卒業研究論文
販売データから見える飲食店経営の最適な営業戦略
12D8104005K 日下部智宙
中央大学理工学部情報工学科 田口研究室
2017 年 3 月
2 あらまし
アルバイト先の居酒屋では月ごとに販売するメニューが大きく変わり、それにより来客人数・売上 金額が大きく変わってくる。さらには新メニューの中でも売れる商品、売れない商品が顕著に表れ、
月ごとに売り上げが大きく変動する商品も多い。そこでメニューの細かい分析を行うことにより、お 店の経営をより良いものにできるのではないかと考えた。本研究では、お店から提供していただいた データをもとに分析、商品同士の因果関係、気温などの要因との関係などを明らかにし、最適な居酒 屋経営戦略を構築する。
キーワード:居酒屋、売り上げ、データマイニング
3
目次
第1章 はじめに………1
第2章 使用データについて………2
2.1 居酒屋の概要………2
2.2 売り上げデータの概要………2
2.2.1 ABC 分析表………3
2.2.2 客層別売り上げデータ………4
2.3 気象データの概要………4
2.4 外食金額データ………4
第3章 データ分析………5
3.1 データ分析の方法………5
3.2 データマイニング………5
3.2.1 データマイニングとは………5
3.2.2 データマイニングのやり方と活用………6
第4章 ABC 分析表におけるデータ分析………7
4.1 大分類表におけるデータ分析のまとめと問題定義………7
4.2 中分類表におけるデータ分析のまとめ問題定義………10
4.3 メニュー名称におけるデータ分析のまとめと問題定義………16
4.4 4.1~4.3 のまとめ………18
第5章 第4章から見えた要因への考察 5.1 8月の売り上げ低下についての考察………19
5.2 各月総出数の約30%がお通しとビールという点の考察………19
5.3 総メニューのうち各月約35%が出数0という点の考察………21
第6章 最適な経営戦略の構築………22
6.1 出数における詳細な分析………22
6.2 効果的なキャンペーン、新メニューの構築………24
第7章 おわりに………25
7.1 まとめ………25
7.2 今後の課題………25
謝辞………26
参考文献………27
4
5
第1章 はじめに
居酒屋経営においてお店の利益を上げる要因は、食材廃棄の減少、新メニューの発売、広報による 集客の増加、リピーターの獲得、適切なシフト配置など多く考えられる。
この中で売り上げデータの分析によって、最適なメニュー構築ができれば、食材の廃棄も減り、ま た効果的な新メニュー開発に活かすことができるのではないかと考えた。
そこで本研究では、お店から提供していただいたデータをもとに分析、商品同士の因果関係、気温 などの要因との関係などを明らかにし、最適な居酒屋経営戦略を構築する。
6
第2章 使用データについて 2.1 居酒屋の概要
本研究では東京都大井町駅から徒歩5分圏内にある居酒屋から提供していただいた売り上げデータ を用いる。
1. 場所 JR 京浜東北線大井町駅 徒歩1分 2. 営業時間 ランチ
月~金 11:30~14:00 土・日 11:30~17:00 ディナー
月~日 16:00~23:30
(ラストオーダー 23:00)
3. 席数 166席(座敷・掘りごたつ・座椅子)
全国約160店を経営する会社の1店舗であり、同じお店は全国に36店存在する。
2.2 売り上げデータの概要
本研究では5月から8月まで、2種類の売り上げデータを使用する。
またランチ、ディナー、予約と分類されているが、本研究ではデータが豊富なディナーのみに焦点を 当てることとする。
7 2.2.1 ABC 分析表
Excel によってデータ管理が行われている。行はメニューごとの詳細情報になっていて1か月約80 0~900メニュー販売している。列は A~U の項目に分類されている。
本研究で使用する部分のみ説明していく。
A.メニュー区分
ランチ、ディナー、予約の3項目あり本研究ではディナーのみ取り上げる。
B.大分類
一品料理、食事、デザート、ドリンクの4項目。
C.中分類
54項目。詳細については 4.2 で説明。
G.メニュー名称
800~1000項目。詳細については 4.3 で説明。
M.出数
そのメニューが1か月で出た個数。
8 2.2.2 客層別売り上げデータ
