智 山学報 第四十入輯
イ
ン
ド
密教
に
受
容
さ
れ た
Hindu
Samsk5ra
に
つ
い
て
森
ロ
光 俊
匸
論 旨]
バ ラモ ン の土壌に発 し た出世 間を 理想 とする仏 教は、 その最 終段 階で ヒ ン ドウG
;hastha
の基本 的思想を受容 した。 即ちヒ ン ドウ の [浄 法 :Sarpskara
; 通 過儀礼
]
である。厂
Kry5sarpgraha」
は後期密教
の解釈
に基づい た通過儀礼
を 説い てい る。 こ こではイ ン ド密
教にお けるヒ ン ドウ通 過儀 礼の受容
につ い て述 べ 、[
弟 子の潅頂]
にお けるその様
相 を考察
する。1
. は じめ にll
.KS
通 過儀礼
の 成立 皿. ヒ ン ドウSamskdra
IV
.VA
「
PP 」
とKS
通 過儀 礼V
. ヒ ン ドウ通 過儀礼
の密
教に於 ける受容
1
. はじめ に現
代
ネワ ール 仏 教(
金剛
乗)
は、 仏教徒
の 生 涯 に渉
る密教
的 通過儀 礼
(
SarpskdraS
:Life
−cyclerites
)
を中心 として、 その 社会 に展 開してい る と考
えられる。 カ ース ト制の
受
容
の時期ともあい まっ て、 その文 化 的体系
は14
〜15c
. に確
立 した とされ る。Guru
;アジ ャ リが執 行 する通 過儀 礼は、 ネ ワ ール 仏教一 般 にDagakarma (
十 種の 儀 式)
と言 う。 密 教の解 釈の も とに ヒ ン ドウSarpskdra
(
浄法
:以 下、 浄 法 に基づ く人生儀 礼の体系
を通過儀礼
と称
す)
を受
容 した儀 式で ある。 儀 礼 体系
は十種
、 十三種 等
、 誕 生 以 前の儀 式の有無 あ
るい は、 その 主たる構
成 員で ある (1
)イン ド密教に受容さ れ た
Hindu
Sarpskara
につ い てvajracarya
種 姓、 舘kya
種 姓に よっ て も相異する。V
種
は共通 の儀式
;誕 生 、出家
、還俗
、結婚
の後
、種姓
を証す
るア ジャ リ潅頂
、秘密潅頂
を受
ける(
Gellner
’92
.森
口 「g7
)
。現行の通 過 儀礼は明らか に
12
.c.のKuladatta
編「
Kryfisarpgraha
」(
以下KS
)
に依
拠してい る。KS
の[
浄法
儀 軌]
品、 通 過 儀 礼の体系
は次
の如 くで ある。1
.Yajarndnaglrvada (
祭式発
願者
祝 福 式 ;Yonisarpgodhana
)
2
.Pumsavana
(
男 子出
生祈願式)
3
.Sim
…il
;ltonnayana(
髪
分 け式)
〈DTS
!idna
与 眼の式
>4
.Jatakarma
(
誕生式)
5
.Namakamia
(
命
名 式)
〈Phala
, annapra ≦ana 初食 式 >6
.Upanayana
(
仏 入 門式)
7
.CUdakarapa
(
剃 髪 式)
8
.VratadeSa
(
誓
戒式
:受
聖紐 式)
9
.Vratamok
爭apa(
誓解式
=Samfivartana
X
俗式)
10
.papigrahapa
(
結
婚 式)
11
.Marpdalapravega
(
入 マ ン ダ ラ式)
12
.AcaryabhiSeka
(
ア ジ ャ リ潅頂
;Udaka
,PaficabhiSeka
)
13
.AgrabhiSeka (
最 勝 潅 頂 :秘 密 潅頂等)
。(
SPS
.Vol
.236
.pp218
一
38
)
KS
に、i
面nllppatapustakaprat
adln
甜p
da
≦aya
abhidh 血iy
的(
同上.p216
,3
)
と言
う
。KS
通過儀 礼は、後期密
教の 造 像等
のPrat
域
ha
:完
成式 (
入魂式)
に基 づ い て ヒ ン ドウ の通 過儀 礼 を援 用 して成る もの で ある。MSs
には、 その「
daSa
」 につ い て、3
.5
.7
.10
.にの み体系番号
が付
される。H
,KS
通 過儀 礼の 成立[
1
]
マ ン ダラ、 潅 頂、 造 像等
の儀 礼 を集め た 三種の儀礼 集 成 文 献、Vajravali
(
VA
)
,KS
,Acaryakriyasamuccaya
(
AK
)
が あ る。KS
,AK
はVA
を展 開してい る。智 山学報第四十八輯
AK
はVA
Pratim
亘diprati
顛(
造像 等の完
成 :入魂式
:以下 「PP
」)
をその ま ま集 成して、 最終
品に「
死 者 儀 礼 」を置 く。VA
の 内容構 成 次 第(
森 「95
.a,b)
との 比較に よれ ば、KS
は各
種のマ ン ダラ の提示
の後
、AbhiSeka (
SiSyabhiSeka
「
弟
子
の潅頂」)
、「
PP
:通過儀礼」
、得度式
、 ガナチ ャ クラ etc.と次 第
してVA
が「
PP 」
の後
に弟
子の潅
頂 を配 す る構
成 と相 違 する。 次 第の前 後はあるがKS
はVA
「
PP
」に よっ て密 教の 通過 儀 礼 を集成 して い る。森 論に よれ ば、 密教に お ける水によ る浄化 :聖 別の 儀 式 :「弟子 の 潅頂
」
一「
PP 」
は ヒン ドウ教の神像 沐
浴儀礼
を実質
的モ デル とし、 その影響
の もとに成立 した。
VA
の「
PP
」に9iSyapratiSthiini
iva
pratimadiprati5th5m
apikuryfid
と言う
ように「
PP 」
は、「
弟子
の潅頂」
の儀式
に基づ い て、 そ れを尊像
、 堂塔等
の完
成、 入魂の 儀式
とな した もの で あ る(
森 ’95a
.p51
−55
,’97
.p166
,158
,188
)。KS
の 通 過儀礼
は、 先行
するVA
の「
PP
」によ りつ つ こ の前 半に ヒ ン ドウ の 通 過儀 礼 を配 し、 儀式の後 半 をIL
以 降 :九 種の潅 頂 と 「金 剛薩捶
讃」(
森口 ’92
,p
.23)
に よ っ て成っ てい る。[
2
]
造像新
仏の入魂と同じく
、新
たな る子供
の 誕生 とその成育
。新
た な る子
供の 誕 生に拘
わっ て、 その者
の密教徒
として の成育
