運動技能学習に対するミラーセラピーと経頭蓋直流電気刺激法の併用療法の有効性
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(2) MT と tDCS 併用療法の有効性. 169. 2.ボール回転の遂行回数. 考 察. 健常者は,群内,群間要因の交互作用を認めなかった。両. tDCS による有害事象は発生しておらず,適切な刺激方法を. 群ともに介入後の左手による回転数は増加し主効果を認めた. 用いることで簡便かつ安全に治療が実施できたと考える。ま. (a-tDCS:介入前 14.8 ± 3.6 回,介入後 17.6 ± 3.6 回,p < 0.05,. た,上肢巧緻性以外の運動機能や認知機能には変化が見られて. s-tDCS:介入前 12.7 ± 3.7 回,介入後 18.0 ± 3.2 回,p < 0.01)。. いないことから,本法の効果は課題特異的な変化をもたらすこ. 一方,群間の回転数には差がみられなかった。. とが示唆された。. 3.加速度指標とボール回転数の関連. 健常高齢者に対する tDCS と MT の併用(a-tDCS 群)は,. 健常者のボール回転数は,垂直軸(Z)方向の mean-PVA お. 効果量は小さいものの即時的に運動技能学習を促進する可能性. よび CV-PVA と有意な関連性を認めた(mean-PVA;r = 0.69,. が示唆された。介入後のボール回転数は両群に差がないもの. p < 0.001,CV-PVA;r = ‒ 0.67,p < 0.001)。. の,左母指のピーク加速度や変動係数は,a-tDCS 群のみで有. 4.mean-PVA と CV-PVA. 意に変化した。特に a-tDCS 群のピーク加速度は,s-tDCS 群よ. 健常者の加速度パラメータはいずれも群内,群間要因の交. りも高値であった。しかし,加速度のパラメータと回転数に関. 互作用を認めなかった。介入後の mean-PVA(Z)は a-tDCS. 連があるにもかかわらず,介入後の回転数は両群に差がなかっ. 群で増大し,群内(a-tDCS 群:介入前 80.6 ± 28.3 cm/s2,介. た。複数回の介入効果を検討することや,疲労また陰極刺激の. 2. 入 後 96.8 ± 30.6 cm/s ,p < 0.05,s-tDCS 群: 介 入 前 60.2 ±. 影響など他の要因についても検討する必要がある。大脳皮質の. 11.3 cm/s2,介入後 69.0 ± 15.8 cm/s2,p = 0.13)と介入後の. 興奮性変化に関しても,介入後の左 M1 の MEP 振幅は a-tDCS. 群間要因(p < 0.05)に主効果を認めた。. 群で増加しているが,両群の差は認められなかった。これらの. 一 方, 介 入 後 の CV-PVA(Z) は 両 群 と も 低 下 し た が,. 結果は,高齢者に対して a-tDCS に MT を加えることによる付. a-tDCS 群のみの群内要因に主効果を認めた(a-tDCS 群:介入. 加的効果が低い可能性を示している。その要因としては,MT. 前 0.49 ± 0.11, 介 入 後 0.39 ± 0.06,p < 0.05,s-tDCS 群: 介. のみでも有意な運動機能の改善および興奮性の増大が見られて. 入前 0.46 ± 0.09,介入後 0.39 ± 0.08,p = 0.07)。. いたことが挙げられる。特に高齢者における運動機能学習の効. 5.MEP 振幅. 果は,運動課題の難易度や介入期間など様々な要因が効果に影. 健 常 者 の MEP 振 幅 は, 介 入 後 に 両 群 と も 増 加 し た が,. 響を与えることが知られている。今後は,評価項目を再検討す. a-tDCS 群の群内要因のみに主効果を認めた(a-tDCS 群:介入. るとともに,調整された難易度の課題に対する効果や長期的な. 前 0.97 ± 0.90 mV,介入後 1.98 ± 1.68 mV,P < 0.05,s-tDCS. 介入の効果などを検討していく必要がある。. 群:介入前 0.82 ± 0.57 mV,介入後 1.07 ± 0.63 mV,交互作用. PD 症例では,a-tDCS によってわずかながら回転数やピーク. なし)。. 加速度の増加を認めた。現在,症例数を増やし,PD に対する. 6.その他の運動機能および認知機能. 本法の有用性を検討中である。. 両群とも介入による有意な変化は認めなかった。. 文 献. 7.PD への介入例 ・症例 1(a-tDCS) 60 歳台の女性。罹病期間 2 年。ヤールの重症度 3,左手の寡 動が優位。Unified Parkinoson’s Disease Rating Scale(以下, UPDRS)6)の part3 はオフ時 19 点,オン時 15 点。 介入後に,左側の回転数は 2.5 回から 3.5 回に微増した。また, 左側の mean-PVA(Z 軸)も 18.0 cm/s2 から 21.0 cm/s2 に増 加した。さらに,MEP 振幅も 0.96 mV から 1.24 mV に増大し た。一方,UPDRS は改善しなかった。 ・症例 2(s-tDCS) 60 歳台の男性,罹病期間 4 年,ヤールの重症度 2,軽度の振 戦,固縮,寡動を認めいずれも左側優位である。UPDRS part3 はオフ時 19 点,オン時 13 点。 介 入 後 に, 左 側 の 回 転 数 は 5.0 回 か ら 6.5 回 に 増 加 し た。 し か し, 左 側 の mean-PVA( 介 入 前 65.7 cm/s2, 介 入 後 62.0 cm/s2)や MEP 振幅(介入前 0.80 mV,介入後 0.82 mV) には変化を認めなかった。. 1)Nitsche MA: Excitability changes induced in the human motor cortex by weak transcranial direct current stimulation. J Physiol. 2000; 527: 633‒639. 2)Fregni F, Boggio PS, et al.: Noninvasive cortical stimulation with transcranial direct current stimulation in Parkinson’s disease. Mov Disord. 2006; 21: 1693‒1702. 3)Benninger DH, Lomarev M, et al.: Transcranial direct current stimulation for the treatment of Parkinson’s disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2010; 81: 1105‒ 1111. 4)野嶌一平,美馬達哉,他:ミラーセラピー運動学習にお けるヒト一次運動野機能の役割.理学療法学.2012; 39: 82‒89. 5)Thieme H, Mehrholz J, et al.: Mirror therapy for improving motor function after stroke. Stroke. 2013; 44: e1‒e2. 6)Movement disorder society task force on rating scales for Parkinson’s disease: The unified Parkinson’s disease rating scale (UPDRS): status and recommendations. Mov Disord. 2003; 18: 738‒750..
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