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定常状態の波動関数

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(1)

57 

定常状態の波動関数

定常状態の波動関数を求めるため には,時間を含まない シュレーディ ンガ一方程式 H r p =

ε

¢を解かねば ならない.本章では最も代表的な場合をいくつか例にとって,具体 的な波動関数¢の形と,固有値の値とを示す. ここに挙げたのは,

古典力学で最も簡単な運動である等速度運動,単振動,ケプラー運 動に対応するものであるが,それでも数学的には相当に面倒なの で,式の導出の詳細は省略した.しかし,固有関数の主な様子は大 体わかるよ うになる べ く図示しておい たので,直感的でもよいか ら

よく 把握しておいてほしい.

~

3 . 1  箱の中の自由粒子(1) シュレーディンガ一方程式

H

( r ) = εn

( r )

E

.

を解いて固有値と固有関数を求める最も簡単な例として箱の中の粒子を考え よう.箱は 3 辺 の 長 さ が 1 ,a ,  b の

直方体であるとし,それぞれの辺の 方向に 3 ‑ 1 図のように

x

y

z

軸 を とることにする .箱の内部で粒子に は力が作用しないとすると,ポテン

シャノレは一定であるから , その一定 値を O にとれば, ハ ミルトニア ンは

9 2 . 4

( 1 0 )

( 3 8 ペー ジ)と同じ

『基礎物理学選書2

量子論 ( 改訂版)

~

( 小 出 昭 一 郎 著/裳撃房)

3‑1

(2)

H

2

I グ

, O2

♂} 

2 五 l 友 吉

T

万 吉

T O

z ! )  

で与えられる.

exp  i ( k x x   + ん

y

+  k z z )  

e

ik.

という平面波が

H  e

ik.

= 長 (k/ + ん

2

+  k / )  e

ik.

という関係を満たすことは 92.4 で見たとおりである.したがって, e ' わ が H の固有関数(固有値た

2k2

/ 2m) であることは確かであるが,これは箱の 中にいる粒子という条件を考慮に入れていない関数なので,いまの場合にそ のままでは使えない.そこで改めて

が / グ ( J 2

, 

o

2¥ 

一三五防+万吉十五 2 )

y

z )   = 

e

仰 ,

y

, z )   (  3  ) 

を解きなおしてみることにする.

粒子が箱の中に閉じこめられているという条件を考えてみよう.これは箱 の外には出られないということなので,箱の外ではg:> ( r )

O であること を意味する.ところで,渡動関数は x,

y

, z の連続関数でなければならない という要請があるので,箱の外でg:> =0 ならば箱の内壁でも O でなくては ならない.すなわち , g : > ( x ,  y ,  z ) は

を満たさねばならない.

g : > ( 0 , 

y

,  z )   =  g : > ( l ,  

y

,  z )   =  0  g : > ( x,  0,  z )

g : > ( x,a,  z )   = 

g : > ( x , 

y

,  0 )   =  g : > ( x , 

y

,  b)=  0 

( 4  a )   ( 4  b )   ( 4  c )  

このような条件で( 3  )式を解くために, 4 8ページと同様に変数分離を試 みる.

g

: > ( x ,  y ,  z )   =  X(x) Y(y)Z(z)  (5)  とおいてこれを( 3  )式に代入し,全体を XYZ で割ると

が X" が Y " が Z "

一一 一 一一 =ε (  6  ) 

2m X  2m  Y  2m  Z 

(3)

~ 3.1 

箱の中の自由粒子(

1 )  59 

が得られる . ただし d

2

X/dx

2

を X" などと略記した.左辺の各項はそれぞ れ x だけ,yだけ, z だけの関数であるから,これらは定数でなくてはなら ない. ゆえに

が X" が Y " t /  z " 

E 百 三ァ

ex.

一宝石

2 }

ァ =ε

Y.

2 五 ヲァ=

e

(7)  ε=ε x+ ε

e (7 

a )  

が得られる .

(7)の 3 式はみな同じ形をしているから , X に関するもの だ けを解 こう . それは

であるが,これを

1 i

d

2

2m  ‑ ‑ ‑ ; J X 2   = ε A  

d

2

X  2m

εx v 

ヲ 五 τ = 一 五 r‑

A

と書くと,両端を固定した自由弦に対する 92.6( 4 b )   式 ( 4 9 ペ ー ジ ) と 全 く 同 型 で あ る .条 件 ( 4

a)

か ら

X ( O )   =  X ( l )   =  0 が 要 求 さ れ ているから , 92.6 の 考 察がそのまま適用できて , X(x) は

X(x)  =  Asin( 与 x ) .   nx  =  1 .   2 .   3 .   . . .  

