【論 文】
UDC :624
.
011 :624.
072.
31日本 建築 学 会 構 造 系 論 文報 告 集 第410号
・
1990年 4 月Journal
of Struct.
Consti.
Engng,
AIJ,
No.
410,
April,
lggO貫 通仕
口 に
よ る
木 造
ラ
ー
メ
ン
(
大黒 柱
)構造
の
研 究
その
3
実 用
設計計算法
の提案
RESEARCH
ON
THE
WOODEN
SEMI
−
RIGID
FRAME
(
NUKI
−
STRUCTURE
)
No
.
3
立 川
剛
*,後 藤
一
雄
* *Tsu
ツoshiTACH
刀ζンI
WA
andKazuo
GO7
「OH
This
paper proposes a simpledesign
systemfor
wooden semi rigid structures,
“
NUKI ”
struc−
tures
.
Ihs easy for us to compute thefloor
displacement
with the rigidity of‘
‘
SHIGUCHI ”
joints
,
The
contents of this paper are asfollows
;1
.
Introduction
.
2
.
Outlines
Qf experimental resarch on wooden spec 重mens subjected to partiallateral
pressure.
3.
Outlines
of theoretic resarchby
using two−dimensional
finite
element method.
4
.
ComparisoIls between experimental results and numerical ones.
5
.
PropQsitions
of the approximate values ofYoung’
s modulus E柑 in case of wooden speci.
mens subjected to partial
lateral
pressure.
他 〃脚 冠8 :
tVbaden
F厂召 耀,
Se〃li 1〜igid・
Joint, 飭 oプPゆ’α‘ement ・du厂ing Ea厂吻uake
L
序 前 報まで に,
大 黒 柱 構 造 〔貫構造 )の地震 時の水 平 変 位な どの 挙 動は, 6.
で設計式を提 案する ように, 仕口 の変形 性 状によっ て, ほ ぼ, 決定さ れ ることを 著 者の 1 人 は示して きた1 )−
S )。
そ して,
仕口 の変 形 性 状 を明 ら か にする に は,
部 分 横 圧縮を受け る場 合の木 材の変 形 性 状, あ るい はヤング係 数 を定量化す るこ と が必 要である。
従 来の研 究で は,
部 分 横 圧 縮 を受け る木材の強 度に関し て,
あ るいは,
全 面 横 圧 縮 を受ける木材の変形 性 状に関し て 為さ れて いる が4),
こ こで必要と す る内 容と して は,
十 分 と はいえ ない。
そこで,
本 論 文に お い て は, まず,
木 材の部 分横 圧 縮 実験を行い,
実 験か ら得ら れ た変形性 状と,
数 値モ デル 化し た試 験 体に対して有 限 要 素 法 を適 用し,
得ら れ た変 形性 状との比 較 検 討 を行う。
その結果が満 足 すべ きもの で あ れば,
部 分 横 圧 縮の場 合の パラ メー
タの種々 の組み 合わ せ に対して,
ヤング係 数E
κを,
有限 要 素 法 を用い て 計算し,
それら の結 果 を整理 し て,E
,の簡 易 推 定 式 を算 出し よ う と す る もの である。
こ こで,
E
”は部分横圧縮 試 験から得ら れ るヤン グ係 数を意 味し て お り,
全 面 横 圧縮試 験 から得ら れ るヤン グ 係 数 E⊥
と区 別し て使 用する。
想 定 し う る部分横圧縮のす べ て の場 合を網羅し た実 験 を行うの は,
研 究 費の面か ら困難で ある こと か ら,
有 限 要素法に よ る数値実験を採 用 すること とし た。
2.
部 分 横圧縮 実 験の概 要 試 験 体 用 木 材の種 類は,
安 価で 入手し や す く,
柱・
梁 な ど の建築 構造 用 材 料に も使 用さ れて いるベ イツガ とし た。
計 測 し た平 均 含 水 率は 7.
28%, 比 重の 平 均 値は 0.
489/cm3 で あ る。 試 験 体は 2方 柾 材であり, 無欠 点材 を 用いた。
繊 維は まっ す ぐ通っ てお り,
年 輪 間 隔の平 均 値は,
5.
5本 /cm で あっ た。
板 目 面・
柾目面・
小口面と も平 滑に仕.