という展
望に立つ な ら ば、 その成育
過程
に従 っ た何等
かの儀式、 教育
が密 教 者 :ア ジャリ によっ て模 索 される とい うこと は有 り得
る。 そ こに、 「PP
」
:造像新
仏等
の完
成、 入魂の式
があっ た。「
弟 子の潅 頂 」=髄
yaprat
域h
盃(
「
弟 子の完成 :入 魂」)
一厂
PP 」
は後
期 密 教の 究極
の 目的 :大持
金 剛の本質 (
Mhavajrasvabhava
)
のShaja
の大楽
と、 その 空性
と慈悲の 不二 を 「成就、 入魂」
するこ とを目的 とす
る。 「弟
子の潅頂」
は四衆
に解
放されて はい るが、 アジャ リ と成 る専 門 的修
業 階梯を経て成 就さ れ る儀式
で あ り、 「秘密
の真
理 を解さず
、 堅固な らざる者
、 信 あ りと も許さ れ ざるもの」(
森口 ’91
.p129
.etc)で あ り、 密教 者と して専門の道を歩む者にのみ許された儀式
で ある。又、 ア ジャ リと成るこ とは、
「
我れ無
上最 勝の菩提 心を発起せ ん、 一切 衆生 の 利益 を作
さんが ために、 全て の律
儀 を受
持せ ん。」
(
森口 ’92
。pl5
.etc)
を大 前 (3)イン ド密教に受 容 されたHindu
Sarpskata
につ い て提
とす
る。 ア ジャ リの利他行
の 一つ 、新
たなる造像、堂塔
建 築の 「PP
」が、 本 来の 目的で ある一切 衆生の 利益
、 即ち一般教徒
を密教
の 理想
に導
くた め の儀
式 :「
教 徒の完 成 :入魂
式 」 として援
用 され た。[
3
]
ヒ ン ドウの沐浴
、永
に よ る浄化
とはSarpskdra
:浄法
に摂属
する主要儀
礼で ある。 バ ラモ ンは水 と共に火の 浄 法 通 過 儀 礼 を経て 再生 族(
Dvija
:Brahmajanma
:Snataka
)
と成る。 浄法
の最
も重要
な要素
を なす もの が沐 浴(
Snana )
で ある。 密 教 徒 と しての新
た な る子供
の 誕生 と成育
を模索す
る とき、彼
らの 生活
の場
に おい て習俗
となっ て い たSarpskhra
「
水 に よる浄化 儀 礼 」を基 本 とする ヒ ン ドウ教徒の通 過儀 礼 :「Sarpskhras
」が援
用 さ れ たのは理 の当然
で ある。KS
は密 教徒 と して の一般 者の教 育の 目 的 を もっ て 、その誕 生 か ら成育の過程
にお ける「
密
教の通 過儀礼」
を案 出 した。 バ ラモ ン の土壌に発 して出世 間を 理想
とす
る仏 教
は、 ヒ ン ドウの在 家
主義 (
Grhastha)
:人の こ の世で の在
り方 と、 形 式 :通 過儀 礼 をその最 終段 階におい て密 教 的解釈
の下に受容 す
るこ と と なっ たの である。AK
はこの動向
を知
っ てい た。 その序
に言 う
。「
奉安
完 成式等
の全て の諸作法
は 、金 剛ア ジャ リ に 必須
の儀式
な り、か る が
故
に、 世 間の利益の た めに(
こ こ に)
その相
が説か る。」 [
1
.b
]
そ して、 その関心は声 聞の丘比がい かに して大 乗 ;密教 者と な りう
る か、 成るか を問
う
にあっ た「
bh
晦ulp 吻radhar 毋p
kuruy
且t」(
VA
・=A
[K
)
、 密教 者 ;アジ ャ
リ、 専門 家 と して の 道 に関心 が有 っ た
(
森口98
)
。皿. ヒン ドウ
Samskhra
につ い て(
a>
.Salpsk
加a :浄法
とSarpskdras
:通過儀礼
につ い てPandey
の 解に よればSarpskdra
:清め、浄法 (
中野.Pg
l)
は 、§
uddhi :浄化
、Prayagcitta
:贖 罪、Vrata
:誓い etc。広範
囲に渉る宗
教上 の意
味を内
包 してお り、Sacrament
あるい は、Baptism
の儀式
に対応
せ ら れてい る。Sa
甲sk…ira
は宗教
上の智 山学 報第四十八輯 の は ら む罪を清め る儀
式
で あ る。これ を経ることに よっ て人 は共 同体の 一員と して の資 格 ある者と成る。浄法
の思想
と個
々 の儀礼
はヴェ ーダ時代
以降
、「
Grhyasntra」群 (
800
−500B
℃.HD
’77
.p
.X
iii
)
におい て、 人の生死に 一貫 する儀 礼 と して体系化
さ れ る 。 誕生、 誕 生以 前の式か ら始 まる体 系 と、 体系
の 一 般 :結 婚 式に始 ま り、 その子供
の共 同社 会へ の 入 門式 (再生 式)
、 ヴェ ー ダの 学 習 :梵行の 終 了 式 (帰 家式 )に終 わる体系
がある。 死者 儀礼 を もっ て終わ る体系
は少 ない 。Sarpskdras
は体 系、 儀 礼のま と ま りを英語 文における複 数で示 した語で ある(
P
肌 chapH
)
。 こ れ を こ こで は、Life
−cycle rites
(
Gellner
.p197 )
に よっ て「
通 過儀礼 」
とした ものである。
(
b
)
.通過 儀礼 を構 成 する要素主 た る要 素は
1
.Agni
:火2
.祈 願、祝福3
.犠 牲4
.浄 化:沐 浴(
sndna)
、 嗽口 (acamana )
、 潅水 (abhiSeka )5
.方位 :儀 礼 執 行に係る定 位、 東 北 など6
.象徴
:物
心に係
る象徴 的物
、行為
7
.タ ヴ ー8
,マ ン トラ :呪
術 的 な 力9
.占術 :超自
然の意
志の確
認10
.教 養文
化 的要 素 :社会慣
習、 規則、倫
理の習得
11
.共
同体
の 一般常
識の習得
12
.個
人の 聖化
で ある(
Pan
.Chap
,IV
)
。(
c)
. 火 と水
につ い て前
項 通 過 儀 礼 要素
の内
、 最 も重 要な要 素 を作
す もの が儀礼
の対 象
とな るAgni
:火であ り、 浄 化の儀 礼 その もの で ある沐浴とその水で ある。Agni
:火、 火神
は、 リグ ヴェ ー ダにおい て「
天上 におい て太 陽、 空 中に電 光、 地界に祭式
の聖火 として燃
える。水 中
に もひ そ み、樹 木
