平成 25 年度~平成 27 年度
長崎県学校保健会健康教育調査研究委託事業報告書
中学校における「医薬品に関する教育」の
実態調査と推進に向けた取り組み
< 目 次 >
1. はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2. 長崎県下の中学校における「医薬品に関する教育」に関する背景 ・・・・・・ 2 3. 平成 25 年度~平成 27 年度の取組内容について ・・・・・・・・・・・・・・ 2 4. 平成 25 年度(学校薬剤師のためのくすり教育講演用 CD の作成)・・・・・・ 3 5. 平成 26 年度(CD 資料の使い方・「医薬品に関する教育」の伝達)・・・・・ 4 6. 平成 27 年度(「医薬品に関する教育」に関するアンケートによる実態調査 および中学校教諭向けおくすり教育指導用資料 DVD 作成) ・・・・・・・・ 5 7. おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21- 1 - 1. はじめに 一般社団法人 長崎県薬剤師会 副会長 井手 陽一 (平成 25・26 年度事業実施責任者) 厚生労働省は、平成 14 年にセルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方 をまとめ、国民が自己の健康管理を自己責任のもとですすめること、医薬品の正しい使 い方について正しい知識と理解を持つことを求めてきた。これを受け、文部科学省では、 学習指導要領の改訂を行い、中学校 3 年生では平成 24 年度から、高等学校では平成 25 年度から、保健体育分野で医薬品に関する教育が始まった。 現在、保健体育科教諭や養護教諭に学校薬剤師が加わったチームティーチング(T.T: team teaching)による授業進行が推奨されているものの、全国的に T.T がうまく稼働 している状況ではない。一方、学校現場、特に保健体育科教諭からは、どのような指導 を行えばいいのか分からないとの声も上がっている。今後、薬の専門職である学校薬剤 師も加わった T.T を進めていく上で、学校薬剤師の認識不足があり、現状では厳しい状 況である。 しかし、保健体育科教諭や養護教諭をはじめとする教職員は薬の専門家ではないため、 くすり教育を積極的に進めるためには、学習指導要領に則って授業を行わなければなら ず、内容の十分な理解と子ども達に伝わる教育が必要と考えた。 そこで、今回学習指導要領に則ったくすり教育を積極的に進めるため、長崎県学校保 健会健康教育調査研究委託事業を受け、学校現場で保健体育科教諭や養護教諭が学習指 導要領のみで指導し難い項目について、指導者用 DVD として作成し、長崎県下の中学校 に配布することとした。 本委託事業で作成した指導者用 DVD をぜひ活用し、学校薬剤師との連携を密にし、子 ども達への指導・教育の一助になれば幸いである。
- 2 - 2. 長崎県下の中学校における「医薬品に関する教育」の背景 平成 20 年 3 月、新中学校学習指導要領が告示され、中学校における「くすり教育」 の内容が新たに盛り込まれ、平成 24 年 4 月から全面実施することになった。発達段 階に応じた保健分野における「医薬品の正しい使い方」を指導していく必要がある が、保健体育科教諭や養護教諭をはじめとする教職員による医薬品に関する教育に は、学校薬剤師をはじめとする専門家との連携が不可欠であると考えられる。 そこで本事業では、学校において、医薬品に関する教育がどの程度行われているか の実態調査を行うことで、保健体育科教諭や養護教諭をはじめとする教職員と学校薬 剤師をはじめとする専門家において、どのような連携が必要か、また指導する側への 有用と考えられる啓発資材の作成および提供などを行い、長崎県下の中学校における 学習指導要領に基づく医薬品に関する教育が完全実施できるよう推進していくこと とした。 3. 平成 25 年度~平成 27 年度の取組内容について 長崎県下全中学校を対象に、平成 24 年度の「医薬品に関する教育」の実施状況や 課題などをアンケート調査した。その内容を分析し、薬剤師がどのように協力および 連携していけるかを検討し、啓発資材の作成や学校教職員・学校薬剤師などの指導者 に対する研修会を実施していくことに取り組んだ。 【平成 25 年度】 「医薬品に関する教育」に関する学校薬剤師と学校教職員との連携強化のために、 学校薬剤師のためのくすり教育講演用 CD を作成した。 【平成 26 年度】 長崎県内の学校薬剤師を対象として、作成した CD 資料の使い方や「医薬品に関 する教育」の知見について、円滑な協力・連携が出来るよう県内 4 カ所で講習会を 開催した。 【平成 27 年度】 長崎県下の全ての中学校の保健体育科教諭、養護教諭および学校薬剤師を対象に、 「医薬品に関する教育」に関するアンケートによる実態調査を実施した。調査結果 を基に“中学校教諭向けおくすり教育指導用資料 DVD”を作成した。
