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Table 1 Specification of Single Cylinder Engine Engine Specification [-] Single Cylinder Engine (4 valves, pent-roof) Displacement [cm3] 400 Bore [mm]

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Vol.46,No.6,November 2015.

1057

Fig. 10 Effect of IVC on the cylinder pressure, the heat release rate and the P-V diagram.

50 100 500 0.1 0.5 1 Pre ss ure MP a Volume cc HCCI n-heptane WOT Ne = 2500 rpm no EGR IMEPg = 0.20 MPa 15LC0(c = 15) Tin = 50 oC  = 0.21 (dp/d)max = 0.19 MPa/deg. 15LC60(c = 12.3) Tin = 70 oC  = 0.26 (dp/d)max = 0.12 MPa/deg. 0 1 2 3 4 5 Pre ss ure MP a -30 -20 -10 0 10 20 30 0 10 20 He at R el eas e R at e J /d eg.

Crank Angle deg.

15LC0 と比較し,吸気弁遅閉じが行われた 15LC60 は最大圧力上 昇率を抑えながら同等のIMEPgを達成することができると言える. また,図9に20LC60 (εc = 16.4)と20LC90 (εc = 11.9)の場合のIMEPg と最大圧力上昇率の関係を示す.上述と同じ傾向が明らかに示さ れている. 以上より,吸気弁の遅閉じを用いることによって,同等の出力 におけるHCCI 燃焼の圧力上昇率を抑えることができることがわ かった. 吸気弁の遅閉じによって,HCCI 燃焼における運転範囲を拡大 する効果のメカニズムを解明するため,典型的な条件について検 討を行う. IMEPg = 0.2 MPa において,15LC0 と 15LC60 のシリンダ内圧 力,熱発生率,およびP-V 線図を図 10 に示す.同等の IMEPgを 達成するため,LC の値のより高い条件,つまり吸気弁閉じ時期 の遅い条件(ここでは 15LC60)は LC の値の低い条件(ここでは 15 LC0)と比べ,高い当量比か吸気温度が必要となる.しかし,当量 比か吸入空気温度が高いのにもかかわらず,LC の値の高い条件 は,燃焼における圧力上昇と熱発生率の上昇が緩やかになってお り,最大筒内圧力と最大熱発生率も低下している.しかも,最大 筒内圧力と最大熱発生率のクランク角度もより遅角し,燃焼位相 はLC の値の低い条件より遅れていることが分かった. このように,吸気弁の遅閉じは,燃焼位相を遅らせ,シリンダ 内圧力や熱発生率の上昇を緩やかにする効果があるので,HCCI 燃焼における運転範囲の拡大につながると考えられる. 4. 結 言 (1)HCCI 燃焼における熱効率に対して支配的な影響要因 1)HCCI 燃焼が可能である幾何学的圧縮比(膨張比)と吸気弁閉 じ時期で設定した四つの条件において、HCCI 燃焼が可能で あったすべてのデータを相関の観点から解析した結果,HCCI 燃焼における熱効率に対する支配的な影響要因は燃焼効率で ある. 2)外部 EGR は最大圧力上昇率を抑えながら,当量比を増大させ ることによりHCCI 燃焼における燃焼効率をさらに増大する ことができ,HCCI 燃焼の熱効率を向上させる有効な手段で ある. (2)HCCI 燃焼における超過膨張サイクルの効果 比較的近い実圧縮比を持ち,幾何学的圧縮比(膨張比)が異 なる条件において同等のIMEPgにおいて,図示熱効率は,膨 張比の大きい方が高いことから,HCCI 燃焼においても超過 膨張サイクルの効果が現れていると言える. 謝 辞 本研究を遂行するに当たり,星野嵩了君,東泉智子さんには実験 への協力をはじめ装置の製作やディスカッションなど多大な協力 を頂きました.心より感謝いたします.本研究は,科学研究費補 助金(基盤研究(C) 25420149)の支援を受けて実施された. 参 考 文 献 (1) 飯島晃良:クリーンディーゼル開発の要素技術動向,株式会 社エヌ・ティー・エス,2008,94p. (2) 柴田元 ほか 3 名:燃料組成が HCCI エンジンの燃焼特性に 与える影響,自動車技術会論文集,Vol.36, No.3,p.25-30, 20055319, (2005). (3) 柴田元 漆原友則:HCCI 燃焼における高温酸化反応の個性に 関する考察,自動車技術会論文集,Vol.40, No.6,p.1527-1532, 20095151, (2009). (4) 浦田泰弘 ほか 3 名:ガソリン HCCI 着火制御の研究,Honda R&D Technical Review Vol.19 No.1,p.59-64,(2007).

燃料特性が過給エンジンのノッキング特性に及ぼす影響についての研究

* 葛西 理晴1) 吉川2) 白石 泰介3) 寺地4)

ショーン ウェイクフィールド5) ジャン-ヘンドリック レッドマン6) トー キット ゴー7) ディヴィッド ドイル8) ヴィルブランド カーステン9) 渋谷 昌彦10)

Research on the Effect of Fuel Properties on Knocking Performance of Boosted Engines

Masaharu Kassai Dai Yoshikawa Taisuke Shiraishi Atsushi Teraji

Shaun Wakefield Jan-Hendrik Redmann Tor Kit Goh David Doyle Wilbrand Karsten Masahiko Shibuya The characteristics of knocking performance under turbocharged conditions were studied. To clarify the mechanism from the viewpoint of auto ignition processes of fuel/air mixtures, fuels with independently different Research Octane Number (RON), Motor Octane Number (MON), and ethanol content were prepared. The knocking performance of these fuels, under both natural aspirated and turbocharged condition, were experimentally evaluated in a single cylinder research engine.

