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著者 小林 和幸

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Academic year: 2022

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均質化法を応用した高分子基複合材料の汎用的な減 衰振動解析手法の提案

著者 小林 和幸

year 2015‑06

出版者 静岡大学

URL http://doi.org/10.14945/00009288

(2)

(課程博士・様式7)(Doctoral qualification by coursework,Form 7)

学 位 論 文 要 旨

Abstract of Doctoral Thesis

専 攻: 環境・エネルギーシステム専攻 氏 名:小林和幸

論文題目:均質化法を応用した高分子基複合材料の汎用的な減衰振動解析手法の提案

論文要旨:

本論文は,高分子基複合材料の使用用途に応じてそのミクロ構造を最適設計(複合材料 のマクロ物性を最適化)するための数値シミュレーション手法の提案とその有効性の検証 を行うものであり,特に楽器の振動板に複合材料を用いる場合に,その音響特性に影響を 強く与える減衰振動特性の周波数あるいはモード依存性に焦点をあてた研究を実施した.

第1章では、本研究の背景、意義,目的について述べられている.楽器の振動板に高分 子基複合材料を用いる場合に,材料設計の観点からは,任意のミクロ構造に対して減衰特 性の数値計算を行う手法の開発が求められていることを踏まえて,本研究では,均質化手 法と有限要素法に基づいた計算手法の提案とその有効性の検証を行うことが述べられてい る.

第2章では,複雑なミクロ構造を持つ高分子基複合材料について,複合材料の構成素材 の材料特性が既知である場合に,計算コストが低く従来の方法よりも短期間で多数回の材 料設計シミュレーションを可能にする,汎用的な減衰振動解析手法を提案している.具体 的には,複合材料の材料モデルとして異方性一般化Maxwellモデルの構成則を仮定し,数 学的均質化法によりそのパラメータを推定する方法と,複素弾性マトリクスからモード減 衰比を計算する手法の定式化を組み合わせることにより,母材樹脂の動的粘弾性を事前に 測定するのみで,任意のミクロ構造を持つ複合材料の減衰振動特性を,計算コストが直接 法に比較して各段に低いモード重ね合わせ法にて推定する手法であり,かつ,ここで示し た解析手法は,汎用構造解析コードでも実施可能な手法である.

第3章では,振動特性に大きく影響する密度,剛性,減衰係数をコントロールすること が可能と考えられる粒子状介在物を分散させた高分子基複合材料に対して,第2章にて提 案した解析手法を適用し,振動実験から得られたモードパラメータ(モード形状,固有周 波数,モード減衰比)と比較することにより,解析手法の妥当性を検証している.具体的 には,ウレタン母材にシリカ中実粒子を分散させた複合材料と,ウレタン母材に薄い球殻 を持つ内部空洞粒子を分散した複合材料を用意し,それぞれの材料で作製された矩形状の 振動板を使用して振動実験が行われた.その結果,モード形状と固有周波数の解析値と測 定値は,いずれの複合材料に対しても良く一致した.モード減衰比の解析値は,概ね測定

(3)

値よりも大きな値をとる傾向を示したが,面外へのねじれ変形が主となる振動モードでは,

曲げ変形が主となる振動モードに比べて高いモード減衰比を示す傾向と,モード減衰比の 粒子の体積含有率に対する依存性については,解析値と測定値は良い一致を示した.なお,

減衰比の測定値が示すモード次数に対する緩やかな上昇傾向が,解析では再現できないと いう問題点もあったが,総合的には,線形振動を記述する3つのモードパラメータに関し て,解析値と測定値でその傾向が良く一致することから,球状粒子分散複合材料に対して,

本解析手法が妥当であることが示された.

第4章では,振動特性の異方性をコントロールすることに有用と考えられるカーボン繊 維強化プラスチック(CFRP)について,第2章で提案した解析手法を適用し,振動実験結 果と比較することによりその妥当性を検証するとともに,繊維配向が振動特性に与える影 響について考察した.CFRP矩形板の実験結果より,振動モードとモード減衰比に異方性の 影響が顕著に確認され,また,CFRPの振動モード形状は等方性板と比較して非常に複雑な ものとなった.モード減衰比は,面外ねじれ振動モードで大きく,曲げ振動モードでは小 さくなるなど,はっきりとしたモード依存性が確認された.これらの異方性の影響は,積 層板の面外せん断変形が母材樹脂の大きなせん断変形を伴うものであるのに対し,面内の 伸縮に関しては母材樹脂の変形量はそれほど大きくないことに由来していると考えられる が,この傾向は,解析でも概ね再現できた.ただし,本解析手法では,面外せん断ひずみ が卓越する振動モードの減衰比についてはやや過大に評価する傾向があった.この傾向は,

繊維を含まない等方性の樹脂矩形板ならびに粒子分散複合材料においても同様に見られた ことであり,その原因は明らかになっていない.しかし,本解析手法は,繊維強化複合材 料においても固有周波数と固有モードをほぼ正確に予測しており,また,モード減衰比に ついても,実際問題では想定する必要があまり無いと思われる純粋なねじれ振動以外の複 合的な振動モードにおいては,実用上問題ない解析精度で予測できていることから,妥当 であることが示された.

第5章では,本研究を総括し,その成果をまとめた.提案された解析手法は,固有周波 数と振動モード形状の予測については極めて高い精度を有することが確認できた.またモ ード減衰比は,強化材の形態によらず,垂直ひずみが支配的な振動モード形状では高い解 析精度を示すが,面外せん断ひずみが支配的な振動モード形状では若干解析精度が低下す ることを明らかとした.その原因の解明は今後の課題となっているが,現実の構造体では 面外せん断ひずみが支配的になるような状況は想定しにくいことから,本解析手法は実用 上十分に有効であると考えられる.

参照

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