医療機器開発における知財戦略
2019.2.4
講師:正林 真之
(正林国際特許商標事務所
所長 弁理士)
●知的財産を御社が持つ(収入増)のか、他社に持たれる(賠償)
のか。それが問題だ。
医療機器分野での知的財産の意味
賠償額・平均約20億円!
出所:経済産業省(2010)
ライセンス料は売上の5%
●知的財産権には、公開を伴う権利と、公開を伴わない権利がある。
医療機器分野での知的財産の意味
●医療機器周りには、特許権で保護できる発明と、保護できない発明
が混在している。
●ヒトへの治療方法は特許権で保護できないが、医療機器自体
やその作動方法を特許権で保護することはできる。
医療機器分野での知的財産の意味
●ヒトへの治療方法と、医療機器の作動方法は、表現上の微差
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総資産営業利益率(ROA)は平均7%。
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企業は総資産から7%のリターンを得ていることになり、逆算すれば平均的な
企業の資産価値は営業利益の14.3倍。
•
ROAから計算される資産価値は企業価値の時価評価。
BSに計上される総資産額との乖離は、企業価値の含み損益。
●平均的な企業の財務構造=総資産の利回りは平均7%
バランスシートに現れない企業価値(含み益)
2013年度から2017年度決算の平均構成比(資産合計=100%、銀行、証券、保険を除く東証1部平均)
買入債務
12%
投資その他の資産
12%
営業利益
7%
100%
有形固定資産
27% 純資産
売上高
110%
売上原価
79%
販管費
24%
53%
売上債権
20%
現金等
19%
有利子負債
17%
棚卸資産
11%
出所:QUICKデータに基づき、当事務所にて作成
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平均株価純資産倍率2倍から計算される、BSに現れない企業価値は
総資産の52%。
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含み益の源泉は、将来利益と知財含み益。将来利益を6%の割引率で
評価した平均的な
将来利益の総額は
総資産の39%。
残り12%は、
知財の含み益。
●市場が評価する企業価値=知財の市場価値は総資産の12%
バランスシートに現れない企業価値(含み益)
純資産
54%
将来利益
39%
知財含み益
12%
企業価値の含み益
52%
株式時価総額
=会計上の純
資産の約2倍
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会計上の純資産は
1,640億円だが、営業
利益から計算した
純資産は3,736億円。
差額の2,646億円は
BSに反映されていない。
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PBR(株価純資産
倍率)は6.94倍と
高く、市場の評価も
企業価値の含み益を
裏づけ。
●軽BS企業、「サイバーエージェント」の事例
~利益率高く、資産価値に大きな含み益~
バランスシートに現れない企業価値(含み益)
出所:サイバーエージェント
(億円) (億円) 資産 金額 負債 金 額 費用・ 利益 金 額 収入 金 額 買入債務 380 4,286 売上債権 500 販管費 1,000 営業利益 300 4,200 純資産 1,090 含み資産価値 2,646 含み純資産 2,646 2,646 現預金 920 1,640 売上原価 2,890 売上高 3,736●重BS企業、「住友不動産」の事例
~利益率低く、資産価値は総資産を下回る~
バランスシートに現れない企業価値(含み益)
(億円) (億円) 資産 金額 負債 金 額 費用・ 利益 金 額 収入 金 額 現金等 2,630 51,870 販管費 790 営業利益 2,060 建物等 8,040 土地 24,640 ▲ 11,291 11,150 投 資 そ の 他 の 資 産 6,140 純 資 産 29,429 社債 4,090 ▲ 22,441 6,480 販売用不動産 3,810 借入金 30,640 営業原価 6,640 営業収益出所:住友不動産
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会計上の総資産は約5.2兆円だが、
営業利益から計算した総資産は
2.9兆円。2.2兆円の含み損はBSに
反映されていない。
•
PBR(株価純資産倍率)は1.63倍。
市場は過大評価。
注:米国の平均ROA10%を想定
●軽BS企業の憂鬱、「 Apple 」の事例
~利益率高いが、余剰資金が急速に積み上がりBSが肥大化~
バランスシートに現れない企業価値(含み益)
出所:Apple
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収益性高く、営業利益600億ドルから逆算した
企業価値は6,000億ドル。
•
時価総額は1兆ドルを超え、市場は将来利益
以外の知財を高く評価。
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金融資産の残高は、2,700億ドル(2.9兆
円)。利回りの低い金融資産の残高増加に
従い、資産の効率性(ROA)は悪化。
(億USD) (億USD) 資産 金額 負債 金 額 費用・ 利益 金 額 収入 金 額 支払債務 490 長期有利子負債 972 売掛金 179 棚卸資産 49 販管費 242 営業利益 600 有形固定資産 338 含み資産価値 2,783 含み益 2,783 2,783 2,156 長期有価証券 1,947 純資産 1,340 6,000 現金・ 有価証券等 742 3,217 売上原価 1,314 売上高●金融資産調整後の「 Apple 」のBS
~金融資産を調整することによりBSをスリム化~
バランスシートに現れない企業価値(含み益)
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金融資産を控除した総資産は500億ドル
程度と売上高の 4分の1 。
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資産の負担少なく、スリムな構造が見えてくる。
出所:Apple
(億USD) (億USD) 資産 金額 負債 金 額 費用・ 利益 金 額 収入 金 額 売掛金 179 棚卸資産 49 有形固定資産 338 販管費 242 営業利益 600 含み益 4,132 2,156 売上原価 1,314 売上高 528 6,000 5,472 支払債務 490 含み資産価値 5,472 純資産 1,340●主要各国とも、医療機器のクラスがIから IVに進むにつれ、
承認などの”障壁”が存在する。
医療機器分野の特徴
●承認などは、市場の方向性を整えてくれる点では、JIS等
の標準と類似している(オープンにする必要のない標準という見方)
承認等を活用した知財戦略
出所:「知的財産と標準化によるビジネス戦略」(一般財団法人日本規格協会)承認内容はオープンにする必要がないから、
承認は標準化のメリットだけを享受できる
●知財は、自らが創作できる”障壁”である。
●医療機器の知財戦略には、標準に絡めた知財戦略を大いに
参考にし得る(アレンジは必要だが)。
●承認等(下図の標準に対応)に即した知財を、計画的・意図
的に創り込むことが大切。
医療機器分野の一般性
●医療機器の承認などに要する期間、費用、成功率は医薬品程
でなく、先行者は、承認の”障壁”に依存するだけでは危ない。
出所:J. Natl. Inst. Public Health, 66(1): 2017