爆発のなごり
(超新星とその残骸)
2013/11/16
大阪大学大学院理学研究科 林田 清
Ver20131114
1
11/9 の講義の復習
• まず復習として、 HR 図と黒体輻射
• 恒星の進化は、基本的に生まれたときの質量 によって決まる。
• 重い恒星ほど明るく輝き、短い一生を送る。
• 太陽の 8-10 倍より重い星は最期に超新星爆発 という大爆発を起こし、星の内容物を宇宙空間 にばらまくとともに、中性子星やブラックホール といった高密度の天体を残す。
• 2000 年間に肉眼でみえたことが記録されている 超新星は 8 例。
2
温度が高いほど波長が短い
温度が高いほど光の強度が強い
全波長範囲で積分すると𝜎𝜎𝑇𝑇
4 復習の復習可視光線 赤外線 電波
X
線 紫外線黒体輻射のスペクトル
恒星の光度は
𝐿𝐿 = 4𝜋𝜋𝑅𝑅
2𝜎𝜎𝑇𝑇
410-10 10-6 10-2 102 106 1010 1014
10-2 10-1 100 101 102 103 104 105
T=30K T=300K T=3000K T=30000K
W(W/m2 /µm)
波長(µm)
3
原子の構成と原子核
陽子と中性子からなる核の周りを電子 がまわっている
A=Z+N
表と図は東工大 関本氏ホームページ
http://www.nr.titech.ac.jp/~hsekimot/theoryslide.pdfより
念のため
核融合反応
1kg の H あたり 6.3x10
14J ( 水素の燃焼の 450 万倍のエネルギー)
核融合反応がエネルギー源であれば、太陽の寿命は 1000 億年
より詳しい計算では約
100
億年 表面付近の組成
H70%,He28%
中心付近の組成(推定)H
35%
、He63%
原子核同士はクーロン力の反発により一般には融合しない。
太陽中心部の密度
150g/cc,
温度1500
万度の状態では核融合現象がおきる。1 4
1 1
4
1 4
2
4 2
( ) 1.0079( ) ( ) 4.0026( )
( ) 0.0005
4 ( ) ( ) 2 ( ) 0.0280 H He e
H m H amu
m He amu
m e
m m H m He m e mc
+
+
+
→ +
=
=
=
∆ = − − =
∆
の質量
質量欠損
に相当するエネルギーを発熱する(cは光速)
amu
:原子質量単位1amu=1.66x10
-27kg
エネルギーと質量の等価原理+
1H
陽子
+ +
4He
中性子 念のため
原子核の質量と、持っているエネルギー
核融合で エ ネ ル ギー を 出 す
水素
ヘリウム 炭素
酸素 鉄
鉛
ウラン 核融合も
核分裂もしない 安定な元素
原子核を作っている 陽子と中性子 の 数 の和
陽子と中性子 あた り の エ ネル ギ ー この差は、ほぼ 0.7 パーセント
長田先生の資料
11/9の事前配布に含まれておらず 授業で使用したスライド
6
大質量星の進化
15M
◎25M
◎ コア温度H
燃焼1100
万年700
万年(3-10)x10
7K He
燃焼200
万年80
万年(1-7.5)x10
8K C
燃焼2000
年500
年(0.8-1.4)x10
9K Ne
燃焼8
ヶ月11
ヶ月(1.4-1.7)x10
9K O
燃焼2.7
年5
ヶ月(1.8-2.8)x10
9K Si
燃焼18
日0.7
日(2.8-4)x10
9K
燃焼終えた部分の収縮
→
温度上昇→
より重い元素への核融合11/9の事前配布に含まれておらず 授業で使用したスライド
11/9の事前配布に含まれておらず 授業で使用したスライド
8
超新星爆発(II型、コア崩壊型)
• 8M
◎より重い星では中心部に 1.5M
◎程度の鉄のコアが生成される。
• 鉄は最も結合エネルギーの大きい原子核なので核融合反応を起 こさない。
• 重力収縮がすすみ温度が上昇すると光分解反応を起こす。吸熱 反応なので圧力は上昇せず、収縮は急激にすすむ。
• コアは中性子化していくが密度が原子核密度程度になると収縮は とまり衝撃波が発生する。
• 衝撃波が外層まで伝わり星全体を吹き飛ばす。
• この際放出されるエネルギーは 10
53erg 程度。 ただし 99% がニュー トリノのエネルギーに転化され、 10
51erg 程度が(他の)粒子の運動 エネルギー、電磁波のエネルギーになる。
• 最後には、中性子星あるいはブラックホールを残す。
γ γ
+ → + −
+ → + −
56 4
4
13 4 124.4
2 2 28.3
Fe He n MeV
He p n MeV
10?
