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(1)

高速道路休憩施設の立寄り特性と混雑対策

椎野

1

・日比野

直彦

2

・森地

3 1正会員 中日本高速道路株式会社 企画本部(〒460-0003 名古屋市中区錦2-18-19) E-mail:[email protected] 2正会員 政策研究大学院大学准教授 大学院政策研究科(〒106-8677 東京都港区六本木7-22-1) E-mail:[email protected] 3名誉会員 政策研究大学院大学特別教授 大学院政策研究科(〒106-8677 東京都港区六本木7-22-1) E-mail: [email protected] 近 年, 高速道 路休 憩施設 は利用 者の ニーズ の多 様化に も対応 した 休憩施 設と して整 備され てき ている が, 一 部の 休憩施 設で は利用 者の集 中に より混 雑が 発生し ,利用 者の サービ スを 低下さ せてい る. 今後は 休憩 施 設の 立寄り 特性 を明確 にし, それ を踏ま えた 休憩施 設の設 計, 混雑対 策の 検討が 必要で ある .そこ で, 本 研究 では, 休憩 施設の 利用実 態を 調査し た結 果を用 いて, 現在 の休憩 施設 規模の 計画の 問題 点を把 握す る とと もに, 休憩 施設の 立寄り 特性 に着目 して 分析を 行った .そ の結果 ,当 該施設 や前後 の施 設の規 模や 施 設内 容およ び渋 滞の発 生が立 寄率 に大き く影 響する ことを 明ら かにし ,そ れを踏 まえた 今後 の混雑 対策 の方針を示した.

Key Words : congestion policy, rest areas ,expressway

1.

はじめに

高速自動車国道(以下高速道路と略)では,連続走行 を可能にし,運転操作量が少なくなるが,高速であるが ため常に一定以上に意識水準を保たねばならない.精神 的疲労は見かけよりも大きく,連続高速走行の疲労と緊 張を解きほぐし,運転者の生理的要求を満たし,あるい は自動車に対する給油等の必要を満足する休憩施設は, 安全確保上必要である.そのために,各高速道路会社は これらのサービスが必要なときに,できる限り迅速かつ 便利に,また経済的に道路利用者に与えられるように施 設を計画・管理していかなければならない. 各高速道路会社は,近年,休憩施設の商業化等新たな 展開を進め,従来の運転者の生理的および自動車の機械 的限界の緩和を目的とした休憩施設ではなく,利用者の サービス向上のため,休憩施設利用者の多様化やニーズ の多様化にも対応した休憩施設を整備してきており,休 憩施設利用者も増加している. 一方,一部の休憩施設では慢性的な混雑が発生してお り,利用者のサービスを低下させている.休憩施設の混 雑により,施設利用者の快適性が損なわれるだけではな く,高速道路の運転においても十分休憩がとれないこと により安全性も損なわれるため,その混雑対策が課題と なっている.混雑している施設については駐車ます数の 増設等の対策を行っているが,改築後も混雑が緩和する ものの混雑解消に至っていない施設も多い.そのため, 利用者のニーズの多様性も考慮した休憩施設の立寄り特 性を明確にし,それを踏まえた休憩施設の設計,混雑対 策の検討が必要である.一方,混雑している休憩施設の 前後等では空いている施設もあり,その施設の有効活用 を行う周辺施設も含めた空間的で効率的な利用を促す対 策の検討も必要である. 以上より,本研究では,現在の休憩施設規模の計画の 問題点を把握するとともに,休憩施設の立寄りについて の要因分析を行い,休憩施設立寄りの特性を明らかにす る.そして,その分析結果から休憩施設の混雑解消のた めの政策について検討を行い,休憩施設利用者のサービ スを向上させる休憩施設計画の方向性を示すことを目的 とする.

2.

現状の休憩施設規模設計と本研究の位置づけ

トイレや売店等休憩施設内の施設の規模は,駐車ます 数を基に算定されている.なお,園地の規模等のように 駐車ます数よりは,用地取得の難易等の条件により算定 する方が好ましい施設については,それらの条件より適 切な規模が決められている.