- 3 - 4. 平成 25 年度(学校薬剤師のためのくすり教育講演用 CD の作成) 実施年月日 活 動 内 容 参加者数 備考(講師名等) 平成 25 年 8 月 2 日 平成 25 年 9 月 1 日 平成 26 年 2 月 26 日 平成 26 年 3 月 10 日
(公社)日本薬剤師会主催・平成 25 年
度くすり教育研修会出席(東京都都市セ
ンターホテル)
(一社)長崎県薬剤師会の県薬だより(
広報誌)にて、研修会参加の報告
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:“学校薬剤師のためのくすり
教育講演用資料 CD”の作成業者選定およ
び収載内容確認
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:“学校薬剤師のためのくすり
教育講演用資料 CD”の作成業者選定およ
び収載内容確認
1 名
6 名
5 名
井手陽一 出席
井手陽一 報告
<取組概要> 平成 25 年度は、学校薬剤師に対して、学校教職員から医薬品教育についての協力依頼 があった時に、迅速に協力ができるよう“学校薬剤師のためのくすり教育講演用資料 C D”を作成した(図 1)。 図 1 学校薬剤師のためのくすり教育講演用資料 CD- 4 - 5. 平成 26 年度(CD 資料の使い方・「医薬品に関する教育」の伝達) 実施年月日 活 動 内 容 参加者数 備考(講師名等) 平成 26 年 10 月 8 日 平成 26 年 12 月 9 日 平成 27 年 1 月 15 日 平成 27 年 3 月 12 日 平成 27 年 3 月 20 日
(一社)長崎県薬剤師会主催の学校薬剤
師研修会開催(長崎県薬剤師会館:長崎
地区)
(一社)長崎県薬剤師会主催の学校薬剤
研修会開催(アルカス SASEBO:佐世保地
区)
(一社)長崎県薬剤師会主催の学校薬剤
師研修会開催(大村東彼薬剤師会館:県
央地区)
(公社)日本薬剤師会主催・平成 26 年
度くすり教育研修会出席(東京都スクワ
ール麹町)
(一社)長崎県薬剤師会主催の学校薬剤
師研修会開催(バラモンネット館 IT セ
ンター:五島地区)
20 名
36 名
32 名
1名
12 名
【講師】
井手陽一
七嶋和孝
中村 優
【講師】
井手陽一
七嶋和孝
宮本法広
【講師】
井手陽一
七嶋和孝
中村 優
本田具章 出席
【講師】
井手陽一
七嶋和孝
中村 優
<取組概要> 平成 26 年度は、“学校薬剤師のためのくすり教育講演用資料 CD(平成 25 年度作成)” の使い方や学校薬剤師が関わる「医薬品に関する教育」について、平成 25 年度日本薬 剤師会学校薬剤師部会学校環境衛生検査技術講習会(水質検査関係)の伝達も兼ね、学 校薬剤師向けの講習会を県内 4 カ所で開催した。- 5 - 6. 平成 27 年度(「医薬品に関する教育」に関するアンケートによる実態調査および 中学校教諭向けおくすり教育指導用資料 DVD 作成) 実施年月日 活 動 内 容 参加者数 備考(講師名等) 平成 27 年 7 月 27 日 平成 27 年 8 月 26 日 平成 27 年 8 月 28 日 平成 27 年 10 月 23 日 平成 27 年 11 月 24 日 平成 28 年 1 月 4 日 平成 28 年 2 月 5 日
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:「医薬品に関する教育」アン
ケートに関する内容などの検討
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:「医薬品に関する教育」のア
ンケートについて、長崎県教育庁体育保
健課へ調査協力の依頼
(公社)日本薬剤師会主催・平成 27 年
度くすり教育研修会出席(東京都スクワ
ール麹町)
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:「医薬品に関する教育」アン
