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イソハゼおよびミドリハゼの生態

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Academic year: 2021

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Title

イソハゼおよびミドリハゼの生態

Author(s)

道津, 喜衛; 有馬, 功; 水戸, 敏

Citation

長崎大学水産学部研究報告, v.18, pp.41-50; 1965

Issue Date

1965-02

URL

http://hdl.handle.net/10069/31552

Right

NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE

(2)

イ ソ ハ ゼ お よ び ミ ド リ ハ ゼ の 生 態

道津喜衛 ・有馬 功 ・水戸 敏

The Biology of the Eleotrid Fishes,

Eviota abax and Eviota zonura

Yoshie DOTSU, Satoshi ARIMA* and Satoshi MITO**

Eviota abax (JORDAN et SNYDER) and Eviota zonura JORDAN et SEALE are small eleotrid gobies. In Japan both the fishes are distributed in the south-western districts. The distribution-limit of E. abax is more nothern than that of E. zonura.

Both the fishes lived in tide pools on rocky or coral-reef shores and in coastal shallow waters near the pools (Pl. I, Figs. 1, 2). In some instances of the collections made by the authors in Kyushu and the Ryukyus, both the fishes were collected from the same tide pool. The fishes fed on small Copepods, Isopods, Curastaceans, Polychaetas and fish larvae.

The male E. abax grows to 44mm in total length and the female to 40mm (Pl. I, Figs. 3, 4). The male E. zonura grows to 40mm and the female to 33mm (Pl. I, Figs. 5,6). Some individuals of both the fishes become the adults, which are over 26mm in total length, in a year, but the other individuals become the adults in two years.

The sex-dimorphisms appeared in the first dorsal fin and urogenital papilla of both the fishes. The first spine of the first dorsal fin of the male fish is filamentous, but the spine of the female is not filamentous. The papilla of the female E. abax is similar in shape to the papilla of the female E. zonura, but the papilla of the male E. abax is different in shape from the papilla of the male of the allied species, E. zonura (Fig. 1).

The ripe ovarian eggs of E. abax ranged from 0.5mm to 0.6mm in diameter, and they amounted from 329 to 790 in the cases of five females, ranging from 28mm to 32mm in total length. The ripe ovarian eggs of E. zonura were similar in size to the eggs of E. abax, and they amounted from 336 to 1,026 in the cases of five females,

ranging 26mm to 31mm. The ripe eggs of both the fishes seemed to be spawned some times during a spawning-period. The spawning-period of both the fishes extended from May to August in Kyushu.

A pair of the mature fish of E. abax had been collected from a tidal pit on the rocky shore of Tsuyazaki in Northern Kyushu on the 13th of July, 1960. The fish was kept in a glass jar, which was

*  福 岡県 豊 前 水 産 試 験 場 ,福 岡県 豊 前 市. Buzen Fish. Exp. St. of Fukuoka Pref., Buzen, Fukuoka Pref.

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provided with sand bottom, for 16 days. The fish deposited an egg-cluster on the inner side of the shell, Spondylus sp., which was laid on the sand bottom as an artificial nest, on the 14th of July. The

egg-cluster contained about 250 eggs.

The egg was adhesive one, and it was spindle in shape. It was 2.4mm in long axis and 1.0mm in short axis, and it had a yellow yolk (Fig. 2). The translucent granules appeared in the embryo of the egg at the early developmental stages and disappeared at the later stage (Fig. 2, K). Many agrippa eggs, in which the embryo-heads faced to the bundle of the adhesive filaments, were observed in the egg-cluster.

The discharged unfertilized egg of E. zonura was similar in shape to the egg of E. abax, and itwas smaller than the latter. It was 1.7 , mm in long axis and 0.65mmin short axis, and it had a light blue

yolk (Fig. 3, A).

