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研究論文 ガソリン SI 燃焼から排出される含酸素炭化水素の検討 * 中野道王 1) 大川広平 2) Study of Oxygen Containing Hydrocarbons in Exhaust Emission from Gasoline SI Combustion Mi

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(1)

4.結 言 HCCI 燃焼について,トラップされたガスの質量および温 度と燃焼位相(CA50)の関係について調査した.また,燃焼位 相の制御を試みたところ以下の知見が得られた. (1) トラップされる Cold EGR ガス質量が増加するほど, CA50 は遅延するが,過度に遅延したときはサイクル変 動が起き両者の相関関係は崩れる. (2) 圧縮開始時質量平均ガス温度が低下するほど,CA50 は 遅延するが,過度に遅延したときはサイクル変動が起き 両者の相関関係は崩れる. (3) サイクル変動が起きているとき,サイクルを追うごとに 燃焼位相の遅延化および燃焼効率の低下が見られた.ま た,失火した次のサイクルでは,Hot EGR ガスに未燃燃 料や中間生成物が含まれているために,見かけの燃焼効 率が100%を超えるサイクルが現れる. (4) サイクル変動を低減するための制御では,燃焼位相のほ かに燃焼効率も制御ロジックに組み込むことで,IMEP およびCA50 の変動を低減することができたが,燃焼位 相の要求値と測定値に偏差が生じてしまった. 参 考 文 献

(1) R.H.Thring, “Homogeneous Charge Compression-Ignition (HCCI) Engine”, SAE Paper, 892068 (1989)

(2) Magnus Sjoberg, John E. Dec and Nicholas P. Cernansky, “Potential of Thermal Stratification and Combustion Retard for Reducing Pressure-Rise Rates in HCCI Engines, Based on Multi-Zone Modeling and Experiments”, SAE Paper 2005-01-0113 (2005)

(3) 池本雅里,小島雄一郎,飯田訓正,“DME を燃料とする HCCI 機関の EGR による制御システムの開発”,自動車 技術会論文集,Vol. 37,No. 1,pp. 65-70, (2006) (4) Koyama Tetsuji, Nagai Kenichiro, Yanagihara Shigeru and

Norimasa Iida, Dynamic measurement of Exhaust Gas Recirculation (1st Report, Flow rate), Dynamics & Design Conference 2008(CD-ROM), Paper No557.(in Japanese) Fig.17 HCCI combustion feed back control

Cycle

1~199 200~399 400~700

Fig.18 CA50 feed back control A

Fig.19 Average and COV of CA50 and IMEP

A ve . o f C A 50 [d eg A TD C ] C O V o f C A 50 [% ] A ve . o f I M EP [M Pa ] C O V of IM EP [% ] Cycle 1~199 200~399 400~700 Calculator (Injection Duration) IMEP

PI Controller Fuel Injector Engine IMEPref+ FFuel

-Output Calculator (Injection Duration) IMEP

PI Controller Fuel Injector Engine IMEPref+ FFuel

-Output

Calculator

(IMEP,CA50) PressureSensor P(θ ) IMEP Calculator (Injection Duration) Calculator (φ) Calculator

(IMEP,CA50) PressureSensor Air Flow Meter IMEP PI Controller CA50 PI Controller φ

PI Controller Air Throttle A Cold EGR Throttle D Fuel Injector Engine IMEPref ΘA ΘD FFuel FAir P(θ ) + -+ -+ -Output FFuel CA50ref φref φ CA50 IMEP Calculator Combustion Efficiency ηcomb Mass Flow Meter ηThreshold>ηcomb FFuel P(θ) ΘD´ + -IM EP [M Pa ] Equ iv ale nc e R at io [-] Ga s Fl ow R at e [L /s ] C A5 0 [d eg A TD C ] Th ro ttl e A ng le [d eg ] Cycle Throttle A Throttle D Air Cold EGR CA50ref φref dP /d θ [M Pa /d eg ]

Fig.21 Average and COV of CA50 and IMEP Fig.20 CA50 feed back control B

Cycle 1~299 300~700 Cycle 1~299 300~700 A ve . o f C A 50 [d eg A TD C ] C O V o f C A 50 [% ] A ve . o f I M EP [M Pa ] C O V o f IME P [ % ] IM EP [M Pa ] Eq ui va le nc e R at io [-] G as F lo w R at e [L /s ] C A5 0 [d eg A TD C ] Th ro ttl e A ng le [d eg ] Cycle Throttle A Throttle D Air Cold EGR C om bu st io n Ef fic ie nc y [% ] Threshold CA50ref φref dP /d θ [M Pa /d eg ]

ガソリン

SI 燃焼から排出される含酸素炭化水素の検討

中野 道王1) 大川 広平2)

Study of Oxygen Containing Hydrocarbons in Exhaust Emission from Gasoline SI Combustion

Michio Nakano Kohei Okawa

In this study, a comprehensive two-dimensional gas chromatography was employed to analyze combustion products in exhaust gas emitted by SI combustion. From the exhaust gas analysis of SI combustion which used regular gasoline and 10W-30 lubricating oil, a lot of peaks which include many compounds produced by lubricating oil were detected. Therefore, n-heptane as fuel and poly-α-olefin as lubricating oil were applied for engine experiments. From the analysis focusing on linear and branched oxygen containing hydrocarbons with seven carbon atoms, it is suggested that many types of oxygen containing hydrocarbons which is not considered in detailed reaction model exist in exhaust gas.

