第2回:
マーケティングにおける考え方
高崎経済大学 経済学部
三富
悠紀(ミトミ
ユウキ)
マーケティング入門
配布用マーケティング入門
授業日程
1. イントロダクション:マーケティングを学ぶ意味について 2. マーケティングにおける考え方 3. マーケティング環境の捉え方 4. 競争構造の分析 5. 標的市場の選択:STPマーケティング 6. 製品のマネジメント(1):製品に含まれる要素 7. 製品のマネジメント(2):新製品開発 8. 流通のマネジメント(1):流通チャネル 2本日の講義のポイント
1. マーケティング・コンセプトとは一体何なのか?
2. マーケティングの基本的な3つの課題を知る
マーケティング・コンセプト
マーケティング・コンセプト 企業経営にとって必要とされる企業の市場に対する考え方 今日に至るまで、変遷してきた。 4プロダクト志向
販売志向
顧客志向
社会志向
マーケティング・コンセプト
プロダクト志向 製品を作って、売れば売れる状況の考え方 マーケティングについて特に考えない 販売志向 供給過剰になった状況で起きる考え方 基本はニーズとか関係なく、過剰に作られた商品をどう やって、顧客に買わせるか。ここまでのマーケティング・コンセプトは
あくまで企業本位の考え方
マーケティング・コンセプト
顧客志向 顧客のニーズを満たすことで、企業活動の起点にしよ うという考え方。自社の目的・能力応じた顧客のニー ズに応えることが重要 「顧客のことを考えなかったら何も考えていないのも 同然だ」 by Jack Welch ただ、顧客の声に耳を傾けるだけではいけない。 6マーケティング・コンセプト
「お客様は神様です」
マーケティング・コンセプト
8何故、この話をするのか…
お客様を神様とあがめて、顧客の声に耳を傾けただけで は不十分な可能性がある。「○○について、何か欲しい機能はありますか?」
といきなり聞かれて、本当に答えられる?
マーケティング・コンセプト
多くの人は、実際に使っている商品について即座に欲しいモ ノ、機能を答えられることは少ない。 特に新製品ならなおさら。 自動車もカップラーメンもスマホも、実際に商品を目にしてか ら、顧客は「私たちはこれが欲しかったんだ」と言い始める。マーケティング・コンセプト
10 要は、顧客の声が真に顧客が求めているものとは限らない また、顧客が欲しがるものが具体化されていないとい うことも多い。 更に、顧客の欲しがるものは刻一刻と変化する。 スティーブ・ジョブズは「顧客が何か欲しいかを尋ね、 それを与えようとするだけでは駄目だ。完成するころに は彼らはもっと新しいものを欲しがるはずだ」という言 葉を残している。マーケティング・コンセプト
顧客の声が必ずしも参考になるとは限らない
優れたクリエイターは、顧客の声に耳を傾け
るのではなく、顧客になりきることで、顧客
が何を欲しがっているかを感じ取る。
Ex. コルグのKAOSS PAD
開発者達もクラブに通い、DJと交流を深めることで、 DJの気持ちがわかる様になった。
マーケティング・コンセプト
12ダイソンのサイクロン式掃除機の成功
従来までの掃除機に対する顧客の声 「掃除したゴミは、見えない方が良い。わざわざ、吸い 取ったゴミなんか見たくない」 ジェームズ・ダイソン氏 出所) http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/2014/0 515/マーケティング・コンセプト
社会志向 単に利益を追求するだけではなく、長期的な視野を持っ て社会との共存を重視した考え方 文化や芸術に対する援助や、医療、福祉、教育などに対 する寄付や奉仕といった慈善などが行われる。【参考】ソーシャル・マーケティング
14 ソーシャル・マーケティング 営利企業であろうとも、人権保護やエコロジー、情報 公開などの社会的貢献こそ、企業の存在価値だという 考え方 スターバックスコーヒーなどは、利益至上主義の脱却と企業 の社会的責任(CSR)を強くアピールすることで成功している。マーケティング的な発想
マーケティングについて考えるに当たって、消費者のニー ズをどう捉えるのか。 Theodore Levitt教授が、ハーバードビジネスレビューにおい て「マーケティング・マイオピア(マーケティング・近視眼)」と いう論文で、この点を指摘している ハーバード・ビジネスレビュー 2011年10月号 https://www.dhbr.net/ud/backnumber/50c55 8896a8d1e2483000001マーケティング的な発想
16 「消費者が欲しいのは、製品・サービスではなく、機能である。 近視眼のマーケターはなかなか、そのことを理解しようとしな い。」 by Theodore Levittマーケティングの基本的な課題
マーケティングの仕組みを考えるにあったって、3つの観点か ら考えていく必要がある。
何を(What) / 誰に(Who) / どのように(How)
まず企業が消費者に提供しているのは、便益(ベネフィット)。 ニーズとは、消費者の本質的な欲求。
欲求(wants)とは、基本的な便益じゃないもう1段上の 要求。
マーケティングの基本的な課題
18例えば、ユニクロのヒートテック
出所) ユニクロ ヒートテック公式HP https://www.uniqlo.com/jp/store/feature/uq/he attech/men/マーケティングの基本的な課題
忘れてはならないのは、顧客のニーズが多様であること。 多様な顧客ニーズに対して、如何にマーケティング活動を していくかが、重要である。 誰(Who)に対して、商品・サービスを提供するのかも重要 顧客によって、商品の品質や仕様が決まる WhatやWhoの決定は、商品やサービスをどうやって提供 するのか(How)の決定と密接に結びついている 販売方法 販売組織 販売経路顧客価値
20 顧客が「何を(What)」を買っているかをより詳細に価値は、物凄く主観的。
顧客によって、機能的な部分に価値を感じる人、「おしゃれだ」といった 感覚的な部分に価値を感じる人もいる。顧客価値
感覚的価値 機能的価値 経験価値 文脈価値 付随機能 本質機能 製品・サービス に価値がある 顧客が価値 を実現する 顧客価値を図で表すと以下の様になる。 使用状況の影響 製品・サービス自体顧客価値
22 機能的価値 商品・サービスに組み込まれている機能に対する価値 機能には、本質機能(この商品なら当たり前の機能)と付随 機能(当たり前でない魅力的な機能)が存在する。 本質機能がない商品・サービスが売れないのは道理! 付随機能がより魅力的であれば、他の企業の商品と差別 化できる。逆に本質機能に特化するというのもあり。顧客価値
本質機能
写真が撮れる、オートフォーカス など 付随機能
顧客価値
24感覚的価値
機能的価値と違って、客観的に優劣の判断がしにくい。 「おしゃれ」なカメラを、たくさんのカメラの中から1つ選ぶ のは至難。感覚的価値の特徴として、模倣がしにくく、他の
企業と差別化できる。
顧客価値
製品やサービスは使用したり、消費するものである。 経験価値 製品やサービスを使用したり、消費すること自体で得ら れる価値のこと 製品・サービスを消費する経験から生み出される価値で あることが重要顧客価値
26
消費経験から価値を感じる…経験価値の議論を発展させる と次の様なことが考えられる。