• 検索結果がありません。

微細三次元形状測定用極小径光ファイバスタイラスの製作 藤吉

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "微細三次元形状測定用極小径光ファイバスタイラスの製作 藤吉"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

福岡県工業技術センター 研究報告 No.28 (2018)

- 8 -

微細三次元形状測定用極小径光ファイバスタイラスの製作

藤吉 国孝

*1

永田 良介

*2

山本 隆彦

*2

内山 晃介

*3

村上 洋

*3

Fabrication of an Optical Fiber Stylus for 3D Micro Metrology

Kunitaka Fujiyoshi, Ryosuke Nagata, Takahiko Yamamoto, Kosuke Uchiyama and Hiroshi Murakami

高アスペクト比の微細深穴の内部形状を非破壊で測定可能な微細3次元測定装置に使用する,石英ガラス製スタ イラスの作製方法について検討した。市販の石英ガラス製光ファイバの被覆樹脂を剥離後,先端をフッ化水素酸水 溶液に浸漬溶解させることで,極細のスタイラスシャフトが作製できた。また,フッ化水素酸水溶液よりも安全で 濃度の経時変化が少ないエッチング液についても検討し,温度を変えることでエッチング速度の制御が可能である ことが明らかとなった。その後,CO2レーザを照射して先端を溶融させて先端球を形成させることで,微細3次元測 定装置用の先端球付き極小スタイラスが製作できた。

1 はじめに

近年の微細加工技術の進歩に伴い,微細形状測定に 対する重要性が増している。例えば,微細金型や各種 ノ ズ ル 穴 , 半 導 体 Si 貫 通 電 極 ( through-silicon via ; TSV ), MEMS (Micro Electro Mechanical Systems),マイクロマシン等のマイクロ部品,光通信 機器,医療機器などの微細形状の測定が,各機器の高 機能化のために要望されている。

特に,高アスペクト比の微細な深穴の内部形状は,

非破壊では測定する手段が無いため,測定対象物を破 壊し,原子間力顕微鏡や表面粗さ計を用いることで測 定している。

これに対し,村上らは,微細形状が測定可能な装置,

特に,高アスペクト比の微細深穴の内部形状を,非破 壊で測定可能な測定装置を考案した1)。この微細3次 元測定装置の概念図を図1に示すが,先端球が測定対 象物に接触した時のスタイラスシャフトの変位をレー ザ光によって検知する。この微細3次元測定装置では,

先端に球を形成させた屈曲性に富むスタイラスを使用 しており,このスタイラスは,微細深穴の内部形状の 測定に適した,微小径で高アスペクト比形状である。

村上らは,石英ガラス製の光ファイバを加工すること で,このスタイラスを製作し,実際に3次元形状の測 定が可能なことを確認したものの,スタイラスの作製 時に,毒物であるフッ化水素酸を使用する必要があっ

2)

そこで本研究では,フッ化水素酸よりも安全な薬液 を用いて微細3次元測定機用のスタイラスを作製する ことを目的とした。

測定対象物 スタイラス シャフトの変位

先端球 スタイラスシャフト

フォトダイオード レーザ発振器

図1 微細3次元測定機の概念図

2 測定原理

図2に測定装置の概略図を示す。本装置では,X方向,

Y方向それぞれに,位置検出用のレーザ発振器及び2分 割型フォトダイオード(PX,PY)を設けており,Z方向 は精密ステージによって計測する。スタイラスシャフ トは姿勢調整用のチューブ型ピエゾ駆動素子に固定さ れている。スタイラスシャフトに向かってXY方向から 波長405 nmの集束レーザ光を照射する。スタイラスシ ャフトを透過したレーザ光は,スタイラスを間にして 反対側に設置された2分割型フォトダイオードで受光

*1 化学繊維研究所 する。

*2 株式会社稲築サイエンス

*3 北九州市立大学

(2)

福岡県工業技術センター 研究報告 No.28 (2018)

