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三朝温泉附近 の花 尚岩 に就 て
岡 山 大 学 温 泉 研 究 所相
馬
花 尚 岩 の 分 布 三朝温泉附近の基盤岩石 は花 園岩であ り, 花園岩 は西方では大山の火 山岩 層,三朝温泉 近 くの高い処,東方及 び 北 方 で はolivi ne-augitebasalt・hyperstheneandesite等を 含む主にアルカ リ岩系 ・ピジオ ン輝 石 岩 系 に属す る板状節理の多い火山岩でお ゝわれ, 北方では又硬岩 を含む第三紀の堆積岩でお ゝ われている.従来の地質図によれば,三朝温 泉附近の花 尚岩 は,いわゆ る中国バ ソ リスの 一部の中生代 後期又は古第三紀 に属す る花 尚 岩である. 花 尚岩の肉眼的観察 三朝温泉附近の花 冠岩 は全体的に風化 して お り薄桃色で,黒雲母 ・磁鉄鉱の黒いはん点 があ り,ゼ ノ リスは殆 ど見 あた らないが倉吉 図巾の南部の方面の鉛 山附近及び人形峠附近 は直径が5-10cm位のゼノ リスが多い. ポープ イロブ ラス トは少 く花 尚岩 の鉱物の 粒の大 きさにはいろいろ変化があるが,温泉 研究所の南方約1kmには径約3cmの石英 ・ 微斜長石パ-サイ トか ら出来てい るアプ ライ トペグマタイ トがあ り,又 ところ どころに細 粒のアプ ライ ト質花尚岩や細粒のアプライ ト の岩脈が あって, これ らの分布には規則性は な く走向 も一定 していない.花尚岩 には走向 がN200-30oE及 びそれにはゞ直角のN700-8
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W の節理が多 く,それ らに平行 な安 山岩 質岩石の岩脈が多い.又 ところ どころに断層 やずれがあるがそれ らが花尚岩体中で系統的 徳蔵
であるか ど うかわか らない. 顕微鏡その他による花 尚岩の観察 三朝温泉附近の花 尚岩 を作 ってい る主 な鉱 物 は石英 ・カ リ長石 (微斜長石パ-サイ ト) ・斜長石 (オ リゴ リクレース) ・黒雲母であ り,角閃石 ・白雲母はない.他 に副成分鉱物 として磁鉄鉱 ・裾 レン石 ・ジル コン ・クサ ビ 石 ・燐灰石等がある. 石英 は一般にひずみを受 けて波動消光 を示 す ものが多い. 三朝町坂戸附近 に見 られ る微斜長石のポー ブ イロブ ラス トのスペ ク トル分析 によると普 通の徴斜長石の化学成分 と殆 ど変 りは な い が,
たゞCu
がポープ イロブ ラス トの微斜長石 の方で崖に多い.倉吉図巾の南部鉛 山万面で 微斜長石パ-サイ トのアルバイ トの部分は徴 斜長石の中で しめる割合が三朝温泉方面 のそ れ よ りも一般 に小 さく,関金温泉方面のそれ は三朝温泉方面 のそれよ りも一般 に大 きい. 斜長石の量はあま り多 くな く,オ リゴク レ ースである.全般的に,特 に三朝温泉の西方 でオ リゴクレ-スには帯状構造が発達 し,そ の外縁部は ミル メカイ トとなってい る. 黒雲母 は薄片で淡い こげ茶色で多色性がは げ しい.地域 による色の変化はな く,三朝温 泉の近 くではγ≒1.625-1.635位 で, Feの あま り多 くはない レピ ドメ レー ンに属す る. 副成分鉱物並びに温泉水中のRn
と花 尚岩 との関係 に就ての考察 磁鉄鉱 はかな り多量にあ り,燐灰石 ・クサ相 馬 ビ石 は少い. クサビ石 は無色なや ゝ褐色でい くらかのα放射能 を持ってい る. ジル コンは 淡褐黄色で しば しば黒雲母 に多色性ハ ロ-杏 与 えてい るが,ハ ローの大 きさや色の濃淡 と オー トラジオグ ラフによって観察 され るα線 の量 とは必ず しも比例 しない.三朝温泉附近 の花褐岩には褐 レン石が極 めて普通で これに もα線 が多 くジル コンに次 ぎその量が 約1/80 であるが含有量 はジルコン の 約100倍 あ っ て, これ も黒雲母に多色性ハ ロ-を与 えてい ることがある.褐 レン石 はジルコン ・クサビ 石 と共 に三朝温泉附近の花 園岩が有す る放射 能 の主 な源である.又モ ナザイ トもあ り,こ れ らの鉱物にメタ ミクテ ィゼイシヨンはジル コンに少 しある他にはない. 今三朝温泉 に於て絵湧出量 を1500B/minそ の平均 ラ ドン含有量 を100マッヘとして この 第 1 総湧出量 :1500D/min Uの場合 -% O-AN Rn(g/min) 0
.
693
U(
g
)
222=
T
238U
x等 ×竿4
.
7×104 ton lOOOx200×10m3 8.9×10-3g/g ラ ドンを生ず るために親元素が どれだけあれ ばよいか計算 をす る.温泉水中に含 まれてい るラ ドンを生ず るための親が含 ウラン鉱物 と すればその鉱物に於て ウランー ラジウム間の 崩壊が放射平衡 にある とし,一世d
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- AN に於て単位時間に生ず るラ ドンの原子数は即 ち左辺 と等 しく,それだけの ウランが崩 壊す 徳 蔵 るか ら右辺 のNが存在すべ きウランの原子数 とお くことが出来 る. ウラン ・ラジウム系列 の崩壊過程で生ず るラ ドンの3-30%が系列 か ら失 われ (Giletti&Kulp (1955)) 自由な ガス体 とな り,更にその うちの0.1-1%が温 泉水中に入って ラ ドンとして測定 され る もの とす ると,三朝温泉の地下 に存在すべ きウラ ンの全量 は4.7×104-4.7×102トンであ り, 温泉水中の ラ ドンを生ず る親 として ラジウム のみを考 え れ ば1,5×10 2-1.5×104ト ン である. これだ けの量の ウラン又は ラジウム が地下の岩石 に含 まれ,温泉水に影響 を及ぼ している岩石の体 積 が1000m x200mxlOm とすれば地下 に於 けるウランの含有 量 は8.9 ×10ー3g/g∼8.9×105g/g,ラジウムの含有量 は2.8×109g/g∼2.8×10 11g/gとな る (質 一表). 表 Rn含有量:100mache Raの場合 1.5×10-2ton 2.8×10-9g/g 普通の花 嵐岩 に於 けるウラン ・ラジウムの 含有量 はそれ ぞ れ 10 6g/g・10-12g/g の桁 であ り,三朝の温泉水中に含 まれてい るラ ド ンを生ず るための親が含 ウラン鉱物中の ウラ ンにあ るとすればその量はあま りに も多量に 無 ければな らず,三朝温泉の花園岩 に普通に ある鉱物には求 めに くい.文脈巾 1m, ウラ三朝温泉附近 の祐尚岩 に裁 て ン品位0.1%,比重