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学 位 論文 題 目

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Academic year: 2022

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(1)わ. だ. より. こ. 名. 和. 田. 資. 子. 学 位 の 種 類. 博. 学 位 記 番 号. 理 第73号. 学 位 授 与 の 日付. 平 成25年3月22日. 学位授与の要件. 学位規程 第5条 該当. 学 位 論文 題 目. Spectroscopic. 氏. 士(理 学). with polyyne. studies. on the molecular. complex. and iodine molecules. (ポ リイ ン と ヨウ素 か ら成 る分 子 錯 体 の 研 究). 論 文 審 査 委 員(主. 査)教. 授. 若. 林. 知. 成. (副主 査)教. 授. 木. 村. 隆. 良. (副主 査)教. 授. 黒. 田. 孝. 義.

(2) 論. 文. 内. 容. の. 要. 旨 さ ら に、 分 子 錯 体 の 組 成 を明 らか にす る た め、C12H2に対 す る ヨ ウ素 分 子 の添 加 量 を 系 統 的 に変. 炭 素 の結 合 様 式 は 大 き く三 種 類 に 分 類 され るが 、 同 素 体 と して 古 くか ら知 られ る グ ラ フ ァイ ト とダ イ ヤモ ン ドは 、 そ の う ちの 二 種 類 の 混 成 軌 道 に よ る結 合様 式 を代 表 す る固 体 で あ る。 も う一 つ の結 合 様 式 は構 成 す る炭 素 原 子 がsp混 成 軌 道 か ら成 る物 質 の 一群 で あ り、そ の 固体 は カル ビン と呼 ばれ て い るが 単 体 と認 め られ た 例 は ま だ な い 。 一 般 に 、sp混 成 炭 素 に よ る化 合 物 は反 応 性 が 高 く、 重合 しやす い性 質 を もつ 。 ポ リイ ン分 子 は 、sp混 成 炭 素 が連 な っ た 直線 構 造 の分 子 の う ち 、 単 結合 と三重 結 合 の 結 合 交 替 が 認 め られ る物 質 の 総 称 で あ り、 そ の一 次 元 の パ イ 電 子系 は電 気 伝 導性 や 非線 形 光 学 の 観 点 か ら興 味 が もた れ て い る。 ポ リイ ン鎖 の 両端 が水 素 で 終 端 され た分 子C2。H2はポ リイ ン類 の 中で 最 も基 本 的 な 構 造 を もつ モ デ ル 分 子 で あ る。. 化 させ て 実 験 を行 い 、C12H2の 許 容遷 移 の吸 光 度 の減 少 との対 応 を比 較 した。 反 応 物 で あ るC12H2と12 お よび 生 成 物 で あ るC12H2(12),との 間 の 平衡 反応 を仮 定 し、吸 光 度 変 化 の ヨ ウ素 濃 度 依 存 性 に つい て 解 析 を行 った 。 平 衡 の 速 度 式 を 基 に 、 実験 か ら得 られ た反 応 進 行 度 の 関数 を ヨ ウ素濃 度 の対 数 に 対 して プ ロ ッ トし、 そ の 傾 き か ら錯 体形 成 の 反応 等 量 を決 定 した。 そ の結 果 、 ポ リイ ン分 子 と ヨ ウ素 分 子 が1対3の 割 合 で 反 応 す る こ とが明 らか に な っ た。 生 成 した ポ リイ ンー ヨウ 素錯 体 の 組 成 を 化 学 量 論 的 に 決 定 で き た こ と は 、分 子 構 造 の推 定や 反 応 機構 の 考 察 に 大き な 役割 りを果 た す こ とに な っ た 。 