の 中に もか くれて 、木
片
の摩擦
に よっ て生 まれで る。 とく
に祭火
として人
間 と密接
な関係
を持
ち、神
界の祭 官、 家庭の賓 客 と して尊ばれ 、 その浄化 力が重んぜ られ た。 ま た神 話 的 には、魔類
を焚殺
する威力
が讃
えら れる」 (
辻 ’70
.p83
)
と言 う。Agni
は ヴェ ー ダ時代以来、「火神 」、神聖 に して至高な るもの で あ り、い ずれ の 浄法
にあっ て も始
め に、 常に、「
家 主 :GThapatiJ
と して祭
火(
Homa
:護摩)
さ れ信仰
され る。ア グニ は病、 魔 類、 邪 霊か らの擁 護 者であ り、 儀
礼
の導師
であ り、倫
理、 道 (5
)イン ド密教に受容さ れ た
Hindu
Samskara
につ い て 徳の擁 護 者で ある。種
々 の浄 法は火神ア グニ によっ て 遂行さ れる の で あ り、 ア グニ の加 護によっ て果た される(
Pan
.chapW
)
。 リ グヴェ ーダ をは じめ とす
る 火神
の賛
歌 はマ ン トラ と して浄法
に おい て唱 えられ る(
後
述、【
E
】
)
。Homa
は 密 教に主要 な儀
礼 :護摩
として受容
される が、 「大
日経」
で は精神 的
な意味
で の「
内護摩」
を強調
して、 ヒ ン ドウ のHoma
を外護摩
として批
判す
る(
後
述V
.[
1
]
(
b
)
)
oApas
:水、 水神 (
女神)
は 、同 じくリ グ ヴェ ーダの アーパ ス につ い て「
最 も慈愛
に富
む母 とい わ れ、宇宙
の母であ り、 妻であ り、 生物 ・無
生物 を産む。 そ の 浄化 力は物 心 両 面にわ た り、 す ぐれ た医療
の 功 力 を発揮
し、 人間
に息災
・長
寿
・財産
・援護
を授
ける」(
辻 ’70
.p66
)
と さ れ る。浄
法
にあっ て、水
は沐浴 (
sn五na)
、嗽
口(
acamana
)
、灑浄 (
prokSapa)
、 潅 頂(
abhiSeka)等
と して 浄化、 祝福
の重 要な要 素を為 してい る。 受胎 :Garbhadhana
の後、 夫は沐浴 しな ければな らない 。 誕生 式に おける子の 沐浴は、 その 子 供の剃 髪式
、 入 門式
に連 なる初頭
を なす
もの であ り
、 その梵行
の終
了 を飾
る式
であ
る。結婚式
は女性
の 唯 一の 浄化
儀 礼でも
ある と言う
。 結 婚 式の始め に男 女は沐浴
を作
さ なければな ら ない 、 又、式
におい て祝福
の潅 水をう
ける。 死 者は火葬 の前に水
で清め られ聖水が潅が れ る。浄法にお い て リ グ ヴェ ー ダを始め とする ア ーパ ス の賛
歌 がマ ン トラ トして唱 えられ る。(
イ ン ド密教
の水
につ ては、森
’91
.cf.)
。(
d
)
.通 過儀 礼の体 系
厂
Manusm
;ti」
は受胎
か ら死 まで30
の通過儀礼
を数
える。「
Grhyasatra
」群
に共通の一
般
的儀
礼の体系
は大
別次
ぎのA
.B
.C
.D
と六項か ら成っ てい る (内容の基本 的解
説につ い て は、渡
瀬 ,第
三章cf)
。【
Table
.A 】
A
− a.1
.Garbadhdna
(
受胎)
2
.Purpsavana
(
月台動)
3
.Simantonnayama (
髪
わ け式
、 母 子健
全祈 願式)
智 山 学 報 第 四 十 八 輯
… 一 … … 一 … 一一一一一一一一一一一
[
前 誕生儀 礼]
A
−b
.4
.jatakarma
(
誕生式)
5
.Nfimakarma
(
命 名式)
6
.Ni5kramya
〈開眼
>7
.AnnaprASana (
初喰式)
一一一一一一一一一一一一._ 一一.一一一.一一.一一一_ 一一一一[
誕 生儀礼 ]
B
− a.8
.Ctidakarana (
剃 髪 :結 髻 式)
9
.Upanayana
:Maunjibandhana
(
入 門式)
一一一一… 一 … … … 一一一一一一一一
[
再生儀 礼 :再生族と成る]
B
−b
.10
.Ke
惷anta (
剃 髭式)
11
.Sam5vartan
(
帰 家 式)
一一一一一一一一一一一一一一一一一一[
成 就 儀 礼 :Snataka
と成
る]
C
.12
.Vivaha
(
結婚式)
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一[
家 長 儀礼]
D
.13
.Sma
螽ana (
葬式)
一 一 一一一 一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一[
死 者儀 礼]
IV
.VA
「
PP 」
とKS
通 過 儀礼 につ い て[
1
]森論文 (
▼95a
)
に よれば、VA
厂
PP
」
は前半
:尊格
の招請
と後半
:[
狭義
の]
プラ テイシ ュ ター(
九種
の ア ビ シェ ー カ)
か ら成
る。前半
は新
し く造 られ た像な どの 沐浴の水と火によ る浄化と三 昧耶サ ッ タと智 サ ッ タの 合一 を修
する次 第
である[
聖 別]
。 後半は聖 別 され た新 像 等に水 潅 頂[
UdakabhiSeka
]
を作 し更に、[
弟
子の潅頂]
で弟子が 不 退転 位 (Pahc
盃bhiSeka
,「
PP
」では誓水等
の次第
は作
さ ない)
を得
て アジャ リ と成 り、 秘 密 等の潅 頂を経
て「
大持
金 剛の本質」
を成就 した よう
に、 八種
の潅
頂 を作
して尊像等
に 「究
極
の本質」
を与
え、 開眼等
の次第
が作
される。 これ が尊
像等
の[
完 成 :入魂
: 成就]
である。要 約すれば、
密教
の 造像
は次
のA
.C
の 二次 第(
通 過儀 礼 との対 照上A
.C
とす る)か ら なっ てい る。A
a.三
昧耶
サッ タの 生起b
.火に よ る浄化
c,
沐浴
によ る浄化
d
.三昧耶サ ッ タと智
サ ッ タ との 合一 一一一一一一一 一 一一一一一・一一一一一一一 一一一一一一[
聖別
]
(7
)イン ド密教に受容さ れ たHindu Samskata につ い て
C
a.