(9) 

と決定される.これを(

)式に入れてみれば

ε

x

弥 呼 r ( 1 0 )  

(  8) 

n. = 8

ー ー 一 一 一 一

n. 

‑ ー ー ー ー ー ・

n. 

6

一一ーー

n. = 5 

‑ 一 一 一 一 一

n .= 

‑ 一 一 一 ー ‑

n. 3

一一ーー

=2

一一ー一

1‑= 士 三O 3‑2

1次 元等

はただちにわかる. 速 往 復 運 動 の エ

(  9  )式の定数 A は規格化の条件か ら次のようにきめ ネルギ

ー準位

ればよい

1  =  f f f l I P  

1

2  dr  =  . C   I X ( x )  

1

dx  [ a  

Y(y) 

12

b Z ( z ) 2 dz

において , x.y.z の 3 方向は同格だか ら [IIX(x) 

1

d x   =  [ a 

Y(y) 

1

dy  =  [ b  I Z ( z )  

1

2 = 1

(4)

とするのが最も自然であろう.そうすると

; : 1   I │APsid A  

1

2  s i n 2   (  l J ! : ア x) ) dx  政 = ー =  J ゲ ‑'‑1=1

より

A= 汗

ととればよいことがわかる

.ゆえに ,

X ( X ) は

X(x)  = 汗 叫 2 7 E x )

ときまった . Y 方向と z 方向も全く同様であるから,結局

E Et

<p

( X

, 

Y ,  Z )   = 届 s i n (平) s i n   (引 s i n (手) (ロ)

nx

, 

ny

, 

nz 

=  1 ,  2 ,  3 , ・ が求める固有関数で,その固有値は

ε =

長{(与 r ( r ( n ( 1 3 )  

で与えられる.

この問題で以上のように計算が x, y , z の 3 方向に容易に分離できたの は, H が x だけに関係した項, y だけに関係した項 z だけに関係した項 の和になっているからである.このような場合には,古典力学でも運動方程 式を 3 方向に分けることができ,それぞれが独立な等速往復運動になること

はすぐにわかる

.

このような等速往復運動に対応する波動関数が ( 1 1 ) 式のように表される のであるが,波動性による定常波の条件(両端が節になる必要がある)から,

波長が特定のとびとびの値に限定され,それに対応してエネルギーむが

( 1 0 ) 式のよ うにとびとびの値だけに限 られてしまうのである

nx

ny

, 

nz

これらの値を指定する番号であって, 1

2 , 3 ,・・・と増加するにつれて往復運

動が激しくなることを示している.このように,とびとびの固有運動状態に

番号づけをする

nx

ny

, 

nz

のような数を量子数とよぶ.いまの場合に箱の中

(5)

~ 3.1 

箱の中の自由粒子(I)

61 

の粒子の運動は 3 つの量子数の組 ( n x , n y ,  n z ) によって完全に指定される ことになる.したがって,前の節で

en

,仰などと記した添字

n

としては,

いまの場合には 3 つの数の組 ( n x , ny ,  n z ) を用いるべきであるが,わずら わしいので ( 1 2 ) , ( 1 3 ) 式では添字を省略したのである.なお,今後 1 つの文 字(たとえば η ) でいくつかの数の組を代表させることがあるから,そのつ

もりで注意していただきたい.

( 1 3 ) 式で最も

E

が低いものを求めよう n x , n y ,  n z のどれかを O にすると

=0 となり,そのような状態は規格化できない(あるいは,粒子が存在 しないことになる)ので n x , n y ,  nz はいずれも 1 , 2 ,  3 ,・・・の値をとる.

そこで

とおけば

n x  

n y  

n z  

2π2(1

1

1¥ 

elll

三 五 z¥7

T ( ! T

子/ ( 1 4 )  

である.これが箱の中の粒子の基底状態のエネルギーである.注意すべきこ とは,最低エネルギーの状態においても往復運動のエネルギーは O ではなく て,それぞれ

+.2̲2  +.2̲2  +.2̲2 

= 1 i L

, 

fttIl

τ , 

εz 三 ビ

L τ ( 1 5 )   2ml

, 

cy ‑

2 1

a " ,  2mb 

という有限値をもっという事実である.これは,不確定性原理と関連した量 子的な現象であって,このようなエネルギーを零点エネルギーといい,質量 の小さな粒子を狭い所に閉じこめたときほど大きくなることは ( 1 5 ) 式から わかるとおりである.小さな子供を狭い所に入れれば暴れることを思い出し て頂けばよいと思う.

