16 香川大学農学部学術報告
非寄主植物の葉片に対するエンバク冠
さび菌夏胞子の侵入状態
内 藤 中 人,山 本 弘 幸
前報(16)では各種植物の剥離表皮を供試して,エンバク冠さび菌夏胞子が非寄主植物にもかなり普遍的に気孔侵入 し,かつ,未侵入に終った附普器は気孔下垂,感染菌糸に相同の器官を剥離表皮の外表面にも形成することを明らか にした1その後,切離某片についても同様の事実を確認するとともに,阻連の実験を「ニ行なったので,その結果 を報告する. なお,本報告の大要は昭和42年皮日本植物病理学会大会(17)で講演先表し,また,扇都大学助教授獅山慈孝博士に はヒドラキシルアミン試用の示唆を頂いた. 実 験 方 法 ガラス室もしくは野外の各種植物から採取した其の袈面に,水を添加することなく直接エンバク冠さび菌(鳥肌励磁 Cβ′♂乃αねCoRDA)の同調化夏胞子(18)を目測上なるべく均一慮となるよう針でおき,毛筆で広げるこれを温室ベト リ皿に200C暗黒で特記のはか24時間保つてから,接種部位の表皮を剥離する…表皮の外面(接種面)に形成された器 官を観察するときほ外面が上に,また,表皮の内面に形成された器官の場合には内面が上になるよう表皮を裁物台の スライドにのせて検鏡し,要すればさらに,微動装置による焦点の合致ぐあいから,形成位眉が表皮の上下いずれで あるかを確認したいなあ木方法は気孔下垂,初期感染菌糸の其の姿を生のまま捕捉できる点ですぐれているが,侵 入菌糸の観察には不適であるから,本報告では気孔下における気孔下嚢形成をもって気孔侵入と判定した.体内菌糸 と吸胞については,接種4∼10日後の氷結ミクロトーム切片をアニリンブル一染色して儲察したl−・部には葉爵から の剥離表皮にも接種したが,この場合は前報(16)に準じた小その他は各実験結果の部で述べる 実 験 結 果 1・非寄主植物の彙片における気孔侵入 寄主としてエンバク,非寄主として表皮剥離の容易な10科19櫛の植物菜片を供試し,夏胞子の侵入状態をしらべた, その結果(第1表),非寄主にもすべて気孔侵入して気孔下に気孔下麹を形成し,また多くの場合,気孔下垂からはさ らに感染菌糸が伸長する(図版figい1∼5,8,9).気孔下垂の形成程度は植物種類により異なるが,ソラマメ,ノゲシ でほエンバクとはぼ同程度であったから,寄主のほうが非寄主より気孔侵入しやすいとも限らないようである附着 器の形成位置は気孔部,縫合部のいずれかであるが,多くの植物では気孔部に,−・方ラッキョウ,ノビル,ネギ,ヒ ガンバナ,ムラサキツユクサでは縫合部に多い。ただし,角皮質通は全植物を通じまったく認められない−附着蓋形 成皮ははぼ同一であるのに,ラッキョウのはうがエンバクに比べていちじるしく侵入の少ないのも,前者でほ縫合部 に附着器の多いことが1因であろう.ネギでは,剥離表皮に接種した前報(16〉に比べて,発芽管伸長がほるかによか りた.ネギ剥離表皮は内面に多鼠の粘質物を附髄するが,前報では無水洗のまま供試した.その後,水洗した剥離表 皮では発芽管もよく伸長することを知ったので,前報では操作のさい該粘質物が表皮外面に劇部附若したものと推定 される.その他の点では,以上の結果は剥離表皮の場合とほぼ一・致する タ・〆〟椚d′〝椚夏胞子(1,9)では附着器未形成のまま発芽管で其接に気孔侵入することがある.筆者らもスイセン, カラーの別離表皮におけるエンバク冠さび菌でそのような事例を観察したが(16),本実験ではソラマメ菓片に稀に認 められた.17 第20巻第卜写(1968) 第1表 各種地物の葉片におけるinfbctionstructure形成 (200C,暗黒,24時間後) 菌 艮 染 仲 感 糸 下 成 孔 形 気 嚢 器 成 着 附 形 物 植 供 植 物 名(品梓) エンバク(ビクトリア)* オオムギ(キカイハダカ) コ ム ギ(農林26号) チ モ シ ー スズメノテソポウ ソ ラ マ メ