The newly hatched larva of E. abax was 4.4mm in total length, and it had 24 myomeres. It consumed its yolk in 36 hours and swam in a glass jar (Fig. 2, I). The post larvae of both the fishes had not been collected from tide pools, but the juveniles of the fishes, over 8mm in total length, appeared in tide pools where the adult fishes lived. In Kyushu the juveniles usually appeared in tide pools after August, about three months after the commencement of the spawning-period of the fishes. These facts suggest that the larvae, which hatch out in the coastal zone, leave the coastal zone for off-shore waters and spend a pelagic life there about three months, and they come again to the coastal zone when they become the juvenules (Fig. 3, B). The authors aim to use E. abax and E. zonura together with other tide-pool gobies for living fishing baits, and for this purpose they are studying on the ecology of the gobies.

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道津・有馬・水戸:イソハゼおよびミドリハゼの生態 43 集ではおなじ潮だまりから同時にイソハゼとミドリハゼがとれた例がある.  性徴:イソハゼ・ミドリハゼはともに全長50mm以下の小形のハゼであるが,前者は後 者よりややおおきくなり,’採集標本のなかでの最大魚はイソハゼの雄で全長44mm,雌で 40mm,ミドリハゼの雄で40mm,雌で33mmであり,両者ともに雄が雌よりおおきくな る(Pl.1, Figs.3,4,5,6).  冨山2)は「イソハゼの雄成魚の第1背びれの第1および第2棘はほかの棘よりたかく, その先端は糸状にのびているが,雌の背びれの棘は糸状にのびていない」としている.こ の第1背びれの棘にあらわれる雌雄差はミドリハゼにおいてもおなじであるが,しかしミ ドリハゼの雄では背びれの棘のうちでその先端が糸状にのびているのは第1棘だけであり, 第2棘はほかの棘とその先端まで膜でつながっていて糸状にはのびていない.  泌尿生殖突起についてみると,イソハゼの雄の突起は管状をなし,その後縁には12本か ら14本のふさ状の小突起があり,後端部は中央部とくらべてややはばがひろく,後端はさ い形をなしている.これにたいして雌の突起はまるくみじかいもので,後端の生殖口開口 部はややくぼみ,後縁には左右それぞれ4本の小突起をそなえている(Fig.1, A,B).  ミドリハゼの雌の突起はイソハゼの雌のそれと同形であるが,雄の突起はイソハゼとち がっており,管状をなした突起の腹面の左右両縁にはそれぞれ8本のふさ状の小突起がな らび,突起の後端はややくぼんでいる(:Fig.1,C,D).  固定標本についてみると,イソハゼ・ミ ドリハゼはともに,成熟魚の第1および第 2背びれ,しりびれのき膜は暗黒色をおび りおり,その色は雄魚のほうが雌魚よりわ いちじるしい.この暗黒色は未成魚および 未成熟の成魚にはあらわれていないことか らみて,ほかのハゼ類でもしられているよ うに,産卵期に雌雄両性にあらわれ,しか も雄のほうにとくにいちじるしくみられる 一一墲フ婚姻色であるとおもわれる.  成熟卵巣卵:イソハゼ・ミドリハゼはと もに,成熟卵巣内には卵径0.5mmから0.6 mmの大型成熟卵団とそのあいだに散在す る卵径0.10mmから0.16mmの小型未熟 卵団がある.あとでのべるイソハゼの採卵 実験およびミドリハゼの入工受精の結果か らみると,両者ともに成熟卵は1回にうみ だされるものではなく,何回かにわけてう      

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       のv Fig. 1. Semi−diagrammatic ventral view     of the urogenital papiHae,  A Papilla of the male adult of E. abax,   × 70.  B Papilla of the female of E. abax,  C Papilla of the male of E. zonura.  D Papilla of the female of E. zonur(t.         V anus みだされるとかんがえられる.したがって,産卵期にえた魚についてかぞえた成熟卵巣卵 数はすでに一部の卵が放出されたあとのものである場合もかんがえられるが,イソハゼの 雌成魚5尾(全長28∼32mm)についてかぞえた成熟卵巣癌数は329∼790であり,ミドリ ・・ゼの雌成魚5尾(全長26∼31mm)の成熟卵数は336∼1,026であり,後者の卵数が前者 のそれよりわおおかった.

