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第I部(要約と提言) ネットワーク・マネジメント論と新潟県集積企業の課題 : 「重層的情報ネットワークシステム」の提唱(<調査・研究報告>地域企業情報ネットワークシステムの研究)

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Academic year: 2021

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地域企業情報ネ ッ T

.ワークシステムの研究

はしが き この報告書は、昨年 (1998年) 7月に研究所が発足 して 以来はじめての研究報告書 となるものである。 本研究所は 発足以来三つの研究プロジェク トを計画 している。 それ ら は、一つには地域 における企業情報ネッ トワークシステム のあ り/方、二つには環 日本海地域 における新産業論、三つ には新潟県なかんづ く中越地域の発展性-をそれぞれ研究 せんとするものである。本報告書はそのうちの第 1プロジ ェク トの研究成果である。 この研究に取 り組むに当たっての問題意識は以下の三点に 整理できる。第一は企業情報ネットワークシステムに対する 第三シナリオの模索である。企業情報ネットワークシステム は企業ネットワーキングと表裏の関係で発展 しているが、他 方ではそのネットワーキングがグローバ リtゼ-ションと深 く 関わっている以上、それがグローバル企業主導の下で進展す るのはある意味では必然である。従ってこうしたグローバル 企業主導の企業情報ネットワークシステムを全面的に推進す るというケースも当然あ り得る。これが第一のシナリオであ る。 しか しながらこの場合には企業間関係の再編成に繋が り かねず しかもそれが国際的な舞台で行われるとなれば、おそ らくは未曾有の企業再編成に繋がる可能性 もまた否定できな いであろう。 となれば、再編成の主たる対象になると目され る非グローバル企業なかんず く中小企業さらには主 としてこ れら中小企業に依拠する産業集積地域の多 くは重大な試練に 立たされかねない。そうなれば、中小企業や産業集積地域企 業の少なからぬ部分が企業情報ネットワークシステムに対 し て消極的 ・批判的になるということもあ り得ないことではな い。第二のシナリオがこの場合である。ではわれわれは一体 どのシナリオを選択すればよいのか。中小企業や集積地域企 業の活性化を目指すわれわれにとっては、第 1シナリオの選 択はヘタをすれば一唯ひたす らそれを推進するだけというの では一墓穴を掘 りかねないということになり、さりとて、企 業情報ネットワ-ケシステムをむしろその活性化に活用する 必要があると考えるわれわれとしては、それ自体を否定 しか ねないような第二のシナリオに与するという訳 にもいかな い。そこでわれわれは、自ず と第三のシナリオを探る以外に 新潟経営大学 ・地域活性化研究所 研究プロジェク ト1

主 査 蛇名 保彦

ないのだが、そうしたシナリオが果たしてあ り得るのだろう か。この点をまず解明 しておかなければならないであろう。 言い換えればそれは、企業情報ネットワークシステムを導入 する場合には、それと市場における 「双方向性」 との関係に ついて明らかにしておかなければならないということでもあ る。 第二の問題意識は中長期的視点の重視である。企業情報 ネッ トワークシステムの進展が企業のネットワーキングと グローバ リゼーションと深 く結びついているということは 上述 した通 りであるが、 さらにそれが市場化 とも関わって いるということも見落 としてはならない。そこで企業再編 成は未曾有であるばか りではな く差 し迫った問題で もある のだ。 この点で最 も深刻なのは、流通 ・物流 ・金融事業など のいわゆるネッ トワーク型産業である。 このことか らも明 らかなようにわれわれは市場化の問題を決 して軽視 してほ ならないのであって、しか も問題は切迫 している。だがこの ことを以て単に短期的な問題にのみ 目を奪われてはならな い。言 うまで もな く市場は需要 と供給 をマ ッチさせる場で ある。従って両者の ミスマ ッチが存在 してお りしか もそれ が経済活動 を大 きく妨げている場合 には市場化の意義は大 きい。 しか しなが ら、需要 と供給の背後に存在するニーズ とシーズが変化 ししか も両者の ミスマ ッチが拡大する場合 には、需給マ ッチ ングの場にす ぎない市場が有効性 を発揮 するとは限 らない。高齢化福祉 などの社会的ニーズや環境 問題の重要性が ます ます重要性 を増 しつつある今 日の社会 はある意味ではこうした状況に次第に足 を踏み入れ始めて いると言えな くもない。そこでわれわれは、市場的要素 と 非市場的要素の関係についてどのように考えるべ きか とい う問題に向かい合わざるを得な くなるが、その場合企業情 報ネ ッ トワークシステムは一体如何 なる意味 を持つのか。 こうした中長期的な視点 も見失ってはならないであろう。 第三の問題意識は新潟県集積の持つ特性 との関連性 につ いてである。新潟県は、 日本海沿岸地域の中で中核的な地 域 に属すると同時に他方では日本海沿岸地域 と太平洋沿岸 地域 とを結ぶ上で最 も有利な立場 に置かれている。 要する に同県は地政学上のクロスポイン トに位置 してお りその意

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味で正 に環 日本海拠点なのである。他方同県 とりわけ中越 地域 は機械 ・金属加工技術の集積地域で もある。 しか も同 県のクロスポイン トは中越地域抜 きには成 り立たない。そ の意味では中越地域 は二重の意味での拠点性つ まり地政学 的拠点性 と産業構造論上のそれの双方 を兼ね添 えた地域で あると言えよう。 新潟県の持つ拠点性 をこの ように再定義 した場合、それに対 して企業情報ネ ッ トワークシステムは どの ように関わるのか。 このこともわれわれの視野に入れ ておかなければな らないのである。 以上の問題意識 に基づいてわれわれは研究 を行 った。だ が限 られた時間 と陣容等の下での研究であるためにこうし た問題意識の全てに応 える訳 にはいかなかった。そこで今 回の研究 は、「地域企業情報 ネ ッ トワークシステム」 に関 す る基礎的かつ方法論的な面での研究に止 まっている。 従 って具体 的な点 に関 しては今後 に期待 したい と考 えてい る。その意味で以下の研究は中間報告的な もの と言 える。 第 Ⅰ部では、地域企業情報ネ ッ トワークシステムのあ り方 を中心 にして研究報告書全体 についてまとめるとともに若 干の提言 を行 った。第 Ⅱでは、本研究に関わる基礎的研究 を行 った。一つ には 「ネッ トワーク ・マネジメン ト」論 と の関連 において地域企業情報ネ ッ トワークシステムの問題 点及び課題 を明 らかにす るよう努めた。いま一つ には、情 報ネッ トワークシステムの導入が 日本型経営 システムにと って如何 なる意味を持つのか とい う点の解明を試みた。そ して最後 に、情報ネ ッ トワークシステム導入 に当たって考 慮すべ き企業文化 と企業行動の関係 について探 った。第Ⅲ 部では、実態論 との関連 において企業 ヒヤ リング調査 を行 いその結果 をまとめた。そこでは、一つには企業情報ネ ッ トワークシステム導入下の新製販 システム、二つには技術 革新 とマーケテイングカ強化のための学際的再教育の必要 性、三つには社会的ネ ッ トワーク ・コーデ ィネーター とし ての地域大学の役割一 について指摘 した。 上記の研究においてわれわれは二つの面で学外関係者か ら多 くのご協力 を得た。一つは企業 ヒヤ リングであ り、 も う一つは関係者か らの ヒヤ リング及びコメン トである。 企業 ヒヤ リングについては以下 の方 々か らご協力 を得 た。 品田 誠 (㈱品田機械製作所社長) 賀井 治久 (㈱ ツバメックス社長) 井口 宏 (㈱東京ロス トワックス工業社長) 上野 秀正 (㈱ ウエノテ ックス社長) 谷地田茂明 (㈱ ヤチダ専務取締役) 細井 益雄 (三条金物卸商協同組合理事長) 石黒 貞夫 (三条金物卸セ ンター理事長) 川口 贋志 (㈱川口工器社長) 下村 栄蔵 (㈱下村工業社長) 岡田 和之 (燕商業卸団地協同組合坤務FJ!jJl) 大橋 活 (日本金属洋食器工業組合・1.II・劫ql耶) 五十嵐義雄 (明道㈱専務取締役) 八重樫和也 (明道㈱社長室情報 システム担当) (糊 不日) さらに関東通産局の方々にヒヤ リングをお願いするとと もに以下の方々か ら研究内容 に関 して コメン トを頂いた。 目黒 剛 (新潟経済同友会専務理事) 松 田 宣治 (ホクギ ン経済研究所長) 伊藤 征- (ERINA調査研究部長) 久保田順一 (新潟県商工労働部新産業振興課副参事) 高野 格 (新潟県工業技術総合研究所企画管理室) 速水 清 (㈲信濃川テクノポリス開発機構常務理事) 木村 文夫 (三条・燕地域リサーチコア産業支援部長) (順 不同) 以上の学外関係者のご協力の下で、本学のメンバーが研 究報告書の作成 に当たった。研究 に携 わったメンバー及び 報告書の執筆者 は以下の通 りである。 まず研究プロジェク トのメンバーは以下の通 りである。 姥名 保彦 浅野 一志 高橋 渉 加藤 孝 上山 義尚 箕浦 達二 大平 義隆 石井 泰孝 伊平 一也 (新潟経営大学教授) [主査] (新潟経営大学教授) [幹事] (新潟経営大学教授) (新潟経営大学教授) (新潟経営大学教授) (新潟経営大学教授) (新潟経営大学助教授) (新潟経営大学講師) (新潟経営大学・地域活性化研究所研究員) (順 不同) 報告書の構成及び執筆者は以下の通 りである。 第 Ⅰ部 (要約 と提言)ネットワークマネジメン ト論 と新潟県集積企 業の課題- 「重層的情報ネットワークシステム」の提唱一 蛇名保彦 第 Ⅰ部 調査研究 Ⅰ.ネ ッ トワーク ・マネジメン ト論 と集積地域企業の経営革新 - 「地域企業情報ネッ トワークシステム」のあ り方について一 蛇名保彦 Ⅱ.企業動向 と情報ネ ッ トワーク構築への試論- グローバル化へ の展開一 石井泰幸