KEY WORDS: Heat Engine, Spark Ignition Engine, Emissions gas/Harmful emissions, Combustion Products, Chemical

Reaction, Gas Chromatography (A1) 1.ま え が き 内燃機関の効率向上に向けて,例えば予混合圧縮自着火燃 焼(HCCI 燃焼)の実用化や,火花点火燃焼(SI 燃焼)の高圧 縮比化を目指すノッキング抑制の研究が精力的に進められて いる.HCCI 燃焼とノッキングは,いずれも予混合気の自着火 現象に起因するもので,前者は自着火を意図的に発生させる ことが必要であり,後者は自着火を回避することが重要であ る.そこで,自着火を自由に制御するために実験および数値 シミュレーションによる研究が進められている. HCCI 燃焼とノッキングの現象解明や制御手法の検討に対 しては,化学反応モデルによる検討が有効である.飽和炭化 水素の自着火過程を再現する反応モデルは,1930 年に Semenov が提案したメカニズムをベースとして研究が進めら れ,1960 年までには Benson ら(1)によって基本的なメカニズム がほぼ完成された.図1 にそのメカニズムを示す.その後は, 様々な燃料分子に対する簡略化反応モデルと詳細反応モデル の構築が進められ,現在では主要な飽和炭化水素の反応モデ ルが容易に入手可能(2)となり,またこれらを用いるためのシミ ュレーションツールも普及している. 自着火の発生に影響する因子としては,混合気温度や残留 ガス中の成分などが考えられ,自着火を発生させるために残 留ガスを積極的に導入する手法は前例(3)-(5)が多い.残留ガスを 利用した自着火の制御としては,筆者らは頭上弁式2 ストロ ークエンジンに機械式過給機を組み合わせることで,広い負 荷条件に対してHCCI 燃焼が実現できることを単筒エンジン で実証した(6).その上で,残留ガスが自着火に及ぼす影響を, 詳細な化学反応モデルを用いたシミュレーションで温度と反 応中間生成物の観点から検討を行い,負荷が高い運転条件で は温度の影響が大きく,負荷の低い運転条件では反応中間生 成物の影響が大きくなることを明らかにしてきた(7)(8).しかし, このようなシミュレーションにおいて,残留ガスや排気ガス 中の成分は使用する化学反応モデルに含まれている成分を用 いて表現する以外に方法がなく,実際のエンジンで生成され る既燃ガスの成分との検証もなされていない. 燃焼による生成物の分析には,ガスクロマトグラフィー (GC)が用いられることが多く,エンジンの排気ガスに含ま れる炭化水素の分析(9)などで用いられている.しかし,従来の GC で分離可能な成分は一般的には 1000 以下であり,また分 子構造の異なる成分のピークが複雑に重なって観察されるた めに,実用的に同定できる成分の数はこれより大幅に少なく なる.そのため,既燃ガス中に含まれる微量な生成物につい ては,それらを分離することが極めて困難であった. 一方,Z. Liu ら(10)は,特性の異なる二種類のカラムを用いて, クロマトグラムを二次元チャートとして得ることができる包 括的2DGC(GC×GC)を開発した.GC×GC は,従来の GC2DGC に対して 1DGC とも呼ばれる)と比べて数十倍の分 離能を有し,また2 種類のカラムの組み合わせを変えること で,分析対象に適した分析条件を幅広く設定できる.このよ うなGC×GC の特徴は,大気中の汚染物質の分析(11)や燃料の 成分分析(12)に応用されてきた. 本研究では,ガソリンSI(火花点火式)燃焼を対象に,燃

*2012 年 11 月 21 日受理.2012 年 11 月 2 日第 23 回内燃機関 シンポジウムにおいて発表. 1)・2)日本工業大学(345-8501 埼玉県南埼玉郡宮代町学園台 4-1)

(2)

料の酸化反応で生成される含酸素炭化水素に着目してその分 子構造を検討し,詳細な化学反応モデルで考慮されている成 分の存在や,モデルでは考慮されていない成分の有無を明ら かにすることを目的とする.また,それにより,内燃機関の 排気ガス中に含まれる各種化合物の同定に対してGC×GC に よる分析が有効であることを示す. 2.化学反応モデルと着目する成分 本研究では,ガソリンSI 燃焼の排気ガスに含まれる各種化 合物の解明を目指している.しかし,後述するように,ガソ リンを構成する成分は多く,それらが様々な反応経路を経て 排気ガス中の成分に到達していると考えられることから,本 報告における詳細な解析においては,特にn-heptane から生成 される成分に着目した.表1 には Lawrence Livermore National Laboratory (LLNL)が公開している n-heptane の詳細な化学反応 モデル(13)に含まれる炭素数7の成分を,図1 の反応メカニズ ムで用いられている化合物グループの名称と対比して示した.