水潅頂
b
,八種
の アビシェ ーカc,開眼 一一一一一一一一一一一一一一一一一一
[
完
成入
魂]
[
2
]
KS
通 過儀 礼 につ い て(
a)
.KS
「
PP 」
は、 上記VA
の[
聖 別]
、[
完成]
の両次 第に、 ヒ ン ドウ通 過儀
礼を配 して一般教徒
の 誕 生、 成 育、 仏 教 教 育、結婚
、持
金剛
の本質
の授与
と言 う
人 生の 通過儀礼
として構
成す
る。大
別、次
ぎのA
.B
.C
.であ り
、[
VA
「
PP 」]
を対 した。【
Table
.B 】
A
− a1 .Yajamfin
五§irvAda
(
Yonisarp
惷odhana)
.2
。Pu
耳1savana .[
A
.a]
3
.Simantonnayana
.<D1StidEna
>.[
A
.b
〜d
,C
.c]《
誕生前の儀礼
》
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一『
聖別A
』A
−b4
.Jatakarma
.5
.Namakamia
.〈Phala
,Annapr59ana
>.《
誕生儀 礼》
B
− a6 .Upanayana
.7
.C
亘4
訓(arapa8
.Vratade
≦a.《
密 教 入門儀
礼》
一一一一一 一 一一一一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一『聖別B 』
B
−b9
.Vrata
nok §apa (
Samavartana
)《
還俗式》
B
− c10 .papigrahapa
.《結婚式》
一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一 一 一 一 一 一一一一『
聖 別C 』
C
− a11 .Ma 奥
alaprave 螽a.《
入マ ン ダラ》
C
−b12
. 双caryabhi5eka :Udak
互bhi
謦eka ,Pafic5bhiSeka
.[
C
.a,b
]
C
− c13 .AgrabhiSeka
.[
Cb
]
一 一 一一一一一一一一一一一一一 … 一 一 一『
持
金 剛の完
成』
A
− al ,2
.祝福式 (
受
胎)
、 出生祈
願式 (
胎動 )
はVA
,A
.a に相当
する。3
.髪
分 け式(
母 子健 全 祈 願 式)
はVAAb
〜d
の次第
であり
、 金剛
界成身会
の諸尊
を配 する沐浴
壇の準備
の 下 に尊前
除障
、沐浴
を作
し、 三昧耶サ ッ タ と智 サ ッ タ の 合一の 主題 が作
さ れ る。新婦
の 胎に諸尊
が降 臨して種
字と して定 留 する。 こ れに続い てVA
,C
.c与 眼を作 す(
誕 生前の儀 礼)
。 密 教に おい て完
成さ るべ き尊
格
、 人格
の 誕生が待
た れ る[
聖別A ]
の段
階で ある。A
−b4
.誕 生 式 :密 教徒
として生 まれ た者
として、5
.金 剛名
が授与
される。 誕生儀礼
として別項
し た が[
聖別A
]
に摂 属 する。智 山学報 第四十八輯
B
− a密 教入 門の儀 礼 :ヒ ン ドウの 再 生族 と な る 主要儀礼を受 容 した儀 礼が 作さ れる。 密教 者 と して 入 門 が 許 可 さ れ た段階 として第二 の[
聖別B ]
である。B
− c 結婚 式 :B
−b
を経て、家長(
Grhastha
)
:在 家 と して最も重要な子孫
繁栄
の為
に結婚
をする。後
期 密 教の秘 密の性 的儀礼 に欠 くことの 出来
ない畆
akti
(
Yogini
)
の 問題に対す
る批判
が同時代
に有
っ た。在家
の倫
理と して限定
さ れ た 妻を持つ こ とで 第三 [聖 別C
]である。C
− a〜c11
.入マ ン ダラ式以後 、 水 潅頂 と八種の潅 頂 を作 す。 か く して 「究 極の本 質」が入 魂さ れて一般 教 徒 と しての 密 教の 人格が 「完
成」
す る。(
b
)
.KS
通過 儀 礼の 思 想以下、 「
PP
」
の儀式
に従
っ て作
されるKS
通 過 儀i
礼の 密 教 思 想を把 握 する意図 の下に各
儀礼の 要文の訳 を掲 げる。「
沐
浴 壇の マ ン ダ ラ」
は金剛
界成身会
の五 仏と諸菩薩
、賢劫尊
が描
か れ る(
「
秘密 集 会 」に基づ くVA
「
PP
」と異にする。 森’95
.p32 )
。 全体
の通 し番 号を付 し行 間は連句
で無い こと を示 す。 〈3
.5
.7
.10
>はMSs
に残
さ れ る通 過儀 礼の番 号で ある。C
− c最勝潅頂
は簡略
に して偈頌
を欠
く。1
.YajaTnfinaSirvada
:祭式発
願者祝福 式 (
Yonisam
皿60dhana
:秘 処 浄 化)
如 来の 自性な る もの 、 その
自
性が この有 情 世界 な り、如
来は無 自
性な り、 こ の有情 世界 も又、 無 自性 な り。(
1
)
虚 空に遍 満 した まへ る一切諸 仏 、 遍行せ らる る諸 菩 薩は、覚 者の 作 られ たる この
室 (
胎)
に集会
さ れ給は ら んこ と を。(
2
)
2
。Pulpsavana
:男
子 出生祈
願式
一切
等
正覚
者が トシ タ天 に住せ られ、 マ ヤ夫
人の 胎に(
世尊
が宿 られた却
く、まさにその 如 く、 この 者の 胎に
(
尊
き子が)宿
りたまへ 。(
3
)
諸仏 よ我 れ を護 念 し た まへ 、無尽の方 処に住 した まへ る方々 よ、
我
れ某
甲な る名
の金 剛女、 我れ諸尊
を産みたて まつ らん。(
