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廃棄有機物の堆肥化利用に関する研究 I. 木材工業における廃水の余剰汚泥について-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号 55∼63,1980

廃棄有機物の堆肥化利用に関する研究

Ⅰ木材工業における廃水の余剰汚泥について

樽 谷 勝,梅 田 裕

STUDIES ON UTILIZATION OF WASTE ORGANICS AS COMPOSTS

IOntheexcesssludgeinthewastewaterofwoodindustries

MasaruKuRETA封IandⅥ1taka UMEDA

Inordertoutilizetheexcesssludgeinthewastewaterfiomwoodindustries ascomposts,Sludges werestudiedto

ObtainthefbllowlngreSultsl

(l)Either缶breboardsludgeorpaperandpulpexcesssludgewasmixedwithsawdustandanimalexcrements to glVeSludgecompostsofgoodquality

(2)Severalvegetablesappliedwiththesludgeanditscompostshowedbothsuperiorgrowthandyield,aS COm− paredwiththeuntreatedvegetableslAmongtreatmentsexamined,thesludgecompostmiⅩedwithchicken

excretagavethebestresultTheadditionoftheprlmaIynutrients offtrtilizer tot!leSludgeandits compost

afrbrdedmuchmorevegetablegrowthandyield,aSCOmparedwiththeuntreatedsludgeanditscompost“ (3)TheECofsoilwasincreasedbyapplyingthesludgeanditscompost・Therelationshipbetweentheincrease OfECandthevegetablegrowthwasnoted・ (4)Fromtheaboveresults,itwassuggestedthatnotonlytheexcesssludgebutalsoitscompostwasusefulfor 托Ttilizer 合板工業及び製紙工業から排出される廃水の余剰汚泥を堆肥化して利用することを目的として,それらから排出さ れた汚泥を用いて実験を行ったい (1)合板工業ならびに製紙工業廃水の余剰汚泥にオ・ガ府及び家畜糞を混合して堆肥化を試みたところ,良質な 汚泥堆肥が得られた,. (2)数種の野菜に対して施用試験をした結果,汚泥ならびに汚泥堆肥の施用は,無施用区に較ペて生育,収畳と もに優った.とくに鶏ふんを混合した汚泥堆肥を施用したものが最もよかった.また,3要素肥料を汚泥及び汚泥堆 肥に添加した場合には,鮫添加よりもすぐれた生育,収盈を示した。. (3)汚泥ならびに汚泥堆肥の施用によって,土壌のECは高くなり,ECの上昇と野菜の生育との間には相関関 係がみられたけ (4)本実験の結果から,余剰汚泥の肥料価値と,家畜発との混合・発酵による堆肥化によって,利用価値の増進 されることの資料が得られた小 緒 口 従来,都市廃棄物をはじめ産業廃棄物の処分方法として,主にとられてきた焼却,埋立,海洋投棄などは,いずれ も環境汚染の主因となっていることが指摘され,そのためこれらの処軌 処分に対する法的を規制,基準が強化され てきた= 他方,耕地土壌にあっては地力増進をはかるために,有機質肥料の施用が重視され,その実行が強調されて lハる. これら両方の観点から,廃棄物の資源化利用あるいは有機質廃棄物を肥料として土壌に還元する方向での関心が高

