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マスコミへの訃報送信における注意事項

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Academic year: 2021

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逃げようとする変異型 HIV と追いかける免疫の攻防を結晶構造レベルで解明

1. 発表者: 東京大学医科学研究所附属先端医療研究センター 感染症分野 教授 岩本愛吉 2.発表のポイント: ◆ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の変異とヒトの免疫防御能の攻防を分子レベルで明らかに した。 ◆変異型ウイルスのエピトープと T 細胞受容体の相互作用を、構造解析を用いることにより 明らかにした。 ◆変異型 HIV が免疫防御反応をかいくぐる機構を提案し、新たな創薬の可能性を示唆した。 3.発表概要: 東京大学の岩本愛吉 教授(医科学研究所)と深井周也 准教授(放射光連携研究機構/分子 細胞生物学研究所)のグループが共同して、日本人 HIV 感染者にしばしば見られる HIV の変 異と それに対する細胞傷害性 T 細胞受容体の結晶構造を解明し、サイエンティフィック・ リポート誌に発表しました。臨床での観察と構造生物学が連携し、宿主の 免疫反応から逃 れようとするウイルスとその変化に対応した免疫防御反応の一部を明らかにした研究で、 HIV ワクチンや免疫治療の開発に関連した成果です。本研究は、東大内の共同研究に加え、 中国とカナダの研究者が加わった国際連携研究として行われました。

ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、HIV)は、ヒトの免疫機能を破壊 する疾患であるエイズ(Acquired Immune Deficiency Syndrome、AIDS)の原因ウイルスで ある。2012 年の終わりには世界で 3530 万人が HIV に感染しており、2012 年一年間で 160 万 人がエイズにより亡くなっている。HIV は非常に変異を起こしやすいため、細胞傷害性 T 細 胞の免疫反応から逃れて増殖することができる。変異により増殖しようとする HIV と HIV を 排除しようとする宿主免疫応答の機構の理解を深める上で、結晶構造解析などを用いた分 子レベルでの理解が欠かせない。しかしながらこれまでそのような報告がなされていない 現状がある。 今回東京大学医科学研究所の岩本愛吉 教授と放射光連携研究機構/分子細胞生物学研究所 の深井周也 准教授の共同グループは、日本人 HIV 感染者にしばしば見られる HIV の変異と それに対する細胞傷害性 T 細胞受容体の結晶構造を解明した。臨床での観察と構造生物学が 連携し、宿主の免疫反応から逃れようとする HIV ウイルスとその変化に対応した免疫防御反 応の一部を明らかにした研究で、HIV ワクチンや免疫治療の開発につながる成果である。 本研究は、東京大学内の共同研究に加え、中国とカナダの研究者が加わった国際連携研究 として行われ、その成果は 2013 年 11 月 6 日の「サイエンティフィック・リポート」誌で発 表された。 4.発表内容: 【研究の背景】 細胞傷害性 T 細胞(Cytotoxic T Lymphocyte、CTL)はウイルスに感染した細胞を非自己と して認識し、感染細胞を破壊することでウイルスを排除する。感染細胞内ではウイルスタ

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ンパク質が分解、断片化されたエピトープ(注 1)と呼ばれる抗原ペプチドが産生される。 そしてそのエピトープは主要組織適合抗原クラス I(Major Histocompatibility Complex class I、MHC class I)(注 2)分子によって複合体として細胞表面で提示され、感染細胞 の目印となる。この目印を CTL は自身の細胞膜上に発現する T 細胞受容体(T Cell