Y 男、A 男、Y 女、A 女、Y 混合、A 混合、ファミリー、外国人の8項目ごとに来客した総人数が分かる ようになっているが、項目振り分けの信憑性が低いとのことなので、本研究ではデータに間違いのない 1か月ごとの来客総人数のみを使用する。
(Y は young の略で A は adult の略である。大体の見た目で振り分けを行っているため、個人差が大き く、信憑性が低いため)
5月 6月 7月 8月
総人数 2717 2868 2706 2382
2.3 気象データの概要
5月から8月の気象庁のデータを使用。大井町に一番近い、東京航空地方気象台(羽田)で観測され た、平均気温(℃)、平均風速(m/s)、合計降水量(mm)の3項目を使用する。
5月 6月 7月 8月
気温 20.1 22.5 25.3 27.4
風速 5.9 4.8 4.6 5.6
雨量 119 140.5 105 154
2.4 外食金額データ概要
ここでは総務省統計局の都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たりの支出金額,購入数量及 び平均価格データ中の5月から8月における、1か月あたりの東京都区部一世帯当たりの一般外食金 額データを使用する。
5月 6月 7月 8月
外食 22,173 17,935 20,078 22,697
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第 3 章 データマイニングについて 3.1 データ分析
データ分析は以下5つのフレームで進めていく。
まず
「①現状とあるべき姿」
をしっかりと把握し、そのギャップとなっている要素について
「②問題発見」
を行う。問題となる要素は複数のことが多いので、それぞれの
「③データの収集と加工」
について検討・実施を行う。そのうえで、
「④データ分析」
を行う。分析は対象を構造分解し、各要素のもつインパクトの大きさを把握、そしてその要素の比較 を行い、ギャップの主要因となっている問題を特定。その後、解決案を実行するにあたり、労働コスト や金銭コストなどを考え、
「⑤アクション」
の案を提案し、推進していく。
つまり、データ分析とは、現状から、あるべき姿に最短ルートで近づくように、問題を抽出するとい う事が主眼におかれ、このフレームワークで問題解決を実施していくことといえる。
現状とあるべき姿
↓ 問題発見
↓
データの収集と加工
↓ データ分析
↓ アクション
本研究では⑤のアクションは行えないため、①~④を研究としてまとめる。
3.2 データマイニング
データ解析の応用例として、データマイニングがあげられる。ここではデータマイニングの概要、そ してその使い方を述べていく。
3.2.1 データマイニングとは
データマイニングとは、情報システムに蓄積した巨大なデータの集合をコンピュータによって解析し、
これまで知られていなかった規則性や傾向など、何らかの有用な知見を得ること。「マイニング」(mining)
10
とは「採掘」の意味で、膨大なデータの集積を鉱山になぞらえ、そこから有用な知見を見出すことを鉱 石を掘り出すことに例えた表現となっている。
データマイニングの適用分野や目的、対象となるデータの種類は多種多様だが、ビジネスの分野では 企業が業務に関連して記録したデータ(過去の取引記録、行動履歴など)を元に、意思決定や計画立案、
販売促進などに有効な知見を得るために行われることが多い。自然言語の解析やパターン認識、人工知 能などの研究などでも利用される。分析・解析の手法も様々だが、代表的な手法としては、頻度の高い パターンの抽出や、相関関係にある項目の組の発見、データの特徴や共通点に基づく分類、過去の傾向 に基づく将来の予測などがある。(IT 用語辞典引用)
3.2.2 データマイニングのやり方と活用
上記で説明した通り、膨大にあるデータの中から、仮説を発見することがデータマイニングである。
その仮説をマーケティングに活用すると次の 3 つに分けることができる。
①予測…将来の出来事や状態を前もっておしはかること。また、その内容である。
(大辞林第三版引用)
予測は前述の通り、これから起こることをあらかじめ言い表すことができる。という意味で、使用さ れている。さらに「合理的な説明が可能」であるという条件が含まれている。つまり予測は、要因をデ ータに基づき明らかにし、事象が発生する確率の算出を行う。
