九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研 究
森山, 聡之
https://doi.org/10.11501/3065636
出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
1 9 9 3年 1月
森 山 聡 之
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
献辞 序 第1章 緒論
第2章 降水レーダによる降雨の解析 第2. 1節緒言
第2. 2節降水レーダの原理 第2. 2. 1項 レーダ方程式
H次
第2. 2. 2項 雨滴の粒度分布と降雨強度 第2. 3節 降水レーダによる豪雨の定性解.析
第2. 3. 1項 使用した降水レーダおよびデータの諸元 第2. 3. 2項 198 8年九州中西部豪雨の定性解析 第2. 4節画像処理の手法を使った降I:H域追跡法
第2. 4. 1項 残差逐次近似法による降雨域の追跡手法 第2. 4. 2項 198 6年の鹿児島豪雨の挙動f拝析 第2. 5節波数空間フィルタリングによる降雨の定量予測
第2. 5. 1項 カルマンフィルタ一理論
第2. 5. 2項 一次フィルタ一理論と二次フィルター 第2. 5. 3項 FFTによる降雨データの解析 第2. 5. 4項、 降雨の笑データの解析
第2. 5. 5項 2次元への拡張理論と問題点 第2. 6節結語
第3章 洪水位のオンライン予測 第3. 1節緒言
第3. 2節基礎f 第3. 3節予測モデル
第3. 3. 1項 河道に2個の水位観測点が存在する場合
第3. 3. 2項 河道に3個以上の水位観測点が存在する場合 第3. 3. 3項 支流に水位観測点が存在する場合
ヘ ーン
1-1
2-1
2-5 2-8
2-9 2-12 2-15 2-16 2-18 2-20 2-21 2-26 2-34 2-39 2-49 2-52
3-1 3-2
3-5 3-7 3-8
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
第3. 4節 カルマンフィルタ ーによる洪ノ州立の予測 第3. 4. 1項 予測モデルへの適用
第3. 5節実流域における予測計算結果とその考察 第3. 6節降水レーダを用いた流出予測
第3. 6. 1項 計算f
第3. 6. 2項 レーダ雨量の精度の検討 第3. 6. 3項 最上流域の計算
第3. 6. 4項 全流域を用いた予測計算 第3. 7節結語
第4章 降水レーダによる上石流発生予測 第4. 1節緒言
第4. 2節降雨による土石流発生限界の理論
第4. 3節桜島の河川における上石流発生の限界降雨 第4. 3. 1項 使用データ
第4. 3. 2項 発生限界の考察
3-11 3-12
3-17 3-19 3-22 3-27 3-36
4-1 4-2 4-6 4-7 4-8
第4. 4節土石流発生確率 4・19
第4. 5節 ニューラルネットワークによる土石流発生予測 第4. 5. 1項 ニューラルネットワーク理論
第4. 5. 2項 簡単なニューラルネットワークの学習機能
第4. 5. 3lJ! 模擬降雨モデルによる検討 第4. 5. 4項 実際のデータ におけるfìJ!lJ 第4. 6節 結語
第5章 降水レーダ情報データ ベース 第5. 1節緒壬
第5. 2節 プログラム開発環境について 第5. 2. 1項 開発ノ\ードウエア 第5. 2. 2項 開発ソフトウエア 第5. 2. 3項 開発の経緯 第5. 3節レーダ標準フォーマット
第5. 3. 1項 RAPフォーマットの構造
4-23 4-25 4-28 4-29 4-30
5-1
5-4 5-6 5-8 5-9 5-10
降水レーダを月1いた水文現象の予測手法に関する研究
第5. 3. 2項 レーダ標準フォーマット表示プログラムMacBrowser 子11 第5. 3. 3項 通信回線を用いた検索とデータの転送 5-18 第5. 4節降水レーダデータ解析のための画像処理システムIMPACT 5・20 第5. 4. 1項 画像型と画像オブジェクト 5・20 第5. 4. 2項 画像処理プログラムの詳細 5-22
第5. 5節結語 5-24
イ寸安是 RAPフォーマットノてージョン1.0の詳京国 第6章 結論
謝辞 参考文献 記号の説明
5-25 6-1
献辞
今はもう亡き父と私を支えてくれた全ての人にこれを捧げる。
序
199 0年は日本の気象観測史上において、 かなりの記録が書換えられた年で あった。 これは、 人類の活動のスケールが拡大し、 地球の大気圏内の全ての自然 現象がなんらかの影響を受けていることによるものと思われる。 勿論、 これに対 しては種々の異論もあるが、 今の時代の地球の状態はパラオ共和国の古老が私に
語った次の言葉に象徴されると思う。
「昔は季節によって吹く風の方向が決っていたが、 今は全く予想、がつかないJ
我々はもう予測不可能な時代に突入したのであろうか?黙示録をはじめとする 預言はこの9 0年代のことを指しているものとも言われている。
事ここに至っては、 取り返しのつかない状態かもしれない O 少なくとも、 今ま での観測データをもとにした極値統計などは役に立たないものと覚悟しなければ ならない。 河川計画上においては数十年しか観測がなくても150年確率で計算し たりしているが、 観測期間より長い周期で起こる事象に対しては極値統計では予 測不可能である。 仮に 150年確率を計算するのに千年分のデータが存在したとし ても、 地球環境という母集団が変ってきてはどうしようも無い。
それでも現代に生きる我々は、 自然、災宍:に対しては無ノユではない。 数百年間蓄 積されたデータや数千年蓄積したノウハウは無駄ではない。 極イ直統計は役に立た なくても、 例えば著者に恩11染みが深い豪雨災害に関しては「これぐらいの雨が降
ればこれぐらい水位が上昇する」という計算は可能である。 勿論、 山地がゴルフ
場に変ったり、 田畑が住宅地や工場に変ったりした場合には、 そのまま従来のパ ラメータは使えないが、 本論に述べる)J法ではある程度の修正は雨が降り出して からでも可能である。 完全に過去のデータに頼らず、 事が起こってからでも対応 できる柔軟なシステムを作ることが我々水文学者の責務であろう。
現在の日本の行政のシステムのように防災の担当者が数年毎に変るようでは非 常に問題がある。 これでは 、 柔軟なシステムどころか右も左もわからない人間ば かりになってしまう。 折角のハイテク装置もわからない人間だらけでは、 故障さ えも発見できない O これに対しては、 エキスパートシステムを使った計算機で柔 軟に対処しようという提案もあるが、 確かにエキスパートシステムに入力するル ールを見ればブラ ックボックスでないかもしれないが、 ルールが何百と増えて計 算機が勝手に新しいルールを「発見Jしたらどうするのだろう。 そういうシステ ムの動きをチェ ックするためにも、 むしろ人間を育てる対話型のエキスパート教
育システムの方が必、要だと思う。
学者の使命には 、 「真理を探求することjの他に「良いものを作ること」も あるはずである。 真理を追及するために「こだわりJが必要な場合でも 、 良いも のを作るために「こだわり|を捨てる必要がある場合もある。 その場合には思い
切って「こだわりJを捨ててさらに良いものを作りたいと思う。
1993年1月 森山聡之
降ノkレーダを月jいた水文現象の予測手法に関する研究
第l章 緒論
わが国は、 アジアの東端に位置し、 ユーラシア大陸と太予洋にはさまれ、 モ ン スー ン地帯であるため、 夏期の高温多雨という気象条件から本来熱帯性の植物 であった稲も品種改良と共に生育が可能になり、 定!日文H寺代晩期から弥生時代にか けて日本列島におい て稲作が定着した。 稲作に関す る儀式は世界史ヒ希に見る千
数百年という長期にわたって存続を続けてきた天皇家にも欠かせな い ものになっ ている。