ダ リ 17
ノ ゲ ソ ± ± ♯=≠=[ 山=≠ + + + ∼一一劇 + 十 ∼ 十一一岬 t ♯=≠=骨=¶=[ 山 + ≠ 十 ± ± ± + 十 + + ± ± ± ± ≠=≠=≠︰[ 几丁 山 + 廿 ﹂T ≠ + + 十 + + + ± ± ± ± 〃 〃 〃 〃 マ メ キ ク 〝 〝 イ ワ ニ カ ナ ラ ソ キ ョ ウ ノ ビ ル ネ ギ ホ ウ レ ン ソ ウ イ ヌ タ デ ギ シ ギ ソ ダ イ コ ン ノ\ コ ベ ヒ ガ ン バ ナ ノ ユ ク サ ムラサキツエクサ ユ リ ノ1′ 〝 ア カ ザ タ ァ ′ ア ブ ラ ナ ナ デ シ コ ヒガンバナ ツ エ ク サ /ソ * 日本における寄主 2.各種処理の尭片における気孔侵入 麻酔剤処’理により植物のさび病低抗牲が変動することもあるから(5・22),気孔侵入の段階ですでにその影響のいち じるしい場合も予想されよう小 また,純寄生菌に屈するさび菌の星胞了・が火して死滅もしくはこれに近い植物に侵入 できるか,さらにまた,薗が一度附着または侵入した気孔部,あるいは近辺の細胞には再度の侵入を阻止するに足る 侵入抵抗が新生するかなどに関心をよせたそこで,これらの諸点に探りを入れるため,次記処理の菓片,もしくほ 剥離表皮を供試して,気孔侵入の状態をしらべた エ・−テル区:すりあわせベトリ皿にエー・テル添加の脱脂綿をしき,その上のスライドに菓片竃5分聞のせ,放出し て30分後にエンバク冠さび菌夏胞子を接種する 熱湯区:100◇Cの熱湯に葉片,剥離表皮を3分浸潰し,ろ紙で水分を除いてから上区間様に接種する‖ HgC12区;10 ̄2MHgC12添加の脱脂綿を200C暗黒下で4粧相磯片上に置いてから,流水で射時制水洗し,同処理 にもとづく変色部に前区間様の接種をする小 二三別表碓区.;さらにつぎの2区に細別した(1)エンバク蘭区 エンバク冠さび菌夏胞子の抜楳48時聞後に,共片 の接種薗を水洗して薗を除くノつぎに表皮を剥離してもとの接種部位に再び同数胞子を接種する(2)炭疫病菌区 馬鈴望煎汁寒天培地に25OC7∼10[]培益したブドウ晩腐病菌(Glomere〃acingulata(STONEM.)SpAULr.etScHRENK) の分生胞子懸濁液を1白金耳ずつ葉片に滴下し,200Cの湿室ベトリ皿に7日保ってから,エンバク菌区の場合と同 様に水洗する1つぎにもとの接種部位宜エンバク冠さび菌夏胞子を接種する その結果(須2表),いずれの処理区にも気孔侵入して気孔下褒,感染蘭糸を形成した熱湯処理の某片,剥離表皮 は明らかに死滅の様相を呈し,また,処理の温度,時間から内部細胞でも生存はとうてい考えられないので,本結果 ほ気孔下褒,感染蘭糸が生植物だけに形成される器官ではないことをものがたる処理により侵入の低下する区もあ18 香川大学農学部学術報曽 るが,主として発芽管伸長,附著器形成の不良にもとづくもののようで,そのはかエ・−テル処理のソラマメ,ノゲシ では無処矧こ比べて縫合部に附着器が多かったから,これも1因と考えられる 第2表 各種処理の菜片における附着器と気孔下垂の形成状態 (200C,暗黒,24時間後) 附 着 器
気 孔 下 垂
処 理 区 エンバク オオムギ ソラマメ ノ ゲシ エンバク オオムギ ソラマメ ノ ゲシ 無 処 理 エ− テル HgC12熱 湯言
