(1)(2)(3)143
韓国の青少年教育施設に関する調査
1. 青少年教育施設の全体像
韓国での青少年教育施設は青少年活動施設が代表的である。青少年活動振興法では、青
少年活動施設の種類として青少年修練施設と青少年利用施設を明記している。
図 1 韓国の青少年活動施設の種類
(資料:女性家族部より1
)
青少年修練施設とは、青少年活動振興法第 10 条によると、青少年修練施設を「宿泊機能
を備えた生活館と多様な修練が可能な施設と設備を備えた総合施設」と規定している。青少
年利用施設は、青少年修練施設以外の施設で、その設置の目的の範囲の中で修練活動の実
施と青少年の健全な利用などを提供できる施設を意味する2
。
この中でも青少年修練施設が青少年の肯定的な成長発達のための多様な役割を果たして
きている。 また青少年修練施設の概念を「法的概念」と「機能的概念」に分けて検討する
ことができる3。 法的概念は青少年が均衡な成長をするために必要な修練活動ㆍ交流活動
1
女性家族部,2012,p.8
2
韓国青少年政策研究院,2009,p.189
3
韓国青少年政策研究院,2010,p.17
(4)144
ㆍ文化活動などの多様な体験ができる施設と設備を備えて、青少年活動サービスを提供す
る施設を意味する。また、機能的な概念からみると、青少年修練施設は青少年活動に必要
な各種の設備、プログラムを備えている施設である。
こうした施設は、まず施設、設備などの物理的なもの、施設内で実施されるプログラム、
そしてプログラムを計画ㆍ開発し、実際に実行して青少年を指導する青少年指導員の 3 つ
の要素で構成される。韓国での青少年修練施設は、2004 年「青少年活動振興法」が制定さ
れる以前の青少年基本法上では、生活圏修練施設(青少年修練館、青少年文化の家)、自然
圏修練施設(青少年修練院、青少年野営場)、そしてユースホステルに分離されていた。し
かし、2005 年青少年活動振興法が施行されてからは、青少年修練館、青少年修練院、青少
年文化の家、青少年特化施設、ユースホステルに分けられた。青少年修練施設の種類と各
施設の主な特徴は次の通りである。
表 1 青少年修練施設と主な特徴
種類 主な特徴
青少年修練館 多様な修練が実施できる各種施設及び設備を備えた総合修練
施設
青少年修練院 宿泊機能を備えた生活館と多様な修練が実施できる各種施設
及び設備を備えた総合修練施設
青少年文化の家 簡単な修練活動を実施できる施設及び設備を備えた情報、文
化、芸術中心の修練施設
青少年特化施設 職業体験、文化芸術、科学情報、環境など特定の目的の青少
年活動を専門的に実施できる施設と設備を備えた施設
青少年野営場 野営へ適切な施設及び設備を備えて修練、又は野営便衣を提
供する修練施設
ユースホステル 宿泊及び滞在に適切な施設、設備と便利施設を備え、旅行中
の青少年の活動支援を主な機能とする施設
また、青少年修練施設は、公共施設と民間施設に分けられる。公共施設は、国家、地方
自治体で設置した施設で、民間施設は、個人、法人、団体で設置した施設である。運営方
式は、直接運営と委託運営があり、直営は公共又は民間施設を、設置したものが直接運営
する施設であり、 委託運営は公共施設を設置し、青少年団体へ委託して運営する施設であ
る4。青少年修練施設の主体別運営現状は次表の通りである。
4
韓国青少年修練施設協議会,2013,p.4
(5)145
表 2 青少年修練施設の設立主体別現状 (単位:ヶ所)
区分 施設
数
都心圏、当日型青少年修練施設 自然圏、宿泊型青少年修練施設
青少年
修練館
青少年文
化の家
青少年特
化施設
青少年
修練院
青少年
野営場
ユースホ
ステル
合計 721 168 216 6 174 41 116
国立 3 - - - 3 - -
公立 461 165 213 6 40 25 12
民間 256 3 3 0 131 16 104
(資料: 韓国青少年施設環境学会 5
)
次の表は、青少年修練施設の地域別別の分布を表している。
表 3 青少年修練施設地域別現状
区分 総計 修練館 文化の家 修練院 野営場 ユース
ホステル 特化施設
計 721 168 216 174 41 116 6
ソウル特別市 60 33 17 2 0 3 5
釜山広域市 22 7 9 4 1 1 -
大邱広域市 12 5 5 1 0 1 -
仁川広域市 22 7 6 4 2 3 -
光州広域市 11 5 4 1 0 1 -
大田広域市 12 3 7 1 0 1 -
蔚山広域市 9 1 6 2 0 0 -
京畿道 138 25 39 51 6 16 1
江原道 74 12 24 14 2 10 -
忠清北道 45 7 10 12 3 13 -
忠清南道 45 7 10 12 3 13 -
全羅北道 44 9 9 14 2 10 -
全羅南道 43 11 13 9 6 4 -
慶尚北道 65 15 11 16 7 16 -
慶尚南道 70 12 16 27 3 12 -
済州道 41 3 19 5 3 11 -
(資料: 韓国青少年施設環境学会6
)
5
韓国青少年施設環境学会,2011,p.18
6
韓国青少年施設環境学会,2011,p.18
(6)146
これらの青少年修練施設の利用者は、学校の団体修練活動に参加する学生の割合が多く
を占めている。実際、青少年修練施設利用形態に関する研究の結果では、学校の修練活動