円本の降水量は、 北陸 ・ 東北 ・ 北海道などの豪雪地借を除い て、 そのかなりの 部分が糠雨期と台風則の降雨で内められている。 その花見出IJは1 Lf-くから行われてき たが、 現在、 これらの観測には地卜,におかれた転倒ますj日の同世計が保守の簡便 さから主として使用されている。 その政小識別精度( Wf.像度)は、 転倒ます の容 量から0.5m mであり、 時間分解能は白記紙の速度に依存しているが、 通常のもの では10分間程度である。
第2次l吐界大戦Iドに急速に発達したレーダ技術は 、 |峰I:Flの観測にも応用される ようになった。 戦後間もなく1948 {ドに 、 jJR論文を人子するのは非常に困難である とぎわれている MarshallとPalmcrによるI:IJ泊の大きさの分布に関する論文1 )が発表 された。 この論文は電波による雨滴の分布を測定したものでなく地上で雨滴の分
布を測定したものであるが、 この時期から既にこうした基礎研究が行われてい た ことは興味深い 。
11本で初めての降ノkレーダは、 気象Ji二の気象研究所I�:卜.に1954年に設置された。
その後気象庁を中心に気象レーダと称する降水レーダが全国に配備された。 これ らのレ ーダにより観測されたレーダエ コ ーを 、 人間がブラウン管の仁に去示され
降ノkレーダを}fj\,、た水文現象の予測手法に関する研究
るP P 1 (PodiLion Plan Indicator)の糾[1交でエ コー強j交を判別した。 また、 レーダの141角
は手動で変えられたので、 エ コーj頁l布j支を入手することができた。 これらの観測 データは、 ブラウン管上のエ コー表示を手で写し取り、 エ コー頂高度等を記入し たものであり、 現在でもこのタイプのレーダは川l純県の石垣島や宮肯島の気象庁 で使用されている。
ノk文研究者は、 長年の間地仁に設置された雨量計を解析の入力データとして使 用してきたが、 建設省が1966年に赤城山地蔵岳山頂(標高1674m)にレーダ雨量計 と称する降水レーダを設置したのに作い 、 降水レーダを使川した研究が行われる ようになった。 レーダFlij青le計はその.r,の通り、 降雨の定量的な観測 を目的として 作成されたものであり、 �nイt�令てのレーダf;10者計でディジタルデータを取得する ことが可能である。 前述の亦城山レーダは1969年まで:;ミ験が続けられたあと、 1971 年にディジタル記録が開始されている。 1992年現イ玉、 レーダ雨量計は、 計画25基
のうち17基が稼働している。 このレーダ雨む計の配備と併せて、 河川情報セン ターが1985年に設立され、 1986年には平くも電話IlJl総による情報提供を開始し、
全[Jilの建設省の地点建設局を始め 、 行IS道的県の防災flJ. 当の音I�若に河川情報センタ 一端末を有イ賞で貸与している。 その数は 1990年現ィ生で約2600台である。 九州地方 においては、 1990年現在、 建設省は九州北部レーダを釈迦岳に、 九州南部レーダ を国見岳に、 沖縄レーダ( ;'1'料開発庁管特)を八jJ( 17;.にそれぞれ設置しており、
さらに 1990年には九州阿部レーダを尺烏八本木山に処設、 稼働を開始している。
気象庁は、 その後全問の20 }Jの気象レーダのうち17 )T�をディジタル化して、 そ のデータをアメダスの地上雨量計のデータと合成し、 レーダアメダス合成図とし て各報道機関等に配信している。 この他にも気象協会がマイ コ ス気象情報ネ ット
ワークとしてj三なデータをユーザに配信している。
降水レーダをjI J '-、た水丈現象の予測手法に関する研究
そのほかに、 東点屯)J ・|見附屯ノJが首レーダと称するレーダを設置しているが、
これも原時的には降水レーダと同係のもので 、 首が起こりやすい降雨域 を検出す る目的のものである。
東京都も下水道の雨水対策を目的に降水レーダの配備を進め 、 その第1号レー ダは芝浦の(株)東芝本社屋上に設置されている。
本論文ではこれらの降水レーダの利m法に 関 する 研究を行う。 これまでなされ てきた多くの研究は 、 レーダによる州市:と地上に設置された雨量計による雨量の
間の誤差の軽減を主眼とする研究及び移流モデルや気象力学モデルを微分方程f で記述した定量降雨予測がliI心であった。 これに対し本側先では 、 違った角度か
らのアプローチ を行つ 。 --{件blのアプ口 ーチは 、 l而i像処卯の手法等を使用した定 性的解析であり、 ;否:自のアプローチは 、 通常の�I同微分を使わず 、 波数空間に 着目した定量降雨予測である。 三番目のアプローチは 、 地上雨量計と同じパラメ タやシステムを使わずレーダの誤差を合んだ形で降雨予測なしに行う洪水 や土 流に|渇する予測手法である。 最後に 、 本イりf先を行うために構築したデータベース
シ ステム等について述べる。 以卜に名市のま2約を記すリ
第2章では、 降 水 レーダによる降雨の測定理論についてレビューを行った後、
最初に建設省九州、|北部レーダ を用いた定性的解析を行い 、 続いて 、 画像処理の手 法を用いた降雨域の新しい迫跡法を提案し、 1986年鹿児島集1-"豪雨の解析に使用
して 、 その有川tlを雌かめる。
さらに 、 カルマン フ ィルタ一理論を拡娠した 一次フ ィルタ一理論を川いた定量 的降雨予測について 研 究する。 従来の方法では 、 直接移流点程式や移流拡散方程 式を適用して空間微分を差分化していたが 、 降雨域のような孤立波的形状を持つ
降水レーダをmいた本文現象の予測手法に関する研究
ものに対しては、 {放分係数が大きくなりすぎ、 f併が発散する危険性が高い。 この ためフーリエ変換した移流拡散)j科式に ー次フ ィルターを適川する。
第3章では、 まず上流側の水位と残流域の雨量・データをmいた洪水位予測 手 法 について研究する。 水位データと d意の関係にある流水断面積に着目し 、 上流側 の流水断面積の変化が、 下流側の流水断面積にもたらす変化を特性曲線法 から誘 導するものである。 横流入量は残流域の降雨 データより 、 単位図法を川いて計算 する。 この河道部分の流下計算のパラメタと単位図はカルマン フィルターを用い て同定し、 予測計算に使用する。 本f 11をまず地ト�IJ :,:,: iHのデータを月jいて鹿児 島県の川内川ノk系に適川してその有川竹を確かめた後 、 多数の支流を持つ場合に 拡仮し 、 制|両県の速賀川本系に適川して 、 降本レーダと地1'- !;IJ量計のデータを用 いた予測l計算を行いその両者を比較し、 その精度を4食;jil:する。
第4章では、 降雨による上石流発/主の則論をレビューした後、 鹿児島県の桜島 で観測されたレーダの降雨資料に適用して 、 土石流発生の限界降雨を求める と共 に 、 その発生確率を見逃し〉存および雫振り〉容として定義し�� 1'1',を行う。 さらに )
ューラル不 ツ トワークを川ν、 て到達時!日jと限界降雨を求めること無しに上石流発 生のF 測を行う。
第5章では、 降水レーダ標準フ ォ ーマ ッ トの規格について論じた後、 標準フ オ ーマ ッ トを川いたデータベースプログラム RAP Browscr とレーダデータを画 像処理の手法で解析するためのプ口グラム IMPACT をイノ|二成する。 また 、 取得 したデータをいかに配信すべきか という問題について検討する。
第6章では、 前章迄で述べた事柄に対して総指を行つ 。
tt'"お 、 本論文では 、 専門分野が屯総会( (レーダ) ・↑Jj報瑚論(カルマン フィル
降水レーダをJl]\;、た本丈現象の予測手法に関する研究
ター)及び水E学(洪水 ・ 上石流)と広範聞に渡るため 、 全ての記号を統 ーす る ことは 、 各専門分野の慣習に反し 、 混乱を招くl可能性があるため 、 記号は各章母 に統 4し 、 複数の章にまたがるもののみ調墜し 、 本論の最後に記号表を付した。