離表 ± ± ± + + ∼ ∼ ∼ ± ± 十 + + ± ± + + ∼ ∼ + + + + + ± 十 十 十 ∼ + + 十 ﹂﹁ + ・−ト ート′・〉± ヰ・′・)± 十′〉± ± 十/、ノ± ± ± ± ± 十 ± ∼ ∼ ∼ ± ∼ + + + 十 ± ± ± + ± ∼ ∼ ∼ ± ± + + + ± ± + + ∼ ∼ + 十 + + ■﹁ ﹂■ ± ± + + ∼ ∼ + + 十 + + 冠さび菌 炭痕病菌 二重接種 3.気孔の開閉と気孔侵入との関係 エンバク,ベレニアルライダラス,イタリアンライダラス,トールフェスク,メドゥフェスク(以上は日本におけ る寄主),オオムギ,コムギ,チモシ−,か−チャードグラス,トールか−トグラス,カモジグサ,スズメノテソポ ウ,エンドウの表皮を別離直後に検銃したところ,気孔が完全に閉じていたので,閉じた気孔に対する侵入の有無を しらべるには好適な材料と考えられたそこでその外表面に200C暗黒下で接種してみたが,24時間後の調査時にも 気孔ほ接穫前と同じく閉じたままであったにもかかわらず,すべての植物に気孔侵入して内面に気孔下轟を形成して いた.とくにエンバク葉についてはガラス室栽植のままスンプ法および検鏡(×150)により気孔の閉じていることを 確認しておいたから,少なくともエンバクでほ,別離のさい気孔が閉じたものでないことも明らかである. なお,上記植物以外のソラマメ,ノゲシ剥離表皮でほ,開閉両者の気孔が接種前,調査時のいずれの検銃でも混在 していたが,開閉双方の気孔下に気孔下塞が認められた.したがって,コムギの気孔はタれ眈効旭夏胞子の附着器が 形成されると閉じるという既往の報告(4)とは必らずしも仙致しないように思われるが,この点についてほ今後さら に追試してみたい. 4.未侵入附着器のその後の動向 既述のとおり,附着器の形成位置は気孔弧縫合部に限られるが,縫合部附着器は侵入にあずからないし,気孔部 附着器もそのすべてが侵入するのではない.このような未侵入附着器のその後の動向については従来あまり関心が払 われてぃないようであるが,タJ′眈加α,タCO′♂〃dJα夏胞子のコムギ葉における未侵入附着器は気孔下垂を葉の表面 に形成する(421).筆者らも各種億物の剥離表皮にAc〃′∂乃dね夏胞子を接種した予備実験でこれを確認し(16〉,人 工増地でも同じく外表面に同器官が形成される(10・11,14・15) そこで今回は,罪1表に掲げた植物の某片に接種してみたところ,寄主,非寄主いずれの縫合部附着器も気孔下垂 に相同の器官を表皮の外面に形成し,かつ,多くの場合さらに感染菌糸を同じく表皮上で伸長した(図版fig‖6,7)1 既述のとおり,附着器未形成のまま発芽管で直接気孔侵入す−ることがあり,したがって,表皮上に形成された気孔下 垂,感染菌糸による表皮貫通あるいは気孔侵入の可儲性も考えられたから,この点にも留意して観察したが,そのよ うな事例はま・つたく認められない∴なお,気孔部附宕器においても気孔下垂,感染菌糸を表皮上に形成するものがあ る 5・植物種板および形成位置による気孔下垂の形態的差異 剥離表皮における気孔下垂の形態,大きさは植物種類,形成位置などの影響をあまりうけないが(16),今宮は尭片 で同様の調査を行なった・ただし前報では,接種後の剥離表皮をスライド上水滴に浮かべたため,気孔下の気孔下薬 ほ水中で形成されることとなるところが天然莫での形成位置は同じく気孔下とはいえ外気との交流のいちじるしい舞加巻第1号(1968) 19 呼吸脛であるから,剥離表皮の両面が空気に接するよう湿室ベトリ皿に納めたものも設けて,比較に供した.なお既 述のとおり,気孔下垂は莫片,剥離表皮の外表面にも形成されるから,大きさは気孔下のものと区別して測定した. その結果(第3表),エンバク菜片では気孔下に形成される気孔下垂のはうが,表皮上のものより平均値ではやや大 きいい これは主として,前者に牛角状(前報(16)のY字状),後者に棍棒状の形態のものが多いためで,同一形態の気 孔下垂では両者間に.