②分類…ある基準に従って、物事を似たものどうしにまとめて分けること。また物事を徹底的に区分 し、類種系列の形をとった体系を形成すること。
(大辞林第三版引用)
データマイニングにおける分類は 2 つに分けることができる。
1 つ目は明確な条件で分類し、カテゴリを見つけるという事である。これは、似たもの同士を集める 分類である。
2つめはデータを小さな集合体に分け、その集合体が、似ているか似ていないかで分類し、カテゴリ を見つける分類である。
③関連性…関係性とは便益だけにとどまらない顧客との関係のことをいう。友人・指導者・家族などに 類似した関係性を顧客と構築することはブランドの価値提案の一つとなる。(ブランド用語 辞典引用)
データベース上に大量に蓄積されたデータから、頻繁に同時に起こる現象を見つけ出すことである。
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第4章 ABC 分析表におけるデータ分析
ここでは 2.2.1 で列挙した ABC 分析表を用いて分析を行っていく。このデータの分析では、商品の 出数とメニュー数の変化を中心に行い、グラフによるデータの可視化を行い、そこから見えることを まとめていく。
4.1 大分類表のデータ分析のまとめと問題定義
前述したように一品料理、食事、デザート、ドリンクの4項目を棒グラフにより可視化し、出数と メニュー数の、各月の変化に注目しデータから見えることと、問題定義を行っていく。
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出数 5月 6月 7月 8月
食事 884 778 860 703
一品料理 9041 9688 9732 8504
ドリンク 6029 6993 7231 6053
デザート 227 177 259 205
703 860 778 884
8504 9732 9688 9041
6053
7231 6993 6029
205
259 177 227
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000 20000 8月
7月 6月 5月
出数(個数)
食事 一品料理 ドリンク デザート
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
8月 7月 6月 5月
703 860 778 884
8504 9732 9688 9041
6053 7231
6993 6029
205 259 177 227
出数(割合)
食事 一品料理 ドリンク デザート
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メニュー数 5月 6月 7 月 8 月
食事 116 126 70 72
一品料理 257 266 257 188
ドリンク 330 450 526 333
デザート 14 14 10 10
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
8月 7月 6月 5月
メニュー数(割合)
食事 一品料理 ドリンク デザート 72
70 126 116
188 257
266 257
333
526 450 330
10
10 14 14
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
8月 7月 6月 5月
メニュー数(個数)
食事 一品料理 ドリンク デザート
14 これら2つのグラフからわかることをまとめていく。
まず出数(個数)のグラフからは7月までは順調に売り上げが伸びているが、8月に急激に下がって しまっている。出数(割合)のグラフからは各月この店舗の売り上げが、一品料理とドリンクが占めて いることがわかる。
次にメニュー数(個数)のグラフからは5月から7月までは増加し、8月には減少するという出数(個 数)との何らかの因果関係が考えられる。またメニュー数(割合)からはドリンクが各月1番の割合を 占めていることがわかる。
ここでこの節におけるまとめと、問題定義を行うと、
①5月から7月まで売り上げが順調に伸びているのに、8月の売り上げが大きく下がってしまっている。
②出数とメニュー数の相関関係がみられる点。
4.2 中分類表におけるデータ分析のまとめと問題定義
