2020 年 1 月 31 日
2019 年度聖路加国際大学大学院看護学研究科 課題研究
17MN304 杉山 理恵
脳血管障害患者の“口から食べる”を支援するための看護実践の探求
~ニューロサイエンス看護高度実践看護師の役割の視点から~
Role of the neuroscience advanced practice nurse in supporting oral ingestion for patients with a cerebrovascular disorder
1 要 旨
目的:脳血管障害患者を対象に“口から食べる”を支援するために実施した看護実践内容を質 的記述的に分析し、ニューロサイエンス看護高度実践看護師の役割を明確にした。
方法:ニューロサイエンス看護高度実践看護の役割実習(以後、実習)で受け持った患者 3 名 の実習記録から“口から食べる”に特化した看護実践を抜き出し、看護実践に至った思考過程を 各事例で分析した。抽出されたカテゴリーを高度実践看護師のコンピテンシーと照らし合わせ、
ニューロサイエンス看護高度実践看護師の役割について考察した。
結果:分析の結果、17 のカテゴリー:【患者の“口から食べる”を実現するために思考を止めな い】、【人にとって“口から食べる”を倫理的側面からとらえる】、【患者にとって“口から食べる”こと の価値について考える】、【“口から食べられない”から一時的に解放する】、【挑戦と現状維持の はざまで葛藤する】、【患者の“口から食べる”を正確に評価し予後予測をする】、【嚥下障害の重 症度に合わせた嚥下訓練を実践する】、【“口から食べる”の副次的効果を狙う】、【誤嚥・窒息の 重大性を認識し予防策を講じる】、【誤嚥による呼吸状態の悪化、生命の危機から患者を救う】、
【“口から食べる”に向けた栄養管理を実践する】、【栄養管理を成功に導くために排便コントロー ルを実践する】、【“口から食べる”のチームの中で役割を遂行する】、【病棟看護師とのかかわり から、“口から食べる”を支援する】、【“口から食べる”以外のリハビリで“口から食べる”を支援す る】、【“口から食べる”のチームの環境を調整する】、【“口から食べる”をかなえるために未来に つなぐ】が抽出された。
考察:【患者の“口から食べる”を実現するために思考を止めない】が常に他のカテゴリーの看護 実践に関与しており、“口から食べる”を支援するための基盤となる看護実践であると考える。
【人にとって“口から食べる”を倫理的側面からとらえる】などの 4 カテゴリーが精神的、倫理的側 面、【患者の“口から食べる”を正確に評価し予後予測をする】などの 7 カテゴリーが身体的側 面、【“口から食べる”のチームの中で役割を遂行する】などの 5 カテゴリーが環境的側面に分類 でき、それらの視点から、患者の“口から食べる”を支援していた。各側面に含まれるカテゴリー から、意識や言語に障害を持つ患者の権利や価値を擁護するための高度なコミュニケーション 能力と患者理解とリスク管理のための卓越したフィジカルアセスメント能力などが、ニューロサイ エンス看護高度実践看護師に必要な役割として明確になった。
結論: 本研究より、脳血管障害患者の“口から食べる”を支援するための看護実践を分析した 結果、17のカテゴリーが抽出でき、8 つのニューロサイエンス看護高度実践看護師の役割が明 らかとなった。