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44 長崎大学水産学部研究報告 第ユ8号(1965)  産卵期:成熟魚の出現期からみると,九州におけるイソハゼおよびミドリハゼの産卵期 はともに5,月から8月のあいだである. 一  般  生  態  まえにのべた採集各地における筆者の採集はいずれも岩礁海岸およびさんご礁海岸で, 干潮時にあらわれた潮だまりからかいぼり採集およびそのほかの採集方法によってえたも のであり,採集時にはイソハゼおよびミドリハゼはともに潮だまり内の岩やさんごのすき まにかくれていて水面上からその姿をみとめることができなかった(Pl.1, Figs.1,2).  食性:イソハゼおよびミドリハゼの消化管内にはともに小型の等脚類,椀脚類,エビ・ カニ類,多毛類,稚魚があり,両者の食性のあいだには質的なちがいをみとめることがで きなかった.またさきにのべたように,玉之浦,松が浦,富川の各地では,この両者がお なじ潮だまりから同時にとれているが,同一潮だまり内における両者の生活関係について もわかっていない.  成長:採集標本の全長組成からみると,イソハゼ・ミドリハゼはともに生後1年で成体 となる個体と,生後2年で成体になる個体との両方があり,そのいずれにも産卵後もいき のこる個体があることがわかる.なお最小成体は両者ともに全長26mmである.

産卵および初期生活史

 イソハゼおよびミドリハゼはともにその天然の棲息場における産卵習性はまだわかって いない.  イソハゼの採卵実験:1960年7月13日に,福岡県宗像郡津屋崎町の玄海なだにめんした 岩礁海岸で潮だまり魚の採集・調査をおこなったときに,直径50cm,ふかさ50cmのかま がたの潮だまりtidal pitからイソハゼの雌雄おのおの1尾をえたが,その雌魚の腹部は 澄色をなしてふくれていたので,これらの魚を産卵前の雌雄一対であるとかんがえ,それ をいかしたままでちかくの九大農学部付属津屋崎水産実験所まではこび,そこの水槽で飼 育して採卵をはかった.使用水槽は直径20cm,ふかさ14cmの円形硝子水槽であり,その 底にうすく細砂をしき,砂上に採卵器(人工巣)として底面のひらたい3個の石とアカガ イ・イガイ・ウミギクSPonaylus sP.の貝殻をそれぞれ1個つつ(いずれも片殻のみを もちいた)をふせておいた.この心止の飼育期間は7,月13日から7月29日までの16日間で あり,飼育海水は流出式にしてゆるやかにながした.飼育期間中にはArtemia salinaの 幼生およびアサリのすり身を投餌し牟が,雌雄はともにそれらの餌をよく食べ,この捕食 はあとにのべる産卵のあともかわらなかった.親魚の飼育をはじめたつぎの日,すなはち 7,月14日には雌雄が水槽底でたがいに体をせっして並んでいるのがみられたが,翌7 月15日の午前9時ごろ,ウミギクの貝殻の内面に卵群がうみつけられているのをみつけた. この必読は貝殻(殻長・殻高ともにやく4 cpa)の内面のほぼ中央部に1層のみつなかたま りをなしてついており,卵数は約250個をかぞえた.雄親魚は貝殻のしたにとどまって卵 群を守っており,餌を与えるとそこからでてきて食べていた.産卵行動については観察し ていない.この産卵のあとで落魚の腹部はちいさくなり,その燈色も消えたが,7月23日 ごろからふたたび腹部がふくれてきて2回目の産卵が期待できたが,飼育設備がわるかっ たために7月29日に親旧が2尾ともににげていなくな’ツたのでこの採卵実験をやめた.