(2)

施設規模の基となる駐車ます数は,計画交通量に対し, 休憩施設の立寄率,ラッシュ率および回転率(平均駐車 時間)を考慮して算定される.通常,休憩施設を新設す る場合,立寄率,ラッシュ率および平均駐車時間につい ては,東名,名神,中央道,東北道の4路線における休 憩施設の調査結果を基礎として経験的に求められた基準 値を使用している 1) .これらの基準値の基となる調査結 果については,昭和 50年代に調査された結果であり, 利用者のニーズの変化や情報ターミナル,コンビニエン スストアのような新たな商業施設の設置といった時代の 変化による利用者の立寄り特性の変化を捉えた設計とは なっていない. また,高速道路等の休憩施設に関する既往研究のうち, 休憩施設の特性に関する研究は数少なく,駐車時間の分 布特性を明らかにした江藤ら 2) や土田ら 3) の研究や,利 用者意識を調査して今後のハイウェイオアシスの施設整 備方針を示した中川ら 4) の研究があるが,高速道路利用 者の休憩行動,特に立寄りの特性について実態を把握し, 高速道路休憩施設の混雑対策の整備を提案している研究 例は見られない.以上を踏まえ,本研究は,利用者サー ビス向上のために,高速道路利用者の休憩行動おける, 立寄り,滞在時間,ラッシュ率,渋滞等の諸特性に着目 した研究と位置づけられる.

3.

分析に用いるデータ

(1) 休憩施設利用実態調査データ 休憩施設利用実態調査データとは,高速道路のサービ スエリア(以下 SAと略)とパーキングエリア(以下 PAと略)において,今後の維持管理および改善計画を 作成する上での基礎データとして,利用実態を把握する 為に実施された立寄交通量や駐車時間調査および駐車状 況 調査の調査結果である.本研究では,2006 年から 2008年に中日本高速道路株式会社管内にて実施した休 憩施設163箇所の調査結果を分析に使用する.調査日, 調査対象区間,調査時間を表-1に示す. この調査により立寄率,平均駐車時間,ラッシュ率お よび飽和度が得られ,各休憩施設の立寄り状況や混雑状 況を時間別に把握することが可能である.ここで,立寄 率とは,本線交通量に対する休憩施設の立寄り交通量の 比率である.ラッシュ率とは,1日の立寄台数に対する 立寄交通量が最大となる正時から次正時までの 1 時間の 立寄台数の比率である.飽和度とは,駐車ます数に対す る駐車台数の比率で,1を超えた場合満車状態であるこ とを示す.本研究においては,混雑施設の現状把握や立 寄率の分析等を行うにあたり,このデータを使用する. (2) SA 路側無線アンテナログデータ SA路側無線アンテナログデータとは,路側に設置さ れた通信設備より,通行した車両の ETC車載器から車 両情報を入手したデータである.通信設備は,SA入口 ランプ部とSA出口ランプと本線との合流地点から,本 線の進行方向側下流の2箇所に設置されており,受信し た車両情報より特定される対象車両に関し,前記通信設 備と通信した時刻を抽出し,対象車両の移動履歴を得る ことができる. この移動履歴より,休憩施設の利用の有無や滞在時間 を算出でき,高速道路へ進入するために利用したインタ ーチェンジと,インターチェンジを利用した時刻を併せ て抽出することにより,休憩施設を利用する前の連続走 行時間を算出できる.本研究では,このデータを用いて 走行時間と立寄率の関係を分析する.分析に使用した SA路側アンテナログデータの概要を表-2に示す. (3) 休憩施設利用動向アンケート調査データ 休憩施設利用動向アンケート調査の概要を表-3に示す. 表-1 休憩施設実態調査概要 表-2 SA路側無線アンテナログデータ 表-3 休憩施設利用動向アンケート調査データ概要 平日 休日 東名 東京~三ケ日 2006 12/13 (水) 12/17 (日) 32 24h 14 24h 14 12h 中央道 伊北~小牧J 東名 三ケ日~小牧 2007 11/21 (水) 11/18 (日) 22 24h 名神,東名阪,伊勢湾岸道 東海北陸,伊勢道,紀勢道 新名神,東海環状道 2008 10/8 (水) 10/5 (日) 47 24h 北陸道、東海北陸道 2008 10/15 (水) 10/12 (日) 34 24h 調査 時間 2007 11/ 14,15 ( 水 木 ) 11/ 10,11 ( 土 日 ) 調査区間 年月 調 査 日 中央道 高井戸~伊北 長野道 岡谷J~豊科 調査 箇所 調査箇所 中央道 高井戸IC~伊北IC間 20施設 長野道 岡谷JCT~豊科IC間  4施設 調 査 日 [平日](上り)11/15(木) (下り)11/14(水) [休日](上り)11/11(日) (下り)11/10(土) サンプル数  10,336 サンプル 調査項目 ・属性,高速道路利用目的,乗降IC,利用頻度 ・休憩施設利用目的,休憩施設事前決定の有無 ・実際利用した施設とその順番 ・休憩施設内に希望する施設 ・お手洗いの利用しやすさ,清潔度等 対象施設 東名阪自動車道 御在所SA(上・下) 対象期間 2009年2月1日~7日 (1週間) 抽出項目 ・入口IC名、入口IC通過日時 ・SA流入日時、SA流出日時または、SA通過日時 ・車種区分

