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子どもの散歩に関する研究

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Academic year: 2021

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子どもの散歩に関する研究

自然との関わりを中心に

学校教育専攻 幼年発達支援コース 香 西 紅 見 子

1.問題の所在と研究の目的

従来から自然体h験は子どもの心身の発達に 欠かせないものとして、取り組まれてきた。し かし近年、自然の中で遊ぶ子どもたちの様子を 見ていると、自然との関わり方が子どもによっ て大きく異なるよう口惑じる。その違いは、子 どもたちが身近な場所で体験してきた自然体験 によって起こっているのではなし、かと考える。

そこで本研究では子どもが身近な自然を体 験する方法として日常的に行っている散歩に注 目し、散歩を通した自然との関わりやその中で 生じてくる変化を辿りながら、子どもが日常の 中で体験する豊かな自然との関わりが子どもの 心身の発達にもたらす意味を探ることとした。

2.研究方法

(1)対象児と観察期間・場所

Y児とC児の2名を抽出し、散歩活動を行う。

1)  Y児(女児 4歳8ヶ月"')

観察期間 :2007年12月"'‑'2009年6 月(月 1回程度、およそ50分) 観察場所:自宅がある団地を一周する道

2)  C児(男児 3歳9ヶ月"')

観察期間 :2007年10月"'2009年6 月(月 2回程度、およそ70分) 観察競庁:自宅からC児が行き慣れた道 (2)観察方法:筆者が対象児と共に散歩活動 を行い、対象児の様子をピデオカメラやデジタ ノレカメラで言改表をとる。

指導教員 橋 川 喜 美 代

(3)分析方法:桑原の研究1)を参考にし、子 どもが散歩においてどのように事物・事象と関 わっているのか、そのプロセスを中心に、抽出

した以下6要素をもとに分析を行う。

要 素

出会い 事物・事象に対して最初どのように出会うのか、興味の有無 気付ーき 事物・事象に関わる中や関わった結果、何に気付いたか 工夫 事物・事象に関わるためにどのような工夫をしているか 挑 戦 事物・事象に対して「してみたいJという意欲と行動 熱中・没頭 事物・事象に対してどのように熱中・没頭しているか 疑問 事物・事象に対してどのような疑問を感じたのか、芽生えたのか

なお、事例を分析していく過程で6要素では 分析できない関わりが見いだされた。そこでY 児・ C児それぞれに、新たな要素を加え、分析

を行うこととした。

3.散歩における自然との関わり ‑ y児一 事例を分析すると、 Y児の鞘教は、①母親と の体験にもとづいた自然との関わり(花を摘み それを花瓶に飾るとし1った、これまで、の母親の 花との関わりを通して学んだ関わり)、②ファン タジーの世界を通した自然との関わり個4など の自然の力が加わることで、起こった事象をイメ ージと結びつけ、ファンタジーの世界を楽しむ 関わり)、③体感を通した自然との関わり(自然 で、出会った事物・事象に対して、体全体でその 自然の心地良さを感じるといった、体で感じ取 るような関わり〉に見られた。

こうしたY児の自然との関わり方を要素にも とづいて分析すると、前期・中期・後期の3期 に分けられることが明らかとなった。

前期では、特徴である①と②が色濃く表れて

‑27‑

(2)

いた。それは、散歩を始めて間もない頃であり、

筆者との信額関係が築けていない不安から、日 頃から慣れ親しみ、母親と楽しんで、きた活動に 気持ちが向く為と考えられた。筆者との関係が 安定し始めた中期から後期では、母裁の姿を通 した自然との関わりから、自分独自の関わり方 を模索するようになり始めた。後期になると、

いわゆる手先だけの関わりから、、自然の中に体 を委ね、風の強さやj昆惑の変化、芝生の感触を 体全体で感じとる姿へと変化した。それは、安 心できる存在となった筆者が側で、寄り添い、見 守る中で、 Y児は安心して花々喋っばとの関わ りから一歩踏み出し、周りの様子に興味を向け、

楽しむようになったからで、あるO

4.散歩における自然との関わり

‑c

児一 事例を分析すると、 C児の新敷は、①体を使 って羽織する自然との関わり(体当たりして、

対象となる事物・事象がどうし1ったものか確か めようとする関わり)、@繰り返しによって広が る自然との関わり繰り返す経験によって、思 いがけない反応や、対象物1つ1つの違いに新 たに気づき、自を向けるようになるという関わ り)、@漸たな自然との挑鞠句関わり(新たな出 会いで、あっても自ら挑戦してみよう、向き合お

うとする関わり)に見られた。

こうしたC児の自然との関わり方を要素にも とづいて分析すると、揺筆期・前期・中期・後 期の4期に分けられることが明らかとなった。

揺筆期では、筆者との散歩に不安を感じてお り、また、車道の様子に引き寄せられ、落ち着 かないC児の姿があったo その後、散歩を繰り 返すうちに前期では、自の前の事物・事象を楽

しむようになり、中期では新たなものへの羽織 や、自の前の事物・事象と向き合う姿が見られ るようになった。そして後期では、事物・事象

の関連を捉えながら活動するようになった。こ のように散歩で出会う事物・事象に対して、消 極的な関わりから羽織的な関わりへまた、目 的地を目指す散歩から道中を楽しむ散歩へと変 化していった。それは、 Y児同様、気持ちゃ活 動を共有する存在がいたことと、母l陵みのある 場所での新たな出会いや発見があったことが大

きかったといえる。

5.研究のまとめと今後の課題 (1 )研究のまとめ

バリアフリー化や温度管理された住環境の中 で、育つ子どもたちは、新たな事物・事象に出会 っても気付かなかったり、対応できる感受性を 持っていなかったりと、感覚や身体的機能の低 下が問題ともなってきているo 鯨岡はこうした 身体的機能の低下に警鐘を鳴らしている2)

本研究ではY児・ C児それぞれの自然と関わ る姿や、散歩を通してその姿が変化していく様 子を捉えてきた。こうした姿から、散歩を繰り 返すことは、子どもたちの自然を感受する体と 心を育て上げることだとわかった。

地域の様々な事物・事象とじっくりと関わる ことのできる時間的、空間的余裕を確保し、多 様な経験を共有する1対1の散歩は、集団で行 われ、過剰に安全を菌白書、した中で、実施される幼 稚園や保育園の圏外保育では困難ともいえる影 響を子どもたちに与えることができるのである。

(2)今後の課題

散歩を通した自然との関わりの体験が今後の 子どもの発達にどのような影響を及ぼしている のかについて考察していきたし、

1)桑原昭徳「幼児と自然環境との関わり一身近な散歩コ ースにおける3歳児と自然との出会し、‑JW山口大 学教育学割班菊鋪到 411991p255‑272

2)鯨岡峻『原初的コミュニケーションの諸相』ミネノレヴ ァ書房、 1999p2628

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参照

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