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年次要覧2010年度_表紙ol

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1.SE 室の定義  SE 室は,ISAS におけるシステムズエンジニアリン グ活動を推進するため,平成20年4月に設置され,以下 の活動を行うことが定義された. ⑴宇宙科学プログラムに係る技術的事項の調整に関す ること. ⑵宇宙科学プログラムに係るシステムズエンジニアリ ング能力の強化施策に関すること. ⑶宇宙科学プログラムに係るシステムズエンジニアリ ング活動に関すること. ⑷宇宙科学プログラムに係る技術開発戦略の策定に関 すること. ⑸宇宙科学プログラムに係る企画の調整等に関するこ と. 2.平成22年度の活動内容  平成22年度の具体的な活動として,主に以下の活動を 行った. ⑴ SE 室メンバーが開発中の衛星プロジェクトの進捗 を把握するとともに,プロジェクトからの併任者を 含むメンバーによりほぼ週に一度の頻度で打ち合わ せを行い,プロジェクト間の情報交換とプロジェク ト進捗の把握に努めた. ⑵有識者による宇宙科学プロジェクト SE-PM 支援 チームを組織し,その活動(開発中の衛星プロジェ クトの設計会議への参加)を支援した. ⑶宇宙科学プロジェクトの特質に合わせた SE・PM 活動の整理.今年度は,ガイドラインの初版を制定 した. ⑷各プロジェクト,プリプロジェクトの進捗にあわせ てプロジェクトの活動を支援した.具体的な内容を カレンダー順に以下に示す. 4月:PLANET-C 打上げ前確認会対応,ASTRO-H 基 本設計審査(PDR)(バス)対応 5月:ASTRO-H PDR(システム)対応,BepiColombo 設計会議対応 6月:SPICA システム要求審査(SRR)(説明会,分 科会)対応,ASTRO-H 設計会議対応 7月:小型科学衛星シリーズ宇宙開発委員会報告対応, ASTRO-G 技術検証報告対応 8月:SPICA SRR(全体審議)対応,ペネトレータ貫 入試験対応,ASTRO-G 宇宙開発委員会(懇談会) 対応 9月:ASTRO-H 設計会議対応 10月:SPRINT-A 設計会議対応,「きぼう」第2期利用 テーマ “Group Combustion” システム定義審査 (SDR)対応 11月:ASTRO-H 設計会議対応,ASTRO-H Δ PDR(分 科会)対応,ペネトレータ貫入試験後報告対応, BepiColombo 設計会議対応,SMILES 定常運用 完了審査対応 12月:BepiColombo 詳細設計審査(CDR)対応 1月:SMILES 宇宙開発委員会報告対応 2月:BepiColombo CDR(分科会)対応,ASTRO-H 設計会議対応 3月:SPRINT-A 安全審査委員会対応 通年:各種会議フォロー(CE 会合,研究推進委員会, コンポーネント,DE 会合,SDS 等),プロジェ クト ・ プリプロジェクト進捗報告対応,プログラ ム会議事務局

a. 平成22年宇宙科学プログラム ・ システムズエンジニアリング室の活動について

プログラム ・ システムズエンジニアリング室

満田和久 渡戸 満 長木明成 長島隆一 殿河内啓史 吉原圭介 飯嶋一征 池田知栄子 小川美奈 入門朋子 堂谷忠靖 上野宗孝 大野友史 鈴木保志 和光 淳 前佛英樹 前島弘則 中谷幸司 廣瀬史子

3.各センター及び室の研究活動

間連続観測が可能な気球望遠鏡システムの開発を目指 す. 参 考 文 献 1) 吉田哲也:平成22年度の大気球実験概要 平成22年度大気球 シンポジウム集録 2) 斎藤芳隆,他:薄膜高高度気球(BU30B 型) の飛翔試験 平 成22年度大気球シンポジウム集録,(2010) 3) 斎藤芳隆,他:はっさくのネット状の網をかぶせたスーパー プレッシャー気球の提案 平成22年度大気球シンポジウム集 録,(2010) 4) 斎藤芳隆,他:菱目の網を被せたスーパープレッシャー気球, JAXA-RR-10-013,2011 5) 福家英之,他:スーパープレッシャー気球の展開試験 平成 22年度大気球シンポジウム集録,(2010) 6) 井筒直樹,他:俵型気球の飛翔試験 平成22年度大気球シン ポジウム集録,(2010)

7) N.IZUTSU,et al:Development of a Super-Pressure Balloon with an Improved Design,Trans. of JSASS,Aerospace Technology Japan vol.8 No. ists27 (2010),Pm_7-Pm_13 8) H.Fuke,et al:Progress of super-pressure balloon

development: a new "tawara" concept with improved stability,Adv. Space Res. 48 (2011) 1136-1146.

9) 斎藤芳隆,他:スーパープレッシャー気球とゼロプレッシャー 気球を組み合わせた長時間飛翔気球の飛翔性能試験計画 平 成22年度大気球シンポジウム集録, 2010 10) 斎藤芳隆,他:タンデム気球の開発(II) 平成22年度大気球 シンポジウム集録,(2010) 11) 福家英之,他:宇宙線反粒子探索計画 GAPS のプロトタイプ 気球実験計画 平成22年度大気球シンポジウム集録,(2010) 12) T.Aramaki,,et al:Antideuterons as an indirect dark

matter signature: Si(Li)detector development and a GAPS balloon mission,Adv. Space Res. 46 (2010) 1349-1353. 13) 坂井賢一,他:BESS-Polar II 成果報告反陽子流束測定と反 ヘリウム探索 平成22年度大気球シンポジウム集録,(2010) 14) 小澤俊介,他:気球搭載型宇宙線電子観測装置 bCALET の 開発 平成22年度大気球シンポジウム集録,(2010) 15) 鳥居祥二 , 他 ::CALET プロジェクト : 「きぼう」曝露部にお ける高エネルギー宇宙線・ガンマ線観測 平成22年度 宇宙科 学シンポジウム,S3-1 16) 松村知岳,他:小型科学衛星 LiteBIRD 平成22年度宇宙科 学シンポジウム,S3-10 17) 叶 哲生,他:気球搭載遠赤外線干渉計 FITE のフライト計 画 平成22年度大気球シンポジウム集録,(2010)

18) A.Nakashima,et al:Far-Infrared Interferometric Telescope Experiment (FITE): Three-Axis Stabilized Attitude Control System, TRANS. OF JSASS,AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN,Vol. 8 (2010),Tm_19-Tm_24 19) T. Kohyama,et al:Far-Infrared Interferometric Telescope

Experiment (FITE): II. Sensor Optics TRANS. OF JSASS, AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN,Vol. 8 (2010), Tm_55-Tm_60

20) 谷森 達,他:広視野電子飛跡検出型コンプトンカメラによ る天体および北極での超高層電子由来ガンマ線観測気球実験 平成22年度大気球シンポジウム集録,(2010)

21) A. Takada,et al:Observation of Diffuse Cosmic and Atmospheric Gamma Rays at Balloon Altitudes with an Electron-Tracking Compton Camera,Astrophysical Journal,Vol. 733, L13,(2011)

22) 田口 真,他:気球搭載望遠鏡による惑星大気観測 平成22 年度大気球シンポジウム集録,(2010)

23) Y. SHOJI,et al:Highly Precise Pointing Control System on a Balloon-Borne Telescope for Optical Observations o f P l a n e t s , T R A N S . O F J S A S S , A E R O S P A C E TECHNOLOGY JAPAN,Vol. 8,No. ists27 (2010),Pm_15-Pm_20