Ⅲ.

地場の産業の変化 と集積企業の重層的文化の影響 (中間報告) 大平義隆 第Ⅱ部 地域企業情報ネ ッ トワークシステムに関す る企業調査の ま とめ- コーディネー ト企業論 を中心 に- 伊平一也 本研究に当たってご協力頂いた関係者の方々、 ご支援 を 頂いた本学の皆様、そ して本研究の作成 ・執筆の労 をお執 り頂いたメンバーに対 してこの場 を借 りて心 よりお礼 を申 し上げたい。 √\\ -5 5

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-第I部

(

要約と提言)ネットワーク・

マネジメント論と新潟県集積企業

の課題

-

重層的情報ネットワークシステム

の提唱

-\

新潟経営大学教授 地 名 保 彦 ′ ノ 本稿 は、新潟経営大学 .地域活性化研 究所発行の 『地域企業情報 ネ ッ トワ「 クシス テムの研 究』 (1999年11月刊)の第 は Bをさらに簡略化 した ものであるo従 って、詳

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はじめに 「ネ ットワーク

という言葉を企業経営 との関連で連想 させるのはさし当 た り次の二つの場合であろう。一つはい わゆるグローバル企業 における企業ネ ッ トワークである。 それはグローバルに展開されつつあるだけに人々の耳 目を 計 きつけ易い。 もう一つは情報ネッ トワークとの関連にお いてである。 これ も昨今何か と話題に上ることが多い。だ が両者 ともそれで もなお多 くの人々の関心 を惹 きつけるに 至っているとは言い難い。前者はいわゆる国際分野の問題 であ り普通の人々にはやや縁遠い事柄であ り、後者 もまた 情報通信技術 に明るい人ならともか く一般には馴染みが薄 いか らだ。従って 「ネットワーク ・マネジメン ト」 と言っ てもいま一つ ピンと来ない というのが実感か も知れない。 しか しなが ら、グローバ リゼーションの進展 と情報ネッ トワークシステムの発展 は目覚 ましく、 しか も両者は相互 に関連 し合い相乗作用 を引 き起 こしている。従って両者 を 通 じて産業 ・経済構造が今や大 きな変容 を迫 られていると いうこともまた否定 し難い事実である。その結果、大企業 は無論のこと中小企業に至るまで経営革新 を考える上でネ ッ トワーク論はもはや避けては通れない課題 となっている のだ。 (尤 もネッ トワーク論 といって もその経済学的意味 が明確 にされている訳では必ず しもない。例 えば、問題の 核心の一つである情報ネットワークシステムにおける 「ネ ットワーク効果」についても定量的 ・定性的研究が行われ ているとは言い難い。皮肉なことに現時点でこの間題 をわ れわれに最 も身近に感 じさせて くれるのはコンピュータ社 会の陥葬 とも言える

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年問題である。同問題におけるマ イナスの 「ネッ トワーク効果」は企業経営や国民生活 に如 何 に大 きくかつ深刻な影響 を及ぼすかが様々なところで数 多 く語 られているが、そのことはとりもなおさず 「ネッ ト ワーク効果」の重要性 を逆に証明する結果 となっている。) そ こで、「ネ ッ トワーク ・マネ ジメ ン ト

とは一体何 か、 またそれはどのような意味を持っているのか、 とりわけ中 小企業経営革新 にとっては如何なる意義があるのか- とい ったことを考えてお くことはそれな りに意味があるしまた 必要だ と言ってよいであろう。 本稿の第 1章ではこの間題 を取 り上げた。 ∫ ところで中小企業の多 くは産業集積地域 にその基盤を置 いている。 従って中小企業間題 とは産業集積地域企業間題 で もある。 (なお、本稿では産業集積地域 を単に集積地域 と呼ぶ ことにす る。)そこで 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」論 も集積地域企業が抱 える諸問題に別 して考察 しない 限 りその意義が十分に明 らかにされた とは言い難い。それ を集積地域企業に適用 した場合には新たに 「地域性」が考 慮 されなければならないか らである。その結果それは 「ネ ッ トワーク ・コーディネー ト」論へ と変容 を迫 られる。 し か もその場合、 これまでの垂直的取引関係 を水平的なそれ に転換するためには、市場 と開発のフィー ドバ ックを重視 した 「重層的 ・多元的ネットワーク ・コーディネー ト」論 として展開される必要がある。 さらに、市場 ・開発 フィー ドバ ックにとって 「ビジネス ・ネッ トワーク

の形成が不 可欠であ り、その 「ビジネス ・ネッ トワーク」上でフィー ドバ ック機能が発揮 される 「場」すなわち 「ビジネス ・プ ラッ トフォーム

の形成 さらにはその核 となる 「ビジネ ス ・コア」ない し 「ビジネス ・セ ンター

の創設が求め ら れる。 そ してそのプラットフォームを形成する上で重要な 役割を果たすことを期待 されるのがネッ トワーク型産業な かんづ く流通システムである。だがそのことは、流通 シス テムがそうした役割 を担い得 るためには新流通システム-と脱皮することを迫 られるとい うことをも意味 している。 要す るに、「下請 け型取引関係」 を脱却す るため には市 場 ・開発 フィー ドバ ックが必要であ り、そのためには 「ビ ジネス ・ネットワーク」 を通 じてサプライヤー とユーザー とのマ ッチ ングが求め られているが、流通システムもまた こうしたマ ッチ ングを担 うに相応 しい新流通 システムへの 移行が迫 られている- ということだ。第二章ではこれ らの 問題を解明するとともに、 こうした集積地域企業の経営革 新 に対応 した集積地域の課題-すなわち新集積地域に向け ての自己革新のための課題- を提起 した。 ネッ トワーク型産業 とともに「ビジネス ・ネッ トワーク

形成に対 して重要な役割を担っているのが情報ネ ットワー クシステムである。 この場合、論点は二つある。 一つは、 「グローバル ・ネットワーク」と「ローカル ・ネットワーク