で青少年修練施設などを利用したとの回答が一番多かった7
。そのため、学校の団体での修
練施設の訪問以外に、訪問の方式を多様化させる必要があるとの主張もある8。
2.選定した組織の概要
青少年修練院は、韓国の代表的青少年教育施設である。青少年活動振興法では、国家及
び地方自治体が全国の青少年が利用できる国立青少年修練施設を設置ㆍ運営するように明
示している。 また、青少年修練院の施設基準として、100 名以上を受容可能な生活館、食
堂、室内集会場、野外集会場、体育活動場、修練のもり、講義室、特性化修練場、指導者
室、休憩室、非常設備、その他を設置するように規定している9
。
修練活動のプログラムとなる内容に関しては、特に規定しないが、修練院で自立的にプ
ログラムの特性化を図るように薦めている。プログラムの特性化は、各修練院の位置及び
周辺環境、青少年修練院内に設置した活動施設、青少年修練院の設立及び運営主体の関心
事、意思など多様な要因によって具体化できる。青少年修練院は、都心の周辺に位置して
おり、運営するプログラムは団体宿泊プログラムが中心である。
青少年修練院のプログラムは主に学校の団体宿泊型修練活動を中心として運営されてい
るが、部分的には学校単位の一日現場体験と週末の家族単位体験活動など多様な体験学習
のプログラムが運営されている。従って、青少年修練院の基本的な機能は青少年らに自然
とともに宿泊させながら、団体修練活動を提供することであると言える。
青少年活動振興法第 11 条には、青少年施設の設置に関する事項が規定されている。そこ
には、青少年修練施設の設置に関する国家及び地方自治団体の義務を規定している。青少
年修練院の運営実態(2011 基準)では、現在、韓国では全国 174 か所の青少年修練院が運営
されている。公共施設 43 か所、民間施設が 131 か所である。青少年修練院の青少年利用率
は全国平均で 80%の水準であり、施設稼働率は 36%の水準である。青少年修練院の主体別、
地域別分布は表 4 の通りである。
7
韓国青少年政策研究所,2010,p.20
8
韓国青少年政策研究所,2010,p.20
9
韓国青少年政策研究院,2012b,p.3
(7)147
表 4 青少年修練院設立主体別、設置現状
区分
青少年修練院
国立施設 公立施設 民間施設
ソウル特別市 - 2
釜山広域市 - 1 3
大邱広域市 1 -
仁川広域市 - 4
光州広域市 1 -
大田広域市 1 -
蔚山広域市 1 1
京畿道 6 45
江原道 1 4 9
忠清北道 3 11
忠清南道 1 4 7
全羅北道 - 11
全羅南道 1 3 5
慶尚北道 6 10
慶尚南道 5 22
済州道 4 1
計 3 40 131
合計 174
(資料: 韓国青少年政策研究院)10
国立の場合、政府は「国立中央青少年修練院」、「国立平昌(ピョンチャン)青少年修練院」、
及び「国立高興(コフン)宇宙体験センタ-」を建設ㆍ運営している。また、青少年が海洋環
境の体験を通じて海洋生命体の大切さと、未来の海洋資源の開発及び技術発展の必要性を
実感できる「盈徳(ヨンドク)青少年海洋環境体驗センター」を建設している。その他、青少
年たちに韓国の農業のビジョンと大切さを考えさせて、新しい農業生命の発展を体験でき
る機会を提供するために「国立金提(キムジェー)農業生命科学修練院」を建設中である。こ
れらの国立青少年修練院は、今年(2013 年)の夏に開院を予定している。現在、運営してい
る施設と建設中の施設の主な概要は次の表の通りである。
10
韓国青少年政策研究院,2011,p.24
(8)148
表 5 国立青少年修練院の概要
区分 国立中央青少
年修練院
国立 平ピョンチャン昌
青少年修練院
高興コ フ ン宇宙体験
センター
盈
ヨン
徳
ドク
青少年
海洋環境体驗
センター
金 提
キムジェー
農業生命
科学修練院
位置 忠 清 南 道
チュンチョンナムド
天安市チ ョ ナ ン シ
江原道
カンウォンド
平 昌 郡
ピョンチャングン
全羅南道チ ョ ル ラ ナ ム ド
高興郡
コ フ ン グ ン
慶
キョン
尚
サン
北道ブ ク ト
盈
ヨン
徳
ドク
郡
クン
全羅
チョルラ
北道ブ ク ト
金
キム
堤市ジ ェ シ
大地面積 474,386 ㎡ 478,300 ㎡ 271,039 ㎡ 50,755 ㎡ 28,500 ㎡
延面積 35,114 ㎡ 21,127 ㎡ 10,028 ㎡ 13,558 ㎡ 10,292 ㎡
重要テーマ 歴史、文化 自然 宇宙 海洋環境 農業生命
健立年度 2001 年 1998 年 2013 2013(予定) 2013(予定)
宿泊人数 1,080 名 1,188 名 300 名 380 名 460 名
( 資料:www.kywa.or.kr/より)
図 2 国立青少修練施設の位置
3 つの国立修練院(中央、平昌、高興)は全て院長 1 人、3 部の組織で構成されているが、
高興宇宙体験センタ-だけは、活動運営部の代わりに宇宙活動部を構成している。人数の
規模は国立中央青少年修練院が 67 名で一番多く、次は国立平昌青少年修練院が 47 名、高
興宇宙体験センタ-38 名の順である。国立青少年修練院の組織及び人数をまとめると次の
通りである。
(チュンアン)
(9)149
表 6 国立青少年修練施設組織要約
中央青少年修練院 平昌青少年修練院 高興宇宙体験センタ-
組織 院長 1 院長 1 院長 1