ヒ げ た。今回は
,
木材の基 本 的特 性 を調べ る ことを目的と する た め,
種々 の 木 材が 混 入し た形の集 成 材を用いず,
単・
一
・
材を試 験体と し た。2.
1
使用機器 類 試 験には,
以下に述べ る機 器 を用いた。 a.
100t
引 張 試 験 機ア ム ス ラー
式 竪 型10t
に設 定 (前川試験機製 作 所 )b.
ダイ ヤルゲー
ジ ス トロー
ク O−
20 mm DT−
20D (共 和 電業 ) c.
ロー
ドセ ル セ ンター
ホー
ル型 (5t,
10 t) 使 用d.
ワイヤー
ス トレインゲー
ジ (共 和電 業) ’ 名城 大学 教授・
工博 榊 東京工業 大学 名 誉 教 授・
工博 S.
W.
F.
研 究 会 会 長Professor of Meijo Univ
.
,
Emeritus Prof
.
of Tokyo Institute o{Technologye
.
テム エ ル 皿 歪 測 定 器TDS −256
DC
スイッチ ボ ッ クスASW −324
デ ジ タル プリンタDP
ユ2−02
f.
ス トップ ウォ ッチ 9,
圧 縮 用 鋼 材 ブロ ッ ク (載荷 板 ) 2.
2 試 験 体につ い て 試 験 体 寸 法は,
厚さ tを 4cm で一
定と した。
基本と なる試 験 体の大き さ は,4
種 類あ り, 表一
1に は , 試 験 体の個 数を,
試験 体の高さh
と,2.
3
で述べ る載 荷 板 幅 α との組み合わ せにおい て表示 して お く。 記号につ い て は図一
1参 照。 な お,
試 験 体は2
方柾 材で あ り, 樹 皮に 近い板目側を 上に し て反 力台に セ ッ ト し加 力し た。
2.
3 載 荷 板の寸 法につ い て 同じ寸 法の試 験 体に対して,
異な る載荷 面積で力を加 え た時の変 化 を測 定する ため,
4枚の異な る大き さの載 荷 板 を用 意し た。
幅 a× 厚さb
は次の と お りである。
40.
OmmX25.
Omm 60.
Omm ×25.
Omm80.
OmmX25 .
Omm l19.
4mm ×25.
Omm 載 荷 板の幅 α は,
図一
1を参 照の こと。
2.
4
試 験 体 番 号につ い て 例えば,
試 験 体No .
8−
4は,
試 験 体の高さ ん が8cm
で あ り,
載 荷 板の幅 α が 4cm を表し て い る。2.5
試 験装置の設 置 法 図一
2に,
試 験の概 要 図 を示 す。 試 験 機に ロー
ドセル,
円 盤,
試 験 体, 載 荷 板の順に下か ら載せ て セッ トし た。
表一
1 横圧 縮 試 験 体の個 数 載 荷 幅 (a ) 4c陽 6cロ 8c皿 12c皿口
言 4c 皿 3個 3姻 6c口 3 3 試 料 高 (h) 8c皿 433212 10cロ 332311 合 計 13個 65529 個 ar 一「
」
L
。!
mu
74h
図一
1 試 験 体 と載 荷 板の寸 法 ダ イヤル ゲー
ジ は,
試験機 本体に直接セッ トす る。
ワイ ヤス トレインゲー
ジ は 試験 体に接 着 し た。
図一
3に,
ス トレインゲー
ジの配 置図 を示す。
2,
6 試 験 方 法 試 験 機の ゲー
ジの 目盛 りを 基準と し,
ロー
ドセルに よ る荷 重,
ダ イ ヤルゲー
ジによ る歪,
ワイヤス トレインゲー
ジに よる歪 をほ ぼ等 間 隔に測定し,
ダ イヤ ルゲー
ジの読 み で試 験 体 辺 長の 5%の 長 さ を 超え る まで行っ た。
ま た,
加 圧さ れ た時 点か ら最 大 荷 重まで の時間 をス トップ ウ オッチで計り,
載荷速 度を算 出し た。
端子の数 が多い た め, 測 定に 時 間が か か り,
Jls
z
2111
に示 さ れ る平 均 荷 重 速 度は守れず,
極めて遅い速 度で行っ た。
荷重 速 度1°〕の違い に関 する補正 は参 考文 献11) の 図2−12
を用い て行っ た。
載 荷 板 試 験 体 円 盤 イ ヤ ル ゲ。
ジ1
ロー
ドー
セ ル 図一
2 部 分 横 圧 縮 試 験 概 要 図 載 荷 板 ス トレインゲー
ジ 試 験 体τ
hL
A BC D E 図一
3 ス トレインゲー
ジ配置図1
−%
刷
載 荷 板 △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ 図一
4 数 値解 析モデルの メッ シュ割り 4 司 q44444 ぐ3.
