしたものであ
る。
1) 男子について
歩一Hは表一皿中の男子の死亡率についてのみ しめしたものである。
図にしめすごとく,全国,東京都の各々の死亡 率の推移は総数の揚合とぽとんど同様な曲線をえ がいている。
全国男子についてみると,粗お.よび訂正死亡率 一104一
23
表一皿 脳卒中死亡率(人口10万対)全国男子・女子:東京都男子・女子
×
全 国男 子 女 子
東 京 都
男 子 女 子
\東通率壁死亡輔死亡率睡死墜塵離脱麺亡即死亡輔正死亡率
明治32年
36 41大正2年 9
14 10
昭和5年
22 25
181. 0 169. 3 165. 7 135. 4 175. 1 182. 2 180. 7 182. 4 136.o i
127. 9
174.o 1 ls6.9 163.6 [ 146.9 139.5 」 162.1
iEgl g 1 II51g ii
18L3 i 139.5
三下:割
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t . 一 1
154. 3
123.2 ・ 141.7 i 126.3 L
137. 5 126.9 126. 2
95.7 122.1 124. 8 132. 8 137. 5
115. 5 113. 9
230.0
211. 2
212.1
124. 2 143. 6 146.8 142.5 142. 3
85. 7
92.4
223.4 206.7
201. 6 158. 8 223. 3 253. 1 245. 9 245. 7 136. 0
199. 3 176. 1 171. 2 109. 4 115. 7 114. 8 119. 6 114. 6 86. 6
174. 9 156. 1 151. 8 128. 5 110. 3 150. 7 161. 0 154. 3 108. 1
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とも総数の揚合と同様に大TE 2年に一つの谷と,
昭和10年に一つの峰を形成している7/。
これを東京都男子についてみると,粗および訂 正死亡率とも明治32年にすでに高率であったが,
漸次下向し,大正2年に一つの谷を作り,その後 死亡曲線は急激に上昇し,大正14年を頂点とする 高い峰を作り,戦後再び急激に下向している。ま 全国にτ魏鐸
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図一11 脳卒中死亡率(人口10万対)
全国・東京都(男子)
た図にしめすごとく,東京都においては粗死亡率 の下向現象が訂正死亡率より著明である。明治32
年と昭和25年の死亡率を比較すると,三門亡率に おいては137.6(230.0(明治32年)一92.4(昭和25 年)),訂正死亡率においても81.5(223.4(明治32 年)一141.9(昭和25年))と昭和25年は明治32年よ
り著明に低下している。
つぎに各年度の粗死亡率と訂正死亡率の関係を みると,全国については先に発表せるごとく,観 察せる10力年のうち,大正2年までの前半の4力 年は粗死亡率が訂]E死亡率より高く,大正9年以 降の後半の6力年は逆に訂正死亡率が粗死亡率よ
り高率である7)。
これを東京都男子についてみるべく,粗・訂正 両死亡率の関係を図一HIに棒図表にしめした。
図にしめすごとく,明治32年,36年,41年の明 治年代の3力年はいずれも訂正死亡率は粗死亡率
より低率であるが,大正2年以降の7力年の各年 度はいずれも逆に訂正死亡率は粗死亡率より高率
となっている。
この現i象をうらづけるべく,脳卒中が老人性疾 患として,主として高年層を侵すことよりみて,
各年度の老人層における人口構成について考慮 し,東京都における男女別50才以上の年令構成千 分比を算出し,混一IVにしめした。これによって 男「子についてみると,東京都における各年度の50 才以上年令構成千分比は,訂正死亡率算出に用い たる昭和5年度全国50才以上千分比152にくらべ ると,明治32年,36年,41年の3旧年はいずれも 東京都男子の方が高く,大正2年以降の7力年は いずれも低率をしめしていることからみて,各年 度における粗および訂正死亡率の関係において前
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図一皿 脳開申死亡率(人口10万対)