組織(部署及
び人数)
活動運営
本部 26
活動運営
本部 20 宇宙活動部 19
顧客支援部 20 顧客支援部 14 顧客支援部 12
運営管理部 20 運営管理部 12 運営管理部 6
計 67 47 38
(資料: 韓国青少年政策研究院11
)
3.選定した組織の現地調査
(1) 国立中央青少年修練院
写真1 国立中央青少年修練院
国立中央青少年修練院は、韓国青少年活動振興院で運営する国立施設で、1,000 名が活
動可能な宿泊施設と活動施設を備えている韓国の中枢総合青少年修練施設である。国立中
央青少年修練院の設立目的は、青少年を、自ら成長できる 智、徳、体を備えた人材として
育成することである。そのため、ここは国家次元の中枢施設として、青少年の修練活動を
実践しながら、青少年活動と関連する多様な研究も行っている。ここは、21 世紀の韓国青
少年が備えなければならない気性、品位、知恵を体得できる総合修練の基盤施設を整えて
11
韓国青少年政策研究院,2011,p.24
(10)150
いる。
修練活動の実践としては、小中高の学生を対象にする師範修練活動と青少年対象の特性
化キャンプ、家族キャンプ、青少年文化祭りなど、多様な青少年活動を運営している。ま
た、研究の一環として、青少年の能力(capacity)開発のために、各種研修プログラムを関
連大学、専門家と共同で研究、開発し、プログラムで適応している。他にも、ミュージカ
ルサークル、 グローバルビレッジ (Global village)、障害キャンプ、多文化青少年キャ
ンプなど疎外階層の青少年の力量強化支援事業を運営している。
表 7 中央青少年修練院主な現状
施設名 規模 主な機能
本館 6,450 ㎡ 講義室 18 室、討議室 12 室、事務所など
大講堂 860 ㎡ 800 席、共演舞台
国際会議場 390 ㎡ 300 席、青少年討論/ゼミ、当時通訳設備
生活館 13,000 ㎡ 912 名(青少年 84 室、指導者 155 室、家族 50 室)
食堂 1,250 ㎡ 570 席
国際交流館 1,620 ㎡ 展示室、UN 事務室など各国体験室(7 室)
体育館 4,200 ㎡ 室内水泳場、 バスケットボ―ル/ バレーボール、
スキューバダイビング、中講堂(250 席)
野営共演場 860 ㎡ 野外客席 1,000 席、マルチメディア室、楽屋
野営場 13,390 ㎡ 300 名受容
営農体験施設 6,200 ㎡ 温室(661 ㎡), 野草及びハーブ団地
各施設の敷地面積 474,386 ㎡, 述面積 35,144 ㎡
その他施設 天文台、陶芸室、民族館、野外体験場、 マウンテン・バイク、営農体験、
カフェテリアなど
(資料:http://www.kywa.or.kr/より12
)
最近、国立中央青少年修練院では、修練活動を通して青少年の能力(capacity)開発を試
みている。これまでの体験活動は、消極的な概念である、青少年の「成長発達」の側面を
みてきたが、これからはより積極的概念の「能力(capacity)開発」の側面に焦点を当て、
青少年の内的な能力の開発を進めていく予定である。この理由から、 国立中央青少年修練
院は青少年活動の方針を「青少年能力開発」と設定して、青少年の能力を 8 つの領域に分
類し、青少年活動を構築している13
。この 8 つの能力領域には、自我力量14
、葛藤調整能力、
12
国立中央青少年修練院
13
国立中央青少年修練院
14
自分が価値あるものだと信じ、幸せであると思い、怒りと挫折などを統制(コントロール)できる能力
(11)151
目標達成能力、リーダーシップ能力、身体健康能力、問題解決能力、対人関係能力、市民
能力15
がある。 そのため、国立中央青少年修練院の青少年活動に参加する青少年は、 次
のような手順で活動を行う。
事前診断
プログラムに参加する青少年の能力の事前診断の実施
事前診断によって各青少年の性向と特徴を把握
↓
能力類型による活動の選択(体系的プログラムを提示)
能力類型によるプログラムの編成
青少年の不足力量と活動で到達すべき水準決定及び細部内容の作成
↓
能力中心の活動選択と集中体験
活動を通じて獲得すべき結果と能力要素と連携
活動で参加者の個別特性が最大限に発現できるように工夫
活動全体を能力と連携
↓
事後診断の実施
活動終了後、能力の事後評価実施
事前診断と比較分析
比較結果をフィードバック
(資料: 国立中央青少年修練院活動プログラム案内より)
次の表は、 能力に適応した中央青少年修練院の特性化プログラムの一例である。
表 8 中央青少年修練院の特性化プログラム16
プログラム名 変化された私、変化されたわれわれ
(リーダーシップ能力向上プログラム)
目的 相互作用を通じてリーダー及び構成員としての、責任感、言語表現力、コミュニ
ケーション及び意思決定、自信感を培養し、リーダーシップを向上
目標 リーダーとしての責任感の向上
15
民主市民として、青少年の権利と意味を実現し、奉仕と協力を生活化する能力
16
国立中央青少年修練院,2012,pp.23~26
(12)152
コミュニケーション能力の向上
リーダーとしての自信の向上
対象と期間 中学生 40 名、2 泊 3 日
プログラム
展開
事前診断の実施→ 能力類型による活動の選択→ 力量中心の活動選択と集中体験
→ 事後診断の実施
プログラムと内容
1.なぜリーダーシップ?