有限要 素 法の概要平面応力 問 題5)
・
ti)に対す る 有限 要 素 法の プロ グラム を 使用し た。 木材は,
本 来,
異 方性 材 料であるが, こ の 報 告で は, 簡単の た め, 等 方性 材 料 と 仮 定す る。試 験 体は左 右 対 称であ る た め
,
試 験 体の対称軸か ら,
左半分を図一
4に示 す よ うに,
数 値モ デ ル化 して解 析し た。
境 界 条 件は,
対 称 軸に おいて はロー
ラー
支 持, 試 験 機の台と接 触 する部 分において はピン支持と し た。
荷重に関する境 界 条 件と し て
,
載荷板 下の部 分に は,
単 位 長 (1cm )の上 下 変位を加えて,
数 値 解 析 を行っ た。 次に,
こ の載 荷 板 位 置に生 ずる数値モ デル の反 力の 合計 が実 験 時に与えた載 荷 荷 重に等し く な る ように比 例計算 し,
上下 変 位を算 出し た。
反力を載 荷 面 積で除し て応力 度 σ を求め た。ボア ソ ン比の値は
,
『木 材の部分横圧縮 強 度 」で使用 さ れて い る0.
008 な る値4〕 と し, ま た,
全 面 横 圧 縮の場 合の ベ イツガのヤング係 数は,
公称 値3
tonf/cm2 を採用 し た。
解 析する モデル に適す る要素分 割 数 を決め る た め に
,
分 割 を徐々 に細か く し て,
数 値解の収 束 性 を検 討 し た。
載 荷 板の沈下 量 と その時の数 値モ デル の節点数の関 係 を 爪 した のが 図一
5であ る。 モ デル と して, 今回 の実 験に お け る高さ が最 小と最大の試 験 体である 4 シ リー
ズ と 10シ リー
ズか ら,
4−
4と 10−
4 を選ん だ。
同図 か ら,
載 荷 点で の変 形量は, 節点数が 100以 上 あ れ ば, 数値 実験 の試験体 4−
4では150節 点 数に対して 99.
07%,
試験体 10−
4で は 300節 点 数に対 して97.
38% に達してい る。 この ため, 節 点 数と し て,100
程 度 あれ ば, 分割 数と し て精 度 上, 問 題は ない と判断した。
写 真一
1は,
試 験 体 の変 形 状 態を 示 してお り,
図一
6は, 有限要 素法に よる 試 験 体の変 形状態 を示して いる。ただ し, 数 値 解析用の 電 算 機とし て
,
名 城 大 学理 工学 部 建 築 学 科に設 置 さ れ たスー
パー
ミニ コ ンMELCOM
70/250を使 用 し た。
4
.
数値解析例と実験結果 との比 較 4,
1 歪度分 布の比較図
一
7に試 験体No .