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道津・有馬・水戸:イソハゼおよびミドリハゼの生態 45

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46 長崎大学水産学部研究報告 第18号(1965) 数個の大型油球となることもない.この採卵実験でえた卵群のなかには卵膜内における墜 下の位置が正常卵とはぎゃくに,胚体頭部を附着糸そうの方にむけている逆子卵が多数ま ざっていた61・  ミドリハゼの卵:1953年7月28日に熊本県富岡で,1953年8月11日および1954年7月17 日に鹿児島県松が浦で,また1959年5,月22日には鹿児島県宝島で,それぞれミドリハゼの 成熟魚をえたので人工受精をおこなった.これらの試験では,完熟精巣はいずれもちいさ な糸状のものであり.,成熟卵も腹部をおしてもなかなかでなかったので,.それらの生殖腺 を切りだして湿導法によって受精をおこなったが,完熟卵がえられず,受精しなかった. 人工受精にもちいた成熟卵巣内に含まれていた卵には熟度のちがいがあり,一部の卵は海 水中にいれると卵膜がふくれ,胚盤が隆起するものもあった.この卵は紡錘形をした沈性 附着卵であり,附着糸そうをそなえた卵膜の長径は1・7mm・短径は0・65mmであり・イ ソハゼの卵よりややちいさい (Fig・3・A)・なおイソハゼの卵の卵黄部の色は黄色であ ったが,ミドリぐ・ゼリ卵の卵黄は淡青色をしていた.  イソハゼの仔魚・:ふ化直後のイシハゼの仔魚は全長4.4∼4.5mmであり,体制はととの い,うきぶくろをもつ.黒・黄両色素ほうきぶくろ・消化管おホび尾部の腹側体緑部にわ ずかにあらわれ、為にすぎず・ こめ仔魚の一つの特徴となっている・体飾数はte 8 ±16=24 (成魚のせき?い骨数は10+16 = 26)であった.この面面はふ化後約1日半で卵黄を吸収 し,水槽水の中層をおよいだ(Fig.2,1).

A

B

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Fig. 3. Egg and juvenile of E. xonura. A Discharged unfertiljzed egg. B 10.lmm juvenile.  初期生活史:イソハゼ・ミドリハゼともに後期三二はまだ採集されていないが,両者の 稚魚(全長10m由前後)は九州各地で例年8,月以降(産卵期のはじまりから約3か月後) になると成魚がすんでいる潮だまりから採集されている.しかし,後期仔魚は潮だまり内 にはあらわれない.ふ化直後の仔魚の生態およびこれらの採集状況からみると,先に筆者 がおなじく潮だまりハゼの一種であるホシハゼAsterroPteryx semiPunotatusの初期生 活史に?いて鮪頃ように・・,イソ・・ゼ・ミドリ・・ゼではとも聴糊でうみつけられ た付着卵からふ化した運動力のとぼしい仔魚は潮・海流にながされていちど岸を離れて外 海へでてゆき,そこで約3か月にわたる浮遊生活をおくって後期仔魚期をすごし,いその 生活にてきした形態をそなえた稚魚(全長10mm前後のおおきさ)となったのちにふたた