- 9 -

X Z Y

プリアンプ

ロックインアンプ ピエゾドライバ

チューブ型ピエゾ 駆動素子 レーザ

対物レンズ

PX PY

測定対象物 スタイラスシャフト

スタイラス接触子

CCD

XYZ精密ステージ

パソコン 2分割型フォトダイオード

駆動信号

ファンクションジェネレータ

振幅Ix Iy

位相

図2 微細3次元測定装置の概略図

図3は,図2のXY平面のスタイラスレーザ照射部の断面 図を基に,微細3次元測定装置の測定原理を示した図 である。スタイラスシャフトを透過したレーザ光は,

スタイラスを通して反対側に設置された2分割型フォ トダイオードで受光し,電圧値に変換される。なお,

この際に,スタイラスシャフトはロッドレンズとして 作用しており,スタイラスの変位を拡大する効果があ る。X方向の2分割フォトダイオードで受光した光量を

I

PX1

I

PX2,Y方向の2分割フォトダイオードで受光した 光量を

I

PY1

I

PY2とすると,接触子が測定対象面に接触 していない初期状態では,

I

PX1

I

PX2および

I

PY1

I

PY2は 同一強度に保たれている(図3(a))。一方,接触子が 測定対象面に接触し,スタイラスシャフトがたわんで 変位すると

I

PX1

I

PX2および

I

PY1

I

PY2の光強度に差が生 じ,接触方向を検出できる(図3(b))。ここで, X方 向変位の出力

I

X, Y方向変位の出力

I

Yを式(1),(2)で 定義する。

I

X

= I

PY1

- I

PY2 (1)

I

Y

= I

PX1

- I

PX2 (2)

出力

I

X,出力

I

Yは,半導体レーザを変調するファン クションジェネレータの信号を参照信号とし,ロック インアンプを用いて同期検波することで各種ノイズを 取り除いている。一般的にはスタイラス接触子の測定 対称面への接触を検知するセンサ機構に力を伝えるた めにスタイラスシャフトの剛性を高くする必要がある が,本測定原理ではスタイラスシャフトのたわみを,

レーザを用いて非接触で間接的に検出する方式である ため,剛性が低く小径で長いスタイラスを使用可能と なり,高アスペクト比の穴や溝などの測定に対応可能 である。

X Y

IPY1 = IPY2

IPX1 IPX2 2分割型

フォトダイオード

レーザー光 2分割型

フォトダイオード

レーザー光 コンデンサレンズ コンデンサレンズ

スタイラスシャフト

X Y

IPY1 < IPY2

スタイラスシャフトの変位

IPX1 IPX2 (a)初期状態

(b)X方向にスタイラスが変位した状態 PY1 PY2

PX1PX2

PY1 PY2

PX1PX2

図3 微細3次元測定装置の測定原理

3 スタイラスの製作

光ファイバー

エッチング液

エッチング 乾燥

洗浄

d

図4 ウェットエッチングによるファイバの小径化

微細3次元測定装置で使用するスタイラスは,図4に 示した模式図のように石英ガラス製光ファイバをウェ ットエッチングにより小径化し2),その後,図5のよ

(3)

福岡県工業技術センター 研究報告 No.28 (2018)

- 10 - うにCO2レーザを照射して先端を溶融させ,先端球を

形成させることで製作する3)。本研究では,エッチン グ液の種類と温度について検討した。

スタイラス シャフト

レーザ焦点 先端球

(接触子)

対物レンズ CO2レーザ ミラー

図5 CO2レーザ照射による先端球の形成

3-1 エッチング液の検討

石英ガラス製光ファイバ(ソーラボ製FG105LCA)の 被覆樹脂を剥離し,光ファイバースライドカッターを 用いて切断した。この光ファイバの先端約1 mmを常温 のフッ化水素酸12 %水溶液に浸漬させた。所定時間(60,

120,180,240,300,360 min)後に光ファイバを引き上げ,

純水にて洗浄・自然乾燥後,ハイロックス製マイクロスコー プKH-7700を用いて,スタイラスシャフトの直径(図4中dの 長さ)を計測した。

140 120 100 80 60 40 20

00 60 120 180 240 300 360

エッチング時間(min)

スタイラス直径(µm)

0.45 µm / min

0.19 µm / min

図 6 濃度12 %のフッ化水素酸でのエッチング結果

次に,フッ化水素酸よりも安全性に優れるエッチン グ液として,毒物及び劇物に該当しない,フロステッ ク製のQE-CL3Nを用いてエッチングを行った。フッ化 水素酸水溶液の代わりに40 ℃に保持したQE-CL3Nを用 い,前節と同様に光ファイバの小径化について検討し た。その結果,開始から30 minまでの平均のエッチング

速度は約1.3 µm/minであるが,75 minから85 minまでの平 均エッチング速度は1.2 µm/minと約8 %の低下に過ぎなか った。このことからQE-CL3Nは時間経過による濃度変化が 少ないと予想され,エッチングの制御がしやすい安定した 液体であることが分かった。

140 120 100 80 60 40 20

00 30 60 90

エッチング時間(min)