(3)

休憩施設利用動向アンケート調査データとは,休憩施設 において,今後の維持管理および改善計画を作成する上 の基礎データとすることを目的に,当該休憩施設におい て,利用者に対して休憩施設(レストラン,売店,自動 販売機,トイレ,休憩所等)の利用動向等に関するアン ケート調査を,利用者から直接聞き取り調査した結果で ある.アンケート調査は前述した休憩施設利用実態調査 と同一日に実施している.休憩施設利用動向アンケー ト調査データより,各休憩施設の利用目的を時間別に把 握することが可能であり,本研究においては,利用目的 の分析やニーズの把握を行うにあたり,このデータを使 用する.

4.

休憩施設混雑に関する現状と休憩施設規模計

画マニュアルの改善

本章では,前章で示した休憩施設実態調査データを基 に,混雑施設における立寄率や平均駐車時間,ラッシュ 率といった現状の休憩施設諸特性について,休憩施設規 模計画の設計値との比較検討を行い,休憩施設規模計画 の改善について提案する. 休憩施設実態調査データより各休憩施設の立寄率と平 均駐車時間の関係を図-1に示す.設計値と比較すると, 混雑施設である飽和度1以上の全てのSAにおいて,立 寄率が設計値よりも大きい傾向が見られる.また,飽和 度1以上のPAにおいては,立寄率よりも平均駐車時間 の方が設計値よりも大きい傾向が見られる. 次に,平日と休日の立寄率の関係を図-2に示す.PA においては,平日と休日の立寄率が大きく変わらない施 設が多いが,SAにおいては,全ての施設が休日の方が 平日よりも立寄率が高いことが見て取れる.現在の新設 の設計では,平日と休日の立寄率の違いは考慮されてい ないため,休日においてSAでの立寄率が設計値よりも 高くなっていると考えられ,今後この結果を踏まえ見直 していく必要があるものと考えられる. 立寄率とラッシュ率の関係を図-3に示す.ラッシュ 率については,混雑施設ではラッシュ率が高くなるとい った傾向は見られない.これは,図-4に示すように, 混雑する休憩施設においては,ラッシュ時間帯の休憩施 設の混雑で立寄台数が制限されてしまうことが原因と考 えられる.すなわち,混雑休憩施設においては,ラッシ 図-1 混雑有無による立寄率と平均駐車時間の関係 図-2 平日と休日の立寄率の関係 図-3 混雑有無による立寄率とラッシュ率の関係 図-4 飽和度と立寄りの関係(海老名SA上り線) 0 10 20 30 40 50 60 平 平 平 平 均 均 均 均 駐 駐 駐 駐 車 車 車 車 時 時 時 時 間 間 間 間(((( 分 分 分 分)))) 立 立立 立 寄寄寄寄 率率率率 (%) 小型車 小型車 小型車 小型車・・・・ 休日休日休日休日 SA(飽和度1以上) SA(飽和度1未満) PA(飽和度1以上) PA(飽和度1未満) 設計要領 SA=0.175 設計要領 PA=0.10 設計要領 SA=25 設計要領 PA=15 10 20 30 40 50 休 休 休 休 日 日 日 日 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 率 率 率 率 平日立寄率 平日立寄率平日立寄率 平日立寄率 SA PA 10 20 30 40 50 10 20 30 40 50 0 0 0.05 0.1 0.15 0.2 ラ ララ ラ ッ ッ ッ ッ シ シシ シ ュ ュュ ュ 率 率 率 率 立 立立 立 寄寄寄寄 率率率率 (%) 小型車 小型車 小型車 小型車 ・・・・ 休日休日休日休日 SA(飽和度1以上) SA(飽和度1未満) PA(飽和度1以上) PA(飽和度1未満) 設計要領 SA=0.175 設計要領 PA=0.10 設計要領 SA ・PA=0.1 10 20 30 40 50 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 飽 飽飽 飽 和 和 和 和 度 度 度 度 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 率 率 率 率 立寄率 飽和度 330 417 653671 771 864 801847722 748754678 立寄台数 (%) 10 20 30 40 0

(4)