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道津・有馬・水戸:千ソハゼおよびミドリハゼの生態 47 び沿岸域にきてそこにすみつくものとかんがえられる.  この外海における浮遊生活期のハゼ類の仔魚は,これまでに西南日本の沿岸から沖合に わたる水域でおこなわれてきたいろいろな海洋調査(たとえば,1952年∼1956年におこな われた水産庁対馬暖流開発調査)の稚魚網採集で多数とられており,そのなかにはイソハ ゼ・ミドリハゼなどいそにすむハゼの仔魚とおもわれるものが含まれているが,いまのと ころそのほとんどの標本は種類の決定ができていない.  稚魚:イソ・・ゼの稚魚については,中村8)が1935年8,月,千葉県小湊海岸の潮だまりか らえた全長8.8mmと9.5mmの2尾について図示し,説明している.この9.5mmの稚魚と 筆者が1951年S月30日に長崎県玉之浦の潮だまりからえた全長10.1rnmのミドリ・・ゼの稚 魚(Fig.3, B)とくらべてみると,両者にはそれらの成魚のあいだにみられるちがいが すでにあらわれており,イソハゼの稚魚の胸びれの基底には二つの黒色はん点があるが, ミドリハゼの稚魚にはこのはん点はみられない.なおイソハゼの稚魚の忍びれの後縁はさ い形であるが,ミドリハゼの稚魚の尾びれはすでに半円形をなしている. 論 議  泌尿生殖突起の形態について:ハゼ類の泌尿生殖突起の形態が種類によって,また雌雄 によってことなることについてはすでにおおくの報告があり9),筆者がこれまでにおこな ってきた研究でも,たがいに近縁種とされているハゼのあいだでは,その突起の形態は雌 雄でそれぞれに同形をしめすことをたしかめることができた. しかるに,さきにのべた ようにイソハゼとその近縁種であるミドリハゼでは,雌の突起は同形であるが,雄では たがいにそのかたちがちがっている (Fig.1).これとおなじようなことはカワアナゴ属 EleotcrisのカワアナゴE. oxγcePhalaとテソジクカワアナゴE. fuscaの生殖突起のあ いだにもみとめられた.しかもこの場合には,イソハゼ・ミドリハゼの場合とはぎゃくに, 雄の突起は両者で同形であるが,雌の突起はたがいにそのかたちをことにしている.これ らの例のように,近縁のハゼでたがいに泌尿生殖突起のかたちがちがう例は筆者がしらべ たかぎりではクモハゼ科Gobiidae(左右の腹びれがあわさって一つになったものをもつ ハゼ)のハゼにはみられず,カワアナゴ科Eleotridae(左右の腹びれがたがいにはなれ たものをもつハゼ)のハゼにのみあらわれている.ハゼ亜目Gobiinaの系統関係を考察 するときに,このような生殖突起のかたちの臭同のあらわれかたをどのように取りあつか うかについては,こんこの研究にまたねばらない.またイソハゼ・ミドリハゼおよびカワ アナゴ・テンジクカワアナゴの例のように,近縁種のあいだで生殖突起のかたちがちがう ものではその産卵行動においていかなるちがいがあらわれるかについてもあきらかにする 必要がある.  潮だまり内で生活するハゼ類の生態:イソハゼおよびミドリハゼは日本の西南部におけ る典型てきな潮だまり魚tide−pool fishであり,それらの生活史の面からみると,「成魚 潮だまり生活形」のさかなであることはさきに報告した7).筆者がこれまでにおこなって きたいそうおの生態研究においては,潮だまり内にすんでいるハゼ類を,干潮時にそこで の採集・観察が便利であることから,とくに「潮だまりハゼ」として取りあつかってきた が,この潮だまり内にいるハゼと同種類のものが,同時に潮だまりのぞとの沿岸三所にも 多数すんでいることは筆老が沓地のいそでおこなった潜水調査によってたしかめており,

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要 約 イ ソハ ゼ お よび ミ ド リハ ゼ は と もに 日本 で は 西 南 域 に 産 す る小 形 の ハ ゼで あ り,前 者 は 後 者 よ り北 方 域 ま で分 布 す る.両 者 と もに 岩 礁 お よび さん ご礁海 岸 の 潮 だ ま りお よび そ の 附 近 の沿 岸 浅 所 に すみ,等 脚類 ・椀 脚 類 ・甲 殻 類 ・多 毛 類 ・稚 魚 な どの 小 動 物 を た べ て お り,両 者 が お な じ潮 だ ま りか ら同時 に とれ た 例 もあ る. イ ソハ ゼ ・ミ ドリハ ゼは ともに 全 長5cm以 下 の 小 形 魚 で あ るが,前 者 は 後 者 よ りや や お お き くな り,ま た と もに雄 が 雌 よ りや や お お き くな る.最 小 成 体 は ともに 全 長26mmで あ り,生 後1年 で成 体 とな る個体 と2年 で 成 体 とな る個 体 との 両 方 が あ り,そ の い ず れ に も産卵 の の ち もい きの こ る もの が あ る.九 州 西 南 部 に お け る産 卵 期 は 両 者 と もに5月 か ら 8月 の あ い だ で あ り,雌 は 一産 卵 期 に 数 回 に わ た って 産 卵 す る とお もわ れ るが,卵 径0,5 ∼0 .6mmの 成 熟 卵 巣 卵 数 は全 長28∼32mmの イ ソハ ゼで329∼790,全 長26∼31mmミ ド リハ ゼ で336∼1,026を か ぞ えた. 第2次 性 徴 は イ ソハ ゼ ・ミ ド リハ ゼ と もに 第1背 び れ お よび 泌 尿 生 殖 突 起 に あ らわ れ る. す なわ ち,両 者 と もに雄 の 第1背 び れ の 第1棘 は 糸 状 に のび てい るが,雌 の棘 は 糸状 を な して い な い.生 殖 孔 突 起 の 形 は 雌 ・雄 で こ とな り,ま た 雌 で は イ ソハ ゼ と ミ ド リハ ゼ の 突 起 は 同形 で あ る が,雄 の 突 起 は 両 者 で は か た ちが こ とな る. 天 然 に お け る産 卵 習 性 は 両 者 ともに わ か って い ない が,イ ソハ ゼ につ い て は,1960年7 月 に,福 岡県 津 屋 崎 町 の 岩 礁海 岸 の 潮 だ ま りか ら採 集 した 成 熟 魚 の雌 雄 一 対 を水 槽 で 飼 育 し,そ れ に 産卵 巣 と して ウ ミギ クの 貝 殻 を 与 えて 産 卵 させ る こ とが で きた. イ ソハ ゼ の 卵 は 長 径2.3∼2.5m,短 径1.0∼1.1mm,の 紡 錘 形 を した 沈 性 付 着 卵 で あ り,卵 黄 は 黄 色 で あ った.ミ ドリハ ゼの 受 精 卵 は まだ とれ て い ない が,海 水 の な か に 放 出 され た 未 受 精 の 熟 卵 は イ ソハ ゼの 卵 とお な じ く紡 錘 形 を した沈 性 付 着 卵 で あ り,そ の お お

