■ 研究報告
「がん看護専門看護師のコンサルテーション」
についての概念分析
*梅 田 恵
** **㈱緩和ケアパートナーズ Key words: がん看護専門看護師,高度実践看護,コンサルテーション,概念分析 要 旨 がん看護専門看護師にとってコンサルテーションは高度実践の導入となり,質の高い がん看護の普及や均てん化において不可欠な機能である.しかし,看護界におけるコン サルテーションの用語活用は,明確になっていない.そこで,コンサルテーションの活 用や評価,教育が促進されるよう,「がん看護専門看護師のコンサルテーション」につ いて,Walker & Avant(2005)の方法に基づき概念分析を行った.結果,【がん看護 CNS】【一般看護師】【コンサルテーションの課題】【関係性のプロセス】【患者と一般看 護師の成果】が属性として,【がん患者家族の療養の複雑化】【組織体制】が先行要件と して,【組織の発展】が帰結として抽出された.この概念を使用する看護師間での認識 のギャップや,これらの属性間の関係性について探求していくことの必要性が示唆され た. (受付日:2012 年 8 月 1 日,受理日:2013 年 2 月 27 日) 連絡先 梅田 恵/㈱緩和ケアパートナーズ 〒108 0071 東京都港区白金台 2 27 7 509 Phone/Fax:03 3280 1992/E-mail:[email protected]Ⅰ.はじめに
1996 年に日本看護協会が専門看護師制度を開始し, 2012年 3 月現在で,10 分野 795 名の専門看護師(Certi-fied Nurse Specialist:CNS,以下,CNS とする)が活 動を行っている.そのうち,がん看護の認定者は 327 名 で最も多い分野である1). CNS の役割として実践・コンサルテーション(相 談)・コーディネーション(調整)・倫理調整・教育・研 究が専門看護師規程で提示され2),CNS はこれらの役割 を包括し活動している.特にコンサルテーションは,ス タッフから意見を求められたり,複雑な問題を抱える患 者が紹介されたりする窓口であり3),スタッフとの関係 づくりやシステムの変化を促す機能となっている4).し かし,日本ではコンサルテーションについての認識が曖 昧であり,システム化も進まず5),コンサルテーション が正しく理解されない状況6)が散見されている. 本研究の目的は,「がん看護 CNS のコンサルテー ション」の活用や評価,教育が促進されるよう,日本に おける「がん看護 CNS のコンサルテーション」に関す る資料や文献に集積された知見を統合し,再定義を行う ことである.Ⅱ.方 法
変化する臨床において,曖昧に用いられている用語の 概念の構造や機能を資料や文献から導くために,その用 語の使用状況を概観し分析を進める Walker & Avant が 提唱する概念分析7)を参照した.概念分析の手順は,① 概念の選択,②分析の目的や目標の決定,③その概念のシャルワーカーなどを対象に始めたことが,医療分野で のコンサルテーションのはじまりである.精神科医であ る Caplan は,コンサルテーションを「今起こっている 活動上の解決が困難で他の分野の専門家の能力が必要で あると考えられる問題について支援を求める専門家であ るコンサルティと,他の分野の専門家であるコンサルタ ントの 2 人の間で起こる介入のプロセスである.(筆者 訳)」と定義し,コンサルテーションのタイプやプロセ ス,アウトカムを著した9).
1954 年に米国で,初の Clinical Nurse Specialist コー スとなる精神看護の大学院教育が始まり,理論を基盤と した看護ケアを推進するための新たな役割開発が始めら れた10).他分野の教育もこれに続き,がん看護の分野で は,1968 年に初のコースが設立された11).日本の専門看 護師制度に大きく影響した Hamric は,Caplan の定義12) を参照し,「コンサルテーション」は「エキスパートな 実践」「教育」「研究」とともに Clinical Nurse Specialist を特徴づける機能と位置付けた13).