ポ リイ ンー ヨ ウ素錯 体 の 分 子構 造 につ い て 考 察す るた め に、13研 田Rス ペ ク トル 測 定 お よ び分 子. 本研 究 で は 、水 素終 端 され たポ リイ ン分 子 が 光 誘 起 反 応 に よ っ て ヨ ウ素 と分 子 錯 体 を形 成 す る こ とを 実 験 的 に 見 出 した。 さ ら にそ の 分 子 錯 体 に つ い て 、 ポ リイ ン対 ヨ ウ素 の 組 成 解 析 、分 子 構. 軌 道 計 算 を 行 っ た 。13C‑}馴Rで は 、 大 き な低 磁 場 シフ トが観 測 され た が 、 炭 素数 の 半 分 の 数 の吸 収. 造 の 推 定 、 光 誘起 反 応 の反 応 機 構 に つ い て 研 究 を 行 った 。 これ に よ り、sp混 成 炭 素 で構 成 され た 炭 化 水 素 分 子 と ヨウ素 分 子 か ら新 しい 分 子 錯 体 が 生 成 す る こ とを 明 らか に した 。 そ の過 程 に お い て 、 分 子 錯 体 の部 分 構 造 と して これ ま で に 例 の な い 新 た な ヨ ウ素 の存 在 形 態 が 見 つ か る可 能 性 を 示 した 。 本研 究 に よ っ て明 らか に な っ た ヨ ウ素 に よ るポ リイ ン との分 子 錯 体 の 安 定 化 は、 未 だ 確 認 され て い な い 同 素体 カル ビ ンに つ い て そ の 誘 導 体 の 存 在 を示 唆 す る もの で あ る。. の 対称 性 を もつ こ とが明 らか に な っ た。 ま た 、 分子 軌 道 計 算 の結 果 か ら、2個 の13ユ ニ ッ トが ポ リ. 第 一 章 は 、 水 素終 端 され た ポ リイ ン分 子 が ヘ キ サ ン中 に お い て ヨウ素 と分 子 錯 体 が 生 成 す る こ との 報 告 で あ る[J,Phys.Chem.BII5,8439(2011)に 掲 載]。 ポ リイ ン 分子 の紫 外 吸 収 スペ ク ト ル が ヨ ウ素 添 加 に よ っ て劇 的 に変 化 す る こ とを 発 見 した 。C12H2の例 では 、ヘ キ サ ン溶 液 に ヨ ウ素 を添 加 す る こ とに よ っ て 、Cl2H2の許 容 遷 移 に よる 紫 外 吸 収 帯 が 消失 し、 よ り長 波 長 側 に新 た な 吸 収 帯 が 出 現 す る と とも に 、近 紫 外 領 域 に 存 在 が 知 られ て い る 禁制 遷 移 の 吸 収 強 度 が 著 しく増 加 し た 。 禁 制 遷 移 に 着 目 した場 合 、 ヨ ウ素 添 加 に よる レ ッ ドシ フ トは わず か に認 め られ る もの の 、 遷 移 エ ネ ル ギ ー の 変化 は無 視 で き る ほ ど小 さ く、 ま た 振 電 バ ン ドの 間隔 は2000cガ 程 度 に保 たれ て い た 。 これ はsp混 成 炭 素鎖 に予 想 され る伸 縮 振 動 に 特 徴 的 な 振 動数 で あ る。 以 上 の 実 験 事 実 か ら、C12H2は ヨ ウ素 添加 に よ る変 化 の 後 もそ の 炭 素 骨 格 を 保 持 して い る と結 論 した 。Cl2H2の 電 子 ス パ ク トル の ヨ ウ素 添加 に よ る変 化 は 、C12H2が ヨ ウ素 と新 奇 な 分 子錯 体 が生 成 す る こ と を裏 付 け る もの で あ る。 