上記と同様に ABC 分析表を使用する。ここで各月の中分類項目に注目すると、新設している項目や、
消滅している項目がある。そこで4か月間データが存在する項目に絞りデータ分析を行う。その結果中 分類は、定食・麺類・鮨・おつまみ・お通し・サラダ・逸品・牡蠣・活魚介・串焼・刺身類・酒肴・点 心・鍋・炒め物・サワー・ソフトドリンク・ハイボール・ビール・モヒート・ワイン・生絞りサワー・
日本酒・洋酒の24項目となる。
上記と同様に棒グラフにより可視化し、出数とメニュー数の、各月の変化に注目しデータから見える ことと、問題定義を行っていく。
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出数 5月 6月 7月 8月
定食 72 70 82 57
麺類 518 437 477 364
鮨 61 51 73 70
おつまみ 700 721 537 447
お通し 2447 2579 2610 2,252
サラダ 428 386 521 471
逸品 641 678 765 672
牡蠣 133 503 508 340
活魚介 30 56 16 17
串焼 499 451 712 755
刺身類 717 623 709 538
酒肴 137 222 406 368
点心 36 38 19 21
鍋 31 24 51 17
炒め物 196 224 214 132
サワー 748 855 815 640
ソフトドリンク 637 614 761 652
ハイボール 239 182 84 116
ビール 2279 2657 2623 2263
モヒート 125 181 218 152
ワイン 63 82 120 130
生絞りサワー 359 366 493 424
日本酒 519 520 645 363
洋酒 301 539 598 426
16
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000
8月 7月 6月 5月
出数(個数)
定食 麺類 鮨 おつまみ お通し
サラダ 逸品 牡蠣 活魚介 串焼
刺身類 酒肴 点心 鍋 炒め物
サワー ソフトドリンク ハイボール ビール モヒート ワイン 生絞りサワー 日本酒 洋酒
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
8月 7月 6月 5月
出数(割合)
定食 麺類 鮨 おつまみ お通し
サラダ 逸品 牡蠣 活魚介 串焼
刺身類 酒肴 点心 鍋 炒め物
サワー ソフトドリンク ハイボール ビール モヒート ワイン 生絞りサワー 日本酒 洋酒
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メニュー数 5月 6月 7月 8月
定食 26 28 16 16
麺類 33 36 20 24
鮨 3 3 4 2
おつまみ 9 10 7 9
お通し 2 2 2 3
サラダ 14 15 14 15
逸品 17 29 16 14
牡蠣 8 9 11 6
活魚介 1 1 1 1
串焼 5 5 6 6
刺身類 79 72 73 30
酒肴 8 10 13 14
点心 4 4 4 4
鍋 27 30 22 15
炒め物 3 3 2 2
サワー 18 35 31 33
ソフトドリンク 18 17 24 18
ハイボール 7 6 6 5
ビール 27 23 35 23
モヒート 12 12 12 9
ワイン 44 44 76 41
生絞りサワー 2 6 6 8
日本酒 67 139 145 82
洋酒 29 31 26 25
18
0 100 200 300 400 500 600
8月 7月 6月 5月
メニュー数(個数)
定食 麺類 鮨 おつまみ お通し
サラダ 逸品 牡蠣 活魚介 串焼
刺身類 酒肴 点心 鍋 炒め物
サワー ソフトドリンク ハイボール ビール モヒート ワイン 生絞りサワー 日本酒 洋酒
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
8月 7月 6月 5月
メニュー数(割合)
定食 麺類 鮨 おつまみ お通し
サラダ 逸品 牡蠣 活魚介 串焼
刺身類 酒肴 点心 鍋 炒め物
サワー ソフトドリンク ハイボール ビール モヒート ワイン 生絞りサワー 日本酒 洋酒
