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4 .   土壌水分がエゾノギシギシの生育,重量

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Academic year: 2021

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(1)

エ ゾ ノ ギ シ ギ シ の 防 除 に 関 す る 生 態 学 的 研 究

.=. 

4 .   土壌水分がエゾノギシギシの生育,重量

および体内成分に及ぼす影響

村 山 三 郎 ・ 小 阪 進 一 ・ 大 島 敏 明 ( 酪 農 学 園 大 学 )

著者らは2.3), 先l乙遮光および温度処理がエゾノギシギシの生育,重量および体内成分に及ぼす影 響について検討した結果,その影響は顕著なものがあり,しかも,本雑草のAgeによって異なる乙とを 明らかにした。

引き続き,本報では土壌水分が本雑草の生育,重量および体内成分にいかなる影響を及ぼすかにつ いて検討し, 2, 3の知見を得たのでその概要を報告する。

材料および方法

実験場所は江別市文京台緑町の本学構内で行なった。供試土壌は洪積性重粘土壌を用いた。供試材 料は春播き区では1984年5月1日に播種し, 6月8日に定植した。秋播き区では1983年9月1日に播 種し, 1984年5月11日に苗(一個体平均2.09)を定植した。株植え区では1984年5月11日に約2... 

3年生の株(一個体平均78.5 9)を掘取り,ただちに定植した。処理区は過湿区(地下水位10伺区), 

適湿区(地下水位30cm区)および乾燥区(無かんがい区)の3区を設けた。処理の方法は縦75叩×横 95叩×高さ45仰の角水槽に 2,000分の 1aワグナー@ポットを入れ,地表より10cmおよび、30仰の高さ まで水道水を入れて地下水位を保った。また,乾燥区は萎凋した時のみ濯水した。施肥量はlポット あたり, N 2 9 (硫安109), P 2 05 2 9 (過石109),K2029 (硫加 49)および炭カノレ129  を施した。反復は3反復で行なった。

調査は定植後1週間毎に草丈および、葉数について調査した。すなわち,春播き区では6月15日から 7月20日まで6固にわたり,秋播き区および株植え区では5月18日から6月29日まで7固にわたり測 定した。掘取りは開花期に行なった。すなわち,春播き区では7月24日,秋播き区および株植え区で は7月3日に行ない,ただちに,葉部,茎部および根部に分け,生草重を測定した。その後,通風乾燥 機で24時間700Cで乾燥したのち,風乾重を測定した。そのほか,全窒素含有率 (T‑.N労)および全 有効態炭水化物含有率 (TAC%)について測定した。なお, T‑N%はKjeldahl法, TAC%は Somogyi ‑N elson法によった。

結 果 1. 草 丈

土壌水分処理別における草丈の推移は図lのとおりである。すなわち,春播き区では6月15日から 7月13日まで良好な伸長を示し,かっ処理聞に大差がなかった。最終調査の7月20日には適湿区で良 好な伸長を示したが,有意差は認められなかった。秋播き区では5月18日から6月1日までは土壌水

‑84‑

(2)

北 海 道 草 地 研 究 会 報 第20 (1986)

分が増すlとともない良好な伸長を示したが,最終調査の6月29日には適湿区,過湿区,乾燥区の順と なり, 5 ~ぢ水準で、有意差が認められた。株植え区では 6 月 1 日から 6 月 29 日まで、土壌水分が増すにと もない良好な伸長を示し,乾燥区で著しく伸長が劣った。最終調査の6月29日l乙は5 %水準で、有意差 が認められた。

春 婦 き 区 秋 錨 き 区 t!; ft'lえ区

0‑ 0  ;A!I区

60 A ‑ A適 温 区 60  60 

持ーー保健保区

50  50 

40 

30~ 必/ 30  30 

(cm) 

20 

10  10 

20 

10 

6

5 6/29 ~ぺ3 ちも

o

~B 6/15 % 9  

% s  

1 6..)5  6/29  (月/日〉

図1 土壌水分処理別における草丈の推移

2. 葉 数

土壌水分処理別における葉数の推移は図2のとおりである。すなわち 春播き区では6月15日から 6月29日までは処理聞に大差がなかったが, 7月13日から7月20日までは適湿区,乾燥区,過湿区の 順となり,とくに,最終調査の 1月20日には過湿区で葉数の減少を示したが,有意差は認められなか った。秋播き区では5月18日から6月1日まで処理聞に大差がなかったが, 6月15日から6月29日ま で、は土壌水分が増すにともない葉数の増加を示した。とくに,最終調査の6月29日には過湿区で著し く葉数が増加したが,有意差は認められなかった。株植え区では5月18日には土壌水分が増すにとも

軍 事 鍋 島 区 秋 措 量 区 保 繕 え 区

‑ 0過 湿 区

120  A‑‑A 適 湿 区 210 

14OOJ  0OF 

110  X‑.l司fi燥 区

200  13 

100  190  12 

!e. 