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香川大学戯学部学術鰍告 第32巻 節1号(1980) 56 まっており,それら資源・資材の有効利用として家畜糞尿の利用のほか,木材工業廃棄物としてのパーク,オガ層, チップ檜孜どの卿巴化=),都市塵填の堆肥偲2),し尿汚泥及び下水汚泥の肥料化(3,妨6)による農耕地への勘Iヨが行わ れつつある. しかし,工場や事業場から排出される産米廃水の活性汚泥法によって生ずる余剰汚泥については,し尿汚泥や下水 汚泥の肥料化利用に膜べて,資源化利用における活路開拓が立ち遅れており,未だ肥料化,堆肥化利用の例は少いよ うである. 筆者らは1976年以来,園芸作土壌の地力培養法に閑する研究の一環として,廃棄有機物のニヒ壌への還元利用につい て,産業廃水の活性汚泥法服よる余剰汚泥の活路開拓を目指した肥料化利用の研究を継続中である. 本報では,とくに木材工業における廃水処理の余剰汚泥の肥料的利用の検討とともに,オガ僧及び鶏糞などとの混 合,発酵による堆肥化を試み,更にそれらを数種の野菜作に施用した場合の宛育,収鼠並びに土壌pH,ECに及ぼす 影響等について,調査した結果を報告する.この報告の概要は,昭和54年度文部省・名古屋大学‡†三侃 全国大学附属 農場教育研究集会において発表した. 供試材料及び方法 1供試汚泥 供試汚泥として次の二種を用いた. (1)F.B.汚泥(FibreBoard汚泥) 合板工場から排出される廃水の∴活性汚泥故による余剰汚泥の脱水ケーキで,水分75.7%,チッソ1.03%,リン酸 0.73%,pH6,85のものである. (2)P.P.汚泥(Paper&Pulp汚泥) 製紙工蝮から排出される廃水の,活性汚泥法常よる余剰汚泥の脱水ケーキで,水分73.4%,チッソ0.77%,リン酸 0.56%,pH6.25のものである. 2 汚泥触他の試作 (1)素材の配合及び発酵 前記の供試汚泥を主材とし,これに第1表に示すような配合調合で各種素材を混合し,第1区=こ示すリサイクルマ シン(発酵機)を用いて発酵させ,汚泥堆肥(注:記述中で「剃巴」という表現を用いた箇所がある)を試作した・ この試作品を野菜栽培の試験に供した. 第1衷 汚泥堆肥(熟肥)の配合割合 F.B.汚 泥 P.P.汚 泥 Ⅰ ⅠⅠ Ⅰ ⅠⅠ 600l(g 4001唱 200 300 150 250 40 40 10 10 0.2 0.2 500短 700lくg 200 150 250 100 40 40 10 10 0.2 0,2 汚 泥 オ ガ暦 家畜ふん 米ぬか 海藻粉末 発酵菌 注:F.B.汚泥Ⅰ,ⅠⅠの家畜ふんには鶏ふん又は 牛ふんを用い,P.P.汚泥沃ⅠⅠには鶏ふん を用いた. 第1図リサイクルマシン(発酵機) (M・A】5塑) (2)汚泥堆肥の製造工程 1)、第1次発酵 素材の混合:各素材を配合盈に従って配合し,よく温和する.この際汚泥の含水状態によってオガ層浪人:最を多少 加減し,混合した素材の水分含蕊を60∼65%程度に調製する・

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号(1980) 56 まっており,それら資源・資材の有効利用として家畜糞尿の利用のほか,木材工業廃棄物としてのバ・−ク,オガ暦, チップ屑などの堆肥化(1),都市塵壊の堆肥化(2),し尿汚泥及び下水汚泥の肥料化(3,4,5,6)による農耕地へ.の施用が行わ れつつある. しかし,工場や事業場から排出される産業廃水の活性汚泥法によって生ずる余剰汚泥については,し尿汚泥や下水 汚泥の肥料化利用に校べて,資源化利用における活路開拓が立ち遅れており,未だ肥料化 堆肥化利用の例は少いよ うであるい 筆者らは1976年以来,園芸作土壌の地力培養法に関する研究の一・環として,廃棄有機物の土壌への還元利用につい て,産業廃水の活性汚泥法による余剰汚泥の活路開拓を目指した肥料化利用の研究を継続中である‖ 本報では,とくに木材工業における廃水処理の余剰汚泥の肥料的利用の検討とともに,オガ檜及び鶏糞などとの混 合,発酵による堆肥化を試み,更にそれらを数種の野菜作に施用した場合の宛育,収盈並びに土壌pH,ECに及ぼす 影響等について,調査した結果を報告する.この報告の概要は,昭和54年度文部省・名古屋大学主催,全国大学附属 農場教育研究集会において発表した. 供託材料及び方法 1供試汚泥 供試汚泥として次のこ種を用いた (1)F.R汚泥(FibreBoard汚泥) 合板工場から排出される廃水の,活性汚泥法による余剰汚泥の脱水ケ・−キで,水分757%,チノソ1.03%,リン酸 OL73%,pH6。85のものである (2)PP,汚泥(Paper&Pulp汚泥) 製紙工扱から排出される廃水の,活性汚泥法による余剰汚泥の脱水ケ・−キで,水分73∩4%,チッソ077%,リン酸 0.56%,pH6.25のものである. 2 汚泥塊胞の試作 (1)素材の配合及び発酵 前記の供試汚泥を主材とし,これに第1表に示すようを配合割合で各種素材を混合し,第1図に示すリサイクルマ シン(発酵機)を用いて発酵させ,汚泥堆肥(注:記述中で「熟肥.という表現を用いた箇所がある)を試作した. この試作品を野菜栽培の試験に供した 第1表 汚泥堆肥(熟肥)の配合割合