降水レーダを用いたノk文現象の予測l手法に関する研究
第2章 降水レーダによる降雨の解析 第2 . 1節 緒言
降水レ ーダは、 マイクロウエープ(波長が lOcm 以下の 電波)を用い て、 降
雨の降水粒子の反射強度からその降水量を推定しょっとするものである。 しかし、
その理論には各種の仮定が含まれている ため、 降水レーダによって測定された 降 水量にはかなり大きな誤差が含まれている。 また、 降雨域の移動、 発達及び衰退 についても完全な物理モデルが作成されているわけではないので、 その 予測も 精 度が不十分である。 まず、 それらの原因について簡単な考察を加える。
雨量強度とレーダ反射|刈子の関係は、 通常はいわゆる 2 つのレーダ定数(雨 畳強度 ー レーダ反射尉子変換式の定数)によって決められているが、 後述する よ うに、 これは完全なものではなく多くの似定 を合んでいる。 そのための誤差が非
常に大きいことが挙げられる。 そのほかにも、 胤による移流 ・ 蒸発 ・ 雨滴の粒度 分布等の上空と地上における違いや距離減衰、 雲や雨による減衰、 地形による 反 射による観測誤差が考えられる。 これらの諸問題も、 2司t 'Úïîi波レーダやドッ プラ ーレーダの導入、 あるいは、 MTI(Moving Targcl Indicalor)方式の採用により精度の若 の向上は見られるが、 まだ正確な降水量:を測定するには宅っていない。 電磁波 の
反射電力はそもそも確率過程で定義されるべきものである。 即ち、 同ーの物体に 対する反射電力はある程度の分布 を持っている。 また、 電磁波がレーダで使用さ れる周波数帝では杢気の密度等媒体の影響を受けやすいことなどが考えられる 。
従って、 降水レーダの使mにおいてはレーダにより貸出された降雨強 度は誤差 が あるものとして取り扱う必要があろう。
次に、 わが国の水文研究者が行った降雨F測手法についてその概要 を記す。
竹内ら2 ) (1977)は建設省の赤城山レーダ を用いて、 計算機により簡単なパター ン
降水レーダをj日いた本文現象の予 測手法に関する研究
認識を行い 、 さらに変形テ ン ソルを)jJい てI:!:j域の移動)i向と形状の変形の 予 測計 算を試みた。 さらに強雨域のn動追跡法を開発し、 I:!:j域のスケールや寿命などを 解析している。 しかし移動万向と高層風との関連を示唆したのみにとどまった。
下垣 ・ 室田 ・ 江藤3) (1977)は、 同じ赤城山レーダ のデータを使った2つの降雨予 測 手法を提案している。 これは雨域が正規確率密度関数の組み合せであると仮定 しそれらのパラメタを連立方程式を解いて求めるノ7法と、 雨域の変形を2つの時 間方向のデータを比較することにより最小化問題の解として変形のパラメタを同 定し、 そのパラメタ用いてカルマン フ ィ ルターで降1:1:] 予測を行う方法である。 こ れらの方法は単純な雨域では比較的精度良く予測が行えるが、 雨域が複雑にな れ ばなるほどパラメタ が多くなること、 あるいは突然の降I:I�の増加]等に追従でき な いという問題点を残している。 |判域が仮位l、術重のキIIみ令せであると仮定し、 カル マン フ ィルター でその パラメタ を同定予測 し ていくノ7法は、 日野(1985)4 ) によっ て開発されているが、 これも計算手法を示唆したにとどまっている。 これらの 方 法はいずれも初期値をどう与えるかで、 かなり結果が異なってくるので、 完全に 計算を自動化するには宅っていないものと忠われる。 IF_ぷt M�とが密度|珂数や仮惣、荷 重の組み令せは、 大型計算機に保則されているような標準のFORTRAN言語のよ う に静的変数しか定義されていない三詰で実行プログラム作成は閃難である。 なぜ なら、 計算機プログラムを作成する時点で雨域の数 が不明のため、 あらゆる場合 の雨域の数に対応するような静的変数をイ確保できるかどうかは実行時にしか確定 しないためである。 そこで日野は動的変数が容易に使えるBAISCで記述している。
このような不特定多数の雨域の物理属性とその操作をオブジェクトとして簡単に 記述でき、 オブジェクト自身を実行時に生成消滅かつ動的束縛可能な オブジェ ク ト指向プログラミ ングを用いればかなり簡単でわかりやすいプログラムが記述で
降水レーダをJI1いた本文現象の予測手法に関する研究
きると考えられる司
方、 レーダで得られたデータ を 一粧の出像と考え、 これに対し画像処理の 手 法を適用す る手 法もい くつか提案され ている 。 まず、 立平(1986)5 ) は相 互相関関 数を用い て雨域全体の移動ベクトルを求める方法を試みている。 また大倉 ・ 石崎 ・
中尾 ・ 森本(1983)6 ) はレー ダデータを適切なしき い値で2値化し た2つの同一時 系列のデータを比較して関連係数を算出し、 移動ベクトルを求める方法を試み て いる。 この方法は相互相関関数よ り高速ではあるが、 相互相関関数に よる方法 と 問機、 指定した領域全体の移動ベクトルしか得られない 。 これらの方法は、 移 動 速度や方向が異なる復雑なl;lJ域、 例えばWi状性や刈mf '1:'1:のf;lJJ或が混在した場合や 指定した領域の外から新たな1;I:j域が移動してき たときには、 21、に係数が変るこ と があ り、 このままでの使用は現実的でない 。
万、 移流方程式を立てて複雑な雨域に対して予測を行う手法が、 椎葉 ・ 高椋 ・ 中北(1984)7 ) によ っ て提案されている。 このモデ ルにおい ては雫問微分したとき に微係数 が大きくなりすぎて発散の危険が高い拡散項を無視している。 また、 こ のモデルのパラメタはカルマン フ ィルターを拡張した 、ドノJ般フ ィルターで求め て いる。 このパラメタのうち移流項は、 レーダの観測領域では急速に変化しないと して一次式で表し 、 発達 ・ 衰弱項のみを地点侮:に評価している。 さら に高梓 ・ 椎 葉 ・ 中北 ・ セ(1984)8 )は移流モデルを改良し子rJllJ 計算に数イIÊi杭・分を用い る代りに 特性山線を用い たん-法に改良し 、 ttt設ヂ;の派111レーダのデータを用い て流 出予測 を試みた。 計算上問題のある拡散項を省き 、 移流ベクトルも観測範囲全体で一次
式で近似したため安定した計算が行われている。 しかし1時間先の降雨域及び流 出予測 の精度は満足すべき ものとは再い炊い 。
1L野 ・ 森山(1984)9 ) は全体をlつの領域として移流拡散ノ7符式のパラメタを同定
降本レーダを}Ijし、たぶ文;現象の予測手法に 関する研究
し雨量予測を試みた。 九州大学農学部のレ ーダで観測された孤立波的な形状の雨 域に対して適用したため、 解が容易に 発散しやすく 、 拡散JJIを無倒した場合の予 測だけが、 細かい特徴がそのまま移流され、 拡散Jj1を含む場合は高周波部分がフ
ィルタリングされることが明らかに されている。 これ は、 最小向来法で全体を つの領域と見なすため、 全体として拡散項がキャンセルされたものと思われる 。
さらに 、 森山 ・ 平野 ・ 河村・ ・ 原 ・ 河原田(1986)1 0 )は流速方向に 座標軸を回転させ た移流拡散方程式を適用し、 そのパラメ タの同定に カルマン フ ィルターを用い て いる。 全体を16領域に 分割し、 15x 15 メ ッ シ ュの領域を ・ つの単位としてパラ メ タの同定を行っている。 そのがi-*=、 拡i放JJ1を省11栴した場令に は、 拡散項の分が 移 流項に 含まれるとして計算されることを示している。 推莱らの方法では、 移流項
を -次式として表現しているがその場合、 拡散項として計算すべき雨滴濃度が発 達減衰項に 含まれてしまい、 物J1R的に 問題が あることを示している。 また、 発達 減衰項の正維な予測!のために 3次元制rJ!IJの必要性もぷ|唆している。