との関係 をどのように考えるのか という問題である。 それ は情報ネッ トワークシステムと流通システムとの関係 をど のように考えるのか という問題にも繋がる。 いわば短期的 課題-それ もかな り差 し迫った課題-で もある。 もう一つ は、問題をもう少 し中長期的に観た場合である。つまりニ ーズ とシーズのマ ッチ ングに対 しで情報ネッ トワークシス テムは如何 なる役割 を果た し得るのか という問題である。 まず前者 について。グローバル企業による 「世界最適調 達 システム (SupplyChainManagemen;SCM)

の急速 な展開によっていまや取引関係の世界的な再編成が進行 し ている。それは、単にグローバル企業 による調達 システム として一方的に展開される場合 には、ユーザーつまりグロ ーバル企業の広域化 ・グローバル化 に供給者側 を対応 させ a'ことによ云てユーザー ・サプライヤー (供給者)間取引 関係において前者 (ユーザー)の後着 (サプライヤー)に ー 57

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-対する垂直的でかつ一方的なネッ トワーク取引関係 を世界 的 に築 こうとい う性格 を帯 びることになる

「グローバ ル ・ネ ッ トワーク」 としてのSCMにはこうした側面が潜 んでいるということを見逃せないであろう。 さらにそれは 流通 システムの再編成 にも繋が りかねない。SCMの垂直 的ネッ トワーク取引関係が同時にユーザー ・サプライヤー 間の直接的取引関係の強化 をも意味 しているとすれば、仲 介者である流通システム就中卸業の役割は不要化する。従 って 、「グローバル ・ネッ トワーク

の進展は流通 システ ムの ``切 り捨て"に繋が りかねないのである。 そ して企業 情報 ネ ッ トワークシステムの導入 はSCMのこうした性格 を一層増幅す る可能性 を季 むことになる。 か くしてSCM 下での企業情報ネッ トワークシステムは、一方で垂直的 ・ 一方的取引関係 を強めユーザー ・サプライヤー間再編成 を 助長するだけではな く他方では直接的取引関係 を通 じて流 通 システムに代替 しかねない とい う訳 だ。従 ってユーザ ー ・サプライヤー間取引関係 において、サプライヤー側の 自軍性つ まり地域性 を維持 しかつ流通システムの新たな役 / 割 を見出すためには、われわれはこうした 「グローバル ・ ネッ トワーク

に対峠する 「ローカル ・ネッ トワーク

が 必要であると考 える。 だが問題はそれギけでは済 まない。 集積地域 においては他方では 「グローカル企業」による分 業の広域化 ・グローバル化が求め られてお りそれを通 じて の集積地城の広域化 ・グローバル化 もまた課題 とされてい るか らだ。そ こでわれわれは、SCM版 グローバ ル ・ネ ッ トワークつ ま り垂直的 ・一方的ネ ッ トワークに代 わって 「重層的ネ ッ トワーク

すなわち 「グローバル ・ネ ッ トワ ーク」 と 「ローカル ・ネッ トワーク」の双方 を包含 した水 平的 ・双方向的ネッ トワークを通 じて、集積地域企業にお ける水平的ネッ トワーク取引関係の形成 を目指 さなければ ならない ということになる。つまり、情報ネッ トワークシ ステム との関連で言えば、「重層的情報ネ ッ トワークシス テム

すなわち 「グローバル情報ネ ッ トワークシステム」 と 「ローカル情報ネッ′トワークシステム」の両者か らなる 双方型企業情報ネッ トワークシステムが必要 とされるとい うことだ。そ うした役割 を担 っているのが 「地域 ビジネス 情報ネッ トワークシステム (LocakBusinessInformation networkSystem ;LBINS)

に他ならない。 後者の問題つ ま り中長期的問題 とは何か。それは、市 場 ・開発 フィー ドバ ック論の背後にあるニーズ ・シーズの フィー ドバ ックをどう考えるのか という本質的な問題に関 わる。需要 ・供給のマ ッチ ングの場は言 うまで もな く市場 である。問題は、需要の背後 にはニーズが横たわってお り、 供給の背後にはシーズが存在 していると考えた場合、こう したニーズ とシーズのマ ッチ ングさらにはフィー ドバ ック において市場だけで果た して事足 りるのか ということであ る。 (市場 とはそ もそ も価格 を決める場であって価値 を決 定する場ではない。その意味で市場 は社会的有用性 を決定 する場ではない。従ってニーズやシーズが社会的有用性 に 関わる場合には、ニーズ ・シーズのマ ッチ ングが市場で行 われるとは限 らないということになる㌔ 。 但 し価値 と価格 と の問には相互関係があるように、社会的有用性が市場 と全 く無関係だ とい う訳ではない。)では誰が どのようにして それを行 うのか。翻って観るに、今 日ニーズやシーズは大 きく変容 を遂げつつある。ニーズは、一方では高齢化社会 への移行か らも窺 えるように多分 に社会性 を帯び始めてお り、他方では地球環境問題の深刻化 により急速に 「グリー ン化」 していきつつある。 これに対 してシーズの方は、21 世紀のそう遠 くない時期には情報通信技術の発展 を背景 と する 「情報革命

に続いて生命科学の台頭 に因る 「バイオ 革命」の影響 を次第に強めてい くもの と想定 される。 こう した新 しいニーズやシーズのマ ッチ ング-況や両者のフィ ー ドバ ック-が企業 を中心 とする「ビジネス ・ネ ッ トワー ク」上だけで達成 され得 るとは到底考 えられず、む しろそ うしたマ ッチ ングやフィー ドバ ックに相応 しい 「社会的ネ ットワーク

」-

そこでは産学官協力が重要な役割を果たす ことが期待 されている-の形成が求め られていると考える べ きであろう。ではこうした 「社会的ネッ トワーク」に対 しで情報ネットワークシステムはどのような役割を果たす ことが期待 されるのか、あるいは果たすべ きではない と考 えられるのか- ということが情報ネッ トワークシステムを 考える上で も避けては通れない本質的な問題 となるという ことだ。 集積地域企業 としては、以上の二つの論点を踏 まえて望 ましいLBINSを如何 に構築す るのか。第三章ではこの点 の解明を試みた。 ここでは、「オンライン革命」への対応、 「研究開発の事業化」 さらには 「社会的プラッ トフォーム」 の形成 とい う観点か ら 『地域SCM [DSCM]』及び 『地域 CALS』か らなる双方向型 『地域 ビジネス情報ネッ トワー クシステム

が重要であるとの問題提起 を行った。だがこ の点については本研究では十分な解明を行 うだけの時間的 余裕がな く、フレームワークづ くりと方向づけを行 うに止 まった。従 ってわれわれ としてはこの問題は引 き続 き研究 を要するもの と考えている。 最後に、以上の集積地域企業お よび集積地域の課題を受 けて新潟県集積企業の経営革新問題を取 り上げた。 (なお、 ここでは中越集積の機械 ・金属産業を中心 に検討を行った が、それはケース研究のためであって、われわれの意図は

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それを通 じて集積地域企業の経営革新及び集積地域革新の 汎用モデルを作 り上げることにある。)そこでは、中越地 域の機械 ・金属産業を中心にして 「環 日本海 (北東アジア) ビジネス ・ネッ トワーク」 を形成 ・発展 させ る必要性 を強 調するとともに、それに携わるネッ トワーク型産業の発展、 さらにはそれを支援 ・補完するための 『環 日本海 (北東ア ジア) ビジネス情報ネッ トワークシステム

形成の必要性 を指摘 した。そ して、中越集積が環 日本海 (北東アジア) 地域においてテクノロジー ・コアの役割 を果たそうという のであれば、その場合 も、市場 ・開発 フィー ドバ ックの背 景 をなすニーズ とシーズのフィー ドバ ックの 「場」すなわ ちプラッ トフォームを形成する必要があるが、そのために は産学官協力による 「環 日本海 (北東アジア)版技術移転 機関

[

TLO]

の創設が必要であるとの提起 を行った。

.

「ネッ トワーク ・マネジメン ト」論 とその意義

1.