分 子 サ イ ズ の 異 な る ポ リイ ンCloH2、C14H2、Cl6H2、C18H2につ い て も 同様 の 実 験 を 行 い 、C12H2と 類 似 の 電 子 ス ペ ク トル の変 化 を確 認 した 。 吸 収 ス ペ ク トル に は分 子 サ イ ズの 応 じた 吸 収 帯 の 系 統 的 な シ フ トが 観 測 され 、 ヨ ウ素 との 反 応 に よ る変 化 の 後 もポ リイ ン分 子 の 骨 格 が 保 存 され 、 そ の 結 果 サ イ ズ 毎 の 特徴 を残 す こ とが 明 らか に な っ た 。 と りわ け禁 制 遷 移 の 遷 移 エ ネ ル ギ ー は い ず れ のポ リイ ン分 子 に お い て も錯 体 化 の 前 後 で わ ず か な シフ トを 無視 す れ ば ほ ぼ 同 等 の 値 に 保 た れ る こ とが わ か っ た。 この 分子 錯 体 の 紫 外 吸 収 ス ペ ク トル の 測 定 にお い て は 、 ス ペ ク トル 測 定 の 直 前 に還 元 剤 を 用 い て ヨ ウ素分 子 を系 外 に 取 り除 くこ とに よ り、未 反 応 の ヨ ウ素 分 子 に よ るス ペ ク ト ル へ の 影 響 を最 小 限 に とど め る工 夫 を 行 っ た。 次 に 、 新 た に発 見 され た ポ リイ ン ー ヨ ウ素錯 体. 線 がCloH216お よ びC12H216それ ぞ れ に 確 認 で き た。 そ の 結 果 か ら、錯 体 が 少 な く と も2回 回転 軸 以 上 イ ン 分 子 の 赤 道 周 りを取 り囲 む よ うに錯 体 を安 定化 す る こ とが 示唆 され た 。 第 二 章 は 、 ポ リイ ン ー ヨウ 素錯 体 の 構 造 推 定 を さ らに 推 し進 め るた め、 赤外 分 光 を行 っ た 結果 に っ い て ま とめ た も ので あ る[Chem。Phys。Lett.541,54(2012)に 掲 載 〕。 赤外 吸 収 スペ ク トル の 測 定 で は 、試 料 にヘ キサ ン溶 液 を用 い た 場 合 、溶 媒 で あ るヘ キサ ンの 吸 収 が 目的 の ポ リイ ン分 子や ポ リイ ン ー ヨ ウ素 錯 体 の吸 収 に重 な り、 目的 の 信 号 を 検 出す る こ とが 困難 で あ る こ とが 予想 され た。 そ こ で 、 ポ リイ ン 分子 を含 む ヘ キ サ ン溶 液 を 四 塩 化炭 素 溶 液 に 溶 媒 置換 した 試 料 を調 整 し、赤 外 吸 収 スペ ク トル の 測 定 を行 っ た 。 錯 体 の生 成 は 、溶 媒 置 換 の 後 、 す べ て四 塩 化 炭 素 中 で 行 っ た。 紫 外 吸収 スペ ク トル の測 定 に よれ ば 、 四塩 化 炭 素 中 の反 応 で もポ リイ ン分 子 と ヨ ウ素分 子 が反 応 し、溶 媒 にヘ キサ ン を用 い た 場 合 と同様 の ス ペ ク トル 変 化 を確認 す る こ とが で き た。 こ の こ とは ポ リイ ン とヨ ウ素 に よ る錯 体 生 成 が 無極 性 溶 媒 中 で 支配 的 か っ 一 般 的 な反 応 で あ る こ と を 示 して い る。 CmH2の 赤 外 吸収 スペ ク トル にお い て 、 ポ リイ ン分 子 とポ リイ ン ー ヨ ウ素錯 体 の両 方 に つ い てそ れ ぞれ 複 数 の 赤外 吸 収 線 を確 認 す る こ とが で き た。CH伸 縮 振 動 お よびCH変 角振 動 の 吸 収 線 につ い て は 、錯 体化 に よ る レ ッ ドシ フ トが み られ た。 また 、CC伸 縮 振 動 の 吸 収 強度 が錯 体 化 に よ っ て増 強 す る こ とが 明 らか に なっ た 。 