FB 汚 泥 PP汚 泥

Ⅰ ⅠⅠ Ⅰ ⅠⅠ

506kg 700kg 600kg 400kg

200 150 200 300 250 100 150 250 40 40 40 40 10 10 10 10 02 0 2 02 02 汚 泥 オ ガ屠 家畜ふん 米ぬか 海藻粉末 発酵菌 注:F.B汚泥Ⅰ,ⅠⅠの家畜ふんには鶏ふん又は 牛ふんを用い,PuP.汚泥Ⅰ,ⅠⅠには鶏ふん を用いた。. 第1図リサイクルマシン(発酵機) (M・A−5型) (2)汚泥堆肥の製造工程 1)第1次発酵 素材の混合:各素材を配合盈に従って配合し,よく混和する.この際汚泥の含水状態によってオガ暦混入盈を多少 加減七,混合した素材の水分含盈を60∼65%程度に調製する.

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樽谷 勝,梅田 裕:廃水余剰汚泥の堆肥化利用 57 発酵機タンク内発酵:前項のように調製した素材を発酵機内に送入(送入コンベア一便用)し,発酵機タンクを回 転させながら,発酵機の加熱バーナーによって,タンク内の品温を70∼750Cに保ちつつ,約2時間処理(発酵促進) する.この間,機内の素材は撹拝,加熱,水分調節,粉砕,固形又は粒状化が行われる. 2)第2次発酵 取り出し・堆積:第1次発酵のエ程を終えたものを,発酵機タンクより取り出し,屋根のあるコンクリ−・ト床に, 高さ50cmくらいの台形状に堆敬し,第2次発酵工程に移る. 切り返し・発酵期間:発酵期間は15∼20日間くらいで,前半期間は1∼2日ごとによく切り返しを行い,酸素の供 給と発酵温度の過上昇を防ぐ.後半期はほぼ3日ごとに切り返しを行う.この間に水分の発散,軽盈化,粒状化が促 される. 3.汚泥及び汚泥堆肥の肥効調査 (1)供試汚泥の性状 供試汚泥の外観及び取り扱い上の難易,とくに作業中における臭気,不快感等について感応的な調査を行った. (2)野菜の栽培試験 香川大学虚学部附属農場構内において,1976年11月より1978年2月の期間に亘ってタマネギ,ホウレン草,ダイコ ン,トマトをポットに栽培し,汚泥及び汚泥堆肥(熟肥)を施用して,その肥効について観察・調査した. A.F.B.汚泥及びF.B.汚泥堆肥の施用試験 1)タマネギ栽培試験

1976年11月から翌年6月までの期間栽培を行った.1..0×1.0×0.4mの角型コンクリートポットに,有機質を含まな

い礫質の花こう岩土壌を充填し,元肥として各区共通に1ポット当たり消石灰200g,溶リン100gを施し,土壌と よく混和した∴更にF.B.汚泥区及びF.B1.汚泥堆肥区には,F.B.汚泥並びにF月.汚泥堆肥を乾物換算で約3kg施 し,土中によくすき込んだ.11月16日に,「淡路中甲高。」のタマネギ苗を25本ずつを株間12cmに植付け,以後の管 理は除草,溢水程度にとどめた.翌年5月10日に発育状態の調査を行うとともに,6月8日に収穫して球重,球径を 調査した. 2)ホウレン草栽培試験 前項1)のタマネギ栽培の後作として,F.B.汚泥及びF.B.汚泥堆肥の残効性をみるため,1977年10月7日に日本 種ホウレン草を2粂に播種.その後は溢れ 間引きの管理を行い,翌年2月17日に掘り上げによって,各区の発育状 態を調査した. B.P.P.汚泥及びP.P.汚泥堆肥施用試験 1)春蒔ダイコン栽培試験

