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2 置換積分と部分分数分解

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Academic year: 2021

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(1)

1. はじめに 1 平成15年 7 月 22 日

ある定積分について

新潟工科大学 情報電子工学科 竹野茂治

1 はじめに

広義積分 Z(t) = 2π

Z

0

cosωt

2+γ22+γ4 (1)

について考えてみます。分母はω の 4次式で因数分解して考えると公式 (cf.[1])

Z

0

cosax

x2+ 1dx= π

2e−|a| (2)

が使えるのではないかと予想されるのですが、以下に述べるやや微妙な事情があり注意が必要 です。

広義積分は発散して無限大になることもあるので、簡単に和や差を行うことができず、常 に個々の積分が有限であるかどうかを確認し、例えば∞ − ∞= 3 のような式にならない ように注意する必要がある

公式(2) は数学辞典 [1] に載っているし、

Z

0

xsinax

x2+ 1 dx= π

2e−|a| (3)

という公式は載っているものの

Z

0

sinax

x2+ 1dx (4)

に関する公式は載っていない

公式(2),(3) はいずれも複素関数の留数計算などから導かれるのですが、(4) はそれにはうまく

載らない形で、きれいな式で表すことはできない(あるいは知られていない)のではないかと思 われます。よってこの式が出てきたら、少なくとも私の手元の数学辞典[1]よりもう少し詳しい 公式集が必要かもしれませんし、もしかしたら簡単な式で表すのは無理なのかも知れません。

2 置換積分と部分分数分解

まず、置換積分と部分分数分解を行います。なお、元の式 (1) は分母が 4次式、分子は有限 な関数なので、ちゃんと積分は有限な値に収束します。

ω=γy とすると、

Z(t) = 2π

Z

0

cosγyt

γ4(y4 +y2 + 1)γdy=πγ−3W(γt), W(x) =

Z

0

2 cosxy y4+y2+ 1dy

(2)

3. 有限部分の引き算 2 とすることができます。以後このW(x) を考えます。

分母y4 +y2+ 1 は

y4+y2+ 1 = (y2+ 1)2−y2 = (y2+y+ 1)(y2−y+ 1) と因数分解され、よって2/(y4+y2+ 1) を部分分数分解すると

2

y4+y2 + 1 = 1−y

y2+y+ 1 + 1 +y y2−y+ 1 となります (計算は略)。ということで

W(x) =

Z

0

((1−y) cosxy

y2+y+ 1 +(1 +y) cosxy y2−y+ 1

)

dy

となるのですが、この和をそれぞれの積分に分けることが可能かどうかは実は微妙です。それ はcosxyを除くといずれも(1次式)/(2 次式)で、その広義積分は一般には発散してしまうから で、しかし三角関数がつくと収束する場合もあり(例えば (3) のように) かなり微妙です。よっ て、有限な値をそっと引いて行くことにします。

3 有限部分の引き算

W(x)の式のうち、

Z

0

cosxy y2+y+ 1dy,

Z

0

cosxy y2−y+ 1dy

などは(0 次式)/(2 次式)なのでちゃんと収束しますので、これをまず分けます。

W(x) = I(x) +J(x), I(x) =

Z

0

cosxy

y2+y+ 1dy+

Z

0

cosxy y2−y+ 1dy, J(x) =

Z

0

Ã

ycosxy

y2+y+ 1 + ycosxy y2−y+ 1

!

dy

W(x), I(x) は有限なので、J(x)も一応有限ですが、これは 2 つに分けるのは危険です。

I(x) は、

I(x) =

Z

0

à cosxy

y2+y+ 1 + cosxy y2−y+ 1

!

dy

と一つにしてみると分かりますが、被積分関数は偶関数なので I(x) = 1

2

Z

−∞

à cosxy

y2+y+ 1 + cosxy y2−y+ 1

!

dy とでき、よって

I(x) = 1 2

Z

−∞

cosxy

y2+y+ 1dy+ 1 2

Z

−∞

cosxy y2−y+ 1dy

となります (この計算はすべて有限の範囲なので問題はありません)。

(3)