1990 年代後半より,米国では大学院教育を受けた Clinical Nurse Specialistや Nurse Practitioner の 役 割 の 共通点が認識されるようになり13)14),多様で基準が統一 されていなかった教育や認定基準が高度実践看護(Ad-vanced Practice Nursing) と し て 包 括 さ れ,Adされていなかった教育や認定基準が高度実践看護(Ad-vanced Practice Registered Nurse(APRN)として統一が進行中 すべての使用の提示,④属性の決定,⑤モデルケースの 提示,⑥関連ケース・反対ケースなどの提示,⑦先行要 件と帰結の提示,⑧経験的な参照の明示である8).この 手順は,概念を洗練していくため反復を繰り返した. がん看護 CNS の「コンサルテーション」概念の看護 分 野 で の 使 用 を 概 観 す る た め, 医 学 中 央 雑 誌 Ver.4 (1996∼2009 年)で検索を行った.[コンサルテーショ ン][がん看護]をキーワードとして 321 文献が検出さ れた.論文選定条件を,①会議録は除く,②がん看護 CNSが執筆,③コンサルテーションが記載とし,10 文 献を選択した.文献数が十分ではなかったため,がん看 護 CNS のコンサルテーションに関連する文献を,選択 した 10 文献の参考文献から 3 件,看護系雑誌の CNS の 特集号から 3 件,研究報告書から 1 件を追加し,最終的 に総説 15 件,研究報告書 1 件,教科書 1 件,合計 17 文 献(表 1)を参照した.
Ⅲ.結 果
1.「コンサルテーション」概念の使用の概観 1)「コンサルテーション」概念の使用の歴史 (1)米国の医療分野での使用の変遷 1940 年代の米国で精神衛生へのニーズの増大により, 精神科医が他科の医師や地域で活動する看護師やソー 表 1 参照文献(17 文献) ① 吉田智美.オンコロジー分野のコンサルテーション.インターナショナルナーシングレビュー . 18(5), 19 22(1995) ② 近藤まゆみ.オンコロジーナースへの道─がん看護専門看護師が果たす役割とは.Expert Nurse. 12(11), 92 97(1996) ③ 近藤まゆみ.病棟看護師からのコンサルテーション─ふさぎこんでいる患者の理解と家族への介入(事例報告:専門看護 師たちの看護実践).看護.50(suppl), 54 56(1998) ④ 吉田智美.専門看護師とコンサルテーション.ターミナルケア.9(6), 420 422(1999) ⑤ 近藤まゆみ.CNS の活動「相談」.緩和ケア.初版.東京,医学書院,2000, 34 139 ⑥ 小迫冨美恵.がん看護専門看護師の看護ケア技術とその効果およびに疼痛マネジメントの事例分析.厚生労働省科学研究 補助金医療技術評価総合研究事業平成 13 年度報告書,2001 ⑦ 近藤まゆみ.がん看護専門看護師のこれまでの活動報告と今後の課題.緩和医療学.3(4), 474 479(2001) ⑧ 近藤まゆみ.チーム医療の推進役としてのがん看護専門看護師の機能.がん看護.6(4), 305 307(2001) ⑨ 長谷川久巳.危機理論(モデル)の理解と実践への適用.がん看護.8(5), 419 423(2003) ⑩ 長谷川久巳.看護コンサルテーションにおける「看護師 看護師関係」.ナーシング・トゥデイ.19(4), 46 49(2004) ⑪ 戎崎 恵,横山利香,千崎美登子.CNS への相談を活用した病棟ナースの実践報告─モルヒネの副作用が強かったがん 患者の疼痛マネジメント.がん看護.10(2), 163 165(2005) ⑫ 田中登美,小川朝生,戸高明子,他.大阪医療センター緩和ケアチーム「がんサポートチーム」におけるがん看護専門看 護師の課題.癌と化学療法.33(suppl 2), 345 347(2006) ⑬ 戸谷美紀.がん看護 コンサルテーション型緩和ケアチームの実践.看実践の科学.21(1), 10 16(2006) ⑭ 本山清美.外来がん化学療法におけるがん看護専門看護師の役割.医のあゆみ.222(13), 1160 1165(2007) ⑮ 藤原由佳.がん看護専門看護師としての活動の実際.看護部マネジメント.12(264), 35 43(2007) ⑯ 菊内由貴.がん診療連携拠点病院としての質の確保と専門看護師の役割.看護管理.18(7), 548 552(2008) ⑰ 小山富美子.がん医療チームにおけるがん看護専門看護師の役割.医療.63(3), 171 175(2009)「consultation」は,「(専門家に対する相談,諮問,診察 を受けること.(専門家の)会議,協議(審議)会.(書 物などの)参考,参照」23)と訳され,日本語の「コンサ ルテーション」は「相談.協議.専門家の診断や鑑定を 受けること」24)とされている.