「ネッ トワーク ・マネジメン ト」 とは何 か (1) なぜ 「ネッ トワーク ・マネジメン ト

なのか 「ネットワーク ・マネジメン ト」 とは企業間関係すなわ ち企業間ネットワークを重視する企業経営論である。こう した企業経営論が登場 して きたのは、企業経営における戦 略上の課題が企業内問題か ら企業間関係すなわちネットワ ークへ と重点を移 しつつあるか らだ。重点移動は企業付加 価値プロセスにおける次の三局面で端的にみ られる。 第一 は研究 ・製品開発 の分散化 とネ ッ トワーク化であ る。研究 ・製品開発の分散化は二つの理由か ら生 じている。 一つは情報通信技術 によって情報共有化が可能になったこ とである。 (ここで言 う 「情報共有

とは情報通信技術の 発展.に伴 う企業情報の 「共有部分の拡大」 を指 してお り、 企業情報の全てを共有することではない。)すでに製造段 階では情報共有化 を背景に 「コンカレン ト・エ ンジニアリ ング」 (情報共有化 を通 じてそれぞれの工程が他の工程 と 並行的に- コンカレン トに一作業 を進めるという手法)が 行 われてお りそれが製造過程 の分散化 を可能 に している が、情報通信技術の発展 による共有部分の拡大は、 さらに それを 「コンカレン ト・ディベロップメン ト」へ と発展 さ せ ることによって

製造過程のみならず研究 ・開発過程 を も分散可能にしている。 その結果、情報非共有化の下では 独 自な開発のために巨額な資金を要するという資金制約上 の理由か ら中堅 ・中小企業が排除され大企業の手に専 ら集 中されていた研究 ・製品開発への参入機会が、情報共有化 の下では資金的な制約が相対的に低下 したために中堅 ・中 ノ 小企業にも与えられることになった。二つにはコア ・コン ピタンス論の下での参入多様化である。 コア ・コンビタン ス とは自社が最 も有利 と考 える部門に経営資源を特化 させ ることを意味するが、その特化が市場競争の下で行われる 場合にはコアそのものにも複数の参入者が登場 し得 る。そ の結果、キ∵ ・テクノロジーが複数化 Lかつその組み合わ せ如何 によって多様な製品が生みだされることになる。 か くしてコア ・コンピタンスにおける参入の多様化 もまた研 究 ・製品開発の分散化 に繋が り、中堅 ・中小企業の登場 を 促すことになる。 以上二つの理由による研究 ・製品開発の分散化 は情報通 信技術 とりわけ企業情報ネッ トワークシステムの発展 によ って一層促進 されることになった。企業情報ネッ トワーク システムの発展は、企業間の開発提携 を妨げて きた空間的 制約 という要因を大 きく低下 させるか もしくは全 く除去 し て しまうか らだ。か くして情報共有化が大 きく進展するこ とになった。 しか もそれだけではない。ネッ トワークシス テムの発展が標準 イ ンター フェースの拡大 を伴 う場合 に は、情報共有部分が拡大するのみならずそれがオープン化 する。 また 「情報共有インフラ

の整備 も見逃せない。そ れ は企 業 間情 報 共 有 シス テ ム

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さ らには互換 ソフ トなど様々な要素か らなっているが- これ らは

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と総称 されている- 、 こうした システムの開 発 ・整備 もまた情報共有化の進展に大 きく寄与 している。 このように、企業情報ネットワークシステムの発展 は研 究 ・製品開発の分散化 を可能にしさらに加速 させているの であるが、 このことは、分散化 とネッ トワーク化が表裏の 関係にあることを示す とともに、企業間ネッ トワークの重 要性 を証明するもので もある。 第二は技術 ・生産関係の変化である。研究 ・製品開発の 分散化 は、様々な技術やノウハウを持つ開発企業間の多様 な連携すなわち 「研究 ・製品開発連携

を生み出す ととも に、新たな技術 ・生産関係の形成 を通 じて特定の技術 ・生 産関係 を前提 に成立 していた 「技術 ・生産工程間連関

の 連鎖的変動 をもた らす ことになる。 しか も 「研究 ・開発連 携」の変化 と 「技術 ・生産工程間連関」 における変化 とい う二つの変化は企業情報ネットワークシステムを通 じて複 層的で累積的な性格 を一層強めてお り、 この複層性 と累積 性 によって生み出される相乗作用 と累積効果-それは企業 間のネットワーク化 によって商品の便益性 と収益性 を著 し く高めるとし'、う意味で 「ネッ トワーク効果」 と呼ばれてい る-が連鎖的変動を加速 している。 このことか らもネッ ト -5 9

(7)

-ワークの重要性がます ます増 していると言えよう。 第三は取引関係の水平化である。研究 ・製品開発が大企 業主導で行われる場合 には、 自社製品の開発はその殆 どが 大企業に集中 し、中小企業 とりわけ零細企業は単にその下 請けを担 うという役割に甘ん じていた。その場合の取引関 係 は言 うまで もな く垂直的である。だが、中堅 ・中小企業 もまた研究 ・製品開発の一翼 を担 うということになれば、 中堅 ・中小企業 も自社製品 (や部品) を開発する可能性 を 手に入れることにな り、彼 らが単なる下請けの地位か ら脱 するということになるが、そのことは逆に彼 らもまた自社 製品のための販売ルー トを自らの手で確保 しなければなら な くなる、 ということを意味する。 その結果、取引関係 も またこれまでの垂直的なものか ら水平的なものへ と移行す ることになるが- こうした移行 において もSCM (Supply ChainManagemennt)など情報通信技術 を使 った調達 シ ステムが威力 を発揮することになる-、 こうした取引関係 の水平化 もまたネッ トワークの重要性 を物語っている。 さらに見落 としてはな らないのは、 (イ)三局面は、そ れぞれ研究 ・製品開発、技術 ・生産関係そ して取引関係

いういわば企業の付加価値プロセスにおいて最 も重要な部 分に関わってお り、 しか もそれが企業間に波及 し、その意 味で企業間 「付加価値連鎖」 をなしている、 (ロ) さらに いずれの局面においても情報ネッ トワークシステムが関わ り、それが上記の付加価値連鎖 を深化 させる上で-連鎖性 を強め価値創造性 を高める上で一重要な役割 を果た してい る, という二点である。 以上の点で企業間ネ ッ トワークの重要性が高 まってお り、その結果それが企業経営上の主要課題 とな りつつある のだが、要は、情報ネットワークによって助長 された付加 価値連鎖の深化 こそが 「ネットワーク ・マネジメン ト

論 登場の所以だ、 ということである。 (2)「ネットワーク ・マネジメン ト

の内容 では 「ネッ トワーク ・マネジメン ト

とは一体 どのよう な内容 を持 っているのか。それは、 (イ)企業間ネ ッ トワ ーク、 (ロ) ビジネス ・プロセス、 (ハ)そ して上記 (イ) と (ロ)の統合一 という三つの要素か らなる。 ① 企業間ネッ トワーク 企業間ネッ トワークについては、製品ライフサイクルか らアプローチする場合 と調達 システムの面か ら捉 える場合 とがある。

A.