量子数が 2 , 3 ,・・・と増せばエネルギーは高くなるが,その具合一一エネ ルギー準位*の間隔 も運動範囲や質量の小さいほど,とびとびの度合が

準位とかレベルというのは,エネルギーの固有値を示すのに,その値に比例した高さ

の横線で表すことが多いからである(たとえば,

59

ページの

3‑2

図参照l.

(6)

いちじるしい. とびとびになるというのは量子効果であるが,

量子効果が顕著なのは軽い粒子が狭い範囲内で運動をする場合で ある

ということがこの例によってわかるであろう.

基底状態以外の状態を励起状態 とよぶ. 1  > α >  b ならば,最も下の励起 状 態 は め ニ 2 , ny  =  n z   =  1 のものであって,その固有値は

た 2 π 2/4

1

1 ¥ 

C211 

=三五" Z ¥ 7 ' 三 宮

T

子 /

で与えられる . このように n x , ny ,  n z にいろいろの正整数値を与えることに よって,すべてのエネルギー固有値が求められる.

場合によっては,運動状態(波動関数)は異なるのにエネルギー固有値が 等しいことがある.たとえば

のときには

1  >

α

= b  

元 2 π 2 /1

5 ¥

2 1 ε 1 1 2= 

2m  ¥ 7 十五り

である.このようなとき,それらの定常状態は縮 退あるいは縮重 していると いう.固有値が重なっているなどという場合もある . このような縮退が起き るのは,上の例における

α

= b のように,考えている系が何らかの対称性 をもっている場合に多い.

[例題] m 

9.11 

10‑31 kg

の電子が一辺の長さ

1A

1 O ‑

10m

の立方 体の箱の中に閉じこめられているとき ,そのエネルギー準位を

eV

(電子ボ ル ト )単位で表して ,下から 5 番固まで求めてみよ .

[ 解] ( 1

3)

式で 1

10‑10 m

とすれば

̲21=.

ε =

訪吉 (n/ +  n/  +  n z

237.6 X 

(n/  +  n/  +  nz

2eV 

基底状態は

ε111

で縮退はなく,その上に三重に縮退した

ε211 c121  E112

ε221 

= ε212 = ε

山および

ε311 e131  e113

があり, 5 番目に縮退のない

e222

がくる .エ

ネルギーの値は

37.6eV

を単位として,それぞれの

3

6

, 

9

, 

11

, 

12

倍である.

(7)

63 

~ 3

.

2 箱の中の自由粒子

(

11 

前節では箱の中で 3 方向に往復運動をする粒子を考えたが,今度は往復で はなく 1 方向にだけ動き続ける運動がどのような波動関数で表されるのかを 調べてみよう

.それには,前と同じ箱で

l が

a

, b よりもず、っと大きいもの

とし(1

')>α

I,)>b),さらにこの管を曲げて両

端をつないだと考えよう

.管が十分に細くて長

ければ,曲がりの効果は無視できることが証明 されるので,前節との取扱いの違いは, x

方向

の境界条件として, 9  3 . 1  ( 4  a ) 式の代りに

,ひ

と回りすると元にもどるという条件一一

周 期 的境界条件という一一

3‑3図 細 長 い 管 を

丸めてつな ぐ

r p ( x   +  1 ,  Y ,  z )  

r p ( x ,  Y ,  z )   ( 

)  が課せられるということである

.このために Y(y)と Z(z)は前と同じであ

るが X(x)はちがってくる.X(x)が満たすべき方程式

d

2

X  2mex 

dx

2

一 一五

2 A

は同じなので,む >0 の独立な 2 つの解として

(  2  ) 

X  = 

exp 

{ i k x x )  

および exp ( ‑

i k x x )   (  3  )  または

X  =  s i n  k x x  

および

c o s  k x x   (  4  )  の 2 組が得られ,

この

4

つのどれを(

2  )式に入れても

E ‑E&i 

2m  (  5  ) 

が得られる

.

もっと一般に

,定数

2 個を含む( 2  )式の一般解は

C

exp 

{ i k r x )   +  C

exp (‑

i k x x )   (6)  または

A  s i n  k x x   +  B  c o s  k x x   (7) 

(8)

3. 

と表される

.