1977年5月14日,1.0×1.0×0.4mの角型コンクリ・一斗ポットに,有機質を含まない礫質の花こう岩土壌を充填し,

元肥として1ポット当たり消石灰200g,溶リン100g,化成肥料(15:12:15)50gを各区共通に,またP.P.汚泥区及 びP.P.汚泥堆肥施用区では,それぞれ乾物換簸で汚泥及び汚泥堆肥約3kgを施し,いずれも土壌中によくす会込ん だ. 5月16日に春蒔みの早生大根をポット内に2条播きした.以後は追肥を行わず,湛水,中耕,除草及び間引などの 通常の管理を行った. 6月13日に間引きによる発育状態の調査を行い,さらに7月15日に収穫して地上部,地下部の発育状態及び根汁の 糖度を調査した. 2)秋蒔ホウレン草栽培試験 前項の春蒔ダイコン栽培試験の後作として,汚泥及び汚泥堆肥の挽効性をみるために,ダイコンの収穫後しばらく 放置しておき,1977年10月7日にポット内土壌をよく排したのち,日本種ホウレン草を2条に播種した.その後の管 理は渡れ 間引きを行う程度にとどめた. 翌年2月15日に掘り上げによって英数,茹長,地上部及び株重の調査を行った. 3)トマト栽培試験

1977年5月11日に内径50cm・探さ30cmの円型コンクリt−トポットに,有機質を含まない礫質花こう岩土壌を,

探さ約25cm充填し,共通肥料として1ポット当たり消石灰200g,溶リン100gを施し,土とよく混合させた.次 いでF.B巾汚泥,F.B.汚泥堆肥,P小P.汚泥,P.P.汚泥堆肥の各区には,それぞれ1ポット当たり含水状態の現物製品

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香川大学農学部学術報告‘第32巻 第1号(1980) 58 3kg(乾物換算で約1kg相当)を施した.これと別に無施用対照区を設けた. 更に化成肥料との併用効果をみるために,これらの各区に化成肥料(15:12:15)の無添加(A区)と,50g添加 施用(B区)の計10区を設け,各区2ポットずつを準備した. 5月16日に別に育苗しておいたトマト苗(福寿2号)を1ポット1本格とした.植付け時のトマト笛の大きさは草 丈16.5cm,英数6.7枚,下部の茎の太さ径6u2mmであった.植付け後は適宜に撒水を行い,支柱を施し,芽かぎ・ 誘引を行いつつ,無摘芯の1本仕立てとした.追肥及び薬剤散布は行わをかぅた. 7月1年日に発育状態の調査を行い,更に8月17日の実験終了時における草体の発育状態,∴果実の収盈(呆数,果重 の累計)及び果汁糖度を調査した. (3)栽培土壌のEC及びpH調査 前記,野菜の栽培試験跡地土壌について,ECは束亜電波製電導度計により,p班は東芝ペヅマン艶p甘計を用い て,骨法によって測定した. 真 鶴 結 果 1.供試汚泥の性状調査 供試のF月.汚泥及びP.P.汚泥は,すでに産業廃棄物に係る排出の判定基準に適合し,肥料化資材として無審であ ることの認定を得たものである. これら汚泥の性状及び作業上の難易について観察及び体験的調査を行った結果によれば,F.B.汚泥は汲褐色で,木 質せんいが多く,水分含盈は75%前後で粘着性がある..特有の臭気はあるが別に取り扱い上,不快・有沓を感ずる程 のものではなかった. P.、P.汚泥は黒色を帯び,圧搾脱水の跡を示す小板状を呈し,水分含盈は73%程度で作業的には取り扱いやすい.し かし,これが日射等により乾燥すると,そのまま乾固して硬くをり,容易に粉砕することが難しく,水にも容易に解 けなくなる.製紙スラッジ特有の臭気はあるが,取り扱い中とくに悪臭として耐えられないほどのものではをい. 2.野菜栽培試験 (1)F.B,汚泥及びF.B.汚泥堆肥施用試験 1)タマネギ栽培試験 1977年5月10日における発育状態を抜き取り調査した結果,をらびに6月8日の収穫時における球の大きさは第2 表のとおりである.無施用対照区では生育途中で枯死・欠損したものも多く,また発育状態及び球の大きさは甚だ不 良であった これに対して汚泥区をらびに,汚泥堆肥区では,発育及び球の肥大が優れた.収穫時の球径,球重を比較した場合, 汚泥区よりも汚泥堆肥施用の各区が優り,汚泥堆肥のうちでも鶏ふん熟肥のほうが,牛ふん熟肥よりも優れた.、 策2表 タマネギの発育及び球の大きさ 発 育 状 態 (5月10日) 球の大きさ(6月8日) 草丈(菓長) 重 来 数 葉 球 重 球 径 球 孟 球 径 Cm g Cm 枚 g 照 区 29.5 50 7。5 7い0 15 2い4 1む5 26 87..5 5..6 4・8 革26.0 8.1 4u6 214.0 8.1 4=6 189、5 7.6 4 7 2000 7 7 区 60.0 70 45.0 17.5 Ⅰ区 77..5 8.0 150,.0 95.0 ⅠⅠ区 80い0 8い0 120い0 72.5 Ⅰ区 80.0 90 120.0 65.0 ⅠⅠ区 78.3 8.0 1300 70.0 ん ん ふ ふ 鵜 牛 注:1個体当たり平均値. 2)ホウレン草栽培試験 前凰 タマネギの後作として栽培したホウレン草を,掘り上げによって発育状態を調査した結果は第3表めとおり