製品ライフサイクル論か らのアプローチ 前者の製品ライフサイクル論的企業間ネッ トワークを代 表す るのはCALSである。CALSは、デジタル化 された情 報の流れを中心に企業の業務プロセスを製品ライフサイク ル全般にわたって統合化するコンセプ トである。その 目的 は、アメリカでそれが開発 された当初は兵器調達 コス ト削 減 という極めて軍事的色彩の強い ものであった (そ もそ も CALSは兵器調達 システムとして開発 されたのだか らそれ は当然のことである)。だがそれが 日本 に導入 されるや否 や、その 目的は、 (イ)製品ライフサイクル全体 を通 じて のコス ト削減、 (ロ)製品における晶質 ・性能 ・安全性の 高度化 ・強化- という産業競争力 目的に置 き換 えられた。 後者の 日本における目的すなわち上記二つの競争力強化 の中で もとくに重要なのは後の方の品質 ・性能 ・安全性分 野である。 この分野 こそ、 グローバ ル企業がデイフアク ト・スタンダー ドの獲得 を目指 して現在 しの ぎを削ってお り、 また各国が懸命に自国企業の後押 しをしている分野で あるか らだ。今やこの分野における世界標準の獲得競争は まるで自国の 「国益

がかかっているかの如 き様相 を呈 し てお り、従って品質 ・性能 ・安全性 における 「標準化」競 争は私企業に任せてお くだけでは済 まず、国家 もそのため の基盤整備 に積極的に乗 り出すべ し、 ということに相成っ たのだ。 しか しなが ら 「標準化」競争力強化のための基盤づ くり ということであれば、それは情報共有化のためのインフラ 整備 という社会的側面 をも併せ持ってお り、従ってそれを 専 ら国家プロジェク ト主導で行 うということには些か無理 があるようだ。社会的整備 という点では、国家プロジェク トもさることなが ら、民間企業で しか も中小企業であ り集 積地域企業で もある企業の創意工夫 をもっと尊重すべ きで ある。現 に、設計 ・開発部門においては、基盤技術部門を 中心に集積地域のソフ ト会社が画期的な互換 ソフ トを開発 し、焼烈な企業間標準化競争の中で部品メーカーの情報共 有化 に大 きく貢献 していろ という例 も存在 している。 CADネ ッ Iワークシステムの高度化 (ソリッ ド化) と 融合化 (CAMとの結合) にみ られるように、製品ライフ サイクル面での企業情報ネッ トワークシステムは今後高度 化 し融合化 しつつ急速に発展するもの と想定 されるが、そ れだけにそ う、した発展 に備 えるためにはCALSは 「情報共 有インフラ」 として民間部門の創意工夫をも取 り入れて整 備 されることが必要であろう。 こうした点で ``官製CALS"には種 々の問題があるとし て も、CALSが企業間ネッ トワークに対する製品ライフサ イクル論か らのアプローチであるという点で本質的に重要 な意義 を持っているということは強調 されて然るべ きであ ろう。

B.

調達 システムか らのアプローチ 後者の調達 システムの面で企業間ネッ トワークを代表す

(8)

るのがSCMである。SCMとは、資材、情報、金融などの流れ を企業間を超えた一つのネッ トワークシステムとして捉 え る企業経営論である。それは本来アメリカのグローバル企 業の世界最適調達 システムとして開発 された企業情報ネッ トワークシステムである。その後それは、資材、情報、金融 などの流れを、財 ・サービスの供給者、流通者、消費者の間 に張 り巡 らされた一つのネッ トワークー しか もグローバル なネットワークーの下で一括 して取 り扱い、それ らの流れ を全体 として効率化 させる経営戦略へ と発展 して行った。 以上か ら明 らかなように、それは本来流通 ・物流に淵源 を持つ システムであるが、 しか しなが らそれ らとは基本的 に異なった概念で もある。例えば、物の流れ というロジス ティックな面か らみると、それは複数の企業に跨ったロジ スティックの統一的管理によってその総合的な効率化 を図 ろうとしている点で従来のロジスティックの延長線上で捉 えることもで きよう。だがSCMにおいてはロジスティッ クは 「導管」の一つに過 ぎないという点が重要である。 つ まりSCMは、資材(Sources)か ら始 まり供給者(Supplyer)、 製造者 (Manufacturers)、分配者 (Distributers)、小売 り(Retailers)そ して顧客 (Customers)に至る一連の調 達プロセスを三つの 「導管」すなわち 「財の導管 (Goods Conduit)」、「情報の導管 (ⅠnformationConduit)」そ して 「資金の導管 (FundsConduit)」が貫通するというシステ ムか ら成 ′り立っているのであって、その意味でロジステ ッ クは導管の-?つ まり 「財の導管」に過 ぎないのであるo ロジスティックが片方向-サプライヤー ・ベ ンダーか ら消 費者 ・顧客への一方的な流れ- であるのに対 して、SCM は本質的には双方向であるとい うことだ。SCMは、単 に その名が示 しているだけではな く、原材料や機械類など中 間財や資本財の調達 システムーそれ もグローバル企業によ る調達システムー として一躍有名になった経緯か ら言って も、確かに片方向の調達 システム として受け取 られがちで あるが、他方では、それが比較的消費者に近い繊維産業な ど消費財におけるクイックレスポンスつ まり顧客ニーズに 如何 に素早 くかつ柔軟に対応するか という要求に応えるた めの流通情報 システムとして発展 して きたという側面 をも 併せ持っているとい うことか らも明 らかなように、実は本 来双方向-サプライヤー ・ベ ンダーか ら消費者 ・顧客への 流れ (財の流れ) とともに、その道の流れ (資金の流れ)、 さらには双方への流れ (情報の流れ) もあるという意味で 双 方 向- なの で あ る。つ ま り、SCMは本 来 「DSCM (Demand・SupplyChainManagement)」としてコンセ プ ト化 されるべ きであったのだ。 (SCMは、専 らグローバ ル企業による世界的調達 システムとしてのみ理解 された結 果、恰 もその本質が取引関係の世界的垂直化 にあるかの如 く受け取 られて しまったのは、SCMの こうした淵源 に由 来す ると言えよう。 とはいえ本稿 も、「SCM」が既 に "チ イフアク ト・コンセプ ド 化 して しまった以上、 とくに両 ( 者 を区分する必要がある場合 を除いて、煩雑 さを避けるた めに世間の習慣 に従い「SCM」概念 を用いることにする。) (SCMに関する以上の論点を整理すると下図のようになる。 なお、SCMに関 しては、米スタンフォー ド大学がグローバ ル企業の調達 システムの整備 を計ることを主たる目的 とし て開発 した調達モデルと、同 じく米サプライチェー ンマネ ジメン トレビュー誌が消費財産業のクイックレスポンス等

SCM (

Suppl

yChai

nManagement

)の概念図

1 2 3 4 5 6 Goods Conduit lnformation Conduit Funds Conduit

l;Sources 2;Supplyers 3;Manufacurers 4;Distributers 5;Retailers 6;Consumers

(9)

61-への対応 を主たる目的 として開発 したD-Sモデルとがある が、ここでは後者に沿って整理 してみることにする。) そ して、調達 システムを単なる物流 システムか ら財 ・情 報 ・資金の総合的なシステムであるSCMへ と発展 させ る 上で極めて重要な役割を担っているのが企業情報ネッ トワ ークシステムである。

C.

製品ライフサイクルと調達 システムとの融合 ところで上記A (製品ライフサイクル) とB (調達 シス テム) との関係は、CALSとSCMが ともに企業間ネッ トワ ークーそれ も企業情報ネットワークという共通の基盤を持 った企業間ネッ トワーク-である以上、何 らかの共通性 を 持つに至 るのは至極当然である。すなわち、CALSを製品 ライフサ イクルに関す る情報の総合 的管理 と捉 えるな ら ば、それは当然SCMを通 じての企業間ネ ッ トワークと融 合す ることになる。 その結果CALS/SCMという新たな統 合的企業間ネッ トワークが登場するのである。 但 し企業間 ネッ トワークの融合 という問題は次に述べるビジネス ・プ ロセス間の融合 を通 じて行われるということを見落 として はならない。 ノ (参 ビジネス ・プロセス ビジネス ・プロセス論を企業間ネッ トワーク論 との関わ り合いで取 り上げるとす れば、 (イ)業務処理論 との関連 性、 (白)経営支援 システムとの関連性、 (ハ)上記 (イ) と (ロ)の融合一 という三点が重要である。

A.