「コンサルテーション」 の意味に「相談」は含まれ,同義語として使用されるこ とも多いが,専門分野でのコンサルテーションの用語活 用の拡大に伴い,目的や対象との関係構築などの要素が 重視されるようになってきている. 看護学では,「精神医学や臨床心理学などの外部の専 門家(コンサルタント)が,病院の看護師や学校の教師 などの専門家(コンサルティ)の抱えているクライエン トの精神衛生に関係した問題を,コンサルティの仕事の 中で解決できるように援助する関係をさす.二人の専門 家による相互作用の過程であり,コンサルティの人格や プライベートな問題は扱われず,課題中心に行われ る」25)と解説され,コンサルテーションが扱う問題は精 神衛生と限定されているが,がん看護分野では,治療の 選択や症状マネジメントなどもコンサルテーションの課 題となっており,コンサルテーションの用語活用はさら に拡大している. 3)「コンサルテーション」の類似概念 「コンサルテーション」の類似概念としては,相談・ アドバイス・紹介・依頼(referral)・カウンセリング・ スーパービジョン(supervision)など,複数存在する. 相談は,「コンサルテーション」の訳語として使用され てきた.その意味とする「問題の解決のために話し合っ たり,他人の意見を聞いたりすること」26)は,コンサル テーションの一部の機能を示し,さまざまな場面で用い られ,相互作用を想起しない場面でも使用されている. アドバイスは,「忠告や助言をすること.また,その言 葉」27)であり,一方的に伝えられ,それを順守しなけれ ばならない印象がある.紹介・依頼(referral)は,医 療現場で状況の分析のないまま「コンサルテーション」 と混同して使用されている.紹介・依頼(referral)は, 別の専門家への移譲であり,責任も移譲された側にある とみなされ28),コンサルティを主体としている「コンサ ルテーション」とは異なった関係である.カウンセリン グの訳語としても「相談」があてられ,「コンサルテー ション」と混同して解釈されることもある.しかし,専 門分野におけるカウンセリングは,心理学的な背景を基 盤としクライエントの内面に向けた関わりとされてい る29).課題やケースを中心に関わる「コンサルテーショ ン」とは異なった関わりとして理解する必要がある. ス ー パ ー ビ ジ ョ ン(supervision) も「 コ ン サ ル テ ー である15).この変化を受け Hamric は,「コンサルテー ション」を含む 7 つの高度実践看護の主要能力を提示 し16), 同 書 の 中 で Barron & White は「 コ ン サ ル テ ー ションは,実践的ケアを強化し,ポジティブに専門的な 関係を構築することである.(筆者訳)」と定義してい る17). がん看護分野においては,1997 年に米国がん看護学 会が「がん看護における高度実践の指針」の中で,包括 的ケア計画に影響するようほかの専門職の能力を高め, 医療に変化をもたらすための高度実践看護師によるコン サルテーションを推奨している18). (2)日本の医療分野での使用の変遷 1973 年に日本看護協会は,看護について「主に身体 的ケアに集約される支援的なもの,主に言語を通しての 相談的なもの,指導的なものがある」とし,さらに相談 は,「対象となっている個人が,その直面している問題 がはっきりするように,また解決の方向付けができるよ うに言葉によるコミュニケーションを通して援助するこ と」19)と解説し,相談もとを患者・家族とした問題解決 に向けた援助と位置付けた.その後,日本看護協会の認 定看護師・専門看護師制度の中で,「コンサルテーショ ン(相談)」を使用しているが20),「コンサルテーショ ン」と「相談」の意味や概念についての解説や,「コン サルテーション(相談)」をもちかけるコンサルティに ついての説明がされていない.このことは,「コンサル テーション」におけるコンサルタントとコンサルティの 関係構築における混乱の要因となっているとも考えられ る. 1990 年代後半から,専門看護師制度が開始され,精 神看護のコンサルタントであった Underwood は,ビジ ネス分野の Lippitt & Lippitt の著書21)を参照し「コンサ ルテーションは,内外の資源を用いて,問題を解決し, 変化を起こすことができるように,その当事者やグルー プを手助けしていくプロセス,援助過程であり,コンサ ルタントと当事者またはグループ間の双方向の相互作用 をもつ」22)と定義している.また,初の精神看護 CNS であった野末は,Caplan や Lippitt & Lippitt の考えを参 照し「コンサルテーションとは,ある一定の事項につい て専門家(コンサルタント)が,その事項について非専 門家(コンサルティ)からの実際的な問題について相談 を受け,その状況を改善するために,コンサルティの知 識・技術を助長するよう側面的援助を行うことであ る」5)と定義している. 2)辞書的・事典的な使用 「コンサルテーション」は,外来語である.英語の
