β 遮断薬+Ca 拮抗薬の効果:ACTION trial(100930、101007)
101007 COPE 試験の速報の内容を追加記載 高血圧ガイドライン(参考文献 1)の併用療法の項目には、「β 遮断薬+Ca 拮抗薬は ACTION において多くの患者で用いられ、特に高血圧患者では有用であった」との記載がある。ACTION 試 験は読んだことが無いので、これを機会に目を通してみることにした。 (参考文献 1) ●PECOP:3825 patients with treated stable symptomatic coronary disease E:nifedipine GITS (gastrointestinal therapeutic system) 60 mg once daily C:placebo
O:The primary endpoint was the combination of death, acute myocardial infarction, refractory angina, new overt heart failure, debilitating stroke, and peripheral revascularisation.
た研究であることが分かる。 ちなみに、対象となっている集団の高血圧患者の割合は半分程度なので、純粋な高血圧患者 への介入というわけでは無いことに注意が必要。 (参考文献 2 より引用) ベースラインの時点で、8 割くらいの患者がβ遮断薬を服用している。 (参考文献 2 より引用) ●妥当か
抄録中に randomly assigned、double-blind、Mean follow-up was 4・9 years (SD 1・1). Analysis was by intention to treat.などのキーワードがあり、内的妥当性に関しては問題なし。
●結果
結果は以下の通り、差なないという結果であった。試験全体でみるとβ遮断薬に CCB を追加し ても統計学的には差が無いという結果なので、むしろ否定的なデータとなってしまう。
サブグループでの結果を見てみる。
Primary endpoint rates were 4・60 per 100 patient-years for nifedipine and 4・75 per 100 patient-years for placebo (0・97 [0・88–1・07], p=0・54).
(参考文献 2 より引用) 血圧が高い群ではプライマリエンドポイントで差が付いているので、P の部分を「安定症候性冠 動脈疾患がある高血圧患者」と限定すれば、有効である可能性も高くなる。 (参考文献 2 より引用) 併用の効果が知りたいので、実際β遮断薬と CCB を併用したサブグループの部分を見てみると、 こちらでは差がはっきりしない・・・。(むしろ、β遮断薬以外と CCB を併用した方が良い結果のよう にも見える。)
The lower, the better の原則からすれば、降圧すればそれなりにイベント抑制が期待されても良 いと思うが、今回の試験全体では有意差が無かった。以下のように、プラセボと比較すれば確実 に血圧は下がっているので、やや期待外れな結果とも言える。
(参考文献 2 より引用)
高血圧患者のサブグループ解析(参考文献 3)をチェックしてみたが、β遮断薬を服用していた 高血圧患者は 80%弱といったところ。β遮断薬+CCB が他剤+CCB と比較して優れているまた は同等という結果を読み取ることは出来なかった。
降圧の程度に差があるわけだから、降圧の差以上のメリットをはっきりさせる必要があると思う が、ガイドラインで推奨するほどの根拠になっているとは思えなかった・・・。(流し読みしかしてい ない人の個人的意見です。) 2010 年 10 月、超タイムリーに、日経メディカルに COPE 試験の速報が掲載されていたのでこの 記事をもとに COPE 試験の内容をまとめてみる。詳しい吟味は論文が発表されてから行うこととし、 今回は流し読み。 ●PECO P:40 歳以上 85 歳以下の外来患者で、140mmHg/90mmHg 以上の高血圧患者 EC:長時間作用型 Ca 拮抗薬ベニジピン(4mg/日)を基礎薬とし、β 遮断薬、ARB、サイアザイド系 利尿薬のいずれかを併用投与する 3 群に無作為に割り付け C:主要評価項目は、複合脳心血管イベント(突然死、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症による入 院、心不全の新規発症、心臓突然死、末梢動脈疾患の新規発症および増悪、腎不全の発症ある いは増悪、血清クレアチニン値 4mg/dL 以上、腎透析、腎移植)、降圧目標値の達成度とした 介入の詳細は以下の通り。 降圧目標値は 140/90mmHg 未満とし、降圧目標値に未到達の場合には、まずベニジピンを 8mg/ 日に増量し、さらに未達の場合は各併用薬を増量する。それでも到達しなければ、試験薬以外の 降圧薬を追加することとした。 ●妥当か PROBE 法、3 年間追跡などのキーワードが読み取れる。突っ込みたくなるところはいつも同じだ が、今回はななめ読み。 ●結果
主要評価項目である複合脳心血管イベントについては、患者 1000 人・年当たりの発生率でみると、 β 遮断薬群は 12.6 人、ARB 群は 10.4 人、サイアザイド系利尿薬群は 8.2 人であった。ARB 群は β 遮断薬群に比べ少ない傾向が認められたものの(ハザード比 1.54、95%CI 0.98-2.41、p= 0.0567)、3 群間に有意差は認められなかった。 追跡期間中の血圧値には群間差は認められず、追跡開始 3 年目における血圧値は β 遮断薬群 133.9/77.0mmHg、ARB 群 134.7/77.2mmHg、サイアザイド系利尿薬群 134.0/76.6mmHg こうなってくると、本当に、次のガイドラインでは CCB+β遮断薬は推奨されないということにな るのかもしれない。より信頼されるガイドラインになってほしい。 参考文献 1. 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会. 高血圧治療ガイドライン 2009. 東京,. ライフサイエンス出版. 2009.
2. Poole-Wilson PA, Lubsen J, Kirwan BA, van Dalen FJ, Wagener G, Danchin N, Just H, Fox KA, Pocock SJ, Clayton TC, Motro M, Parker JD, Bourassa MG, Dart AM, Hildebrandt P, Hjalmarson A, Kragten JA, Molhoek GP, Otterstad JE, Seabra-Gomes R, Soler-Soler J, Weber S; Coronary disease Trial Investigating Outcome with Nifedipine gastrointestinal therapeutic system investigators. Effect of long-acting nifedipine on mortality and cardiovascular morbidity in patients with stable angina requiring treatment (ACTION trial): randomised controlled trial. Lancet. 2004 Sep 4-10;364(9437):849-57.
3. Lubsen J, Wagener G, Kirwan BA, de Brouwer S, Poole-Wilson PA; ACTION (A Coronary disease Trial Investigating Outcome with Nifedipine GITS) investigators. Effect of long-acting nifedipine on mortality and cardiovascular morbidity in patients with symptomatic stable angina and hypertension: the ACTION trial. J Hypertens. 2005 Mar;23(3):641-8.
4. 長時間作用型 Ca 拮抗薬には β 遮断薬より利尿薬か ARB の併用が望ましい―COPE 試験