ュ率を正確に捉えていない.休憩施設改築等の際には, 実態調査結果をもとに駐車規模を決定する場合が多いが, 改築後も混雑解消までには至らない休憩施設があるのは, 正確なラッシュ率を捉えられていないのが1つの原因で あると考えられる.従って,ラッシュ率を使用して計画 する際はこの点を留意する必要がある. また,現状の設計においては,SA,PAで設計値を分 けて施設規模を決定しているが,図-1に示すように PAの中にはSA並みの立寄率がある施設がいくつもあ る.SAは駐車場,園地,公衆便所,無料休憩所の他に, 営業施設として食堂,給油所,売店等のサービス機能を 備えた休憩施設,PAは駐車場,園地,公衆便所および 売店等のサービス機能を備えた休憩施設と定義されてい るが,利用者ニーズの対応により,PAにおいても食堂 等設けられている施設もあり,SA,PAで設計値を分け て施設規模を決定する現状の設計には問題があるものと 考えられる. 以上のように,現状の休憩施設規模設計の問題点を把 握したが,今後の設計としては,現状の休憩施設の立寄 り特性を把握した上で,SA,PAで設計値を分けて施設 規模を決定するのではなく,施設内容等を加味した別の 基準で分けて設計する必要があるものと考えられる.ま た,コンビニエンスストアや大型商業施設等新たな施設 も休憩施設に設置している現在においては,駐車ます数 を基に他の施設規模等を決定するのではなく,利用者の ニーズに合わせた施設作りを計画し,それに合わせて駐 車ます数の規模を決定する方法に変える必要がある.

5.

休憩施設の立寄要因分析

(1) 休憩施設内の充実度と立寄りの関係 東名高速道路(以下東名と略)および中央自動車道 (以下中央道と略)における休憩施設と立寄率の関係を 図-5 に示す.休憩施設実態調査時(H16)においては, 大半の休憩施設が上下線でほぼ同程度の施設規模・施設 内容であったが,上下線でほぼ立寄率が一致する傾向と なっている.浜名湖SA等一部で上下線で立寄率が異な るところが見られるが,これは,赤塚 PA,美合 PAが 上下線で休憩施設の規模が大きく異なることが原因であ ると考えられる.赤塚 PA,美合 PAは,混雑対策のた め 2002年度に改築を行っており,両休憩施設で機能を 補完しあうように上り線では赤塚 PA,下り線では美合 PAの駐車ます数等の規模を大きくし,それに合わせて 営業施設もリニューアルし,ファーストフード店等もオ ープンさせている.赤塚 PA上り線および美合 PA下り 線の改築前後の周辺施設も含めた立寄率の変化を図-6 に示す.改築の行った赤塚 PA上り線および美合 PA下 り線は改築前後でそれぞれ立寄率が 6%,5%増加してい る.一方,近傍にある浜名湖 SAの上り線は 4%程度減 少しており,改築により立寄率が大きく変化したことが 伺える.また,改築により下流側の休憩施設の立寄率が 大きく影響することが見て取れる. また,中央道においても東名と同様に大半の施設が上 下線で立寄率がほぼ同じ傾向が見られる.一部上下線で 立寄率の違いが見られる施設があるが,八ヶ岳PAは下 り線のみガソリンスタンドが設置され,また釈迦堂 PA は下り線に博物館が併設されているといった休憩施設内 (a) 東 名 (b) 中央道 図-5 休憩施設と立寄率の関係 図-6 改築前後の立寄率の変化 守 山 東 郷 上 郷 美 合 赤 塚 新 城 浜 名 湖 三 方 原 遠 州 豊 田 小 笠 牧 之 原 日 本 坂 日 本 平 由 比 富 士 川 愛 鷹 駒 門 足 柄 鮎 沢 中 井 海 老 名 港 北 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 率 率 率 率 上り線 下り線 →東京 名古屋← (%) 30 25 20 15 10 5 0 屏 風 山 恵 那 峡 神 坂 阿 智 座 光 寺 駒 ケ 岳 小 黒 川 辰 野 諏 訪 湖 中 央 道 原 八 ケ 岳 双 葉 境 川 釈 迦 堂 初 狩 談 合 坂 藤 野 石 川 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 率 率 率 率 上り線 下り線 はSAを示す →東京 名古屋← (%) 30 25 20 15 10 5 0 0 5 10 15 20 浜 名 湖 新 城 赤 塚 美 合 立 立立 立 寄 寄寄 寄 率 率率 率 ● 改築施設 0 5 10 15 20 浜 名 湖 新 城 赤 塚 美 合 立 立立 立 寄 寄寄 寄 率 率率 率 上り線 下り線 【改築前】 【改築後】 (%)

(5)