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樽谷 勝,梅田 裕:廃水余剰汚泥の堆肥化利用 策3表 ホウレン草の発育状態 (2月17日) 59 兼 数 最長葉の長さ 菓重(地上部重) 1株重 6 3 0 5 0 0 7 6 8 7 4 2 3 4 3 3 3 7 5 5 8 0 5 6 2 1 2 8 7 3 4 4 2 2 6 0 8 6 5 1 9 9 8 8 6 6 1 ﹁⊥ l l l 無 施 用 対 照 区

FB 汚 泥 区

0 0 5 7 8 5 2 6 3 6 6 6 1 2 3 2 2 2 ん ん ふ ふ 鶏 牛 注:調査株数10株の平均値. で,無施用対照区にくらべて汚泥区及び汚泥堆肥施用の各区では英数,薬長,葉重及び1株重のいずれも優れた−・ (2)PP.汚泥及びP‖P汚泥堆肥施用試験 1)春蒔ダイコン栽培試験 5月16日播種のダイコンについて,6月3日の間引き時ならびに7月15日の収穫時における発育状態を調査した結 果は第4表のとおりである.醸施用対照区に較べて汚泥区でも発育が優れたが,鶏ふん熟肥ⅠⅠ区がより優れた. 第4表 春蒔ダイコンの発育状態 (1個体当たり) 7月15日 収 穫 時 調 査 6月3日間引調査 根汁の糖度 (屈折計示度) 地上部重 地下部垂 (菜 重)(根 重) 大根の長さ謂品綜 本葉数 1株塵 % 4 9 4 5 50 40 枚 g g g cm mm 無 施 用 対 照 区 35 110 135 140 170 15 8 P.P汚 泥 区 42 280 1283 3202 307 40 9 鵜ふん熟肥Ⅰ区 40 285 950 1912 295 37 9 鶴ふん熟肥ⅠⅠ区 40 325 1077 3216 317 442 2)秋蒔ホウレン草栽培試験 1977年10月17日播種のホウレン草について,12月25日における各区の発芽,発育状態は第2図に示すとおりで,無 施用対照区及び汚泥区の発芽,発育はともに甚だ不良であった.この汚泥区が汚泥堆肥区に較べて発芽,発育が著し く劣ったことは,注目すべきことであった. また,翌年2月15日に掘上げ調査による,発育状態を比較すると第5表のとおりであった・・ 第5麦 秋蒔ホウレン草の発育状態 (1978年2月15日) 葉 数 楽 長 (最長菜) 1株重 枚 無 施 用 対 照 区 43 34 P P汚 ブ尼 区 52 46 Cm g 4 9 7 0 0 0 3 0 3 3 3 7 5 8 0 0 9 00 2 2 鶏ふん熟肥Ⅰ区 207 20 2 鵜ふん熟肥ⅠⅠ区 280 193 3)トマト栽培試験 円型コンクリートポットを用いた,トマト栽培の8月17日(実験終了時)における草体の発育状態,結実乗数・果 重及び果汁糖度を調査した結果は第6真のとおりであるい まず,化成肥料無添加(A)の各区についてみると,F.B‖及びP.P.汚泥区ならびに両汚泥堆肥(鶏ふん熟肥)の施 用区は,無施用対照区に較べてはるかに優れた草体の発育,結実状態を示したこの場合,茎重及び結実果数・果重 においてはFBい汚泥のほうが,PいP、汚泥よりも優れたいつぎに化成肥料添加施用(B)の各区についてみると,汚泥