4
)弟子
等
の哀 愍の た め、 衆生利益の種々 の因に基づい て、種
字
よ り成れ るもの、大智
なる ものを加持
し賜
は んこ とを。(
5
)
(9
>イン ド密 教に受 容さ れ たHindu Sarpskaraにつ い て 〈
3
>Simantonnayana
:髪分 け式
弥勒尊
を上首
とする最 勝の菩薩
であ
られ る方
々 、 僧 院の寂
静に生 きられ た方
々 に よっ て称讃
されたる こ と、諸
々 の有情
の 全て の過 失 と闇翳の除滅の(
慶び)
が存
る 、 その吉 慶が、 この 最勝
なる潅頂
に て汝に有れ か し。(
6
)
鈎や索、 鎖や最勝の鈴
を手
に さ れ、鈎摂等
の種
々 の利
益 と善
き業にふ さわ しき、 四門
の主に よ り、 或は又、 空 その もの の歌(
菩薩等 )
が(
讃
える)
その吉 慶が、 こ の最 勝なる潅 頂に て 汝に有
れ か し。(
7
)
一切
の如来
が 誕生 される や直
ちに沐浴 された る が如
く、 ま さに我れ、 汝を清 浄に して神
聖 なる水
もちて 沐浴せ しめ ん。(
8
)
世尊
よ、某
甲 なる最 勝 金 剛に して智王 な る方
よ、御 身
に帰
依 したて まつ る、尊
主よ、御 身
に、完成式
の ため の 慈 悲の本質
を作 し賜は んこ と を請 う。(
9
)
世尊
よ、弟子
等の 哀 愍の た め に、 又、御 身等
へ の供養
と、 我が敬 信に対 し て仁 慈を賜は ら んこ と を。(
10
)
一切の等
正覚者
が トシタ 天 に住せ られ たるが如
く 、 マ ヤ夫
人の胎 に(
世尊
が宿 られ たる)
如 く、 ま さに こ の者 (新 婦 )の胎に(
尊き子が)
宿 りた ま は ん こ とを。(
11
)
尊主 は、 こ こ に常 恒に留
ま りて、我が これ らの 花 を享受
され 、家住
の某 甲
なる者
の 利 益の為、 菩 提 心を成 就せ しめ たまへ 。(
12)
諸仏
に して、有情
の衆
を利
益 な さる る方々は、 我 れを護 念 したまへ 、 果 に住 され る方々 、 諸 菩薩
と その他
の マ ン トラの 諸尊
と、(
13
)
諸 神 と、 世 間護 と、 ブ ー タ と、 等正菩 提の教 師方 と、教法
を欣ぶ者、衆 生、その他の金 剛眼を有 する者は(
我れ を護念 した まへ)
。(
14
)
某
甲なる我
れ、大持金剛
なる(
ア ジャ リ)
は完成式
の儀軌
を忠実
に、智 山学報 第四十八輯 世 間の 衆 生の 浄 化の ため に、 全
力
をもっ て作 さん。(
15
) 我 が 有 徳の弟子 (
新婦 )
の利
益 と、哀
愍の為
に、 全て の(
徳)
を具え
ら れ し方々 は 、 この者
に降臨
し賜は んこ と を。(
16
)
今
日 、我
れに実 り多
き受生 、 実 り多
き生命
とは与
えら れ たり
、 我 れ、 三昧耶 なる諸尊
と平等
と成れ るこ と、疑念
な し。(
17)
菩提の心と一体と成れ る我れ 、不退の者
と成 らん、 今 日、 如 来の 眷属 として生 ぜ るこ と、 我れ に疑 念な し。 (18
) 今 日は こ れ 、我が 最勝の 日な り、今 日、 我が た めに最極の 祭 式は作 され た り、今
日 はこれ、 我が最上の 日な り、 一切 諸 仏を祈 請 して諸尊の降
臨 あ り 。(
19
)
真
言師
の 説 けるすべ て の事
を、 儀 軌の如
くの供養等
として作す
べ し、 然れ ばこ こ に、 大い な る祭式
の 果の現出 は疑い 無かるべ し。(
20)
*Drstiddna
:与眼の 式 雷 斧を手 に せ る(
金 剛菩薩)
と持
金剛
王 と 吉 祥なる金 剛愛
と 、最勝な る喜
笑(
金 剛) とによ る、 阿閖
王 な る善
逝 の大安
楽へ の(
吉慶)
あ り 、 その吉 慶 が、今
日、 こ の最勝
なる潅頂
に て汝
に有
れ か し。(
21)
我れに よ りて 、 子よ、 汝の 無 知の 翳 膜は除 か れた り、 籌を持せ る医王が、 世 間の 者の 眼翳 を(
除 か れ た る が)如
く。(
22)
〈5
>Namakarrna
:命名 式有情
の宝
、 最 勝の法
、 一切の業 、 金 剛(
ハ ラミツ)
の印
の従 者 を伴い て、普
く示
される尊
に して、有苦
を除滅せ られ た る大日如 来の(
吉慶 あ り)、 その寂 静なす 吉 慶が、 今日、 汝に宥 れ かし。(
23)
*PhalaprtiSana
:初食 式吉祥
なる金剛護
、最勝
なる薬
叉、 金剛手拳 (
業)
と、 (11
)イン ド密教に受容され た Hindu
Sarpsk
…iraにつ い て 合 縛拳
の尊
を伴
える、 不 空成 就 如 来の 利 益作 す、 勝義
成就の吉慶
あ り、 その 寂静 なす 吉慶が、 今 日、 汝に有れ か し。(
24
)
6
.Upanayana
:入 門式
大楽
、 大貪
に して吉祥
なる方
、 一 切 世界
の主、 一切衆 生の 心 識に遍在さ れ 、 一 切衆
生の 心に住 される方、(
25
)
一 切 衆生の 父に して、 最勝
諸 戒 を持するが故に欲楽
の上首
な る方
、 主よ、 こ の 真 実に よ りて、 我れ に欲楽
の妙義
を円成せ しめ た ま へ 。 (26
)法
界を加持
せ んが故
に、 三昧
耶を憶念 思 惟せ ん が故 に、 一 切衆
生へ の 哀 愍を もっ て、 一切の成就 を叶 えしめ た まへ 。(
27 )
〈7
>CUdakalana
:弟叮
髪
金剛鋭鋒
の蓮華
を手