プログラムの理解と必要性など
2.責任感とリーダーシップ
目標をもって責任感ある役割の遂行のためのチーム作りなど
3. 意思決定能力向上のための疎通のリーダーシップ
自分のコミュニケーション類型
円満なコミュニケーション方法とは
円満なコミュニケーションの活用、実践など
4.自信感とリーダーシップ
自信感向上のためのスポーツクライミングなど
5.われわれのリーダーシップ
カラーリーダーシップ検査で自分のリーダーシップ類型を理解し、特徴把握
など
期待効果
主導的で積極的な生活態度
円満な人間関係と問題解決能力
危機克服能力
創意的な思考力など
(2) 国立平昌(ピョンチャン)青少年修練院
写真 2 国立平昌青少年修練院(www.pnyc.or.kr より)
(13)153
平昌(ピョンチャン)青少年修練院は、江原道平昌君の自然環境の中に位置している自然
圏を代表する青少年修練施設である。ここは、青少年の健全な成長を大切にするという青
少年育成理念に基づいた、韓国初めての国立自然圏総合修練施設である。
ここは 1, 000 人の青少年が活動できる宿泊施設と、冒険活動施設、野営場、天文台など
多様な施設を備えている。冒険活動、自然ㆍ森の体験、トレッキングなど、地域の特徴を
生かした野外活動中心の特性化キャンプと、家族キャンプ、青少年野営大会などの行事が
おこなわれている。また、個人ㆍ家族ㆍ一般団体などの自然体験のために、宿泊可能な、3
か所に 45 軒の丸太小屋を運営している。
表 9 平昌青少年修練院主な現状
施設名 規模 主な機能
本館 8,807 ㎡ 事務室、大講堂(694 席)、小講堂、天文台など
生活館 7,445 ㎡ 79 客室(1,188 名)、 食堂(500 席)
丸木小屋 総 45 室 85.95 ㎡ 10 室, 59.50 ㎡ 10 室, 42.98 ㎡ 10 室, 33.06 ㎡ 15
室
大運動場 11,250 ㎡ サッカー場、ウレタン陸上トラック (300m 4 コース)、
多目的球場など
多目的球状 1,080 ㎡ バスケットボ―ル場など
野営場 50 名受容(10EA)
営農体験施設 野草およびハーブ団地、家族活動農場、ビニールハウスなど
その他施設 冒険施設、協同訓練場、登山路、森体験場など
(資料: http://www.pnyc.or.kr/より17
)
平昌青少年修練院では、特に大自然の中で行われる段階別、水準別の体験活動の過程が、
青少年たちの均衡ある発達を促し、多様な能力を開発し、正しい徳目を内面化するという
信念を持って活動を行っている。
そのためここでは、国家指導資格をもった指導者らが青少年たちの年齢と発達特性、成
長周期を配慮して、学校級ごとに差別化したプログラムを運営している。特に次の事項に
重点をおいている。
◎ 自然と友だちになる活動過程は相手に対する配慮と生命尊重、感情を豊かにする。
◎ 自然を活用する方法を学ぶことで、節制力と協同心、そして自然と一緒に生きて
いける知恵を備えさせる。
17
国立平昌(ピョンチャン)青少年修練院
(14)154
◎ 自然を克服する活動を通じて大きい心と、挑戦する勇気、限界を克服できる能力
を身につけられる。
平昌(ピョンチャン)青少年修練院の主な機能、事業は次の通りである。
◎ 師範青少年活動(学校団体修練活動)
◎ 疎外階層の特別青少年(障害青少年、低所得青少年などの成長支援事業)
◎ 家族単位および余暇活動の場の提供(家族キャンプ、ハーブビレッジ運営)
◎ 青少年指導者研修(青少年指導者専門研修、青少年指導者資格研修)
◎ 青少年活動プログラム開発ㆍ普及
◎ 国際青少年交流活動支援
◎ その他青少年育成のための政府委託事業運営および青少年活動情報提供
◎ 施設貸館 など
この中で代表的なプログラムは「学校団体青少年活動」である。このプログラムは小、
中、高等学生を対象に通年で実施されている。学校教育の補完次元の自己主導的体験活動
ができるプログラムを構成している。また、その進行はもちろん、生活指導まですべての
過程を青少年指導者と引率教師が一緒に運営する。また、参加学校の目的、参加者の性別、
季節などによって部分的に修正して運営している。
表 10 平昌青少年修練院主な現状
活動プログラム 参加対象 運営期間 運営時期
小学校(基本型) 小学校 4~6 2 泊 3 日 3~11 月
中学校 中学校 1~2 2 泊 3 日 3~11 月
高等学校 中 3、高 1~3 2 泊 3 日 3~11 月
学校団体、修練活動
(基本型)
高校新入生 2 泊 3 日 3~11 月
役員修練 中ㆍ高等学生役員 1 泊 2 日 3~11 月
(15)155
(3) 高興(コフン)宇宙体験センタ-
写真3 高興宇宙体験センタ-(www.nysc.or.kr より)
高興(コフン)宇宙体験センターは、国家が建設した科学分野に特化した青少年活動施設
である。ここでは宇宙科学の体験を中心として、青少年らに健康な成長の基盤を提供して
いる。ここのビジョンは、「創意的体験活動による宇宙市民育成」である。宇宙的な視点を
もって、宇宙時代を生きて行ける知性人の育成を志向している。
設立目的は次のように、明記されている18
。
◎ 宇宙時代を導く創意的な人材育成:専門的宇宙体験を通して宇宙開発時代の優秀な人
材の早期教育、国民未来成長動力である青少年基礎力量の開発
◎ 韓国型宇宙科学特性化施設の先導:21 世紀宇宙時代を志向した国内最初の特性化、専
門化された修練施設、韓国の青少年の特性を配慮した宇宙プログラム開発
◎ 宇宙開発のビジョンを提示する大国広報および教育:全国民を対象に宇宙開発
表 11 高興宇宙体験センタ-主な現状
施設名 主な機能
体験活動館 宇宙体験館、マルチメディア上映館(103 席)、食堂(216 名)、展示ホール、
