ストックボイス 『バロンズ拾い読み』2016 年 4 月 11 日号 2016 年 4 月 11 日(月)午後 10 時 35 分ごろから(スタジオ/電話) エグゼトラスト株式会社 『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信 インタビュー要旨 約13 分 7. The Trader 原油価格は反発したものの、日本円の上昇で市場が混乱 【米国株式市場】 世界の中央銀行に対する信頼感に疑問が投げかけられる
8. Up & Down Wall Street パナマ文書」で課税逃れが暴かれた各国指導者たち 【コラム】
急速に進む円高ドル安の背景――円高は世界のリスク資産への警告か 丸山 川田さん、5 週続伸のあと週間ベースでは上げ下げを 3 週間繰り返しています。そして先 週は下げましたね。 川田 先週は水曜日に大きく反発しましたし金曜はまちまちでしたが、それ以外の日は下げまし た。週間を通して下げが主導する週でした。主要指数はS&P500、ダウ、そしてナスダッ
ク総合が共に1.2~1.3%程度の下げ、そしてラッセル 2000 は 1.8%ぐらい下げました。こ れでS&P500 とダウは 3 週間ほど年初の水準をウロウロしているという感じです。 セクター別ではエネルギーが2%ほど高くて金融が 3%も安かったです。後講釈では、その 前の週の利食いが出たのと、外為市場で円高が進んだことでそれが米国市場にも影響した とあります。経済成長を加速させようとする世界の中央銀行に対する信任が失われたため、 という観測が広がっているということです。 先週の円の上昇が米国株式に与えるマイナスの影響については8 番のコラムの後半で解説 しています。 かいつまんでいうと、「2014 年半ばから今年初めのピークまで、ドル指数は 25%(80 以 下→100 超)も急騰した。しかし、この指数は年初のピークから 6%(直近 94.19)も下落 している。今回の円高というのは、このドル高に終止符を打ち為替レートを安定させるた めのなにか密約のようなものの結果かもしれない」。なにやら陰謀史観のような言い回し です。 そしてこの円の上昇は世界のリスク資産にとっては「炭鉱のカナリア」、つまりなにか危 険を予知するかすかなシグナルかもしれない、と。円の上昇は2000 年、2007 年もそうだ ったがS&P500 指数 の高値を先取する傾向がある。 つまり円高というのは、世界の投資資金がリスクを取らなくなった時に起きる、だから今 回の円高はリスクオフモードの現れ、それなら米国株式にも悪影響か?というわけです。 丸山
ところで今週11 日(月曜日)、つまり今晩の引け後にアルミ大手のアルコアの決算発表を 皮切りに決算発表シーズンが始まります。 川田 この点については、7 番の【米国株式市場】にはありますが、第一四半期の決算も前年同 期比でマイナス。そうなると、4 四半期連続で企業利益はマイナスか横ばいです。現在前 年同期比で8%程度のマイナスと想定されていますのでこれが仮に 5%マイナスでも投資家 には好感されるだろうとの見方もあるとのこと。年後半に期待するところ大ですが、それ もドル安とコモディティーがカギとなります。 4 月 4 日~4 月 8 日
1. Bill Gross: Why Interest Rates Must Rise 金利上昇の理由 【インタビュー】
ビル・グロス氏に聞く
丸山
さっそくですが今週の注目記事はどうですか? 川田
元債券の帝王、ビル・グロース氏がインタビューに応じています。彼は債券の運用会社ピ ムコの創業者の主要人物で一時、運用金額で世界最大のピムコ・トータル・リターンファ ンド(2930 億ドル=33 兆円)を運用していました。いまはジャナス・キャピタル・グル ープで運用手法に足かせの少ない、ジャナス・グローバル・アンコンストレインド・ボン ド(JUCAX)、資産残高 13 億ドル(=1500 億円)のファンドを運用しています。この金 額はピムコ時代とは比べものにならないくらい少ない(200 分の1)のですが、その彼の インタビュー記事には示唆に富みます、皆さん是非読んでみてほしい内容です。 彼の基本的な考え方の一端をご紹介しますと *過去40 年にわたり各国の中央銀行は好き勝手に紙幣を増刷してきた。この紙幣増刷、す なわち債務の増加はその初期には非常に効果的だが、いまやその債務が飽和状態で、債務 増加分の経済効果は期待できない。 *つまり、各国中央銀行は、インフレを抑制するためには利上げし、景気を活性化するに は利下げするという古典的なモデルが機能しなくなった、それは、米国の過去5 年間、日 本の過去20 年間を見れば歴然としている。 *そして金利低下の悪影響が社会全体に広がった。例えば保険会社や年金基金のビジネス が成り立たなくなった。さらに金利がこうまで低いと貯蓄が崩壊する。つまり貯蓄があっ て、投資が可能になる。そしてその投資が成長を生み出す、その意味で貯蓄は資本主義の 根幹だ。この仕組みが機能しなくなっているのが一番の問題だということです。 丸山 そうなると景気後退が近いのですか?