( 3 ) ,  ( 4 ) ,  ( 6 ) ,  (7)式のどれも( 2  )式の解で,その固有値は 共通の(

)式で与えられる.

ここで境界条件を考えてみると, (1)式は

X(x  +  l )   =  X(x)  (  8  )  ということであるから ,X(x)が長さ f ごとに同じことをくりかえす周期関 数になっていればよい*そのためには波長 2 π / k x が J の整数分の l である

という条件,

hx=2hx  h = o ,

I

2

3

(9) 

が満たされていればよい

.前節の(

9  )式に比べると, π / 1 でな 2 π / 1 の整

数倍であることと,今度は nx =  0 も許されることに注意しよう.これらの

ι のおのおのに対して , x 方向の運動エネルギーの固有値としてとびとび の値

た 2k/ h2 

= 一 一 一 = 2m  否両戸 nx z ,  n x= O ,

I

2

3

, ・ ・ ・

(10) 

が得られる.

(3)

,  ( 

)式を

!

o IIX(x) 

12

=1

によって規格化しておくと,

nx  =  0  に対しては固有関数はただ 1 つ

X(x)=j7 

だけしかないが, nx  =  1 , 2 , 3 ・・・に対しては

I l   exp  ( i k x x )   および I l 1    exp (  i k x x )   ( 1 2   a )  

︑︑ ︐ ︐

J

EA

EA

あるいは

xの範囲としてO三五x孟

J だげを考え, 左端と右端をなめらかにつなぐ条件

X(

l )

X(O)

, 

X' ( l )  

X' ( O ) としても同じである.

(9)

~ 3.2 箱の中の自由粒子(II) 65 

s i nk x x   およびc o s k x x

が独立な解となる.

(1

2  a )

( 1 2 b ) の ど ち ら で も よ い , と い う 点 に つ い て は,次の節でその意味を改めて説明する

.

[例題] ベンゼン C

6

H

6

の分子は 6

個 の 炭 素 原 子 が 正 六 角 形 の 頂 点 に 配

置し,その六角形の環に沿ってぐるぐる回る 6 個の電子をもつことが知られ ている

.隣 り 合 う 炭 素 原 子 聞 の 距 離 は

1 . 3

2A

な の で, こ の 六 角 環 を 周 が

f

7 . 9 2  

A

の環とみなし,本節の方法を適用して 6 個 の 電 子 の お の お の に 対 するエネルギ

ー固有値の低いものを求めてみよ.

[解]

3

方向全部を考えたときのエネルギー固有値は,

~ 3.

1 (

13)式の第1項を

本節の(1

0)

式で置き換えた

, 

1 1 !

;r

(n/ 

, 

n/  ¥ 

ε

ex 

ey 

+

εz 

2~12 nx'

十三女ロケ+ [ ; 2   ) 

で与えられる

.l ~ a

, 

bとすると,基底状態nx= 0

, 

ny =め =1

に続く低い励起 状態は,

ny 

n

=  1 は変わらず

nx

だけが 1

2

3 ・ ,

・・

と変化したものである.基 底状態のエネルギーを

eO

l1とし,これとの差をと

ると

h

ε11 eO

l 1  

2 " 雨 戸

2h

ε211 ‑ eOl1 

=可戸

9h

e311  ‑ eOl1 

=  2 " 雨 戸

ε311 

ε211~

1‑

一 一 一 一

ε λ =  2 0 0 0 A ) 

ε011 

3‑4図

ベンゼンの自由電子 模型のエネルギー準位

となる .

l

に 7 . 9 2 A を代入して計算すると,

C211e111の差は 3h

e211ε111= τ一τ = 7eV 

2ml"

となることがわかる.これを

h l l =  h c / A

に等しいとおいて,この2つの状態聞の

遷移で吸収または放出される光の波長を求めると

A~

2 0 0 0   A を得る

.実際のベン

ゼンでこの遷移に対応すると考えられるスペク

ル線の実測値は 2 5 0 0 A である

が,このような粗い近似による計算値としては良い一致を示すものと考えられる

.

(10)

3.  定常状態の波動関数

S  3 . 3  縮 退 と 直 交 性

前 の2つの節で,X方向の運動に対する境界条件が違ったために,固有値 と固有関数がかなり違ってくることを

見 た.

3  ‑ 5

図 に 見 る よ う に

,周 期 的

境 界 条 件 の 場 合 の 固 有 値 は

X( O )

6‑

ーーーーーーー ーーーーーーー〈

士3

X(!)  = 

0の場合の固有値を 1つおき 5一一一一ー

にとることになる代りに

,基底状態を

除き,すべての準位は二重に縮退して 4

一一一一一 ーーーーー一司ー〈

土2 いる

.