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これら2つのグラフからわかることをまとめていく。まず出数の個数のグラフに注目する。
各月の推移のパターンを増 or 減に分け、分類していくと次のように分類できる。
a.増増増
・ワイン(1)
b.増増減
・日本酒、洋酒、モヒート、お通し、逸品、牡蠣、生絞りサワー、酒肴(8)
c.増減増
・活魚介、点心(2)
d.増減減
・炒め物、サワー、ビール、おつまみ(4)
e.減増増
・串焼(1)
f.減増減
・麺類、鍋、ソフトドリンク、定食、鮨、サラダ、刺身類(7)
g.減減増
・ハイボール(1)
h.減減減
(0) ※()内は項目数
次に x 軸に月、y 軸に出数の個数を取り、折れ線グラフ化し推移をみると、b では洋酒とモヒート、d では炒め物とサワー、f では鍋以外すべての項目に何らかの関係性があることが分かった。また f の中 でも特に、麺類と刺身類が大きく関係があると思われる。
同様に出数とメニュー数でも同様の分析を行った。その結果、ソフトドリンクと刺身類で何らかの関 係性がみられた。
ここでこの節におけるまとめと、問題定義を行うと
③洋酒とモヒートの出数に何らかの関係性あり。
④炒め物とサワーの出数に何らかの関係性あり。
⑤麺類と刺身類の出数に大きな関係性あり。
⑥ソフトドリンクと刺身類のメニュー数で何らかの関係性あり。
0 200 400 600 800
1 2 3 4
洋酒
0 50 100 150 200 250
1 2 3 4
モヒート
20
4.3 メニュー名称におけるデータ分析のまとめと問題定義
上記と同様に ABC 分析表を使用する。ここで各月のメニュー名称に注目すると、増加している項目や、
減少している項目がある。またほとんどの商品が出数0である。そこで4か月間データが存在する項目 かつ売り上げ上位11項目に絞り考察を行う。その結果メニュー名称は、お通し、クリアソーダ割り、
生レモンサワー、ウーロン茶、つくね、ウーロンハイ、カキフライ、ビール、厚焼き玉子、手羽先、ポ テトフライとなる。
5月 6月 7月 8月
お通し 2,447 2,579 2606 2252
生ビール【中】 1,713 2,226 2148 1870
手羽先唐揚げ 264 227 258 245
クリア
ソーダ割り 258 459 496 311
生レモンサワー 246 248 332 257
厚焼玉子 227 251 245 200
かきフライ 220 281 199 217
ウーロン茶 207 244 293 207
自家製つくね1
串 204 229 348 299
ウーロンハイ 201 217 227 134
ポテトフライ 182 180 183 180
21
このグラフよりと先ほどまでの分析で、お通しとビールだけで各月総出数の約30%を占めている。
また出数0の項目が各月約 35%も存在していることが見えた。
次に先ほどと 4.2 と同様に各月の推移のパターンを増 or 減に分け、分類していくと次のように分類 できる。
a. 増増増
・(0)
b.増増減
・お通し、クリアソーダ割り、生レモンサワー、ウーロン茶、つくね、ウーロンハイ(6)
c.増減増
・カキフライ(1)
d.増減減
・ビール、厚焼き玉子(2)
e.減増増
・(0)
f.減増減
・手羽先、ポテトフライ(1)
g.減減増
・(0)
h.減減減
・(0)
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 お通し
生ビール【中】
手羽先唐揚げ クリア ソーダ割り 生レモンサワー 厚焼玉子 かきフライ ウーロン茶 自家製つくね1串 ウーロンハイ ポテトフライ
5月 6月 7月 8月
22
これらの分析より、b.増増減の結果である、お通し、クリアソーダ割り、生レモンサワー、ウーロン 茶、つくね、ウーロンハイのグラフに因果関係が見られた。
ここでこの節におけるまとめと、問題定義を行うと
⑦各月総出数の約30%がお通しとビール。
⑧総メニューのうち各月約35%が出数0。
⑨お通し、クリアソーダ割り、生レモンサワー、ウーロン茶、つくね、ウーロンハイで何らかの相関関 係が見られた。
4.4 4.1~4.3 のまとめ
①5月から7月まで売り上げが順調に伸びているのに、8月の売り上げが大きく下がってしまっている。
②出数とメニュー数の相関関係がみられる点。
③洋酒とモヒートの出数に何らかの関係性あり。