の施設が上下線で異なっていることが原因であると考え られる. 以上のように,走行時間により休憩施設の立寄率が変 化するのであれば,起終点が変わる上下線において立寄 率が大きく異なることが想定されるが,同規模の休憩施 設において上下線で立寄率がほぼ同一となるということ は,走行時間よりも,当該施設や前後の施設の規模や施 設内容が立寄率に大きく影響するものと考えられる. ここで,休憩施設利用動向アンケート調査結果より, 施設に対して満足もしくは不満足と感じる項目を図-7 に示す.休憩施設において,満足または不満足と感じる 項目のうち,施設・設備の充実度をあげる人の割合が高 く,SAにおいては,満足と感じている人の約 4割,PA においては,不満足と感じている人の約4割がこの項目 を挙げている.このことから休憩施設において施設・設 備の充実度を気にしている人が多いことが見て取れる. また,休憩施設利用動向アンケート調査において,休 憩施設利用者が休憩施設内で希望する施設を確認したと ころ,コンビニエンスストア,コーヒーショップ,ドラ ッグストアの順に高かったが,ここで,上位にあがった コンビニエンスストアについて,最新の休憩施設実態調 査以前にそれらの施設を設置した休憩施設の設置前後の 立寄率の変化(図-8)を見てみると,全ての施設で立 寄率が増加しており,4%程度立寄率が増加している施 設もあるが,大半の施設が 1%程度増加している.コー ヒーショップにおいても同様の傾向が見られた.このこ とからコンビニエンスストア等の付属設備を設置して, 休憩施設内の施設を充実させることにより,休憩施設の 立寄りが変化することも明らかとなった. (2) 走行時間と立寄りの関係 加藤ら 5) や飯田ら 6) は,道の駅におけるヒアリング調 査および国道での路側アンケート調査より,休憩時間間 隔は 1~2時間の間隔で休憩している傾向が高いことを 指摘している.前項にて上下線において立寄率がほぼ同 じであることを示したが,高速道路において走行時間と 立寄りに関係があるのか検証する必要がある.そこで, 3章にて説明した SA路側無線アンテナログデータを用 いて,走行時間と立寄りの関係を分析する. 入口 ICから東名阪道御在所 SAまでの走行時間とそ の走行時間帯の立寄率の関係を図-9に示す.上下線に おいて,走行時間の短い時間帯では休日の立寄率が高い 傾向が見られる.また,走行時間の短い時間帯では,立 寄率の高い走行時間帯は日によって違いは見られず,上 り線においては,走行時間が 10~20分,50~60分の時 間帯で立寄率が高くなり,下り線においては,40~50 分の時間帯で立寄率が高くなっている.このように上下 線において立寄率が高くなる走行時間が異なっており, 図-7 休憩施設の満足・不満足な項目 図-8 コンビニエンスストア設置による立寄率の変化 図-9 入口ICからSAまでの走行時間別立寄率 15 2 12 2 10 12 1 2 6 29 44 33 34 0% 20% 40% 60% 80% 100% SA PA 4 9 6 7 10 6 5 6 32 40 40 23 3 10 SA PA 【施設に満足】 【施設に不満足】 価格 味 品揃え 接客態度 清潔感 施設・設備の充実度 その他 0 20 40 60 80 100 35.6 43.2 5.1 9.9 9.0 8.3 40.0 43.7 6.0 11.0 10.2 10.0 0 10 20 30 40 50 ひ る が の 高 原 ㊤ ひ る が の 高 原 ㊦ 新 城 ㊦ 赤 塚 ㊤ 美 合 ㊦ 北 鯖 江 ㊦ 立 立立 立 寄 寄寄 寄 率 率率 率 設置前 設置後 (%) 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 率 率 率 率 ( (( ( 上上上 り上りりり線線線線 )))) 1日(日) 2日(月) 3日(火) 4日(水) 5日(木) 6日(金) 7日(土) 0-10 10 -20 20 -30 30 -40 40 -50 50 -60 60 -70 70 -80 80 -90 90-10 0 10 0-11 0 11 0-12 0 12 0-13 0 13 0-14 0 14 0-15 0 15 0-16 0 16 0-17 0 17 0-18 0 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 率 率 率 率 入口 入口入口 入口 ICICIC からのICからのからのからの走行時間走行時間走行時間走行時間 ( 分(((分分分 )))) ( ( ( (下下下下 りりりり 線線線線 )))) 25 20 15 10 5 0 25 20 15 10 5 0 (%) (%)

(6)