これらの中で,RH (nC7H16), olefin (C7H14), ROOH (C7H15OOH), epox (C7H14O), R'OOHR"O (HOOC7H13O)の 5 成分だけがラジカ ルではないことから,十分に温度が低下した排気ガス中に残 存できる可能性がある成分はこれらの5 成分だけと考えられ る.よって,本報告では,これらの5 成分および表 1 に含ま れていない炭素数7の直鎖および分枝系の含酸素炭化水素に 着目する. 3.実 験 手 法 3.1. エンジンおよび実験条件 本研究では,空冷4 サイクル単気筒エンジンを使用し,そ の諸元を表2 に示す.また,実験条件を表 3 に示す.実験で 用いた燃料とオイルの組み合わせは,以下の二種類である. (1) 燃料:市販レギュラーガソリン,潤滑油:市販オイル (10W-30) (2) 燃料:n-heptane,潤滑油:poly-α-olefin(8.0mm2/s@100℃) 燃料供給量は電子制御燃料噴射弁によって制御し,排気ガ スの当量比は MEXA-730λ(堀場製作所製)によって計測し た.排気ガスは,排気管に取り付けたステンレス製のサンプ リングパイプから採取し,約1.6L の排気ガスを Tenax TA を 充填したTDU チューブ(GESTEL 製)を通過させることで捕 集した. 3.2. 分析装置および分析条件 GC×GC による分析には JMS-T100GCV(日本電子製)を使 用した.検出器は飛行時間質量分析計(TOFMS)とし,イオ ン化は電子イオン化法(EI 法)を適用した.イオン化のエネ ルギーは一般的な70eV とした. カラムにはBPX5-FST-BPX50 COLUMN(SGE 製)を使用 した.このカラムは,1st カラムに BPX5 30m×0.25mm i.d., 0.25 μm thickness を,2nd カラムに BPX50 2m×0.1mm i.d., 0.1μm thickness を用いている.キャリアガスにはヘリウムを使用し, 供給量は3mL/min とした.また,モジュレーション間隔は 8s とした. 燃料の分析では液体を直接シリンジで注入した.注入量は 0.5μL とし,スプリット比は 500:1 とした.オーブン温度は, 35℃で1min保持した後に175℃まで1.5℃/minで昇温させた. 排気ガスの分析では,TDU チューブに捕集された排気ガス を,TDU(GESTEL 製)と CIS4(GESTEL 製)を用いた加熱 脱着法により注入した.TDU は 30℃から 280℃まで 12℃/s で 昇温させ,CIS4 は-50℃で 0.5min 保持した後に 12℃/s で 300℃ まで昇温させ 15min 保持した.脱着時のヘリウム流量は 50mL/min とした.オーブン温度は,35℃で 2min 保持した後 に,3℃/min で 320℃まで,または 1.6℃/min で 150℃まで昇温 させた. 3.3. 解析手法 検出器で得られたデータはGC×GC に付属するソフトウェ アでバー型データに変換した後に,GC Image(ZOEX 製)に て解析を行った.GC Image 上の二次元チャート上に分布する 各検出成分に対して,マススペクトルを用いたライブラリ検 索を行い,Match Factor(一致度)の高いものだけを検討対象 とした.Match Factor は 0~999 で示される指標で,本研究でMatch Factor が 750 以上となった成分を対象とした. 4.結 果 4.1. レギュラーガソリンと排気ガスの分析 図2 には,本実験で使用した市販レギュラーガソリンの total ion current chromatogram (TIC chromatogram)を示す.図 2 の横 軸と縦軸は,それぞれ1st カラムと 2nd カラムの retention time を示す.本実験では,1st カラムに極性が極めて弱い BPX5 を 用い,2ndカラムには中極性のBPX50を用いていることから,2 の横軸は沸点を強く反映し,縦軸は分子の極性の強さを 反映するものと言える.よって,図2 のピークは,右にある ものほど沸点が高く,上にあるものほど分子の極性が大きい ことを示している.GC Image のライブラリ検索の結果から,2 中の下部のピークは paraffin と olefin であり,それらの上 部のピークは一環アロマおよび二環アロマであることが確認 された. 図2 に示す成分を有する市販レギュラーガソリンを燃料と して,潤滑油に10W-30 を使用した場合について,その排気ガ ス成分の分析により得られたTIC chromatogram を図3 に示す. 試料の導入方法やオーブンの昇温条件には違いがあるが,図 中のピークの位置と成分の特徴の関係は図2 と同等である.3 の下部および右下には,潤滑油の影響と考えられる多数

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料の酸化反応で生成される含酸素炭化水素に着目してその分 子構造を検討し,詳細な化学反応モデルで考慮されている成 分の存在や,モデルでは考慮されていない成分の有無を明ら かにすることを目的とする.また,それにより,内燃機関の 排気ガス中に含まれる各種化合物の同定に対してGC×GC に よる分析が有効であることを示す. 2.化学反応モデルと着目する成分 本研究では,ガソリンSI 燃焼の排気ガスに含まれる各種化 合物の解明を目指している.しかし,後述するように,ガソ リンを構成する成分は多く,それらが様々な反応経路を経て 排気ガス中の成分に到達していると考えられることから,本 報告における詳細な解析においては,特にn-heptane から生成 される成分に着目した.表1 には Lawrence Livermore National Laboratory (LLNL)が公開している n-heptane の詳細な化学反応 モデル(13)に含まれる炭素数7の成分を,図1 の反応メカニズ ムで用いられている化合物グループの名称と対比して示した.