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号 (1980) 60 算2図 秋蒔ホウレン輩の発芽及び発育状態(1977年10月17日横払12月15日撮影) 及び汚泥堆肥施瀾の各区間の草体の発育ならびに結実米数・果重の差異は(A)の場合と同様の傾向を示した. また,化成肥料の添加施用の有鮎こよる発育状態及び結実束数・果重の差をみると,各区とも添加施用(B)は無 施用(A)よりも優れた. 果汁糖度を調べた結果ほ,無施用対照区に較ペて汚泥及び汚泥堆肥を施用した1真において,やや高い傾向がみられ るが,(A)と(B)との間の区間差異には明確を傾向はみられなかった. 第6袈 トマトの発育状態及び収二転と‥品質 (8月17fヨ調査.1個体当たり)

葦 体 の 発 育 状 態

果実の収鼠 品 質 地際部 の直径 茎 長 節 数 茎 重 結実果数 結実果重 果汁糖度

2.5憫 188.5g

3 月コ 5 5 6 5 4 5 4 4 9 1 9 00 0 1 2 2 5 3 %

102.5Cm

29.0 180.5 37.0 170.5 32.5 200.0 38.0 177.0 34.0 198.0 37,0 193.5 35.5 192.0 37.8 186.5 35.5 186.0 36.7 48.5g 7.5ⅠⅥn1 209.0 13.9 312.5 13.4 348.0 13.3 271.5 13.3 329.5 13.5 236.5 13.1 276.5 13.6 173,0 11.0 195.0 13.1 無施用対照区 15.5 1,431.0 15.5 1,539.5 22.0 1,868.5 14.5 1,679.5 18.0 2,292.5 13.5 1,425.0 17.0 1,580.5 8.0 1,079.5 14.1 1,317.0 F・B・汚泥区‡… p・P・汚泥区 †… R P汚泥.牡肥区 (鵜ふん熟肥ⅠⅠ) 往:A…化成肥料無添加,B‥イヒ成肥料添加施用 茎重は基を除いた三i三茎のみ.果汁糖度は屈折糖度計の示度.

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樽谷 勝,梅田 裕:廃水余剰汚泥の堆肥化利用 61 3‖ 土壌のEC及びpH (1)Fい玖汚泥及びFlB.汚泥堆肥施用土壌 タマネギ栽培地の表層土を5月10日に採取し,EC及びpHを測定した結果は第7表のとおりである.ECは殺高 133,0〃0/cmで全区ともあまり高い値ではなかったが,汚泥区に較べると汚泥堆肥区の方が高かった..しかし汚泥堆 肥の牛ふん熟肥ⅠⅠ区において無施用対照区より低い偲となったことの原因については不明であるpHでは7.お∼ 7。95(HBO),6.70∼7い10(KCl)と全区とも中性から弱アルカリ性であった。、これはpH矯正のために加えた石灰によ るものであるい しかし,汚泥堆肥施用区では鶏ふん熟肥より年ふん熟肥の施用が,土壌をより酸性化する傾向がうか がわれた… (2)P.P…汚泥及びP.P.汚泥堆肥施用土壌 春蒔ダイコン栽培地をらびにトマト栽培地の表層土を6月13日及び8月17日にそれぞれ採取し,EC及びpHを測 定した結果は第8,9表のとおりである.番蒔ダイコン栽培地土壌についてみれば,ECは毅高117・0〃0/cmでF・B・ 汚泥をらびにF、B..汚泥堆肥施用土壌に較べて低い値を示した∴、また汚泥区より汚泥堆肥施用区が低い億を示し,pH でも8.10∼8い30(H20),7小30∼7.50(KCl)とかをり高い アルカリ性を示したことはF.B=汚泥,F.思.汚泥堆肥施 用土壌とは傾向を異にするものであった.トマト栽培地 土壌についてみてもF。B..汚泥ならびに汚泥堆肥施用区 が,P.P¶汚泥をらびに汚泥堆肥施用区に校べてECは 高くなり,pHは低くをる傾向がうかがわれた. 第9表トマト栽培土壌のEC,pH (1977年8月17日調査) 第7表 タマネギ栽培土壌のEC,pIi (1977年5月10日調査) 無 施 用 対 照 区 91,.2 F.B小 汚 泥 区■ 99.9 5 0 0 0 0 0 0 nO ﹁⊥ 1 9 7 7 6 7 7 6 6 5 5 5 0 0 0 9 3 7 9 7 6 7 7 7 7 7 7 Ⅰ区 133.0 ⅠⅠ区 131l.0 Ⅰ区 110ハ5 ⅠⅠ区 75.3 ふ ふ 鶏 牛 ん熟肥 ん熟肥 無施用対照区‡… F・B・汚泥区‡… ニニニこ圭こ・≡ PいP牒泥区‡…