以上の様な、 レ ーダ情報のみを用いて降雨予 測 を行う)J法では、 日本に おい て 顕著に 見られる降雨域の急速な発迭を予測す ることは非常に 困難である。 従って、
近年は、 地形の影響をィ号慮した気象モデルを取り入れた予測T法の研究が主流 と なってきている。
沖 ・ 高橋 ・ 玉 井 ・ 小池(1988)1 J )は、 地}l�の降雨分イIJに与える影響を大気モデル
をmい同士数値情報のデータをもとに、 数イIrI実験を行った。 また、 中津川 ・ 山田 ・ 内j法 ・ 水島(1989)J 2 )は、 地Jf�が風に及ぼす 影響をポテ ン シ ャル流として風を計算
し、 これをもとに 降雨の計算を行っている。 さらに111 北 ・ 筒井 ・ 池山1・ 高椋(1988)
J 3 )
は、 深LlJレ ーダ の3次)1レ ーダデータに)JIIえて、 おj国大気のデータ アメ ダ スの温度湿度地上風のデータ及び地形データを述続式・ 運動万程式 ・ 静力学釣合
降水レーダをmし、た水文現象の予測手法に関する研究
バ ・ 熱力学及び水蒸気の保存式に適)fJして、 数イl在rn・11:を行っている。 さらに中北 ・
椎葉 ・ 池淵 ・ 高梓(1990)1 4 ) は前述のモデルを発以させノk蒸気から水分への変換能 不の良い場所を不安定場と定義しこれが 移動することにより降雨分布が移動す る 数値実験や 、 プライトバンドの補正さら に水蒸気相変化量を算定して不安定場の モデルパラメタを推定する方法を示している。 中十It川 ・ 竹本 ・1I1問(1990)1 5 )はマ
ス コ ン法を用いて30分ステ ッ プで1時間先の降雨予測を行っている。 この際、 ラ グランジェ微分により、 鉛直方向の降雨の凝縮過程をうまく二次元モデルに組み
込み気 流の水平方向の流速と雨域の移動速!交を分離して� 1'[1,している。
以卜.のよう な従米の研究では、 的ìì'f.な移流)j紅式から気象ノJ学的モデルを構築 するに至っているが、 実際に、 現場で仙川する|僚には必要なjfpf.像度の気象データ がオンラインで入手 でき ないことが多く、 気象通報枕皮の情報から降水 レ ーダ を 利川した降雨予測を行わ なくてはならな い O 簡ì�ーな気象データを扱いながら予測 を行うのにはフ ァ ジイ担論等を利則したエキスパートシステム が有効と忠われ る
が、 これに関する研究はほとんど発表されていない。 むしろ、 現在の段階では、
近い将米配信が開始さ れるレーダの数制データをもとにどれだけ精度が よい 予 測 を行えるかということに実刷仁の焦点が あろう。 本章では、 これに対応した人聞 が対話型で予測を行うのに適している単純な雨域追跡システムと、 多くの格子点 を取らずに、 必要な波数のデータを)IJ いて波数�\ 1111に以IJ目した移流拡散方程式に
フ ィルターを適用した波数空間フ ィル タリン グ手法について述べる。
第2 . 2節 降水レーダの原理 第2 . 2 . ]311 レーダノj科式
レーダのアンテナから発射された従波は、 物体にあったっ て散乱し、 その一部 が アンテナで受信できる。 この受信される電波の強度はレーダ受信屯力と呼ばれ 、
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
送信電力 ・ 送信周波数 ・ アンテナの利得 やビー ムパターン ・ 物体までの距離 ・ 物 体の大きさ ・ 形状 ・ 電気的特性、 それに屯波の�五る粁路1--の状態によって決る。 この式をレ ーダ方程式と呼んでいる。
レ ーダ方程式は以下の様にして求められる。
まず、 後方散乱断面積 σ の物体の受信電力 Pr は
P.-
= 一
pt.G2.λ2σ 64π3r4 (2.2. 1 )である。 ここに、 P{ は送信電)J、 r は物体までの民I(縦 、 C はアンテナの利得、
および λは波長である。
雨滴や雪は単一の物体でなく、 その宅!日jにおけるjよがりはアンテナのビー ムl幅 より大きいので、 雨滴や雪の受信電ノJは 、 送信パルス11111\のヤ11日に対する大きさ の
1 /2と、 ビー ム|幅で四まれ た仮怨的な物体体和からの 、F均受信電ノJと して扱う。
この物体体積の中では σ は -嫌であると仮定し 、 単位体積における後方散乱面 積の令計を エσ とし、 パルス帽の空間J 1長 h は物体までの距離 r に比較して十分 小さく、 さらにビー ムパター ンはノk平及び屯-直面で対称であると仮定すると
勺 2 .
�
2Pr
=
- Pl.210π2r2(ln 2) GOL・λ .h.80- Lσとなる。 ここに、 Prは予均受信千五ノJ、 および0。 はア ンテナのビーム幅である。
(2.2.2)
目標が雨滴で、 雨滴粒径 D が送信電波の波長に 比べて十分小さいならば、 レイ リー近似が成り立ち、 後)]- 散乱回初 σ は
σ=
ZFE HN
の) (2.2.3)である。 ここ に 、 εは粒子の複素誘屯ネ、 およ びN(D)は単位体積中の直径 D の粒千数である。 これより誘'屯率係数は
同
(2.2.4)
降水レーダをJlJし、fこノk丈現象の予測手法に関する研究
となる。 誘電率係数は物体の屯波を散百しする割合を去し、 水 で0.93、 氷でo. 1
8
程度の値を取る。
(2.2.3)式 を(2.2.2)式に代入すると 、
PI
G02hof
π3 1ε-11Pr = 《 F 封I.N (D)D 6
210λ Lr2(ln2) l乙Tんl
となる。 こ れが気象 レーダのレーダ方程式である。 さらに、 レーダ定数は (2.2.5)
{疋
る
宇品
伐いけ凶 vfJ 村山川 tr←L ふM 戸り {疋
のと
一バレhH
のダ
レ
1i 一 ウ ん
-一
+は比 店 数
ポ 一
一 ウド町一h 一 パヅゲ ノ 一 疋
と
{疋
義C= 支」
p一
れ 一ん今 るω-
CG A 《 一 O つ』 一 つ』 h一六 レ
(2.2.6)
数でレーダ毎に -定の値を取る。 (2.2.6)式を(2.2.5)式に代人すると
戸r=三割(D)D6
r"- (2.2.7)
が待られる。
HIJち、 受信託ノJはレーダ定数、 民I i離の2釆の逆数および物体体積内の雨滴粒子 の直径の 6 乗の総和 LD6 に比例しているといえる。 LD6 を以下のように定
義する。
LN(D)D6
=
z (2.2.8)ここに Z はレーダ反射休Irと11千ばれ 、 これはrì5.イ立体初 、I'Íりの後方散乱面積の合
日|ーなので mm6jm3 の単位を持つ。 したがって、 (2.2.8)ぷを(2.2.7)式に代人すると
-=-
- - r
C .Z ...2 r (2.2.9)となる。
電波、 特にレーダの使用するマイク ロ ウエーブは大気rl'のガス ・ 雲及び途中に イヂ花する雨滴によりかなり減表する。 このため 、 減以後の受伝屯刈
戸;
と減衰しないと考えた場合の受信電ノユ
戸弓
の関係は、 往復の滅哀を考慮してル凶 Dハ K
+c k
+Aバ K
fllfh
ゥ,h 一九一万一σb o ハU
(2.2.10)降水レーダを月]し1たノk文現象の予測手法に関する研究
である。 ここ に、 K;\ は大気中のガスによる滅表係数、 Kc は雲による減衰 係 数、 および KR は雨滴による減衰係数で ある。 J'. 式を考慮して(2.2.9)式を減衰後
の受信電力に書換えると
-=-
C . Z� �
-0.2I
(KA+Kc+KR)rJrP..= 一一一一 1 0 _ . - t 、 川 \.,;
.. .. ,\/\,A.or2 _'u
(2.2.11)
上式を導く過程において前述のレーリー近似をはじめとす る種々の仮定がなさ れており、 実際の受信電力は、 上式からかけ離れていることもしばしば である 。 そ こで、 現場では(特に建設省では)補正係数 F を導入し、 最終的には次の式 を用いている。
す C . Z . F ,ハー0.2
1
(KA+Kc十KR)d!F一 .. .