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1. 概     要  宇宙航空研究開発機構の第二期中期事業計画が策定さ れ,平成22年度はその第二年度にあたる.策定された第 二期中期事業計画の安全・品質保証室に係わる事項は, 一,機構内の品質マネジメントシステムを構築し,順 次システムの向上を進める. 一,安全・信頼性管理に対する教育・訓練を行い,機 構全体の意識向上を図る. 一,機構全体の安全・信頼性品質管理の共通データ ベースを整備し,データ分析を行い,予防措置を 徹底する. 一,安全・信頼性向上及び品質保証活動の強化により, 事故・不具合の低減を図る.  宇宙科学研究所の安全・品質保証室は,第二期中期事 業計画期より安全に関わる業務が付加され,宇宙科学研 究所の安全・信頼性・品質保証活動の中核を担う組織と 位置づけられた.宇宙科学研究所の品質マネジメント活 動は機構に横断的な「品質マネジメント規程」により行 われ,同じく機構に横断的な下位文書により実施される.  次に,宇宙科学研究所の安全・品質保証室の独立した 活動は, 一,定常組織としての安全・品質保証室の活動, 一,宇宙科学研究所信頼性品質会議の定期開催, 一,安全・信頼性推進部との共通活動の推進, 一,宇宙科学研究所のプロジェクト固有の品質保証活 動関連文書案の起草・制定および支援, 一,宇宙科学研究所のプロジェクトに関連する契約相 手方企業との品質保証活動の協議・調整, である.  安全・信頼性推進部との共通活動の推進では,組織改 革に伴い信頼性計画分科会および信頼性推進会議の準備 を行ない信頼性品質向上活動に努めた.  なお,安全・品質保証室の構成員として宇宙科学研究 所の他部門より併任者として次の方々の支援を得てい る.芝山有三氏,佐藤英一氏,堂谷忠靖氏,後藤健氏, 志田真樹氏,餅原義孝氏,八木下剛氏,矢田 達氏.  平成22年度の安全・品質保証室の個々の活動を以下に 示す. 2. 活     動 2.1 宇宙科学研究所の品質マネジメントシステムの構 築,維持及び運用  品質マネジメント規程に基づき,宇宙科学研究所の品 質方針,品質目標を定めて QMS 活動の推進を実施して いる.また,プロジェクト管理活動,S&MA 活動を通 して宇宙科学研究所における品質を確保するとともに, 信頼性品質会議において必要な是正処置情報の周知を展 開している.  宇宙科学研究所の QMS は,品質マネジメント規程に 基づく自主管理によって実施され,ISO9001品質マネジ メントシステム要求事項に対し,宇宙科学研究所の文書 RQA-X0003,RQA-A0005により QMS の維持,運用を 実施している.  現在制定されている宇宙科学研究所の品質マネジメン ト活動実施規則(RQA-A0005)を見直し,プログラム 計画,プロジェクトマネジメントの PDCA プロセスの 内容を明確にして,QMS 活動への反映を行った. 2.2 JAXA 信頼性推進会議および信頼性計画分科会へ の参加  機構全体の S&MA 活動の重要事項調整,方針決定が 行われる信頼性推進会議の宇宙科学研究所幹事を担う. また,信頼性推進会議のプリボードとして設置されてい る信頼性計画分科会へ構成員として参加し,宇宙科学研 究所の S&MA 活動について調整,意見交換などを実施 している. 2.3 信頼性品質会議主催  宇宙科学研究所長決定第21−6号の規定により安全・ 品質保証室は概ね月に1回の頻度で宇宙科学研究所信頼 性品質会議を主催した.  会議では, ⑴宇宙科学に関する衛星及び飛翔体等の企画(以下「企 画」という.)の遂行に必要な所固有の品質マネジメ ントに関わる規則・基準類の整備 ⑵企画における信頼性管理及び品質マネジメントシステ ムの整備 ⑶企画の実施に伴い発生する信頼性管理情報の収集,記 録等 ⑷その他品質マネジメントに関して必要な事項について

安全・品質保証室

清水幸夫 大串義雄 矢嶋季男 池田雅彦 上戸有紀 杉山由香

b. 平成22年度 安全・品質保証室の活動について

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調整・水平展開・意見交換を行った. 2.4 宇宙科学研究所会議・月惑星探査推進グループ会 議(JSPEC 会議)等出席  安全・品質保証室として,職位で指定された宇宙科学 研究所会議,JSPEC 会議,プログラム会議,技術評価 専門部会等に参加し,必要に応じて意見の発言・各種調 整を行った. 2.5 科学衛星プロジェクトに関する審査会等支援活動  宇宙科学研究所および JSPEC が計画し,今後打上げ 予定のプロジェクト・プリプロジェクトについて,その プロジェクトの重要な時期に開催される審査会等におい て審査実施の支援を行なっている.また,審査員として 招集された場合はそれらに参加し審査に加わっている. 平成22年度に参加した主な審査会等は下記の通り, H22.04.09 ASTRO-H RCS PDR H22.04.13 ASTRO-H 姿勢系 PDR H22.04.15 第1回 ASTRO-H SXI PDR H22.04.20 第2回 ASTRO-H SXI PDR H22.05.13-14 ASTRO-H 衛星システム PDR H22.06.02 はやぶさ再突入 go no go 判断会 H22.06.05 はやぶさ go no go 判断会議 H22.07.16 第1回 はやぶさ2 SRR 後の進捗確認会 H22.08.05 第2回 はやぶさ2 SRR 後の進捗確認会 H22.08.20 SELENE 2 SRR 説明会 H22.08.27 はやぶさ回収運用結果確認会 H22.08.30 EIDP に関する Pre-ship Review H22.09.17 SELENE 2 SRR 本審査 H22.11.25 SMILES 定常運用完了審査会 H22.12.21 IKAROS 定常段階終了確認会 H23.02.04 ASTRO-H RCS タンク CDR H23.03.03 はやぶさ2 SDR 本審査 2.6 安全審査委員会等出席並びに安全性打ち合わせ  宇宙科学研究所が計画し,今後打上げ予定のプロジェ クト・プリプロジェクトについて,そのプロジェクトの 重要な時期に開催される JAXA の安全審査会委員会お よび宇宙研安全審査会の審査支援を行なっている.また, 予備的にプロジェクトから支援依頼のあった案件につい て意見調整などを実施した.平成22年度に実施した対象 プロジェクト等は下記の通り,  ・PLANET-C  ・IKAROS  ・BepiColombo MMO  ・はやぶさ  ・あかり  ・ASTRO-G  ・小型科学衛星  ・ASTRO-H  ・はやぶさ2  ・SMILES  ・SELENE 2 2.7 信頼性に関わる訓練・教育活動  JAXA 発足以降宇宙科学研究所においても品質保証 室が主催して信頼性品質向上に関わる訓練・教育活動を 行なっている.平成22年度は「科学衛星等の試験を安 全に実施するために」と題し,宇宙科学研究所および JSPEC のプロジェクト並びに関連メーカより合計22名 の参加者を迎え講習会を実施した. 2.8 重大技術課題・不具合評価検討チーム(Aチーム) 活動への参加  A チーム活動に参加し,S&MA 部門全体にてロケッ ト・人工衛星等における技術課題や不具合を収集,評価 により重大な技術課題および不具合を識別し,再発防止 と未然防止のための品質情報として整理し,更に,これ らの品質情報から,特に重要なものについては背後要因 分析等をおこない根本的な対応策を抽出し,全社的に水 平展開することにより,ロケット・人工衛星等の信頼性 の確保,向上をはかった.平成22年度の主な活動項目を 以下に示す.  ① 重大技術課題の収集・分析,  ② 軌道上不具合分析,  ② チーム活動と定常業務の関係, に視点を於いて軌道上不具合分析から抽出された共通技 術課題を水平展開した.  平成22年度のチーム活動は「軌道上不具合防止レポー ト2010」という技術資料として制定された. 2.9 不具合情報システムの構築ならびに不具合情報の 登録  各プロジェクトと共同し不具合情報を収集した.収集 した軌道上ならびに衛星地上試験における不具合情報 を,宇宙科学研究所の不具合情報システムに登録し,必 要な部門へ水平展開が図れるよう不具合情報システム活 用の推進を行った.  軌道上で発生した不具合,ならびに,地上試験の一環 として行われた一次噛み合せ試験,総合試験,射場試験 において発生した不具合情報の収集・分析を実施し,本 部の不具合情報システムに登録を行った. 2.10 不具合情報システムの構築ならびに不具合情報の 登録  安全・信頼性推進部と連携し,科学衛星に対する重要 な軌道上不具合情報および地上試験で発生した不具合情 報を JAXA 不具合情報システムⅢに登録し,JAXA 内 へ不具合情報の内容について水平展開を図っている. 1. 概     要  宇宙航空研究開発機構の第二期中期事業計画が策定さ れ,平成22年度はその第二年度にあたる.策定された第 二期中期事業計画の安全・品質保証室に係わる事項は, 一,機構内の品質マネジメントシステムを構築し,順 次システムの向上を進める. 一,安全・信頼性管理に対する教育・訓練を行い,機 構全体の意識向上を図る. 一,機構全体の安全・信頼性品質管理の共通データ ベースを整備し,データ分析を行い,予防措置を 徹底する. 一,安全・信頼性向上及び品質保証活動の強化により, 事故・不具合の低減を図る.  宇宙科学研究所の安全・品質保証室は,第二期中期事 業計画期より安全に関わる業務が付加され,宇宙科学研 究所の安全・信頼性・品質保証活動の中核を担う組織と 位置づけられた.宇宙科学研究所の品質マネジメント活 動は機構に横断的な「品質マネジメント規程」により行 われ,同じく機構に横断的な下位文書により実施される.  次に,宇宙科学研究所の安全・品質保証室の独立した 活動は, 一,定常組織としての安全・品質保証室の活動, 一,宇宙科学研究所信頼性品質会議の定期開催, 一,安全・信頼性推進部との共通活動の推進, 一,宇宙科学研究所のプロジェクト固有の品質保証活 動関連文書案の起草・制定および支援, 一,宇宙科学研究所のプロジェクトに関連する契約相 手方企業との品質保証活動の協議・調整, である.  安全・信頼性推進部との共通活動の推進では,組織改 革に伴い信頼性計画分科会および信頼性推進会議の準備 を行ない信頼性品質向上活動に努めた.  なお,安全・品質保証室の構成員として宇宙科学研究 所の他部門より併任者として次の方々の支援を得てい る.芝山有三氏,佐藤英一氏,堂谷忠靖氏,後藤健氏, 志田真樹氏,餅原義孝氏,八木下剛氏,矢田 達氏.  平成22年度の安全・品質保証室の個々の活動を以下に 示す. 2. 活     動 2.1 宇宙科学研究所の品質マネジメントシステムの構 築,維持及び運用  品質マネジメント規程に基づき,宇宙科学研究所の品 質方針,品質目標を定めて QMS 活動の推進を実施して いる.また,プロジェクト管理活動,S&MA 活動を通 して宇宙科学研究所における品質を確保するとともに, 信頼性品質会議において必要な是正処置情報の周知を展 開している.  宇宙科学研究所の QMS は,品質マネジメント規程に 基づく自主管理によって実施され,ISO9001品質マネジ メントシステム要求事項に対し,宇宙科学研究所の文書 RQA-X0003,RQA-A0005により QMS の維持,運用を 実施している.  現在制定されている宇宙科学研究所の品質マネジメン ト活動実施規則(RQA-A0005)を見直し,プログラム 計画,プロジェクトマネジメントの PDCA プロセスの 内容を明確にして,QMS 活動への反映を行った. 2.2 JAXA 信頼性推進会議および信頼性計画分科会へ の参加  機構全体の S&MA 活動の重要事項調整,方針決定が 行われる信頼性推進会議の宇宙科学研究所幹事を担う. また,信頼性推進会議のプリボードとして設置されてい る信頼性計画分科会へ構成員として参加し,宇宙科学研 究所の S&MA 活動について調整,意見交換などを実施 している. 2.3 信頼性品質会議主催  宇宙科学研究所長決定第21−6号の規定により安全・ 品質保証室は概ね月に1回の頻度で宇宙科学研究所信頼 性品質会議を主催した.  会議では, ⑴宇宙科学に関する衛星及び飛翔体等の企画(以下「企 画」という.)の遂行に必要な所固有の品質マネジメ ントに関わる規則・基準類の整備 ⑵企画における信頼性管理及び品質マネジメントシステ ムの整備 ⑶企画の実施に伴い発生する信頼性管理情報の収集,記 録等 ⑷その他品質マネジメントに関して必要な事項について