業務処理論 生産 ・販売など基幹業務処理論 として最 も馴染み深いの はBPR (BusinessProcessRe-engineering)である。 ただ

Bp

R

は本来業務改善に関わるシステムのことを指す。従 ってそれは当然 「ビジネス ・プロセス (BP [Business Process])」を前提 にして成 り立っている議論だ。そこで ビジネス ・プロセス と企業情報ネッ トワークシステムが ど のような関係 にあるのか、 ということをまず論 じておかな ければならない。 ビジネス ・プロセスはまずCALSと関係が深い。CALS は、 (イ)情報通信技術、 (ロ)標準お よび規格、 (ハ)情 報共有基盤、 (ニ)電子データ、 (ホ)最適などジネス ・プ ロセス- という 「CALS環境」の下で始めてその機能を発 揮 しうるが、 このことが示す ようにビジネス ・プロセスは CALS成立要件の一つ をなしている。 しか もビジネス ・プ ロセスは、単に 「環境」であるばか りではな く、その最適 化がCALSの 「目的」で もあるとい うことか らも明 らかな ように、CALSとは本来不可分な関係 にあると言えよう。 では何故CALSが ビジネス ・プロセス と融合す るのか。 ビジネス ・プロセスは生産すなわち製造過程抜 きにはそ も そ も成 り立たない。上述 したようにCALSは製品ライフサ イクルに関わっているが、製造過程は製品ライフサイクル の中で も最 も重要な位置 を占めてお り、その意味でCALS は ビジネス ・プロセス と親和 的 なのである。 その結果、 CALS/BPとい う製品ライフサイクルに基盤 を持つネ ッ ト ワーク ・プロセスが誕生 し、それに対応 してCALS/BPR とい うネ ッ トワーク ・プロセス論 もまた成立す るのであ る。 \

B.

経営支援 システムとの関連性 経営支援 システム として華 々 しく登場 しつつあるのが

ERP (EnterpriseResourcePlanning)である。ERPとは、 最新の情報通信技術 を活用 し、発注か ら出荷 までの一連の サプライ ・チェー ンと、管理会計、財務会計、人事管理 を 含む企業の基幹業務 を支援する統合情報 システムのことで ある。 このことか らも明 らかなようにそれはSCMと親和 的である。では何故ERPはSCMと親和的なのか。それは やは りERPの淵源に関わっている。 すなわち、ERPは財務 つ ま り企業経営 を中心 とす る業務部門か ら出発 してお り、 この点で同 じビジネス ・プロセス論であ りなが ら製造過程 か ら始 まったBPRとは趣 を異にし、同 じ企業間ネッ トワー クシステムの中で も調達 システムという意味でやは り企業 経営に関係の深いSCMにむ しろ親和的なのである。

C.

業務処理論 と経営支援 システムとの融合 BPRとERPは共にビジネス ・プロセスに関わる訳だか ら 両者は当然融合する。 その結果両者は往々にしてセ ッ トに なって導入 されている。 例えばERPシステムを導入する場 合 をみてみると次のとお りである。 [ERPとBPRの関係 について] 新経営情報 システム (ERP)構築企画 】 事業戦略方向 ビジネス ・プロセス (BP)の将来像 l ビジネス∴ プロセス再構築 (BPR) 、 l 新経営情報 システム (ERP)導入 か くしてBP・ERPとい う融合 ビジネス ・プロセス (さ らにはBPR/ERPとい う融合 ビジネス ・プロセス論)が登 場することになるが、その場合重要なのは企業情報ネット

ワ ー ク シ ス テ ム な か ん づ くEDI(Electronic Data Interchange)が果たす役割である。EDIは、後述す るよ

(10)

うにEC (ElectronicCommerce)の一環 をな してお り、 一般 に 「電子デー タ交換

と呼 ばれているが、そ もそ も業 務処理形式 を書類 か ら電子 デー タ交換 に置 き代 える とい う こ とであ る。 こ う したIT (ⅠnformationTechnology)の 発展 によって始 めて ビジネス ・プロセスの融合 もまた進展 す るのであ る。 か くしてEDIは、 (イ)今 日で は企業 間取 引業務す なわち商流 ・物流 ・資金 ・情報の流 れに関す る業 務処理 の大部分 がEDIに代替 しつつ あ る、 (ロ) その処理 項 目が取引決済方法 を含 む全商取引 に及ぶ ことに よって電 子 マ ネーへ と発展 す る可能性 を秘 めてい る、 (ハ) さ らに そ れ がEDIFACT(ElectronicDataInterchangefor Administration,CommerceandTransport)として グロ ーバ ル化 しつつ ある- とい う三つの点で企業経営 のあ り方 に深 く関わってい る。 ところで、EDIによって促 された ビジネス ・プロセスの 融合化 は、 さらに企業 間ネ ッ トワー クを も巻 き込んで新 た にネ ッ トワー ク ・プロセスの統合化へ と向かいつつある。 (彰 ネ ッ トワーク ・プロセスの 「統合

A.

「統合 ネ ッ トワー ク ・プロセス

の誕生 す な わ ちCALS/BPネ ッ トワ ー ク ・プ ロ セ ス と SCM/ERPネ ッ トワー ク ・プロセスの 「統合

に よる 「統 合 ネ ッ トワー ク ・プロセス (CALS/BP・ERP/SCMネ ッ トワー ク ・プロセス)」 の登場 であ る。 こう した 「統合 ネ ッ トワー ク ・プロセス」 の誕生 は前述 した ようにEDIの発 展 に負 うところ大 であるが、亘れだけではな く企業 間の ビ ジネス ・プ ロセスモデルCITISがCALSシス テムの一環 と して新 た に開発 されつ つ あ る とい うこ と も重 要 で あ る。 CITISは企業 間の ビジネス ・プロセスの電子 的連携 を計 る サー ビスモデルであ る とされるが、 こう した企業 間 ビジネ ス ・プロセスモデルが発展 して行 けば、 ビジネス ・プロセ スの融合 さ らにはそれ を通 じての企業 間製 品 ライフサ イク ルの一体化 は一層進展す ることになろ う。 こうした企業情 報 ネ ッ トワー クシステムの飛躍 的な発展 に促 されてネ ッ ト ワー ク ・プロセスの融合 もまた さ らに進展す るのである。 (「統合 ネ ッ トワーク ・プロセス [CALS/BP・ERP/SCM]

を図示す る と下図の通 りである。) ここで注 目しておか なけれ ばな らないのがBPRであ る。 統合 ネ ッ トワー ク ・プロセスCALS/BP・ERP/SCMは ビ ジネス ・プロセスの面か らみる と、 ビジネス ・プロセスの ネ ッ トワ ー ク化 で もあ る。 そ の 結 果BPも ま たBPN (BusinessProcessNetwork)化 し、BPR再定義の必要性 が生 じる。す なわち、BPRは、 日本 では単 に 「リエ ンジニ ア リング」 と呼 ばれてお り、そ うした用語法か らも、 とも すれば企業 内の単 なる業務再構築問題 に過 ぎない と理解 さ れが ちであ るが、そ もそ もBPRの前提 をなすBPが企業 間 ネ ッ トワー クと結 びつ きビジネス ・プロセス ・ネ ッ トワー ク とい う性格 を強 め新 た にBPNへ と変 身す る こ とに よっ て、企業内業務再構築 もまた企業 間業務再構築 -その場合 には、 「リエ ンジニ ア リング

だけで はな くネ ッ トワー ク 化 に伴 うビジネス ・プロセスの 「モ ジュール化」 (交換 可 能 な構成部分 とす ること) とい う課題が新 たに発生す る と い うことも見落 としてはな らない- とい う意味 において捉 え られ る必 要 性 が 生 じる。 か く してBPRもまた新 た に BPNR (BusinessProcessNetworkRe-engineering)とし

統合ネットワーク ・プロセス

(

GALS/

BP・ERP/

SCM

ネッ トワーク ・プロセス)の概念図

SCM (Supp一yChainManagement)

X l社 Al社 B l社 - -

---・

(11)

-て再定義 される必要がある、 とい う訳だ。 (その際BPNR は、BPRと異な り単なるコス ト引 き下げ効果 を越 えた 「ネ ットワーク効果

を発揮するという点で、企業経営上新た な戦略的意味を持つ、 ということに留意すべ きである。) B.EC時代の到来 ネットワーク ・プロセスの 「統合

すなわち 「統合ネッ トワーク ・プロセス

の誕生が企業情報ネッ トワークシス テムの発展 と軌 を一にしているということは前述 した通 り であるが、その含意 は、「統合 ネ ッ トワーク ・プロセス」 の誕生が、企業情報ネッ トワークシステムの面で も何 らか の 「統合」 を進展 させているのではないか、 ということで ある。 実はそれがEC(ElectronicCommerce)と呼ばれる