(2.2.12)第2 . 2 . 2項、
雨滴の粒度分布 と 降雨強度Marsha11 とPa 1mer (1948) 1 ) は地卜. で雨消の観測を多数行い、 降雨の粒度分布を次 の式 で表した。
N(D) = Noexp(-AD)
(2.2.13)A
= 4.1
R仰1C1jmm)
(2.2.14)No = 8.0x103 Clj(m3mm))
(2.2.15)ここに、 R は降 雨強度(mm/hour)o 上式は、 粒径が無限小から無限大の雨滴まで存
花することを仮定している。 実際の雨滴 は、 融解層からの氷片が融けてそのま ま 落ちてこない限り、 6mmより大きな粒径の雨滴は分解されてしまう。 般に上式 が適合可能な範囲は粒径がlmmから 3.Smm と言われている。
レーダ反射因f-は(2.2.8)式より
D AU 〆b D の N
PIZZE--E1 0 fo o
D る
℃んt
れ
= rり
Zえ
にナ で
(2.2.16)
降本レーダをmいた水文 現象の 予測手法に関する研究
また 、 単位体積当りに存在するノkの質店 C, は
叶:Mι
である。
(2.2.17)
降雨強度 R は 、 単位時間山lり の本派として測定されるから、 (2.2.16)式より 、
R= 宅4吋f 川Wω
(2.2.18)となるO ここに W, (D)は粒径 D の雨滴の落下速度である。
(2.2.17)式 と(2.2.l8)式より 、 一般に ZとR の関係は次のように なる。
Z
=BRß
(2.2.19)ここに 、 B,ßはW, (D) と N (D )で決る定数である。 ここではレー ダ定数との混 乱を避けるため 、 Z-R 変換定数と呼ぶことにする。 このZ-R 変換定数に関して 、
Marshall-Palmer (1948)は 、 B =200、ß= ].6という他を全降雨に対する標準的な値として
求めているが、 実際には標準仙の[111りに大きくばらついている。 地表で直接雨滴 計雨滴の分布から求めた反射強度と降I;[:j ��1 J交の関係でもある程度のばらつきが存 在し(例えば沖ら(1992)1 6)の観測結果) 、 その上空ではW, (D) も N (D) も大きく
変動していると考えられるので、 相当のぷ注が出るはずである。 このため 、 こ れ らの変動パラメタを測定して、 少しでも訟jEを減少させよう と、 ド ツ プラーレ ー ダや2重偏波レーダなどが開発されており、 r I本でもい くつかの導入例1 7) 、 1 8 )
があるが、 現時点ではそれほど精度はし次j与されてい な いようである。
第2.3節 降水レー ダによる豪雨の定性解析
第2.3. 1項 使用した降ぷレーダおよびデータのl治ノ乙 本研究では以下の3種類のレー ダ のデータを伎川する。
降ノjくレーダを用いたノk丈現象のF測手法に関する僻究
1 )建設省九州北部レーダの諸元
建設省九州北部レーダ は 、 大分県II川Ai目的津11�村の釈迦岳山頂(海抜1246.4m)に
設置され1978年に運用を開始した降水レーダである。 使用周波数 は 5.270Ghz で
気象庁のものよ り、 距離減衰が大きく 、 広範囲の観測はできないが、 同じ大き さのア ンテナで より細かい解像度の
データが得られる特徴を持つ。 定性 観測範囲は198km 、 即ち電波を発射
してから 1320μs までに反射してき
たエ コーの電力を記録しているo こ
J
[)O
のうち定量観測範囲は半径120km で ある。 受信された 電力は対数増幅器 で増幅された後、 ND変換し 、 8ピ ツトに線形量子化する。 このH寺の距 離方向 の解像度は 2.5 μs であり、 こ れは375m に相当する。 回転方向 は 、
アンテナの回転数が5叩m で 、 繰り 返し周波数は260PPSであるので 、 128
。 。
、
。
関2.1建設省レーダの観測範囲
等分した2.8125度 の間に24.375個のデータが得られる。 しかし これ は アンテナの 回 i転と繰り返し周波数が完全に同期してい ないた め 、 ]回転釘:に真北を基準に128
等分にし 、 さらに茶干のずれに対処するためメ ッ シユ内の最初と最後のデータ は演算しないことにして最終的に18個のデータ を選んで処珂!してい る。 これ を 距離方向に 3 k m 毎の40メ ッ シ ュ 、 、|土符)j向に2.8125度ごとに128メ ッ シユの極座 長に分割した各メ ッ シ ユに5分間の電川イli(を加算千均し記録しているo なお 、 地
降本レーダをmいたぶ丈現象の予測手法に関する研究
形エコー の除去ノ7法はグランド ・ クラ ツター減算方式である。 その定量範囲を 吋I 2.1に示す。
本研究で使用した北部レーダの Z-R 変換定数は、 ill設省九州地万建設局が使
用している 、 B = 224.0、 ß = 1.58を探川する。
2 )建設省九州南部レーダの諸元
建設省九州南部レーダは建設省九州北部レーダと全く同じハードウエア(但し 使用周波数は 5.260Ghz)を鹿児島県肝属郡高山町の国見山山頂(海抜902.5m)に設置 したものである。 運用開始は 1983年である。 その定;1t qiE聞も灰I 2.1に示す。
本研究で使用した南部レーダの Z-R 変換定数は、 佐設省九州地方建設局が使 川している 、 次の3段切り替えノ子式を深川する。
まず最初に 、 B = 200.0、 ß = 1.6で 降雨強度 R を計算し ておき 、 R の結果 により次の値で R を再計算す る。
B = 650.0 、ß= 1.2 B = 1572.0 、ß= 0.68
R < 8.5 (mm月10ur)
8.5 三R < 11.0 (mm斤lOur)
B = 125.0 、ß= 1.6 11.0 三R
3 )九州大学農学部レーダの諸冗
(mm/hour)
(2.3.1)
九州大学農学部に設置された降水レーダは、 使川刷波数 9.375Ghzのもので 、 建 設省のレーダよりさらに距離減衰が大きい代りに 、 より高い解像度のデータが得
られるo 実際の 距離分解能は、 パルス111m 0.8μsなので 120m 、 角度分解能はほぼ
ビーム幅( 1.3 0)で規定され るため距向性50km付近で約0.85km以上であるo その定
r観測範囲は100km四方であり 、 得られた観測データはMTIノj式により地形エ コ ーの影響を除去した後、 1kmメ ッ シ ユのlノゴ個のデー タとしてl分毎に記録され るo 通常は距離補正も行われ てい る o また 、 水 、Fノ'] �]J切断面デー タのPPI(Position
降水レーダをmいた水文現象の予測手法に関する研究
Plan IndicaLor)だけ でなく 、 任 .6;の)Jイサ: 1(Jの lfi� I��ノj l[lj切断rflîデー タ である RHI(Radial
Height Indicator)も、 手動操作に より観測できる。
磁気テープに記録され た値 MT と、 レーダ反射囚チ Z との関係は次のように
なる
dBZ = 80/256 MT + 27.2 (2.3.2)
ここに、 d3Z= 10logZである。
また 、 雨滴濃度C,(mg/m3)とZ の関係は 、 式(2.2.17) �式(2.2.19) よ り 、 B 200.0、 ß = 1.6とすると 、
Cr = 6.36 Z.483
となる。 計算には上式を川いる。
第2. 3. 2項 1 988年九州巾阿部豪雨の定性解析
(2.3.3)
1988年5月3日から4日にかけて熊本県と長崎県島原市を111心に九州中西部地方
を襲った集中豪雨は、 この時期としてはかつ て例を見ない豪雨であった。 本豪雨 の解析には建設省九州北部局レーダ が観測記録し た{磁気テー プを用いる。
その結果を図2.2 に示す。 各雨量仙は、 5分間平均雨量強皮である。
この図から15時すぎから長崎県の山以下島イナ近から米へ延びる降雨域が急速に
発達し、 そのまま緑川中ド流域に居座 って 18時ごろまで、 強い雨を降らせ続け た後一時衰弱し、 21時ごろ再び強い悶を降らせ、 その後南東へ雨域が移動し、
新しい雨域が発生せず24時 ごろ強い雨がおさまった がことがわかるo しかし実 際は、 同じ雨域 が長 時間維持されてい た のではなく 、 次々に北開から南東へ降雨 セル訴が移動していったことが|刈2 .3 よりJ1w. w(:できる。
こ れは 5分ステ ッ プ で見ると降FHが移動しているにもかかわらず、 1時間毎で }よると降雨がほとんど移動していない ように見える例 である。 こ れは、 中津川ら (1 990) 15)が行ったシ 、 レレ ー ン ヨ ンにおい て 、 降雨域は実際の水平方向の風速よ
り数倍速く移動するという解析結果とも ・致しているo また 、 2つの図から同じ 降雨場が長時間維持されている ため 、 |司じ織な形状のI;fj 域 が1fiJじ様な移動ノ7向と
、市度をもって連続的に発11:しているのではないかと忠われるc
降本レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
1988年5月3日12:00
1988年5月3日14:00
図2.2
11131iufEの降雨分布( 5分間雨長)
降ノjくレーダをJ1Jl.,、たぶ丈羽象の予波IJ下法に関する研究