ケート集計結果の確認および中学校教
諭向けおくすり教育指導用資料 DVD 作成
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:「医薬品に関する教育」アン
ケート集計結果の確認および中学校教
諭向けおくすり教育指導用資料 DVD 作成
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:「医薬品に関する教育」アン
ケート集計結果の確認および中学校教
諭向けおくすり教育指導用資料 DVD 作成
(一社)長崎県薬剤師会学校薬剤師部会
作業部会:「医薬品に関する教育」アン
ケート集計結果の確認および中学校教
諭向けおくすり教育指導用資料 DVD 作成
4 名
1 名
4 名
4 名
4 名
4 名
亀山貴康 出席
- 6 - <取組概要> 平成 27 年度は、長崎県下の全ての中学校を対象に、「医薬品に関する教育」の実態 を調査するため、長崎県教育庁体育保健課の協力を得てアンケートを実施した。保健体 育科教諭や養護教諭、学校薬剤師からのアンケート結果を踏まえ、教育現場で活用可能 な教育資材として「中学校教諭向けおくすり教育指導用資料 DVD」を作成した(図 2)。 【実態調査アンケートの内容】 <保健体育科教諭・養護教諭・学校薬剤師の共通項目> ① 平成 26 年度の「医薬品に関する教育」の実施状況の理解 ② T.T(team teaching)による授業の進め方について ③ 「医薬品に関する教育」で行っている内容について ④ 「医薬品に関する教育」において、どんな教材があれば良いと思われますか? <保健体育科教諭・養護教諭の共通項目> ⑤ 学校薬剤師と協力して、添付文書や薬の見本など資材提供があると良いか? <保健体育科教諭のみの項目> ⑥ 「医薬品に関する教育」は誰が行ったか ⑦ 「医薬品に関する教育」の授業を進める際に困った経験 ⑧ 「医薬品に関する教育」を行った際、学校薬剤師への授業内容の相談の有無 ⑨ 「医薬品に関する教育」の授業内容について学校薬剤師に相談しなかった理由 <養護教諭のみの項目> ⑩ 「医薬品に関する教育」について、保健体育科教諭より相談がありましたか? ⑪ 保健体育科教諭からの相談内容を学校薬剤師に相談したことがありますか? ⑫ 学校薬剤師に相談しなかった理由 <学校薬剤師のみの項目> ⑬ 「医薬品に関する教育」について、保健体育科教諭や養護教諭からの相談経験 ⑭ 「医薬品に関する教育」について、保健体育科教諭から相談後の対応は? ⑮ 「医薬品に関する教育」を T.T でのサポーターで対応した経験 ⑯ 「医薬品に関する教育」に T.T として協力する際の提供できる資材の必要性 ⑰ 保健体育科教諭から相談に「どうしたら良いか判らない」と回答された理由 【平成 26 年度の「医薬品に関する教育」の実施状況の理解】 平成 27 年 8 月、長崎県教育庁体育保健課の協力を得て、長崎県内の公立中学校の保 健体育科教諭、養護教諭、学校薬剤師の三者に対して、学校教育の現場で医薬品に関 する教育がどのように実施されているかについて、アンケート調査を行った(図 3~5)。 アンケートの回答は、平成 27 年 9 月末とし、回答を持って同意を得た。 保健体育科教諭・養護教諭・学校薬剤師のアンケート回収率は、それぞれ 93%・91%・ 85%となり、地区による回収率のバラつきも確認された(表 1)。
- 7 - 図 2 中学校教諭向けおくすり教育指導用資料 DVD 表 1 「医薬品に関する教育」のアンケート調査の地区別回収率 学校数 保健体育科 教諭 養護教諭 学校薬剤師 長崎 41 95% 80% 83% 佐世保 28 100% 100% 96% 諫早 15 67% 67% 53% 対馬 13 100% 100% 69% 五島 10 100% 100% 100% 平戸 9 100% 100% 89% 南島原 8 88% 75% 75% 雲仙 7 86% 86% 86% 松浦 7 100% 100% 100% 大村 6 83% 83% 83% 南松浦郡 6 83% 100% 67% 西海 5 80% 100% 100% 西彼杵郡 5 100% 100% 100% 島原 5 100% 100% 100% 壱岐 4 75% 100% 50% 東彼杵郡 4 100% 100% 100% 北松浦郡 2 100% 100% 100% 総計 175 93% 91% 85%
- 8 -