スタイラス直径(µm) 1.3 µm / min

1.2 µm / min

図 7 温度40 ℃のQE-CL3Nでのエッチング結果

3-2 エッチング液温度の検討

エッチング速度は温度に依存すると考えられるが,フッ 化水素酸水溶液を加温すると有害性のガスが発生するた め,通常加温して使用しない。一方,QE-CL3Nは安定した エッチング液であり,加温が可能であることから,エッチング 温度とエッチング速度の関係について検討した。

図8にQE-CL3Nのエッチング温度とエッチング速度の関 係を示す。エッチング速度が液温に対して指数関数的に 変化しており,アレニウスの式とよく一致することが明らかと なった。よって,QE-CL3Nを用いることで,エッチング温度 を変えることによりエッチング速度を制御できること考えられ る。

2.5 2.0 1.5 1.0 0.5

00 20 40 60

エッチング温度(℃)

エッチング速度 (µm / min)

10 30 50

×

××

×××

××

×××

×××

図 8 QE-CL3Nのエッチング温度と速度の関係 3-3 COレーザ照射による先端球の製作

前節と同様の方法で石英ガラス製光ファイバの先端 をエッチングし,直径10 µm,5 µm,2.5 µmの3種のス タイラスシャフトを製作した。

既報3)に従い,この小径化したスタイラスシャフト

(4)

福岡県工業技術センター 研究報告 No.28 (2018)

- 11 - の先端にCO2レーザを照射し,先端部を溶融 させた。

すると,溶融した石英ガラスが表面張力によって球を 形成し,先端球付きのスタイラスが製作できた。

10 µm 5 µm 2.5 µm 図 9 製作した微細3次元測定装置用スタイラスのマイ クロスコープ像

4 まとめ

高アスペクト比の微細深穴の内部形状を非破壊で測 定可能な微細3次元測定装置に使用する,石英ガラス 製スタイラスの作製方法について検討したところ,市 販の石英ガラス製光ファイバの被覆樹脂を剥離後,先 端をフッ化水素酸水溶液に浸漬させることで小径化し,

極細のスタイラスシャフトが作製できた。また,フッ 化水素酸水溶液よりも安全で濃度の経時変化が少ない エッチング液についても検討し,温度を変えることで エッチング速度の制御が可能であることが明らかとな った。その後,CO2レーザを照射して先端を溶融させ て先端球を形成させることで,微細3次元測定装置用 の先端球付き極小スタイラスが製作できた。

謝辞

本研究の一部は,戦略的基盤技術高度化支援事業に て実施した。

5 参考文献

1)H Murakami,A Katsuki, T Sajima,T Suematsu:

Meas. Sci. Technol,25,pp. 1-7 (2014) 2)H Murakami,A Katsuki, T Sajima,K Uchiyama:

Int. J. of Automation Technology,Vol. 11,No.

5,pp. 699-706(2017)

3)K Uchiyama,H Murakami,A Katsuki,T Sajima,T Yamamoto , T Nagata , K Fujiyoshi : Proceedings

of The Thirty-Second Annual Meeting of the American Society for Precision Engineering , Vol. 67,pp. 305-310(2017)

参照

関連したドキュメント

2 .基 底板 線維 は 一種 類か らな り, 全て の線維が直径10nm で管状構造を呈し,形態学的    には皮膚の微細線維 と一致していた・..

Wang et al., 2006; Pepper et al., 2010).しかしながら,3DPS 法が体表面積,体積とい った身体形状の 2 次元指標および 3 次元指標の測定方法になり得るかどうかは不明である.

まえがき=半導体デバイスのデザインルールの微細化と ともに,要求されるウェーハ形状,平担度は年々厳しく なってきている 1) 。代表的なものとして,ウェーハの形 状 評 価 に

昭和32年4月 評 第2国 第1図のものを電子顕微鏡でみた場合 (3%Nital)×2,000 第3図 第2図と同じ試料を電解研磨した場合

and Ikeuchi, K.: Shape Estimation of Transparent Objects by Using Inverse Polarization Raytracing, TPAMI,

ガラス繊維やカーボン繊維などの繊維と,樹脂を組み合わ せた複合材料である FRP(Fiber Reinforced

複合溶融成形法によるポリチオフェンの微細構造制御 1160247 前川 智美 Microstructure control of polythiophene by composite molding method Tomomi

⑤ 微細 3 次元形状マイクロ構造体の成形品開発 目 標 実施機関 達成度 (株式会社ナノクリエート) ・樹脂成形品用微細 3 次元金 型の製作