• 検索結果がありません。

原著論文 DOI: /shokuiku 小学校高学年の児童における間食頻度と 生活習慣 食生活との関連 赤利吉弘 * 内藤義彦 ** * 武庫川女子大学大学院生活環境学研究科 ** 武庫川女子大学生活環境学部 兵庫県西宮市池開町 6-46 Relatio

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "原著論文 DOI: /shokuiku 小学校高学年の児童における間食頻度と 生活習慣 食生活との関連 赤利吉弘 * 内藤義彦 ** * 武庫川女子大学大学院生活環境学研究科 ** 武庫川女子大学生活環境学部 兵庫県西宮市池開町 6-46 Relatio"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

原著論文

小学校高学年の児童における間食頻度と 

生活習慣・食生活との関連

赤利吉弘*

§

・内藤義彦**

* 武庫川女子大学大学院生活環境学研究科 ** 武庫川女子大学生活環境学部 〒663-8558 兵庫県西宮市池開町 6-46

Relationships between Snacking Frequency, Lifestyle Factors, and  

Dietary Habits among Higher Grade Elementary Students

Yoshihiro AkAri* and Yoshihiko NAito**

* Graduate School of Human Environmental Sciences, Mukogawa Women’s University

** School of Human Environmental Sciences Mukogawa Women’s University

6-46, Ikebiraki,Nishinomiya, Hyogo,Japan, 663-8558 ────────────────   The purpose of this study was to examine the relationships between snacking frequency, lifestyle  factors, and dietary habits among higher-grade elementary students. This cross-sectional questionnaire  survey was conducted in July 2013 on 2,170 fourth through sixth graders from 10 elementary schools  in S City, Osaka Prefecture, Japan. A total of 2,114 responses were received, among which 2,007 that  contained clear answers in relation to sex, age, and snacking frequency were selected for analysis.  Univariate and multivariate logistic regression analyses were used to assess the association between  snacking frequency, which was used as the dependent variable, and lifestyle factors and dietary  habits,  which  were  used  as explanatory  variables.  Regardless  of sex,  about  half  of the  students  reported snacking more than twice a day, and a relationship was found between snacking frequency  and lifestyle factors such as bedtime and time spent playing games. Concerning dietary practices, a  relationship was evident in both sexes between snacking frequency and consumption of both fried  and instant foods. Furthermore, for boys, a relationship was found between snacking frequency and  both vegetable consumption and degree of savoring a meal, whereas for girls, a relationship was  apparent between snacking frequency and breakfast consumption. These results suggest that snack-ing frequency among schoolchildren is related to irregular lifestyle routines and disruptions in dietary  lifestyle. In the future, a deeper understanding of the significance of the most appropriate snacking  behavior will be desirable, as will full guidance on snacking tailored to individual lifestyle factors and  dietary habits. Key words : Schoolchildren, Snacking, lifestyle, Dietary habits 1. 緒   言  児童期における間食は、食事で不足するエネルギー や栄養素の確保だけでなく、休息と喜びを与え、親や 家族、友達とのふれあいの場になるといった側面から 必要とされている1)  しかし近年、子どもがよく食べる間食の内容とし て、「スナック菓子」「あめ」「チョコレート」「ビス ケット」「せんべい」が順に挙げられ2)、小学校低学 年では果物が多いが、小学校高学年になるにつれてス ナック菓子の摂取が増加することが報告されている3) また、高学年にもなると自分でおやつを選ぶ子どもが 増え、食生活の自立への第一歩となる一方で、塩分、 §mw419060@mukogawa-u.ac.jp

(2)