安全・品質保証室

清水幸夫 大串義雄 矢嶋季男 池田雅彦 上戸有紀 杉山由香

b. 平成22年度 安全・品質保証室の活動について

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2.11 各プロジェクトに対する品質保証活動ならびに不 具合対応  契約相手先が実施する総合試験,射場試験段階におけ る品質保証活動として,試験前後に開かれるタスクブ リーフィング,タスクレビューへの出席,主要な試験の 立会いに参加し,試験手順書に基づいて作業が行われた 試験結果を,信頼性,品質保証の観点から確認している.  不具合が発生した場合には,各プロジェクトからの要 請に基づき,発生した不具合の原因究明・現品処置策・ 是正処置策の対応について,信頼性,品質保証の観点か ら支援を行っている.  特に重大な不具合に関しては,本部の不具合情報シス テムに登録し,他プロジェクトへの水平展開を図ってい る. 2.12 不具合原因究明委員会などへの参加  宇宙科学研究所が計画し,今後打上げ予定のプロジェ クト・プリプロジェクトについて,あるいは既に軌道上 に投入された衛星・探査機などについて発生した不具合 や異常の原因究明を図るべく,委員会委員への委嘱指名 があった場合には参加し,原因究明のための意見を発し ている.平成22年度は「あかつき」の金星軌道投入失敗 があり,その原因究明のために調査・検討委員会が設置 された.安全・品質保証室も委員会委員として参加した. 本委員会は平成23年度も引き続き「あかつき」の失敗原 因究明・後継機への知見をまとめる活動が行われる . 2.13 海外部品・コンポーネントに関する活動  現在進行中のプロジェクト・プリプロジェクトの部品 調達の指針となるべく宇宙科学研究所部品班とともに科 学衛星部品プログラムを定め,維持・改訂を実施し,各 プロジェクトを支援している.  また,安全・信頼性推進部,研究開発本部部品グループ, 宇宙科学研究所部品班と連携し,科学衛星・探査機の海 外部品・コンポーネントに関わる情報交換を実施した.  さらに宇宙用部品プログラム標準(JMR-012)につい て技術的背景をもって各プロジェクトへの適用調整を行 なっている. 2.14 科学衛星部品プログラム活動  宇宙科学研究所の部品班と協力し,科学衛星・探査機 に必要な部品プログラム活動を実施している.活動は, 科学衛星部品プログラム文書の維持改訂,JAXA 研究開 発本部部品・機構グループと連携した JAXA 部品プロ グラム標準の維持等である.また,プロジェクト承認部 品データベースを採用したプロジェクト(BepiColombo MMO)で確認業務を実施した.さらに,小型衛星での プロジェクト承認部品データベースの利用についての検 討に参加した . 2.15 宇宙放射線による劣化の調査と科学衛星プロジェ クトへの支援   放 射 線 に よ る 部 品 劣 化 を 予 測 で き る Web 情 報 (CRÈME-MC, SPENVIS)を収集し,関係者にその情報 を展開した.  また,放射線医療研究所にて実施される< ASTRO-G FPGA >の照射試験を支援した. 2.16 部品適用審査会参加とプロジェクト支援  プロジェクトの使用候補である輸入機器の部品適用審 査会資料を検討し,その是非についてのコメントや科学 衛星搭載機器の部品品質設定の支援を継続している.  また,部品に関する MOSFET リニア動作条件などの Web 情報を各科学衛星プロジェクトへ展開した.  科学衛星プロジェクトの部品に関する審査会への参加 と支援の具体例は下記の通り, ①部品審査会<小型衛星>への参加 ②不具合検討会<あかつき,IKAROS RCD >への参加 ③小型科学衛星 SST の TMG 輸入機器に関する部品 適用へのコメント ④科学衛星<小型衛星>搭載機器の部品品質設定の支 援 ⑤ IKAROS 搭載機器のウィスカ対策や実装,はんだ 接続に関する指導,支援

⑥ BepiColombo MMO の FPGA の PPBI 有無の支援 ⑦小型科学衛星 SPRINT-A/EXCEED の設計会議参加 2.17 JAXA 設計基準策定の支援  以下の JAXA 設計基準策定の審議・支援を実施し, 一部文書の制定・改訂を行った. JERG-2-120 単一故障・波及故障防止設計標準制定 JERG-2-130-HB003 振動試験ハンドブック制定 JERG-2-142 一般環境標準制定 JERG-2-152-HB102 擾乱測定・評価マニュアル制定 JERG-2-320 構造設計標準制定 JERG-2-400-HB002 通信設計標準利用ガイドライン (AOS データリンクプロトコル編)制定 JERG-2-700 運用設計標準制定 JERG-2-130-HB004A フォースリミット振動試験ハン ドブックA 改訂 2.18 信頼性関連文書に関する制定および制定支援活動  宇宙科学研究所各プロジェクトの遂行に必要な文書の 抽出・文案起案・紹介などの手順を踏み技術文書として の準備を進めた. 2.19  JAXA/NASA/ESA 三極会合出席と日本での開催 準備  平成22年10月25日,26日の両日 NASA OSMA(Office of Safety and Mission Assurance @Cleveland OH)に