Results show that contributions of RON and MON to knocking performance changes with engine operating conditions. For further analysis, elementary reaction calculations with reaction schemes which can simulate given RON and MON properties were performed. The mechanism was explained with characteristics of low temperature oxidation with each fuel. KEY WORDS: Heat engine, Spark ignition engine, Downsizing, Knocking, Fuel, RON, MON, Low Temperature Oxidation (A1)

1.ま え が き グローバルレベルでのモータリゼーションの普及に伴い, エネルギーセキュリティや地球温暖化対策がますます問題視 されており,自動車用のパワートレイン,特にその主流であ る内燃機関に対し,さらなる高効率化が求められている. 火花点火機関の熱効率向上のための有力技術として,過給 ダウンサイジングが注目されている.この技術は,低負荷に おいてポンプ損失により熱効率が低下する従来の火花点火機 関に対し,排気量を減らすと同時に過給を積極的に行って出 力低下を補い,低ポンプ損失での運転領域を増やすものであ る.近年では,単なるポンプ損失・重量・フリクションの低 減に加え,より高圧縮比化して全域の熱効率を改善すること が重要な技術課題となっている. 高過給化・高圧縮比に伴う主要な技術課題として,異常燃 焼の抑制が挙げられる.特に低速過給高負荷においては,ノ ッキング回避のため点火時期を遅角せざるを得ず,本来の熱 効率ポテンシャルを発揮することが難しい.以上の背景から, 本研究では過給域における低速ノッキング現象に着目した. 低速ノッキングのメカニズムについては,数多くの研究が なされてきたが (1)-(2),現在では未燃混合気(エンドガス)の 自己着火による現象であることが知られている(3)-(5).未燃混合 気の自己着火は,基本的に混合気の均一気相反応に支配され るため,燃料種の違いによるノッキング特性の変化,および, これに対応する燃料種ごとの反応機構を素反応レベルで計 算・解析する技術開発(6)-(8)が進められてきた.また,運転条件 ごとにノッキングに対する燃料感度が変化し,リサーチオク タン価(Research Octane Number,以下 RON)やモーターオク タン価(Motor Octane Number,以下 MON)といった単独指標 では一義的に説明できない,との報告がある(9)-(12). 本研究では,過給条件におけるノッキング特性について, 混合気の自己着火過程の観点を含めて詳細なメカニズムを明 らかにするため,燃料特性を意図的に変化させた燃料群を用 意し,自然吸気および過給条件において単気筒エンジンでの ノッキング評価実験を実施した.同時に素反応計算を用いた 解析を実施した. 2.実 験 方 法 2.1 実験装置 本研究で用いた単気筒エンジンの諸元を表1 に示す. 外部過給器およびスロットルチャンバーを用いて所定の圧 力で空気を筒内に吸気し,燃量は吸気ポートに備え付けた噴 射弁を用いて噴射し,空気と予混合して筒内に導入した.過 給ダウンサイジングにおいては,ノッキング性能改善のため に直噴を用いることが多いが,本研究では燃料ごとに異なる *2015 年 7 月 16 日受理. 2014 年 11 月 26 日第 25 回内燃機関シンポジウムにて発表. 1)・2)・3)・4) 日産自動車(株) (243-0192 神奈川県厚木市岡津 古久560-2)

5)・8) Shell Research Ltd. (UK) (Shell Centre, London SE1 7NA) 6)・7)・9) Shell Global Solutions GmbH(Hohe-Schaar-Strasse 36, D-21107 Hamburg, Germany)

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自動車技術会論文集 No C7H16 C8H18 C7H8 EtOH Other RON MON C H O MW

(ave.) Stoich. A/F LHV Fuel LHV Mixture [-] [vol. %] [-] [-] [mass %] [g/mol] [-] [MJ/kg] [MJ/kg] 01 10 90 - - - 89.8 89.9 84.1 15.9 0.0 112.7 15.0 44.3 2.76 02 - 100 - - - 99.9 99.8 84.1 15.9 0.0 114.2 15.0 44.3 2.76 03 - 50 50 - - 113.0 104.1 88.1 11.9 0.0 100.8 14.1 42.2 2.79 04 - - - - 100 95.4 85.3 86.9 13.1 0.0 97.2 14.4 42.5 2.76 05 16 10 74 - - 99.5 88.2 89.7 10.4 0.0 95.1 13.8 41.4 2.80 06 - - 60 - 40 105.9 88.8 89.0 11.0 0.0 99.1 13.9 41.3 2.77 07 - - - - 100 100.0 88.0 87.5 12.5 0.0 93.6 14.3 42.6 2.79 08 30 - 70 - - 89.3 77.4 89.4 10.6 0.0 94.1 13.8 41.5 2.80 09 - - 100 - - 123.1 108.0 91.3 8.8 0.0 92.1 13.4 40.5 2.81 10 - - - - 100 89.6 80.6 85.9 14.1 0.0 96.7 14.6 43.5 2.78 11 - - - 100 - 108.4 88.8 52.1 13.1 34.7 46.1 8.9 26.8 2.69 12 9 81 - 10 - 97.5 93.4 82.5 13.1 3.9 92.5 13.8 42.4 2.86 13 8 72 - 20 - 102.9 94.1 78.8 14.5 7.7 86.5 13.5 40.1 2.77 14 1.5 13.5 - 85 - 107.4 89.6 54.8 13.8 30.2 54.8 9.8 28.8 2.67 15 - - - 10 90 93.6 82.5 82.3 13.9 3.7 91.5 14.0 41.6 2.78 16 - - - 20 80 97.0 83.9 78.6 13.8 7.6 85.9 13.4 39.8 2.77 17 - - - 85 15 106.7 88.6 56.4 13.2 30.4 52.5 9.7 28.9 2.71 18 - - - 10 90 92.3 82.0 82.8 13.5 3.7 98.4 13.9 40.7 2.73 19 - - - 20 80 97.9 84.7 77.8 13.9 8.3 90.5 13.3 39.2 2.75 20 - - - 85 15 108.0 90.4 57.6 13.2 29.2 54.1 9.8 28.9 2.67

Table 1 Specification of Single Cylinder Engine

Engine Specification [-] Single Cylinder Engine(4 valves, pent-roof)

Displacement [cm3] 400

Bore [mm] 78.0

Stroke [mm] 83.6 Compression Ratio [-] 12.0

Piston Specification [-] Flat Fuel Preparation [-] Port fuel injection

Fuel Pressure [MPa] 0.3 Spark Plug Location [-] Central Intake Valve Opening [deg.BTDC] 0 -30