4.「がん看護 CNS のコンサルテーション」のケース この概念の属性を踏まえ,モデルケース(模範),関 連ケース(コンサルティである看護師がコンサルテー ションでの CNS との協働を認識していない),そして反 対ケース(コンサルティもコンサルタントもコンサル テーションにおける協働を認識していない)を例示し た. がん看護 CNS のコンサルテーションが導入さ れ 3 年目になった. A 氏は 63 歳,一人暮らしの男性,2 年前に直 腸がんの診断を受け,手術・抗がん剤治療を 行っていた.歩行困難と痛みのため 3 日前に入 院となる.肺転移,多発脊椎転移がある.痛み の対策が検討されているが,A 氏が医療用麻薬の 使用を拒否し,進んでいない. 1)モデルケース コンサルティは,A 氏の受け持ち看護師 M(看護師 歴 6 年,現部署勤務 3 年目,がん看護への関心が高い), A氏が痛みを訴えないことが気になっていた.CNS は カルテから情報収集し,病棟カンファレンスに参加し A 氏について看護師 M を含む病棟スタッフと現状を共有 した.A 氏に適した痛みの対策や療養体制づくりには, A氏と看護師のコミュニケーションが必要だということ が話し合われた. CNS は看護師 M とは何度か関わりがあり,がん看護 のリーダーシップが期待できる存在と考えていた.看護 師 M は,医療用麻薬の説明や不用意な声掛けにより, A氏を傷つけることを心配していた.そこで,CNS は, A氏の面接を看護師 M とともに行うこととした.CNS は,痛みやこれからの療養体制づくりを提示するための 資料を準備し,この活用について看護師 M と共有し面 接に臨んだ.面接時には,CNS の役割や経験,この部 署の看護師たちとともに A 氏の力になりたい思いを伝 え,痛みの緩和には患者の協力が重要であることを説明 し,看護師 M も説明を加えた.A 氏は,痛みは緩和で きないとあきらめ,医療用麻薬を使うと命が短くなると 思っていたことなどを話しはじめた.A 氏のケアの担当 は看護師 M であり,CNS は必要に応じて会えることを 伝えた. 看護師 M は,これまで聞くことができなかった A 氏 の思いを理解し,ほかの看護師にもこの面接から得られ たアセスメントを伝えることができた.また,次回は自 分からパンフレットなどを使ったアプローチを行いたい と考えている. ション」と混同して使用されることが多い.スーパービ ジョン(supervision)は,監督者や管理者との関係で あり,非階層な関係を重視する「コンサルテーション」 とは異なっている30). 2.「がん看護 CNS のコンサルテーション」の属性 「コンサルテーション」概念の歴史的背景や他分野で のこの概念の使用,定義,辞書・辞典において「専門家 であるコンサルタント」「専門家であるコンサルティ」 「コンサルテーション課題」「関係性」「相互作用のプロ セス」「結果」は重複し用いられている要素であった. これらの要素はがん看護 CNS のコンサルテーションを 概念化していくうえでも重要であると考え,この 6 つの 要素に沿って,選択した 17 文献を分析し「がん看護 CNSのコンサルテーション」の属性を抽出しカテゴリ 化した(表 2). 以後,カテゴリは【 】,サブカテゴリは[ ]で示 す. コンサルテーションについての考え方や,コンサル テーションを提供する対象への配慮を含む[コンサル テーションの認識・配慮]と,コンサルタントの能力や 役割認識を含む[がん看護の専門性]をサブカテゴリと する【がん看護 CNS】,がん看護についての悩みや経験 の不足を含む[がん看護への困難性]をサブカテゴリと する【一般看護師】,症状マネジメントや療養体制の調 整を含む[がん患者家族へのケア]と[がん医療におけ る倫理問題][がん医療におけるチームアプローチ]を サブカテゴリとする【コンサルテーションの課題】,と もに看護介入を行う他職種との調整を含む[一般看護師 とがん看護 CNS の協働]と[がん看護 CNS の専門的な 介入][がん看護 CNS の専門的な助言]をサブカテゴリ とする【関係性のプロセス】,患者の問題解決や QOL の改善などを含む[患者アウトカムの向上]と,コンサ ルティの能力向上や患者との関係性の改善を含む[一般 看護師の能力の向上][一般看護師の自律性の向上]を サブカテゴリとする【患者と一般看護師の成果】が,属 性として抽出された. 3.「がん看護 CNS のコンサルテーション」の再定義 抽出された属性より,がん看護 CNS のコンサルテー ションは「がん看護への困難性をもつ一般看護師とがん 看護 CNS が,がん患者家族への看護介入やチームアプ ローチを協働するとともに,必要に応じてがん看護 CNSが専門的な介入や看護師への教育を行い,患者ア ウトカムの向上や一般看護師の能力・自律性の向上をも たらす関係性のプロセスである」と再定義を行った.