さ らに 、 錯 体 化 前 には 見 られ な か った 新 た な2本 の 吸収 線 が 錯 体 の ス ペ ク トル に は顕 著 に現 れ た 。CloH2の 分 子 軌 道 計算 に よる と、新 た な吸 収線 が 見つ か っ た 振 動数 領 域 に はCC伸 縮 振 動 モ ー ドが 予 想 され る。 こ の こ とか ら、錯 体 化 に よっ て現 れ た 新 た な 吸 収線 は、 q。H2のCC伸 縮 振 動 の 吸 収 強 度 が 増 加 して した もの で あ る と考察 した 。 錯 体化 に よっ てCH伸 縮 振 動 とCH変 角 振 動 の吸 収 線 が レ ッ ドシ フ トし、CC伸 縮 振 動 の 吸収 強 度 が 増 加 した こ とか ら、錯 体 中に お い てC!。H2の炭 素 鎖 の 電 子 密 度 に 変 調 が も た ら され た も の と考 え る こ とが で き る。 この よ うな 電 子 密 度 の変 調 を もた らす 分 子構 造 と して 、 ポ リイ ン ー ヨウ素 錯 体 中 の ヨウ素 ユ ニ ッ ト16がポ リ. の生 成 反 応 が 、可 視 光 の照 射 が 引 き金 とな っ て 進 行 す る こ とを突 き止 め た。 錯 体 形 成 が 光誘 起反 応 で あ る こ と を検 証す る た め 、 ポ リイ ン と ヨ ウ素 の 混 合 溶 液 に対 して 光 照 射 と遮 光 を 交 互 に行 い 、. イ ンの 赤 道 上 に位 置 す る と考 え て も矛 盾 は 無 い と結 論付 け た。 同 様 の赤 外 吸 収 ス ペ ク トル 変化 を. 吸 収 ス ペ ク トル の 変化 を追 跡 した 。 そ の 結 果 、 光 照 射 が継 続 してい る場 合 に ポ リイ ン分 子 の 吸光 度 が減 少 し、 遮 光 条件 で は変 化 が 見 られ な か っ た こ とか ら、錯 体 形 成 は 光 に よ っ て 誘 起 され る こ と が明 らか とな っ た。. 第 三 章 で は、 そ れ ま で の 両 端 水 素 の ポ リイ ン分 子 に代 わ り、 片 側 が メチ ル 基 に 置 き 換 わ った ポ リイ ン誘 導 体(メ チ ル ポ リイ ン 〉 を 用 い た場 合 に も 、第 一 章 お よび第 二 章 と同様 の ヨ ウ素錯 体. サ イ ズ の 異 な るC12H2およ びC14H2に つ い て も確 認 して い る。. が 生 成 す る こ とを 述 べ て い る 〔Eur、Phys.J.D66,322(2012)に 掲 載]。 そ の 目的 は 、 ポ リイ ン ー ヨ ウ素 錯 体 の 電 子 状態 に つ い て新 た な知 見 を 得 る こ とで あ る 。.

(3) 論. 文. 審. 査. 結. 果. の. 要. 旨. メチ ル ポ リイ ン分 子 に ヨウ素 を加 え た場 合 の紫 外 吸 収 スペ ク トル の変 化 は 、水 素 終端 ポ リイ ン分 子 の 場合 にみ られ た変 化 と類 似 の もの で あ り、 系統 的 な 分子 サ イ ズ依 存 性 を示 す もの で あっ た。 こ の こ とは 、 メチル ポ リイ ン分 子 が ヨ ウ素 と分 子錯 体 を 生成 す るこ と を明 確 に示 唆 す る結 果 で あ る。 ポ リイ ンお よび メ チル ポ リイ ンの ヨウ素 錯 体 につ い て 吸収 スペ ク トル か ら読み 取 っ た遷 移 エ ネル ギ ー を比 較 し、電 子 状 態 の相 違 を 検討 した 。