東京都(男子)
表一IV年令構成千分比(50才以上)の比較 東 京 都
2) 女子について
図一IVに全国ならびに東京都のそれぞれの女子 の粗および訂正死亡率の年代的推移を図示した。
全国女子についてみると,粗および訂正死亡率 とも男子の揚合と全く同様な状態をしめし,大正 2年に一つの谷と昭和10年を頂点とする峰を形成
している7)。
これを東京都女子についてみると,訂正死亡率 においては,大正9坤アーつの谷と昭和5年を頂 点とする…つの峰を形成し,戦後死亡率は下向す るも,昭和25年目は再び上昇の傾向をしめしてい る。粗死亡率においては,大正2年に一つの谷を つくり,その後死亡曲線はあまり著しい変動をし
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子明治32年 36 41
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174 175 176 128 154 112 114
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130 爾昭和5年度全入口の50才以上標準人口千分比は 152である。
記のような現象をしめしたものと考えられる。
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図一IV 脳卒申死亡率(人口10万対)
全国・東京都(女子)
めさずほぼ水平に推移し,戦後再び下向するも,
昭和25年には上昇傾向をしめしている。明治32年 と昭和25年の死亡率を比べると,粗死亡率におい ては105.3(199.3(明治32年)一94.0(昭和25年置),
訂正死亡率においては59.8(174.9(明治32年)一 115.1(昭和25年)にて,いずれも昭和25年は明治
32年より著明に低下している。
各年度の粗死亡率と訂正死亡率の関係について みると,全国女子においては先に発表せるごと
く,各年度いずれも訂正死亡率は粗死亡率より低 率をしめしている7)。
これを東京都女子についてみるべく,両者死亡 率の関係を棒図表で図一一Vにしめした。すなわち
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図一V 脳卒中死亡率(人口10万対)
東京者K (女子)
観察せる10力年のうち,明治32年,36年,41年,
大正9年置4力典::において訂正死亡率は粗死亡率 より低率をしめすも,その他の6がギは逆に訂正 死亡率は粗死亡率より高率をしめしている。
この現象については,前掲せる表一IVのうち女 子における各年度50才以上年令構成千分比を参照 しっっ考察してみる。すなわち各年度について標 準人口千分比152と比較すると,明治32年,36年,41 年および大正9年の4園丁はいずれも高率をしめ し,他は低率をしめしている。かくのごとき状態に より前述せる現象をしめしたものと考えられる。
3) 男女の比較について
東京都男女死亡率を比較するため図一VIに男女 の粗および訂正死亡率の年代的推移をしめした。
男子の両者の死亡曲線は,明治32年にすでに高率 をしめし,大正2年に一つの谷をつくり,その後 死亡率は上昇し,大正14年を頂点とする一つの峰
を形成している。女子の死亡曲線は,男子と同じ く明治32年にすでに高い死亡率をしめし,訂正死
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図一VI脳卒中死亡率(人口10万対)東京都 亡率においては大正9年に一一一っの谷をつくり,そ の後昭和5年を頂点とする峰をつくり,粗死亡率 においては,大正2年に一つの谷をつくり,その 後死亡曲線はあまり著しい変動をしめさず,ほぼ 水平に推移している。しかし男女とも戦後再び死 亡曲線は低下しているが,昭和25年には上昇傾向
をしめしている。
図一vusらびに前掲せる表一皿によって,各年 代男女死亡率を比較すると,明治,大正両年代を 通じ,粗および訂正死亡率とも男子が女子より高 率である。しかし昭和年代になると,粗死亡率に おいては初期の5年,10!t[,tは男子が女子より高い が,戦後になると22年,25年両年とも逆に女子が 男子より高率となる。訂正死亡率にわいては各年 度いずれも男子が女子より高率となっている。