固有関数のとり方に任意性を生

じるのは,一般にこのような縮退があ る場合である

.

縮 退 を 生 じ な い 境 界 条 件

X(o)

X(!)  =  0 の場 合 に は , 得 ら れ た 固 有

関 数

( 6 0

ペー

ジ ( 1 1 )

式 , め を n と 略

3‑

ーーーーーーー

‑ーー一ーーー・ ーーーーーーーー〈

士1

ーーーーーーーー

0  X(O)=x

( l

)=O  X(x+t)=X(x) 

往復運動 一方向きの運動

3 ‑5

図 左 は X(O)

X(

l) 0

, 

記する) 右は X(x

l) = X(l)の場合の固有

X n ( X )   = 汗叫与 X ) (1) 

= 1, 2

, 

3,

1

X

n

* ( 山 川 = {~

値.右側の準位は,基底状態以外はすべ て

二重に縮退している.

n '

のとき(規格化)

ηキ ダ の と き

(  2  ) 

を 満 た す * こ れ は 三 角 関 数 の 公 式 を 使 え ば 容 易 に 証 明 で き る か ら

,証 明 は

読者にまかせる

. n

キ ダ の と き に

X

n

*

X

nの 積 の 積 分 が

O

になるが,こ のとき

X

n

X

n,とは

直 交

しているという

. 2

つ の 運 動 状 態 が 互 い に 直 交 す るときに,これらは 異なる"状態であると考えるのである

.一般に,あ

る一

実数関数なので *(複素共役のしるし)はなくても同じであるが,もっと一般の場合

をも考えてつけておく.

(11)

~ 3.3 

縮退と直交性

67 

定の条件を満たす演算子(ハミ

l

レトニアンはそのなかに入る)の,異なる固 有値に対する固有関数は互いに直交することが証明されるが,上の { X n ( X ) }

はその一例である.

では,縮退があるとどうなるだろうか.いま, 2 個あるいはそれ以上の関 数が同じ固有値に対する固有関数であったとする

.

H q P )  = e

q : , o )   , 

H q P )  

eqP

  , l

H

r : p

(3) 

=

ε

r : p

(3) 

, 

・・・

3 ) 

このときには,これらの関数からつくった勝手な

1

次結合

r : p   = 

al

r : p ( 1 )   + 

a2

r : p

(2) 

a3

r : p

(3) 

+  ・ ・ ・

も同じ固有値に属する固有関数になっていることは容易にわかる

.

H

r : p   = 

H ( a l

r : p ( l )   + 

a2

r : p

(2) 

a3ψ(3) 

+  ・

・)・

a1H

r : p ( 1 )

a2H

r : p

(2)

a3H

r : p

(3) 

+ ・.

al

ε r : p ( 1 )   + 

a2

ε r : p

(2) 

+ α 3 ε r : p

(3) 

+ ・.

=  c ( a l 伊 ( 1 ) + 

a2

r : p

(2) 

a3

r : p ω+  ・ ・ ・ )=ε

(  4  ) 

したがって,同じ固有値をもっ固有関数はいくらでもつくることができる.

それらを並べ立てたらきりがない

.では,どうすればよいのか.

具体例として,周期的境界条件 X(x +  l )  

X ( x ) を課した場合の自由運

動を考えよう.この場合には,前節の ( 1 2a ) の 2 つを

ぶ = 7 7 i k x x ) X = 吉 田 p( 一 i k x x ) (  5  )  とすると,計算してみればすぐわかるように,これらは互いに直交する.

1 1

  X + * ( x ) ( x ) 枕 =   1 1 X * ( x ) ( x ) dx 

(6) 

したがって , X + X

は 異なる" 2 つの運動を表している.では,これ らはどんな運動状態を表しているのであろうか.ここで,波動関数の時間因 子 exp ( 一 i ω x t )

exp  (‑ ε i x t / た)を掛けると

77expl(hd

ω x t ) および 1 1  7   exp  i  (‑ k x x 一 ω x t ) (7) 

という 2 つの関数が得られるが,これらはそれぞれ + x 方向および ‑ x 方

向に位相速度

ω

x / k x で進む進行波を表している.ところで,いまは管を丸め

(12)

68  3. 