10−
8の結 果 を示す。
A 〜E
断 面に おける載 荷 板か らの距離と歪 度 分 布の関係であ る。
図 中 の 『試 験 』は試 験 結果,
『FEM 』は有 限要素法の結 果 を示し てい る。
こ の歪度 分 布におい て, 載荷板外 部のE
断 面の全 域, 同 じ くD断 面の載 荷 板か らの距 離 が小なる 部 分,
載 荷 板の端部に あ たり応 力 集 中のあ るC
断 面の載 荷板か らの距 離が小な る部 分で は,
両 曲線は 比較的 良い一
致 を示して いる 。 しか し な が ら, 載 荷 板の 下にあた る A とB
断 面の全域,
C とD断 面で は載荷板か らの距 離 が 大と な る につ れて,
両 曲線の差は大きい。 こ の原 因は以 下 と考え られる。
木材に は年 輪が成 層 状に配置されて お り
,
部 分 横 圧 縮 の場合, 載荷 板 下の試験 体は載 荷 板 下以外か ら年 輪に よ り繊 維 方 向につ り上 げら れ た状 態にあ る。
そ の た め, 歪2
ー
位 勣 獅 変 匝 teo 10−
4 0下
hI
⊥
ド
%
「
100 鰤 300 節 点 数 【 図一
6 有限要 素法によ る試 験 体の変 形 状 態 図一
5 節点 数 と数 値解の収 束 性 写 真一
1 試 験 体の変 形 状 態 歪 度楽
O 離 距 の 蟻 力 板 荷 歪 度 0 歪 度 B 断 面 歪 度 歪 D断 面 度 FEM 。愉
。 戟荷 板 か らの距離 0 穀 荷 板 か ら の 距 離 E断 面為
離 距 の ら か 板 荷 C 断面醤
・ 戟 荷 板 か らの距 離 図一
7 各 断 面におけ る歪 度分 布 (ん一
4cm の場 合 )一
21
一
度は
,
載 荷 板直下で大きいが,
載 荷板か らの距 離 が 大 と な る につ れて減少す る と考え ら れ る。一
方, 今 回の FEM モ デルは等質 等 方 体であ り,
歪度の深さ方 向の分 布は一
様に近いのであ る。
4.
2 変 位 分布の比較 上 述の歪 分 布 曲 線を積分 し た 物 理 量である変 形に対し て,
載 荷 板か ら同一
距 離にあ る点の値 を結ん だ変 形 分 布 曲線が,
図一
8〜
図一
10であ る。
図一8
は試 験 体No .
8−
4,
図一
9は No.
8−
8,
図一
10はNo ,
8−
12 にそれぞれ対 応 す る。
図の右 側は実 験 値,
左側は有限要素法による数 値 解 で ある。
局 所 的な乱れ を除けば, 良い一
致 を示して いる とい えよ う。
4.
3 ヤング係tw
E
.の比較 表一
2に は,
部 分横圧縮試 験に よ るヤング係 数 E“の 平均 値を示す。 また,
表一
3に は, 有限要 素 法か ら得ら れ たE
.を示 す。
表一
3か ら,
載荷板幅 α を一
定 とし た 8−
4 有 限 要素法 500k9 実 験 h 8−
8 有 限 要素法 EDCBABCDE 図一8
変 形 分 布の比 較 1000k9 実 験 h EDCB A BCDE 図一
9 変 形 分 布の比 較 8−
12 有區艮要素 法1500kg
実
験 h EDC B A B CDE 図
一
10 変形分 布の比 較 場 合に は, 試 験 体の 高さh
が大きい程 E 甘は大き く, ま た試 験 体 高さh
を一
定と し た場 合に は,
載 荷 板 幅α が 大き い ほ ど E,は小さ く な る傾 向 を 示している。…
方,
実 験 値に対す る表一
2のE
”に も, こ の傾 向は読み取れ ない でもないが,
実験 的な誤 差も加わっ て い るのか デー
タ に バ ラ ツキ が見ら れ る。
ま た, 試 験 体 高さh
が大と なる ほ ど,
2種 類のE
.の値は接 近する傾 向が見られる。
これは,h
が大と な る ほど, 年輪の影 響は相 対 的に小さ く な りマ クロ な意味で,FEM
の仮 定である等 質 等 方 体 に近づ く と考え ら れ る。 5.
部 分 横圧縮ヤ ング係 数E
”の簡 易 推 定 式につ いて 部 分横圧縮を受け る木材の ヤング係 数E。 と,
試 験 体 の高 さh
および載 荷 幅a の関係を, 最小 自乗 法に よ り,
回帰 直 線の形で求め た。 回帰式 を 以 下に示 す。
E.=一
(0.
43710gh−
O.
032
)log
α 十 〇.
93109h 十〇.
165 ・
………
…・
…
(1 ) こ こ で, 対 数の底は10,
す な わ ち, 常用対 数で あるeh をパ ラメー
タ に し て,
横軸 αと縦軸E 。
との関 係 を,
両 対 数の グ ラフ に示したの が図一11
である。
表一
2 ヤング係 数E,〔t/cm2 )の平 均 値 (実 験 値) 載 荷 幅 (a ) 試 料 高 h (4c
皿6cm8c
皿12
α14cm6
.
52鹽
「
.