にされ、 ビシュ ヌ の最 勝の語 言を有せ る方、観 自在善
逝に して、安 楽を自性 と さ れ る方の吉 慶あ り、 その吉
慶が、 こ の最 勝 潅頂 に て汝に有
れ か し。(
28
)
如意
宝(
髻)
を蓄
えら れた方、 勝 者の 光 輝 ある方、如
意幢
なる方、 最勝の 笑い を悦ば れる方に よる、 吉 祥宝 生勝者
へ の親
近供養
に対 しての 吉慶 あ り 、 その吉 慶が、 こ の最勝な る潅頂
にて 汝に有れ か し。(
29)
これ は是れ、 一切 諸 仏の 三界
に渡
りて敬礼
する とこ ろ の もの な り 、汝等
には、 供養の ための 五仏の 族よ り生 ぜ る冠な り。(
30
)
8
.Vratade6a
:受 聖 紐 式 これ は是 れ 、一切諸 仏の 智の 顕 相に し て最 勝なる もの な り、無
性な る法
性におい て 標 相の 体 を顕 示され しもの な り。 (31
)衆
生の利益
を作
すこ と、 必定
に して常
なり
、 まさにかく
の如 く
の了解
に よ りて、 仏 性 を得
る に至る もの な り。(
32)
智 山学報第四 十 八輯
9
.Samavartana
(
VratamokSapa
)
:還 俗 式(
誓 解式)
菩提
心よ り生 ぜる尊
、 一 切 諸仏、 三世に渉 りて 往住せ らる る方、 諸 菩 薩、 大薩 捶、 独 覚 方 と、この 生 の弟
子等
とは、(
33
)
無 自性に して無所
縁、 一切衆
生 同一生 因な る ものな り 、 真 如 平等
の智、菩
提の心 ある者
なり
と見
なさ る る なり
。(
34
)
<10
>papigrahapa
:結婚式
金 剛 嬉や、最
上の花鬘
、歌舞 (
の菩薩 )
、 華、香
、 最勝の灯、種
々 の 塗香 菩 薩の 、無等
に して無
垢なる讃歌 と供 養による吉 慶 あ り、 その吉 慶が、 こ の最 勝 潅頂に て汝に有れ か し。(
35
)
これは是れ、如
来の印
に して、 智慧の光 を輝 かす もの な り、(
新
郎、 新 婦は)手 に手 を取
りて 仏陀の御業
を転ず
べ し。(
36
)
11
.Map
φalapraveSa :入マ ン ダラ式 持 金 剛に よる諸 仏へ の潅
頂は、 衆生 を救
は ん が為(
にな さ れ)
た り、 諸 徳の源が与え られ た る如 く、 こ の者にも(
そ れ を)授
けたまへ 。(
37
)
12
.Udakabhi
§eka :水潅頂
〈AcaryabhiSeka
>諸
法
は因
より
起れ る ものな り、 如 来はそれ らの 因を説 きたまへ り、 又、 こ れ ら諸法
に滅 あ りと、 大 沙門 は説かれ た り。(
38)
利 益なす 最 勝の ク シ ャ草(
浄具)
なる もの 、 福 徳 なす事業
な る もの 、 聖衆
の 意に適 える もの 、 そは、 世尊
に して牟 尼、 釈 迦獅子
が 全ての衆
生 を(
救
は ん が為
の 浄具)
なり
、 その吉慶
が、今
日、 この最 勝潅
頂に て汝にあれ か し。(
39)
一切の如 来が誕生 さ れる や直ちに沐 浴 され たるが如 く 、 ま さに我れ、 汝を清 浄に して神 聖なる水を もちて沐 浴せ しめん。(
40
. =8
)
*Vajrabhiseka
:金 剛潅頂
(13
)イン ド密教に受容さ れ たHindu
Sarpskara
につ いて諸仏
の金剛杵
の潅頂
により
て、今
日、汝
は潅頂
せ られた り、 これは是 れ、 一 切仏 性 そのも
の たり
、汝
、勝 成就
のため金剛杵
を執持
せ よ。(
41
)
V
. ヒ ン ドウ通 過 儀礼の密
教に於け る受容
[
1
]弟子
の潅頂
と通 過 儀礼 につ い て(
a)
.イン ド後期密
教の弟子
の 潅 頂 と「
PP
」はおよそ 同一構造
か ら なっ てい た。弟
子の潅頂儀礼
の水
に注
目 した森論
の指
摘 する とこ ろ、 潅頂 儀礼は前半
、 水に よる浄化と誓水 [準 備 ]と、 後 半の水の 潅頂[
UdakEbhi
§eka]
を基本 と し て い る(
森
「95a
.p51
−52
,97
.p159
,cf.桜
井p316 )
。 初は[
聖 別 :法 器(
「
大 疏 」国 訳 経 疏 部15
.p171
)
]
と為
すた めの 浄化で あ り(
桜 井pp324
−8
,引入1
,H
)、 後はその者を密 教の 本質
に導
き完
成す
る式
:[
成 就]
である。弟子
の 潅頂
の ア ビ シ ェ ー カの水
の意味
は当然
、沐浴
;浄化
の水
とは異
なる。「
大
日経」
に「
潅
頂
の時
に、 摂 意の音楽吉
慶 伽 陀 等の広多
の美 妙の言 を奉れ、 是の如
く供養
し て 、 歓 喜 を得 せ し め 已 り、親
り諸 の如 来
に対
し て 自ら そ の頂
に潅
げ」
(
T
.848
,P12a
)
と言う
。VA
の潅頂
は、 祝 意の傘
蓋、 華、 香 等が雨と降 り潅が れ る中、 金剛女 達が瓶水
を吉慶
の歌
と共
に弟子 (
の頭頂)
に潅
ぐ(
Abhiseka)
と観
想 する。 こ の水は沐浴
:浄化
の水
で は無
く、弟子
へ の 聖 性の 付与 [
法 器]
後の 、 「吉 慶讃 に より 吉 慶へ と導
か れる」弟
子に潅が れ る「
菩提心
を本 質
とす
る甘露
の金剛水」
であ る。 ア ジャ リも又、 その水を 「金 剛杵の先 端に結び付 けられ た小 枝 」か ら弟 子(
の 頭 頂)
に 滴 ら せ る 。弟
子 は こ れ に よ っ て大 楽
を得
る(
MahdSukkhasarnapa