4. J(X) の計算 3 分母をそれぞれ y2+y+ 1 = (y+ 1/2)2+ 3/4, y2−y+ 1 = (y1/2)2+ 3/4と標準変形し、

y+ 1/2, y−1/2 を u と置換積分すると(このために −∞ から の積分に変えてあります) I(x) = 1

2

Z

−∞

cosx(u−1/2)

u2+ 3/4 du+1 2

Z

−∞

cosx(u+ 1/2) u2+ 3/4 du

= 1 2

Z

−∞

cosx(u−1/2) + cosx(u+ 1/2)

u2+ 3/4 du= cosx 2

Z

−∞

cosxu u2+ 3/4du

= cosx 2

Z

−∞

cos(xv 3/2) v2+ 1

2

3dv (u=

3 2 v)

= 4

3cosx 2

Z

0

cos(xv 3/2)

v2+ 1 dv= 2π

3e−|x|3/2cosx 2 となります。最後の式には公式(2) を使いました。

後は残りの J(x) の計算です。

4 J (x) の計算

J(x) 自体は前に述べたようにかなり微妙なので、広義積分の極限を取る前の式で考えてみる ことにします。

J(x) = lim

N→∞JN(x), JN(x) =

Z N

0

Ã

ycosxy

y2+y+ 1 + ycosxy y2−y+ 1

!

dy

とします。この JN(x)を 2つに分けて I のようにそれぞれの分母を標準変形して置換積分して みます。まず、JN(x) の被積分関数が偶関数であることに注意して −N からN までの積分に 直してからそれを行います。

JN(x) = 1 2

Z N

−N

Ã

ycosxy

y2+y+ 1 + ycosxy y2−y+ 1

!

dy

= 1 2

Z N

−N

ycosxy

(y+ 1/2)2+ 3/4dy+ 1 2

Z N

−N

ycosxy

(y1/2)2+ 3/4dy

= 1 2

Z N+1/2

−N+1/2

(u1/2) cosx(u−1/2)

u2+ 3/4 du+ 1 2

Z N−1/2

−N−1/2

(u+ 1/2) cosx(u+ 1/2) u2+ 3/4 du

= 1 2

ÃZ N−1/2

−N+1/2+

Z N+1/2

N−1/2

!

du+1 2

ÃZ −N+1/2

−N−1/2 +

Z N−1/2

−N+1/2

!

du

= PN(x) +QN(x), PN(x) = 1

2

Z N−1/2

−N+1/2

−(u−1/2) cosx(u−1/2) + (u+ 1/2) cosx(u+ 1/2)

u2+ 3/4 du,

QN(x) = 1 2

Z N+1/2

N−1/2

(u1/2) cosx(u−1/2)

u2+ 3/4 du+1 2

Z −N+1/2

−N−1/2

(u+ 1/2) cosx(u+ 1/2) u2 + 3/4 du さてこの PN ですが、加法定理により

−(u−1/2) cosx(u−1/2) + (u+ 1/2) cosx(u+ 1/2) = −2usinxusinx

2 + cosxucosx 2

(4)

4. J(X) の計算 4 となり、偶関数なので0 からN 1/2の積分に直すと N → ∞に対し

PN(x) = −2 sinx 2

Z N−1/2

0

usinxu

u2+ 3/4du+ cosx 2

Z N−1/2

0

cosxu u2+ 3/4du

→ −2 sinx 2

Z

0

usinxu

u2+ 3/4du+ cosx 2

Z

0

cosxu u2+ 3/4du

= −2 sinx 2

Z

0

vsin(xv 3/2)

v2+ 1 dv+ 2

3cosx 2

Z

0

cos(xv 3/2) v2+ 1 dv

= −πe−|x|3/2sinx 2 + π

3e−|x|3/2cosx 2

となります。後の残りのQN(x) ですが、実はこれは 0 に収束します。それは、

Z N+1/2

N−1/2

1

udu= logN + 1/2

N 1/2 log 1 = 0 とほぼ同様に示すことができます。

よって、結局 J(x) = lim

N→∞{PN(x) +QN(x)}=πe−|x|3/2

Ã

sinx 2 + 1

3cosx 2

!

となります。故に

W(x) = I(x) +J(x)

= πe−|x|3/2

Ã

sinx 2 + 3

3cosx 2

!

= 2πe−|x|3/2sin

µx 2 +2π

3

となり、

Z(t) = 2π2γ−3e−|γt|3/2sin

µγt 2 +2π

3

となるようです。γ も t も正ならば、絶対値はなくても結構です。

多分、元の式がきれいな形なのでそう面倒ではなくうまく求めることができました。

参考文献

[1] 「岩波数学辞典 第3 版」公式 9 V (p1376-1377) 、日本数学会編集、岩波書店

参照

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