1988年5月3日20:00 1988年5月4日0・00
1988年5月3日21 :00
I�[ 2.2 (続き)
1988年5月3日16:05
1988年5月3円16・20
降水レーダを川いた水文現象の予測手法に関する研究
1988年5月3日16:50
図2.3
5分停の降雨分布
第2 . 4節 画像処珂の手法を使った降f;!1域追跡法
わが同においては 、 現在のところ 、 明先川等の特別な例を除い てほとんどのレ ー ダが一二次元のPPIまたは CAPPI (Constant Altitudc Position Plan Indicator)形式でデータを記
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
録している。 従って、 この2次)Cレ ー ダ的械を川いて名杭W(:析と予測 を行う 手法 を開発することは、 降水レーダの利用において、 かな りのかL則性を持つ こと にな る。 ほとんどの一級河川の洪水 の予測で はリードタイムが少なくとも1時間は あ る。 しかし、 都市河川や下水道では到達H寺間は極端に短いのが常であり、 降雨予 測なしに十分なリードタイム を持つ洪水予測は困難である。 また、 同様のことが 土石流の発生予測でも言える。 そこで本節では2次元レーダ情報を対象とした 、 降雨域の解析手法とそれ による短時間降雨予 測 について研究を行う。
第2 . 4 . 1項 残差逐次近似法 による降雨域の追跡 手法
人間がレーダの画像を見ると、 目視で簡単に雨域の移動を捉えて時系列で追跡
することができる。 ところがこれ を コ ンピュータに認識させ追跡するのは容易で はないO これは人聞が物体を瞬時に並列的に認識できるのに対して、 現在のコ ン ピュータは一度に一つの点の情報しか処哩できないこと に起肉している。 そのた め人間の処理能力をシュミレートする三 ユ ー ロ コ ンピュ ー タ等が研究されてい る が、 ー方現行のノイマン型コ ンピュータの単 a処理しか出来ない欠点を克服す る ため、 画像処理法も各種開発されている。
本項では画像処理法の ・分野であるIrJlj像の重ね合わせの手法の一つである残差 逐次近似法19 )・ 20)(Sequcntial Similarity Dctcction Algorithm , 以F SSDAと略記する ) を使 用する。
SSDAは広く用いられていた相庄中日開関数による打11刻法(FFTを用いた方法も 含む)に代るものとして使用されているものである。
この手法は比較すべき 2 つの画像AとBとの各要素毎の差の絶対値(残差)の
総和E
M N
E (L1x,L1y) =
エエ い
(はy)-B(t +,1は+L1x,y +L1y)1
x=l y=] (2.4.1)
を最小とするように、 L1x 、 L1yを変化させて電ね合わせ るもので、 Aの画像の一 部をテ ンプレート として、 Bの画像の探会範間内で移動させて 、 最小となる E を探すものであるo この際、 重ね合わせ がずれていると 、 各国素の残差について 加貸していくときに ε が急激に増大するので、 適当なしきい値 7 を越えたら、
式(2・4・1)の計算 を打ち切り、 次のL1x、 L1yについての計71を行うo このため相関法 より大幅に計算時間 が少なくて済む利点があるo 実時間探索の場合には、 Aχ
yの取りノ7により、 高速で最良点を検出できるよう、 各柁の探索アルゴリズムが
降ノkレーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
採用され ている。 今回は実時間で追跡を行っていないのでないので、 しらみつぶ しに計算していく精サーチを採用したが、 この他にも村組サーチやピラミ ツ ド型 のデータ構造に対する高速探索アルゴリズム 2 0 )も存1fしており、 実用化のた め の高速化は容易であると忠われる。
本項で用い たレー ダ データは 、 九州大学農学部のレー ダ に よっ て観測 された
1982年7月11日の 9時35分から 9時55分までの20分間のデータであり、 1ステ
ップが1分である ため、 20画聞を使用することになる。
降雨域は平行移動を行っていると考え、 SSDAを用い て1分毎のエコーの追 跡 を試みた。 ここで用いたテン プレートは47kmX 8 1kmの大きさを持っている。 雨 域 の発達と衰退による変形の影響を押えるために 、 15分経過後テンプレートを現在
位置のものと入れ換え るようにした 。 エ コーの最初のものとテ ンプレートを図 2.4に、 20分後のエ コーと検!'[J1したテンプレートの位置を関2.5に示す。 ま た追跡 ・
抽出されたエ コーの移動ベクトル を|刈2.6にボす。 この関より、 降雨域は、 20分 聞でほぼN75 E方向(東北東)に22.8 km移動していることが わかる。 図2.7は 、
テンプレートが原位置のままである場令の残差の平均値(残差の総和をテンプ レ ートの面積で割ったもの) E, とSSDAによる、 テンプレート探索位置における残 差の平均 E2 と のプロ ットである。 15分のところで不連続になって いるのは、
前述のようにテンプレート を人れ換えた ためである。 この図からSSDAにより2 画像のマ ッチングが改良され ていることがわかる。
以上より、 画像処理の手法の一つであるSSDAにより、 保存性のよい降雨域に ついては、 テンプレートの位置を人間が適切に選択することにより 、 移動ベクト ルを抽出す ることができた。 今後は、 より複雑なエ コーについ てのテンプレート
位置の自動決定法 を開発する必要があると思われる。
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
吋、
DG o も D 。。
。
図2.4レーダデータとテンプレート
( 9時35分)
図2.5レーダデータとテンプレート
( 9時55分)
】「〆J
�E/ A(mm/hour
knゐ
6 E]
8
4
2
.AりAり
5 10 15 20 T(min)
刻2.6テンプレートの移動軌跡 図2.7残差の平均Eの時間変化
第2. 4. 2項 198 6年の鹿児島豪雨の挙動解析
本項ではレ ー ダ を用いた豪雨解析例として1986年7月の鹿児島豪雨を使用す る。
本豪雨は 、 ほとんど単一の雨域であったので、 前項で述べたSSDAを用 いた解 析 を行った。
雨の特異な点は 、 鹿児島市街を中心として半径5km程の狭い地域に数時間
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
にわた って降雨が集中 したことである。 これにより市内の各地点で床上浸水や崖 崩れなどの被害が続出した。 反面、 地上雨量計の配置も密であったため 、 豪雨時 のレーダとの精度の高い 比較が可能となった貴重な例である。
まず、 地上雨量計( 23箇所)とレーダの累加雨量の比較 を行った。 地上雨量 計 のデータは気象庁及 び鹿児島県が収集した自記紙による1時間雨量であり、 レ ー ダのデータは九州南部 レー ダにより記録されたデー タ を3kmメ ッ シ ユ 1時間累加 雨量に変換したものである。 この豪雨の期間 は1986年7月10日9時から20時まで あるが、 レーダデータは16時55分に磁気テ ープのかけ替えのため欠測しており累
加雨量の計算は途中で打ち切っている。
/ / ( J I I
図2.8 と図2.9 に地上雨量計とレーダのデ-タに
よる16時迄の累加雨量の等雨量線図を示す 。
両者を比較す る と、 海上の部分に地 上雨量 計
が存在しない こと、 及び市街地から離れ るに
従って 地 上雨量 計の密度が低くなる こと を考
慮すれば、 定性的に同様の傾向を示すことが
わかる。 しかし 、 定量的には16 時までの累加
雨量の最大値で、 地上雨量計の 256mm に対し
レーダ雨量 計 は398mm になってお り、 さ らに
Z-R 変換式のレーダ定数の補正が必要と思わ
川2.9レーダによる等雨量線図
れ る。次に 、 この豪雨の降雨域がほとんど単ーであった
こ とに して 、 SSDAによる降雨域の追跡を行い 、 図2.10 、 図2.11と図 2.1 2
に16時、 16時30分と17時15分から20分間における追跡結果を示す。
これからわかる ように崖崩れがあった16時台にはほとんど降雨域が移動して お
らず、 17時台になってから、 急速に移 動して い ることがわかる。 即ち 、 本豪 雨
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
雨を降らせ続けたことに主な原因があると考 における災害は雨域が移動せずに 、
16:0�16:20
km 8
叫パ ゴ
e11 一
。2iuu
えられる。
8km 4 e
2
図2.10 SSDAによる追跡結果(16:00�16:20)
皿h J8
4十 -
4e
44 42 ma
e 4
200
k
17 :.15ー→17:35
Bkm 16:30・ー16:50
km e
e
4 2
j ijiii
司令
:三j iiEii
図2.12 SSDAによる追跡結果(17:15�17:35)
ングによる降雨の定 予 測 波数空間フィルタ
5
宣告 第2 .
