論文内容要旨
論文題名
The Histological Evaluation of Therapeutic Effect and RCB (residual cancer burden) index in Primary Breast Cancer Operated After Neo- adjuvant Chemotherapy - Retrospective study of the
clinic-pathological findings and prognosis –
(術前化学療法後に手術された原発性乳癌における治療効果の組織学的評
価とRCB index -臨床病理学的所見と予後に関する後向き研究-)
掲載雑誌名
THE SHOWA UNIVERSITY JOURNAL OF MEDICAL SCIENCES Vol.29 No.3 2017年
専攻名 病理系 臨床病理診断学 初鹿野 誠也 内容要旨
原発性乳癌で術前化学療法(neo-adjuvant chemotherapy (NAC))後に 癌が消失した症例は予後良好であることがわかっている。特にpCR (pathological complete response)と診断された症例では長期生存が得ら れている。日本乳癌学会の乳癌取扱い規約(第17版)では、原発巣におけ る癌の残存状態により組織学的治療効果をGrade0からGrade3 までの6 段階で評価しているが,リンパ節転移巣の存在など予後に影響があると 思われる因子についての評価は反映されていない。そこで今回我々は,
NACに対する組織学的治療効果の評価方法の1つで、NAC後に残存す る原発巣の腫瘍径と細胞密度、リンパ節転移の状態(個数と転移巣径)
をもとに数値化したRCB (residual cancer burden) index を用いて再 発・予後との関連について調べることとした。過去の報告では,RCB
indexは予後との良い相関がみられており,欧米では多数の大規模臨床
研究に用いられている。
2005年から 2014年にかけて当院で手術を施行されたNAC後の原発 性乳癌症例238人 244例を対象とした。乳癌取扱い規約の組織学的治療 効果とRCB indexのグループでそれぞれ無再発生存曲線をKaplan- Meier法を用いて作成し,Log lank検定を行い検討した。
全症例を対象としたRCB indexと予後との検討では、RCB indexの 値が大きくなると予後が悪くなる傾向はみられたが,明らかな有意差は みられなかった。また,腫瘍の消失程度が無~軽度にとどまる症例
(Grade 0-1b)に関しては,RCB indexと予後との間に有意な相関関係 がみられた。
今回の結果では,化学療法後にも腫瘍がある程度残存している症例で は,RCB indexの値で予後が予測できるという結果であった。RCB indexを用いることで、pCR / non - pCRだけではない、より細かな再発 予測を行なえる可能性が示唆された。さらに全症例に対してもRCB
indexを用いることで予後を予測できる可能性があるため、今後も追跡
調査を検討していく。