ゼミ室(2 室)
生活館 2 人室(5 室)、4 人室(54 室)、多目的室(192 室)
野外施設 タイムカプセル広場、チャレンジコース、野外展示場、宇宙人村、ロケット発射場、
生態学習場
その他施設 天文台、陶芸室、民族館、野外体験場、 マウンテン・バイク、営農体験、
カフェテリアなど
(http://www.kywa.or.kr/より)
18
高興(コフン)宇宙体験センター
(16)156
高興宇宙体験センターも青少年活動、指導者活動、家族活動など他の国立修練院と類似
した事業を展開している。しかし、ここでは、宇宙をテーマとした特別支援プログラムを
展開している。この事業は女性家族部が主催し、国立高興宇宙体験センターが主管する事
業である。この事業は、地理的、身体的、社会的な理由で宇宙科学体験学習の機会が制限
されている疎外階層の青少年が対象である。 高興宇宙体験センターの特別支援青少年活動
は、表 12 のとおりである。
表 12 高興宇宙体験センタ-の特別支援青少年活動
宿泊型宇宙科学キャンプ
成長支援宇宙科学特性化キャンプ
成長支援共同活動支援事業
順 天
スンチョン
湾国際庭園博覧会と連携した特別体験過程
手前宇宙科学祝祭支援活動 手前宇宙科学祝祭支援活動
国立青少年修練院(中央、平昌、高興)のプログラムと利用状況は表 13 の通り。
表 13 国立青少年修練施設プログラムの運営現状(2010 基準)
区別 活動名(プログラム) 運営回数 年間利用人数 合計
中央修
練院
青少年活動 学校団体青少年活動 55 団体 69,660 157 回
(89,520)
特性化キャンプ 20 回 1,800
特別支援青少年 59 回 14,700
青少年文化祝祭やキャンプ 3 回 1,500
研修活動 専門研修 5 回 600
予備指導者アカデミー
資格研修 - -
家族活動 家族星座教室の他6個 15 回 1,260
平昌修
練院
青少年活動 学校団体青少年活動 98 団体 100,150 140 回
(116,9660 名)
特性化キャンプ 5 回 2,150
青少年特別支援活動 18 回 12,500
研修活動 専門研修 8 回 800
資格研修 - -
家族
活動
家族キャンプ 11 回 1,360
高興宇
宙体験
センタ
-
青少年活動 学校団体青少年活動 28 回 11,850 80 回
(22,700)
特性化キャンプ 10 回 1,220
特別支援青少年 16 回 5,700
青少年宇宙科学交流キャンプ 10 回 2,240
(17)157
研修活動 専門研修 5 回 690
家族
活動
家族キャンプ 11 回 1,000
(資料:韓国青少年政策研究院19
)
4.制度的背景
(1) 青少年教育に関する法律、政策の整備状況、及び予算
青少年修練施設は、法律や政策によって整えられてきた。いくつかの法律があるが、主
な法律は、青少年育成法、青少年基本法、青少年保護法、青少年福祉法、青少年振興法が
挙げられる。 青少年活動施設は、これらの法律の制定によって飛躍的な発展を成し遂げた。
特に青少年修練施設の量的な側面が拡大し、青少年活動の基盤を築くことができた20
。
青少年育成法(1987 年制定)は、韓国で青少年政策に関する最初の法律であるという意味
を持つとともに、青少年活動の基盤として、青少年施設の概念を紹介した。その後の青少
年基本法(1991)は、青少年の権利及び責任と、家庭・社会・国家及び地方自治団体の青少
年に対する責任を定め、青少年育成に関する基本的な事項を明示している。次の青少年保
護法は、2004 年に制定された法で、多様な青少年活動を積極的に振興するために必要な事
項を規定している。この法律の 2010 年の改正に基づき、青少年活動と関連分野の公共機関
である青少年進行センターと韓国青少年修練院が統合され、韓国青少年振興院が設置され
た。青少年福祉支援法(2004)では、青少年の福祉向上のために不可欠な家庭ㆍ社会及び国
家の責任と義務を定め、それを実践するために必要な事項を規定している。2004 年に制定
された青少年活動振興法は、青少年修練活動に大きな影響を及ぼしている。この法律では、
韓国青少年活動振興院の設置や青少年活動施設の設置などが明記されている。
また、主な青少年政策推進機構は女性家族部、韓国青少年振興院、青少年支援センター、
韓国青少年相談院、韓国青少年相談支援センターなどである。この中でも国立青少年修練
施設にかかわる政策は、女性家族部が主管し、韓国青少年振興院で展開している。青少年
活動振興法の第 6 条(韓国青少年活動振興院の設置)には、振興院の役割を明確に提示され
ている。例えば、青少年活動振興法で示している振興院の主な役割は、青少年活動ㆍ青少
年福祉ㆍ青少年保護に関する総合的案内及びサービス提供、青少年修練活動認定制度の運
営、青少年活動プログラム開発と普及、国家が設置する修練施設の維持ㆍ管理及び運営業
務の受託などがある。女性家族部の青少年政策関連予算は、次表のとおりである。
19
韓国青少年政策研究院,2011,p.39
20
韓国青少年政策研究院,2009,p.183
(18)158
表 14 女性家族部の青少年政策関連予算 (単位:百万ウォン、%)
青少年政策
関連予算
2012 年予算
(A)
2013 年予算
(B) 増減(B-A) 増減比率
47,435 57,527 10,092 21.3
(資料: www.mogef.go.kr より)
(2) 各施設に対する評価などの制度
青少年基本法の制定以来、1990 年代から体系的に進められてきた青少年政策は、多様な
青少年修練施設を設立し、その数を増やしてきている。しかしながら、施設数の増加にく
らべると、質的管理および運営、安全性、訪問者の満足度などは期待に及んでない。こう