これらの中で,RH (nC7H16), olefin (C7H14), ROOH (C7H15OOH), epox (C7H14O), R'OOHR"O (HOOC7H13O)の 5 成分だけがラジカ ルではないことから,十分に温度が低下した排気ガス中に残 存できる可能性がある成分はこれらの5 成分だけと考えられ る.よって,本報告では,これらの5 成分および表 1 に含ま れていない炭素数7の直鎖および分枝系の含酸素炭化水素に 着目する. 3.実 験 手 法 3.1. エンジンおよび実験条件 本研究では,空冷4 サイクル単気筒エンジンを使用し,そ の諸元を表2 に示す.また,実験条件を表 3 に示す.実験で 用いた燃料とオイルの組み合わせは,以下の二種類である. (1) 燃料:市販レギュラーガソリン,潤滑油:市販オイル (10W-30) (2) 燃料:n-heptane,潤滑油:poly-α-olefin(8.0mm2/s@100℃) 燃料供給量は電子制御燃料噴射弁によって制御し,排気ガ スの当量比は MEXA-730λ(堀場製作所製)によって計測し た.排気ガスは,排気管に取り付けたステンレス製のサンプ リングパイプから採取し,約1.6L の排気ガスを Tenax TA を 充填したTDU チューブ(GESTEL 製)を通過させることで捕 集した. 3.2. 分析装置および分析条件 GC×GC による分析には JMS-T100GCV(日本電子製)を使 用した.検出器は飛行時間質量分析計(TOFMS)とし,イオ ン化は電子イオン化法(EI 法)を適用した.イオン化のエネ ルギーは一般的な70eV とした. カラムにはBPX5-FST-BPX50 COLUMN(SGE 製)を使用 した.このカラムは,1st カラムに BPX5 30m×0.25mm i.d., 0.25 μm thickness を,2nd カラムに BPX50 2m×0.1mm i.d., 0.1μm thickness を用いている.キャリアガスにはヘリウムを使用し, 供給量は3mL/min とした.また,モジュレーション間隔は 8s とした. 燃料の分析では液体を直接シリンジで注入した.注入量は 0.5μL とし,スプリット比は 500:1 とした.オーブン温度は, 35℃で1min保持した後に175℃まで1.5℃/minで昇温させた. 排気ガスの分析では,TDU チューブに捕集された排気ガス を,TDU(GESTEL 製)と CIS4(GESTEL 製)を用いた加熱 脱着法により注入した.TDU は 30℃から 280℃まで 12℃/s で 昇温させ,CIS4 は-50℃で 0.5min 保持した後に 12℃/s で 300℃ まで昇温させ 15min 保持した.脱着時のヘリウム流量は 50mL/min とした.オーブン温度は,35℃で 2min 保持した後 に,3℃/min で 320℃まで,または 1.6℃/min で 150℃まで昇温 させた. 3.3. 解析手法 検出器で得られたデータはGC×GC に付属するソフトウェ アでバー型データに変換した後に,GC Image(ZOEX 製)に て解析を行った.GC Image 上の二次元チャート上に分布する 各検出成分に対して,マススペクトルを用いたライブラリ検 索を行い,Match Factor(一致度)の高いものだけを検討対象 とした.Match Factor は 0~999 で示される指標で,本研究でMatch Factor が 750 以上となった成分を対象とした. 4.結 果 4.1. レギュラーガソリンと排気ガスの分析 図2 には,本実験で使用した市販レギュラーガソリンの total ion current chromatogram (TIC chromatogram)を示す.図 2 の横 軸と縦軸は,それぞれ1st カラムと 2nd カラムの retention time を示す.本実験では,1st カラムに極性が極めて弱い BPX5 を 用い,2ndカラムには中極性のBPX50を用いていることから,2 の横軸は沸点を強く反映し,縦軸は分子の極性の強さを 反映するものと言える.よって,図2 のピークは,右にある ものほど沸点が高く,上にあるものほど分子の極性が大きい ことを示している.GC Image のライブラリ検索の結果から,2 中の下部のピークは paraffin と olefin であり,それらの上 部のピークは一環アロマおよび二環アロマであることが確認 された. 図2 に示す成分を有する市販レギュラーガソリンを燃料と して,潤滑油に10W-30 を使用した場合について,その排気ガ ス成分の分析により得られたTIC chromatogram を図3 に示す. 試料の導入方法やオーブンの昇温条件には違いがあるが,図 中のピークの位置と成分の特徴の関係は図2 と同等である.3 の下部および右下には,潤滑油の影響と考えられる多数