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おいて開催された ESA/JAXA/NASA 三極の安全・品 質保証会議(TRISMAC)に安全・信頼性推進部,他本 部の S&MA 室とともに参加し,S&MA 活動について の意見交換を行った. 2.20 宇宙科学研究所の信頼性情報サーバーの維持  宇宙科学研究所プロジェクト全体に環流させるため, 品質保証室独自の電子的情報管理サーバーを運用してい る.最新情報を常に更新し,宇宙科学研究所・月惑星探 査推進グループのプロジェクト活動等の信頼性・品質保 証活動に供している. 2.21 外国参考文書の翻訳と登録  宇宙科学研究所科学衛星プロジェクトに有用な海外の 参考文書の翻訳・整備を行なっている.現在139件の翻 訳文書を維持しているが,さらに利用しやすいよう今後 も引き続き翻訳精度の向上を図る.また,翻訳すべき文 書の選定・追加を行なう. 2.22 契約相手方の QMS の監査並びにハイレベルマネ ジメント会合への参加  安全・信頼性推進部が主催する契約の相手方に対する 信頼性・品質保証監査及びハイレベル会合に参加し,契 約相手方に対する監査支援を実施した.平成22年度に安 全・品質保証室が参加した監査は,明星電気(株), 日 本電気(株)・NT スペース(株),三菱電機(株)であった. 2.23 連携活動状況  安全・品質保証室の活動として,平成22年度は以下の 会合等に参加した.  ① S&MA 関連委員会への出席 計57回  ② S&MA 関連 WG 等への出席 計37回  ③ 部品グループ連携会議への出席 計19回  ④ 講演会・セミナーへの出席 計18回  ⑤ プロジェクト関連会合への出席 計372回  ⑥ 研究所会議他への出席 計38回  合計541回出席し,情報の交換,収集・分析,展開を 実施した.詳細については平成23年4月27日開催の信頼 性品質会議資料 P52を参照. 3. 研究成果の発表  安全・品質保証室長事務取扱代理清水幸夫の研究成果 の発表状況は,宇宙輸送工学研究系の研究成果の発表を 参照ください. 4. その他の活動  安全・ 品質保証室長事務取扱代理清水幸夫の併任業 務(広報部併任業務)活動は以下の通り. 講義・講演活動歴 2010年8月21日 はやぶさ・フェスタ @グラントウキョ ウノースタワー 17階スカイホール 2010年8月26日 はやぶさ感動をありがとう @プ リーゼプラザ 2010年9月12日 しずおか未来学園ゆめキャンパス @星美学園静岡サレジオ小学校 2010年10月8日  講演「はやぶさプロジェクト」  @立川グランドホテル 2010年10月9日 宇宙学校なすこうげん 「小惑星探 査機「はやぶさ」が目指したもの」 @那須高原海城中学校 2010年11月9日 宇部興産(株)航空宇宙材料・葉山 ワークショップ 「帰ってきた「は やぶさ」の話」 @宇部興産葉山寮 2010年11月22日 原電事業(株) 「品質保証講演会」 @敦賀原子力館 2010年12月1日 平成22年度宇宙航空品質保証シンポ ジウム 講演「イカロス実証機の ミッションサクセスへの道のり」  @秋葉原コンベンションホール 2010年12月2日 東京家庭裁判所裁判官実務研究会  講演 @東京家庭裁判所大会議室 2010年12月27日 (株)福井村田製作所 講演「はや ぶさを帰還させた設計技術と思想」 @(株)福井村田製作所講堂 2011年1月11日 大館市教育講演会 @大館市文化会館 2011年1月17日 日本真空工業会2011年新春賀詞交歓 会記念講演会 @銀行倶楽部 2011年1月28日 航空100周年記念事業「空と宇宙展」 ギャラリートーク @国立科学博 物館 2011年2月13日 八丈島小中高 PTA 連合会,父母と 教職員の集い講演会 @八丈町立 三原小学校 2011年2月17日 第9回 JEVeC スクエア特別講演「小 惑星探査機「はやぶさ」の科学的 成果」 @(株)ジーダット会議室 2011年2月18日 2010年度中部品質管理大会 SQC 活 用事例発表大会特別講演 @産業 記念館大ホール 2011年2月25日 門真雇用開発協会講演会 @守口ロ イヤルパインズホテル白鵬の間 2011年3月6日 岩国市教育委員会主催「進む宇宙の 研究と開発」講演 @岩国市役所 多目的ホール 2011年3月9日 (株)NTT データ主催九州地区信用 金庫トップセミナー @ホテル日 航福岡          他 2.11 各プロジェクトに対する品質保証活動ならびに不 具合対応  契約相手先が実施する総合試験,射場試験段階におけ る品質保証活動として,試験前後に開かれるタスクブ リーフィング,タスクレビューへの出席,主要な試験の 立会いに参加し,試験手順書に基づいて作業が行われた 試験結果を,信頼性,品質保証の観点から確認している.  不具合が発生した場合には,各プロジェクトからの要 請に基づき,発生した不具合の原因究明・現品処置策・ 是正処置策の対応について,信頼性,品質保証の観点か ら支援を行っている.  特に重大な不具合に関しては,本部の不具合情報シス テムに登録し,他プロジェクトへの水平展開を図ってい る. 2.12 不具合原因究明委員会などへの参加  宇宙科学研究所が計画し,今後打上げ予定のプロジェ クト・プリプロジェクトについて,あるいは既に軌道上 に投入された衛星・探査機などについて発生した不具合 や異常の原因究明を図るべく,委員会委員への委嘱指名 があった場合には参加し,原因究明のための意見を発し ている.平成22年度は「あかつき」の金星軌道投入失敗 があり,その原因究明のために調査・検討委員会が設置 された.安全・品質保証室も委員会委員として参加した. 本委員会は平成23年度も引き続き「あかつき」の失敗原 因究明・後継機への知見をまとめる活動が行われる . 2.13 海外部品・コンポーネントに関する活動  現在進行中のプロジェクト・プリプロジェクトの部品 調達の指針となるべく宇宙科学研究所部品班とともに科 学衛星部品プログラムを定め,維持・改訂を実施し,各 プロジェクトを支援している.  また,安全・信頼性推進部,研究開発本部部品グループ, 宇宙科学研究所部品班と連携し,科学衛星・探査機の海 外部品・コンポーネントに関わる情報交換を実施した.  さらに宇宙用部品プログラム標準(JMR-012)につい て技術的背景をもって各プロジェクトへの適用調整を行 なっている. 2.14 科学衛星部品プログラム活動  宇宙科学研究所の部品班と協力し,科学衛星・探査機 に必要な部品プログラム活動を実施している.活動は, 科学衛星部品プログラム文書の維持改訂,JAXA 研究開 発本部部品・機構グループと連携した JAXA 部品プロ グラム標準の維持等である.また,プロジェクト承認部 品データベースを採用したプロジェクト(BepiColombo MMO)で確認業務を実施した.さらに,小型衛星での プロジェクト承認部品データベースの利用についての検 討に参加した . 2.15 宇宙放射線による劣化の調査と科学衛星プロジェ クトへの支援   放 射 線 に よ る 部 品 劣 化 を 予 測 で き る Web 情 報 (CRÈME-MC, SPENVIS)を収集し,関係者にその情報 を展開した.  また,放射線医療研究所にて実施される< ASTRO-G FPGA >の照射試験を支援した. 2.16 部品適用審査会参加とプロジェクト支援  プロジェクトの使用候補である輸入機器の部品適用審 査会資料を検討し,その是非についてのコメントや科学 衛星搭載機器の部品品質設定の支援を継続している.  また,部品に関する MOSFET リニア動作条件などの Web 情報を各科学衛星プロジェクトへ展開した.  科学衛星プロジェクトの部品に関する審査会への参加 と支援の具体例は下記の通り, ①部品審査会<小型衛星>への参加 ②不具合検討会<あかつき,IKAROS RCD >への参加 ③小型科学衛星 SST の TMG 輸入機器に関する部品 適用へのコメント ④科学衛星<小型衛星>搭載機器の部品品質設定の支 援 ⑤ IKAROS 搭載機器のウィスカ対策や実装,はんだ 接続に関する指導,支援