皿 a)。 潅 頂の水は吉 慶、 祝 福の そ して秘密の 大 楽の 感得 を象
徴 する水である(
桜 井p333
)
。造像 儀 礼 :
VA
[PP
]、KS
通 過 儀礼では[
Udak
曲hi5eka
]
に おい て「
一 切 如来 が 誕 生 に あた っ て沐 浴 (
snapita)
さ れ た よ うに、 汝 を沐 浴 せ し め ん(
snapayiSyfirni)
」(
8
=40
)
の伝
承の 要文と ともに金 剛水
を潅
頂す
る 。 潅 頂 と沐浴
の両者
の 意味
が込
め られる如
くであるが、こ の句
は釈尊
誕 生の吉
慶の再現
を 象 徴 して 、受
者、新
像にか く有 れと祝 するも
の で ある。宝
冠、金
剛杵
、金 剛名
智 山学 報第四十八 輯 の授 与
等
もア ビ シェ ーカ と称する ように密教はその本 質を象徴 する水 あるい は物
を もア ビ シ ェ ー カの 概 念に解 して[
Abhiseka
]に よっ て 自己の理想の 本 質を確
認 しつ つ 成 就 する。秘
密
の性
的儀礼
で あるVA
の潅頂次第
:[
成就]
の後半
で は、 秘密潅頂
、般
若
智 潅頂、 第 四潅 頂 を了え
て弟子
と般若
母は手
に手
を取
り、 それ を諸如来
が承
認 する(
桜井p343
,KS
.AK
.「
PP
」)
。手
に手
を取る所 作(
Papigrahapa)
は リ グ ヴェ ー ダ時代か らの 結 婚 式の伝
統 儀 礼である(
辻’70
.p245
<17
>)。「
P
…iraskara
」Grhyastitra
(
PGS
)
に よれ ば結 婚 式、 式次 第に おい て 、Mardhabhiseka
、Mindhabhisifichana
が な さ れ る(
辻 ワ7
.X
皿 §18
.23
,Pan
.p220
)
。 結 婚 式に頭に潅 ぐ水 は当然、 聖 性 を象
徴 してお り祝意
の水で ある。 弟子の潅頂は後に述べ る ように、 日常で 身近 な結
婚 式儀
礼 等 ヒ ン ドウ通 過儀礼
か らの諸要素
を受容
してい る。(
b
)
.KS
は先
の如 く弟
子の潅頂
と「
PP
」
に従
っ て ヒ ン ドウ通過儀礼
を明白
に受
容 して い る。 「大
日経」
は ヴェ ーダの護摩法
:ヒ ン ドウの 通過儀礼
の 中で行
なわれ る四十四 火法 (
疏
は浄 、不浄法
と解 してい る)
を外 護 摩 と して批判 し、 密教 出世間の 内護摩
を説 くにあたっ て一 々 の 通 過儀 礼名
を掲げてい る。即ち次
ぎ(
番号
と「
大疏」
の解
〈補
訂〉 を付す)
の如
くで ある。【
Tab
豆e.C
】
1
.胎 蔵に置 く:婦を娶 り く種を母〉胎 に置 く:(
受
胎)
3
.身
を澡
盥し、浴妻す
:〈受
胎後
、 六月に して 〉矢
が く妻
の 〉髪
を結
び相
と為 す :
(
髪
わけ式)
4
.子
を生じて後
:七 日の後
、妻
を浴
し、父母髪
を解
く5
.子
の為
に初め て名
を立つ :仙 人を請
じて名
を立つ :(
命名式)
7
.飲食
の時
:子喫食
〈す
るにあ
たう
〉時
、 蘇等
を加持
し瞰 せ しむ :(
食初
め
式)
8
. 子の為
に髻
を作
る時
:子 漸 く長 じて 胎 の 毛髪
を剃
る時、朱荼
〈cndfi 髻〉を
留
む :(
結髻式)
9
.禁戒を受
る時 :童
子 漸 く長 じ、 本 族の戒 を与 え持
せ しむる時
なり
。文 闍草 〈mufija :箭竹に似る〉を治 して縄 と作 し、 三股線に して
身
に繋
(15)イン ド密教に受容さ れ た
Hindu
Sarpskara
につ い て背
に絡う
。 曲杖
(
三岐
杖)
、 軍持
くkupqa
を持せ しめ 〉、鹿
皮を被 す、 その服、 戒に
依
る :(
入門式)
11
.禁 満 ちて牛 を施 す時 :持 戒 して十二年常 に乞
食 曳 ヴェ ー ダの法
を学 し、十二
年
を満じて梵種
を出ず
。時
に師
の恩
に報
い んが為師
に犢子
を施す
:(帰 家 式
)
12
.童 子の婚 媾の時 :妻 を娶る 因縁
を説 き、梵種
を継
ぎ存す
こ とを教
え彼
を加
護
して、 火 神梵
天の 本 呪を誦 す :(
結 婚式)
(
経
.T
.848
.p43a
,大疏 国訳
15
.p652
)
こ こに焚
かれ るヒ ン ドウ祭
火 を 「大
日経」
は次
ぎの如
く批判
して い る。「
我れ往昔
の時
に於
い て 諸火の 性 を知
らず して 諸の護摩
の事
を作 しきか れ護
摩
の行
に非ず能 く業
果 を成ず
るに非ず」 (
T
.848
.p43b )
「
内 護摩
は業
生 を 滅 除す
… …妄
分 別 を焼
除 して浄 菩 提
心 を 成ず 」
(
T
.848
.p44a
) 「大疏 」に これ を、「
外典
に浄行
〈Sarpskara
>囲陀 〈Veda
>論の 中に 、火祠の法 有 り、然 も大乗
真
言 門にも
亦 火法有
り、 爾る所 以は 一類
を摂伏
せ ん が為
の故
に 、仏因陀
くveda >の
事
を以て、而
も之れ を摂伏
す。然
も其
の義趣
は、猶
し天地の相
い 並ぶ 可 か らざるが如 し
」
と言 う(
以下、 「和」p651
,cf.p129 )
。ホーマ の
祭
火 は浄化
の水
と共 に、 ヒ ン ドウ 通過儀
礼 に欠 く可 か らざる聖化の 要素
で あ り、弟
子の潅頂次第
にあっ て も投花得
仏分 に息災護摩
、潅頂 終結部
に マ ン ダラ諸尊
の献 供 奉 送 :儀 礼の完 結を祈る式 と して行う
。「
大日経 」に受