であるから,これらの波は管に沿ってぐるぐると回る波になっていると考え られる.回る向きが反対ならば状態としては確かに違うのであるからエネル ギー ε (

x

た ω x ) が同じであっても不思議はない.したがって ,k x   =  0のと

きを除き,すべての状態が右回りと左回りとで二重に縮退しているのは当然 である.もしこの粒子が荷電粒子であるならば,周転によって磁気モーメン トを生じるから,その向きを調べることによって,どちら向きかを知ること が可能である .エネルギーの値以外の情報としてそこまでわか っていれば,

電子の運動は X+(x)か X‑(x)かのどちらかに確定することになる.

この場合,エネ

l

レギーのきま った

1

次元の自由運動としては,向きの反対 な 2 つ以外はないから ,X+(x)と X‑ ( x ) ですべてがつくされていることに なる.縮退は二重であって,一重でも三重以上でもない.

しかし ,X+と X

からつくられる 1 次結合なら,すべて同じエネルギー をもった運動状態 (H q ; =

ε

¢の解)として許されるというのだから,エネル ギーの値 εだけしか確かめていないとき,つまりエネルギーが

E

の固有状 態というときには,X+と X ーから得られるどんな 1 次結合をとってもよい ことになる.だからといって,無限にあるものを片端から並べ立てても無意 味である.前節で

(12

a )   (X+と X‑)あるいは

(12b) 

s i n kxx  = 古川 x)‑ X̲  ( x ) ]  

( 8 ) 

cos kxx  = 古川 x) X‑ ω j  

としたのは,これもすぐ確かめられるように,この 2 つの関数が互いに直交 するからなのである.

このような事情は,

1

つの

2

次元空間(つまり平面)のなかのベクトルの 場合によく似ている.

2

次元空間の勝手なベクトル

A

は,互いに直交する 長さが 1 のベクトル e l と e 2 を使って, 1 次結合として

=  A1el  +  A2 e 2  

のように表すことができる.固有値

ε

に属する H の固有関数少というのは

(13)

~ 3.4 

調和振動子

69 

この A のようなものであり ,X+(x)と X‑(x)はこの e l ,

e2

に相当すると思 えばよい.

e

がわかっただけではこの 平面"までしかきまらないので,そ のことを表すために,この平面内にとった適当な直交する 2 つのベクト/レと して ,X+ ( x )と X‑ ( x ),あるいは上記の 2 つ,あるいはもっと別の直交す る 2 つ,・・・を用いるというわけである .X+(x)と s i n k x xとをとっては絶 対にいけないとは言いきれないが,適当でないことは明らかであろう.

古典力学的に考えると,円環内の運動としては,右回りと左回りの

2

つは 起こりうるが,それらを重ね合わせた運動などというものは考えようがな い.確かめてないためにどっちだかわからないから,とりあえず混ぜたもの でも考えておけ,ということのように思いたくなってしまう. 9 3 . 1 の場合 (X(o)  =  X( l )   =  0 の等速往復運動)ならば,右往と左往とを重ねた s i n k xX  や cos kxxも確かに解にはなっているから仕方がないようにも思えるが,壁 でのはね返りがないのにそれと同じような振舞を粒子が行うはずはない,と いう気がする読者も多いと思う.しかし,これはやはり古典物理学的な考え 方にとらわれているのだと,思ってほしい.自由な運動を始める前に何らかの 方法で粒子が特定の x( たとえば x =  0 ) の近くにいることを確かめであっ たとすると, (8) の う ち で そ の x の と こ ろ に 腹 の あ る よ う な 定 常 波 ( c o s   k x x )になっていることがわかる,ということなのである.

~

3 . 4   調和振動子

古典力学で,一定点からの距離に比例する引力を受けて一直線上を運動す る質点が単振動を行うことはよく知られている.この場合の運動方程式は

d

2

m 三 百 ;:‑=‑kx (1)  であるが,右辺の力を導くポテンシャルは

V(x) = す れ

2

ととればよい.エネルギーは

(14)

m l

政 ¥

k 1

計 百) +γ= ρ

x.

+ す x .

で与えられる. (1)式の解は

x = A 州 ω t+ δ ) ω = ほ

という形をもち,これから得られる速度は

ft=Aω 州 ω t+ δ )

であるから

(3) 式に代入して

エ ネ ル ギ ー = 千 万 { c

OS2

( ω t+ い i n

2

( ω t  +  a ) }  

=fmdA2 

という時間によらない一定値をとることは周知のとおりである.