出発地点から入口 ICまでの走行時間が加味されていな い影響も考えられるが,本分析からは走行時間と立寄率 の有意な関係性は確認できなかった. (3) 渋滞の発生状況と立寄りの関係 a) 休憩施設実態調査結果データによる渋滞の影響分析 渋滞の発生により,ドライバーは疲労が増すことから, 事前に休憩をとったり,渋滞通過後に休憩施設に立寄る 利用者が増えるものと想定される. ここでは,休日に渋滞が発生する中央道上り線に焦点 をあて,小仏トンネル付近の渋滞による周辺の休憩施設 の立寄りの変化を確認する.図-10に休憩実態調査時 の渋滞の発生状況を示す.渋滞発生区間周辺の休憩施設 としては,渋滞の抜けた先にある石川 PA,渋滞渦中と なる藤野 PA,渋滞の手前もしくは渋滞末尾付近にある 談合坂SAがある.この3施設の時間別立寄台数と立寄 率の推移を図-11に示す. 渋滞のピークは,17時 30分頃で渋滞の渦中にある藤 野 PAは,ピーク時の 17時に立寄台数が最も多くなり, 渋滞の抜けた先にある石川 PAは,渋滞ピーク時に渋滞 渦中を走行した車両が,PAを通過すると予想される 18 時台に立寄率が高くなっている.一方,渋滞手前にある 談合坂 SAについては,渋滞発生時刻である 15時に立 寄りが最も多くなっている.以上のことから渋滞の発生 により休憩施設の立寄りに影響することが見て取れる. b) SA 路側無線アンテナログデータによる渋滞の影響 分析 次に,東名阪道御在所 SAにおけるSA路側無線アン テナログデータを用いて,渋滞の影響を分析する.東名 阪上り線においては,休日に御在所SA手前で渋滞が発 生しており,分析期間中においては,渋滞が3日間発生 している.亀山 ICから御在所 SAまでの走行時間分布 を図-12に示すと,渋滞発生時間帯においては走行時 間が延びていることが確認できる.また,走行時間が通 常よりも長くなっているものがあるが,これは,御在所 SAの手前にある亀山 PAに立寄っている車両であると 考えられる.そこで,通常の走行時間より長い車両を亀 山PAの立寄車両と想定して,御在所 SAと亀山PAに おける時刻別の ETC車両の本線交通量と休憩施設立寄 交通量から立寄比率を求めた.その結果を図-13に示 す.前項と同様に渋滞を抜けた先にある御在所SAにお いては,渋滞ピーク時に渋滞渦中を走行した車両が, 図-10 休憩施設実態調査時の渋滞状況(中央道上り線) 図-11 時間別立寄台数と立寄率 表-4 分析期間中の渋滞発生状況(東名阪上り線) 図-12 亀山ICから御在所SA間の走行時間分布 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 0 10 20 30 40 50 60 70 80 100 渋滞開始時間 1 5 :0 0 渋滞終了時間 2 0 :1 0 渋滞ピーク時間 1 7 :3 0 最大渋滞長 1 6 .1 km 勝 沼 大 月 上 野 原 相 模 湖 八 王 子 J 八 王 子 国 立 府 中 稲 城 調 布 高 井 戸 大 月 J 一 宮 御 坂 石川PA 藤野PA 談合坂SA 初狩PA 釈迦堂PA 90 0 5 10 15 20 25 30 35 40 0 1,000 2,000 3,000 4,000 立 立立 立 寄 寄寄 寄 率 率率 率 時 時時 時 間 間間 間 交 交交 交 通 通通 通 量 量量 量 本線交通量 立寄台数 立寄率 【 【【 【 石川石川石川石川PAPAPAPA 】】】】 0 5 10 15 20 25 30 35 40 0 1,000 2,000 3,000 4,000 立 立立 立 寄 寄寄 寄 率 率率 率 時 時時 時 間 間間 間 交 交交 交 通 通通 通 量 量量 量 0 5 10 15 20 25 30 35 40 0 1,000 2,000 3,000 4,000 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 立 立立 立 寄 寄寄 寄 率 率率 率 時 時時 時 間 間間 間 交 交交 交 通 通通 通 量 量量 量 【 【 【 【 藤野藤野藤野PA藤野PAPAPA 】】】】 【 【 【 【 談合坂談合坂談合坂談合坂SASASASA 】】】】 渋滞日 開始 時刻 終了 時刻 渋滞 原因 最大 渋滞長 ピーク 時間 2 0 0 9 .2 .1 ( 日) 1 6 :0 0 1 9 :0 0 交通集中 7 .1 1 1 7 :3 5 2 0 0 9 .2 .3 ( 水) 1 8 :2 5 2 2 :3 5 事故 6 .1 1 9 :2 0 2 0 0 9 .2 .7 ( 土) 1 7 :0 0 1 9 :0 5 交通集中 1 4 .8 1 8 :0 5 0 20 40 60 80 100 S A ま ま ま ま で で で で の の の の 走 走 走 走 行 行 行 行 時 時 時 時 間 間 間 間 IC入入入入 りりりり 時 刻時 刻時 刻時 刻 渋 滞 発生時 渋 滞 発生時 渋 滞 発生時 渋 滞 発生時 1 1 1 1 日日日日 ((( 日(日日)日)))

(7)

SAを通過すると予想される時間帯において立寄比率が 増加していることが確認できた.また,渋滞手前にある 亀山PAにおいても渋滞ピーク時間帯に立寄比率が高く なっていることが確認できた.ただし,ピーク時間帯に 亀山PAに立寄った車両の駐車時間を確認したところ渋 滞解消時間まで駐車している車両は1割もないことが確 認でき,渋滞の発生により手前の休憩施設に立寄った大 半の車両は,渋滞解消まで休憩施設で待つのではなく, 生理的欲求や適度な休憩を済ませた後,休憩施設を流出 しているものと考えられる.