糖分、脂肪分が多いスナック菓子類を好む傾向にある ことが報告されている4)。いつでも手軽に食品が入手 できる現在においては、不適切な間食の摂り方をして いる実態が伺われ、健康への影響が懸念される。健康 と間食との関連を検討した研究では、間食の量や不規 則な間食は、食欲不振やむら食いを引き起こす要因で あることが報告されている5)。また、高学年の児童で は、肥満と高頻度の間食の摂取に関連がみられる6) とや間食頻度が高い児童は、間食頻度が低い児童に比 べて血圧の平均値が高いことが報告されている7)。さ らに Weiss ら8)は、間食頻度の高い子どもほど、齲歯 が多いことを報告し、間食頻度と齲歯数は関連してい ることを明らかにしている。  このように、間食に関する実態調査や間食と健康と の関連に関する検討が国内外で数多く行われ、成長期 にさしかかる子どもにおける間食の増加は、今後の成 長に悪影響を及ぼすことが危惧される。これまでも学 校において間食の摂取に関する栄養教育は行われてい るが、その内容は清涼飲料水中の砂糖の量やポテト チップス 1 袋に含まれる油脂量など、知識を与えるも のが多く、不適切な間食を防ぐための実践的かつ効率 的な対策が早急に求められている9)。栄養教育におい て重要なことは、対象者の自発的な行動変容を促すこ と10)であり、不適切な間食を防ぐための方策を講じ るためには、まず、間食行動に影響を与える要因につ いて詳しく究明する必要がある。しかしその一方で、 間食行動を助長する要因として「お腹がすく時」11) 「イライラした時」12)といった生理的要因と関連して いることが明らかにされているものの生活要因との関 連性について検討した報告は極めて少ない。  そこで本研究では、小学校高学年の児童の生活習慣 および食生活に着目し、それらと間食頻度との関連を 検討することを目的とした。 2. 方   法  1. 対象者および調査方法  2013 年 7 月、大阪府 S 市の公立小学校 10 校の 4 年 生から 6 年生 2,170 名を対象に無記名自記式の質問紙 調査を行った。質問紙は同市保健センターおよび教育 委員会を通じて各学校に依頼し、学校長の承認を得て 配付した。質問紙の回収は、調査校の担当教員が事前 に配布した調査手引きに従い、回答者に対して回答は 任意であり、不参加であっても不利益とならないこと、 質問紙の提出をもって同意を得たとすることを授業ま たは学級活動で説明した上、その場で行われた。そし て、回収された質問紙は、S 市から全て連結不可能匿 名化した状態で、受託研究契約を締結した武庫川女子 大学に提供された。なお、本研究は武庫川女子大学研 究倫理委員会の承認を得た (承認番号:NO. 14-71)。  2. 調査地域の概況  S 市は大阪府の南西部に位置し、公共交通機関を利 用すると大阪都心部から約 1 時間の距離(40~50 km 圏内)にある。市域の地形は、大きく山地、丘陵部、 および平地部に分けられる。平成 22 年度の人口は総 人口 64,403 人で、65 歳以上の高齢者は 14,566 人、高 齢化率 22.6%の地域であった。  3. 調査内容  本研究では、家庭での生活習慣や食生活に関する 17 項目からなる質問紙を作成した。質問紙の使用に あたっては、事前に内容的妥当性および表面的妥当性 について検討を行った。すなわち、質問紙の質問およ び回答肢が、児童の生活習慣、食生活を説明するもの として適切か、S 市の保健センターおよび教育委員会 の職員に確認してもらった。また、表面的妥当性につ いては、質問や回答肢で使われている言葉や漢字は児 童に理解されやすいか、回答は答えやすいか、質問項 目数は児童にとって負担がないか、内容的妥当性と同 じ市の職員に確認してもらった。本研究では使用した 質問紙のうち、本研究の目的に沿った以下の調査項目 を分析に用いた。  1)間食頻度  間食頻度は、1 日の菓子類の間食状況について「食 べない」「1 回」「2 回」「3 回以上」のそれぞれ 4 肢か ら回答を得た。そこで、「2 回未満」、「2 回以上」の 2 群にグループ化した。  2)生活習慣(全 4 項目)  生活習慣として、起床時刻について「午前 6 時 29 分まで」「午前 6 時半から午前 6 時 59 分まで」「午前 7 時から午前 7 時 29 分まで」「午前 7 時半から午前 7 時 59 分まで」「午前 8 時から午前 8 時 29 分まで」「午 前 8 時半以降」の 6 肢から回答を得た。就寝時刻は 「午後 7 時 59 分まで」「午後 8 時から午後 8 時 59 分ま で」「午後 9 時から午後 9 時 59 分まで」「午後 10 時か ら午後 10 時 59 分まで」「午後 11 時から午後 11 時 59 分 まで」「午後 12 時以降」の 6 肢から回答を得た。ゲー ムの使用時間は「まったくしない」「1 時間未満」「1 時間以上 2 時間未満」「2 時間以上 3 時間未満」「3 時 間以上」の 5 肢から回答を得た。運動は毎日 60 分以 上、活発に楽しく体を動かすことについて「動かして いる」「動かしていない」の 2 肢から回答を得た。  3)食生活(全 7 項目)  食生活として、朝食・果物・油物・インスタント食 品・乳製品の摂取について「毎日食べる」「1 週間の うち食べることの方が多い」「1 週間のうち食べない