( 3 ) 

(  4  ) 

(  5  ) 

ハミルトニアンはエネルギー を運動量と座標の関数として表したものであ るから,いまの場合は( 3  )式の右辺

H = 豆 長 p/ + 手 x

2

で与えられる

.力の定数

k よりも,

=  ma/ を入れて

H = 互 い 2+tmωγ ( 

と記すことの方が多いので,以下はそれに 従うことにする

.

量子力学に移るにはんをー

i

‑ n o / 批に置き 換えればよいのであるが,量子力学で実際に 一直線上の粒子の運動というものはありえな いことを注意しておこう.なぜなら

,粒子が x

軸で動いているということは,

yとz

が常 に

O

ということであり, y=z= O ならば,

ん と ル も 常 に

O

ということになり,不確定 性原理に矛盾するからである.実際に考えう

3‑6図原点から距離に比例

した大きさの引力を受けて

行う質点の運動は楕円振動

になるが, これは

3

つの

l

元調和振動に分解される.

(15)

~ 3.4 

調和振動子

71 

るのは

3

次元空間内で原点、からの距離に比例する引力を受ける場合であって,質 点の位置を

r

とするとき力は ‑

kr

で表される.古典力学の運動方程式は(1)と 同型の

3

つの式

d

; t 与 '   手 = 一 k

~ x.,  "m. 

豆子

dt

=‑

k肘

v .

m

ζ 子

=‑kz

で与えられ,独立な 3 つの ( 1 次元)単振動に分けて考えることができる.量子力 学でも事情は同じである.ポテンシャルが

V(r) =

(x2

y2 

Z2)  (k = mai)  ( 7 ) 

で与えられるので,ハミルトニアンは

が f(j

2.

(j2 . (j

2¥ . 

m

ω 2

〆 ? ? , 、

H=

一一一 2m  卜 ¥ 

(j

x τ

z ' 

+ ー才

(jν

+一

(jZ

τ)

J' 2 + 一 一

(

、 ノ

x"

+

+

z") 

= Hx 

Hy十 Hz

(8 ) 

ただし

高 (j2 , mai 

Hx=

一一一 2m 

τ(jx

z ' 

十一 五C.

2 xA2

, 

,  H" Y  

ム と

Hz

も同様 のように分けられる.そこで,シュレーディンガ一方程式

H rp(r) = εrp( r) 

を解くのに,

~ 3.1

のときと同様に

rp(r) 

u(x)v(y)ω(z)  ( 9 ) 

とおいて代入すれば変数分雛ができて

Hx u(x) =εx u(x),  Hv(y) = ey v(y),  Hw(z) =εz w(z)  (10) 

という

3

つの同じ形の方程式が得られる

.

これらのおのおのは, 一直線上を単振 動する

1

次元調和振動子のシュレーディンガ一方程式の形をしている.以下では このうちの

1

個だけを扱うわけである.そういう意味で

1

次元の調和振動子は非

現実的なものではない.また~1.1

でも述べたように,電磁波をいろいろな波長の 波の重ね合せで表し,その各成分電磁波を適当に取扱うと,それが調和振動子と 数学的に同等なので, 1次元調和振動子の応用は広い.

さて,以下では

(10)

の 第

1

式 だ け を 考 え る こ と に し , 添 字 x を省くこと にする.解くべき方程式は

( h 2 d 2 1 2 ¥  

一 一一 2m 一一 ω 2   吉 + :   ;

mωx".~ 2u(x) = e u(x) 

であるが,ハミノレトニアンを

︑ ︐ ︐ ︐ EA iE

/ 為 d

2 , 

m

uJ 

, ¥  

H =

為 ω l ¥  一一一ー 2m ωdx マ ォ +

一 ー が l

2克 /

(16)

=叫( ‑ /元委+/琴川 2 5 委+ /~: x )  + す ]

のように変形する

.第

l 行目右辺を 因数分解"したときに

d / d x と x の 順序が可換でなくて

ztx=1+x £ 

dx~

~dx

d

一 回

(これら各項の右にさらに他の関数があることに注意!) 

となるために,

[ ]内の最後に

1 / 2 が現れるのである

.そこで

a

t

, a とい う演算子を

= ̲ 

/元長+Pz子 x( 1 2 )  

α=  / 2 ! m     x f p z x

によって定義すると,このどと

αは

aa

t ‑

a

a  = 

1  (13) 

という

交換関係

を満たすことがすぐわかる*

このど , a を用いるとハミルトニアンは

H = ω ( 山+す )

(14) 

となる.いま aを施すと O になる関数を求めてみよう. ( 1 2 ) から,それ は

生 L = 千 xj ( x )  

の解であるから

j ( x )  

(定数 )e XP ( ¥  ‑ 2 ‑2 克 皇 2

/

) (ガウス関数)

となることはすぐ確かめられる

.(14)

式から明らかなように, この j ( x ) は

交換関係で最も基本的なのはル=一

1

a / a x と

x

の聞に成り立つ

xpx ‑

P x x  

I

1 i   ( y , 

z

成分も

同様)

である.不確定性原理(~2.2

の式(

3)

, 

25

ページ)もこれに結びつけることができる

.