箇溜野‡…

65‖7 8‖50 7..40 64.3 8…25 7.20 84小6 7..80 7.10 112..5 7.65 6.95 85.3 8.30 7…40 98.2 8.10 7..40 74い3 835 7.40 87い7 8.20 7¶き0 75.2 8り50 7.50 89.6 臥.30 7..50 第8表 容蒔ダイコン栽培土壌のEC,pH (1977年6月13日調査) 無 施 用 対 席 区 80.5 8.30 7・35 P。p‖ 汚 泥 区 117り0 830 7.50 鶏ふん熟肥Ⅰ区 105.0 8r10 7い30 鶉ふん熟肥Ⅱ区 97.8 8.10 7・45 考 察 産灘廃水の活性汚泥法によって生ずる汚泥の肥料的利用の適否判定の規準として,乗原(5)の記述によれぼ肥料成 分舎監肥料成分の形態,有車重金属の含盈,有機有啓成分,炭素化合物及びその組成などの項目があげられ,この うちで掛こ肥料としての適格性を欠き,利用不可儲とをる主体は有機・無機の有審成分の有無と,その含盤によって 判定されるとされている1.即ち無機有魯物としてのカドミウム,水銀,鉛,六価クロム,ひ素をはじめ,有機有審物 としてのPCB含盈が問題視される また,汚泥中の肥料成分倉並をらびに形乳肥効をとについての柴原らの報告(8・9−10)によると,余剰汚泥は微生物 菌体を主とする有機物であるため,タンパク憩チッソと有機態リン酸を比牧的多足に含み,その含温も安定している ものとされ,また,土壌中での分解,無機化は他の多くの有機質肥料と同様であり,肥効は援遅効性である・しかし, 好適条件下での無機化は意外に速く,速効的肥効も併せもつものであるとしている.

(9)