いて看護師 K を含む病棟スタッフと現状を共有しよう としたが,看護師 K は A 氏への対応を CNS が行うよう 要請してきた.CNS は,病棟師長とコンサルテーショ ンの進め方について検討し,A 氏が必要とする看護実践 を,看護師 K や病棟看護師が認識できるようともに関 2)関連ケース コンサルティは,A 氏の受け持ち看護師 K(看護師歴 12年,現部署勤務 0.5 年目),A 氏ががんの進行期であ るため CNS に任せたいと考えていた.CNS はカルテか ら情報収集し,病棟カンファレンスに参加し A 氏につ 表 2 「がん看護専門看護師のコンサルテーション」の属性 ※①∼⑰は表 1 の文献番号と対応している. 属性 特徴 カテゴリ サブカテゴリ がん看護 CNS コンサルテーション の認識・配慮 コンサルテーションの基本の順守①⑤⑩⑮ コンサルテーシヨンは実践の糸口①,ケア提供のための資源となる①⑤⑦ 主体は相談者①④⑤⑦⑩⑬⑰,スタッフの教育背景や経験の特徴⑤⑮ 看護師が解決可能な方法を模索③⑥⑭⑮⑯ がん看護の専門性 がん看護において重要な理論を用いた分析⑤⑨⑩ コンサルタントとしての限界を知る⑩,CNS としての役割認識⑦⑩ がん患者の特徴を踏まえた状況の分析⑨ 一般看護師 がん看護への困難性 がん患者・末期に関わる看護師のストレス①②⑦⑬ がん看護での知識や経験の不足①⑯ がん看護への悩み②③⑨⑩⑪,全体的ケアの困難性①⑥⑩⑪⑮⑰ コンサルテーション の課題 がん患者家族への ケア がんに伴う精神症状への対策とケア①⑦⑬ がんの痛みのマネジメント①②④⑤⑥⑦⑨⑪⑫⑬ がん治療の副作用やがんの進行による症状のマネジメント②⑤⑨⑫⑭⑮ がん患者の在宅療養の導入②⑦⑫⑯ 家族ケア,悲嘆のケア①③⑤⑫⑭⑮ がん医療における 倫理問題 鎮静②,告知や IC②⑤⑦⑨⑫⑭⑮⑰ 患者の尊厳⑦,医療者のジレンマ⑰,ターミナル期の問題③⑨⑫ がん医療における チームアプローチ 多職種によるチームアプローチ②⑦⑪⑰ 関係性のプロセス 一般看護師と がん看護 CNS の 協働 ともにコンサルテーションの進め方の検討①②③④⑤⑥⑦⑧⑩⑭⑰ ともに看護過程を辿る①④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭⑮⑯ ともに他職種へ働きかける①③⑤⑧⑪⑫⑮⑯ ケアに関わるストレスを共有②,ともにカンファレンスへの参加③⑬⑭⑮ 看護師と CNS の信頼関係の深まり⑦ がん看護 CNS の 専門的な介入 問題の構造の明確化とその説明①②③④⑤⑥⑨⑭⑮ 看護師の役割認識や看護の可視化を促す③⑪⑮⑯ コンサルテーション以外の機能を果たす⑤⑦⑧⑪⑭⑮ :CNS の直接ケア①②⑤⑨⑫⑬⑭⑮⑯⑰ 調整⑤⑪⑭,教育⑥⑧⑫⑬⑭⑮⑯⑰ 看護師の情緒的サポート⑨⑪⑫⑬ がん看護 CNS の 専門的な助言 専門的なアドバイス⑤⑩⑬ 患者と一般看護師 の成果 患者アウトカムの 向上 事例の問題解決⑥⑪⑭,患者家族の QOL の改善⑯ 患者の意見が表明される②⑰,患者の希望に沿った速やかな対応⑧⑪⑫ 一般看護師の 能力の向上 能力の向上①⑦⑪⑫⑭⑮ 患者アセスメント視点の増加⑨⑪⑭ 多職種との情報の共有⑦⑪,患者の信頼関係の深まり⑨⑪ 一般看護師の 自律性の向上 看護師の役割についての認識の深まり①②⑨ 看護師の主体性・自律性の促進②⑧⑪⑭⑮ 看護師の困難感の解消③⑦⑨⑪,がん看護に対する関心の高まり⑤⑨
複雑化】と,[活動施設の特徴][がん看護 CNS のポジ ション][がん看護のコンサルテーション体制][がん看 護 CNS の組織診断]をサブカテゴリとする【組織体 制】であった. 「がん看護 CNS のコンサルテーション」の結果,もた らされる変化である帰結は,施設内の看護の質の向上や 専門家の活用が促進されるなどの【組織の発展】であっ た.