容 され たホーマ 祭 火は ヒ ン ドウ のそ れ とは意味 を異に して「猶 し天地の相い 並ぶ 可か らざる が如」
き ものなの であ
る。(
c)
.「弟子の 潅 頂 」の 基 本構 造は森論 著に明らかな如 く 「大 日経 」以来、 後 期 密教の 潅 頂に至る展 開に一貫 してい る(
「97
.ppl59
−70)
。 密教の 弟 子の 潅頂 とヒ ン ドウの 通過儀礼
を対
比 する時
、次
ぎの ことが考
えられ る。密教は時代の 中で、
自
己の理 想 を提 示 する ために ヒ ン ドウの水に よ る浄化 そ智 山学報 第四十八輯 の他、 潅 沐者
(
SnEtaka)
とな る まで の 再生 、 成 就儀 礼をベ ー ス と し、 そ れ を密 教に とっ て の[
聖 別 :法 器]
として下位の 次 第に位 置付 け、 仏 教 化、 よ り上位 の儀礼
として の密 教の[
Abhiseka
]
とし て転 換、即 ち、諸 要 素の 受 容 と意 味の 変換、 独 自の儀 礼の加 乗等
を計
っ たの で は ない か。弟
子の潅
頂に は ヒ ン ドウ通 過儀礼
、特
に その「
入 門式
」 と「
帰 家 式」
に具体
的 な対
応 が見
られる。[
2
]
Snaiia
−Sn
且taka か らVajrasattva
:V
{噸radhara へ(a).「大 日経 」 弟子の潅 頂 要項 ヒ ン ドウの 通 過儀 礼と
弟
子の潅
頂の対 応 を[
法
器]
か ら「
密 教の本質
の成就」
へ の構
造におい て見る時、 その背景、 前提 と して ヒ ン ドウ通 過儀礼
の水
と火に よる浄化 を基本
とする 入門式 (
聖別 :再生)
と帰家式 (
成 就)
の主 要 な要素が弟
子の潅頂
に受容
さ れてい る ことが分か る。ヒ ン ドウの 再生儀 礼 :入 門
式
とその学
生期終
了の 帰 家式の 要 項 と主 た る内容 を検 討 するた めに、 「大 日経 」の 弟子の 潅頂 要項(
大塚 .次第番
号cf)
を掲げ れ ば次 ぎの如 くで ある。【
Table
.D 】
A
.第
六 日初夜
〈
17
>1
.弟 子 摂受
2
.師弟澡浴
3
.着新浄
衣4
.三処 加 持(
大
疏)
5
. 三帰
6
.懺 悔7
.供 養8
. 三世 無 障礙 智 戒授 与9
,歯 木授 与10
. 金剛線授 与ll
.ア リシ ャ偈12
.供 養 〈18
>夢
想 一一一一一一一一一一一 一 一一一一 一一一 一一一一一一一一一一一一一一一一 一[
法
器1
]
B
.第七 日〈
21
>師弟澡浴
<
22
>着新 浄衣 (
大疏)
(
<19
,20
>占夢
、 弟子 勧 発)
〈
27
>香水
灑 浄〈
28
>誓水
授与
〈
40
>5
〜7
. 三印
結 護9
.覆面 <41
>投 花 得仏一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一一開眼〈
42
>息
災護 摩〈
43
>襯 施 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一[
法器2
]
C
。〈44
>潅頂
7
.瓶潅頂
10
.臂 釧 指環 (
大 疏)
11
.金 箆12
.明鏡13
.法 輪 (17)イン ド密教に受容さ れた Mndu Sarpsk…iraにつ い て
14
.法 螺 一一一一一一一一一一一一一一 一一一一一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一 一一一 一一一一一一一一一一一一一一 一 一一一[
成就]
<45
>傘
蓋行
道<
47
>護 摩〈
48
>発遣(
大疏)
(
b
)
.入 門式 と帰家 式の次 第
要項水
と火
による浄化
の 思想と儀礼は、 ヒ ン ドウ浄法
の重
要な要素
であ り
、 ヒ ン ドウ通 過 儀礼 とその文
化の 根 源にある もの である。 バ ラモ ン族
は誕生 以来
、 人 生 通過 儀 礼の各
段 階の 日常におい て水
と火 の 浄化
を受
ける。師
下 入 門の後
、沐
浴、 聖紐 等を受 け,サ ー ビ トリ ー と師
を母 、 父 と し て再
生 する(
Brahmajannma
)
。 学生 と し ての梵行 (
Brahmacarya
)
を了
え帰
家式
を作
し、潅 沐者
[
Snataka]
と称さ れ る。 以下 の次 第
の 具体
はPdraskaraG
.S
.等のG1hyasatra
を資料 とした
R
.B
.Pandey (
Pan )
により
、P
.V
.Kane
(
HD
)
の記
述 を補っ てなるもの である。
【
TableE
】
A
.入 門式の前 日 :天幕等
の準 備の後
、Ganega
を始
め とする諸神
を祭
る。弟
子は当夜
、再
生へ の準備
の儀
として身
体を黄色 に塗 り、 頂髻
に付
けてい る 銀の輪を取 り去 り、 一夜
を無言
のう
ちに過ごす
。B
.式 当日1
.母との別れの朝食
2
.祭
火 の ある天幕
に おい て末 剃 髪の 者は剃 髪 し、既 に了えて い る者は髻を調 える。
3
.沐浴
4
.腰布 (
Kauplna
)
を着 ける5
,師下に行
く6
. a.師
上下衣 を授 ける(
Utta
百ya
,Vasasu
)
。B
haspati
がildra
に授 け
た不
死の 衣、
本
来は鹿の 皮。 バ ラモ ンはKasaya (
赤衣 )
と決
め ら れてい る。b
.腰 紐(
Mekhala
)授 与
:純潔
を象徴
する。Mufija
草 を紐 と して 三本を撚 じたもの 。 三は三 ヴェ
ーダを