.
■
廟
幽
鹽
.
,
r7
.
鹽
圏
r’
r
6c
皿 5.
37.
.
.
・
.
,
「
77
レ
8cm6.
579.
448.
685
.
91
10c皿6.
805
。
936
.
463
.
37
表一
3 ヤング係 数EH
〔t〆cm2 )(有限要素法による計 算 値) 載 荷 帽 (a ) 試 料 高 h ( 4c皿 6c皿 8c毋 12c皿 4c皿 4.
782r卜
齟
」
6c皿5.
722
.
脚
鹽
.
8c皿 5.
3676,
3674,
7674.
278 10c皿 6.
9606.
1985.
2334.
711「
回 % loa50 旬 10532II
[
類
ト並
rL
12351D 2° °° 1°° (Z
〔・m} 図一
11 E.の簡 易 推 定 図試 料 高 h 表
一
4 簡易 推 定 式 E。
〔t/cm2 )の精度 載 荷偲 〔e ) 4c壇 6 8 12 4c■
3.
85〔−
19.
5竃》 6cロ
5.
05〔−
1L7竃) 80囗
6.
12(−
3.
9竃)5.
躡〔−
17ユ紛 4.
76(−
O,
1駕) 4711(−
3.
9瓢1 107
.
IO(や
2.
O竃16.
02〔−
2.
9:) 5.
35〔・
2.
4塞} 4,
55(−
3.
4竕式 (
1
)は,
表一
3に示 す ヤング係 数E
”を, 最 小 自 乗法に よ り,
試験 体 高さh
と載 荷 幅 αの値 を 用い て推 定す る 式であ る。等 質 等 方 体の仮 定の た め限 界はある が,E
”を与え る簡 易 推 定 式と して提 案 する次 第である。
表
一4
に は,
式 (1 )に より与え ら れ る E”の値 と, 表一3
中の有 限 要 素 法で求めた E,に対する誤 差 を% で 示し た。 さ ら に精 度 を上 げるた めに は, 年 輪 を考慮 し た 成層 体の仮 定に基づ く有 限 要 素 法の導 入 と, 重 要な物 理 量である全面 横圧縮ヤング係 数やボア ソ ン比な ど を与え る精 度の高い予 備 実 験 な ど が 必 要であろ う。
上述 し た精 度 向 上の要因の ほ か に,
貫 通 仕口型ラー
メ ン構 造が水 平 力を受け た 場 合の 状態に近い境 界 条 件を 『貫 』に与え る必要が あ る。
『貫』が柱の仕口 によ り加 え られ る境 界 条 件は,3
角形の変位 境界とする方がより 現 実 的と考え られ る。
幅 a の 範 囲に 3角 形の変 位 境界 (変 位の最 大 値は δ)を与え, 反 力の合 計 を求め,
その 値 をαXb の断 面 (b
は試 験体の横 幅 )の中で 3角 形の 応 力 度分布に置換し,
その最大値をσmax と した。
試 験 体 高さを h とすれ ば, こ の場 合の部 分 横 圧 縮 ヤング係 数EH
を次 式で定 義し た。
E.=
σmax’
h
/δ…
t・
・
・
・
・
…
t・
・
tt・
・
t−・
・
t・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(2)さ らに
,
3角 形 境界条 件を試 験 体の片 側に与え る場 合 と両 側に与える場 合の2
種類を考え,
数 値 解析を行い,
最 小 自乗 法を用い て簡易 推 定式を導い た。
試 験 体は2次 元等 質 等 方 弾 性 体と し た。
式 (3)は, 図
一
12 中に示す よ うに,
載 荷 板 下の変 位 境 界を3角 形分布と 仮 定 し た場 合で ある。
E.=一
(0,
36810g h十 〇.
12)log
α 十〇.
98iog
h
十 〇.
446 ・
・
・
・
・
・
・
…
−t・
一・
・
・
・
・
…
(3 )式 (
4
)は,
図一
13中に示す よ うに, 『貫』の上 下に3
角形の変位 境 界 を 仮 定 した場 合である。
E
紺=一
(O.
29910gh 十 〇.
17>且09 α 十 〇.
9610gh 十 〇.
282・
……・
・
……・
……・
(4)6.