あまり差異がないようである.また,とくに気孔下の気孔下垂が前回の測定値(川)に比べてやや 大きいのは,今回のほうが接種後の経過時間が長く,したがつて成熟したものが多かウたためと考えるい 剥離表皮の 気孔下のものは空気中のはうが水滴上のものより大きくて−,葉片の気孔下のものにほぼ一・致する.これも空気中では 牛角状の形態のものが多いためである、感染菌糸の伸長も,空気中のはうが水滴上のものより良好である.以上を要 するに,某片における気孔下垂の大きさ,形怨は植物種類,形成位置の影響をあまりうけず,剥離表皮のものとも本 質的差異ほない. 第3表 気孔褒下の大 き さ(〝) (200C,暗黒,72時間後) (註)測定数はそれぞれ25∼35個 ‘. ヒドロキシルアミン処理葉にみられる角皮貫通 吸胞形成のさいには菌糸が細胞膜を貫通できるのに,附着器からの侵入菌糸は表皮細胞膜を貫通できない事実から, これは主としてクチクラの有鮒こもとづくとも推定されよう‖ そこで次記のように化学処理した剥離表皮について一角 皮貫通の有無を検してみた.なお,某片■を用いなかったのは,胞子がはとんど発芽しないためである. ヒドロキシルアミン区:1%溶液(塩酸塩)にエンバク,オオムギ,ソラマメ,ノゲシの表皮を24時間浸潰し,流 水で24時間水洗後に接種する. KOIす区:1%KOH熟液にエンバク,オオ・ムギ,ラッキョウは10砂,ソラマメ,ノゲシは5砂漠潰し,流水で2時 間水洗後に接種する。 その結果,ヒドロキシルアミン区のエンバク,オオムギ,ソラマメでどく稀に角皮質通を認めただけである(図版 Fig.10)い この場合,侵入菌糸は縫合部から侵入して,表皮細胞の下側に菌糸嚢を形成する1しかし,形成の稀なた めに切片像がえられなかったので,侵入菌糸の詳細ほなお不明である.. 7.カイネチン処理の薫片における吸胞および夏胞子形成 ベトリ皿での菓片接種では,葉が早期に退色して侵入後の動向の観察には不適である。この欠点を多少でも改昔す るため,20ppmカイネチン,5%し上糖両者を添加したベトリ皿内の溶液に葉片を浮遊もしくはその一・端を浸漬し て,接種後は200Cで暗黒,螢光燈照射の両者に保ち,吸胞,胞子の形成などをしらべた.なお,対照区では水に同 様の処理をし,供試植物は,エンバク,オオムギ,ノゲシ,ソラマメであるい その結果,水では明暗とも3∼5日後にかなり退色するに対し,カイネチン区ほ14日後でも緑色を保ち,かつ,同 処理のエンバクだ別ま明暗にかかわらず8日頃から夏胞子を表皮下に形成しはじめ,翌日には表面にも噴虻してくる∩
20 香川大学農学部学術報告 カイネチン処理しても,ノゲシ,ソラマメでは感染菌糸の伸長がわるく,吸胞も認められない、しかし,日本におい て非寄主とされているオオムギではかなりよく菌糸が発育して(図版Fig.15),3日後には接種面の反対側まではぼ 到達し,吸胞も形成されるが(図版fig13,14),エンバクに比べれば劣る.オオムギについては,さらに植木鉢栽 植の苗に200C螢光煽照射下で接程してそのまま放置してみたが,同じく胞子形成には至らず,吸胞だ桝ことどまっ たh ブドウ糖溶液に浮かべたコムギ某片にP.graminis夏胞子を接種すると,明るい所では夏胞子を形成し,暗黒で は形成しないというが(24),本実験でカイネチン処理のエンバクが暗黒でも胞子を形成した点は一応注目してよかろ う 考 察 ペトリ皿内でエンバク冠さび薗の変胞子を各種植物の切離柴片に接饉したところ,非寄主にもすべて気孔侵入して 気孔下垂を形成し,多くの場合感染菌糸も伸長した気孔下垂の形態,大きさは植物間にあまり差がないまた,未 侵入に終った附着器は気孔下垂,感染菌糸に相同の器官を葉の外表面に形成する以上の結果は剥離表皮に接種した 前報(16)とはぼ一・致するしたがってこの種の実験にはおおむね,剥離表皮を葉片に代用できるようである.