Intake Valve Closing [deg.ABDC] 48 78 Exhaust Valve Opening [deg.BBDC] 28

Exhaust Valve Closing [deg.ATDC] 0

気化潜熱等の物理特性の影響を排除し,化学特性の影響を明 らかにするため,ポート噴射を選択した.吸気温度は,ヒー ターを有する温度調節装置を用いて燃料種を問わず一定に保 った.混合気の空燃比は燃料・空気流量計および排気管に取 り付けた空燃比センサで管理し,常に量論混合比に設定した. 燃焼室中央に設置した点火プラグは任意のタイミングで放 電でき,燃焼時の筒内圧力履歴は燃焼室に備え付けた圧力セ ンサ(Kistler 6125A)およびチャージアンプ(Kistler 5011B) を介して0.2deg.CA の時間分解能で取得した.吸排気バルブは 直動式カムにて駆動し,条件ごとに中心角を変換してバルブ タイミングを調整した. 2.2 燃料諸元 本研究で用いた燃料のRON・MON 分布を図 1 に,諸元一 覧を表2 に示す.メカニズム解析のため,RON と MON が適 切な振り幅で独立に変化する特殊な燃料群を構築した.燃料 の多くは,所望のRON・MON となるようリファレンス燃料 を混合して作製したが,燃料#04,#07,#10 は市場燃料である. エタノール含有燃料は,混合手法(燃料#12~14:燃料#01 = PRF90 ベース,燃料#15~17:燃料#10 = 市場レギュラー燃料 ベース,燃料#18~20:市場エタノール燃料)とエタノール含 有率(E10,E20,E85,E100)の違いにより計 10 種類とした. なお,燃料重量あたりの低位発熱量は異なるが,ストイキ混 合気あたりの低位発熱量は燃料種によらず概ね一定である.

Fig. 1 Prepared Fuel Matrix on RON / MON Map Table 2 Fuel Properties for This Research

2.3 実験方法・条件

本研究における実験条件の一覧を表3 に示す.回転数・過

給圧・IVC タイミングの異なる運転条件において,それぞれ

点火時期を1 deg.CA の分解能で変化させ,Trace Knock 点を含

む前後3 点のデータを取得した.この時,混合気の圧縮履歴 を合わせて比較するため,平均有効圧力(IMEP)一定ではな く,常に過給圧一定として実験した.ノック評点は官能評点 ならびに指圧計測による圧力振動レベルを用いて確認した. 高過給条件において,一部の燃料は過度の点火時期リター ドによる排気温度限界に達したため,データを取得できなか った.一方で,燃料#09(トルエン)については,高いアンチ ノック性により実施した全条件においてノッキングの発生が 確認できなかったが,ノッキング非発生時の圧力履歴として 他条件との比較および計算に有用であるため,取得可能な全 ての点火時期にてデータを取得した.

Table 3 Experimental Settings and Conditions

Engine Speed [rpm] 1200 2000 Boost Pressure [bar(gauge)] 0.0 0.4 0.6 0.8 Intake Air Temp. [K] 333.15 Equivalence Ratio [-] 1.0 (Stoichiometric)

Coolant Temp. [℃] 86

Oil Temp. [℃] 86

Spark Ignition Timing [deg.ATDC] MBT and/or Trace Knock

Table 4 Calculation Conditions for Simulating Boosted Engine and RON / MON Measurement with CFR Engine

Condition parameters Boosted Engine RON MON Intake Air Temp. [K] 333.15 325.15 422.15 Intake Air Pressure [bar(gauge)] 0.0 / 0.2 / 0.4 / 0.6 / 0.8 0.0

Coolant Temp. [℃] 86 100 100

Engine Speed [rpm] 1200 600 900 Spark Ignition Timing [deg.BTDC] 8 13 14-26

Compression Ratio [-] 12 4-18 4-18 3.計 算 方 法 3.1 計算方法 未燃混合気の自己着火過程を詳細に解析するために化学反 応計算コードCHEMKIN-PRO(13)を用いた素反応計算を実施し た.計算モデルには,0 次元の密閉系完全混合反応器モデルで ある“0D Closed Homogeneous Reactor”を使用し,圧力履歴を時 系列プロファイルとして指定し,これに従って未燃混合気を 圧縮する計算を実施した.実エンジン現象と比較すると,主 燃焼による既燃/未燃混合気の比率変化や,未燃混合気自体の 発熱による圧力変化を考慮していないが(7),実機取得した任意 の圧力履歴にて簡易に未燃混合気の自己着火過程を検討でき る.素反応スキームには,Golovichev によって構築された, ノルマルヘプタン・イソオクタン・トルエンの混合燃料(TRF) における低温酸化反応および高温酸化反応を再現できる素反 応スキーム(化学種数120,反応数 619)(14)を用いた.熱損失 については,実エンジンにおける熱損失のほとんどが火炎面 からの輻射によるものであり,未燃混合気は断熱的に圧縮さ るとみなせる(15),との知見に基づき,断熱として計算した. 3.2 計算条件 表4 に実験に相当する計算の条件を示す.圧力履歴には, 燃料#9(トルエン)にて取得した,それぞれの過給圧力条件・ 同一点火時期における実機圧力履歴を用いた.また,リファ レンスとして日本工業規格JIS K 2280 に基づく,CFR エンジ ンを用いたオクタン価(RON および MON)計測の典型的な 運転条件に相当する計算を実施したので同表に併記する. 4.実 験 結 果 と 考 察 4.1 実験結果(エタノール非含有燃料) 図2 に,エタノール非含有燃料における過給圧違いでの実 験結果を,Trace Knock 前後 3 点の CA50(Mass Burnt=50%と なるCrank Angle)に対する IMEP で示す.RON および MON 特性の差異によって,各燃料でのTrace Knock 点の CA50 が広 く分布していること,また,過給圧の上昇によってそれらの 順序が前後する挙動が確認できる.

(a) 1200 rpm, Boost Pres. Variation with Retarded IVC (b) 2000rpm, Boost Pres. Variation with Retarded IVC Fig. 2 IMEP as a Function of Knock Limited CA50 with Non-ethanol Fuels and Boost Pressure

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Vol.46,No.6,November 2015.