180  11 

90 

80  170 

70 160  70 

60  150  60 

(校) 50  140  50 

40  40 

30  30  30 

20  20  20 

10  10  10 

安'

'1.8 0/1

5 ~9 (月/日) 図2 土壌水分処理別における葉数の推移

‑85‑

(3)

ない葉数の増加を示したが,処理聞に大差がなかった。 6月1日から6月29日までは適湿区,過湿区 乾燥区の順となり,終始有意差が認められなかった。

3. 生 草 重

土壌水分処理別における部位別の生草重は図3のとおりである。すなわち,春播き区では根重にお いて,土壌水分が増すにともない増加したが,有意差は認められなかった。葉重,茎重および合計重 量において,適湿区,乾燥区,過湿区の順となり,それぞれ5%水準で有意差が認められた。秋播き 区では葉重,茎重,根重および合計重量とも,適湿区,過湿区,乾湿区のIJ頂となり,根重において,有意 差が認められなかったが,そのほかには1%水準で有意差が認められた。株植え区では根重において,

土壌水分が増すにともない増加したが,有意差は認められなかった。葉部,茎部および合計重量にお いて,適湿区,過湿区,乾燥区の順となり,葉部において, 1 %水準で,茎部および合計重量におい て, 5 ~ぢ水準で有意差が認、められた。

春播き区 秋播き区

1100  (g/pot) 

乾燥区

適湿区過湿区 乾燥区適湿区過湿区 乾燥区適湿区過湿区

図3 土壌水分処理別の生草重

4. 風 乾 重

土壌水分処理別における部位別の風乾重は図4のとおりである。すなわち,春播き区では根重にお いて,土壌水分が増すにともない増加したが,処理聞に大差がなししたがって,有意差も認められな かった。葉重,茎重および合計重量において,適湿区,乾燥区,過湿区の順となり,葉重のみに5%

水準で有意差が認められた。秋播き区では葉重,茎重,根重および合計重量とも,適湿区,過湿区,

乾燥区の順となり,根重において,処理聞に有意差が認められなかったが,葉重において1%7.K準で, 茎重および合計重宣言乙おいて~'5%水準で有意差が認められた。株植え区では葉重において,適湿区,

過湿区,乾燥区の順となり~ 5 %水準で有意差が認められた。茎重,根重および合計重量において,

土壌水分が増すにともない増加し,根重において,処理聞に有意差が認められなかったが,茎重および 合計重量において, 5%水準で有意差が認められた。

なお,根系は春播き区では全処理区とも,側根のみで主根が認められなかった。秋播き区および株 植え区では過湿区および適湿区で多数の側根の発生が観察された。

(4)

北 海 道 草 地 研 究 会 報 第20号(1986)

春播き区

210 

秋播き区

過 適 乾 過 適 乾 湿 湿 燥 湿 湿 燥 区 区 区 区 区 区

図4 土壌水分処理別の風乾重

乾燥区

適湿区 湿

5.  T‑N含有率

土壌水分処理別における部位別の T ‑ N含有率は表 1のとおりである。すなわち,春播き区では茎 部および根部において,土壌水分が増すにともない低

い値を示じ,茎部でも低い値を示す傾向にあった。秋 播き区および株植え区では葉部,茎部および根部とも,

土壌水分が増すにともない低い値を示した。

6.  TAC含有率

土壌水分処理別における部位別の

TAC

含有率は表 2のとおりである。すなわち,春播き区では茎部にお いて土壌水分が増すにともない高い値を示し,茎部お よび根部において,過湿区,乾燥区,適湿区の順であ った。秋播き区では葉部および茎部において,土壌水 分が増すにともない高い値を示し,逆に,根部におい て低い値を示した。株植え区では濃部において,適湿 区,過湿区,乾燥区の順となり,また,根部において,

適湿区,乾燥区,過湿区の順となり,一定の傾向は認 め難かった。

7.  C: N比

土壌水分処理における部位別のC:N比は表3のと おりである。すなわち,春播き区では葉部,茎部およ び根部とも,土壌水分が増すにともない高い値を示し た。秋播き区および株植え区では葉部および茎部にお いて,土壌水分が増すにともない高い値を示し,根部 でも高い値を示す傾向にあった。

‑87‑

表 1 土壌水分処理別の T ‑ N含有率 (%) 