⑥ BepiColombo MMO の FPGA の PPBI 有無の支援 ⑦小型科学衛星 SPRINT-A/EXCEED の設計会議参加 2.17 JAXA 設計基準策定の支援  以下の JAXA 設計基準策定の審議・支援を実施し, 一部文書の制定・改訂を行った. JERG-2-120 単一故障・波及故障防止設計標準制定 JERG-2-130-HB003 振動試験ハンドブック制定 JERG-2-142 一般環境標準制定 JERG-2-152-HB102 擾乱測定・評価マニュアル制定 JERG-2-320 構造設計標準制定 JERG-2-400-HB002 通信設計標準利用ガイドライン (AOS データリンクプロトコル編)制定 JERG-2-700 運用設計標準制定 JERG-2-130-HB004A フォースリミット振動試験ハン ドブックA 改訂 2.18 信頼性関連文書に関する制定および制定支援活動  宇宙科学研究所各プロジェクトの遂行に必要な文書の 抽出・文案起案・紹介などの手順を踏み技術文書として の準備を進めた. 2.19  JAXA/NASA/ESA 三極会合出席と日本での開催 準備  平成22年10月25日,26日の両日 NASA OSMA(Office of Safety and Mission Assurance @Cleveland OH)に

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c. 平成22年度大気球実験室の活動について

大気球実験室

吉田哲也 松坂幸彦 斎藤芳隆 井筒直樹 福家英之 加藤洋一 飯嶋一征 水田栄一 田村啓輔 佐藤崇俊 高田淳史 莊司泰弘 鳥海道彦 山田和彦 1. は じ め に  大気球実験室では,大気球を用いた宇宙科学実験の実 施および大気球の飛翔運用にかかる機器の開発を行って いる.  大気球による宇宙科学実験は,昭和41(1966)年に東 京大学宇宙航空研究所に気球工学部門が設立され,ロ ケット,人工衛星と並ぶ飛翔体の研究として活動を開始 し,昭和56(1981)年の宇宙科学研究所への改組,平成 15(2003)年の宇宙航空研究開発機構への統合後も活動 を継続している.  茨城県大洋村,福島県原ノ町,そして30余年の間に約 400機を放球した岩手県気仙郡三陸町(現 岩手県大船渡 市三陸町)の三陸大気球観測所を経て,現在は北海道大 樹町多目的航空公園内の連携協力拠点大樹航空宇宙実験 場において大気球実験を行っている.また,海外におい てもアメリカ,インド,オーストラリア,インドネシア, ブラジル,ノルウェー,カナダ,ロシア等での海外気球 実験を併せて推進してきた.  平成22年4月の JAXA 組織改正の一環として,大気 球実験室の英語名称が Research and Operation Office for Scientific Ballooning と改訂された.JAXA 宇宙科 学研究所が,継続的な事業として,気球と気球システム を研究かつ運用していくことを明示したものである. 2. 平成22年度大気球実験  平成22年5月7日から6月14日まで,途中6月5日か ら12日までの中断をはさんで大樹航空宇宙実験場におい て第一次気球実験が実施されたが,観測機器のテレメト リ不具合や気象条件不適合のため放球機会を見いだせず に第一次実験を終了することとなった.これら第一次実 験での実施を見送った2実験も含めて計4実験を8月16 日から9月10日まで第二次気球実験として実施し,第1 表に示すように「成層圏大気のクライオサンプリング」, 「俵型気球の飛翔試験」,「気球を利用した超音速飛翔体 の飛行実験(その1)」を目的とした大型気球3機およ び「高高度薄膜気球飛翔性能試験と成層圏オゾン・大気 重力波の観測」を目的とした小型気球1機を放球した. これらの実験により学術成果を取得すると同時に,第二 次実験においては JAXA 人事部人材育成事業の一環と して若手職員を対象とした現場研修も実施した.  一方国際協力においては,ブラジル国立宇宙研究所 (INPE)との気球実験に係る協力覚書が取り交わされ, この枠組みの中で「遠赤外線干渉計による天文観測実験 (FITE)」を計画した.11月中旬から実験準備をサンパ ウロ州カショエイラパウリスタの放球場で開始したが, 実験機材のブラジル国内への輸入通関の遅れに加えて観 測機器の不具合が発生したため飛翔機会を逸し,平成23 年3月の再実験においても観測機器に不具合が再発した ため平成22年度の実施を見送ることとした. 2.1 B10-01 気球を利用した超音速飛翔体の飛行実験 (その 1)  平成22年9月1日(日)4時48分に,気球を利用した 超音速飛翔体の飛行実験を目的とした B10-01実験とし て,平成22年度第二次気球実験の3号機を大樹航空宇宙 実験場より放球した(第1図).この気球は満膨張体積 300,000m3の大型気球で,およそ毎分 300m の速度で上 昇した.  気球は,放球2時間後に大樹航空宇宙実験場東方約 40km の太平洋上において高度 37.6km で水平浮遊状態 に入った.7時04分に指令電波により超音速飛翔体を切 り離し,引き続き7時17分に制御機器部を気球から切り 離した.超音速飛翔体,制御機器部はそれぞれ大樹航空 宇宙実験場東南東約 40km および 70km の着水予定海域 に降下し,9時05分までに回収船によって回収された.  本実験では,気球を利用して将来のスペースプレーン 技術を習得する研究の一環として,音速以上に機体を加 第1表 平成22年度大気球実験 実験番号 B10-01 B10-02 B10-03 B10-05 BS10-06 放 球 日 9月1日 8月22日 8月27日 − 9月8日 タイトル 気球を利用した超音速飛翔体の飛行実験 (その1) 成層圏大気のクライオサンプリング 俵型気球の飛翔試験 遠赤外線干渉計による高解像度宇宙観測 高高度薄膜気球飛翔性能試験 成層圏オゾン・大気重力波の観測 第2表 B10-01実験概要 放球日 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 9月1日 4時48分 300,000m3 37.6km 3時間16分 宇宙航空研究開発機構

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速する実験システムの実証と,スペースプレーン用に開 発中のジェットエンジンや低毒性補助推進系の飛行状態 での動作を確認することを目的とした.超音速飛翔体を 気球から分離した後,低毒性推進系の実験を実施し,引 き続きジェットエンジン燃焼実験を開始した.その後飛 翔体の姿勢運動が計画の範囲を超えたため,安全に配慮 して実験を中断し飛翔体を降下させた. 2.2 B10-02 成層圏大気のクライオサンプリング   平成22年8月22日(日)5時12分に,成層圏大気の クライオサンプリングを目的とした B10-02実験として, 平成22年度第二次気球実験の初号機を大樹航空宇宙実験 場より放球した.  この気球は満膨張体積 100,000m3の大型気球で,成層 圏大気を採取しながら上昇した.気球は,放球2時間 30分後に十勝港東方約 75km の太平洋上において高度 34.5km で水平浮遊状態に入った.その後気球は約2時 間30分の間,西方に飛翔し,10時08分に指令電波により 観測器を気球から切り離した.切り離した観測器は十勝 港東南東約 25km の海上にパラシュートで緩降下し,11 時11分までに回収船によって回収された.  本実験の目的は,液体ヘリウムを用いるクライオジェ ニック法で希薄な成層圏大気を固化して大量に採集する ものであり,得られた試料空気は温室効果気体をはじめ としたさまざまな大気成分の濃度や同位体比の測定に供 される.成層圏大気の採集は,気球上昇中の 14.6km か ら 30.0km の間,水平浮遊高度および気球が徐々に降下 していた 33.8km から 28.3km の間に行われ,総計11本の 試料容器に高度別の大気を採集することに成功した.採 集された大気試料は,本実験に参加する東北大学,東京 工業大学,宮城教育大学,国立極地研究所などにおいて, 最先端の分析装置を用いて詳しい解析が行われる. 2.3 B10-03 俵型気球の飛翔試験   平成22年8月27日(金)5時41分に,俵型気球の飛 翔試験を目的とした B10−03実験として,平成22年度第 二次気球実験の2号機を大樹航空宇宙実験場より放球 した.この気球は満膨張体積 5,000m3の俵型圧力気球で, およそ毎分 250m の速度で上昇した.  気球は,放球1時間45分後に大樹航空宇宙実験場の 東南東約 90km の太平洋上において高度 25.2km に達し, 気球が完全に展開した状態で気球内部の圧力が外部大気 圧より高い与圧状態となった(第2図).しかし,内部 圧力が上昇していく途上,7時25分に気球内外の圧力差 が約100Pa の状態で気球下部のフィルムが裂け,与圧状 態を維持できなかった.その後,気球から観測器を切り 離すと同時に気球頭部を切り裂き,気球および観測器は 8時までに大樹航空宇宙実験場の東南東約 120km の海 上に降下した.  本研究は,将来高度 35km 程度を浮遊する飛翔経路を 制御可能なパワードバルーンを実現するために,通常の ゼロプレッシャー気球より空気抵抗が小さな気球形状で ある俵型圧力気球の開発を目的としている.本実験では 小型モデル機の飛翔試験を行い,成層圏環境下において 気球が完全展開に至る膨張過程を確認することができ た.また,圧力気球用の気球破壊機構の動作を確認する こともできた.当初予定していた圧力より小さな内外圧 力差で気球フィルムが裂け,与圧状態を維持できなかっ た要因については,内外圧力差の履歴や気球の展開過程 を撮影した映像などから調査を進め,今後の研究開発に 反映させる. 第1図 放球直後の B10-01 第2図 満膨張状態の B10-03 第3表 B10-02実験概要 放球日時 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 8月22日 5時12分 100,000m3 34.5km 5時間25分 東北大学,名古屋大学,宇宙航空研究開発機構, 宮城教育大学,国立極地研究所,東京工業大学 第4表 B10-03実験概要 放球日時 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 8月27日 5時41分 5,000m3 25.2km 2時間19分 宇宙航空研究開発機構