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No C7H16 C8H18 C7H8 EtOH Other RON MON C H O MW (ave.) Stoich. A/F LHV Fuel LHV Mixture [-] [vol. %] [-] [-] [mass %] [g/mol] [-] [MJ/kg] [MJ/kg] 01 10 90 - - - 89.8 89.9 84.1 15.9 0.0 112.7 15.0 44.3 2.76 02 - 100 - - - 99.9 99.8 84.1 15.9 0.0 114.2 15.0 44.3 2.76 03 - 50 50 - - 113.0 104.1 88.1 11.9 0.0 100.8 14.1 42.2 2.79 04 - - - - 100 95.4 85.3 86.9 13.1 0.0 97.2 14.4 42.5 2.76 05 16 10 74 - - 99.5 88.2 89.7 10.4 0.0 95.1 13.8 41.4 2.80 06 - - 60 - 40 105.9 88.8 89.0 11.0 0.0 99.1 13.9 41.3 2.77 07 - - - - 100 100.0 88.0 87.5 12.5 0.0 93.6 14.3 42.6 2.79 08 30 - 70 - - 89.3 77.4 89.4 10.6 0.0 94.1 13.8 41.5 2.80 09 - - 100 - - 123.1 108.0 91.3 8.8 0.0 92.1 13.4 40.5 2.81 10 - - - - 100 89.6 80.6 85.9 14.1 0.0 96.7 14.6 43.5 2.78 11 - - - 100 - 108.4 88.8 52.1 13.1 34.7 46.1 8.9 26.8 2.69 12 9 81 - 10 - 97.5 93.4 82.5 13.1 3.9 92.5 13.8 42.4 2.86 13 8 72 - 20 - 102.9 94.1 78.8 14.5 7.7 86.5 13.5 40.1 2.77 14 1.5 13.5 - 85 - 107.4 89.6 54.8 13.8 30.2 54.8 9.8 28.8 2.67 15 - - - 10 90 93.6 82.5 82.3 13.9 3.7 91.5 14.0 41.6 2.78 16 - - - 20 80 97.0 83.9 78.6 13.8 7.6 85.9 13.4 39.8 2.77 17 - - - 85 15 106.7 88.6 56.4 13.2 30.4 52.5 9.7 28.9 2.71 18 - - - 10 90 92.3 82.0 82.8 13.5 3.7 98.4 13.9 40.7 2.73 19 - - - 20 80 97.9 84.7 77.8 13.9 8.3 90.5 13.3 39.2 2.75 20 - - - 85 15 108.0 90.4 57.6 13.2 29.2 54.1 9.8 28.9 2.67

Table 1 Specification of Single Cylinder Engine

Engine Specification [-] Single Cylinder Engine(4 valves, pent-roof)

Displacement [cm3] 400

Bore [mm] 78.0

Stroke [mm] 83.6 Compression Ratio [-] 12.0

Piston Specification [-] Flat Fuel Preparation [-] Port fuel injection

Fuel Pressure [MPa] 0.3 Spark Plug Location [-] Central Intake Valve Opening [deg.BTDC] 0 -30

Intake Valve Closing [deg.ABDC] 48 78 Exhaust Valve Opening [deg.BBDC] 28

Exhaust Valve Closing [deg.ATDC] 0

気化潜熱等の物理特性の影響を排除し,化学特性の影響を明 らかにするため,ポート噴射を選択した.吸気温度は,ヒー ターを有する温度調節装置を用いて燃料種を問わず一定に保 った.混合気の空燃比は燃料・空気流量計および排気管に取 り付けた空燃比センサで管理し,常に量論混合比に設定した. 燃焼室中央に設置した点火プラグは任意のタイミングで放 電でき,燃焼時の筒内圧力履歴は燃焼室に備え付けた圧力セ ンサ(Kistler 6125A)およびチャージアンプ(Kistler 5011B) を介して0.2deg.CA の時間分解能で取得した.吸排気バルブは 直動式カムにて駆動し,条件ごとに中心角を変換してバルブ タイミングを調整した. 2.2 燃料諸元 本研究で用いた燃料のRON・MON 分布を図 1 に,諸元一 覧を表2 に示す.メカニズム解析のため,RON と MON が適 切な振り幅で独立に変化する特殊な燃料群を構築した.燃料 の多くは,所望のRON・MON となるようリファレンス燃料 を混合して作製したが,燃料#04,#07,#10 は市場燃料である. エタノール含有燃料は,混合手法(燃料#12~14:燃料#01 = PRF90 ベース,燃料#15~17:燃料#10 = 市場レギュラー燃料 ベース,燃料#18~20:市場エタノール燃料)とエタノール含 有率(E10,E20,E85,E100)の違いにより計 10 種類とした. なお,燃料重量あたりの低位発熱量は異なるが,ストイキ混 合気あたりの低位発熱量は燃料種によらず概ね一定である.

Fig. 1 Prepared Fuel Matrix on RON / MON Map Table 2 Fuel Properties for This Research

2.3 実験方法・条件

本研究における実験条件の一覧を表3 に示す.回転数・過

給圧・IVC タイミングの異なる運転条件において,それぞれ

点火時期を1 deg.CA の分解能で変化させ,Trace Knock 点を含

む前後3 点のデータを取得した.この時,混合気の圧縮履歴 を合わせて比較するため,平均有効圧力(IMEP)一定ではな く,常に過給圧一定として実験した.ノック評点は官能評点 ならびに指圧計測による圧力振動レベルを用いて確認した. 高過給条件において,一部の燃料は過度の点火時期リター ドによる排気温度限界に達したため,データを取得できなか った.一方で,燃料#09(トルエン)については,高いアンチ ノック性により実施した全条件においてノッキングの発生が 確認できなかったが,ノッキング非発生時の圧力履歴として 他条件との比較および計算に有用であるため,取得可能な全 ての点火時期にてデータを取得した.