いう問題点を改善し、青少年修練施設にも成果中心の雰囲気を誘導して評価効率性を確保
する必要性が強調されてきた。そのため、青少年修練施設の専門性及び公共性などに対す
る評価が実施されている。
現在、青少年修練施設は 3 年ごとに評価を受けている。最近、青少年修練館は 2009 年に、
青少年文化の家は 2010 年に、青少年修練院とユースホステルは 2011 年に評価を受けてい
る。評価は青少年修練施設が設立の目的に合った事業成果の達成、効率的運営などを点検
し、優秀な運営事例を発掘し、インセンティブを提供するためである。2011 年に行われた
評価の目標は、青少年修練院及びユースホステルのプログラムとサービスの水準向上、青
少年修練院とユースホステルの青少年活動基盤増大、優秀運営事例の発掘及び拡散であっ
た。評価は、評価指標開発、書面調査表検討、現場評価、意義申請および処理、評価結果
確定という順で行われた。評価は、修練院 74 か所、ユースホステル 31 か所を対象で行わ
れた。主な評価項目は、次の通りである。
表 15 2011 年青少年修練施設総合評価項目
評価領域 評価項目
領域(配点) 項目(配点) 比率
1.青少年プログラ
ム(30 点)
1.青少年利用及び満足度(15) 50%
2.プログラム(15) 50%
小計 100%
2.組織及び人力
(35 点)
1.組織運営(15) 43%
2. 人力 運営(20) 57%
小計 100%
3.施設及び安全
(30)
1.施設運営及び装備管理(15) 50%
2. 安全及び衛星(15) 50%
小計 100%
4.総合評価(5) 1.総合評価 100%
(資料:女性家族部21
)
21
女性家族部,2011(内部資料)
(19)159
しかし、今までの青少年修練施設に関する評価は、施設の運営ㆍ管理の次元で行われて
きたと指摘し、このような評価の場合、実施したプログラムなどに対する短期的実務を中
心に行われることが多いので、本質的な評価項目の開発も行われている22
。
(3) 政府による管轄の方法
青少年施設に関しては、女性家族部が主管している。その中でも、青少年家族政策室の
青少年政策課と青少年活動振興課のほうで、青少年活動と修練施設に関する業務を担って
いる。表 16 は、女性家族部の青少年政策課と青少年活動振興課の青少年修練施設に関する
おもな業務の内容である。
表 16 女性家族部の青少年活動関連業務内容
担当部署 青少年活動に関する主な業務
青少年政策課 青少年政策に関する中長期基本計画の樹立
青少年政策関連の法令の管理ㆍ運営
青少年政策関連調査・研究及び制度改善
青少年関連機関ㆍ団体の従業者の教育と訓練
青少年指導者の資質向上に関する事項
青少年活動振興課 韓国青少年振興院及び地方青少年振興センターの設置ㆍ運営支援
青少年修練プログラムㆍ事業の開発ㆍ普及及び評価
青少年修練活動認定制の運営ㆍ管理に関する事項
青少年修練活動及び文化ㆍ芸術体験の活性化に関する事項
青少年活動情報の提供ㆍ支援
青少年指導士の資格検定ㆍ研修および活動支援
青少年修練施設の健立ㆍ運営及び指導ㆍ点検に関する事項
国立青少年修練施設の国有財産ㆍ品物の取得及び管理
(資料:女性家族部より23
)
青少年修練施設に関連予算は、国立青少年修練院を中心にみると、表 17 の通りである。
22
韓国青少年政策研究院,2010,p.3
23
女性家族部(www.mogef.go.kr)
(20)160
表 17 国立青少年修練施設関連予算現状 (単位:千ウォン)
最終修正:2012.3.30(資料:www.kywa.or.kr より)
5.文化的背景: 歴史的変遷24
青少年修練院の始まりは、YMCA 修練場だが、その後 1920 年後半国内に紹介されたボー
イスカウトと 1930 年に入ってきたガールスカウトで設置ㆍ運営したスカウト野営場など
まで遡る。1950 年代からはスカウト野営場、学生野営場、心身修練場、自然学習院などの
多様な形態の場が設けられた。1991 年以後からは、青少年基本法上、施設名称が定められ、
青少年修練村、青少年修練の家、青少年野営場に整理された。1999 年の法改正を通じて、
「青少年修練院」、「青少年野営場」に統合された。このような施設名称が 1998 年第 2 次青
少年育成 5 箇年計画を樹立する際、現場及び、学会の意見を反映して、青少年修練院と青
少年修練館を青少年修練館に統合されて現在まで使っている。
次に韓国の青少年修練施設の発展過程を、5 つの段階に区別し、解説する。
1 段階:青少年育成法の以前(~1987)
韓国の修練施設の歴史は 60~70 年代までさかのぼる。この時期は青少年修練施設という
名前は使われてなかったものの、教育庁の学生会館、内務部所管の青少年会館、民間で運
営していた野営場及びユースホステルなどが、現在の青少年修練施設の機能を果たしてい
た。80 年代の青少年修練施設には、内務部の自然学習院と心身修練院、そして労働部の勤
労青少年会館などがあった。この中で現在の青少年修練施設の機能は、勤労青少年会館が
担当していた。
内務部が担当していた青少年会館は、「青少年の国家観を確立して勤勉で誠実な姿勢で協
働ㆍ奉仕できる新しい人材を育成ㆍ指導」という目標を明視し、集団意識の鼓吹を重視し
ていた。青少年会館の主な施設は、図書室と資料室、会議室、講堂、公演場など、室内活
動施設が多かった。
24
韓国青少年研究院,2012a, pp.11~16
事業名 2012 年予算
(A)
2011 年予算
(B)
増減
(A-B)
増減率
(A/B-1)
合計 27,555,385 23,884,380 3,671,005 15.4%
振興院管理運営 5,509,075 4,846,330 662,745 13.7%