ものである。ECとは、一般 に 「電子商取引」 と訳 されて いるが、分か り易 く言 えば、「イ ンターネ ッ トを使 った企 業間取引及び企業 ・個人間取引」つ まり「ネットビジネス」 のことである。本質的にはそれは統合企業情報ネッ トワー クシステムのことである。すなわちそれは、 (イ)製品ライ フサ イクルのサイ ドでは、(a)CAD (ComputerAided Design;コンピュー タ支援設計)、 (b)CAM(Computer AidedManufaさturing;コンピュータ支援生産)、 (C)上記

(a)お よび (b)を含めて設計、開発、調達、生産、運用管 理、保守に至る製品のライフサイクルに関わる情報の全て を統合的に管理するCALS (ContinousAcquisitionand Life-cycleSupport;生産 ・調達 ・運用支援統合情報 シス

テム)、の三つか らなるシステム、 (ロ)調達サイ ドでは、

(a)POS(PointofSales;販売時点情報管理 システム、 (b)

EDI(ElectronicDatalnterchange;電子データ交換)、(C)

上記 (a)お よび (b)を含 めて資材、情報、金融 な ど調達 に 関わる全ての流れを一つに統合 したSCM (SupplyChain Management)、の三つか らなるシステム- とい うそれぞ れ三つのサブシステムを伴った二つのメインシステムか ら なる統合化 された企業情報ネットワークシステムのことで ある。 とはいえ現状ではそれは、SCMを通 じての企業間 取引が大部分 を占めてお り、必ず しも統合情報ネッ トワー クシステムとして展開されている訳ではない。例 えば急速 に 「EC市場」が発展 しつつあるとされる日本の場合 にも、 「EC市場

全体 (1998年現在で年間2兆5,975億 円に迄急 増 しているとされる)の凡そ9割がSCM-それ も自動車 ・ 電機 ・コシビュー タなど大企業 に主導 されたSCM- か ら なるとされている (郵政省 『通信 白書』[1999年版]より)。 だが重要 なことは、 「統合 ネ ッ トワーク ・プロセス」 の登場 は実はEC時代がい よい よ本格的に到来 し始めてい るということを示唆 しているという点にある。 C.ECを支えるデジタルネッ トワーク さらに注 目すべ きは、EC時代の到来は 「デジタルネッ ト ワーク時代」の到来で もあるとい う点である。 すなわち、 ECは情報通信技術の面か らみれば、ネットワークのデジタ ル化 によって本格的に発展 し得 るということだ。その意味 でECはデジタルネットワークと表裏の関係にあると考える. べ きなのだ。 (なお、デジタルネ/.yトワークとは、パーソナ ル ・コンピューティング [personaトComputing]か らネット ワーク ・コンピューティング [Networkcomputing]さら に はパ ーバ シブ ・コ ン ピュー テ ィ ング [pervasive computing]への発展 を通 じて誕生する 「デジタル ・アプラ イアンス [DegitalAppliances]

のネットワーク化を指す。)

D.

個別企業戦略か ら 「ネッ トワーク ・プロセス」戦 略へ 統合 ネ ッ トワーク ・プロセスの下ではすなわちEC時代 には企業経営戦略 も一変 しかねない。すなわち従来の個別 企業戦略か ら新たに 「ネットワーク ・プロセス (Network Proces岳;NP)戟略

へ と転換するということだ。ネ ッ ト ワーク ・プロセスの融合 ・統合過程では、 ビジネス ・プロ セス ・ネ ッ トワー ク (BPN)に示 され る ように ビジネ ス ・プロセス問の融合が急速に進展する結果、経営戦略面 で も従来の企業戦略一開発戦略、商品戦略 さらには販売戦 略 というように個別的性格 を帯び しか も個々の企業への帰 属性が強いビジネス戦略-ではその対応 に限界が生 じる。 従ってそ うした限界 を克服するためには、 これ ら個別戦略 を包含 Lかつ企業間のビジネス ・プロセスに跨 るビジネス 戦略すなわち 「NP戦略

が新たに求め られるのだ。要す るに「NP戦略」 とはBPN下の企業経営戦略である。

`

2.

「ネッ トワーク ・マネジメン ト」論登場の背景 (略) ノ

3.

「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」論 か ら 「オープ ン ・ネッ トワーク ・マネジメン ト」論へ 「ネットワーク ・マネジメン ト」 を支える企業情報ネッ トワークはインターネッ トと結合することによって飛躍的 な発展 を遂げたということは前述 した通 りであるが、その / インターネッ トの普及 自体が、集中処理方式か ら分散処理 方式への転換 という情報処理方式 における画期的転換 に困 っているという事実に注 目しなければならない。何故なら ばそこには、「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」 を 「オープ ン ・ネッ トワーク ・マネジメン ト」へ とさらに発展 させる 要因が伏在 しているか らである。 分散処理が可能になったのは標準化 ソフ トの開発 に因る が、 この標準化は「オープン化」と密接 に関係 している。 ま

(12)

ず技術 的な面か らみると、標準化 は、本来PC (Personal Computer)問における 「標準 イ ンターフェース"の存在 -つ まり互換的でオープンな関係- を必要 としている。従 って、インターフェース不在 ない しは存在 していても "独 自インターフェース" しか存在 しない というような場合-つ ま り非互換的で クローズ ドな関係が支配的な場合一 に は、それはそもそ も成立 しないかあるいは成立 して も不十 分にしか機能 しないということになる。そ ういう意味で標 準化はオープン化 と密接 に関係 しているのである。 話がこれだけで済めばオープン性 は単なる情報処理論に おける問題にす ぎない。問題はことがそれだけでは済 まな いということにある。 オープン性 は情報処理論における標 準化論に関わるだけではな く、企業経営のあ り方にも極め て重要な影響 を及ぼしかねないか らである。企業経営の面 でのオープン性 とは、「自社の商品や組織が他社の商品や 組織 と組み合わされるに当たって社会的に共有化 された標 準 インターフェースを使 っている」 (国領二郎 『オープン ネッ トワーク型経営一企業戟略の新潮流-』[1996年 6月、 日本経済新聞社刊]p.77より)場合 を指 しているが、この 場合の ``標準インターフェース" とは言 うまで もな く情報 処理におけるそれをも意味 している。であるとするならば、 オープン性 は両義性-つ まり情報処理におけるオープン性 は企業経営の面でのそれで もあるという意味での両義性-を有 しているということになる。 か くLで情報処理におけるオープン性 は企業経営のそれ に不可避的に繋がるのである。 そこで前者におけるオープ ン化が進展すれ畔するほど後者におけるそれ も進捗するこ とになる。後者のオープン化が、今 日では、企業経営の根 幹部分のオープン化一商品のオープン化、ロジスティック のオープン化、経営資源のオープン化一 に迄及び始めてお り、 さらにそれを背景にして企業取引関係の根本的な転換 -すなわち垂直的統合型か ら水平的統合型への転換-の可 能性 に迄波及 しつつあるとということを考慮すれば、前者 の情報処理におけるオープン化が如何 に企業経営に重要な 影響 を及ぼすか、ということが容易に窺い知れるであろう。 か くして、「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」論 は 「オープ ン ・ネッ トワーク ・マネジメン ト」論 という新たな装いを 纏い始めているのである。

4.