④炒め物とサワーの出数に何らかの関係性あり。
⑤麺類と刺身類の出数に大きな関係性あり。
⑥ソフトドリンクと刺身類のメニュー数で何らかの関係性あり。
⑦各月総出数の約30%がお通しとビール。
⑧総メニューのうち各月約35%が出数0。
⑨お通し、クリアソーダ割り、生レモンサワー、ウーロン茶、つくね、ウーロンハイで何らかの相関関 係が見られた。
これらの項目を次のように定義し、第5章で考察していく。
・8月の売り上げ低下についての考察(5.1)
・各月総出数の約30%がお通しとビールという点の考察(5.2)
・総メニューのうち各月約35%が出数0という点の考察(5.3)
23
第5章 第4章から見えた要因への考察 5.1 8月の売り上げ低下についての考察
まず東京区内の一般家庭における同時期の外食金額合計についてみてみる。
5月 6月 7月 8月
外食 22,173 17,935 20,078 22,697
このグラフの通りに考えると8月は売り上げが上昇するはずである。しかしこのお店では売り上げ が低下してしまっているので、その理由を考察していく。
原因として考えられる1番の原因は客数が減ったことである。
5月 6月 7月 8月
総人数 2717 2868 2706 2382
ほかの月と見比べても少ないことは明らかである。大井町は会社のオフィスが多く、会社帰りのサ ラリーマンが客層のほとんどを占めている。8月はお盆で会社がなかったことが、客数の減った原因 であると考える。
ではこの要因がどれほどの比重をもっているか計算していく。各月の 総出数÷総人数
の平均を出し、一人当たり平均何個の品物を頼むのかを計算してみる。
5月 6月 7月 8月
1人当たりの
平均注文数 6.05 6.15 6.68 6.49
これらの正確な平均を出すと 6.3425 である。これと8月を比べると8月はいい値となっているが、7 月から8月にかけて客数が、約300人減少しているので、6.3425×300=1902.75 であることが売り上 げ減少の原因であり、1人でも多くのお客を呼び込むことが早急の課題である。
5.2 各月総出数の約30%がお通しとビールという点の考察
このデータも総人数を使い、来店したお客のうちこれらがどの程度の割合で注文されているか計算し てみる。
注文される
割合(%) 5月 6月 7月 8月
お通し 90 90 96 96
ビール 63 77 79 79
24
この表より、5,6月の10%、7,8月の4%の人はお酒を飲んでいないことがわかる。
(お酒を飲むお客には必ずお通しを提供するため)やはり暑くなるにつれてビールを飲む人の割合は多 くなっている。
ここで5月のビールの割合が低い要因を考察する。
まずほかのお酒が飲まれたのではないかと考え、各月ビールの次に注文されていた2つのお酒を計算 してみる。
注文される
割合(%) 5月 6月 7月 8月
クリア
ソーダ割り 9 16 18 13
生レモンサワー 9 9 12 11
ここでビール、クリアソーダ割り、生レモンサワーの割合をグラフ化してみる。
この結果ビールが頼まれる割合が少ないとほかのお酒の頼まれる割合が少なく、その逆もまたしかり という事がわかった。
79 79 77 63
13 18 16 9
11 12 9 9
0 20 40 60 80 100 120
8月 7月 6月 5月
注文される割合(%)
ビール クリアソーダ割り 生レモンサワー
25
5.3 総メニューのうち各月約35%が出数0という点の考察
出数0の
メニュー数 5月 6月 7月 8月
食事 65 70 15 18
一品料理 123 147 91 50
ドリンク 148 197 224 85
デザート 4 4 1 1
合計 340 448 331 154
ドリンクは割り方(ロック、水、お湯、ストレート、ダブル etc)や、サイズの違い(中ジョッキ、大 ジョッキ、グラス etc)等のメニューが数多く存在しているので、メニューそのものが本当に0だとい うメニューは少ない。一品料理に関しては刺身と、鍋の中分類の項目が多い。食事に関しては麺類、定 食類に出数0のメニューが多い。0のうち4か月間0のものが多数なので、メニューの絞り込みを行う べきである。
また8月は出数0のメニューの絞り込みが行われていることがわかるが、それにつれて総出数を大幅 に減少しているので、その点については第6章で考察を行う。