貫 通 仕口型 ラー
メ ン構 造の設 計・
計算法の提 案 日本の伝 統 的 構 法は,
初 期に は壁 式に近い もの であっ た が,
工作 技 術の進 歩, 大 開口 に対する要求の た めに,
貫 通 仕口 による ラー
メ ン構 造に移 行し て行っ た。 この構造の長 所は,
L 材が太け れ ば太いだ け必 ず 強く な る。
2.
大 変 大 きいエ ネルギー
吸 収 力 を有す る。 し かも,
降 伏 点 を超えて大 変 形 をし た後に,
さ らに耐 力 を増 大す るとい う優れ た性質があ る7)一
!) 。 3.
降 伏 変 形 をし た後に おいて,
これ を建て起こ して お く と,
徐々 に始 原の状 態に 回復して行く とい う他 構 造に見ら れ ない特異な性 質を有 する1) 。 しか し, こ の構 造には, ま た大き な 短所 もある。
L 材が太 くなると丈 夫にな るの と逆に細くな る と急 速に弱く な る。
2.
水 平 力に対す る変 形剛性が小さ く,
これ は柱 材の 径の 3乗に比 例する から,
少し柱が細くな っ た だけ で急 速に変 形する よ うにな る。 変 形 が 大き く な る と, 建物は その 自重でつ ぶれ る ことにな る。
ま た,
大きい変形の結 果,
梁などが外 れ て崩壊す る危 険を招く。3.
以 上か ら,
柱の太さ は相 当 大きい ことが 必要と なり
,
こ の 際,
柱を貫 通する材のめ り 込み剛性が小さ い と,
この傾 向は助 長 され る。
その た め梁に は ケヤ キの よ う な広葉樹が 必要になる。
4.
これ らか ら,
建築 費は非 常に高 価に な る。
一
方,
近年,
集 成 材・
集 束 材の技 術 が 発 達 し,
ま た,
皿 類
r 巳 「 δ浄 h 鬲 E.5
駒⊃宿 ) 〜oo 100 50 3D魅
「
L・
・
:二_
:ユ δE
、
E20101 532 ’ 235 冊 3° 5° 踟
6
乙(醐 図一
12Eκ
の簡易 推 定 図E
. (tOVc,・
) 20010050OO32iO532皿 類
广一
aτ
σ
.
醢
星
σ
■
6艮
δ=
−
h E梶
δ”
「
丁 ト よ δ導
1
F
晒 a−
4 2 3 5 10 20 30 50 1QQ渓
岡 図一
13 E.の簡 易 推 定図一 23 一
M 一
ー
上
Q M 図一
14 貫 通 仕口の模 式 図 。。
1
。、1
。 ・1
・・!
.
■
r 「 Md 「 lMd一
ー け 夢 「 厂 ’ F , 1 1/1 Md Md 1/120 H・
Q=
ΣM=
Ma 十2Mb 十Me 十8Md 図一
15 木造ラー
メ ン の構造例 堅 木に代わ る強 化木材がで きるよ うに なっ た ことか ら,
こ の構 法は実 用の域に達するよ うに な っ た。暉
また,
こ の大径材に よ る構 造は木 造 建 築を高い耐 火 構 造とな し得る の で,
こ の構法を再び見 直すべ き時が至っ たもの と思わ れ る。 こ の構法の構造 計算は,
節 点に回転 変 形 を生じ る半 固 定 節 点ラー
メ ンの計 算と な る。
この計 算 法につ い て は,
著 者の 1人z}・
3〕と武 藤 博士 が式を 呈示してい る。
こ れ は,
な か な か厄介な式であ る。 が幸い に し て,
本 構 造は必 然 的に材の曲げ剛性を,
大変大 き くせ ざるを得 ず,
こ れ に 比 して仕冂 の回 転 剛 性は著し く小さい の で, 文 献Zlに示 さ れ る ご と く,
材の曲げ変形 を 無視し て,
仕口の回 転 剛 性の み によっ て計 算す ること がで き る。
部 材 断 面が 十分 大きい た め, 部材の 曲げ変 形よ り仕口 で の回転 変 形が卓 越する木 造ラー
メ ン構 造の場 合におい て は, 実用計 算 法 を 導く こと がで きる。
こ れ を以 下に示す。
貫 通 仕口 の節 点モー
メ ン トと回転変形 図一
14の よ う な仕口 にお け る節 点モー
メ ン トと 回転 変 形の関 係 は次 式の ご と く で あ る。 σmax=
6M /a・
b
〔3dc−
2α)・
…