(3)

ことの方が多い」「ほとんど食べない」の 4 肢から回 答を得た。野菜の摂取は、朝・昼・夕の 3 食について 「毎回食べる」「1 日 1~2 回食べる」「ほとんど食べな い」3 肢から回答を得た。玩味状況は食事の時によく 噛んで食べることについて「食べている」「食べてい ない」の 2 肢から回答を得た。  4. 解析方法  解析対象者は、質問紙を提出した者 2,114 名(回収 率 97.4%)のうち、性別・年齢および間食頻度のいず れにも欠損がなかった 2,007 名とした(有効回答率 99.7%)。  全ての解析項目について男女間でクロス集計し、群 間差の検定を行ったところ、多くの項目において有意 な群間差(P<0.05)が認められたため、全ての解析 は男女別に行った。  そこで、まず属性別の間食頻度を調べるため、クロ ス集計表を作成し、χ2検定を行った。次に、間食頻 度に関連する児童の生活習慣および食生活を調べるた め、単変量と多変量ロジスティック回帰分析でオッズ 比および信頼区間を求めた。単変量ロジスティック回 帰分析では、質問紙調査でたずねた児童の生活習慣お よび食生活の計 11 項目を独立変数とし、間食頻度に よって分けた「2 回未満/日」群(=1)、「2 回未満/日」 群(=0)の 2 群を従属変数として解析を行った。単 変量ロジスティック回帰分析を行った後に、学年、所 属校を調整した多変量ロジスティック回帰分析(変数 増加法を用いた尤度比検定)を行い、生活習慣に関す る計 4 項目と間食頻度の関連、食生活に関する計 7 項 目と間食頻度の関連を検討した。なお、独立変数は各 質問項目において、分布を等分に近づけるよう考慮し て 2 群に分けて解析を行った。たとえば、果物摂取の 項目では、「1 週間のうち食べないことの方が多い・ ほとんど食べない」を 0、「1 週間のうち食べることの 方が多い・毎日食べる」を 1 とした(回答選択肢は表 2・3 を参照)。  解析には、統計解析パッケージソフト SPSS Statistics  18.0 for Windows(SPSS 社)使用し、有意水準は 5% (両側検定)とした。欠損値は項目ごとに除外した。 3. 結   果  1. 間食頻度と属性との関連  間食頻度の人数分布は、男子では「食べない」「1 回」 「2 回」「3 回以上」がそれぞれ、81 名(8.2%)、476 名 (48.1%)、268 名(27.1%)、165 名(16.7%)であった。 また女子では「食べない」「1 回」「2 回」「3 回以上」 がそれぞれ、63 名(6.2%)、530 名(52.1%)、302 名 (29.7%)、122 名(12.0%)であった。その他の属性 の分布は表 1 に示す。  2. 性別における間食頻度と生活習慣との関連  間食頻度に関連する生活習慣を調べるため、質問紙 調査でたずねた児童の生活習慣に関する計 4 項目との 関連について、単変量ロジスティック回帰分析、およ び多変量ロジスティック回帰分析を行い、オッズ比を 求めた(表 2)。  男子では、単変量ロジスティック回帰分析におい て、ゲーム時間数および就寝時刻に間食頻度と関連が みられた。多変量ロジスティック回帰分析を行った結 果、ゲーム時間数が「1 時間未満」の児童は「1 時間 以上」の児童に比べて、間食頻度が「2 回未満/日」 であることのオッズ比が 1.97 倍と有意に高かった。 また、就寝時刻が「午後 10 時まで」の児童は、「10 時間以降」の児童に比べて、間食頻度が「2 回未満/日」 であることのオッズ比が 1.43 倍と有意に高かった。  一方、女子においても、単変量ロジスティック回帰 表 1 児童の間食頻度と属性との関連