*)
光分解の場合;8-10M
◎ではO,Ne,Mg
のコア、電子捕獲反応 が効いている。さらにニュートリノがエネルギーを持ち去って逃げていく。
11/9の事前配布に含まれていましたが追記あり
9
超新星爆発のシミュレーション
• by A.Burrows
• http://zenith.as.arizona.ed u/~burrows/ より
真ん中の鉄のコアは核融合反応 を起こさないため収縮して温度が 上がり光分解反応を起こす。
圧力は急激に低下し限界までの 収縮が起こる。
周囲のものが落ちてきてもはね返 されしかない。
11/9の事前配布に含まれていましたが追記あり
10
星の進化のフローチャート
参考:宇宙物理学(佐藤&原) 図 3.2
星間ガス 星の誕生
褐色矮星
H燃焼
(主系列)
H殻燃焼 Heコア
(巨星)
白色矮星
(He)
Heフラッシュ
> 0.08
M M
< 0.08
M M
< 0.5
M M
> 2
M M
< 2
M M
H殻燃焼 He燃焼
H殻燃焼 He殻燃焼 C+Oコア
白色矮星
(C+O,He)
C燃焼
熱パルス
Ne-O燃焼 S,Mg,Si燃焼 Feコア
C爆燃型 O爆燃型
超新星(Type-I) 超新星
(Type-II)
星間ガス
ブラック ホール 中性子星
< 3
M M
> 8
M M
< 8
M M
11
シリーズ現代の天文学
Vol.7
恒星をもとに作成H
H
H
H
H
He
He
He
He
C+O O+Ne
+Mg C+O
C+O O+Ne+Mg
Si Fe
褐色矮星 白色矮星 中性子星
or
ブラックホール 超新星爆発重力崩壊
星間ガス 重元素濃度の増加
星の進化の終末
M<0.08M
◎静かな質量放出
0.46M
◎8M
◎10M
◎<M
12
星の進化のシミュレーション
• 太陽の場合
http://rainman.astro.uiuc.edu/ddr/stellar/index.html
より13
星の進化のシミュレーション2
• 太陽の 1 倍 -8 倍の質量の星
http://rainman.astro.uiuc.edu/ddr/stellar/index.html
より14
星の進化のシミュレーション3
• 太陽の 15 倍の質量の星
http://rainman.astro.uiuc.edu/ddr/stellar/index.html
より11/16 の授業で紹介すること
• 超新星爆発には重力崩壊型(コア崩壊型、 II 型)の他にも Ia 型と呼ばれるタイプがある。
• 鉄より重い元素は巨星の段階で一部合成されるが、ウラン より重い元素が合成されるのは超新星爆発のときのみ
• 炭素より重い元素の起源は恒星内部での核融合と超新星 爆発
• 超新星爆発の際、爆発のエネルギーは膨大な数のニュート リノがになってとんでいく。 SN1987A の際にこれを検出した のが日本のカミオカンデという装置。
• 超新星爆発のあと爆発噴出物は星間空間に膨張していく
• 特性 X 線を測定することで噴出物の元素組成がわかる
16
“ 肉眼 ” でみえた超新星
http://www.astro.phys.s.chiba-u.ac.jp/~miyaji/class/daigakuin/uchubuturi-2/supernova.pdfより
ティコ ケプラー
17
歴史に刻まれる超新星爆発
インディアンの壁画
藤原定家の明月記
歴史書に記された超新星爆発
-SN185
-SN393 -SN1006 -SN1054 -SN1181 -SN1572 -SN1604
近場で起これば昼でも見えるほど明るくなる。
勝田哲提供
超新星の型 I型とII型
http://www.arcetri.astro.it/science/SNe/zoo.jpg
水素のスペクトル線
Ia型 II型 Ib/c型
ケイ素のスペクトル線 ○
○ ☓
☓
☓
ー
爆発前の恒星の質量 連星系の白色
矮星の爆発的 燃焼がきっかけ
重力崩壊型(コア崩壊型)
爆発のときに 水素の外層が 残っていた
爆発のときに水 素の外層ははぎ とられていた(
?)
19
チャンドラセカール限界
(電子縮退で支えられ る星の質量の上限)を 超えてガスがふりつもり、
炭素が燃焼をはじめた 場合
Ia
型超新星20
標準光源としての Ia 型超新星
http://www.astro.virginia.edu/class/whittle/astr553/Topic16/t16_SN_lightcurves.gif
爆発を起こすのがチャンドラセカール限界 (1.4M
◎)の白色矮星 生成される Ni の質量もほぼ同じ ( はず)
爆発で生じる Ni
56→Co
56→Fe
56の反応を反映している
半減期
6.1
日77
日21
元素の存在量とその起源
• 宇宙初期につくられたのは、ほぼ水素とヘリ ウム(少量の Li,Be) だけ。
• α 過程: He の原子核がいくつか集合した原子 核がつくられていく反応。恒星内部で起こる。
• 鉄より重い元素は中性子捕獲反応によりつ くられる。
• S 過程 : 中性子捕獲(質量数 A が1増える)とベータ崩壊
(質量数 A は同じで原子番号 Z が1増える)を繰り返して 安定な原子核のラインにそって融合される。巨星内部の 核融合で生じた中性子が引き起こす。生成できるのは 鉛くらいまで。
• r 過程:中性子捕獲が連続しておこり、その後複数回の ベータ崩壊を起こす。 Fe の光分解反応により生じた中性 子が豊富にある、重力崩壊型超新星爆発の際におこる。
ウランはこの過程でつくられる。
*) 超新星爆発の際に鉄より軽い元素も合成される
22S 過程と r 過程
http://inspirehep.net/record/860811/plots
より 中性子の数A-Z
陽子の数
Z
23
http://blogs.yahoo.co.jp/jigokuwomirebakokorogakawaku/37910980.htmlより 24
宇宙における元素の組成とその起源
http://www.chem.sci.toho- u.ac.jp/labopage/ichem/ta kahasi/elements/element_
table.html#cosmic より (東邦大学理学部)
• 人間の体が炭素などからなるのは何を意味するか?