3,性別年令別死亡率の観察
各年代各年度の全国ならびに各府県の男女とも 老入層において脳卒中死亡率は高率をしめし,そ の死亡曲線は高年層になるにつれて急激に上昇し ていることを観察し発表した2)〜8)。
東京都における性別年令別死亡率においても各 年度とも同様な現象をしめしている。
図一Vffは各年代の東京都性別年令別死亡率をみ るべく,明治36年,大正9年,昭和10年および昭 和25年の各年度の男子年令別死亡率を,明治,大
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図一W 年令別脳卒中死亡率(人口10万対)
東京都 (男子)
正,昭和(戦前)ならびに昭和(戦後).の各年代 の男女の代表として図urしめしたものである。
図に・しめしたごとく,各年代各年度とも,本疾 患が老人性疾患としての特徴を明らかにあらわ
し,死亡率は年令とともに高率となり,死亡曲線 は老人層において急激に上昇している16)17)。
つぎに性別年令別死亡率の各年令階級における 死亡率について,年代的推移の関係的変化をみる べく,図一V皿に半対数図表にてしめ・した。
図にしめすように,40才以上の高年層において は,大正2年に一つの谷と大正14年,昭和5年を 頂点とする峰を形成し,戦後再び下向している。
30才以下の若年層においては,大体において年度 のすすむとともに著明に下向の傾向をしめしてお り,このうちでとく}こ0〜14才の低下現象が著明
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である。この年令階級の死亡率の推移が,全体と しての死亡率の低下現象をしめしたものと考えら れる。ただし近年において若干死亡率の上昇をみ た年令階級も存するが,それは図のごとく昭和25 年の50才以上の高年層における死亡率である。
なお男女年令別死亡率を比較すると,30才以下 の若年層においては,各年度により不規則で男女 死亡率を比較することは困難であるが,30〜39才 では,明治,大正年代は男子が女子より高率をし めし,昭和年代に入り昭和5年,10年と女子が男 子より高率となっている。また40〜49才では昭和 22年のみ女子が男子より高率で,その他の各年度 は男子が女子より高率である。50才以上になる
と,全年度において男子は女子より高率をしめし ている.。上述のごとく若年層のヅ部の年令におい て女子が男子より高率で,また高年層になるとす べて男子が女子より高率であって,各年度の全国 ならびに各府県と同様な現象をしめしていること を観察し得た。
IV 総 ・括
@108一
27
以上東京都における脳卒中死亡率の年代的推移 について述べた。これを総括するとつぎのごとく である。
1.』総数の観察
a)粗ならびに訂正死亡率とも死亡曲線は大正 2年の一一Aつの谷と,大正14年,昭和5年,昭和10 年となだらかな峰をつくり,戦後急激に死亡率は 下向するも,昭和25年にはやや上昇している。全 国の野合は粗および訂正死亡曲線は,大正2年中 一つの谷と昭和10年の一つの峰を形成し,以後低 下現象をしめしている。
b)東京都死亡率の金型各府県死亡率中に占め る順位は,明治36年は高位にあったが,昭和25年 になると全府県の約1/3の低位に下向している。ま た死亡率は各年代とも全国死亡率より高率であ
るQ
2. 男女易iJ}こよる観奪ミ 1) 男子について
a)死亡率の年代郎;推移は,明治32年にすでに 高率であった粗および訂正死亡率は漸次下向し,
大正2年に一つの谷を作り,その後両死亡率は急 激に上昇し,大正14年を頂点とする一つの峰を作 り,戦後再び下向するも,昭和25年にはやや上昇 している。全国男子についてみると,粗および訂 正死亡率とも総数の場合と同様に大正2年に一つ の谷と,昭和10年に一つの峰を形成している。
b)明治年代の各年度はいずれも訂正死亡率は 粗死亡率より低率であるが,大正:,昭和の各年代 各年度は逆に訂正死亡率は粗死亡率より高率とな っている。
2) 女子について
a)死亡率の年代的推移は,訂正死亡率では,
大正9年に一つの谷と昭和5年を頂点とする一つ の峰を形成している。粗死亡率においては,大正