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450
8月 7月 6月 5月
出数0のメニュー数
食事 一品料理 ドリンク デザート
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第6章 最適な経営戦略の構築 6.1 出数における詳細な分析
この章では中分類表の変化が大きい部分をさらに分析していく。
下記の図で減少の部分は赤、増加の部分は青で示し、その要因を分析していく。
出数 5月 6月 7月 8月
定食 72 70 82 57①
麺類 518 437 477 364②
鮨 61 51 73③ 70
おつまみ 700 721 537④ 447
お通し 2447 2579 2610 2,252
サラダ 428 386 521 471
逸品 641 678 765 672
牡蠣 133 503⑤ 508 340⑥
活魚介 30 56⑦ 16⑧ 17
串焼 499 451 712⑨ 755
刺身類 717 623 709 538⑩
酒肴 137 222 406⑪ 368
点心 36 38 19⑫ 21
鍋 31 24 51 17⑬
炒め物 196 224 214 132⑭
サワー 748 855 815 640
ソフトドリンク 637 614 761⑮ 652
ハイボール 239 182 84⑯ 116
ビール 2279 2657 2623 2263
モヒート 125 181 218 152⑰
ワイン 63 82 120 130
生絞りサワー 359 366 493⑱ 424
日本酒 519 520 645 363⑲
洋酒 301 539⑳ 598 426
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①・お子様ランチ(8減少)
・全体的に1~2減少
②・本格幌加内 もりそば【1段】(63減少)
・九条葱そば(39減少)
③・鮨〆鯖のバッテラ(11増加)
・蟹イクラぶっかけ鮨(9 増加)
④・生ハムとロメインレタスのシーザーサラダ(82減少)
⑤・生牡蠣(357増加)←仙鳳趾1人2個まで190円キャンペーン
⑥・生牡蠣(112減少)←キャンペーン終了
・8月より牡蠣おつまみ天ぷらと昆布のせ生牡蠣廃止(合計で39減少)
⑦・鯵(26増加)
⑧・鯵(40減少)
⑨・全体的に増加傾向
・つぶ貝串焼きのメニュー増加(60増加)
⑩・郷土お宝盛り 女性限定100円引きサービスの廃止。(41減少)
・鰹炙り塩たたきの廃止(30減少)
・初鰹刺身の廃止(11減少)
⑪・黒崎枝豆のメニュー増加(ゆで、焼き合わせて7月出数123)
・ゴールドラッシュのメニュー増加(刺身、焼き合わせて7月出数28)
⑫・チーズ羽根つき餃子(14減少)
⑬・全体的に減少
⑭・ゴーヤチャンプル(46減少)
・季節の青菜炒め(26減)
⑮・全体的に増加
⑯・ジンジャーハイボール(40減少)
・レモンハイボール(20減少)
⑰・フレッシュモヒート(28減少)
・シャリシャリ キウイモヒート(16減少)
⑱・シャリシャリ 生レモンサワー(49増加)
・生レモンサワー(30増加)
⑲・あさ開【180cc】(50減少)
・7 月企画 「日」 純米吟醸の終了(45減少)
・全体的に出数半分
⑳・クリア ソーダ割り(201増加)←ハイボール190円キャンペーン
上記の分析から見える効果的なキャンペーン、新メニューの構築を次の節で行っていく。
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6.2 効果的なキャンペーン、新メニューの構築
本研究ではお店のコンプライアンス上、金額面での考察は行わなかったため、この節でもあくまで 出数を増やすための、キャンペーン、新メニューの構築を行う。
まず第4章で洋酒とモヒート、炒め物とサワー、麺類と刺身類の出数に関係性がみられたことと、上 記の分析により、ハイボールのキャンペーンと同時進行でモヒートに関連するキャンペーンを行うべき である。その結果キャンペーン同士の相乗効果が起こると予測できる。また炒め物とサワーについても 同様のことが言える。麺類と刺身類に関してはどちらの項目も8月に売り上げが大きく下がってしまっ ているので、郷土お宝盛り 女性限定100円引きサービスの廃止、鰹炙り塩たたきの廃止、初鰹刺身 の廃止は行うべきではなかった。これらのキャンペーン、メニューを復活させれば、麺類の出数も再び、