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の大きなピークが存在する.その一部は燃料成分や燃焼生成 物のピークと重なっていることがわかる.図3 中のピークに ついて,燃焼生成物に着目した解析を試みたが,反応物であ る燃料成分が多種であることや,オイルの影響が大きいこと から,本実験の解析方法だけでは信頼度の高い解析は困難と 判断した. 4.2. n-heptane を燃料とした場合の排気ガスの分析 前述のように,レギュラーガソリンと一般的なエンジンオ イルを用いた場合,その排気ガスの分析は容易ではないこと から,次に燃料をn-heptane とし,また潤滑油には化学合成油 であるpoly-α-olefin のみを使用して検討を行った.使用した poly-α-olefin が n-olefin の重合体であることから,この実験に おいては直鎖系炭化水素のみがシリンダ内に供給されること になる. 図4 には,図 3 と同じ条件で得られた TIC chromatogram を 示す.潤滑油としてpoly-α-olefin を使用した結果,潤滑油の 影響が極めて小さくなったことがわかる.また,燃料を n-heptane としたことで,燃料や燃焼生成物のピーク数は図 3 と比べて減少していることがわかる.特に,1st カラムの retention time が 50min を超えるような高沸点成分については 大きく減少している.つまり,レギュラーガソリンの排気ガ ス分析で得られた図3 において,1st カラムの retention time が 50min を超える領域にあるピークは,ガソリンおよび市販オイ ルに含まれる様々な化合物の影響を強く受けた結果と考える ことができる.言い換えると,n-heptane の燃焼生成物を検討 する上では,まずは図4 中の左側半分の領域に存在するピー クの解析を行うことが重要であると言える. そこで,オーブンの昇温速度を遅くすることでピークの分 離を良好なものとし,オーブン温度を150℃までとした場合の TIC chromatogram を図 5 に示す.図 5 においても潤滑油の成 分は検出されているが,他のピークとの干渉が少ない.また, 昇温速度を遅くしたことで,ピークの分離が改善されている. なお,この実験条件では,オーブン温度が150℃以上でなけれ ば検出されない高沸点成分をカラム内から除去するために, 分析の最終段階で急速に昇温させて300℃で保持している.図 5 において,1st カラムの retention time が約 70min を超える領 域のピーク群は,この操作によって形成されたものである. 4.3. n-heptane を燃料とした場合の排気ガスに含まれる含酸 素化合物の検討 ここでは,前述の図5 で示した全てのピークから,炭素数 7の直鎖または分枝構造を持つ含酸素化合物を詳細に検討し, 表1 に示した詳細な化学反応モデルで考慮されている成分と の比較を行う.そのために,GC Image の二次元チャート上の 全てのピークに対して,retention time とライブリ検索で得られ た化合物情報だけを使用して炭素数7の直鎖または分枝構造 を持つ含酸素化合物の抽出を試みた. 図 6 は,全てのピークから窒素化合物を取り除き,C-H-O 化合物だけを抽出するための分類結果を示す.窒素化合物は 特に図の上部に多く見られ,横方向には広く分布している. このことから,SI 燃焼の排気ガス中には低沸点成分から高沸 点成分まで様々な分子量の窒素化合物が存在することが示唆 される. 図7 は,図 6 で得られた C-H-O 化合物から芳香族化合物を 取り除くための分類結果を示す.芳香族化合物は高沸点かつ 極性が高い成分であることから,図中の右上に多く見られる. また,図8 は,図 7 で得られた非芳香族 C-H-O 化合物から, ナフテン系化合物を取り除き,直鎖または分枝構造を有する 化合物だけを抽出するための分類結果を示す.ナフテン系化 合物は,図中全体に広く分布しており,多くの種類の環状化 合物が存在することを示唆している.このように,燃料と潤 滑油に直鎖系炭化水素だけを使用したにも関わらず,その排 気ガスには芳香族化合物やナフテン系化合物の存在が示唆さ れたことから,シリンダおよび排気管路内で複雑な反応が進 行していることが推察される. 次に,炭素数7の直鎖または分枝構造を持つ含酸素化合物 を抽出するために,図8 からナフテン系化合物を取り除いた ピークについて炭素数で分類した結果を図9 に示す.炭素数 が大きいほどピークは図中右へと移動する.図9 によれば, 同じ炭素数について多数のピークが存在し,それらのretention time は広く分布している.このことは,炭素数が同じであり ながら様々な構造や組成のC-H-O 化合物が存在していること を示唆している.また,燃料として炭素数7 の直鎖系炭化水 素を用いたにも関わらず,炭素数8 を超える直鎖または分枝 構造の化合物が多数存在していることも示唆された.これら は,潤滑油として用いたpoly-α-olefin からの生成物である可 能性もある. 図9 中の●で示した炭素数7の直鎖または分枝構造を持つ 化合物について,その組成と構造をまとめた結果を表4 に示 す.表4 より,n-heptane を燃料とした SI 燃焼の排気ガスには, 以下のような炭素数7の直鎖または分枝構造を持つ化合物が