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き さ は長 径1.7mm,短 径0.65mmで,イ ソハ ゼ の卵 よ りや や ち い さ く,卵 黄 は 淡 青 色 で あ っ た. イ ソハ ゼ の ふ 化 直 後 の 仔 魚 は 全 長4.4mmで,体 節 数 は24を か ぞ えた.イ ソハ ゼ ・ ミ ドリハ ゼ は と もに 後期 仔 魚 は まだ 採 集 され て い な いが,こ れ まで の採 集 結 果 か らみ る と, 両者 と もに海 岸 域 で うみ つ け られ た卵 か らふ化 した 仔 魚 は 潮 ・海 流 に なが され て い ち ど外 海 に で て ゆ き,そ こで 浮 遊 生 活 を お くりなが ら後 期 仔 魚期 を す ご し,い そ の生 活 に て き し た形 態 を そ な え た全 長10mm前 後 の 稚 魚 に な っ た の ち に ふた た び海 岸 域 に き て そ こにす み つ くもの とか ん が え られ る.九 州各 地 で は,イ ソハ ゼ と ミ ド リハ ゼ の稚 魚 は と もに例 年 8月 い ごに な る と親 魚 の す ん で い る潮 だ ま りか ら採 集で きるが,後 期 仔 魚 は 潮だ ま り内 に は あ らわ れ な い. 筆 者 は イ ソハ ゼ ・ミ ドリハ ゼを 含 め た 潮 だ ま りの なか にす む ハ ゼ類 を 採 集 して有 用 魚 の つ りの い きえ さ と して 利 用 す る こ とを め ざ して お り,こ のた め に,い そ にす む ハ ゼ類 の生 態 に つ い て 実 験 ・観 察 を す す め て い る.

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50 Fig. 1. Fig. 2. Fig. 3. Fig. 4. Fig. 5. Fig. 6, 長崎大学水産学部研究報告 第18号(1965) Plate 1 麟騨鞭迄・議奪騰磯騨幽忌疑

 豊 凸 漸動鐵職磯鱒、議欝   ,擁秀幾難嚢華麗 Ilabitat of Evi,ta abax, tide−pools on rocky shore of Tomioka, Kumamoto Pref., at ebb tide. Habitat of E, zonura, tide−pools on coral−reef shore of Takara Island, Kagoshima Pref., at ebb tide. Mature male fish of E. abax, 34mm in total length. Mature female of E. a6ax, 27mm. Mature male of E. zonura, 33mm. Mature female of E. .zonura, 27mm,

参照

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