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論文の内容の要旨

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Academic year: 2021

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様式8の1の1 別紙1 No.1

論文の内容の要旨

専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 永元 公市

プラスチック基板を用い たフレキシブルデバイスは、その軽量性 ・耐衝撃性・屈 曲 性等の観点から次世代表示媒体デバイスやセンシングデバイスとして期待されている。

いずれのデバイスにおいても電極が必要であり、有機LEDや電子ペーパー等のフレキシ ブル表示媒体は透明電極を用いることが必要不可欠である。透明電極としては、従来 からスズをドーパントとした酸化インジウム(以下ITOと略)が広く実用化されている。

ITOは優れた光学・電気的性質を示す一方で、希少金属元素であるインジウムが主成分 であることから、ITO代替えの要望が強く、その開発研究が行われている。様々なITO 代替え材料の中で酸化亜鉛系金属酸化物が有望視されている一つである。酸化亜鉛系 金属酸化物は多結晶構造で比較的低温(200 ℃以下)での成膜が可能である。そして、

電気的・光学的性質はITOと遜色ない酸化亜鉛系透明導電膜が得られるが、プラスチッ ク基板上に低温で成膜した報告例は少ない。また酸化亜鉛系透明導電膜は、ITOと比較 して高温高湿(例えば、60 ℃, 相対湿度95 %RH1000時間)条件下において電気的に 大きく劣化することが課題である。

本論文は、酸化亜鉛系透 明導電膜の成膜方法とその構造解析、電 気および光学特 性 に関する研究成果をまとめたものである。特に、プラスチック基板上に成膜した酸化 亜鉛系透明導電膜の屈曲性と湿熱環境下におけるシート抵抗値挙動に関して新しい知 見を得て、その考察を行った。本研究ではドーパント成分として13族に属するガリウ ム、インジウムを選択した。Ga-Doped ZnO (以下GZO)およびGa,In-Doped (以下GZO:I n)についてX線回折、透過型電子顕微鏡観察、走査型プローブ顕微鏡等により構造解析 を行い、Hall効果測定から電気的移動度とキャリア密度を算出し、透過率と反射率から 吸収係数を求め、GZOおよびGZO:In薄膜の構造と電気・光学特性に関して明らかにし た。

第1章において、本論文の目的、背景、本論文の構成を述べ、第2章は透明導電金属 酸化物の成膜方法と評価方法について説明している。第3章では、反応性プラズマ蒸着 法により成膜したGZO薄膜の特性を調べた結果を述べている。特にポリエステルフィ ルム基板を用いてプロセスパラメータがGZO薄膜の電気・光学特性に与える影響をま とめている。本研究で作製したGZO膜厚100 nmの場合、5.0 x 10-4 ohm·cmの比抵抗を 示し、全光線透過率85 %の高い透過性を示すことを明らかにしている。またGZO薄膜 の屈曲性についても引張方向および圧縮方向での評価を提案し、屈曲直径30 mm以上 であればGZO薄膜のシート抵抗値が変化しないことを明らかにしている。

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No.2 専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 永元 公市

第4章では、DCマグネトロンスパッタ法を用いて成膜したGZOおよびGZO:In薄膜の 特性をまとめている。ドーパント成分であるガリウムの添加量は5.7 wt%、インジウム の添加量は0,1,5, 10 wt%と変化させ、その構造と電気・光学特性を明らかにしている。

その結果、全てのサンプルでGZOおよびGZO:Inはc軸配向の多結晶構造体であることを 確認した。またインジウム添加量に応じてc軸の格子定数lcおよびa軸の格子定数laは共 に大きくなる傾向を観測し、面TEM観察から求めたグレインサイズは、In添加量に応じ て小さくなる傾向があること、In添加量に応じてGZO:In薄 膜の表面粗さが劇的に平坦 化することを示している。In添加量5 wt%GZO:In薄膜の表面粗さは算術平均粗さRa = 0.16nm, 最大高低差Ry = 1.8 nmまで平坦化することを確認し、一方、キャリア密度は In添加量に依存せず5±1x1020 cm-3程度の範囲内であり、光学特性はすべてのGZOおよび

GZO:In薄膜において全光線透過率80 %以上を示し、良好な特性を示すことを明らかに

している。

第5章では、湿熱環境下におけるGZOおよびGZO:In薄膜のlalcの構造変化挙動と移 動度、キャリア密度変化に関して考察を行っている。湿熱環境下におけるGZOおよびG

ZO:In薄膜の結晶構造は初期状態と比較して顕著な変化はなく、インジウム添加量5 wt

%以上のGZO:Inでは、a軸の格子定数変化がわずかに小さくなる傾向を確認した。一方

電気特性は、In添加量が5 wt%以上のGZO;In薄膜において、湿熱環境条件においてシー ト抵抗値の変化がほとんど起きないことを観測した。GZOは湿熱環境条件下でHall移動 度とキャリア密度ともに減少する傾向にあり、特にキャリア密度の減少が顕著である ことを見出し、また、プラスチック基板上にGZO:In薄膜を成膜し、湿熱環境下でのシ ート抵抗値変化を確認して、産業的に実用的なフレキシブル透明導電膜としての可能 性を明らかにした。

第6章では総括として、GZOおよびGZO:In薄膜に関する実験結果をまとめ、薄膜の構 造と電気・光学特性の相関性を明確にし, 本研究で開発したGZO:In薄膜が次世代デバ イス用透明導電膜として実用に供される可能性が高いことを述べている。

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