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の大きなピークが存在する.その一部は燃料成分や燃焼生成 物のピークと重なっていることがわかる.図3 中のピークに ついて,燃焼生成物に着目した解析を試みたが,反応物であ る燃料成分が多種であることや,オイルの影響が大きいこと から,本実験の解析方法だけでは信頼度の高い解析は困難と 判断した. 4.2. n-heptane を燃料とした場合の排気ガスの分析 前述のように,レギュラーガソリンと一般的なエンジンオ イルを用いた場合,その排気ガスの分析は容易ではないこと から,次に燃料をn-heptane とし,また潤滑油には化学合成油 であるpoly-α-olefin のみを使用して検討を行った.使用した poly-α-olefin が n-olefin の重合体であることから,この実験に おいては直鎖系炭化水素のみがシリンダ内に供給されること になる. 図4 には,図 3 と同じ条件で得られた TIC chromatogram を 示す.潤滑油としてpoly-α-olefin を使用した結果,潤滑油の 影響が極めて小さくなったことがわかる.また,燃料を n-heptane としたことで,燃料や燃焼生成物のピーク数は図 3 と比べて減少していることがわかる.特に,1st カラムの retention time が 50min を超えるような高沸点成分については 大きく減少している.つまり,レギュラーガソリンの排気ガ ス分析で得られた図3 において,1st カラムの retention time が 50min を超える領域にあるピークは,ガソリンおよび市販オイ ルに含まれる様々な化合物の影響を強く受けた結果と考える ことができる.言い換えると,n-heptane の燃焼生成物を検討 する上では,まずは図4 中の左側半分の領域に存在するピー クの解析を行うことが重要であると言える. そこで,オーブンの昇温速度を遅くすることでピークの分 離を良好なものとし,オーブン温度を150℃までとした場合の TIC chromatogram を図 5 に示す.図 5 においても潤滑油の成 分は検出されているが,他のピークとの干渉が少ない.また, 昇温速度を遅くしたことで,ピークの分離が改善されている. なお,この実験条件では,オーブン温度が150℃以上でなけれ ば検出されない高沸点成分をカラム内から除去するために, 分析の最終段階で急速に昇温させて300℃で保持している.図 5 において,1st カラムの retention time が約 70min を超える領 域のピーク群は,この操作によって形成されたものである. 4.3. n-heptane を燃料とした場合の排気ガスに含まれる含酸 素化合物の検討 ここでは,前述の図5 で示した全てのピークから,炭素数 7の直鎖または分枝構造を持つ含酸素化合物を詳細に検討し, 表1 に示した詳細な化学反応モデルで考慮されている成分と の比較を行う.そのために,GC Image の二次元チャート上の 全てのピークに対して,retention time とライブリ検索で得られ た化合物情報だけを使用して炭素数7の直鎖または分枝構造 を持つ含酸素化合物の抽出を試みた. 図 6 は,全てのピークから窒素化合物を取り除き,C-H-O 化合物だけを抽出するための分類結果を示す.窒素化合物は 特に図の上部に多く見られ,横方向には広く分布している. このことから,SI 燃焼の排気ガス中には低沸点成分から高沸 点成分まで様々な分子量の窒素化合物が存在することが示唆 される. 図7 は,図 6 で得られた C-H-O 化合物から芳香族化合物を 取り除くための分類結果を示す.芳香族化合物は高沸点かつ 極性が高い成分であることから,図中の右上に多く見られる. また,図8 は,図 7 で得られた非芳香族 C-H-O 化合物から, ナフテン系化合物を取り除き,直鎖または分枝構造を有する 化合物だけを抽出するための分類結果を示す.ナフテン系化 合物は,図中全体に広く分布しており,多くの種類の環状化 合物が存在することを示唆している.このように,燃料と潤 滑油に直鎖系炭化水素だけを使用したにも関わらず,その排 気ガスには芳香族化合物やナフテン系化合物の存在が示唆さ れたことから,シリンダおよび排気管路内で複雑な反応が進 行していることが推察される. 次に,炭素数7の直鎖または分枝構造を持つ含酸素化合物 を抽出するために,図8 からナフテン系化合物を取り除いた ピークについて炭素数で分類した結果を図9 に示す.炭素数 が大きいほどピークは図中右へと移動する.図9 によれば, 同じ炭素数について多数のピークが存在し,それらのretention time は広く分布している.このことは,炭素数が同じであり ながら様々な構造や組成のC-H-O 化合物が存在していること を示唆している.また,燃料として炭素数7 の直鎖系炭化水 素を用いたにも関わらず,炭素数8 を超える直鎖または分枝 構造の化合物が多数存在していることも示唆された.これら は,潤滑油として用いたpoly-α-olefin からの生成物である可 能性もある. 図9 中の●で示した炭素数7の直鎖または分枝構造を持つ 化合物について,その組成と構造をまとめた結果を表4 に示 す.表4 より,n-heptane を燃料とした SI 燃焼の排気ガスには, 以下のような炭素数7の直鎖または分枝構造を持つ化合物が