量子論では,演算子がどのような交換関係を満たすかが非常に重要である.

(17)

~ 3.4 

調和振動子

73 

H の固有関数で,固有値は ( 1 / 2 )

たωである.

H  f( ←きた ωf ( x )

また,この f ( x ) は 2 ‑ 1 8 図 ( 5 2 ページ)の一番上の定常波の形をしている から , H の基底状態の波動関数‑‑ U o ( x ) としようーーに比例すると考え られる .そこで

1 :   u o * ( x ) u o ( X )   d . x  

になるように規格化すればヘ基底状態の固有関数と固有値が

( X ) =  (殺と)l/4exp(- 努~ x2 ε0= す た ω ( 1 5 )   のように求められる.

U n ( X ) が HUn(X) =  e n U n ( X ) を満たす規格化された固有関数であるとき に , こ れ に ピ を 施 し た 関 数 a t U n ( X ) を 考 え て み よ う . 交 換 関 係 ( 1 3 ) を 使って aat を at a  +  1 に変えることにより

H 九 ( X ) = た ω(ωt + をゆ n ( X )

=元 ω ( α ? 山+?ゆ n ( X )

= 内 ω ( 山 + す + リ U n ( X )

=  at(H  + ω ) U n ( X )

= α t ( ε n+ 免 ω ) U n ( X ) =  ( e n   + 元 ω ) at U n ( X )  

となることが示されるから , at  U n ( X ) も H の固有関数で一一ただし規格化 はされていない一一固有値は凸十元 ω にな っていることがわかる .した がって , U o ( x ) から出発してがをつぎつぎと掛けることにより , 1 i

ωずつ固

有値の増す固有関数の列が得られることになるか ら , U o ( x ) に d を n 団施

して規格化したのが U n ( X ) だと考えれば,

ホ 公 式 l : e x p ( ‑ a d ) & = J Z を用いる.

(18)

3. 

定常状態の波動関数

H

( x ) = ω ( x )

, 

ε

=  ( n   + 引 先 ω ( 1 6 )  

と い う こ と に な る . ま た, これと(1 3 ) , ( 1 4 ) か ら た だ ち に

円 ︐L

1aA 

U

一 一 η 

iltflJ

1'

x  ( 

u  ︑ ︑ ︐

F

︐ ︑

b

J

x l  

ft

仰 向

+ n M  

一 一

一 一

︑ ︑ ︐ ︐

hEV

'F

‑x ︐  ir r tH

U H

G

?  

? G   G G

 

( 1 7 )  

も導かれる .

規格化を考えるために

atun

2

乗の積分を考えてみる

Un

は実数だから本は っけない.

1 =  1 β

n)t(

aωtUn) 

いま,これの被積分間数の左端にあるが 一 一 これは左側の

Un

だけに作用する演 算子であるーーをその仙の右に移すことを考えてみよう. a

t

の中の x に比例す る項は,そのまま

Un

と交換してかまわないが,微分演算子 d / , 此 を 含 む 項 が 問 題

である .部分積分法の公式

に ま

F(x)

= ( f

(x)F(x)]

1:f(x)

筈 d

において,いまは

f(x)

F(x)

として ,

→ 土 ∞ で 十 分 す み や か に

O

になるガ ウス関数のかかったものを考えているので,右辺の第 l項は消えるから,結局

1 : ま

F(x)

=1:f(x) 

( ‑ 害) d x

となる.このことを使うと ,1の式の左端の d を右へ移動させるときには,

α

に 変えればよいことがわかる.

=  1 :  ( 山 内 川) d x   =  1 : 

Unaat Un

同様にして

l '   =  1 : 

(aUn)(au

= l : u

Un

も容易に証明される.そうすると ,

Un(X)

は規格化されているので, ( 1 7 ) 式により

+  1 ,  l '   = 

となるから,結局

atUn = j

五 τ

l u川 aUn= j

Un‑l

( 1 8 )  

が導かれる.

参照

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