(4)

分析において、ゲーム時間数および就寝時刻に間食頻 度と関連がみられた。多変量ロジスティック回帰分析 を行った結果、ゲーム時間数が「1 時間未満」の児童 は「1 時間以上」の児童に比べて、間食頻度が「2 回 未満/日」であることのオッズ比が 1.56 倍と有意に高 かった。また、就寝時刻が「午後 10 時まで」の児童は、 「10 時間以降」の児童に比べて、間食頻度が「2 回未 満/日」であることのオッズ比が 1.41 倍と有意に高かっ た。  3. 性別における間食頻度と食生活との関連  間食頻度に関連する食生活を調べるため、質問紙調 査でたずねた児童の食生活に関する計 7 項目との関連 について、単変量ロジスティック回帰分析、および多 変量ロジスティック回帰分析を行い、オッズ比を求め た(表 3)。  男子では、単変量ロジスティック回帰分析におい て、野菜摂取、乳製品摂取、油物摂取、インスタント 食品摂取、玩味状況に間食頻度と関連がみられた。多 変量ロジスティック回帰分析を行った結果、野菜を 「毎食食べる」児童は、「毎食食べない」児童に比べて、 間食頻度が「2 回未満/日」であることのオッズ比が 1.69 倍と有意に高かった。また、乳製品を「1 週間の うち食べることの方が多い・毎日食べる」児童は、「ほ とんど食べない・1 週間のうち食べないことの方が多 い」児童に比べて、間食頻度が「2 回未満/日」であ ることのオッズ比が 1.53 倍と有意に高かった。さらに、 玩味状況について、よく噛んで「食べている」児童は 「食べていない」児童に比べて、間食頻度が「2 回未 満/日」であることのオッズ比が 1.52 倍と有意に高 かった。一方、油物を「1 週間のうち食べることの方 が多い・毎日食べる」児童は、「ほとんど食べない・1 週間のうち食べないことの方が多い」児童に比べて、 間食頻度が「2 回未満/日」であることのオッズ比が 0.55 倍と有意に低く、インスタント食品を「1 週間の うち食べることの方が多い・毎日食べる」児童は、「ほ とんど食べない・1 週間のうち食べないことの方が多 い」児童に比べて、間食頻度が「2 回未満/日」であ ることのオッズ比が 0.67 倍と有意に低かった。  女子では、単変量ロジスティック回帰分析におい て、朝食摂取、野菜摂取、乳製品摂取、油物摂取、イ ンスタント食品摂取に間食頻度と関連がみられた。多 変量ロジスティック回帰分析を行った結果、朝食を 「毎日食べる」児童は、「毎日食べない」児童に比べて、 間食頻度が「2 回未満/日」であることのオッズ比が 1.87 倍と有意に高かった。また、乳製品を「1 週間の うち食べることの方が多い・毎日食べる」児童は、「ほ 表 2 児童の間食頻度と生活習慣との関連(ロジスティック回帰分析1)

(5)

とんど食べない・1 週間のうち食べないことの方が多 い」児童に比べて、間食頻度が「2 回未満/日」であ ることのオッズ比が 1.85 倍と有意に高かった。一方、 油物を「1 週間のうち食べることの方が多い・毎日食 べる」児童は、「ほとんど食べない・1 週間のうち食 べないことの方が多い」児童に比べて、間食頻度が「2 回未満/日」であることのオッズ比が 0.65 倍と有意に 低かった。さらに、インスタント食品を「1 週間のう ち食べることの方が多い・毎日食べる」児童は、「ほ とんど食べない・1 週間のうち食べないことの方が多 表 3 児童の間食頻度と食生活との関連(ロジスティック回帰分析1)

(6)