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含まれることが示唆された. (1) 三重結合を有する化合物 (2) 一つまたは二つの二重結合を有する化合物 (3) 一つまたは二つのカルボニル基を有する化合物 (4) OH 基を有する化合物 (5) アルデヒド基を有する化合物 (6) エポキシ結合を有する化合物 (7) メトキシ基またはプロポキシ基を有する化合物 また,上記の特徴を複合的に有する化合物も存在する. このような分析の結果に対して,表1 中の非ラジカル成分 を比較すると,RH (nC7H16), olefin (C7H14), epox (C7H14O)は検出 されたが,ROOH (C7H15OOH)と R'OOHR"O (HOOC7H13O)は検 出されなかった.また,これらの成分以外に,多くの化合物 が存在していることが示唆された. 5.ま と め GC×GC を用いて,SI 燃焼の排気ガス中に含まれる各種化 合物を検討し,特に含酸素化合物については詳細な化学反応 モデルで考慮されている成分との比較を行った.これより以 下の結果が得られた. (1) 市販レギュラーガソリンおよび市販潤滑油(10W-30) を使用した場合,排気ガス中には多くの種類の化合物 が存在する.しかし,反応物である燃料成分が多種で あることや,潤滑油の影響が大きく,解析は容易では ない. (2) n-heptane を燃料とし潤滑油に poly-α-olefin のみを使 用した場合でも,含窒素化合物,芳香族化合物,ナフ テン系化合物,含酸素化合物,分枝構造を持つ化合物 のように,燃料の分子構造とは異なる構造の成分が排 出されることが示唆された.また,炭素数7の直鎖ま たは分枝構造を持つ化合物を詳細に解析したところ, 詳細な化学反応モデルでは考慮されていない多くの 含酸素化合物の存在が示唆された. (3) これらの結果から, GC×GC-TOFMS を用いること で,内燃機関から排出される既燃ガスの成分を解明で きる可能性を示すことができた. なお,本報告で示した実験において,排気管路で計測され た排気ガスの当量比は1.0 であるが,サイクルごとの当量比の 変動やシリンダ内の当量比分布については不明である.その ため,今回の分析では,空間的かつ時間的な平均当量比が1.0 となる SI 燃焼の排気ガス成分を検討対象としたことになる. 今後は当量比や燃焼状態を変化させた条件での分析や,HCCI 燃焼,ディーゼル燃焼,モデル燃焼器などを用いた分析を行 うことで,燃料および潤滑油と既燃ガス成分の関係について 解明できるものと考えられる. 謝 辞 本研究の遂行に際して,北海道大学小川英之教授,富士重 工業株式会社金子誠氏,松和産業株式会社塚原恒雄氏にご協 力を頂いた.ここに感謝の意を表する. 参 考 文 献

(1)I. Glassman and R. A. Yetter:Combustion, Fourth Ed., p. 106-110 (2008)

(2)https://www-pls.llnl.gov/?url=science_and_technology-chemistry -combustion-mechanisms

(3)S. Onishi, S. H. Jo, K. Shoda, P. D. Jo and S. Kato:Active Thermo-Atmosphere Combustion (ATAC) -- A New Combustion Process for Internal Combustion Engines, SAE Paper 790501 (1979) (4)S. H. Jo, P. D. Jo, T. Gomi and S. Ohnishi:Development of a Low-Emission and High-Performance 2-Stroke Gasoline Engine (NiCE), SAE Paper 730463 (1973)

(5)窪山達也ほか:ブローダウン過給システムを用いたガソリ ンHCCI 機関の性能評価,第 21 回内燃機関シンポジウム講演 論文集,p. 87-92 (2010),

(6)政所良行ほか:残留ガス制御による 2 ストローク・ガソリン HCCI 燃焼(第 1 報),自動車技術会論文集, Vol. 37, No. 3, p. 85-90(2006),

(7)中野道王ほか:HCCI 燃焼における残留ガスの自着火促進効 果,第43 回燃焼シンポジウム講演論文集, p. 44-45 (2005) (8)中野道王ほか:残留ガス制御による 2 ストローク・ガソリン HCCI 燃焼(第 3 報), 自動車技術会論文集, Vol. 37, No. 3, p. 97-102(2006)

(9)山本正美,伊藤宏,大嶋文子:自動車排出ガス中の個別炭 化水素解析システムの開発 (その1)個別炭化水素の分析法,

豊田中央研究所R&D レビュー,Vol.32, No.4, p.71-79 (1997) (10)Z. Liu and J. B. Phillips:Comprehensive Two-Dimensional Gas Chromatography using an On-Column Thermal Modulator Interface, Journal of Chromatographic Science, Vol. 29, Issue 6, p. 227-231(1991),

(11)J. Hamilton, P. Webb, A. Lewis, J. Hopkins, S. Smith and P. Davy:Partially Oxidised Organic Components in Urban Aerosol using GCXGC-TOF/MS, Atmospheric Chemistry and Physics Discussions, Vol. 4, Issue 5, p.1279-1290(2004)

(12)G. S. Frysinger and R. B. Gaines : Comprehensive Two-Dimensional Gas Chromatography with Mass Spectrometric Detection (GC×GC/MS) Applied to the Analysis of Petroleum, Journal of High Resolution Chromatography, Vol. 22, Issue 5, p. 251–255 (1999)

(13)https://www-pls.llnl.gov/?url=science_and_technology-chemistr y-combustion-n_heptane_version_3

(7)

