論文内容要旨
論文題名:二次元画像における片脚スクワット時の膝外反量と体幹傾斜角の関係およびそ の信頼性
専攻領域名:運動障害リハビリテーション領域
氏名:湖東聡
内容要旨
膝前十字靱帯(以下ACL)損傷は、ジャンプの着地などで受傷する非接触型損傷が約70%を 占め、種目別ではバスケットボールが最多で、女性の発生率が男性と比較し高い。受傷時の 肢位は膝関節浅屈曲位の外反で重心が後方に位置している場合が多く、動作中の下肢アラ イメントとの関係が注目されている。膝外反の要因に関しては、Hip out distance(HOD)
およびKnee in distance(KID)を用いて、股関節機能や後足部機能との関連性について報
告されており、近年、体幹の外方傾斜が増大すると膝関節への力学的負荷が増大するなど、
体幹機能が注目されている。しかし、HODおよびKIDを用いて体幹機能との関連性について はこれまで検討されていない。そこで、膝外反の要因を詳細に理解し、動作時膝外反の評価 方法の信頼性を明らかにするために、体幹機能と膝外反との間にどのような関係性がある かを新たに検討する必要があると考えた。そこで、片脚スクワット動作におけるKIDおよび HODと体幹傾斜角(Lateral Trunk Lean:LTL)の関連性、およびその計測方法の信頼性に ついて検討した。対象は大学女子バスケットボール選手15名30肢とした。方法は、支持脚 で片脚スクワットを膝関節屈曲 60°まで行ない、正面からビデオカメラで撮影した。得ら れた二次元画像から、Dartfish ソフトウェアを使用しKIDおよびHODとLTLの計測を行な った。KID は上前腸骨棘と膝蓋骨中心を結んだ線と母趾との距離、HOD は上前腸骨棘を通 る床への垂線と母趾との距離、LTL は両肩峰を結んだ線が水平線となす角とした。KIDおよ びHOD と LTLの関連性については、ピアソンの相関係数を用いて解析を行なった。信頼性 に関しては級内相関係数(ICC)を使用して検討を行ない、有意水準は 5%とした。その結 果、LTL と HOD の間には相関がなく、LTL と KID では弱い負の相関を示した(r=-0.227,
p<0.05)。検者間ICC(2.1)は,HODは0.83、KIDは0.99、LTLは0.96であった。検者内 ICC(1.2)は、HODは0.86、KIDは0.83、LTLは0.85であり、信頼性が高い結果となった。
今回は体幹傾斜の影響だけで骨盤傾斜については検討しておらず、被験者による様々なパ ターンが存在することが予想される。今後は症例数を増やしタイプ別の分類を検討してい く必要があると考えている。今回、HODとKIDは膝外反をHip outとKnee inという視点か ら評価することができ、膝外反を惹起する要因を推定する上で股関節外転筋や後足部機能 だけでなく体幹傾斜から評価できる可能性が示唆された。