Receptor、TCR)を介して認識する(図 1)。しかし、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、HIV)は、非常に変異を起こしやすく、エピトープ部位に変異を 獲得したウイルスは、変異体として CTL の免疫防御反応から逃れる。ヒトの MHC class I で あり、日本人で多くみられる HLA-A24(注 3)陽性の HIV 感染者では、HIV の Nef タンパク 質にある 135 番目のアミノ酸がタイロシン(Y)からフェニルアラニン(F)に変異した Y135F 変異型エピトープを持つウイルスが優勢となる。血中には変異型エピトープを認識す る CTL が存在するが、変異型ウイルスは排除されずに増殖し続ける。 このように変異型ウイルスとして増殖しようとする HIV と HIV を排除しようとする宿主免疫 応答の機構をより理解するためには分子レベルでの解析、すなわち結晶構造解析が強力な 手法となりうる。しかしながら変異型ウイルスのエピトープと TCR に関する構造解析はほと んど報告されていないのが現状である。 【研究内容】 研究グループは、日本人のおよそ 6 割が HLA-A24 陽性であることと、その HLA-A24 によって 提示される HIV タンパク質中の 10 アミノ酸からなる Nef134-10 エピトープ(RYPLTFGWCF) に注目し、野生型(変異なし)および 2 種類の変異型(Y135F 変異、F139L 変異)を対象に した研究を行った。まず、Y135F 変異は感染早期に出現する変異であり、HLA-A24 陽性 HIV 感染者間で蔓延している変異型ウイルスであることを再確認した。F139L 変異は Y135F 変異 とは異なり一部の感染者間においてのみ検出され、やや遅れて出現する変異であることが 確認された。 次に、エピトープと HLA-A24 との結晶構造および TCR との三者複合体構造の構造解析を行っ た。その結果、F139L 変異は TCR との結合能が低下することにより生じる変異であることが 示唆された(図 2)。一方 Y135F 変異では、エピトープと HLA-A24 との相互作用が野生型エ ピトープの場合と異なるものの、TCR は Y135F 変異型エピトープと正常に相互作用し、変異 型エピトープを認識できることが明らかとなった(図 3)。 以上より本研究では HIV の野生型、変異型エピトープを提示した HLA-A24 分子との結晶構造 解析、ならびに TCR 分子との三者複合体結晶構造解析を行い、感染者体内で生じている HIV と宿主免疫応答の攻防を再構成した。

HLA-A24 陽性者の多い日本人集団において、Y135F 変異のような変異型ウイルスは HIV 感染 者体内で蓄積され続ける。本来ならば宿主免疫応答による CTL によってウイルスは排除され るはずである。しかしながら Y135F 変異型ウイルスは細胞内でのウイルス抗原の断片化に影 響を及ぼすことで HIV のみに免疫防御反応を起こす(特異的 CTL が存在するにも関わらず、 その攻撃から逃れてしまうと示唆される。Y135F 変異型ウイルスは自身の姿を隠すことで CTL という宿主免疫のレーダーから回避することのできるステルス性を装備したウイルスで あると推察され、CTL を誘導するような治療法では、ステルス変異型ウイルスを完全に排除 できない可能性が高い。研究グループはこのような HIV の変異をステルス変異と名付けた。 本研究では、HIV の治療法として、感染細胞内におけるウイルス抗原の断片化を変化させる ような新たな治療薬開発の可能性を提案した(図 4)。今後はさらにステルス変異のメカニ ズムが明らかになり、HIV 感染を治療するための薬の開発につながることが期待される。

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5.発表雑誌:

雑誌名:「Scientific Reports 3, 3097」(オンライン版:11 月 6 日)

論文タイトル:Structure of TCR and antigen complexes at an immunodominant CTL epitope in HIV-1 infection.

著者:Akihisa Shimizu, Ai Kawana-Tachikawa, Atsushi Yamagata, Chung Yong Han, Dayong Zhu, Yusuke Sato, Hitomi Nakamura, Tomohiko Koibuchi, Jonathan Carlson, Eric Martin, Chanson J. Brumme, Yi Shi, George F. Gao, Zabrina L. Brumme, Shuya Fukai, Aikichi Iwamoto*

DOI番号:DOI:10.1038/srep03097 URL:http://www.nature.com/srep/2013/131106/srep03097/full/srep03097.html 6.注意事項: 特になし 7.問い合わせ先: 東京大学医科学研究所附属先端医療研究センター 感染症分野 教授 岩本愛吉 電話: 03-5449-5359 FAX: 03-6409-2008 メールアドレス:[email protected] 8.用語解説: 注 1 エピトープ MHC class I によって提示される 8 から 11 個のアミノ酸残基からなるペプチド。 注 2 MHC class I ほとんどの有核細胞で発現している細胞膜貫通型の糖タンパク質。エピトープと複合体を 形成し、細胞表面で細胞傷害性 T 細胞に提示する役割を持つ。 注 3 HLA-A24

HLA はヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen)の略でヒトの MHC のことであり、多く の型がある。その中でも HLA-A24 は多くの日本人が持つ HLA の型。

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