Table 3 Experimental Settings and Conditions

Engine Speed [rpm] 1200 2000 Boost Pressure [bar(gauge)] 0.0 0.4 0.6 0.8 Intake Air Temp. [K] 333.15 Equivalence Ratio [-] 1.0 (Stoichiometric)

Coolant Temp. [℃] 86

Oil Temp. [℃] 86

Spark Ignition Timing [deg.ATDC] MBT and/or Trace Knock

Table 4 Calculation Conditions for Simulating Boosted Engine and RON / MON Measurement with CFR Engine

Condition parameters Boosted Engine RON MON Intake Air Temp. [K] 333.15 325.15 422.15 Intake Air Pressure [bar(gauge)] 0.0 / 0.2 / 0.4 / 0.6 / 0.8 0.0

Coolant Temp. [℃] 86 100 100

Engine Speed [rpm] 1200 600 900 Spark Ignition Timing [deg.BTDC] 8 13 14-26

Compression Ratio [-] 12 4-18 4-18 3.計 算 方 法 3.1 計算方法 未燃混合気の自己着火過程を詳細に解析するために化学反 応計算コードCHEMKIN-PRO(13)を用いた素反応計算を実施し た.計算モデルには,0 次元の密閉系完全混合反応器モデルで ある“0D Closed Homogeneous Reactor”を使用し,圧力履歴を時 系列プロファイルとして指定し,これに従って未燃混合気を 圧縮する計算を実施した.実エンジン現象と比較すると,主 燃焼による既燃/未燃混合気の比率変化や,未燃混合気自体の 発熱による圧力変化を考慮していないが(7),実機取得した任意 の圧力履歴にて簡易に未燃混合気の自己着火過程を検討でき る.素反応スキームには,Golovichev によって構築された, ノルマルヘプタン・イソオクタン・トルエンの混合燃料(TRF) における低温酸化反応および高温酸化反応を再現できる素反 応スキーム(化学種数120,反応数 619)(14)を用いた.熱損失 については,実エンジンにおける熱損失のほとんどが火炎面 からの輻射によるものであり,未燃混合気は断熱的に圧縮さ るとみなせる(15),との知見に基づき,断熱として計算した. 3.2 計算条件 表4 に実験に相当する計算の条件を示す.圧力履歴には, 燃料#9(トルエン)にて取得した,それぞれの過給圧力条件・ 同一点火時期における実機圧力履歴を用いた.また,リファ レンスとして日本工業規格JIS K 2280 に基づく,CFR エンジ ンを用いたオクタン価(RON および MON)計測の典型的な 運転条件に相当する計算を実施したので同表に併記する. 4.実 験 結 果 と 考 察 4.1 実験結果(エタノール非含有燃料) 図2 に,エタノール非含有燃料における過給圧違いでの実 験結果を,Trace Knock 前後 3 点の CA50(Mass Burnt=50%と なるCrank Angle)に対する IMEP で示す.RON および MON 特性の差異によって,各燃料でのTrace Knock 点の CA50 が広 く分布していること,また,過給圧の上昇によってそれらの 順序が前後する挙動が確認できる.

(a) 1200 rpm, Boost Pres. Variation with Retarded IVC (b) 2000rpm, Boost Pres. Variation with Retarded IVC Fig. 2 IMEP as a Function of Knock Limited CA50 with Non-ethanol Fuels and Boost Pressure

(4)

1060

自動車技術会論文集

Fig. 5 K Values as a Function of IMEP for Each Setting

Boost pres. Effect Engine speed Effect

3 には,過給圧による燃料ごとのノック特性変化の典型 的な例として,ほぼ等しいRON と異なる MON の特性を持つ 燃料#2(RON=99.9,MON=99.8)および燃料#5(RON=99.5, MON=88.2)の熱発生履歴を示す.自然吸気条件においては, 2 つの燃料の Trace Knock 点は概ね同じであるが,過給圧の増 大に伴って燃料#2 の Trace Knock 点が燃料#5 に対して相対的 に遅角していく傾向が明らかである. また,燃料#2 の過給条件のみ,主燃焼の前に熱発生が認め られ,燃焼解析より想定される温度帯から,低温酸化反応に よる発熱と考えられる.燃料#2 は燃料#5 に比して MON が高 いにも関わらず,低温酸化反応による発熱を伴ってアンチノ ック性が相対的に低い結果となっており,本条件においてノ ック特性はMON に対する負の依存性を示している.

4 に,全燃料の Trace Knock 点 CA50 を RON・MON のマ ップ上にプロットした結果を示す.自然吸気条件においては, 等Trace Knock 線がほぼ RON 軸と直行しており,ノック特性RON 依存性が極めて高い一方,MON 依存性は極めて低い ことが確認された.過給条件においては,等Trace Knock 線の 傾きは強くなり,RON に対する正の依存性と同時に MON に 対する負の依存性が強くなる傾向が確認された. 4.2 K Value による整理 ノッキング特性に対するRON および MON の寄与度変化に ついては,Kalghatgi らが式(1)~(3)に示す線形的な定義 式に基づく表現手法を提唱している(9)(10). ここでOI(Octane Index)とは,供試燃料の当該運転条件に おけるノッキング特性と等しいノッキング特性を持つPRF 燃 料のオクタン価と定義される.式(1)における K(K Value)は, 実際のノッキング特性としての Octane Index を供試燃料の RON および MON で表現する場合の寄与度割合を示している. S(Sensitivity)は,式(2)の通り,各燃料の RON・MON 差を 示しており,式(3)のように変形して,K Value をノッキング特 性に及ぼすSensitivity の寄与度と理解することもできる.

MON

K

RON

K

OI

(

1

)

( 1 )

MON

RON

S

(2)

S

K

RON

OI

(3) 本研究で得られた実験結果に基づき,各運転条件における K Value を算出した結果を図 5 に示す.低回転ほど,また,過 給圧が高い高IMEP 条件ほど,K Value が負の方向に大きくな ることが分かる.すなわち,低回転・過給高負荷ほど,燃料 のSensitivity 影響は顕著となり,その方向は MON が高いほど ノッキングが悪化する,負の依存性を示している. Fig. 3 Heat Release Profile Comparison (Fuel #02& #05)

(a) 1200rpm, Boost Pres. = 0.0 bar (b) 2000rpm, Boost Pres. = 0.0 bar

(c) 1200rpm, Boost Pres. = 0.4 bar (d) 2000rpm, Boost Pres. = 0.4 bar Fig. 4 Knock limited CA50 on RON / MON Map at Each Operating Condition