錯 体 化 に よ って 新 た に出 現 す る吸 収 帯 の遷 移 エ ネル ギ ー は 、同 等 のパ イ 電 子系 を有 す るCloH216/Cl1H416、C12H216/Cl3H416、Cl4H216/C15H416の 組 で そ れ ぞ れ 比較 す る と、 いず れ も メチ ル ポ リイ ン ー ヨウ素 錯 体 の方 が 高 い。 そ の 原 因 をポ リイ ン分 子 の対 称 性 の違 い 、 す な わ ち水 素終 端 ポ リイ ンがD。。h、メチル ポ リイ ン がC3,であ る こ とか ら生 じる電 子状 態 の 系統 的 な傾 向 に よる もの と考 え た。 一 方 、禁 制 遷移 の遷 移 エ ネル ギ ー は各 組 に お い て大 きな差 が な く 、パ イ 電子 系 の長 さの 一 致 で説 明 で き る。 第 四章 は 、 ポ リイ ンー ヨ ウ素錯 体 の生 成機 構 に関 す る速 度 論 的考 察 で あ る[Eur.Phys.J.D66, 322(2012>に. 掲 載]。 ポ リイ ン ー ヨ ウ素 錯 体 の生 成 が 光誘 起 反 応 に よ って 進行 す る こ とが 明 らか と. な った こ とか ら、反 応 機構 に つ いて 定 量的 な議 論 を進 め るた め 、 レー ザー 光 を 光源 とす る系 統的 な 実 験 に基 づ いて 速度 論 的解 析 を行 っ た。 ポ リイ ン と ヨ ウ素 の 混合 溶 液 に対 して レー ザ ー 光(連 続 発振532nm)を 照 射 し、紫 外 可 視吸 収 ス ペ ク トル の 時 間変 化 を追跡 した。 ヨ ウ素濃 度 の 異 な る5種 類 の試 料 そ れ ぞれ に対 し、5種 類 の 異 な る. 1.研. 究 の 目的. ポ リイ ン分 子 は ア セ チ レ ン構 造 の炭 素 鎖 が 結合 交替 を も ち なが ら直線 状 に連 な る不 飽 和 炭 化 水 素 分子 で あ り、 そ の 高 い 反 応 性 の 故 に存 在 が 難 しい と され 、そ の 研 究 は、1970年 代 に シア ノポ リ イ ン類 が宇 宙 空 間 に お け る 電 波 観 測 に よ って 検 出 され た こ とに端 を発す る。 現 在 ま で に嵩 高 い 置 換 基 を 炭 素鎖 の 末 端 に 配 した ポ リイ ン誘 導 体 が化 学合 成 され てい る。 一方 、末 端 が 水素 で 終 端 さ れ た最 も シ ンプ ル な ポ リイ ン分 子 の研 究 は、2002年 に レー ザー アブ レー シ ョンに よ る ポ リイ ン生 成 が報 告 され て 以 来 、 大 き く展 開 した。 本 論 文 は 直線 構 造 を もっ 不 飽 和炭 化 水 素 分 子 ポ リイ ンに よる ヨ ウ素 との 錯 体 生 成 に 関 して 、 そ の発 見 か ら分 子構 造 の推 定 、 さ らに は反 応機 構 の解 析 まで を 報 告 した も ので あ る。 本 論 文 の 提 出者 は、 ヨ ウ素 分 子 が ベ ンゼ ンな どの 芳香 族 分 子 と錯 体 を形 成 す る こ とに ヒ ン トを得 て 、 ポ リイ ン 分子 が ヨ ウ素 分 子 と安 定 な分 子 錯 体 を形 成 す る こ と を実 験 的 に 初 め て示 した 。 さ らに 、 そ の 分 子錯 体 の 化 学 組 成 を 決 定 し、 分光 学 的 手法 を用 い て錯 体 構 造 の 推 定 を 行 っ た。 また 、 分 子 錯 体 の 生 成 には 可 視 光 の 吸 収 が 必要 で あ る こ とを 見出 し、 そ の 生成 機構 に つ い て 定量 的 な 解 析 を行 った 。 