香川大学農学部学術報告 第32巻 第1号(1980) 62 このような観点から,本実験に供したF.B小汚泥ならびにP.P‖汚泥の肥料化についてみれば,これらはともに天然 物木材を主原料とした工場廃水の余剰汚泥であり,その脱水ケ・−キ中のチッソ及びリン酸含盈は,−・般の堆肥にひっ てきする舎監をもち,有事成分も含まず,すでに特殊肥料(土壌改良資材)としての認可を受けているものである. またその性状調査からしても,肥料的利用の適合性をもっているものとみなされる. これらの活性汚泥や下水汚泥の肥料的利用法としては,汚泥を単に脱水・乾燥した乾燥菌体肥料又ほ汚泥肥料とし ての利用が主体であるが(8)(5),一・方,汚泥にモミガラ(8),オ・ガ府(4〉,古盈表(8),稲わら又はモミガラ(7)等を加えた 汚泥コンポスト及び速成堆肥にした利用等も試みられている.しかし,本研究において試作したように,オ・ガ府のほ かに家畜ふんを混合しての再発酵,堆肥化の利用は他に例を見ない. このような利用法は汚泥ケーキそのままの利用よりも,他の廃棄有機物の有効利用と併せて付加価値の増進をはか ろうとするものであり,この点他者が行っているように単に汚泥をコンポスト化するだけとは,その趣きを異にする もので,汚泥の肥料化利用拡大のためには有意義夜方法であると思われる. 汚泥の施用試験について川口ら(4)の行った海岸砂丘地土壌での結果をみれば,タマネギの生育は無肥料,3要素 施用条件によって異をるが,オガ層混冶コンポストを施用しても生育はすぐれなかったが,収盈では苦土石灰併用で 増収したとしている.また,続いて汚泥コンポスト施用の残効をカンショ作で見た結果では,無肥料で汚泥コンポス ト施用の場合に生育,収盈は増加したが,3要素施用条件では増収に至らなかったことを報告している.更に沖培土 壊におけるホウレン草に対するモミガラ混入の汚泥コンポストを施用した試験の結果,佼大乗長及び生体真において, 無施用区に比しコンポスト施用区が明らかに優れ,肥料無施用系列であっても,コンポストの施用は無施用区に対し て3要素施用に匹敵する程の生育を示したことを認めている.このような試験結果と,本実験における野菜栽培試験 の調査結果との間に,ほぼ同様を傾向を示しでいることがうかがわれる小つまり汚泥及び汚泥堆肥(熟肥)の施用が, 供試した野菜額の発育,収盈に対して良い結果をもたらしたことば,それらの肥効によるものであると考えられる. しかしをがら,F.B.汚泥及びP.P小汚泥の両者間に,また野菜の種類によって肥効の現われ万が一・致しない点が あったのは,汚泥の性状及び供試の汚泥堆肥(熟肥)に配合した素材の種類及び盈の差異によるものと思われる.ま た,素材としての家畜ふんでは牛ふんより鶏ふんを使用した方がより優れた結果が得られた. 以上の結果よりして本実験の場合,供試野菜の発育状態及び収盈についての調査が主であり,土壌の理イヒ学性に及 ぼす影響並びに肥料成分についての調査が不十分だった感がないでもないが,野菜の発育,収盈調査の結果が示すよ うに,廃棄物としての余剰汚泥を肥料として利用する場合の価値と,その利用増進のための堆肥化に関する若干の資 料は得られたものと考えられる. 謝 辞 本実験の遂行に当たり,汚泥の提供を賜わった東洋テックス株式会社(香川県高松市),大王製紙株式会社(愛媛 県川之江.市)に厚くお礼を申し上げる.また,ご協力をいただいた附属農場の伊藤博允技官,出口秀夫技官に感謝し, さらに,これら廃棄有機物の肥料化利用に関する・−・速の研究遂行に対して,昭和54年度文部省科学研究費補助金の交 付をいただいたことを特記し,深甚の謝意を表する. 引 用 文 献 (1)本田誠一・:各種有機物肥料の製造と利用,有機質 肥料及び土壌改良剤に関するレポート,エコー, リサーチ,34−43(1975). (2)高橋和司:都市廃棄物の特性と作物への施用効果 日本土壌肥料学雑誌,50,273−284(1979)1. (3)大羽 裕:下水汚泥の土壌中における分解過程の 検討,下水汚泥の農用地利用に関する調査,日本 土壌協会,53−60(1979). (4)川口菊雄,河森 武,中野政行:下水汚泥コンポ ストの栽培試験,下水汚泥の農用地利用に関する 調査,日本土壌協会,71−89(1979). (5)栗原 敵:余剰汚泥の植物生育に及ぼす影響,汚 泥の緑農地遼元肥料化対策資料集,フジテクノシ ステム,170−188(1976). (6)楠本正康,矢木 博,矢木修身:活性汚泥と古畳 衷を原料とした速成堆肥,農および臥51,1525− 1527(1976) (7)森 忠洋,成田愛世,茅野光男:稲わらまたはも みがらを利用した下水汚泥堆肥の製造,圃場と土 壌,10:(10・11),11ト118(197勒. (8)青田 環:産菜廃水余剰汚泥の肥料的利用(1), 用水と廃水,18,194(1976).

(10)

樽谷 勝,梅田 裕:廃水余剰汚泥の堆肥化利用 63 (9)栗原 軌藤井国博:産業廃棄物の肥料化に関す る研究,肥料化産菜廃棄物の土壌中での分解と肥 効卜農業技術研究所肥料化学科資料,173,25−53 (1974). (1980年5月31日 受理) る研究,各種産業廃棄物に含有される肥料関連成 分の分析結果,農技研肥料化学科資料,173,ト 23(1974). (10)栗原 浄,ニ宮啓輔:産業廃棄物の肥料化に閲す

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