増加すると考えられる。
次に6章の分析結果を見ていくと、仙鳳趾1人2個まで190円キャンペーン、つぶ貝串焼きのメ ニュー増加、黒崎枝豆のメニュー増加、ゴールドラッシュのメニュー増加、ハイボール190円キャ ンペーン、7 月の企画であった、「日」純米吟醸(日本酒の名前)は効果的であったといえる。またつ ぶ貝串焼きとともにほかの串焼の出数も増えていることから、串焼のメニューを増やすことで、全体 的な串焼の出数の増加が見込める。さらに 7 月企画「日」純米吟醸は続けるべきであった。日本酒の 売れ筋であった、あさ開の減少を中心に、全体的に日本酒の売り上げが半分になっていることから、
このお酒を頼んだ人は、他の日本酒も頼んでいたことが予測できる。また7月から8月にかけて行っ ていた企画やキャンペーンがなくなったことにより、8月の総出数の大幅な減少につながってしまっ ている。
これらより効果的なキャンペーン、新メニューの構築を行うと次のようになる。
・洋酒、モヒート、炒め物、サワー、麺類、刺身類のメニューを中心に割引やキャンペーンを行うと 相乗効果が期待できる。
・串焼は新メニューを出すと、それにつられ現存のメニューの出数も増えることが予測できるので、
どんどん出すべきである。
・日本酒も同様で、キャンペーンを行うとそれにつられ現存のメニューの出数が増える。
・牡蠣、ハイボールのキャンペーンの効果は絶大であるので続けたほうがよい。
・ドリンクの新メニューであったシャリシャリシリーズは出た月は好調であったが、次の月から出数 が大きく下がっているので、飽きられない工夫や、キャンペーンを行っていくことが必要であった。
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第7章 おわりに 7.1 まとめ
本研究では飲食店の販売データを用いて、データマイニングにより品物同士の分類と関連性を見つけ、
その結果を用いた最適な営業戦略の構築を行った。第4章で得た分析結果を用いて、第5章では問題に 対する改善策の提案や、データの原因探求を行った。その結果本研究中1番解決したいと考えていた、
8月の売り上げ減少の原因とその改善策の提案を行うことができた。また第6章ではさらに細かく要因 の分析することにより、キャンペーンの成果、新メニューの効果を分析することができ、最適な経営戦 略を提案することができた。
7.2 今後の課題
本研究では採取できるデータにかなり限りがあり、特に売り上げ予測の部分で結果を出すことができ なかった。また、データが月ごとであったため、1日ごとのデータ推移を見ることができず、仮説にな ってしまう部分も多くあった。分析するデータ量を増やし様々なパターンで分析をすることができれば、
気象や季節とのより深い相関関係や、品物1つ1つの売り上げ予測、相関関係の発見ができ、より最適 なメニュー構築ができたと考えられる。さらに本研究では、ディナーの大分類、中分類、上位11メニ ューのみの考察しか行わなかったが、他の使用しなかったデータにも分析の手を広げていけば、実用性 のある結果がさらに得られるはずである。
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謝辞
本研究を進めるにあたり、多くのご指導、ご助言をいただいた中央大学理工学部情報工学科田口東教 授に深く感謝いたします。また、多くのご助言、ご協力をいただいた山形浩一氏をはじめとする、田口 研究室の皆様には深く感謝いたします。
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参考文献
[1]ビジネス活用事例で学ぶデータサイエンス入門 酒巻隆治+里洋平(2014)
[2]R で学ぶ統計解析 伏見正則+逆瀬川浩孝 (2012)
[3]気象庁、‟過去の気象データ検索”、(オンライン)入手先 <www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php>
[4]総務省統計局、
‟都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たりの支出金額,購入数量及び平均価格”、
(オンライン)入手先
<http://www.stat.go.jp/>