石理ミ一一一連隼

葉 部 茎 部 根 部

過 湿 区 3.44  1. 26  0.96  適 湿 区 3.33  1.‑79  1. 25  乾 燥 区 4.  10  2.49  1. 52 

過 湿 区 2. 71  1. 79  0.95  適 湿 区 3.08  1. 87  1. 38  乾 燥 区 3.96  2.51  1. 42 

株 植

過 湿 区 2.26  1.15  0.69  適 湿 区 2. 79  1. 41  O. 79  乾 燥 区 3.69  2.11  1. 10 

2

土壌水分処理別の

TAC

含有率 (%) 

ー瓦璽ミご一一道主 E

葉 部 茎 部 根 部

過 湿 区適 湿 区 85. 7.267   109..2639   1131. . 7433  

乾 燥 区 6.21  8.74  11. 87 

過 湿 区適 湿 区 75.  1.838   89..9528   1123.. 7912  

乾 燥 区 5.  13  8. 79  15.30  株

過 湿 区 5.96  9.65  12.31  適 湿 区 7.04  9.27  14.35  乾 燥 区 5. 76  9. 76  12. 76 

(5)

考 察 表3 土壌水分処理別のC:N比 山崎6)は作物の湿害の発生機構について,つぎのよ

うに考察している。すなわち,土壌水分の増加にとも なって通気が抑制され,そのため根の呼吸作用が害さ れ,その結果として無機成分および、水分の吸収が円滑 に行なわれなくなる乙と,土壌中への酸素の供給が不 充分であるために,土壌の質的変化があり,その変化 が根部,ひいては地上部に害作用を与えるものと考え られると記している。本実験において,過湿区でやや 生育が劣ったのみであることから,エゾノギシギシは 比較的耐湿性の強い植物であるものと思われる。

一方,西Jl15

)は乾燥地における作物の濯水処理は土壌水分を高め,皐ばっ要因を軽減するばかりで なく, 3要素のみならず,そのほかの微量要素など多くの無機塩類を補給する意義も大きく,水分代 謝や炭水化物代謝なども円滑にし,乾物生産を維持増進するものと思われると報告している。本実験 において,秋播きおよび、株植えの乾燥区で、生育が劣ったのは上記の濯水の効果が得られなかったため と考えられる。

また,中島4)は地下水位の高低と桑葉成分との関係について,水位が高いほど、かえって茎葉の含有 率は低く,可溶性炭水化物が増加し,あたかも萎縮病にかかったような外観を呈し,蛋白質,石灰含 量なども低下したと報告している。本実験においても,おおむねこれに類似した結果を得た。

以上の乙とから,土壌水分がエゾノギシギシの生育および重量におよぼす影響は本雑草のAgeによ ってやや異なるものと思われる。すなわち,春播きの植物に対する影響は顕著でなかったが,秋播き および株植えの植物に対する影響は乾燥区で顕著であった口乙のことは側根の発生と密接な関連があ るものと考えられる。なお,体内成分の含有率はAgeによる差異が顕著でなかった。

瓦産三ご一一高位

葉 部 茎 部 根 部

過 湿 区 2.04  8.17  14.30  適 湿 区 1. 71  5.  38  9.  14  乾 燥 区 1. 51  3.51  7.81  秋 過 湿 区 2.65  5.32  13.39  適 湿 区 1. 89  4.80  10.08  乾 燥 区 1. 31  3.50  10. 77 

過 湿 区 2.64  8.39  17.84  適 湿 区 2.52  6.53  18. 16  乾 燥 区 1. 56  4.63  11. 60 

文 献

1 )村山三郎・小阪進一・若林孝彦(1977) :草地における雑草の生態的防除に関する研究 第2報 土壌水分が雑草の生育・体内成分に及ぼす影響,酪農学園大学紀要, 7 (1) , 63‑‑72  2 )村山三郎・小阪進一・若林孝彦・租父江忠史(1985) :エゾノギシギシの防除に関する生態学的

研究 1.  遮光処理がエゾノギシギシの生育,重量および体内成分に及ぼす影響,北海道草地研 究会報, 19, 146 ‑‑151 

3 )村山三郎・小阪進一・佐藤公之(1985) :エゾノギシギシの防除に関する生態学的研究 2.  温 度処理がエゾノギシギシの生育,重量および体内成分に及ぼす影響,北海道草地研究会報, 19, 

152 ‑‑156 

4)中島 茂 (1930) :地下水の高低と桑葉成分との関係,日本蚕糸学雑誌, 1, 253 ‑‑256  5)西川欣一(1971) :アルフアルファの生理的特性に関する研究 第9報 アルフアルファの夏季

生育に及ぼす土壌水分の影響,神戸大学農学部研究報告, 9, 20‑‑24 

6)山 崎 伝 ( 1946) :畑作物湿害の生理 (3),朝倉書庖,東京, 160 ‑‑178 

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参照

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