Ⅳ.考 察
「がん看護 CNS のコンサルテーション」の属性に 【がん看護 CNS】と【一般看護師】が含まれたが,それ ぞれのサブカテゴリは異なっていた.今回の概念分析は がん看護 CNS が執筆した文献から要素を抽出してお り,コンサルテーションの理想や成功事例をもとに述べ られていたため,偏りのある現象を捉えていることは否 めない.しかし,文章化されている資料が少なく,研究 的な取り組みが着手されていないことの限界であったと 考える.コンサルテーションは看護師とがん看護 CNS がともに問題を解決していく関係性のプロセスとして定 義ができた.その関係性を始める意図,つまり必要性の 同定には,コンサルティである看護師のコンサルテー ションについての理解や認識に基づく判断が重要とな る.しかし,その点についてのサブカテゴリは導かれな かった.看護界におけるコンサルテーションの用語活用 の曖昧さや,コンサルテーションを導入する際の体制づ くりの不足などにより,コンサルテーションについての 認識にギャップがあることが考えられる. 今回導かれた「がん看護 CNS のコンサルテーショ ン」の属性に,先行要件とも考えられる【がん看護の専 門性】と,帰結とも考えられる【患者と一般看護師の成 果】を含めた.Barron & White の高度実践看護師のコ ンサルテーション・モデルでも,コンサルテーションの 目的やコンサルティ・コンサルタントの特徴,コンサル テーション過程などは,その環境の中で相互に関係して いることを示している31).そのことを踏まえ【がん看護 の専門性】や【患者と一般看護師の成果】が【関係性の プロセス】を進め,また【関係性のプロセス】が高まる ことが,専門性や成果を高める補完関係として捉えるこ とが重要と考えたためである. 看護管理者の協力は,高度実践看護師のコンサルテー ションのある体制づくりにおいて不可欠である32).がん 看護 CNS に限らず,コンサルテーションに関わる看護 師や看護管理者を巻き込み,広くコンサルテーションに わることとした.まず,CNS は A 氏との面接を計画し, それを看護師 K と共有しようとしたが,看護師 K は乗 り気ではなかった.そこで,日々関わる病棟看護師の存 在の重要性や CNS だけの実践では不十分であることを 説明し,協力の必要性を伝えた.面接時には CNS の役 割や経験,この部署の看護師たちとともに A 氏の力に なりたい思いを伝え,痛みの緩和には患者の協力が重要 であることを説明した.A 氏は,痛みは緩和できないと あきらめ,医療用麻薬を使うと命が短くなると思ってい たことなどを話しはじめた.CNS は必要に応じて会え ることを A 氏に伝えた. 看護師 K は,A 氏の思いや苦痛に触れながら,進行 期のがん患者への対応は難しいことばかりではないこと を認識できたが,鎮痛薬やこれから A 氏に予測される 変化など,知識や経験がなく不安をもっていた.そこ で,CNS は,A 氏へのケアをともに行い,自身がもつ がん看護の知識や経験を共有していくことを約束した. 3)反対ケース コンサルティは,A 氏の受け持ち看護師 H(看護師歴 12年,現部署勤務 0.5 年目),A 氏ががんの進行期であ るため CNS に任せたいと考えていた.CNS はカルテか ら情報収集し,病棟カンファレンスに参加し A 氏につ いて看護師 H を含む病棟スタッフと現状を共有しよう としたが,看護師 H は,A 氏への対応を CNS が行うよ う要請してきた.CNS は期待に応えたいと考え,自分 だけで A 氏との面接を行った.CNS の役割や経験,A 氏の力になりたい思いを伝え,痛みの緩和には患者の協 力が重要であることを説明した.A 氏はこれまでのがん 治療経験やこれからの経過への不安を話し,この病棟の 看護師には伝えにくいと思っていることを話した.CNS は A 氏を擁護するために定期的に会いに来ることを伝 えた. CNS は,面接から得られたアセスメントを看護師 H に報告した.しかし,A 氏のこの病棟看護師へのネガ ティブな思いは伝えなかった.