中央修練院管理運営 7,735,300 7,094,420 640,880 9.0%
平昌青少年修練院管理運営 6,549,420 6,350,000 199,420 3.1%
高興修練院管理運営 7,761,590 5,593,630 2,167,960 38.8%
(21)161
2 段階:青少年育成法時期(1987~1991)
体育部の青少年局で 1988 年に発刊した青少年専用施設閲覧によると、青少年育成法に基
づいて設置、運営された施設は、87 か所の青少年野営場、35 か所の心身修練場、43 か所
の青少年会館など、延べ 195 か所があった。この中で、青少年会館は現在の青少年修練館
のような機能をする青少年専用施設であった。青少年会館は、既存の青少年施設である青
少年会館、青少年事業館、学生会館、勤労青少年会館などを総括する施設の名称であった。
ここでは、精神教育、教養講座、芸術際などと、教養、趣味、読書などの活動を指導する
ための青少年専用施設を意味する。青少年育成法の制定を通じて、既存の文教部、内務部
など、多様な部署で営んでいた青少年修練施設を領域別に整理、統合した。
3 段階:青少年基本法及び第一次青少年育成基本計画(1993~1997)
青少年基本計画(1991.6)によって既存の青少年専用施設が新しく整理される事になった。
1993 年には青少年基本計画を基に、青少年基本法が裁定され、青少年施設が青少年修練施
設として再出発した。青少年修練施設は、生活圏修練施設と自然圏修練施設、ユースホス
テルに領域が分けられた。生活圏青少年修練施設は「青少年修練院」、「青少年修練館」、「青
少年修練室」に整理され、自然圏青少年修練施設は「青少年修練村」、「青少年修練の家」、
「青少年野営場」とまとめられた。第一次青少年育成 5 個年計画(1993~1997)は、青少年が
活動主体となる空間の拡充と運営の活性化を推進した。詳しい内容として、全国 234 の市、
郡、区別に青少年修練館を一か所ずつ拡充する目標を推進した。
この時期の青少年修練施設の拡充ㆍ整備の主な事項は次のようにまとめられる。
第一に、国立青少年中央公園の助成の目標は、研究開発、修練活動、相談活動、青少年
団体活動などであり、助成計画は 1992 年から 1996 年までであり、規模は敷地 36 万坪、建
物約 1 万坪であり、予算は 413 億ウォンであった。
第二に、自然圏青少年修練活動の師範運営及び総括ㆍ支援を目的として、 国立自然圏総
合修練施設である国立青少年修練村の造成計画が立てられた。この施設の造成計画での期
限は 1992 年から 1995 年までで、その規模は敷地面積が 14 万坪、建物が約 5 千坪、予算は
237 億ウォンであった。
第三に、生活圏修練施設は行政区域別に一か所ずつ健立するのを原則として、青少年修
練院ㆍ青少年修練館ㆍ青少年修練室のなかで一つを選択できる。
第四に、自然圏修練施設は、青少年たちが大自然の中で自然と共に活然の気と進取的な
気象を涵養できる施設である、青少年村、青少年修練の家、青少年野営場などが含まれる。
ユースホステルは拡充及びその機能を整理し、 青少年と国民が健全な旅行文化を体験で
きるような教育施設として活用を目指すこととなった。
(22)162
4 段階:青少年基本法の補完及び第 2 次青少年育成 5 箇年計画(1998~2002 年)
この時期は、1999 年青少年基本法の改正及び、第 3 次青少年育成 5 か年計画を通じて、
既存青少年施設の種類を再整備し、青少年の要求と時代の環境に適した「特性と専門」を
生かした青少年修練施設を導入するようになった。
既存の生活圏青少年修練施設であった「青少年修練院」、「青少年修練館」、「青少年修練
室」の名称が「青少年修練館」、「青少年文化の家」として新しく整備された。特に、大規
模の生活圏修練施設であった「青少年修練館」と中ㆍ小規模の生活圏修練施設であった「青
少年修練館」が「青少年修練館」の名称で統合された。なお「青少年修練室」は「青少年
文化の家」に変更された。既存の自然圏青少年修練施設である「青少年修練村」、「修練の
家」、「青少年野営場」は大規模の自然圏施設の名称である「青少年修練村」と 中ㆍ小規模
の自然圏施設である「修練の家」が「青少年修練院」に統合ㆍ変更された。このような青
少年修練施設の名称の変更ㆍ統合は、現場に混乱をもたらした。
5 段階:青少年活動振興法裁定以後
2004 年 2 月裁定、公布された青少年活動振興法によって、青少年修練施設 6 種類(青少
年修練館、青少年修練院、青少年文化の家、青少年特化施設、青少年野営場、ユースホス
テル)が青少年利用施設として分類された。第 3 次青少年 5 箇年計画(2003 年~2007 年)上
には、公立青少年修練施設の運営ㆍ支援及び、増設が目標として強調された。特に、青少
年修練館と青少年文化の家へ対する支援策について強調している。
第 4 次青少年基本計画(2008 年~2012 年)と、第 4 次青少年政策基本計画(2011 年~2012
年)には、青少年活動施設の戦略的拡充の必要性を明示されている。そのための課題として
は、青少年修練館及び青少年文化の家が、地域の需要にあわせて拡張していく必要性があ
ると示されている。
6.指導者養成システム及び資格制度の概要
近年、急激な社会変化が韓国でもおこり、これらの変化によって青少年の生活文化と価
値観、行動形態が変化して、さまざまな青少年問題が深刻化してきた。その中、体系的に
青少年活動を提供するためには青少年修練活動に対する専門的知識と指導技法および資質
を備えた青少年指導士の養成が必要である。現在韓国での青少年指導資格制度の交付は政