4.3 負の MON 感度についての考察 図6 に,素反応計算を用いて異なる過給圧(同一点火時期) における圧力履歴に従って圧縮された場合の混合気の温度お よび熱発生履歴を示す.計算上の燃料組成には,燃料#5 の組 成そのもの(TRF 燃料)を用いた.過給圧増加に伴って低温 酸化反応の発生時期が進角し,発熱量と混合気温度上昇も増 加していることが分かる. 図7 には,燃料#2(RON=99.9,MON=99.8)および燃料#5RON=99.5,MON=88.2)について,RON・MON 計測条件 を含む各運転条件でのOctane Index,ならびに,中間指標とし て,燃料#5 を模擬した素反応計算で取得した低温酸化反応に よる混合気温度上昇(⊿T by LTO)を示す. 2 つの燃料は,低温酸化反応影響のある RON 計測条件にお いては自己着火性が等しいが,低温酸化反応影響が小さい MON 計測条件においては自己着火性が異なる.低 MON の燃 料#5 は,高 MON の燃料#2 に比べて,相対的に高温酸化反応 を起こしやすく,低温酸化反応を起こしにくい燃料であり, RON 計測条件ではそれらがバランスして自己着火性が等しく なった,と推察できる(16).従って,RON 計測条件よりも低温 酸化反応影響が大きくなる運転条件においては,低温酸化反 応を起こしにくい低MON 燃料の方が自己着火しにくくなり,

Octane Index が高くなる(K Value が負になる)と考えられる.

8 に,素反応計算で取得した燃料#5・ストイキ混合気の 着火遅れマップ,および,各条件での温度圧力履歴を示す. 本研究で評価した過給条件において,混合気は RON 計測条 件に近い低温領域,かつ,高圧側を推移している.過給によ る酸素密度の増大に伴って低温酸化反応が活性となることか ら,先述のメカニズムによって,過給条件ほどK Value が負の 方向に大きくなったと考えられる. 4.4 エタノール含有燃料でのノッキング特性 図9 に,エタノール含有燃料のノッキング特性を,非含有 燃料で取得したK Value に基づく Octane Index と,実験で取得 したTrace Knock 点 CA50 との関係で示す.エタノール含有燃 料においても,非含有燃料と同じK Value でノッキング特性が 概ね整理されることが確認された. エタノール含有燃料の混合気自己着火性については,物理 的影響として気化潜熱が大きいこと,化学的影響として OH ラジカルの消費によって他燃料の連鎖分岐を抑制し,アルデ ヒド類を生成すること,が知られている(17).本研究では,物 理的影響がポート噴射の使用により排除され,化学的影響に ついては計測されたRON・MON の値にて考慮されているも のと考えられる.ポート噴射で運転する限りにおいて,エタ ノールの含有・非含有によらず,RON・MON と K Value を用 いたノッキング特性の整理が有効であることが示された.

Fig. 8 Ignition Delay and In-cylinder P & T History Fig. 7 OI and ⊿T by LTO for Each Operating Condition (RON / MON Test and Boost Pres. Variation at 1200 rpm) (a) Temperature Profile of Mixture

(b) Heat Release Profile of Mixture

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Vol.46,No.6,November 2015.

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Fig. 5 K Values as a Function of IMEP for Each Setting

Boost pres. Effect Engine speed Effect

3 には,過給圧による燃料ごとのノック特性変化の典型 的な例として,ほぼ等しいRON と異なる MON の特性を持つ 燃料#2(RON=99.9,MON=99.8)および燃料#5(RON=99.5, MON=88.2)の熱発生履歴を示す.自然吸気条件においては, 2 つの燃料の Trace Knock 点は概ね同じであるが,過給圧の増 大に伴って燃料#2 の Trace Knock 点が燃料#5 に対して相対的 に遅角していく傾向が明らかである. また,燃料#2 の過給条件のみ,主燃焼の前に熱発生が認め られ,燃焼解析より想定される温度帯から,低温酸化反応に よる発熱と考えられる.燃料#2 は燃料#5 に比して MON が高 いにも関わらず,低温酸化反応による発熱を伴ってアンチノ ック性が相対的に低い結果となっており,本条件においてノ ック特性はMON に対する負の依存性を示している.

4 に,全燃料の Trace Knock 点 CA50 を RON・MON のマ ップ上にプロットした結果を示す.自然吸気条件においては, 等Trace Knock 線がほぼ RON 軸と直行しており,ノック特性RON 依存性が極めて高い一方,MON 依存性は極めて低い ことが確認された.過給条件においては,等Trace Knock 線の 傾きは強くなり,RON に対する正の依存性と同時に MON に 対する負の依存性が強くなる傾向が確認された. 4.2 K Value による整理 ノッキング特性に対するRON および MON の寄与度変化に ついては,Kalghatgi らが式(1)~(3)に示す線形的な定義 式に基づく表現手法を提唱している(9)(10). ここでOI(Octane Index)とは,供試燃料の当該運転条件に おけるノッキング特性と等しいノッキング特性を持つPRF 燃 料のオクタン価と定義される.式(1)における K(K Value)は, 実際のノッキング特性としての Octane Index を供試燃料の RON および MON で表現する場合の寄与度割合を示している. S(Sensitivity)は,式(2)の通り,各燃料の RON・MON 差を 示しており,式(3)のように変形して,K Value をノッキング特 性に及ぼすSensitivity の寄与度と理解することもできる.