t・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(5) しか る に,文 献に よ れば 3],
α は急 速にd
。/2に近づ く。 よっ て,
σ【
=
6M /b
・
dZ
・
…
r・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(6
) δ=
Oma)[・
db
/EH=
6M,
d
δ/b ・
d
さ・
E
.・
・
・
・
・
・
…
(7
) θ=
2δ/dc;
12 M曹
d
,/b・
d
き・
E.…
一・
・
・
・
・
・
…
(8
)今,
一・
般 木 造の設 計 横 力にお け る変形 限度と し て,
1/120rad,
を想 定 すれ ば,
M=
b・
dS・
E./1440db・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
tt・
・
・
・
・
・
・
・
…
(9 ) こ こ で,
E. は図一
11〜
図一
13に よ る ものと すれ ば, 耐え得る水 平 力Q
は,
Q
=
ΣMIH…………・
・
…・
・
……・
………・
・
・
…
(10
) で与え ら れ る。
構 造 例 を 図一
15に示して お く。 図一
11〜
図一
13の値は,
皿類の材に対 して示し た も の で あ る が,
ほ か の類にっ い て は,
全面横圧縮の ヤング 係 数E
⊥ (公称 値 }の比で換 算 する。 す な わ ち,1
類 1.
25
倍,
ll
類 1.
12倍,
】V
類0.
875 倍で あ る。
ま た, 横 圧縮試 験に対して集 成 材は,
独特の性状を示すの で,
あ ら た め て検討 を行う必 要 が ある。7.
結 語 2.
に おい て, 部分横 圧 縮 試 験の概 要を述べ,
3.
にお いて, こ の平面 応 力 問題に対して,
有 限 要 素 法を適 用す る際の設 定し た諸 条 件 を 述べ た。 4.
に おい ては,
両者 の歪度分布,
変 位分布な ら びに部 分 横 圧 縮に対す る ヤン グ係 数E
.を 比較し て, 両 者の精 度の確 認 を行っ た。 そ こ で,
5.
におい ては,
貫 通 仕口 の 『貫 』に対 する荷重 条 件と して 3種 類 仮 定し,
有限要 素 法の数 値 解 を 求め,
部 分 横 圧縮の ヤ ング係数E
κに対す る簡 易 推 定 式 を 提 案 した。 最後に,
6.
に おい て,
貫 通 仕口型ラー
メ ン構 造 の設 計・
計 算法の提案を行っ た。
こ こ で は,
全 面横圧縮の場 合ヤング係 数E
. として,
公 称 値 3tonf/cm2 を用いた が,
同一
部 材か ら,
全 面 横 圧 縮 用と部 分 横圧 縮 用の 2種
類の試 験 体を作 製し,
全 面横 圧 縮の ヤング係 数E .
を用い て有限要 素 法か ら, 部 分 横 圧 縮の ヤング係数 E.を 予測す れば,
さ らに,
精 度 を上 げる ことに な ろ う。 ま た,
木材の異方 性 を考 慮 し た有 限 要 素 法の プログ ラ ム を使 用す ること も 必要で あ ろ う。
し か し,
2.
4で指摘し た よ うにt 試 験 体 高さh
が大 とな る ほど,
ヤン グ係 数E
。に与え る年 輪の影 響が小とな る の であ れば,
実大寸法の 『貫』で は, 等質 等 方体の仮 定 も 工学 的に意味を持つで あ ろ う。
な お,
これ らの 結果 を実用化す る に は,
実 大モ デル を 用い る実 証 実 験が必 要であ る。 末筆ながら,
名 城 大 学 技 術 員河合弘和 氏に感謝の意 を 表 します。 参 考 文 献 1) 後 藤一
雄 :貫 通仕口 に よ る木造 ラー
メ ン (大黒柱〉構 造 の研 究 (その 1},
日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告 集,
第 366号,
pp.
119−
125,
昭 和 6】年 8月 2> 田 辺平 学,
後 藤一
雄,
菊 田 守 雄 :木 構 造 骨 組の 実 用 横 力 分布係 数 並に計 算 法に関する一・
二 の問題,
H本建築 学) 3 ) 4 56 会論文集