さび菌 の翼胞子,さび胞子が特定寄主以外の植物にもしばしば気孔侵入することは古くから知られているがく1,2,6,9・28),非 寄主では侵入しても吸胞形成には至らないことから,ftltileinfection憮効接種(24))と称されているr本実験の結 果は,本現象がェンバク冠さび菌夏胞子ではかなり普遍的なことを示すまた,タ脚蛸壷石油廟夏胞子における気 孔侵入の段階では,脛病性,抵抗性,免疫性品種の間に差異がなく(28),あっても抵抗性との本質的関連はないとい うが(3),本実験でも寄主のほうが非寄主よりも侵入に有利とは限らなかったから,寄主選択性においても,気孔侵 入の段階は重要な場ではないように考えられるかりに菌の植物に対する接触もしくは侵入の段階ですでに菌,植物 の相互反応にもとづく侵入抵抗が生ずるとしても,ニ重接種区に気孔侵入の認められたことから,気孔侵入の阻止に はほど遠いもののようである つぎに,発芽基質の外表面に形成される酷似器官と気孔下垂あるいは感染菌糸との相同性については,既報(11・12・ 16)で若干の根拠をあげておいたが,ここでさらに−・,二追加しておきたい本実験において,死滅植物にも侵入し て気孔下に気孔下褒,感染菌糸を形成したことは,両器官が吐植物に特有のものでないことを明示するもので,同器 官が人工培地にも形成される事実(10・11・14・15)の理解に寄与しようまた,人工培地における該器官の形成は,さび 菌胞子に限られ,同じく気孔侵入のものでもCg/C♂5p∂′α∂gJ加ね分生胞子にはみられない(11〉すなわち,天然で 気孔下垂を形成する菌だけが人工培地にもこれを形成する・−・方,本菌夏胞子の附着掛ま既述のとおり,ウリ類炭療 病菌分生胞子(25)と同様invitroでも発芽し,また侵入菌糸もー種の発芽管にすぎまいから,発芽するという点で附 着岩引こは胞子的性格もあるといえよう発芽管との境界に隔膜があることも胞子との類似点であろう… 上述の諸点か ら気孔下薮,侵入菌糸を夏胞子,さび胞子の附着器発芽にともなう特有の器官とみなすならば,該器官が発芽基質の 表面,気孔内のいずれに形成されるかは,単に発芽管(侵入菌糸)の伸長方向の問題にすぎず,発芽の本貿とほ醸関 係なはずである、これは一般の分生胞子の場合をかえりみても明らかであろうまして天然における気孔下垂の形成 位眉は,植物内とはいえ気孔下の呼吸腱に限られ,すなわち,本質的にはむしろ植物外表面の延長とも従来みなされ ている部位にすぎない.このように,気孔下垂,感染菌糸を単に植物への侵入器官としてでなく,広く附宕器発芽の 一・環として考えるならば,附着器が植物もしくは人工培地の外面にも気孔下垂,感染菌糸を形成することはむしろ当 然とも解しえよう つぎに気孔の開閉と気孔侵入との関係についてであるが,Cと′Cク5ク0′α∂が′c0ね分生胞子はテンサイの閉じた気孔 からは侵入せず,幼葉に侵入しない のも気孔が小さいためである(20)しかし成沢(18〉の最近の研究によると,明所 では気孔が開いているのに侵入せず,暗所では気孔が閉じて−いるのに侵入する.さび菌笈胞子でもアg/α椚加jぶJ′血∫ (7)は閉じた気孔に侵入せず,抵抗性品種に侵入の少ないのも,朝気孔の開くのがおそいため,侵入前に葉上の水滴 が消失して発芽管が乾燥,死滅するからであるしかし山方では,同菌の閉じた気孔に対する侵入例があり(8・19), またタ」力J∼c加α(4)でも,附着器の形成により気孔は閉じるが侵入とは無関係である‖ 本実験でも,開閉いずれの場 合に侵入しやすいかは別として,閉じた気孔にも明らかに侵入した夏胞子,さび胞子は周知のとおり,−・般には, クテクラのある表皮細胞膜を貫通することはできないが,その他の−・般の細胞膜ほ吸胞形成時に容易に貫通されるの