い」児童に比べて、間食頻度が「2 回未満/日」であ ることのオッズ比が 0.69 倍と有意に低かった。 4. 考   察  本研究では、小学校高学年の間食頻度と生活習慣、 食生活との関連を検討した。その結果、間食頻度に関 連する生活習慣、食生活が明らかになり、男女によっ ても異なる点が示された。  生活習慣との関連について多変量ロジスティック回 帰分析を用いて検討した結果、男女ともゲーム時間 数、就寝時刻と関連がみられた。平成 22 年度児童生 徒の健康状態サーベイランス事業報告書では、何かを しながら菓子類を食べ続ける者は、小学校高学年の男 子では6~7人に1人、女子では5人に1人程度であり、 さらに学年が上がるにつれ増加することを報告してい る13)。このようないわゆる「ながら食べ」は、ゲーム 時間数が長くなればなるほど、増加する可能性が高く なり、不適切な間食を招くことが考えられる。また、 岡村ら14)は、女子において就寝時刻が遅いもののう ち、おやつ摂取が過剰となりがちな食習慣を持つもの は、メディア暴露時間が長く、疲労度の訴えが高いこ とを明らかにしている。夜型のライフスタイルは、朝 食の欠食、間食の増加を招く15)ことからも就寝時刻 の遅延は、間食頻度を増加させる要因となることが考 えられる。よって、不適切な間食を減らすためには、 食べる時間を児童に考えさせることが必要であり、規 則正しい間食時間について指導することが重要である と言える。  食生活では、男女とも間食頻度と乳製品摂取頻度に 関連がみられた。本研究では、間食としての菓子類の 間食状況について調査したが、乳製品も児童が日常で 食べる間食の例として挙げられている16)。乳製品を食 べる頻度が高い者は、それ以外の者に比べて、間食頻 度が「2 回未満/日」であることのオッズ比が有意に 高かったことから、本研究においても、間食としての お菓子ではなく、乳製品を食べている児童が存在して いる可能性が考えられる。乳製品の間食は、スナック 菓子などのお菓子に比べて望ましい間食の例として挙 げられている17)ことから、今後は間食としてのお菓 子ではなく、乳製品や果物といった食品を選ぶよう指 導する必要があると考える。また、1 日の間食の目安 量として、児童が 1 日に必要なエネルギー量の 1 割と する 200 kcal 程度までにする18)よう指導することも 重要であると考える。  さらに、本研究では男女とも間食頻度と油物摂取頻 度、インスタント食品摂取頻度に関連がみられた。こ れは深谷ら19)のおやつの摂取頻度が高い児童ほどイ ンスタント食品を摂取する頻度が高いとの報告と類似 する。間食頻度の高い児童は、油物・インスタント食 品摂取頻度が高い、あるいは、油物・インスタント食 品摂取頻度が高い者は間食頻度が高いことが考えら れ、栄養バランスの乱れが懸念される。間食は、朝昼 夕の食事ではとりきれないエネルギーと栄養素を満た すための補食であるという本来の意義をまずしっかり と伝えていかなければならないと考える。  また、男子では間食頻度と野菜摂取頻度、玩味状況 に関連がみられ、女子では、間食頻度と朝食摂取頻度 に関連がみられた。先行研究では、性別によって嗜好 が異なる20)ことや、子どもの食品嗜好について、「好 き」の原因には主として味であることが報告されてい る21)。野菜は特に味が原因で、摂取することを拒むこ とが報告されている22), 23)ことから、間食頻度が高い 男子児童は、自分の嗜好に偏らないよう、野菜や乳製 品も毎日食べる健康的な食事を実践できるように指導 する必要があると考える。また、早食いは食べ過ぎを 招き、肥満の原因となる24), 25)ことから、不適切な間 食を防ぐためには、食べる量に気をつけ、日頃から少 しずつ味わって食べる習慣を身につけておくことも大 切であると考える。そして、これまで児童の朝食を欠 食する最大の理由として「時間がない」「食欲がない」 が挙げられてきた26)。これに加えて本研究の結果より、 女子において間食頻度と朝食摂取頻度に関連がみられ たことから、朝食欠食児に対しては、間食に関する指 導も重要であることが示唆された。  本研究にはいくつか限界点がある。まず 1 点目に、 研究対象が大阪府 S 市 1 地域のみであることが挙げ られる。今後は他の地域の小学生についても同様の傾 向が見られるか検討する必要がある。2 点目に本研究 は、横断的調査であったことから、間食頻度とその関 連要因との因果関係までは明らかにできなかった。ま た、独立変数間の関連も明らかにできていない。3 点 目に限られた質問項目であったことがあげられる。特 に、間食の内容や摂取する時間帯が詳しく調査できて いない。また、家族構成やきょうだいの有無など詳し い属性についても把握することができなかった。子ど もの食事内容は、家族の食事の影響を受ける27)~29) とが報告されていることからも今後は、これらの交絡 要因もふまえた上で関連要因を検討する必要がある。  以上のような限界点は有するものの、本研究は小学 校高学年児童の間食頻度に着目し、関連する生活習慣 と食生活を示した。今後は、児童の間食行動に影響を 与えている因子を考慮し、女子の不適切な間食を減ら すためには、間食の摂り方とあわせて朝食摂取の意義 について指導するといったように、個人にあった指