移流方程式 計からのデータをもとにした降雨予測では
から レーダ雨 従
ング手 法を適用して予 や移流拡散方程式にカルマンフィルターなどのフィルタリ
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
測が行われてき た。 しかし、 空間差分を用いる場合に降雨域が 孤立波的形状で無 降雨の部分が含まれるためフィルターの動作が不安定になりやすく、 レーダの観 測範囲のほとんどで 降雨が 観測されてい ない と計算が発散してしまう問題があっ た。 このため、 移流方程式の 拡散項を無視したり、 流速の空間分布を一次 式で近 似したりしてその物理性に問題があった。 また、 各観測点毎に雨量を計算する必 要があった。
そこで、 レーダのデータのように孤立波的形状をしている波形を計算するため に、 移流拡散方程式を波数空間 に展開し、 フィルタリング手法の適用を試みる。
まず最初は一次元のレーダ データに対して本手法を適用 し、 その精度を検証す
ると共に二次元のデータに対する 予測l手法の理論的展開と問題 点を述べることに する。
第2 . 5 . 1項 カルマンフィルタ一理論
カルマンの 予 測理論におけるシステム方程式はそれぞれ次のように表すことが
で きる2 1)。
x(k+ 1)=φ(k+ l/k)'x(k)+δ(k+ 1)
y(k+ 1 )=M(k+ 1) .x(k+ 1)+ε(k+ 1) (2.5.1)
ここで、 x(k)は k ステ ッ プでのシステムの真の状態量ベクトル、 φ(k+1jk)は時間 ステ ッ プ k から k+1への遷移行列、 y (k+1)は状態量の変化を 表す 観測行列、 お
よびS と ε は誤差ベクトjレ(白色性正規雑音)である。 (2.5.1)式の最初の式を システム方程式、 2番目の式を観測方程式 と呼ぶ。
ここで、 カルマンフィルターの理論を展開する際の記号の説明を行う。
八 は最適推定値及びー は 推定誤差である。 従って各記号 の意味は下表のよ う になる。
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
x欣+1) k+1ステ ップでのシステムの真の状態量
;(k+ ljk) k ステ ップまでの情報を利用して求められたk+l ステ
ツ プ のxの最適推定値
Z欣+l jk+1) k+1 ステ ップまでの情報を利用し て求められた その 時
間ステ ップでのxの最適推定値
'i(k+ljk) =x(k+l) - ;(k+1jk) k ス ア ッ プまでの情報によりk+1 ステ ップまで のxを
推定し た場合の誤差
'X(k/k) =x(k) - ;(k/k) k ステ ップまでの情報によりその時刻でのxを 推定 し
た場合の誤差
y(k) k スア ップでの観測量
,、、
k ステ ップまでの観測情報より の、 次のステ ップでの y (k+ ljk)y (kjk)の最適推定値
お
か1) =y (k+ 1)・y
(k+ 1jk) 観測値の推定誤差ここで時刻 1,2,・ ・・・,kにおける観測量をy(1) , y (2) ,・・・・,y (k) とする。 われわ れは Yiのみを 観測して い るのであり 、 時間ステ ップk+1における真の状態量の 最
適推定値は回帰関係式
五(k+ 1/ k) =a( 1 ,k)y( 1 )+a(2,k)
y(2)+・ ・+a(k,k)y(k)
(2.5.2) により求められるとするo k+ 1までの情報より予想される次のステ ップk + 1 の観測量の推定値
デ
俳+ljk)は従って(2.5.1)式 の観測方程式によりy(k+ l/k)=M(k+ 1 ).Jr7._k+ l/k)
である。
(2.5.3)
ところで、 次の時間ステ ップk+1において、 観測値 y(k+1)が得られたとする。
新しく得られた 情報 y(k+ 1)はそれ以前までの観測量y(iXi=1,2,' ", k)と従属な成分
デ(k+1/k) (即ち Y (i)の線形結合で作り得る成分)と、 それらと独立な成分子(k+1)と に分けられる。
このことから y(k+ 1) は
y(k+ 1 )=M(k+ 1 ).x"'{k + l)+y(k+ l/k)
と表される。 即ち
y(k+ 1 )=y(k+ 1)手(k+ 1)
(2.5.4)
(2.5.5)
このデ(k+1)は最も新しく 、 信頼できる情報である。 k+1ステ ップにおいて新しい
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
観測情報が得られ た場合の x の最適推定値�(k+1 /k+ 1)は、 k ステ ッ プまでの情
報から の x(k+l/k)の推定値;(k+l/k) にこの今までの情報と独立な成分 y(k+1) に重 みを付けて加えると良いと考えられる。 従って次の関係が仮定される。
五(k+ 1/ k+ 1) =x(k+ 1/ k)+Jf(_沢k+ 1)
(2.5.6)こ の荷重係数 K をKa1man Gain と呼ぶ。
次にk ステ ッ プまでの情報に よりk+1ステ ッ プでの状態量 x(k+1)を推定すると きの誤差を x(k+1/k) とする。
x(k+ l/k)=x(k+ 1)ー支(k+l/k)
あるいは
x(k+ l)=x(k+ l/k)+x(k+ l/k)
x (k+1) に変換 M を作用させると、 (2.5.1)式 の観測方程式より
y(k+ 1) =M(k+ 1 ).x(k+ 1)+ε(k+ 1)
となる。 これ に(2.5.8)式を代入し次式を得る。
y(k+ l)=M(k+ l).x(k+ 1 )+M(k+ 1 ).x1_k+ 1)+ε(k+ 1)
これを(2.5.8)式に 代入し、 (2.5.1)式 の観測方程式を用いて表すと、
y(k+ l)=M(k+ 1 )-x1_k+ 1)+ε(k+ 1)
(2.5.7)
(2.5.8)
(2.5.9)
(2.5.10)
(2.5.11)
となる。 即ちk ステ ッ プまでのデータで予測しきれなかったk+1 ステ ッ プでの 予 測誤差はk+1ステ ッ プでの観測量の中に 情報として含ま れている。
次に、 k+1ステ ッ プまでの情報を得たときの推定誤差を x(k+l/k+1)と表すとき、
(2.5.5)式の関係を 用 いて次のようになる。
x(k+ 1/ k+ 1) =x(k+ 1 )x(k+ 1/ k+ 1)
=x(k+ 1 )- [ えれl/k)+lK長k+ 1) ]
=x(k+ l/k)-lKy(k+ 1)
(2.5.12)
従って、 王(k+1 /k+ 1) は k+lステ ッ プまでの観測情報では推定し得ない成分であ るo よ って、 えれl/k+1)=五(k+l/k)-K.ヌk+l )はk+1 ステ ッ プでの新しい情報成分 y (k+ 1)に
降水レーダを用いた水文現象の予測l手法に関する研究
も独立である。
(双k+l/k)-!Kyてk+1))上知+ 1)
(2.5.13)よって確率変数の独立 ・ 直交の性質より、
E[x(k+l/k).yT(k+1)]-!K E [Y(k+1).yT(k+1)]=O
(2.5.14)あるいは(2.5.11)式の関係を 用 いて
抑制/k). (MT(k+l/k).xT(k+l)+εT(k+1))]
(2.5.15)={(M(k+ 1 }xTk+ 1) +ε(k+l)). (MT(k+l).xT(k+l)+εT(k+1))]
雑音 ε(k+1)と状態量とは無相関であるから
[玄(k+l/k)王T(k+ 1) .MT(k+川 (2.5凶)