- 9 -
- 10 -
- 11 - (A)保健体育科教諭(n=168) (B)養護教諭(n=160) (C)学校薬剤師(n=148) 図 6 平成 26 年度の「医薬品に関する教育」の実施状況の理解 100% 67% 70% 83% 100% 100% 80% 62% 80% 79% 100% 75% 80% 57% 89% 100% 40% 77% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 壱岐 雲仙 五島 佐世保 松浦 西海 西彼杵 対馬 大村 長崎 島原 東彼杵 南松浦郡 南島原 平戸 北松浦郡 諫早 総計 50% 50% 55% 36% 14% 40% 40% 23% 100% 34% 60% 0% 33% 50% 89% 50% 20% 40% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 壱岐 雲仙 五島 佐世保 松浦 西海 西彼杵 対馬 大村 長崎 島原 東彼杵 南松浦郡 南島原 平戸 北松浦郡 諫早 総計 0% 17% 9% 19% 14% 60% 40% 0% 20% 12% 0% 0% 25% 17% 13% 50% 25% 16% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 壱岐 雲仙 五島 佐世保 松浦 西海 西彼杵 対馬 大村 長崎 島原 東彼杵 南松浦郡 南島原 平戸 北松浦郡 諫早 総計
- 12 - 【T.T(team teaching)による授業の進め方について】 現在、保健体育科教諭や養護教諭に学校薬剤師が加わった T.T による授業進行が推奨 されている。本調査において、保健体育科教諭と養護教諭においては多くの教員が T.T による授業の進め方について認識していた(図 7A,B)。一方、半数以上の学校薬剤師 は T.T による授業の進め方について認識できていないことが明らかとなった(図 7C)。 「医薬品に関する教育」において、T.T による授業はそれぞれの専門性が活かせると ともに、質の高い教育が行えるものと考えられている。本調査結果において、学校薬剤 師の T.T に対する認識の低さが起因していることも推察され、学校薬剤師による保健体 育科教諭や養護教諭への情報提供や連携・協力が進むことで「医薬品に関する教育」の 浸透・充実が図れるものと考える。 (A)保健体育科教諭 (B)養護教諭 (C)学校薬剤師 図 7 T.T(team teaching)による授業の進め方をご存知ですか? 【学校薬剤師と協力して、添付文書や薬の見本など資材提供があると良いか?】 学校薬剤師からの資材提供について、保健体育科教諭・養護教諭ともに、70%・85% の方が希望していることが確認された(図 8)。一方、資材提供を必要と思わない割合 が、特に保健体育科教諭に多く 24%の方が確認された(図 8)。 近年、情報化や物流の進化によって、専門職以外の方でも簡単に医薬品を入手するこ とが可能になっている。しかし、医薬品はモノだけでなく、様々な情報の検証が重要と なり、薬の専門職である薬剤師の関わりがあることで、「医薬品に関する教育」の教育 効果は向上すると考える。表 2 および表 3 において、危険ドラッグや薬物乱用防止など 情報が常に更新していく内容については協力が求められていることが考えられた。 (A)保健体育科教諭 (B)養護教諭 図 8 学校薬剤師と協力して添付文書や薬の見本など資材提供は必要か? n=158 n=163 n=162 n=86 n=31
- 13 - 【「医薬品に関する教育」に T.T として協力する際の提供できる資材の必要性】 「医薬品に関する教育」に学校薬剤師が T.T として協力する際、提供できる資材の必 要性を感じている学校薬剤師は 87%いることが確認された(図 9)。 薬剤師が T.T の際に提供可能な教育資材として望むものを表 4 に示す。保健体育科教 諭や養護教諭においても資材提供の要望の多かった危険ドラッグや薬物乱用防止など、 常に情報が更新され最新の知見が得られにくい部分は、学校薬剤師自身も回答が多く、 研修会の開催や組織としての後方支援の必要性が示唆された。スライド資料や DVD 資材 などは学校薬剤師においても望まれている状況が確認され、保健体育科教諭や養護教諭 の望むものとも合致していることが明らかとなった。 図 9 「医薬品に関する教育」に学校薬剤師が T.T で協力する際の資材提供の 必要性はあるか? 