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第4分科会(分科会報告,大会報告 会務報告)

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Academic year: 2021

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190 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 ら,人生とお金に関する意識を多面的に分析したもの であった。具体的には,学生の経済状況の格差と大学 ランキングとの相関で,将来設計におけるお金の重要 性や経済的格差構造の是認などに関わる価値観を構成 する諸項目の相関関係を析出したものであった。  討論のなかで,とくに,「自分の人生に責任を持つ」 という価値観についてさらに分析する必要があること, その場合,将来への不安は就職や災害にたいするもの であるが,希望を切り開く上で大学(教師)ができる ことは何か,また他人とのネットワークを作る力が生 きるうえで重要であって,その意味ではいわゆる自助 は成り立たず,他人の力を頼りにすることが重要だと いう意見が多く出された。これは,金融教育が結局は 生きる力の教育であることを示したものであった。  (文責:角田修一,中谷武雄) 第 4 分科会  第 4 分科会「高等学校の経済教育」では,以下の 4 つの報告が行われた。  第 1 報告の松井克行「日本金融システム史に基づく 高校『公民科』経済学習の教育内容開発(2)─近代経 済史(大正〜昭和期)の教材化─」では,1912 年か ら 1945 年までの日本金融システム史を「直接金融」 から「間接金融」への変化として特徴づけた。星岳 雄・カシャップや寺西重郎氏の研究などを踏まえた資 料が紹介されるとともに,日本史の教科書を「政治経 済」の授業で利用するという試みについても紹介がな された。  第 2 報告の金子幹夫「高校生は経済学の用語をどの ように理解していくのか〜経済教育におけるカリキュ ラム再構築の研究〜」では,高校生に書かせたキー ワードマップの変化の過程から,1)教師が発する経 済用語を高校生は教師のイメージどおりに受信してい ない,2)高校生は授業を繰り返すうちに経済に関す る用語の認識を毎授業ごとに書き換えている,3)高 校生の認識を教科書の内容に結びつけるために体験型 学習は有効である,という 3 点について検討した結果 が報告された。報告は独自の授業実践の紹介でもあっ た。  第 3 報告の佐々木優理「EU 加盟をどのように高校 生に教えるか」では,ECSC,EEC,EURATOM が フランスによるドイツの封じ込め政策であるとこと, EFTA の中心国であったイギリスの EC への加盟の理 由,南欧諸国の加盟は独裁政権の崩壊により可能と なったこと,EEC の共通農業政策の理念と問題点, ソ連の崩壊と東欧諸国の加盟などについて報告が行わ れた。知識の暗記ではなく背景を理解させるための内 容の報告であった。  第 4 報告の箕輪京四郎「原発事故の政治経済学を高 校生に教える」では,日本の原子力発電の歩み,ウラ ン採鉱→発電→核ごみの処理,原子力ムラ(政・官・ 財の癒着)という,3 つの大きな項目のもとで,原子 力爆弾の投下から今日に至る原子力関連の問題や原発 事故について,細かな事実も覆い隠すことなく示す詳 細な内容の報告が行われた。 (文責:八木尚志) 第 5 分科会  第 5 分科会「経済学と経済教育」では,第 1 報告は, 齋藤哲哉会員(日本大学経済学部)による「経済学の 英語授業に関する課題と展望」であった。  本報告では,実際に日本の大学で行われているマク ロ・ミクロ経済学の授業実践を踏まえて,これから拡 大の道をたどるであろう,経済学の英語授業のそれぞ れの目標への到達と,そのプロセス上での支援のあり かたについて論じられた。国内学生を英語に慣れさせ たり留学への道を指示したりする場合と,海外から留 学生を受け入れて経済学を英語で学ばせる場合の大き な特徴の違いが強調された。海外にむけて国内の経済 学の授業を開いていく場合に,国内学生への英語授業 にはない困難さが生じてくるが,この場合も海外での 教育経験が課題解決の前提とされた。  第 2 報告では,大坂洋会員(富山大学経済学部)に よる「生産期間と生産構造を明示した国民所得理論の 導入」であった。この報告では,マクロ経済学の体 系を,生産そのものの概念的把握を前提として,初学 者が理解しやすいように,学ぶ順序と理解の積み上げ 方法を変更できるという画期的な提案がなされた。経 済循環の帰結としての国民所得の概念を,既存の静学 的な枠組みから解放して,生産関数の動学化(生産期 間の意識的とり込み)からさまざまな国民所得の表れ を考察するというアプローチは感動を呼ぶ報告となっ た。  第 3 報告では,中谷武雄会員による「アダム・スミ スと人間の科学」であった。本報告は,現在生じてい る 3 度目のアダム・スミス・ルネサンスの現実的ある いは思想的な背景を探る中で,21 世紀の経済学教育 が目指すべき方向性の確認が大きな課題とされた。経 済学の人間化・総合化という課題が,経済学教育につ The Japan Society for Economic Education

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