(7)

導、あるいは指導内容を縦断的に関連付けて、教育が 展開されることが望まれる。 5. 結   語  本研究は、大阪府 S 市内全 10 校の公立小学校の 4 年生から 6 年生 2,170 名を対象に実施した自記式質問 紙調査により、間食頻度に関連する生活習慣および食 生活を検討した。その結果、間食頻度に関連する生活 習慣、食生活が明らかになり、性別によっても異なる 点が示された。今後は、児童の間食行動に影響を与え ている因子を考慮し、個人にあった間食指導を行う必 要性が示唆された。 謝    辞  調査にご協力頂きました大阪府 S 内の公立小学校 の諸先生ならびに生徒の皆様に深謝致します。また、 S 市健康福祉部保健推進課、S 市教育委員会の皆様に 御礼申し上げます。そして、本研究の遂行にご協力頂 きました帝塚山学院大学人間科学部の小林知未講師、 武庫川女子大学大学院の大学院生 小林千鶴様、植杉 優一様に深く感謝申し上げます。 文    献  1)  小児科と小児歯科の保健検討委員会:「子どもの間食」 に関する考え方、小児保健研究、71 巻、3 号、455-459 頁(2012)  2)  独立行政法人日本スポーツ振興センター:平成 22 年 度児童生徒の食生活実態調査 http://www.jpnsport. go.jp/anzen/anzen_school/tyosakekka/tabid/1490/ Default.aspx(2015 年 1 月 14 日取得)  3)  小野真奈美、本間和代、木暮ミカ:小学生の朝食・ 間食の摂取状況および肥満児童等の実態─プリシー ド・プロシードモデルを応用した行動・環境診断─、 明倫短期大学紀要、16 巻、1 号、53-57 頁(2013)  4)  鈴木洋子、谷口明子:小学校家庭科における食物学 習の動向、日本教科教育学会誌、25 巻、3 号、11-16 頁(2002)  5)  平山宗宏、水野清子、高野 陽、染谷理絵、堀口貞夫、 加藤忠明、土井正子:母子健康・栄養ハンドブック、 医歯薬出版、187-210 頁(2000)  6)  木村留美子:肥満児童の研究(1)─肥満の判定と食・ 生活習慣病等の問題─、北陸公衆衛生学会誌、26 巻、 1 号、19-24 頁(1999)  7)  安部奈生、芝木美紗子、笹嶋由美:小学生の血圧、 肥満と食行動に関する調査、学校保健研究、44 巻、1 号、14-21 頁(2002)  8)  Weiss, R.L. and Trithart, A.H. : Between meal eating  habits  and  dental  caries  experience  in  preschool  children, Am J Public Health Nations Health., 50 (8),  1097-1104 頁 (1960)  9)  太田百合子:見直してみよう間食肥満や生活習慣病 にならないためのおやつ選び、少年写真新聞社、全 47 頁(2003)  10)  赤松利恵、岩川裕美、大原直子、畑中知子、伊能由 美子:行動変容を成功させるプロになる栄養教育ス キルアップブック、化学同人、3-4 頁(2009)  11)  春木 敏:児童を対象とするライフスタイル形成に 基礎を置く食生活教育プログラムの開発と評価に関 する研究、栄養学雑誌、67 巻、41 号、178-185 頁(2009)  12)  春木 敏、川畑徹朗、近森けいこ:ライフスタイル と生活習慣との関係関する縦断研究、学校保健研究、 46 巻、suppl、574-575(1999)  13)  日本学校保健会:平成 22 年度児童生徒の健康状態 サーベイランス事業報告書、42 頁(2010)  14)  岡村真理子、小松啓子:メディア暴露時間の長短が、 女子生徒の学習・食生活・健康に与える影響、福岡 県立大学人間社会学部紀要、16 巻、2 号、43-52 頁 (2007)  15)  島井哲志、川畑徹朗、西岡伸紀、春木 敏:小・中 学生の間食行動の実態とコーピング・スキルの関係、 日本公衆衛生雑誌、47 巻、1 号、8-13 頁(2000)  16)  小野くに子、奥田豊子:小学生の歯の健康状態と食 生活・体力との関連性─齲歯数・咀嚼能率─、大阪 教育大学紀要、56 巻、2 号、21-33 頁(2008)  17)  矢口友理:それいけ!子どものスポーツ栄養学、建 学社、34-37 頁(2009)  18)  文部科学省:食生活学習教材(小学校中学年指導者用) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/syoku  seikatsu/1296557.htm(2015 年 9 月 2 日取得)  19)  深谷奈穂美、白木まさ子:肥満児の食事状況と生活 習慣、学校保健研究、36 巻、4 号、225-230 頁(1994)  20)  Nu, C.T., MacLeod, P.M., Barthelemy, J. : Effects of  age and gender on adolescents’ food habits and pref-erences, Food Qual. Pref., 7 (3), 251-262 (1996)  21)  Szczesniak, A.S. : Consumer awareness of and atti-tudes to food texture : Ⅱ. Children and teenagers. J. Text. Stud., 3 (2), 206-217 (2007)  22) 江田節子:幼児の食生活に関する研究─幼児園児の 弁当の実態とその問題点─、食生活学会誌、17 巻、3 号、224-230 頁(2006)  23)  細谷圭助、倉盛三知代:小学生の野菜摂取に関係す る食習慣と親の食意識について、栄養学雑誌、54 巻、 4 号、251-258 頁(1996)  24)  赤尾登紀子、渡辺順子、浜野美代子、古川利温:児 童の咬合力と食行動、運動習慣、体型との関連につ いての検討、小児保健研究、63 巻、6 号、619-625 頁 (2004)  25)  小野晴美、伊藤学而、瀬戸三史郎:肥満児における 摂食パターンと咬合発達に関する予備研究、鹿児島 大学医学雑誌、42 巻、1 号、101-108 頁(1990)  26)  小林奈穂、篠田邦彦:幼児、児童、生徒の朝食欠食 を促す要因に関する系統的レビュー、新潟医福誌、7 巻、1 号、2-9 頁(2007)