【「医薬品に関する教育」で行っている・相談されている内容について】 「医薬品に関する教育」において、保健体育科教諭(図 10(A))は、「薬の作用」・ 「副作用」・「薬の使い方(用法・用量)」を実施していることが多かった。「ジェネ リック医薬品」・「薬が販売されるまで」・「薬の定義と歴史」についてはあまり実施 されておらず、これらの内容を含めた教育資材が望まれていることも確認された(表 2)。 また、「医薬品に関する教育」について、保健体育科教諭から養護教諭への相談は少 ないことが確認された。相談された内容は、「薬の作用」・「薬の使い方(用法・用量)」・ 「副作用」・「薬の種類」が多いことが確認され、保健体育科教諭が実際に教えている 内容(図 10(A))と類似していることが確認された(図 10(B))。 学校薬剤師に対しても保健体育科教諭からの相談は少ない状況が確認された。相談内 容としては、「薬の作用」以外に「薬が販売されるまで」・「ジェネリック医薬品」に ついての相談が多くあり、保健体育科教諭が伝え難い内容(図 10(A))について相談さ れていることが示唆された(図 10(C))。 全体的に保健体育科教諭が単独で行っていることが多く、養護教諭や学校薬剤師に対 する相談された件数は少なかった。保健体育科教諭や養護教諭、学校薬剤師による T.T での教育体制の推進を行うことで、それぞれの特徴を活かし教育内容の補完を行うこと で子供達へのより良い「医薬品に関する教育」が実践できると考える。 思う 87% 思わない 6% その他 7% n=145
- 14 - (A)保健体育科教諭: 実際に行った内容(n=130) (B)養護教諭: 保健体育科教諭から相談があった内容(n=16) (C)学校薬剤師: 保健体育科教諭から相談があった内容(n=19) 図 10 「医薬品に関する教育」で行っている内容(複数回答可) 113 112 104 44 41 13 10 4 9 0 20 40 60 80 100 120 12 10 9 7 1 1 0 0 3 0 5 10 15 20 14 12 10 6 5 4 3 1 11 0 5 10 15 20
- 15 - 表 2 保健体育科教諭が望む主な教育資材の一覧(自由記述欄から抜粋) DVD、薬のレプリカ、日本の実情・世界の実情・長崎の実情 パワーポイント教材など ・薬の使い方などを図示したもの・薬ができあがる工程など図示したもの ・薬の見本・薬手帳・薬の種類の一覧表等 ・副作用について具体的に知りたい・ジェネリック医薬品について ・用途に応じた添付文書・視覚的に訴えることができるもの 薬と自然治癒力について 薬についての歴史や使用上の知識がわかるもの 薬の効果と乱用してしまう薬物について知りたい(薬のメリット・デメリット) 薬の作用、副作用について専門的立場で話さしていただけると良い。 薬の種類の標本など、薬の副作用についての詳しい資料、血中濃度に関すること 薬の説明文の見本やお薬手帳、飲み合わせの悪い例や薬の飲み方(食間、食後の意味など) 薬の手帳や見本があれば、伝わりやすいと思う。 薬の副作用、薬害の資料 薬の見本(カプセル・錠剤など) 薬の見本や実際の注意書き(使用上の注意)の見本が数種類あると生徒はイメージしやすい。 薬の見本や説明書など種類別に一覧表になっているなどがあるとわかりやすいと思う。 薬のメカニズム、副作用に関するもの 効果的な薬の利用方法など サンプルやパワーポイント等視覚に訴えるような教材 ジェネリックのことや薬の飲み方、薬の処方に関することを学ばせたい。 常備薬として使用する薬についての注意点など 新薬に関する情報(これまで特効薬などがなかった病気に対する新薬について) 生徒にとって身近な薬の主作用、副作用についての教材 代表的な薬の見本で特徴が説明しやすいもの 副作用の危険性等がわかりやすいものがあればぜひお願いしたい。 服用を間違うと・・・という、身体に与える影響などがあると、細かい点まで指導できる。 普段よく使用されている薬の解説書(データ) ・処方せん、お薬手帳(実際に自分のものを使用した) 専門的な知識を活用して、生徒にしっかり内容を把握させたい。 教科書の範囲であれば、何も問題ないのですが、協力して行えば、より深まりはあると思います。 教える側の私たち自身がまだ勉強不足であるため、研修を積む必要があると思います。 薬剤のことを詳しく教える時間は保健体育では確保できません。 ドーピングに関する資料 危険ドラッグのことについて知りたいです。 違法な薬物・危険ドラッグなど 薬物乱用に関する資料