2年に一つの谷をつくり,その後死亡曲線はあま り変動をしめさず推移している。全国女予につい てみると,粗および訂正死亡率とも男子の回合と 全く同様で,大正2年に一つの谷と,昭和10年に 一つの峰を形成している。
b)各年度の粗死亡率と訂正死亡率の関係をみ ると,観察せる10力年のうち,明治32年,36年,
41年,大正9年の4力年において訂正死亡率は粗 死亡率より低率をしめすも,その他の6力年は逆
に訂正死亡率は粗死亡率より高率である。
3) 男女の比較について
各年代男女死亡率を比較すると,昭和町年,25 年の粗死亡率のみ女子が男子より高率で,他の各 年度の粗および各年度の訂正死亡率は男子が女子
より高率となっている。
3. 性別年令別死亡率の観察
a)東京都においても全国および各府県と同様 な現象をしめし,各年度の男女とも本疾患が老人 性疾患の特徴をしめし,死亡曲線は老人層におい
て著明に上昇している。
b)各年令階級における死亡率の年代的推移を みると,40才以上の高年層においては,大正2年 に一つの谷と,大正14年,昭和5年を頂点とする 峰を形成し,戦後再び下向している。30才以下の 若年層においては,大体において年度のすすむと ともに死亡率は著明に下向の傾向をしめし,とく に0〜14才の低下現象が著明で,これが死亡率の 低下現象をしめしたものであろう。しかし,50才 以上の高年層では昭和25年において死亡率が上昇 をしめしている。
c)男女年令別死亡率を比較すると,若年層の 一部の年令において女子が男子より高率で,高年 層ではすべての年令において男子が女子より高率 となっている。これは各年度の全国,ならびに各 府県と同様な現象をしめしている。
稿を終るに臨み終始御懇切なる御指導,御較閲を賜 つた吉岡抄入教授,ならびに諸岡妙子助教授に謹んで
謝意を表す。
:文 献
1)国民衛生の動向,厚生の指標,2(9),30(昭30)
2)金 銀滋:本邦脳卒中死亡率の研突,第1:報 一昭和(戦後)における死亡率について一郭 京女医大誌,27,144(昭32)
3)金銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究,第■報 一昭和(戦前)における死亡率について一 東 京女医大誌,27,232(昭32)
4)金 慰撫:本邦脳卒中死亡率の研究,第鎮魂 一大正における死亡率について一 東京女医大
誌, 27, 358 (日召32)
5)金 銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究,第IV報 一明治における死亡率について一 東京女医大
誌, 27, 676 (昌召32)
6)金銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究,第V報 一全国総数における死亡率の年代的推移につい て一 東京女医大誌28,215(昭33)
一 109, 一
7)金銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究,第VI報 一全国男女別死亡率の年代的推移について一 東京女医大誌,28,296(昭33)
8)金 銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究,第皿報 一府県別死亡率の年代的推移について一 東京 女医大誌,28,365(昭33)
9)金銀滋:本邦脳卒申死亡率に関する一考察 一昭和25年度地方別死亡率について一 東京女 医大誌,28,466(昭33)
10)金銀滋:戦前における死因分類別脳卒中死亡 に関する研究,東京女医大誌,28,570(昭33)
11)金 銀滋::本邦脳卒中死亡率に関する一考察 一昭和30年度地方別死亡率について一 東京女 医大誌,28,594(昭33)
12)金銀滋::本邦脳卒中死亡率に関する一考察 一中年期死亡率について一 東京女医大誌,28,
705 (He33)
13)金銀滋:職業別脳卒中死亡に関する研究,東 京女医大誌,28,833(昭33)
14)金 銀滋:脳卒中死亡率に関する一老察 一秋田県における死亡率の推移について一 15)一色嗣武:脳卒中に関する統計,日本内科学会 雑誌,41,149(昭27)
16)渡辺 定:老人病とりどり,厚生の指標,1,
(10)5(日召29)
17)黒沢四郎:脳濫血死亡の統計的観察,保険医学
染聾誌, 37, 139 (目召13)
@110 一一