6.

休憩施設混雑対策の検討

休憩施設の混雑対策については,駐車ます数の増設や 休憩施設混雑情報板等により対策を行っているが,現在 混雑している休憩施設においては,これ以上増設するこ とが困難な施設も多く,そのような施設での対策を検討 する必要がある.前章にて,当該施設や前後の施設の規 模や施設内容および渋滞の発生が立寄率に影響すること を示したが,これらの立寄り影響要因ごとに混雑対策 を提案する. 休憩施設の混雑対策として,混雑が発生しない休憩施 設の有効活用も踏まえた効率的な利用を促す対策が必要 である.当該施設や前後の施設の規模や施設内容に立寄 率が変化することを明らかにしたことのうち,改築等に より施設規模等を拡充することにより,周辺の休憩施設 の立寄率をコントロールできるということが重要である. すなわち,分散化先の休憩施設を充実させることにより, 混雑施設の利用者の分散化を図ることが可能であると考 えられる.各高速道路会社は,休憩施設のサービス水準 の向上と多機能化を目的に,休憩施設内建物のリニュー アル,コンビニエンスストア,専門店の積極導入,新た な複合商業施設化等の事業を展開している.この事業と 混雑対策をうまく連携して,分散先施設の充実を優先的 に行うことにより,利用者ニーズへの対応と混雑解消の 2つの効用を高める戦略的な計画,事業展開を行い,利 用者のサービス向上を図るべきである. 次に,渋滞により混雑が発生している休憩施設におい ては,本線上の渋滞対策を行うことにより相乗的に休憩 施設混雑の解消も期待できるものと考える.しかしなが ら,渋滞を抜けた先の休憩施設については付加車線設置 等の渋滞対策により捌き交通量が増加した場合,逆に交 通量の増加から立寄台数も増加し混雑が悪化することも 想定されるため,この点も留意して対策の検討を行う必 要がある. また,休憩施設利用動向アンケート調査データから休 憩施設の立寄りを事前に決めている人の割合が46%であ り,約半数の人が高速道路走行中に立寄り有無の選択を 行っていることが明らかになっており,事前に立寄る施 設を決めていない人の休憩施設選択要因を検討した.事 前に立寄る施設を決めていない人の休憩施設選択の判断 材料と考えられるのは,案内標識といった高速道路上の 情報とカーナビである.ここで,休憩施設実態調査の結 果から給油目的の利用は約 0.5%しかないにも関わらず, ガソリンスタンドの有無以外ほぼ同程度の営業施設・施 設規模があっても,立寄率に大きな差があることが明ら かになっていることから,標識のマークである程度判断 (選択)している人が多いのではないかと考えられる. すなわち,ガソリンスタンドのある施設は休憩施設の案 内標識にガソリンスタンドのマークが付けられ,他の休 憩施設と比べマークが多くなる.マークが多い方が施設 が充実しているといった考えのもと休憩施設立寄りの選 択を行っている可能性がある.このことから分散先に食 事施設を充実させるだけでなく,高速道路上の案内を工 夫することにより,混雑対策としての分散化が図れるも のと考えられ,更なる調査分析が必要である.

7.

おわりに

本研究は,現在の高速道路休憩施設規模の計画の問題 点を把握するとともに,休憩施設立寄りの特性を明らか 図-13 時間別立寄比率 15 16 17 18 19 20 21 御 御 御 御 在 在 在 在 所 所 所 所 S SS S A A A A 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 比 比 比 比 率 率 率 率 SA通過通過通過通過(入り入入入りりり)時刻時刻時刻時刻 1日(日) 2日(月) 3日(火) 4日(水) 5日(木) 6日(金) 7日(土) 15 16 17 18 19 20 21 亀 亀 亀 亀 山 山 山 山 P P P P A A A A 立 立 立 立 寄 寄 寄 寄 比 比 比 比 率 率 率 率 IC通過時刻通過時刻通過時刻通過時刻 20 15 10 5 0 20 15 10 5 0 【御在所SA】 【亀山PA】

(8)