ポ リイ ン と ヨ ウ素 に よ る分 子 錯 体 の 発 見 な らび に そ の化 学 組 成 の 決 定 は 、化 学 種 の 新 奇 性 と分 光 学 的 アプ ロー チ の 観 点 か らオ リジナ リテ ィー の 高 い研 究 で あ る と認 め られ る。. レー ザー 光 強 度 に よ る照射 を実 施 し、 ポ リイ ン の 吸収 強 度 につ い て合 わせ て25セ ッ トの 時 間 プ ロ. 2.研. フ ァイル を得 た。 これ を擬 一 次 反応 とみ て 速度 定数 を求 め た。 さ らに速 度 定 数 を ヨ ウ素 濃 度お よび. 通 常 の 化 学 合成 で は得 る こ とが 難 しい 水 素終 端 され た ポ リイ ン分 子 を レー ザ ーア ブ レー シ ョン の 方 法 を 用 い て 生成 し、高 速 液 体 ク ロマ トグ ラ フ ィー を 駆 使 して サ イ ズ選 別 す る こ とに よっ て 、. レーザ ー 光 強度 に対 して プ ロ ッ トした。 錯 体形 成 は、 ポ リイ ン分 子 と複 数 の ヨウ素 分 子 が ク ラ ス タ ー を形 成 した と ころ で、 ヨ ウ素 分子 の 一 っ が光 子 を吸 収す る こ とで始 ま る。 しか し、 実験 の結 果 は ポ リイ ン 分 子が ヨ ウ素 に 比 して過 剰 に消 費 され てい る こ と を示 してい た 。 そ こで 、 初 期濃 度 が 希 薄 な条 件 で は 、錯 体 形成 反 応 の他 に、 光 吸収 に よ って励 起 され た 活性 ヨ ウ素 分子 に よる ポ リイ ン分 子 の分 解 が起 こ る とい う反応 モ デル を設 定 し、各 実 験 か ら得 られ た時 間 プ ロフ ァイ ル の 速度 論 的 解 析 を行 っ た。 そ の 結果 、 初 期 濃度 が希 薄 な条 件 で は 光吸 収 に よっ て活 性 化 され た ヨ ウ素 分子 が 、 ポ リイ ン とと もに 他 の2個 の ヨ ウ素 分 子 と同 時 に居 合 わ せ な い場 合 に お い ては 、 ポ リイ ンの 分 解 に 寄 与 し、 この 分 解過 程 が 錯 体形 成 過 程 と競合 す る こ とが明 らか に な った。 博 士 後期 課 程 で 実施 され た研 究 に よっ て、 ポ リイ ン分 子C2。H2(n=5‑9)な らび にメ チ ル ポ リイ ン 分 子C2。+1H4(n=5‑7)が. 可視 光 を 光源 とす る 光誘 起 反 応 に よ って ヨウ素 と と もに化 学 量 論 的 に組 成. の 定 ま った 新 奇 な分 子 錯 体C2。H216(nニ5‑9)お よびC2。 、IH416(n=5‑7)を形 成 す る こ とが 明 らか に な った。 ま た 、分 子 錯 体C2。H216の 分 子 構 造 に つ い ては13C‑NMRス ペ ク トル か ら2回 回転 軸 以 上 の対 称 性 を もつ こ とが明 らか と な り、 赤外 吸 収 ス ペ ク トル の シ フ トお よび 強度 変 化 か ら錯 体 中 の ヨウ素 ユ ニ ッ ト 16が ポ リイ ン の赤 道 上 に位 置 す る こ とが 示唆 され た。 さ らに、 ポ リイ ン ー ヨ ウ素錯 体 の 生 成機 構 に つい て は初 期 濃 度 が希 薄 な 条 件 で は、 錯 体 生成 の 反 応 以外 に、 活性 ヨウ素 分子 に よ るポ リイ ン の分 解 反 応 が起 こる こ とが 明 らか に な った。 