「ネッ トワーク ・マネジメン ト

論の意義一 中小企 業経営革新論 との関連で-では、「ネッ トワーク ・マネジメン ト」論の意義 とは一 体 どこにあるのか。 この点を中小企業の経営革新問題 との 関連で考えてみ よう。論点は、(イう市場構造の変化、(ロ) 供給構造の変化- という二つの変化 において、「ネッ トワ ーク ・マネージメン ト

論が中小企業経営に対 してどよう な意義を持つのか、 ということである。 (1)市場構造の変化 と「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」 第一に市場構造の変化 との関係 を検討 しなければならな い。市場構造は二つの面で変化 している。 一つは消費構造 の変化である。 二つには大企業 と中小企業における取引関 係の変化である。 前者の消費構造の変化 はさらに二つの要因に分解 され る。それ らは、消費者ニーズが多様化 ・個性化 ・細分化 し つつあるというとい う要因 と、そ うした消費者ニーズの変 化 に対応 して市場が川上 (メーカー ・ベ ンダー)主導型か ら川下 (消費者 ・ユーザー)主導型へ と転換 しつつあると いう要因である。 こうした消費者ニーズの変化が 「ネッ ト ワーク ・マネ ジメン ト」 とりわけ中小企業のそれにどう関 わるのかについては後述する。 後者の取引関係の変化 もまた二つの要因か らなる。まず、 企業情報ネットワークシステムの発展 によって促 された取 引関係の変化-すなわち従来の垂直的な関係か ら水平的な 関係への変化-が存在 している。 (この点はすでに述べた ところなので詳論は省略する。) 取引関係変化の三つ 目の要因として大企業 と中小企業の 関係における変化 を挙げなければならない。変化 とは、大 企業の調達 システムがグローバル化することによって、大 企業の中小企業に対するニーズが、従来の垂直的取引関係 を支えてきた価格、品質、納期などコス ト要因を重視 した ものか ら、経営の健全性、クイックレスポンスへの対応力、 技術開発 ・提供能力、品質保証能力、企画提案力、多品種 少量生産への対応力 など経営の自立性 を重視 したものへ と 次第に転換 し始めている- という点である。 この点は中小企業経営 にとっては死活的な問題である。 その結果、中小企業は否応な く経営革新 を迫 られることに なる。それな くしては経営の自立性 は達成で きないか らだ。 すなわち、 自立化は自社製品 (および部品)の開発 とそれ を販売す るための独 自なマーケテイ ングを不可欠 とす る が、そのためには、すでに指摘 したように (イ)研究 ・製 品開発の分散化、 (ロ)取引関係の水平化一 に対応する経 営革新が必要である。 (中小企業の場合 にはとりわけ取引 関係の水平化が重要である。) このことは、中小企業の場 合 もまた 「ネッ トワーク ・マネジメン ト」論が避けては通 れない課題 となるということを意味 している。 (2)供給構造の変化 と「ネッ トワーク ・マネジメン ト

第二に供絵構造の変化 との関連性を取 り上げなければなら ない。まず上記の市場構造の変化は生産 ・供給システムにお ー6 5

(13)

-ける変化 を不可避的に伴 う。 その変化 とは次の二点である。 一つは生産システムの変化であ り、二つには生産方式の変化 である。最初に生産システムの変化 とは何か。上述 した消費 者ニーズの変化すなわち多様化 ・個性化 ・細分化はまず生産 システムにおけるソフ ト的要素の重要性 を高めることにな る。何故ならば新たな需要に対応するためには、デザイン性、 ファッション性、さらにはブランド性などソフ ト的要素が一 層重要 となるか らだ。 ところでこうしたソフ ト的要素が強ま るということは、製品の高級化つまり高付加価値化を意味す る。他方、多様化 ・個性化 ・細分化は市場のニッチ化を意味 する。ニッチ化は後者の生産方式の変化すなわち少品種大量 生産方式から多品種少量生産方式-の変化に繋がる。 (3) 「ネッ トワーク ・マネジメン ト」論の意義 中小企業や小規模企業にとって重要なのは正 にこの生産 方式の変化すなわち多品種少量生産方式の登場である。何 故ならばそれは、規模の優位性 を覆 し従って大規模企業の 優位性 を後退 させ、代わって中 ・小規模企業の優位性 を相 対的に高めるか らである。 しか もそれは、生産システムの 変化 をも背景にしているだけに市場構造の変化への対応 と いう観点か らも、中 ・小規模企業に新たな市場参入機会 を 与えるという点でなお さら重要なのである。 中小企業がこうしたチ ャンスー小規模企業の優位性 を生 か し新たな市場アクセスを計るチャンスー を生かせるか否 かは自らの経営革新 に成功するか否かにかかっている。 し か も上述 したように中小企業は、経営革新 を通 じて自立的 な経営 を確立 しない限 りその存続 自体が危ぶ まれる、 とい う情況にそ もそ も置かれているのである。従って経営革新 は新たなチャンスへの挑戦であると同時に自らの存続 をか けた挑戦で もあると言えよう。 この点に関 して、「ネットワーク ・マネジメント」論が大 企業だけというよりもむ中小企業の経営革新にとっても重要 な意味を持っているという点に注 目すべ きである。何故なら ば、「ネッ トワーク ・マネジメント」はそもそも三つの根拠 -すなわち研究 ・製品開発の分散化 とネッ トワーク化、技 術 ・生産連関の変化、取引関係の水平化 という根拠-の上に 成 り立っているということを指摘 したが、それらは正に中小 企業経営革新にとってこそ必要な課題であるからだ。その意 味で 「ネットワーク ・マネジメント

は中小企業経営革新に とってまたとない機会を提供 していると言えようし

「ネット ワーク ・マネジメント

論の意義は正にこの点にこそあると 言うべ きであろう

。(

「ネットワーク ・マネジメント」が中小 企業に対 して持つ意義は、ネットワーク社会の 「持続性」 と いう観点からも強調される必要があろう。ネットワーク化が 企業の二極分解- 部の大企業がグローバル化 し``一人勝ち'' する一方で大部分の中小企業が逆にローカル化 し市場から放 逐されるというような事態- をもたらす とすれば、それは経 済社会の政行性を強め社会の不安定性を招 きかねない。こう した不安定性 を克服 し社会の持続的な発展 を図るためには、 「ヘテロ (異種混成)構造」【西室泰三 「広がるネット、変わ る社会

-

『一人勝ち現象

に懸念

(日本経済新聞

1

9

9

9

年 3月3日)参照】を持つ ことが求め られるが、「ネッ トワー ク ・マネジメント

の意義を中小企業 との関連性に求めると いうことはそのためにも必要なのである。) Ⅱ.集積地域企業 と重層的 ・多元的ネッ トワーク ・コーデ ィネー ト (略)

Ⅱ.

「地域 ビジネス情報ネッ トワークシステム」 では、「地域 ビジネス情報ネッ トワークシステム (Local BusinesslnformationNetworkSystem ;LBINS)

とは何 か、 またそれに関わる二つの問題点すなわち流通システム との関連性及びタイムスパ ン問題をここでは考えてみよう。 1

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「地域 ビジネス情報ネッ トワークシステム (LBINS)」 とは何 か まずLBINSとは何か。それを考 えるに当た り問題 を三 つに整理 してお く必要があろう。 一つは目標 をどのように 考えるかである。二つにはシステムの機能についてである。 三つにはシステムのあ り方に関 してである。 (1) 目標 しー「 集積地域企業の課題が重層的ネットワーク ・コーディネー トすなわち(イ)技術 ・生産工程間連関コーディネー ト、(ロ) 研究 ・製品繭発連携 コーディネー ト、 (ハ)そして両者の相乗 作用 ・累積効果 コーディネー トー という三つのネットワー ク ・コーディネー トにあるとすれば、情報ネ:yトウ-クシス テムの目標 もまたそれを支援 し推進することに置かれるのは 当然である。その場合、とくに重視 しなければならないのがJ (ロ)の研究 ・製品開発 コーディネー トである。何故をらば、 それがあってはじめて(ハ)の相乗作用 ・累積効果を期待 し得 るのであ り、またその作用 ・効果を通 じて (イ)の工程間連 関の高度化 も可能になるからである。従っで情報ネットワー クシステムの目的は、研究 ・製品開発連携 コーディネー トを 中心 とする重層的ネットワーク ・コーディネー ト′の支援 ・推 進に寄与することにある、 ということになる。 ㌧ 研究 ・製品開発が 「連鎖型開発」すなわち市場 と開発の フィー ドバ ックの下で行われる必要があるとすれば、重層 的ネッ トワーク ・コーディネー トはさらに多元化 される必 要が生 じる。従って情報ネッ トワークの 目標は重層的 ・多 元的ネ ッ トワーク ・tコーデ ィネー トを支援す ることにあ

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