MON

K

RON

K

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(

1

)

( 1 )

MON

RON

S

(2)

S

K

RON

OI

(3) 本研究で得られた実験結果に基づき,各運転条件における K Value を算出した結果を図 5 に示す.低回転ほど,また,過 給圧が高い高IMEP 条件ほど,K Value が負の方向に大きくな ることが分かる.すなわち,低回転・過給高負荷ほど,燃料 のSensitivity 影響は顕著となり,その方向は MON が高いほど ノッキングが悪化する,負の依存性を示している. Fig. 3 Heat Release Profile Comparison (Fuel #02& #05)

(a) 1200rpm, Boost Pres. = 0.0 bar (b) 2000rpm, Boost Pres. = 0.0 bar

(c) 1200rpm, Boost Pres. = 0.4 bar (d) 2000rpm, Boost Pres. = 0.4 bar Fig. 4 Knock limited CA50 on RON / MON Map at Each Operating Condition

4.3 負の MON 感度についての考察 図6 に,素反応計算を用いて異なる過給圧(同一点火時期) における圧力履歴に従って圧縮された場合の混合気の温度お よび熱発生履歴を示す.計算上の燃料組成には,燃料#5 の組 成そのもの(TRF 燃料)を用いた.過給圧増加に伴って低温 酸化反応の発生時期が進角し,発熱量と混合気温度上昇も増 加していることが分かる. 図7 には,燃料#2(RON=99.9,MON=99.8)および燃料#5RON=99.5,MON=88.2)について,RON・MON 計測条件 を含む各運転条件でのOctane Index,ならびに,中間指標とし て,燃料#5 を模擬した素反応計算で取得した低温酸化反応に よる混合気温度上昇(⊿T by LTO)を示す. 2 つの燃料は,低温酸化反応影響のある RON 計測条件にお いては自己着火性が等しいが,低温酸化反応影響が小さい MON 計測条件においては自己着火性が異なる.低 MON の燃 料#5 は,高 MON の燃料#2 に比べて,相対的に高温酸化反応 を起こしやすく,低温酸化反応を起こしにくい燃料であり, RON 計測条件ではそれらがバランスして自己着火性が等しく なった,と推察できる(16).従って,RON 計測条件よりも低温 酸化反応影響が大きくなる運転条件においては,低温酸化反 応を起こしにくい低MON 燃料の方が自己着火しにくくなり,

Octane Index が高くなる(K Value が負になる)と考えられる.

8 に,素反応計算で取得した燃料#5・ストイキ混合気の 着火遅れマップ,および,各条件での温度圧力履歴を示す. 本研究で評価した過給条件において,混合気は RON 計測条 件に近い低温領域,かつ,高圧側を推移している.過給によ る酸素密度の増大に伴って低温酸化反応が活性となることか ら,先述のメカニズムによって,過給条件ほどK Value が負の 方向に大きくなったと考えられる. 4.4 エタノール含有燃料でのノッキング特性 図9 に,エタノール含有燃料のノッキング特性を,非含有 燃料で取得したK Value に基づく Octane Index と,実験で取得 したTrace Knock 点 CA50 との関係で示す.エタノール含有燃 料においても,非含有燃料と同じK Value でノッキング特性が 概ね整理されることが確認された. エタノール含有燃料の混合気自己着火性については,物理 的影響として気化潜熱が大きいこと,化学的影響として OH ラジカルの消費によって他燃料の連鎖分岐を抑制し,アルデ ヒド類を生成すること,が知られている(17).本研究では,物 理的影響がポート噴射の使用により排除され,化学的影響に ついては計測されたRON・MON の値にて考慮されているも のと考えられる.ポート噴射で運転する限りにおいて,エタ ノールの含有・非含有によらず,RON・MON と K Value を用 いたノッキング特性の整理が有効であることが示された.

Fig. 8 Ignition Delay and In-cylinder P & T History Fig. 7 OI and ⊿T by LTO for Each Operating Condition (RON / MON Test and Boost Pres. Variation at 1200 rpm) (a) Temperature Profile of Mixture

(b) Heat Release Profile of Mixture

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自動車技術会論文集 5.結 論 本研究では,過給エンジンの低速過給高負荷におけるノッ キング特性について理解を深めるため,RON および MON 特 性の異なる燃料群を用いて,単気筒エンジンでのノッキング 性能評価を実施した.実験結果,および,素反応計算を用い た解析によって,以下の知見を得た. (1) 低速過給高負荷におけるノッキング特性は,RON・MON 双方の影響を受け,RON に対して正の感度を持つ一方, MON に対しては負の感度を持つ. (2) エタノール燃料であっても,ポート噴射による燃料供給を 用いる限りにおいて,ノッキング特性は通常燃料と同様に RON・MON によって説明され,過給域での挙動も共通である. (3) 低速過給高負荷における RON・MON に対するノッキング 特性,すなわちK Value の変化は,実時間と酸素密度の増大に 伴って,低温酸化反応が他の条件に比して相対的に促進され ることによる. (4) K value とは,運転条件によって変化する,混合気自己着火 に対する低温酸化反応の寄与度を,RON と MON の 2 つのオ クタン価試験法をリファレンスとして相対的に示す指標であ る,と解釈できる. 今後,ダウンサイジング率の向上に伴って,高 RON・低 MON 燃料のさらなる燃費優位性が予想される.また,低温酸 化反応影響の抑制が,過給ダウンサイジングエンジンのノッ キング改善のために重要であると考えられる. 参 考 文 献

(1)Curry, S.: A Three-Dimensional Study of Flame Propagation in a Spark Ignition Engine, SAE Paper 630487 (1963).

(2)Maly, R. et al.: Thermal Combustion Modeling - Theoretical and Experimental Investigation of the Knocking Process, SAE Paper 820759 (1982).

(3)Nakajima, Y. et al.: Analysis of Combustion Patterns Effective in Improving Anti-Knock Performance of a Spark-Ignition Engine, JSAE Review, Vol.13, p.9-17 (1984).

(4)Nakagawa, Y. et al: Laser Shadowgraphic Analysis of Knocking in S.I. Engine, SAE Paper 845001 (1984).

(5)Spicher, U. et al.: Detection of Flame Propagation During Knocking Combustion by Optical Fiber Diagnostics, SAE Paper 861532 (1986).

(6)Curran, H. J. et al.:A Comprehensive Modeling Study of iso-Octane Oxidation, Combustion and Flame, Vol.129, p.253-280 (2002).

(7)Noda, T. et al.: Development of Transient Knock Prediction Technique by Using a Zero-Dimensional Knocking Simulation with Chemical Kinetics, SAE Paper 2004-01-0618 (2004).

(8)Leppard, W.: The Chemical Origin of Fuel Octane Sensitivity, SAE Paper 902137 (1990).

(9)Kalghatgi, G.: Fuel Anti-Knock Quality - Part I. Engine Studies, SAE Paper 2001-01-3584 (2001).