こ の こ とは 逆 に、 ポ リイ ン ー ヨ ウ素錯 体 の 生 成 が 初 期 濃 度 の比 較 的 高 い場 合 に 効 率的 に進 行 す る こ とを 示唆 す る結 果 で あ り、錯 体 の 単 離 へ と 研 究 を発 展 させ る際 に必 要 な 知 見 が蓄 積 され つ つ あ る と言 え る。. 究 の 方 法 と結 果 ・考 察. 純 度 の 高 い 試 料 を 準備 した。 す で に報 告 され てい た生 成 法 を高 強 度 の パル ス レーザ ー を用 い て ス ケー ル ア ップ し、 分離 法 を 工 夫す る こ とに よ っ て ミ リグ ラ ム オー ダー の 高純 度 ポ リイ ン試 料 の 作 製 を可 能 に した。 これ を用 い て溶 液 中に お け る ヨウ素 分 子 との光 誘 起 反応 の 実 験 を行 った 。 そ の 結 果 、 紫 外 可 視 吸 収 スペ ク トル に 著 しい 変 化 が 見 られ る こ と を見 出 した。 と りわ け ヨ ウ素 との 反 応 で 近 紫 外 領 域 に 現 れ る吸 収 帯 が 、 も と も と非 常 に弱 い な が ら観 測 され る ポ リイ ン 分子 の禁 制 遷 移 の 振 電 相 互 作 用 に よる遷 移 に 帰 属 可能 で あ る と捉 え得 た 点 が実 に卓 抜 な アイ デ ア で あ り、評 価 に値 す る。 そ の 達 見 に よ り、 ポ リイ ン と ヨ ウ素 に よ る分 子錯 体形 成 の 可能 性 が 一 気 に強 ま っ た。 以後 は、 ポ リイ ン分 子 が 分 子 骨 格 を 保 持 した ま ま ヨ ウ素 と化 学 量 論 的 に組 成 の 定 ま っ た錯 体 を 形成 す る と い う作 業 仮 説 の も とに 分 光 学 的 手 法 を用 い て 解 析 を 進 め た 。 まず 、化 学 組 成 の決 定 を 紫 外領 域 に 現 れ る ポ リイ ン分 子 の 吸 収 帯 の 強 度 変化 に基 づ い て 実 験 的 に 求 め た。 す な わ ち 、ポ リイ ン分 子 と 複 数 の ヨ ウ素 分 子 が 可 視 光 存 在 下 で 平衡 に達 す るモ デ ル を基 に ヨ ウ素 濃 度 依 存性 の 実 験 を 行 い 、 そ の解 析 か ら反 応 等 量 を 決 定 した 。 それ に よ る と、1分 子 の ポ リイ ンは3分 子 の ヨ ウ素 と反 応 して 錯 体 を形 成 す る。 また 、 紫 外 吸 収 ス ペ ク トル の 変 化 は 遮 光 条 件 下 で は 見 られ な い こ とか ら錯 体 生 成 は 光誘 起 反 応 を通 じて 進 行 す る と した。 化 学 量 論 的 な 組 成 の 決 定 は 、本 研 究 を 単 な る観 測 事 実 の報 告 に と どま ら ない 系 統 的 な科 学 研 究 の レベ ル に高 め た点 で そ の 意義 は大 きい。 こ う した 実験 的 証 拠 を基 礎 に反 応 モ デ ル を構 築 し、 これ を新 た な 作 業仮 説 に据 え て 、 ポ リイ ン と ヨ ウ素 か ら成 る分 子 錯 体 形 成 の 更 な る検 証を 行 うた め 、 分子 錯 体 の 構造 決 定 に 関 わ る 実験 を行 っ た。 核磁 気 共鳴 吸 収13C‑NMRで は 、 ポ リイ ン骨 格 の2回 回 転軸 対 称 性 の保 持 を確認 した。 化 学 シ フ トの 低磁 場 シ フ トは遮 蔽磁 場 の減 少 を示唆 す る。 さ らに 、 赤外 吸 収 スペ ク トル の 測 定 で は 、CH 伸 縮 振 動 お よびCH変 角振 動 の低 振 動 数 シフ トと とも に 、CC伸 縮 振 動 に著 しい強 度 変 化 を 観 測 し、.