含まれることが示唆された. (1) 三重結合を有する化合物 (2) 一つまたは二つの二重結合を有する化合物 (3) 一つまたは二つのカルボニル基を有する化合物 (4) OH 基を有する化合物 (5) アルデヒド基を有する化合物 (6) エポキシ結合を有する化合物 (7) メトキシ基またはプロポキシ基を有する化合物 また,上記の特徴を複合的に有する化合物も存在する. このような分析の結果に対して,表1 中の非ラジカル成分 を比較すると,RH (nC7H16), olefin (C7H14), epox (C7H14O)は検出 されたが,ROOH (C7H15OOH)と R'OOHR"O (HOOC7H13O)は検 出されなかった.また,これらの成分以外に,多くの化合物 が存在していることが示唆された. 5.ま と め GC×GC を用いて,SI 燃焼の排気ガス中に含まれる各種化 合物を検討し,特に含酸素化合物については詳細な化学反応 モデルで考慮されている成分との比較を行った.これより以 下の結果が得られた. (1) 市販レギュラーガソリンおよび市販潤滑油(10W-30) を使用した場合,排気ガス中には多くの種類の化合物 が存在する.しかし,反応物である燃料成分が多種で あることや,潤滑油の影響が大きく,解析は容易では ない. (2) n-heptane を燃料とし潤滑油に poly-α-olefin のみを使 用した場合でも,含窒素化合物,芳香族化合物,ナフ テン系化合物,含酸素化合物,分枝構造を持つ化合物 のように,燃料の分子構造とは異なる構造の成分が排 出されることが示唆された.また,炭素数7の直鎖ま たは分枝構造を持つ化合物を詳細に解析したところ, 詳細な化学反応モデルでは考慮されていない多くの 含酸素化合物の存在が示唆された. (3) これらの結果から, GC×GC-TOFMS を用いること で,内燃機関から排出される既燃ガスの成分を解明で きる可能性を示すことができた. なお,本報告で示した実験において,排気管路で計測され た排気ガスの当量比は1.0 であるが,サイクルごとの当量比の 変動やシリンダ内の当量比分布については不明である.その ため,今回の分析では,空間的かつ時間的な平均当量比が1.0 となる SI 燃焼の排気ガス成分を検討対象としたことになる. 今後は当量比や燃焼状態を変化させた条件での分析や,HCCI 燃焼,ディーゼル燃焼,モデル燃焼器などを用いた分析を行 うことで,燃料および潤滑油と既燃ガス成分の関係について 解明できるものと考えられる. 謝 辞 本研究の遂行に際して,北海道大学小川英之教授,富士重 工業株式会社金子誠氏,松和産業株式会社塚原恒雄氏にご協 力を頂いた.ここに感謝の意を表する. 参 考 文 献

(1)I. Glassman and R. A. Yetter:Combustion, Fourth Ed., p. 106-110 (2008)

(2)https://www-pls.llnl.gov/?url=science_and_technology-chemistry -combustion-mechanisms

(3)S. Onishi, S. H. Jo, K. Shoda, P. D. Jo and S. Kato:Active Thermo-Atmosphere Combustion (ATAC) -- A New Combustion Process for Internal Combustion Engines, SAE Paper 790501 (1979) (4)S. H. Jo, P. D. Jo, T. Gomi and S. Ohnishi:Development of a Low-Emission and High-Performance 2-Stroke Gasoline Engine (NiCE), SAE Paper 730463 (1973)

(5)窪山達也ほか:ブローダウン過給システムを用いたガソリ ンHCCI 機関の性能評価,第 21 回内燃機関シンポジウム講演 論文集,p. 87-92 (2010),

(6)政所良行ほか:残留ガス制御による 2 ストローク・ガソリン HCCI 燃焼(第 1 報),自動車技術会論文集, Vol. 37, No. 3, p. 85-90(2006),

(7)中野道王ほか:HCCI 燃焼における残留ガスの自着火促進効 果,第43 回燃焼シンポジウム講演論文集, p. 44-45 (2005) (8)中野道王ほか:残留ガス制御による 2 ストローク・ガソリン HCCI 燃焼(第 3 報), 自動車技術会論文集, Vol. 37, No. 3, p. 97-102(2006)

(9)山本正美,伊藤宏,大嶋文子:自動車排出ガス中の個別炭 化水素解析システムの開発 (その1)個別炭化水素の分析法,

豊田中央研究所R&D レビュー,Vol.32, No.4, p.71-79 (1997) (10)Z. Liu and J. B. Phillips:Comprehensive Two-Dimensional Gas Chromatography using an On-Column Thermal Modulator Interface, Journal of Chromatographic Science, Vol. 29, Issue 6, p. 227-231(1991),

(11)J. Hamilton, P. Webb, A. Lewis, J. Hopkins, S. Smith and P. Davy:Partially Oxidised Organic Components in Urban Aerosol using GCXGC-TOF/MS, Atmospheric Chemistry and Physics Discussions, Vol. 4, Issue 5, p.1279-1290(2004)

(12)G. S. Frysinger and R. B. Gaines : Comprehensive Two-Dimensional Gas Chromatography with Mass Spectrometric Detection (GC×GC/MS) Applied to the Analysis of Petroleum, Journal of High Resolution Chromatography, Vol. 22, Issue 5, p. 251–255 (1999)

(13)https://www-pls.llnl.gov/?url=science_and_technology-chemistr y-combustion-n_heptane_version_3

参照

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