にすることを目的に,休憩施設の立寄りについての要因 分析を行ったものである.混雑休憩施設の立寄率,平均 駐車時間,ラッシュ率の関係と設計値との比較により, 現状の休憩施設規模設計の問題点として以下の3点を明 らかにしている. 第一に,現在の新設の設計では,平日と休日の立寄 率の違いは考慮されていないため,休日においてSAで の立寄率が設計値よりも高くなっている.第二に,混 雑休憩施設において,実態調査ではラッシュ率を正確 に捉えられていないため,ラッシュ率を使用して計画 する際はこの点を留意する必要がある.第三に,現状 の設計においては,SA,PAで設計値を分けて施設規模 を決定しているが,施設内容等を加味した別の基準で 分けて設計する必要がある. このことから,今後の設計としては,現状の休憩施 設の立寄り特性を把握した上で,施設内容等を加味し た別の基準で分けて設計する必要があり,駐車ます数 を基に他の施設規模等を決定するのではなく,利用者 のニーズに合わせた施設作りを計画し,それに合わせ て駐車ます数の規模を決定する手法に変えていくべき である.また,休憩施設実態調査データ等を用いて休 憩施設の立寄り要因について分析を行い,当該施設や 前後の施設の規模や施設内容および渋滞の発生が立寄 率に影響することを明らかにした. 以上のことから,休憩施設混雑解消のためには,利 用者の立寄り特性を踏まえて,施設内容により施設規 模を決定する設計が必要であり,混雑施設には空間的 な制約もあることから,空いている施設を充実させる 等の戦略的にストックを有効活用する対策が必要であ る.また,渋滞発生箇所や大都市周辺等特殊な条件を 加味した設計を行うことにより,利用者のサービス向 上を図っていくことが重要である. 本研究にて提案した混雑対策については,ハード面で の対策となっているが,例えば本研究の分析データでは 検討できなかったが,休憩施設内での料金的施策による 分散化対策等ソフト面での対策の検討も必要である.ハ ード面,ソフト面双方からの総合的な対策を検討するこ とにより,より効果の高い混雑対策を行うことが必要で ある. 最後に,本研究において,SA路側無線アンテナログ データを用いた分析を行い,SA路側無線アンテナログ データが通常の実態調査で得られる立寄率,駐車時間, ラッシュ率の他,入口 ICや連続走行時間等通常の実態 調査では得られないデータも入手可能であり,新たな休 憩施設実態調査の手法として十分利用できることを確認 できた.今後,路側無線アンテナを別の休憩施設にも設 置することにより,高速道路上での休憩間隔等も確認す ることができ,本分析手法が休憩施設利用動向の新たな 知見が得られる手法として,確立することが必要である. 参考文献 1) 中日本高速道路:休憩施設設計要領,pp.28,2005. 2) 江 頭 正 州 , 大 蔵 泉 : 「 休 憩 施 設 に お け る 駐 車 時 間 分 布 に 関 す る 研 究 」 , 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 講 演 概 要集第4部,pp.558-559,1990 3) 土 田 一 雄 , 大 蔵 泉 : 「 高 速 道 路 の 休 憩 施 設 に お け る 駐 車 時 間 分 布 の 研 究 」 , 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 講 演概要集第4部,pp.676-677,1994 4) 中 川 義 英 , 佐 藤 有 哉 : 「 利 用 者 意 識 を 考 慮 し た 高 速 道 路 に お け る 休 憩 施 設 整 備 の あ り 方 に 関 す る 研 究 」 , 土木計画学研究・講演集pp.224 ,2005 5) 加 藤 健 太 郎 , 飯 田 克 弘 : 「 ド ラ イ バ ー の 休 憩 行 動 ・ ニ ー ズ の 実 態 把 握 と 道 路 休 憩 施 設 の 整 備 方 針 の 検 討 」 , 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 講 演 概 要 集 第 4 部 , pp. 468-469,1998 6) 飯 田 克 弘 , 加 藤 健 太 郎 , 森 康 男 : 「 道 路 利 用 者 の 休 憩 行 動 お よ び ニ ー ズ の 実 態 把 握 と 道 路 休 憩 施 設 整 備 方 針 の 検 討 」 , 土 木 計 画 学 研 究 ・ 講 演 集 ,pp. 137-140,1998 (2011. 5. 6受付)

ANALYSYS OF USAGE OF REST AREAS ON EXPRESSWAY

AND MEASURES FOR THE CONGESTION

Osamu SHIINO,Naohiko HIBINO and Shigeru MORICHI

Some expressway rest areas are congested and the improvement is required. This paper firstly discusses on the problem of the design manual of rest area and secondly proposed the improvement measures of the congestion. For these two objectives, the behavior of users were analysed focusing on dropping rate of rest area, staying time, selection of rest area congetion different servies in rest areas.

参照

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