c. 平成22年度大気球実験室の活動について

大気球実験室

吉田哲也 松坂幸彦 斎藤芳隆 井筒直樹 福家英之 加藤洋一 飯嶋一征 水田栄一 田村啓輔 佐藤崇俊 高田淳史 莊司泰弘 鳥海道彦 山田和彦 1. は じ め に  大気球実験室では,大気球を用いた宇宙科学実験の実 施および大気球の飛翔運用にかかる機器の開発を行って いる.  大気球による宇宙科学実験は,昭和41(1966)年に東 京大学宇宙航空研究所に気球工学部門が設立され,ロ ケット,人工衛星と並ぶ飛翔体の研究として活動を開始 し,昭和56(1981)年の宇宙科学研究所への改組,平成 15(2003)年の宇宙航空研究開発機構への統合後も活動 を継続している.  茨城県大洋村,福島県原ノ町,そして30余年の間に約 400機を放球した岩手県気仙郡三陸町(現 岩手県大船渡 市三陸町)の三陸大気球観測所を経て,現在は北海道大 樹町多目的航空公園内の連携協力拠点大樹航空宇宙実験 場において大気球実験を行っている.また,海外におい てもアメリカ,インド,オーストラリア,インドネシア, ブラジル,ノルウェー,カナダ,ロシア等での海外気球 実験を併せて推進してきた.  平成22年4月の JAXA 組織改正の一環として,大気 球実験室の英語名称が Research and Operation Office for Scientific Ballooning と改訂された.JAXA 宇宙科 学研究所が,継続的な事業として,気球と気球システム を研究かつ運用していくことを明示したものである. 2. 平成22年度大気球実験  平成22年5月7日から6月14日まで,途中6月5日か ら12日までの中断をはさんで大樹航空宇宙実験場におい て第一次気球実験が実施されたが,観測機器のテレメト リ不具合や気象条件不適合のため放球機会を見いだせず に第一次実験を終了することとなった.これら第一次実 験での実施を見送った2実験も含めて計4実験を8月16 日から9月10日まで第二次気球実験として実施し,第1 表に示すように「成層圏大気のクライオサンプリング」, 「俵型気球の飛翔試験」,「気球を利用した超音速飛翔体 の飛行実験(その1)」を目的とした大型気球3機およ び「高高度薄膜気球飛翔性能試験と成層圏オゾン・大気 重力波の観測」を目的とした小型気球1機を放球した. これらの実験により学術成果を取得すると同時に,第二 次実験においては JAXA 人事部人材育成事業の一環と して若手職員を対象とした現場研修も実施した.  一方国際協力においては,ブラジル国立宇宙研究所 (INPE)との気球実験に係る協力覚書が取り交わされ, この枠組みの中で「遠赤外線干渉計による天文観測実験 (FITE)」を計画した.11月中旬から実験準備をサンパ ウロ州カショエイラパウリスタの放球場で開始したが, 実験機材のブラジル国内への輸入通関の遅れに加えて観 測機器の不具合が発生したため飛翔機会を逸し,平成23 年3月の再実験においても観測機器に不具合が再発した ため平成22年度の実施を見送ることとした. 2.1 B10-01 気球を利用した超音速飛翔体の飛行実験 (その 1)  平成22年9月1日(日)4時48分に,気球を利用した 超音速飛翔体の飛行実験を目的とした B10-01実験とし て,平成22年度第二次気球実験の3号機を大樹航空宇宙 実験場より放球した(第1図).この気球は満膨張体積 300,000m3の大型気球で,およそ毎分 300m の速度で上 昇した.  気球は,放球2時間後に大樹航空宇宙実験場東方約 40km の太平洋上において高度 37.6km で水平浮遊状態 に入った.7時04分に指令電波により超音速飛翔体を切 り離し,引き続き7時17分に制御機器部を気球から切り 離した.超音速飛翔体,制御機器部はそれぞれ大樹航空 宇宙実験場東南東約 40km および 70km の着水予定海域 に降下し,9時05分までに回収船によって回収された.  本実験では,気球を利用して将来のスペースプレーン 技術を習得する研究の一環として,音速以上に機体を加 第1表 平成22年度大気球実験 実験番号 B10-01 B10-02 B10-03 B10-05 BS10-06 放 球 日 9月1日 8月22日 8月27日 − 9月8日 タイトル 気球を利用した超音速飛翔体の飛行実験 (その1) 成層圏大気のクライオサンプリング 俵型気球の飛翔試験 遠赤外線干渉計による高解像度宇宙観測 高高度薄膜気球飛翔性能試験 成層圏オゾン・大気重力波の観測 第2表 B10-01実験概要 放球日 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 9月1日 4時48分 300,000m3 37.6km 3時間16分 宇宙航空研究開発機構