府が実施している。最初は、個々の青少年団体や青少年施設などで、独自のプログラムで
青少年指導者を養成してきたが、それぞれの養成内容や方法などが異なっていたり整合性
がないため、効果的かつ体系的な専門養成課程が必要となってきた。
そこで、韓国政府は青少年指導者の体系的で専門的養成のために、青少年基本法の中で
青少年指導者養成および配置に関する内容を規定し、1993 年から国家公認青少年指導者を
養成してきた。青少年指導者は 1 級から 3 級までの資格があり、青少年関連分野の経歴ㆍ
(23)163
その他資格を有するものとして、資格検定へ合格し研修を受けると資格が与えられる。そ
して、2003 年から始まった青少年相談士国家資格制度の施行によって、資格制度のカテゴ
リーは、青少年指導士と青少年相談士に分けられるようになった。青少年相談士は、青少
年相談関連分野の実務経歴及びそのほかの資格を備えたもので、資格試験に合格し、資格
研修を履修したものに、女性家族部長官が資格証を与える。青少年振興院によると、現在
青少年指導士は、237,794 名が活動している。25 26
青少年指導士の養成は女性家族部が主管だが、資格検定は韓国産業人力公団が委託受け
て実施している。資格検定に合格した受験生は韓国青少年活動振興院での研修を参加する
事で資格証を交付される。青少年指導士の資格検定及び研修体系図は次の通りである。
表 18 青少年指導士の資格検定の科目及び方法
区分 検定科目 検定方法
1 級 青少年研究方法論、青少年人権と参与、青少年政策論、
青少年機関運営、青少年指導者論
筆記試験
2 級 青少年育成制度論、青少年指導方法論、青少年心理及び
相談、青少年文化、青少年活動、青少年福祉、
青少年プログラム開発と評価、青少年問題と保護
筆記
試験
面接
(3 級青少年指導者資格
を有するものは
面接試験免除)
3 級 青少年育成制度論、青少年活動、青少年心理及び相談、
青少年文化、青少年問題と保護、青少年プログラム開発
筆記
試験
面接
青少年基本法によると、青少年施設と団体は、一定の基準によって青少年指導士を配置
しなければならない。例えば、青少年修練館は、1 級青少年指導士 1 名、2 級青少年指導士
1 名、3 級指導士 2 名以上必要であるし、受容人数が 500 名を超過するとさらに、青少年指
導者を雇うことになっている。青少年修練院の場合、2 級青少年指導や 3 級指導士をそれ
ぞれ 1 名以上を雇うようになっているが、受容定員が 500 名を超える場合 1 級指導士 1 名
以上を雇うことなどの基準が設けられている。
また、青少年施設や青少年団体などに勤める青少年指導者の資質向上のために、2013 年
からは定期的に補修教育を実施する予定である。青少年指導者の補修教育のための法的根
拠を設けるため、青少年基本法を改正し、2013 年 3 月から施行する予定である。
25
青少年指導士総合情報システム http://youthworker.or.kr/
26
女性家族部, 2012,p.397
(24)164
図 3 青少年指導士資格検定及び研修体系図
資格証交付
↑
資格検定 → 資格研修 → 配置ㆍ活用
願書受付
(インタネット)
資格検定最終者対象
(30 時間以上)
韓国青少年振興院委託
配置対象
↓
修練施設
青少年団体
筆記試験
1ㆍ 2 ㆍ 3 級過程(経歴者受験)
韓国産業人力公団委託
↓
受験資格書類審査
韓国青少年振興院委託
面接、2ㆍ 3 級過程
韓国産業人力公団委託
↓
合格決定
女性家族部主管
(資料:青少年百書より27
)
27
女性家族部,2012, p. 398
(25)165
参考文献
1)女性家族部,2012, 『青少年百書』,女性家族部発行, ソウル,476pp.
2)韓国青少年政策研究院,2009, 『韓国青少年政策 20 年史-韓国青少年政策の成果と展
望-』, 韓国青少年政策研究院, ソウル,216pp.
3) 韓国青少年施設環境学会,2011『国立青少年修練施設の健立運営基本計画樹立研究』,
女性家族部発行,ソウル,325pp.
4)韓国青少年修練施設協議会,2013, 『青少年修練施設管理ㆍ運営方針』,女性家族部発
行, ソウル,109pp.
5)韓国青少年政策研究院,2012a,『青少年修練施設運営の改善方案研究』,韓国青少年政
策研究院発行,ソウル,90pp.
6)韓国青少年政策研究院,2010, 『青少年活動施設評価模型開発研究Ⅰ:青少年修練院を
中心に』,韓国青少年政策研究院, ソウル,206pp.
7)韓国青少年政策研究院,2012b, 『青少年施設の運営マニュアル』,韓国青少年政策研究
院発行, ソウル,200pp.
8)国立中央青少年修練院, 2012『青少年活動力量特性化プログラム運営マニュアル』,
国立中央青少年修練院発行,天安,70pp.
9)国立中央青少年修練院,『国立中央青少年修練院活動プログラム案内』, 国立中央青少
年修練院発行,天安,38pp.
10)国立中央青少年修練院,http://www.nyc.or.kr/ (2013 年 2 月 15 日アクセス)
11)国立平昌(ピョンチャン)青少年修練院,http://www.pnyc.or.kr/ (2013 年 2 月 18 日
アクセス)
12)高興(コフン)宇宙体験センター,www.kywa.or.kr (2013 年 2 月 19日アクセス)
(26)166
13)韓国青少年活動振興院,www.kywa.or.kr/ (2013 年 2 月11日アクセス)
14)女性家族部,www.mogef.go.kr (2013 年 2 月 15 日アクセス)
15) 青少年指導士総合情報システム,http://youthworker.or.kr/(2013 年 2 月 20 日アク
セス)
(金 二城)