- 16 - 表 3 養護教諭が望む主な教育資材の一覧(自由記述欄から抜粋) ・頭痛、生理痛時の鎮痛剤等・腹痛時の整腸剤等・アレルギー疾患等の抗アレルギー剤等 ・薬剤の種類(錠剤・粉薬・液体・カプセルなど)の見本教材又は写真・薬の文献をわかりやすくしたパワーポイントによる資料 26 年度保健主事部会で「薬教育の実践に向けて」のテーマで取り組みました。「ピクトグラム下敷き」があれば良いと思いました。 全体指導(クラス単位)で使用できる視聴覚資料など・パワーポイントで内容区分してあるとポイントを絞って短時間でも指導がしやすいのでは 安易に薬に頼らないということ、薬の正しい使用の仕方などわかりやすく説明した内容の掲示資料 医薬品やサプリメントの見本・医薬品の取扱説明書の見本(拡大したもの)・副作用について(分かりやすいもの) 風邪薬や鎮痛剤などの実際の添付文書 学校教材やドラッグストアでも手に入らない様なもの(薬局しか扱わないもの)・年に一度薬物乱用防止教室を開催しているので生徒の現状に合わせたもの。 危険ドラッグについて 薬と自然治癒力の関係・薬の作用、副作用 薬についての説明や使用方法や注意事項、ジェネリック医薬品などについての VTR など 薬の開封後の使用可能期間等の資料・飲み合わせがよくない薬について知りたい 薬の効果と副作用、種類、使用方法自然治癒力などを簡単にまとめた DVD やパンフレット 薬の作用・副作用、使い方など④の内容が書かれた教材など、視覚に訴えるものがあると良い 薬の添付書類(注意書き)の見方 薬の飲み方について(水ではなくジュースなどで飲んだ場合どうなるか・・・など) 薬のパンフレットがあれば良いと思う。医療用麻薬のことについても取り入れてほしい。 薬の副作用や内服上の留意点などが記載されている添付文書や薬の見本などが実際にあれば、生徒たちもわかりやすいと思います。 薬の見本、薬手帳、医薬品、医薬部外品等わかるもの(説明できるもの) 薬の見本やパッケージや添付文書のどこが見るべきポイントか示したもの 薬の模型(カプセル・錠剤他)等の役割(意味)など説明できるもの(実際手に取れるか視覚に訴えることのできるもの) 薬を常用したら体はどうなっていくのか・鎮痛剤や便秘の薬の種類や副作用について・ダイエット(やせる薬)に関する資料 解熱剤など安易に使用される方がいるように感じています。正しい使い方について、わかりやすい教材があると良いと思っています。 最近のクスリ事情の資料。副作用と医療(薬)事故について 自然治癒力も含め、薬を使う時はどんな時なのか。薬の良い点、よくない点、副作用、飲み合わせなど 頭痛薬や下剤など。女子の一部で飲み始め癖になっている生徒がいるようなので、市販薬の現物を見せて説明すると注意喚起できるかもしれません。 添付文書(服用説明書)の見方、注意して読みたい点のわかるもの 添付文書の見方などの説明・薬の種類、効果についての一覧など 日常的に目にするような家庭常備薬についての基礎的な知識に関する資料 ぬり薬など量がわかるようなもの(どのくらいの量でどれくらいの範囲をぬったらよいのか) 副作用・正しい使い方・飲み合わせ・サプリとの違い 全く教科「保健」に携わっていなかったので教科書を確認した。具体的に、薬手帳や内用剤外用剤の見本や食後、食間等の説明の表などがあれば良いと思う。 薬品の模型と効果、用法、使用上の注意についての教材があると良いと思います。鎮痛剤等の貸し借り等の注意についても資料があると良いと思います。 薬物乱用防止についての教材
- 17 - 表 4 学校薬剤師が望む主な教育資材の一覧(自由記述欄から抜粋) ・違法ドラッグ(薬物乱用防止に関係する資料)・飲酒、喫煙に関する資料 ・医薬品の内部構造模型(多層錠など)・薬が溶ける様子の動画映像・その他講義用スライド DVD などで頂ければ、一番理解しやすいのではないかと思います。(ダメ、絶対・・・のように) 安全性と有効性と使用期限がわかるもの 一般的な薬の服用のしかたや外用薬、吸入器の説明など 学生が参加できるクイズ式の教材があればと思っています。 教材用資材 DVD があればよいのでは。学校用薬剤師用希望 教諭と薬剤師の役割分担を明確にした教材 薬のサンプル、薬袋、薬品情報(説明書)など、実際に薬局で使用しているものを利用するとより具体的に説明がしやすく理解しやすいと思います。 