罪20巻節1号(1968) 21 であるから,たとえ完全に閉じた気孔でも,クチクラがないだけに内部の細胞膜に比べはるかに貫通しやすいはずで あろう 摘 要 (1)エンバクおよび10科,19種の非寄主植物から切離した葉片をおもに供試し,エンバク冠さび菌(劫cc加gα co′〃乃αJαCoRDA)夏胞子の侵入状態などをしらべた. (2)非番主にもすべて気孔侵入し,かつ,寄主のほうが非寄主より侵入しやすいとは限らない死滅植物や閉じた 気孔に.も侵入する小 (8)附着器は気孔下糞,感染菌糸に相同の器官を表皮外面にも形成するが,該器官による侵入は認められない. (4)気孔下嚢の形態,大きさは植物の種類,形成位際にあまり影響されない (5)非寄主のオオムギでは吸胞が形成され,カイネチン処理のエンバクは暗黒下でも夏胞子を形成する小 引 用 文 献 (1)ALLEN,R…F.:AcytologicalstudyofPucciniaglum− α川椚Onβ′〃椚〟∫∽α′gj〃α′〟ぷand r=烏c〟∽γ〟な〃′e, J.4釘..Rβ∫り36,48‘7−513(1928)
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22 香川大学農学部学術報告
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NakatoNAlrOandHiroyukiYAMAMOTO
Summary UredosporesofPucc擁acoronataCoRDAWeIeinoculatedmainlyontheundersurfaceofhost(oat)and19species non−hostplantSCOVeringlOfamiliesinPetridishes・Substomatalvesicleswerefbrmednotonlyunderstomatabut alsoontheoutersurfaceofleavesofalltheplants,andtheydevelopedinftctionhyphaetooinmostplants.Inno CaSe,however,the penetrationbystomatalvesiclesaswe11asinfectionhyphaeproducedontheoutersuぬceof leavestookplace・r Thestomatalpenetrationoccurredevenindeadleavesandclosedstomata..ThemorphologicalCharacteristicsofsubstomatalvesicleswerelittleinfluencedbythesiteofaplantwheretheywereproducedandthe
kindofplants・Haustorium wasfbundonbarley toolOnleavestreatedwithhydroxy】aminehydrochlorideCuticularpenetrationwasrarelyobservedlOnleavesofoat80atedonorpartiallydippedinthesolutioncontaining
kinetinandsucrose,uredosporeswerefbrmedevenwhenleaveswerekeptinthedarkafterinoculation.23
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