 27)  Fox,  M.K.,  Pac,  S.,  Devaney,  B.,  Devaney,  B.  and  Jankowski, L. : Feeding Infants and Toddlers Study :  What  Food  Are  Infants  and  Toddlers  Eating?,  J. Am. Diet. Assoc., 104 (1), 22-30 (2004)

 28) Scaglioni, S., Salvioni, M. and Galimberti, C. : Influ-ence  of  parental  attitudes  in  the  development  of  children eating behaviour, Bri. J. Nutr., 99 (1), 22-25 

(8)

(2008)

 29)  Skinner,  J.,  Carruth,  B.R.,  Moran,  J.,  Houck,  K.,  Schmidhammer, J., Reed, A., Coletta, F., Cotter, R.,  Ott, D. : Toddlers’ Food Preferences : Concordance 

with Family Members’ Preferences, J. Nutr. Educ. Behav., 30 (1), 17-22 (1998)

(平成 27 年 3 月 26 日受付、平成 27 年 9 月 24 日受理) ────────────────────────

参照

関連したドキュメント

学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院

一貫教育ならではの ビッグブラ ザーシステム 。大学生が学生 コーチとして高等部や中学部の

生活環境別の身体的特徴である身長、体重、体

第4版 2019 年4月改訂 関西学院大学

1978年兵庫県西宮市生まれ。2001年慶應義塾大学総合政策学部卒業、

話題提供者: 河﨑佳子 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 話題提供者: 酒井邦嘉# 東京大学大学院 総合文化研究科 話題提供者: 武居渡 金沢大学

向井 康夫 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 牧野 渡 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 占部 城太郎 :

学年 海洋教育充当科目・配分時数 学習内容 一年 生活科 8 時間 海辺の季節変化 二年 生活科 35 時間 海の生き物の飼育.. 水族館をつくろう 三年