薬の種類、用法、用量、作用、副作用、ジェネリック医薬品等に関するビデオ又はパワーポイントの作成 薬の正しい使い方等をわかりやすくまとめた CD か DVD のようなもの(薬剤師会作成のものがあります。) 薬の使い方や種類、副作用についてわかりやすい資材があればよいと思います。 薬の飲み方(食前、食間、座薬など)のポイント教材 薬のパンフレットやパワーポイント等の資料があればいいと思う。 最低限知っておいた方がよいことをまとめたパンフレットなどあればよい。 指導するための資料やツール、指導手順書等 市内で共通の規格資料があるとよい(どの学校も同じ内容が学べるように) 自分の健康は自分で守ろう。2007 年出版 小・中・高それぞれのレベルに合わせ、模型などを使って体の中でどのように薬が働くのか、また薬の効果と副作用についての資料などがあれば良いと思います。 錠剤の中身がわかるようなもの・お薬がどのように分布されているかわかるもの 錠剤を割ったときのカプセルの中身がわかるようなもの スライド グループで「実験」などをする資材など(カプセル等) 誰でも病気をする可能性はある。薬を服用したり、治療しながら日常生活を乗り切っていくメリットについての説明も必要と思います。 中学生として基本的に知っておいてほしい知識をまとめた資料・正しい服用の仕方と乱用による副作用について理解させるための資料 中学生に対し、どれくらいの内容を説明すべきなのか分かるような教材が必要だと思います。 統一の教材などあると良い どれ位知っているのか、どれ位詳しく伝えるかを知りたい。 ポイントだけ押さえた学生さんがわかりやすい教材。(補足を薬剤師が行う) 他の先生がされている授業風景の DVD 等があれば参考になって良いと思います。 保健所にあるビデオの活用 約 20 年前に老人会などの講話のために作られた「くすりと健康 知ってもらいたい薬の知識」という冊子のようなものを簡単でよいから作成してもらいたい。 薬物乱用だけでなく、薬一般の資材もあったらいいと思われる。 薬物乱用防止 離島のため、平日に学校へ迎えない場合があり、これらをサポートする資材が必要。 ワークシート、ワードカード(黒板用)
- 18 - 【「医薬品に関する教育」の実際(保健体育科教諭のみ回答)】 「医薬品に関する教育」は保健体育科教諭の単独実施が 85%、学校薬剤師と協力し て実施した割合は 9%と少数であることが確認された(図 11)。その際、「困ったこと は特にない」との回答が最も多かったが、「専門領域のため伝わりにくい」や「くす り教育の範囲が広すぎてポイントが絞れない」といった難しさに関する回答もあった (図 12)。 また、「医薬品に関する教育」の授業内容について、学校薬剤師に相談している割 合は 9%程度と少なく、多くの場合は相談することなく授業が行われている実態も明ら かとなった(図 13)。学校薬剤師に相談しなかった理由としては、「相談しなくても 問題ない」が最も多く、「学校薬剤師と接点がない」や「相談しにくい」という学校 薬剤師とのコミュニケーション不足が起因している状況も確認された(図 14)。 保健体育科教諭からの回答内容からは、学校薬剤師との連携体制についての課題が 確認され、T.T による連携教育体制の構築にはお互いの相互理解を築いていく必要が あると考えた。 図 11 「医薬品に関する教育」は 図 12 「医薬品に関する教育」の授業を 誰が行いましたか? 進める際に困ったこと 図 13 「医薬品に関する教育」を行った際、 図 14 授業内容について相談 学校薬剤師に授業内容について相談 しなかった理由 されましたか? 【「医薬品に関する教育」の実際(養護教諭のみ回答)】 保健体 育科教 諭が 行った 85% 学校薬 剤師と 協力し て行っ た 9% その他 6% 99 15 13 2 0 50 100 150 特にない 専門領域のため伝わりにくい くすり教育の範囲が広すぎて ポイントが絞れない その他 はい 9% いいえ 91% 55 36 10 25 0 30 60 相談しなくても問題ない 学校薬剤師と接点がない 相談しにくい その他 n=126 n=129 n=126 n=126