(4) これ を ヨウ 素 と の錯 体 化 に よ る ポ リイ ン炭 素 鎖 上 の電 子 密 度 の 変 調 に 帰 して考 察 した 。 これ らの 分 光 学 的 実験 か らユ ニー ク な分 子錯 体形 成 の 事 実 が よ り確 実 な もの と して認 識 され る よ う にな っ た 。 こ う した分 光 学 的 手 法 に よ る研 究展 開 は 学術 的 に価 値 の 高 い もの と認 め られ る。 ヨ ウ素 との分 子 錯 体 の形 成 が さ らに一 般 的 な反 応 と して 拡 張 され る 例 と して 、ポ リイ ン分 子 の 誘 導 体 の 一 つ で あ る メ チル ポ リイ ン 分子 につ い て 、水 素 終 端 ポ リイ ン分 子 と同様 の 実 験 を行 い 、 そ の 事 実 を 証 明 した。 具 体 的 に は,レ ー ザ ー ア ブ レー シ ョ ンで 通 常 の ポ リイ ン と同 時 に 生 成 され る メチ ル ポ リイ ン分 子 を 単離 し、 こ れ を ヨ ウ素 と光反 応 させ る こ とで 、 水 素終 端 ポ リイ ンの 場 合 に類 似 の 紫 外 吸 収 スペ ク トル 変 化 を 観測 した 。 こ の こ とは 、 ア セ チ レ ン骨格 が多 重 連 結 した ポ リ イ ン骨 格 に お い て は 、6個 の ヨ ウ素 原 子 が 一 定 の構 造 を成 して ポ リイ ン分 子 に 隣接 し、安 定 な錯 体 構 遥 を と る こ とを 明確 に示 して い る。 その ドライ ビン グ フ ォ ー ス に 関 連 して こ の実 験 系 は 、 電 荷 移 動 に よる ドナ ー と ア クセ プ タ ー の クー ロ ン的 な 結 び つ き 、 あ る い は 、 三 ヨウ化 物 構 造 ペ ア の 存 在 な どの 話題 を 提供 す る もの で あ り、今 後 の 研 究 展 開 に 興 味 が 持 た れ る発展 性 の あ る研 究 課 題 と 認 め られ る 。 さ ら には 可 視 光 に よ っ て誘 起 され る反 応 に 関す る 詳 細 な 実 験 か ら、 ポ リイ ン分 子 の 分 解 反 応 が 錯 体 生 成 反 応 と競合 し、反 応 物 の 濃 度 が希 薄 な 場合 に は 分 解 反 応 が 支 配 的 にな る こ とを 定 量 的 に 示 した。 こ う した 結 果 を応 用 す る こ とに よっ て 逆 に錯 体 生 成 に 有 利 な 反応 条 件 を確 立 す る こ とが 可能 に な る と考 え られ る。 こ う した 詳細 か つ 信頼 性 の あ る実 験 技 術 と解析 手 法 は 研 究者 と して の 力 量 を裏 付 け る もの で あ る。 3.審. 査 の結 果. 物理 化 学 分 野 で 関 心 が もた れ る 炭 素 の新 しい 同 素 体 に 関 連 す る 物 質 探 索 の分 野 に お い て 、 本 論 文 とそれ に先 立 っ て 査 読 付 き 英 文 学 術誌 に発 表 され た ポ リイ ン分 子 と ヨ ウ素分 子 か ら成 る分 子 錯 体 の 発 見 と キ ャ ラク タ リゼ ー シ ョン に 関す る論 文 は 、 き わ め て 独 創 性 の 高 い内 容 で あ る こ とが 認 め られ 、国 内 学 会 で も高 い 評 価 を 得 て い る。 研 究 手 法 に お い て も、 分 子 分光 学 の 基礎 知 識 を 新 し い 化 学種 の発 見 に 結 び つ け る こ とに 成功 した 。 と りわ け ス ペ ク トル 変 化 の解 析 結 果 を錯 体 形 成 と い 江化 学変 化 に 結 び つ け た 洞 察 力 は 、科 学 的 思 考 力 と論 理 展 開 の 独 創 性 と緻 密 さに お い て 学 術 的 に き わ め て高 い 水 準 に 達 して い る。 本論 文 が 物 理 化 学 に と どま らず 新 しい物 質 探 索 の 分 野 に お い て 先 駆 的 な研 究 内 容 を 著 した もの で あ る こ とは 明 らか で あ り、 本 論 文 は 特 に優 れ た研 究 業 績 と認 め られ る。 よ って 、 本 論 文 の 提 出 者 は 、博 士(理 4.試. 学)の. 学 位 を 授 与 され る に値 す る と判 断 した 。. 験 お よび試 問 の結 果. 本 学 の学 位 規 定 に した が っ て 試 験 お よ び試 問 を 行 っ た。 公 聴 会 に お い て論 文 内 容 の発 表 を 行 い 、 理 学 専 攻教 員 に よ る質 疑 応 答 を もっ て試 験 にあ て 、 論 文 審 査 委 員 が 本 論 文 とそ の 関連 分 野 に つ い て 試 問 を行 った 。 そ の 結 果 、 専 門 分 野 な らび に 外 国 語 に つ い て 十 分 な 学力 が あ るこ とを 認 め 、 合 格 と判断 した 。.

(5)

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