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2.4 BS10-06 高高度薄膜気球飛翔性能試験・成層圏 オゾン・大気重力波の観測  平成22年9月8日(水)5時38分に,高高度薄膜気球 飛翔性能試験と成層圏オゾン・大気重力波の観測を目的 とした BS10-06実験として,平成22年度第二次気球実験 の4号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球 した.この気球は満膨張体積 60,000m3,気球膜厚 3.4µm の薄膜高高度気球で,およそ毎分 300m の速度で上昇し た.  放球2時間半後に,気球が大樹航空宇宙実験場東南東 約 80km の太平洋上において高度 46.8km に達した時点 で,指令電波により薄膜気球用気球引裂き機構を作動さ せ気球を破壊した.気球および搭載機器は大樹航空宇宙 実験場東南東約 100km の着水予定海域に8時20分に降 下した.  本実験では,これまでに比べて幅広の薄膜ポリエチレ ンフィルムを用いた薄膜高高度気球の飛翔実証および薄 膜気球用気球引裂き機構の動作確認という所期の目的を 達成した.また同時に,光学式・電気化学式(ECC)の 2種類のオゾン観測器を用いてオゾン,風速,気温,気 圧の精密観測を行い,地表付近から上部成層圏にかけて のオゾン高度分布と大気重力波等によるその微細構造の 観測を行った.高度 30km 以下で高精度な ECC オゾン ゾンデ,高度 30km 以上で精度のよい光学式オゾンゾン デともに良好に作動し,高度 46.8km の上部成層圏領域 までの観測に成功した.今回の大樹航空宇宙実験場にお ける初めての観測結果と,過去の三陸大気球観測所での 観測結果との比較により,場所や年によるオゾンや大気 重力波の変動も調査できるデータが取得できた. 2.5 B10-05 遠赤外線干渉計による高解像度宇宙観測  平成22年年4月に「INPE―JAXA 宇宙科学研究本部 との間のブラジルにおける大気球実験に関する協定(有 効期間5年間)」を締結し,INPE(Instituto Nacional de Pesquisas Espaciais:ブラジル国立宇宙研究所)と JAXA の2者間の協力として協力継続することとした.  本協定の枠組下で,平成22年度は大阪大学との共同研 究で「気球搭載型遠赤外線干渉計による天体観測」を推 進した.これは世界初の遠赤外線干渉計による高解像度 宇宙観測が目的の装置である.宇宙における星・惑星系 形成過程を解明するためには,遠赤外線による1秒角以 上の分解能による観測が必須であり,このフライトでは 晩期型星の代表である IRC+10216を対象として装置性 能・機能の実証をめざした.このために,3軸姿勢制御 など高度技術が開発され用いられている.平成20年度実 験ではフライトに至らなかったため,2年間かけて干渉 光学系の改修,調整方法の改良,その他センサー系およ び制御系の改修を行いフライトに臨んだ.9月に機材発 送,11月に PI による現地準備を始めたものの,輸送機 材がブラジル側税関で長期間通関できなかったこと,そ の後発生した PI 側姿勢制御センサーの不具合により, 12月中旬に一旦中断し,3月に再開することとした.し かし2月の PI 側準備中に再び姿勢センサーに不具合が 発生したため,今年度の実験を取りやめることとした. 3. 研 究 開 発 3.1 新通信システムの開発  気球実験の大規模化,複雑化に伴い,大気球用テレメ トリ/コマンドシステムの更新を行なっている.今回の 更新ではユーザーインターフェースをテレメトリ/コマ ンド共に RS-232C に統一する事によりユーザーの搭載 機器の開発を容易にするとともに信頼性の向上を図って いる.すでに気球尾部に搭載する気球コントロール用サ ブシステム(第3図)は開発を終え実用段階に入った. さらに平成24年度の実用化を目指し気球ゴンドラに搭載 するメインシステムの製作にも取り組んでいる. 3.2 新ロードテープの開発   ロードテープとは,気球表面の経線方向に這うロープ が組み込まれたテープであり,気球にかかる吊り下げ加 重を気球のフィルムに分散させて伝えるとともに,気球 形状を拘束することで気球フィルムの局所半径を小さく し,フィルムの表面張力を緩和する機能を持つ.現在, ケブラー紐にポリエチレンフィラメントを直接編み込む 方法で作る,新しいロードテープの開発を進めている. 試作した新ロードテープ(第4図)の試験から実用化の 可能性のあることが分かった.実用化に至るにはポリエ チレン紐の太さ,ポリエチレン素材に課題があり,今年 第5表 BS10-06実験概要 放球日時 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 9月8日 5時38分 60,000m3 46.8km 2時間42分 東北大学,宇宙航空研究開発機構, 第6表 BS10-05実験概要 放球日時 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 実施見送り 300,000m3 − − 大阪大学,宇宙航空研究開発機構 第3図 新テレメトリシステム

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度はポリエチレン紐の素材を変え,ロードテープの試作 を行った.この試作により,用いた素材での編み込みが 可能なことが実証され,実用化に向けての目処が得られ たと考えている.新ロードテープの実用化はロードテー プの国産化でもあり将来的には,最適化された効率の良 い気球の製作が可能となる. 3.3 大型排気弁の開発  大型気球の高度を制御するには,気球からヘリウムガ スを排出し高度を下げるための排気弁は欠かせない装置 である.現在の排気弁では 30km を超える高度で気球を 降下させようとすると1時間程度のガスの排出が必要に なる.この時間を半分~1/ 3に短縮できることは,気 球を制御する上で極めて重要である.今回,この要求を 満たせる確実で安定性の高い大型排気弁の開発を行った (第5図).排気弁の構造を考える上での主な考慮点は, ⑴確実な動作,実績を持つ現在の排気弁の構造を基本 とする ⑵開閉の停止機構は現在と同様にする ⑶弁蓋の締め付け構造をよりシンプルにする とした. 3.4 気球搭載型イリジウムブイの開発  従来の気球実験では,海上に着水した観測器等を回収 する際,回収対象から発せられる電波を回収船において 受信し,その方向を基づいて回収対象の捜索および回収 を行なってきた.しかし,この方式では位置の正確性に 欠け,特に天候のよくないときには回収対象の発見に困 難を伴った.そこで,着水後の回収対象の位置情報精度 を向上させることを目的に,GPS による測位情報をイ リジウム通信衛星を通じて送信する方式のブイの開発を 行っている.  現在までに,船舶搭載用ブイを実用化し,実際に回収 船の運用に用いている.これにより,実験場の管制室よ りほぼリアルタイムで回収船の位置を把握でき,回収に かかる時間を縮減することができた.また,今年度は気 球搭載用ブイの試作を行った.試作機(第6図)の気球 飛翔環境試験まで完了しており,平成23年度の大気球実 験にて試験運用する予定である. 4. ま と め  大樹航空宇宙実験場での大気球実験は3年目となり, 飛翔運用はほぼ確立した.水平浮遊が2~ 2.5時間の気 球飛翔であれば,夜明け直後に放球して付近の民間航空 機の運用が始まる午前8時30分前に気球飛翔を完了する 飛翔パターンを実証できている.しかし,依然天候不順 やジェット気流が不安定であることから飛翔機会の確保 は不十分であり,航空保安や海上保安の向上に引き続き 取り組むことによって降下空域や回収条件を緩和し,一 層の飛翔機会の確保に努めていきたい.長期的な取り組 みとしては,釧路・根室沖や日本海側など回収海域の拡 大による飛翔機会の増加,飛翔時間の延長が考えられる が,経験豊富な実験班メンバーの退職や中堅・若手職員 の異動を目前として気球飛翔ノウハウの継承が喫緊の課 題であり,また気球飛翔に関する関係諸機関とのより一 層の信頼醸成が新たな飛翔運用など大規模な対策に着手 する前提となるため,しばらくは十勝沖での安全かつ確 実な飛翔運用を続けていきたい.  国内実験を短時間の工学実証や理学観測機器の飛翔試 験の場として位置付けて比較的気象等実施条件が緩やか な実験を確実に遂行していくと同時に,長時間観測を目 的とした気球実験を国際共同実験として海外で相補的に 推進できる体制を構築していく. 第4図 試作したロードテープ 第5図 大型排気弁組立図 第6図 開発したイリジウムブイ 参 考 文 献 1) 吉田哲也:平成22年度の大気球実験概要 平成22年度大気球シ ンポジウム集録,2010 2) 高田淳史他:新テレメトリコマンドシステムによる気球運用に 向けた地上系システムの開発 平成22年度大気球シンポジウム 集録,2010 3) 水田栄一他:気球用イリジウムブイの開発 平成22年度大気球 シンポジウム集録,2010 2.4 BS10-06 高高度薄膜気球飛翔性能試験・成層圏 オゾン・大気重力波の観測  平成22年9月8日(水)5時38分に,高高度薄膜気球 飛翔性能試験と成層圏オゾン・大気重力波の観測を目的 とした BS10-06実験として,平成22年度第二次気球実験 の4号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球 した.この気球は満膨張体積 60,000m3,気球膜厚 3.4µm の薄膜高高度気球で,およそ毎分 300m の速度で上昇し た.  放球2時間半後に,気球が大樹航空宇宙実験場東南東 約 80km の太平洋上において高度 46.8km に達した時点 で,指令電波により薄膜気球用気球引裂き機構を作動さ せ気球を破壊した.気球および搭載機器は大樹航空宇宙 実験場東南東約 100km の着水予定海域に8時20分に降 下した.  本実験では,これまでに比べて幅広の薄膜ポリエチレ ンフィルムを用いた薄膜高高度気球の飛翔実証および薄 膜気球用気球引裂き機構の動作確認という所期の目的を 達成した.また同時に,光学式・電気化学式(ECC)の 2種類のオゾン観測器を用いてオゾン,風速,気温,気 圧の精密観測を行い,地表付近から上部成層圏にかけて のオゾン高度分布と大気重力波等によるその微細構造の 観測を行った.高度 30km 以下で高精度な ECC オゾン ゾンデ,高度 30km 以上で精度のよい光学式オゾンゾン デともに良好に作動し,高度 46.8km の上部成層圏領域 までの観測に成功した.今回の大樹航空宇宙実験場にお ける初めての観測結果と,過去の三陸大気球観測所での 観測結果との比較により,場所や年によるオゾンや大気 重力波の変動も調査できるデータが取得できた. 2.5 B10-05 遠赤外線干渉計による高解像度宇宙観測  平成22年年4月に「INPE―JAXA 宇宙科学研究本部 との間のブラジルにおける大気球実験に関する協定(有 効期間5年間)」を締結し,INPE(Instituto Nacional de Pesquisas Espaciais:ブラジル国立宇宙研究所)と JAXA の2者間の協力として協力継続することとした.  本協定の枠組下で,平成22年度は大阪大学との共同研 究で「気球搭載型遠赤外線干渉計による天体観測」を推 進した.これは世界初の遠赤外線干渉計による高解像度 宇宙観測が目的の装置である.宇宙における星・惑星系 形成過程を解明するためには,遠赤外線による1秒角以 上の分解能による観測が必須であり,このフライトでは 晩期型星の代表である IRC+10216を対象として装置性 能・機能の実証をめざした.このために,3軸姿勢制御 など高度技術が開発され用いられている.平成20年度実 験ではフライトに至らなかったため,2年間かけて干渉 光学系の改修,調整方法の改良,その他センサー系およ び制御系の改修を行いフライトに臨んだ.9月に機材発 送,11月に PI による現地準備を始めたものの,輸送機 材がブラジル側税関で長期間通関できなかったこと,そ の後発生した PI 側姿勢制御センサーの不具合により, 12月中旬に一旦中断し,3月に再開することとした.し かし2月の PI 側準備中に再び姿勢センサーに不具合が 発生したため,今年度の実験を取りやめることとした. 3. 研 究 開 発 3.1 新通信システムの開発  気球実験の大規模化,複雑化に伴い,大気球用テレメ トリ/コマンドシステムの更新を行なっている.今回の 更新ではユーザーインターフェースをテレメトリ/コマ ンド共に RS-232C に統一する事によりユーザーの搭載 機器の開発を容易にするとともに信頼性の向上を図って いる.すでに気球尾部に搭載する気球コントロール用サ ブシステム(第3図)は開発を終え実用段階に入った. さらに平成24年度の実用化を目指し気球ゴンドラに搭載 するメインシステムの製作にも取り組んでいる. 3.2 新ロードテープの開発   ロードテープとは,気球表面の経線方向に這うロープ が組み込まれたテープであり,気球にかかる吊り下げ加 重を気球のフィルムに分散させて伝えるとともに,気球 形状を拘束することで気球フィルムの局所半径を小さく し,フィルムの表面張力を緩和する機能を持つ.現在, ケブラー紐にポリエチレンフィラメントを直接編み込む 方法で作る,新しいロードテープの開発を進めている. 試作した新ロードテープ(第4図)の試験から実用化の 可能性のあることが分かった.実用化に至るにはポリエ チレン紐の太さ,ポリエチレン素材に課題があり,今年 第5表 BS10-06実験概要 放球日時 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 9月8日 5時38分 60,000m3 46.8km 2時間42分 東北大学,宇宙航空研究開発機構, 第6表 BS10-05実験概要 放球日時 気球満膨張体積 飛翔高度 飛翔時間 担当機関 実施見送り 300,000m3 − − 大阪大学,宇宙航空研究開発機構 第3図 新テレメトリシステム