看護師 H は A 氏への対 応を CNS に移譲できたことに満足し,A 氏は検温など の決まった対応しか受けられなかった.CNS は定期的 に A 氏と面接を行ったが,問題の把握が遅れがちであ り,A 氏と看護師たちの関係はギクシャクしたままで, A氏は疎外感をつのらせていった. 5. 「がん看護 CNS のコンサルテーション」の先行 要件と帰結 この概念の先行要件と帰結は表 3 に示す. 「がん看護 CNS のコンサルテーション」が始まる前提 となる状態である先行要件は,【がん患者家族の療養のⅤ.結 論
「がん看護 CNS のコンサルテーション」の概念分析の 結果,以下のことが明らかになった. 1. がん看護 CNS のコンサルテーションは「がん看護へ の困難性をもつ一般看護師とがん看護 CNS が,がん 患者家族への看護介入やチームアプローチを協働す るとともに,必要に応じてがん看護 CNS が専門的な 介入や看護師への教育を行い,患者アウトカムの向 上や一般看護師の能力・自律性の向上をもたらす関 係性のプロセスである」と定義された. 2. コンサルティとコンサルタントのコンサルテーショ ンについての認識は一致していない可能性がある. 3. 「がん看護 CNS のコンサルテーション」の活用や評 ついての検討を進めるためには,客観的にコンサルテー ションを可視化できるツールが重要となる.そのような ツールによって,属性間の関係性や影響要因も明らかに することが可能となり,有限である医療資源の中で,効 果的なコンサルテーションの活用や評価,教育が具体化 することが期待される.コンサルテーションはさまざま な要因が関係する複雑で,環境の影響による変化も激し い現象である.既存のツールが見当たらないことから も,ツールの作成は容易ではないと考えられるが,今回 の概念分析をもとに,臨床での現象と照らし合わせなが ら,コンサルテーションの可視化に向けた取り組みが着 手できるようになったと考えている. 表 3 「がん看護専門看護師のコンサルテーション」の先行要件と帰結 ※①∼⑰は表 1 の文献番号と対応している. 先行要件 特徴 カテゴリ サブカテゴリ がん患者家族の療養の複雑化 がんに関連する複雑な問題①⑤⑦⑨⑪⑰ がんに関連する患者や家族の特徴⑤⑰ がん医療の高度化①⑦⑰ がん患者のニーズの変化② 患者の価値観の多様性⑤ 組織体制 活動施設の特徴 組織自体の特徴⑤ 組織の地域⑤ チーム医療に関する特徴⑤ 組織ニーズ⑦ がん看護 CNS の ポジション 相談支援センター系②③⑤⑦⑯ 緩和ケアチーム系⑧⑫⑬⑮⑰ 化学療法センター系⑭ 管理系①④⑥⑨⑩⑪ がん看護の コンサルテーション 体制 委員会の設立⑦ 教育環境の整備⑫ コンサルテーション体制⑦⑪⑫⑬⑯ 組織的な位置付け⑮ 活動内容の提示⑮ がん看護 CNS の 組織診断 看護の専門分化①⑮ 潜在しているがん看護へのニーズの把握⑮ 職場風土の把握⑩⑮ 活動期間⑦⑬ 集団ダイナミズムを客観的に分析⑩ 帰結 特徴 組織の発展 施設内の看護の質の向上①⑫⑮⑯ 外来化学療法の安全・安楽実施⑭ 専門家の活用の促進①⑦⑩⑰ 円滑な地域連携⑮⑯ チーム医療の推進⑧⑩⑮⑰ 経済的な貢献⑦14) International Council of Nurses. Definition and characteristics of the role. 2002 〈http://www.icn apnetwork.org/〉 (参照 2011 09 04)
15) American Nurses Credentialing Center. Consensus Model for APRN Regulation. 2008 〈http://www.nursecredentialing.org/ APRN ConsensusModelReport.aspx〉 (参照 2012 02 01) 16) Hamric AB. A definition of advanced practice nursing”.