(10)Kalghatgi, G.: Fuel Anti-Knock Quality- Part II. Vehicle Studies - How Relevant is Motor Octane Number (MON) in Modern Engines?, SAE Paper 2001-01-3585 (2001).

(11)Mittal, V. et al.: The Relevance of Fuel RON and MON to Knock Onset in Modern SI Engines, SAE Paper 2008-01-2414 (2008).

(12)Amer, A. et al.: Fuel Effects on Knock in a Highly Boosted Direct Injection Spark Ignition Engine, SAE Int. J. Fuels Lubr. Vol. 5, No.3, p.1048-1065 (2012).

(13)ReactionDesign: CHEMKIN, Reaction Design,

http://www.reactiondesign.com/products/chemkin/ , (参照2015.7.9)

(14)Golovichev, V.: Mechanism for gasoline surrogate (in Chemkin-2 format), Dr. Valeri Golovichev’s Home Page, http://www.tfd.chalmers.se/~valeri/MECH.html, (参照2005.2.2)

(15)浜本 嘉輔ほか: レーザ干渉法によるノッキング発生時の

未燃焼混合気温度の計測,日本機械学会論文集(B 編),

Vol.60(573), p.1833-1837 (1994).

(16)Shibata, G. et al.: Auto-Ignition Characteristics of Hydrocarbons and Development of HCCI Fuel Index, SAE Paper 2007-01-0220 (2007).

(17) Nakama, K. et al.: Effect of Ethanol on Knock in Spark Ignition Gasoline Engines, SAE Int. J. Engines Vol.1, No.1, p.1366-1380(2009).

(a) 1200rpm, Boost Pres. = 0.0/0.4 bar, Retarded IVC

(b) 2000rpm, Boost Pres. = 0.0/0.4 bar, Retarded IVC Fig. 9 Correlation between Octane Index and Knock limited CA50 with both Ethanol/non-Ethanol Fuels

ダウンサイジング自動変速機用高耐久ピニオンシャフトの開発

姜 旻佑1)

Development of High Durability Pinion-Shaft for Downsized Auto-Transmission

Minwoo Kang

The development of the material for pinion shaft in planetary gear set was performed to solve the durability problem of downsized

auto-transmission. Resistance to softening of pinion shaft in hot environment was increased by adding Si and resistance to crack initiation due to dent was increased by adding Mn. As a result of this study, thrust rolling contact fatigue specimen with developed material showed increasing fatigue life and there was no flaking on the surface of pinion shaft after transmission durability test.

KEY WORDS: Power Transmission, Auto-Transmission, Planetary Gear, Pinion shaft, Bearing material, Flaking (A2) 1.ま え が き 車の燃費は車の開発および販売において大事な要素であり, そのためパワートレン,特に自動変速機では変速段の増加, ダウンサイジング,オイルの低粘度化などの方向に開発が進 んでいる.こんな開発状況に従って実際に変速機部品も小型 化および部品に加わる負荷(許容トルク)が増加されている. このように要求される変速機部品の特性を満たすために以 下の二つの方案が考えられる。一つ目は,設計的な形状補強 による耐久性の向上である.しかし,車に装着できる変速機 サイズの限界,素材費用および重量増加の側面から望ましく ない.二つ目は,設計形状を維持しながら既存素材より耐久 性が高い素材の適用又は熱処理を活用した補強がある.この 方案の場合は部品のサイズと重量の増加なく耐久性向上がで きる利点があるが,素材と熱処理費用増加の懸念がある. そこで,著者らは排気量2000cc 級車用ダウンサイジング変 速機開発において耐久性の向上が要求された遊星ギヤ用ピニ オンシャフトを対象に素材開発を行い,その内容を本論文を 通して紹介する. 2.自動変速機遊星ギヤセット用ピニオンシャフト 2.1. ピニオンシャフトの構造及び要求特性 一般的に自動変速機は2~4個の遊星ギヤ装置を使い変速お よび動力伝達を行っている.遊星ギヤ装置は図1のように大 きく三つのギヤ,サンギヤ(Sun Gear),ピニオンギヤ(Pinion *2015 年 5 月 22 日受理. 2015 年 5 月 22 日自動車技術会春季 学術講演会において発表.

1) Hyundai Motor Company, R&D Division

(150, HyundaiYeonguso-ro, Hwaseong-si, Gyengggi-do, 18280, KOREA) Gear,遊星ギヤ),アニュラスギヤ(Annulus Gear)に構成されて いる.この遊星装置はサンギヤと同芯に配置されているアニ ュラスギヤ,サンギヤ-アニュラスギヤの間でサンギヤを公 転するピニオンギヤ,ピニオンギヤの回転を支持するキャリ アー(Carrier)に構成される。また,ピニオンギヤの中心部には ピニオンシャフトが挿入され,キャリアーと結合されている. ピニオンギヤとピニオンシャフト間にはニードルベアリング が設置されている.

Fig.1 Planetary gear set (www.carbilbles.com)

Fig. 2 Pinion Shaft

Table 1 Specification of Single Cylinder Engine  Engine Specification  [-]  Single Cylinder Engine
Table 1 Specification of Single Cylinder Engine  Engine Specification  [-]  Single Cylinder Engine
図 3 には,過給圧による燃料ごとのノック特性変化の典型 的な例として,ほぼ等しい RON と異なる MON の特性を持つ 燃料 #2(RON=99.9,MON=99.8)および燃料#5(RON=99.5, MON=88.2)の熱発生履歴を示す.自然吸気条件においては, 2 つの燃料の Trace Knock 点は概ね同じであるが,過給圧の増 大に伴って燃料 #2 の Trace Knock 点が燃料#5 に対して相対的 に遅角していく傾向が明らかである. また,燃料 #2 の過給条件のみ,主燃焼の前に熱発
図 4 に,全燃料の Trace Knock 点 CA50 を RON・MON のマ ップ上にプロットした結果を示す.自然吸気条件においては, 等 Trace Knock 線がほぼ RON 軸と直行しており,ノック特性 の RON 依存性が極めて高い一方,MON 依存性は極めて低い ことが確認された.過給条件においては,等 Trace Knock 線の 傾きは強くなり, RON に対する正の依存性と同時に MON に 対する負の依存性が強くなる傾向が確認された. 4.2  K Value による整理
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参照

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