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1. 概   要  衛星や探査機に比べて機動的で迅速な飛翔実験機会の 提供ができる長所を活かし,年数機程度の打上げ機会を 用いて,高層大気物理,地球環境,宇宙プラズマ物理学, 宇宙天文学などの観測研究を行い,併せて飛翔手段の洗 練及び飛翔機会を利用した機器の性能実証や飛翔体シス テム研究などの宇宙飛翔体に関する実験的工学研究を行 う. 2. 平成22年度の活動概要 2.1 観測ロケット S-520-25号機の打上げ  内之浦射場設備の落雷被害により昨年度から延期と なっていたが,平成22年8月31日05時00分(日本標準時 間)に,内之浦宇宙空間観測所から,宇宙導電テザー の伸展実験を目的とした観測ロケット S-520-25号機の打 上げに成功した.ロケットは上下角82.5度で打ち上げら れ,正常に飛翔した後,発射後55秒にノーズコーンを開 頭,58秒にプラズマ計測プローブを展開して観測を開始 した.導電テザーは予定通り120秒に伸展を開始,その 様子(リアルタイム画像)が新規に開発された小型 Ku テレメータを介して地上に伝送された.小型のテザーロ ボットは297秒に子機から分離し,310秒までアーム操作 による姿勢制御を実施した.プラズマ収集実験に関して は,高電圧制御部に内部放電が発生し,正常な高電圧印 加ができなかったが,導電テザーおよび導電ブームが正 常に伸展したこと,ホローカソードの高速点火機能が実 証できたことにより,より効率的なプラズマ収集装置が 開発できる見通しを得ることができた. 2.2 観測ロケット S-310-40号機の開発  ラジオ放送等で使われている中波帯電波の異常伝搬を 引き起こす高密度プラズマ領域の発生メカニズムを解明 することを目的に S-310-40号機の開発を進めている.本 実験では,地上局から送信された中波帯電波をロケット 搭載機器で受信し,電離圏下部領域(高度100km 付近) の電子密度の空間分布を推定するとともに,電子密度, 電子温度を測定し,電波伝搬との関係について理解を深 め,高密度プラズマ領域発生のメカニズムを探る. 2.3 観測ロケット S-520-26号機の開発  熱圏下部(高度80~ 300km)における中性大気と電 離大気(プラズマ)との運動を観測し,両者の結合過程 メカニズムを解明することを目的として,S-520-26号機 の開発を進めている.本実験では,熱圏下部を飛翔する 観測ロケットから中性大気,プラズマ,電場と磁場の直 接観測を行うことによって,中性−電離大気間のエネル ギー交換を含む物理過程に関する更なる理解を目指す. 中性大気の運動は,ロケットからリチウムガスを放出し, その発光雲(太陽光散乱によって赤色に発光する雲)の 時間的な変化を地上観測によって測定する.

d. 平成22年度観測ロケット実験室の活動について

観測ロケットチーム

石井信明(室長) 吉田裕二(副室長) 餅原義孝(管制) 太刀川純孝(管制) 大嶋 勉(管制) 竹前俊昭(点火管制) 下瀬 滋(ロケット&ランチャ) 荒川 聡(ロケット&ランチャ) 岡崎 峻(ロケット&ランチャ) 河野太郎(ロケッ ト&ランチャ) 岩田直子(ロケット&ランチャ) 鈴木直洋(ロケット&ランチャ) 羽生宏人(推進) 竹内伸介(構 造) 峯杉賢治(構造) 佐藤英一(材料) 志田真樹(推進) 中塚潤一(推進) 勝身俊之(推進) 徳留真一郎(推進) 成田伸一郎(制御) 坂井智彦(テレメータ) 岡田尚基(テレメータ) 加藤輝雄(テレメータ) 川原康介(レーダ) 鎌田幸男(レーダ) 平原大地(レーダ) 水野貴秀(レーダ) 小林雄太(レーダ) 鵜野将年(電源) 久木田明夫(電 源) 富沢利夫(計測) 山本高行(飛行解析) 野中 聡(飛行解析) 廣瀬史子(飛行解析) 長谷川晃子(飛行解析) 前田行雄(飛行解析) 小川博之(飛行安全) 入門朋子(飛行安全) 伊藤 隆(飛行安全) 清水成人(飛行安全) 吉山京子(記録) 小野 縁(記録) 周東三和子(記録) 杉山吉昭(記録) 阿部琢美(観測) 松岡彩子(観測) 加藤 學(気象) 中村正人(気象) 田中孝治(GPS) 稲富裕光(材料) 殿河内啓史(総務) 大嶋亮太(総務) 栗山悦宏(総務) 稲谷芳文(PO) 関 妙子(研開本部通信G) 高橋隆男(東海大) 菅井正敏(東海大) 日高正規 (USC) 豊留法文(USC) 田元光彦(USC) 久保田 積(USC) 感應寺治城(USC) 中野二四三(USC) 下村和隆(USC) 白坂友三(USC) 井手郁夫(USC) 笠木幸子(USC) 永楽美和子(USC)

参照

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