- 19 - 「医薬品に関する教育」について、養護教諭が保健体育科教諭から相談されることは 16%と少なく(図 15)、その内容を学校薬剤師に相談した養護教諭の割合も 20%と少な い(図 16)ことが確認された。 相談しなかった理由としては、相談しなくても大丈夫だったという理由が最も多く、 「学校薬剤師に相談しにくい」という、学校薬剤師とのコミュニケーション不足が起因 していることが考えられた。 図 15 「医薬品に関する教育」について、 図 16 保健体育科教諭からの相談 保健体育科教諭より相談があり を学校薬剤師に相談した ましたか? ことがありますか? 【「医薬品に関する教育」の実際(学校薬剤師のみ回答)】 「医薬品に関する教育」において、学校薬剤師が T.T で対応した経験は 20%と少なく、 保健体育科教諭や養護教諭からの依頼で行っていることも 6%と 14%で確認された(図 1 7)。また、「医薬品に関する教育」に関する相談は、養護教諭は 61%、保健体育科教 諭は 10%となっていた(図 18)。 一方、保健体育科教諭から相談された場合、「どうしたら良いかわからない」と考え ている学校薬剤師の存在も明らかとなった(図 19)。その理由として、「研修会への 参加」や「教育資材があると改善できる」、「T.T での対応方法がわからない」という ことが共通して回答されていた(図 20)。 「医薬品に関する教育」について、学校薬剤師自身の教育水準の向上の必要性が示唆 された。保健体育科教諭や養護教諭からの回答では、T.T が推進されない理由の一つと して、学校薬剤師とのコミュニケーション不足が起因していることが確認された。「医 薬品に関する教育」での T.T での対応について、学校薬剤師自身が知らないこともあ り、今後の学校薬剤師向け研修のテーマとして検討していく必要があると考えた。 はい 16% いい え 84% はい 20% いい え 80% n=80 n=50
- 20 - 図 17 「医薬品に関する教育」を T.T 図 18 「医薬品に関する教育」の (team teaching)での対応 相談経験 図 19 「医薬品に関する教育」を 図 20 「どうしたら良いか判らない」 保健体育科教諭より相談 と回答された理由(複数回答可) されたらどうしますか? (複数回答可) はい 保健体育 科教諭か らの依頼 3% はい 養護教諭 からの依 頼 13% いいえ 84% はい 保健体育 科教諭 7% はい 養護教諭 64% いいえ 29% 0 10 20 サポーターとして授業に参 加する 添付文書や薬の見本など、 資材提供する どうしたら良いかわからな い 0 1 2 3 4 くすり教育に関する研修 会があれば参加したい T.Tでの対応事例につい て知る機会が欲しい パワーポイントなどの資 料やいろいろなツールが あれば欲しい その他 n=28 n=32 n=4 n=28
- 21 - 7. おわりに 一般社団法人 長崎県薬剤師会 常務理事 七嶋 和孝 (平成 27 年度事業実施責任者) 今回、平成 25 年度~平成 27 年度の 3 年間をかけ、長崎県下の公立中学校での「医薬 品に関する教育」について調査研究を行った。平成 25 年度は、学校薬剤師による「医 薬品に関する教育」が専門的知識を一定水準担保しつつ、教育・指導が行えるよう“く すり教育講演用資料 CD”を教育補助資材として作成・提供した。平成 26 年度は、「医 薬品に関する教育」が適正に行えるよう、“くすり教育講演用資料 CD”の使用や関連 情報についての研修会を長崎県内 4 地域で展開し、教育・指導の質的向上を図った。平 成 27 年度は、長崎県下の公立中学校を対象に「医薬品に関する教育」について、保健 体育科教諭・養護教諭・学校薬剤師を対象としたアンケートによる実態調査を行った。 「医薬品に関する教育」の実施状況や実際の教育現場での課題を確認し、その中でニー ズの高かった内容について、“おくすり教育指導者用資料 DVD”を作成し、長崎県内の 全ての公立中学校へ配布した。 本事業により、薬の基本的な知識(作用や副作用、剤形の違いなど)についての正し い知識や正確な情報を、多くの子ども達に提供するためのツールを提供出来た事は、大 きな成果である。「医薬品に関する教育」の質の向上によって、多くの子ども達が薬に 対して、正しい知識を習得し、今後これから社会生活を過ごす中にあって薬を適正に使 用する事が出来る様、環境を整備していくことは学校薬剤師の職務であり、それを保健 体育科教諭や養護教諭などの学校関係者とチームティーチング(T.T)で取り組んでい くことは重要であると考える。 今後も我々薬剤師は子ども達のため、「医薬品に関する教育」に積極的な関わりを持 ち、子ども達がきちんとした健康の自己管理ができるような未来を提供したい。
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