川田 彼は「そうは思っていないが、経済成長率が相当に低いと見込んでいる」との答えです。 さらに各国は、積みあがった債務問題から抜け出すためにインフレを望んでいるが、そう ならないと考えている。 ではどうしたらいいのか? 彼の答えは利上げで貯蓄機能を元に戻すこと。そして今後についてはFRB は株式市場が容 認する限りにおいては利上げするだろうとのこと。 また、現在の環境で金利の正常化とは2%のFF金利(0.25-0.5%)、3.5%の10年国債(1.715%) の利回り、そして4.5%の住宅ローン金利(30 年固定で 3.42%)と答えています。その間 の痛みは当然、伴うだろうとのことです。 インタビューの後半は、自分の運用しているファンドの運用戦略を説明しています。 現在71 歳ですが、運用に対する意欲の衰えはみじんもない、そんな熱意がほとばしる内容 でした。
PIMCO Total Return Fund;A (PTTAX)
Janus Global Unconstrained Bond Fund;A (JUCAX)
Janus Global Unconstrained Bond Fund;I (JUCIX)
5. Smart Investors Should Avoid Smart Beta ETFs スマートベータを回避 【ETF 新潮流】 人気のスマートベータ上場投信に割高感 丸山 今週も特集記事があるんですね? 川田 はい、今週は四半期に1 度の ETF と投信の特集でした。と言っても、最近は ETF の扱い が増えています。 まず、ETF ですが、1つはいまはやりのスマートベータ、そしてもう1つはこれも人気の 配当重視のETF の銘柄選択方法についての記事です。 まずスマートベータですが5 番の【ETF 新潮流】という記事で扱っています。スマートベ ータETF は昨今あまりに急速なペースで設定されています。例えば昨年 1 年間の新設ファ ンドの3 分の1以上を占めました。 記事では、「人気先行で気が付くと随分割高な水準になっている。したがって、設定した 当初の意図した経済効果を発揮しない可能性が高い」と警告、警鐘をならず記事です。 それと、そうでなくても、つまり意図した結果がでたことで、つまり当初の思惑通りに機 能したとしても、それがすなわちいいパフォーマンスに結びつくとも限らない。
例えば、小型株が大型株をアウトパフォームするとか、バリュー株がグロース株をアウト パフォームするとかいうのは数十年単位ならその有効性が証明されています。 しかし例えば直近10 年に限ればそれが上手く機能していません。つまりグロースがバリュ ーのパフォーマンスを上回っています。 これはボラティリティに注目したETF でもそういうことは言えると思います。というのも 低ボラティリティを掲げる(売り物にする)ETF は、市場全体より上下の変動が少ないの に、市場平均なみのパフォーマンスをうたっています。 それが昨今の相場変動の激しい時期には投資家の関心が高かった。なので、こういう艇ボ ラティリティのETF が結果的に割高になっている。こういう現状を紹介しています。 そして終わってみれば、というか締めてみると、市場全体の値上がりについていけない、 こういう可能性があるということをよく理解してほしいです。 さらに投資家の人気に乗じて、過去のトラックレコードで上手くいった投資手法が次々に 登場するわけですから、これが今後も有効かどうかは別の話し。 丸山 ではスマートベータETF の使い方についてなにかアドバイスはありますか? 川田
日本人の投資家の場合は、まずコアETF としての S&P500 の時価総額加重の ETF を買う
iShares MSCI USA Minimum Volatility ETF (USMV)
PowerShares S&P 500 Low Volatility Portfolio (SPLV)
チャートは3 年
By CHRIS DIETERICH (Source: Dow Jones)
6. Choosing The Best Dividend ETFs 最高の配当重視 ETF を選ぶには 【ETF 投資戦略】
配当利回りだけでなく質の追求も必要、配当成長タイプに注目 丸山 もう一つETF の記事があるそうですね? 川田 はい、いま人気の配当重視戦略のETF についての銘柄選択方法についてアドバイスしてい るのが6 番の【ETF 投資戦略】という記事です。 一口に配当重視ETF といっても様々です。つまり配当企業のバリュー、グロース、さらに はボラティリティなどいろいろなファクターがありますが、重視されているのは高配当と 配当成長の2 つのファクターということです。
つまり配当利回りの高い銘柄を集めてETF を組成するだけでは不十分です。 というのも単に直利が高いということは、その後株価が急落した場合に起こるし、その後 に減配するリスクがあります。 そういう意味で高配当ETF といっても配当のクオリティー、質、そしてその原資を吟味す る必要があります。この記事はこういうことを説明しながら具体的な銘柄を紹介していま す。 ところで、配当金には税金がかかりますし、複利の効果が損なわれ、その分パフォーマン スが痛みます。時間がたっぷりあって、目先インカムが必要のない投資家は配当狙いのETF をあまり重視する必要はないと思います。
(SPHD)
WisdomTree High Dividend Fund (DHS)
Vanguard Dividend Appreciation ETF (VIG)
チャートは3 年
By LEWIS BRAHAM (Source: Dow Jones)