• 地球上にウランが存在するのは何を意味するか?
SN1987A
• 1987 年 2 月 23 日に大マゼラン星雲 ( 距離16万光年)
で起こった超新星
• もとの星は太陽の 20 倍の質量の青色超巨星
• 最大光度は 3 等級@ 5 月
写真はAnglo-Australian Observatory26
カミオカンデによる SN1987A 起源のニュート リノの検出
小柴先生
2002
年ノーベル賞http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/sn20yrs/kamiokande.jpg http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/physics/supernova.html
11
発のニュートリノ神岡鉱山の地下に建設された カミオカンデ
超新星爆発の際に膨大な数のニュート リノが生成されて、エネルギーの大部分 を持ち去る。その証拠をはじめて得た。
27
超新星爆発のその後 → 超新星残骸
28
Illustration Credit: NASA, ESA, and A. Feild (STScI)
Inset Image Credit: NASA, ESA, P. Challis and R. Kirshner (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)30
解釈のひとつ
爆発前につくられていた星風のリ ングが、まず、超新星爆発の光に よって光る。
その後爆発破片が膨張し、リング に到達したときにスポット状に光る。
爆発物が非一様である証拠?
Photo credit: NASA, ESA,
P. Challis and R. Kirshner
(Harvard-Smithsonian
Center for Astrophysics
Credit: R. McCray (University of Colorado), D. Burrows and S. Park (Pennsylvania State University), and R.
Manchester (Australia Telescope National Facility)
The expansion of the SNR from SN 1987A at visible (HST), X-ray (Chandra) and radio (ATCA) wavebands. (There is no 1996 Chandra image as it had not been launched then
可視光
X
線 電波32
1005 yr
超新星爆発の名残=超新星残骸
439 yr
~10000 yr
~3700 yr
~12000 yr SN
爆発に伴う強烈な衝撃波が、周辺の星 間ガスを侵食。数千万度の極高温プラ ズマ雲を形成する。
⇒超新星残骸 (SNR) として、爆発後 10,000 年以上、 X 線など様々な波長で 明るく輝く。
勝田哲提供
X 線天文衛星
ニュートン チャンドラ
© ESA
© CXC
何れも焦点面検出器に非分散系の X 線 CCD を搭載。
⇒撮像と同時に分光が可能。
© ISAS/JAXA
すざく
衛星 稼動期間 国 特徴
チャンドラ
1999-
米国 空間分解能(0.5
秒角)ニュートン
1999-
欧州 有効面積すざく
2005-
日本 低エネルギーでの感度勝田哲提供
観測データと引き出せる情報
© ISAS/JAXA
鮮明な X 線画像
⇒運動の直接撮像
(時間を空けた複数の観測の比較から)
画像
精密な X 線スペクトル
⇒元素組成の精密測定
(特性
X
線と連続成分の強度比から)スペクトル
© CXC
Hughes+2000
勝田哲提供
Kepler の超新星 (1604) の今 数千万度の高温ガス ~ X 線観測がもっとも有効
36
Cas A の今 (約 300 年前爆発 ? の超新星;肉眼ではみえなかった)
X
線全波長Cassiopeia A: A supernova remnant in the constellation Cassiopeia.
Credit:
NASA/GSFC/U.Hwa
Si
の特性X
線Ca
の特性X
線Fe
の特性X
線特性
X
線を観測することで元素ごとの分布、量が測定できる→
爆発する前の星の中身の計量37
阪大大学院出身 現在京大助教
2005
年打ち上げのX
線天文衛星すざくのページ38
かに星雲 M1 = 1054 年の超新星の残骸
•
真ん中に高速回転する中 性子星(
パルサーという)が観測されている
•
重力崩壊型(II
型)超新星 であった確かな証拠•
超高エネルギーに加速さ れた荷電粒子が存在し、幅広い波長にわたる非熱 的放射が観測されている
超新星爆発の結果できる中性 星、ブラックホールに関してはま た来年