Ad-vanced Nursing Practice. Hamric AB, Spross JA, Hanson CM eds. 4th edition. Philadelphia, Saunders Elsevier, 2009, 75 94 17) 前掲 3), 193
18) Oncology Nursing Society. Statement on the Scope and Stan-dards of Advanced Practice in Oncology Nursing. Oncology Nursing Press, 1997, 11
19) 日本看護協会.看護制度改善にあたっての基本的考え方.看 護.25(13), 1973, 52 60
20) 日本看護協会.専門看護師規則および細則.看護.48(6), 1996, 34 40
21) Lippitt GL, Lippitt R. The Consulting Process in Action. Hobo-ken, John Wiley& Sons, 1986, 1 10
22) Underwood PR. コンサルテーションの概要─コンサルタント の立場から.インターナショナルナーシングレビュー.18 (5), 4 12(1995) 23) 新英和中辞典.研究社.〈http://ejje.weblio.jp/content/consul-tation〉 (参照 2012 03 07) 24) 大辞泉.〈http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%82%B3% E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%BC%E3% 82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&aq=-1&oq=&dic_id=all&ei=UTF 8〉(参照 2012 03 07) 25) 看護学大辞典.第 5 版.東京,メヂカルフレンド社,2002,780 26) 大辞泉.〈http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E7%9B%B8% E8%AB%87&aq=-1&oq=&dic_id=all&ei=UTF 8〉 (参照 2012 03 07) 27) 大辞泉.〈http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%82%A2% E3%83%89%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9&aq=-1&oq=&dic_ id=all&ei=UTF 8〉 (参照 2012 03 07) 28) 前掲 3), 193 29) 山本和郎.コミュニティ心理学─ 地域臨床の理論と実践.東 京,東京大学出版会,1986,87 137 30) 前掲 3), 193 195 31) 前掲 3), 197
32) McFadden EA, Miller MA. Clinical nurse specialist practice:fa-cilitators and barriers. Clin Nurse Spec. 8(1), 27 33(1994) 価,教育を促進していくためには,コンサルテー ションの可視化のためのツールを作成し,概念分析 で導かれた属性間の関係性を明らかにしていくこと が重要である. 文 献 1) 日本看護協会.資格認定制.専門看護師. 〈http://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/index.html〉(参 照 2012 03 07) 2) 公益社団法人日本看護協会.専門看護師規程. 〈http://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/howto/pdf/sen-saisoku.pdf〉(参照 2011 09 10)
3) Barron AM, White PA. Consultation . Advanced Nursing Prac-tice. Hamric AB, Spross JA, Hanson CM eds. 4th edition. Phila-delphia, Saunders Elsevier, 2009, 191 216
4) Lewandowski W, Adamle K. Substantive areas of clinical nurse specialist practice:a comprehensive review of the literature. Clin Nurse Spec. 23(2), 73 90(2009)
5) 野末聖香.“コンサルテーション”.リエゾン精神看護.野末 聖香編.東京,医歯薬出版,2004,207 221
6) 小迫冨美恵.「コンサルテーション」は正しく理解されている
か? ナーシング・トゥデイ.21(12), 2006, 115
7) Walker L, Avant K. Strategies for Theory Construction in Nurs-ing. 4th edition. Upper Saddle River, Pearson Education, 2005, 63 84
8) 前掲 7), 65
9) Caplan G. The theory and Practice of Mental Health Consulta-tion. New York, Basic Book, 1970, 3 18
10) Arlene WK. “A brief history of advanced practice nursing in the United State”. Advanced Nursing Practice. Hamric AB, Spross JA, Hanson CM eds. 4th edition. Philadelphia, Saunders Elsevi-er, 2009, 3 32
11) Murphy Ende KM. Advanced practice nursing:reflections on the past, issues for the future. Oncol Nurs Forum. 29(1), 106
112(2002) 12) 前掲 9),19
13) Hamric AB. “History and overview of the CNS role”. The Clini-cal Nurse Specialist in Theory and Practice. Hamric AB& Spross JA ed. 2nd edition. Philadelphia, WB Sanders, 1989, 3 18
Abstract
Consultation of the Certified Nurse Specialist in Cancer─Concept Analysis─* by
Megumi Umeda** from
**Palliative Care Partners Co., ltd.
Consultation of Certified Nurse Specialists in cancer is the introduction to their advanced practice, and it is an essential function requiring the spread of uniformly high quality cancer nursing. Howev-er, comprehension of the meaning of consultation in the nursing field is ambiguous. Therefore, con-cept analysis of consultation of Certified Nurse Specialists in cancer was conducted using the meth-od of Walker& Avant (2005) in order to promote the utilization, evaluation, and education of consultation. As a result, Certified Nurse Specialists in cancer , General nurses , Issues of consulta-tion , Process of relaconsulta-tionship and Outcomes were extracted as attributes, Increasing complexity of life of cancer patients and their families and Management system were extracted as antecedents, and Improvement of system was extracted as a consequence. There is a need to recognize the existence of a gap among nurses in the use of the consultation concept and to explore the relationship of these attributes.
Key words: certified nurse specialist in cancer, advanced practice nursing, consultation, concept analysis
Address reprint requests to :
Megumi Umeda. Palliative Care Partners Co., ltd.
509, 2 27 7 Shiroganedai, Minato ku, Tokyo 108 0071, JAPAN Phone/Fax:03 3280 1992/E-mail:[email protected]