= [M(k+l)沢k+ 1)玉川+l)).MT(k+l)+ε(k+ 1)εT(k+l)]
ここで E
I.x(k+ l/k).;?(k+ 1) I
はx の推定誤差の相関行列(共分散行列) IP であり、 観測誤差の分散行列を R とすれば
P(k+ l/k)三E[玄(k+1)玄T(k+ 1)]
R(炉開=E[e(k+ 1)εT(k+ 1)]
(2.5.17)
従ってか1ステ ッ プで新しい観測情報y(k+ 1)が得られたとき、 最も信頼し得
る情報である「観測量 の推定値 y(k+ 1)と実際の観測値 y(k+1)との差デ(k+1)Jによ
る補正係数 K は
!K(k+ 1 )=tP(k+ l/k)MT(k+ l)J. [M(k+ l)P(k+ 1/ k)MT (k+ l)+R(k+ 1 )]-1
(2.5.18)により与えられる。
次に、 推定誤差'X(k+1/k)の共分散行列 lP(k+l/k)に ついて詳しく説明する。
x (k+ l/k)の定義は
正'(k+ 1/ k)=x(k+ 1 )-x(k+ 1/ k)
(2.5.l9)である。 一方訂k/k)は
双k/k)=x(k)-x(k/ k)
(2.5.20)」こで、
x(k+ 1)=φ(k+ l/k).x(k)+δ(k+ 1)
(2.5.21)降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
五(k+ l/k)=�k+ 1/k}x1_k/ k)
(2.5.22)の関係を考慮し 、 (2.5.20)式の両辺にφを作用させると
φ .xてk/k)=φ.x(k)ーφ.x{_k/k)
(2.5.23)=(x(k+
1)-�(k+ 1))仰+ l/k)
:. i(k+ 1/ k)=φ.xT.k/k)+δ(k+ 1)
(2.5.24)の関係を得る。 上式とその転置行列の積により、 lP(k+ l/k)は次のようになる。
P(k+附=E[双k+ l/k).xT.k+ 1 / k)]
(2.5.25)=E [x(k+ 1/ k) 双が同T]φl +E [ δ(か1)δ(k+ 1) T ]
:. P(k+ l/k)=φ.P(k/ k) .φ+Q T
(2.5.26)、... 、... 1-
'- '- 官」
Q= & 伽1)δ(k+ 1) T ]
はシステム雑音の分散行列である。
最後に lP(k+1 /k+ 1)について考える。
(2.5.12)式より
五(k+1/k+1)=支(k+ l/k)-lK只k+1)
(2.5.27)である。 一方k+1ステ ッ プでの推定誤差X'(k+1 /k+1) とれlステ ッ プでの補正係数
//( y (k+ 1)とは独立である。
五(k+l/k+ l).llKj(k+ 1)
故に(2.5.27)式より
(双k+1/ k)-lK只k+1 )XK<只k+1 ))T =0
k+1ステ ッ プでの最適推定誤差の共分散行列 lP(k+1/ k+ 1)は
P(k+1/k+1)=E [双k+1/k+1)気k+ l/k+ 1)]
=再(双k+1/ k)-lK沢k+1)阪k+1/ k)-lK沢k+
1)y]
=E l(双k+ l/k)-lK只k+ 1) )X(k+ 1/ k)TJ +E[(沢k+ l/k)lK沢k+1))XlK,ヌk+
1))T]
=E[双k+ l/k)玖k+ l/k)TJ -KME[玖k+ l/k)双k+l/k)TJ
(2.5.28)
(2.5.29)
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
=P(k+l/k) -KMJP(k+ l/k)
=[J/-K MJ!P(k+l/k)
ここに fは単位行列である。
(2.5.18)式、 (2.5.26)式及び(2.5.30)式によりKa1man Gainが逐次決定される。
第2. 5.
2項 一次フィルター及び二次フィルタ一理論(2.5.30)
フィルタリングにおい て 、 状態方程式が非線形となる場合は、 前項で記述した カルマン フィルターをそのまま使用するこ とは出来ない 。 これに対応するフィル ターとして 、 拡張カルマン フィルター ・ 一次フィルター ・ 二 次フィルタ 一等が開
発されている(片山(1983)22) ) 。 本項では、 一次フィルター 及び二次フィルター の 理論をレビューする。
( 1
)記号の説明前項で定義しなかった記号の説明を行う。
A
(
x(t )
)は状態方程式のヤコビアン行列、 lFi(î (t )
) は状態方程式のヘジアン行列及びμ(t)はバイアス コレクシ ョ ンである。
( 2
)状態方程式 ・ 観測方程式カルマ ンの 予 測理 論に おける状態方程式はそれ ぞれ次のように表す こ
とができる。
主(t)= f (x (t) )+ &_t) ; X(t) = Xo y(t)= M(x(t)) +ε(t)
(2.5.31) (2.5.32) ここに 、 &,ε は誤差ベク トル (白色性正規雑音) で あ る。 ずらし時間
を τ とすると、 それらの自己相関関数はそれぞれ次式となるo
E[δ(t)δ(川
E [ ε(t )ε(t+'t') ] = R(t ).L1 (t )
ここに 、 L1(t)は D i r a c のデルタ関数である。
(2.5.33) (2.5.34)
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究 二次の項ま 状態方程式をZのまわりでテイラー展開し、
χ(t) =ミ(t)+ヌ(t)より、
(2.5.35) で取る。
f (x(t ) )王f(五(t )}+A (.五(t )).e(t ) + t E 仰(t )
.lF(王山
ハU ・・・ ハU
、, 、�
I �'- '- V '-- 、
i番目
ハU ・・・ ハU
中i=
である。
初一一仇 祈 一 〈 均 二ι 一 へd
弘一
仏
ヤコビアン行列
Ò!2 ÒXn
弘一仏側 、,r h 『 句B・・ ザ 一 〈 x t 一 円d
Ò!n ÒXn òfn ò!n
ÒX1 ÒX2 A
(i(t)
降水レーダを用いた水文現象の予測手法に関する研究
ヘジアン行列
Fi (.支(。
d2fl d2fl dXl dXl d 支
2d2f2 d2f2 dX2d支1 己主2
a2ん d2fn dXnd支1 dXndX2
( 3
)時間更新アルゴリズム状態、方程式が線形であれば次式が言える。
五(t) = f (X(t )) ;支(tk) =Xk
d2fl dXl d丸
d2f2 dX2dXn
d2ん a2f
(2.5.36)
しかし実際はf(*)が非線形であるとすると、 状態方程式 をテイラー展開した時に、 二次の項の統計亘
にバイアスが生じるのでそれを補正する項(バイアスコレクション)μ(1)を導入する。
五(t)= f (X(t )) +μ(t) ;支(tk)= x (k\k) ; tk壬t < tk+l e(tk) = e(k/k) =
x(k/k)- X(tk) = e(k/k) - Xk =吉(k/k)
(2.5.2.1)、(2.5.2.7)式より
ë(t)= i(t)- X(t ) = f (X(t )) +δ(t ) - f (れ) -μ(t )
L式に(2.5.35)式 を代入 す る。
(2.5.37) (2.5.38)
(2.5.39)
è(t)=
A(.仰(I)+t pieT(f)Fi(れ)峨t)ーん;μ t <恥1
(2.5.40) μ(1)を決定す るために 、 独立変数の平均値を用いる。-;(k) がx (k)の不偏推定値で ある と す ると次 式 が言える
E [e(tk) ] =
0 (2.5.41);-(t)もx (t)の不偏推定値で ある必要がある の で、 次 式が言える。