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テクノエイドシステムの在り方に関する課題分析について

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仙台市テクノエイドシステムの在り方に関する研究について

-制度の違いを超えて全ての市民へ適切な支援を-

所属 健康福祉部 障害者更生相談所 氏名 後藤美枝、佐藤廣之、岩松ひとみ 森山うた理、土合真紀子 現在、障害者更生相談所においては、本市における「中途障害者のための支援システム」の 中核機関として、高次脳機能障害者支援事業や地域リハビリテーション支援事業等の新たな施 策、事業に取り組んでいる。 一方、従来からの基本業務である補装具判定業務については、障害者自立支援法の施行後、 法制度の変革はあるものの依然として障害者支援における重要な業務の一端を担っている。 同時に、高齢化社会の急速な進展下においては高齢障害者も増加の一途を辿っており、市民 にとっては自立支援法や介護保険制度に捉われず、誰もが適切な福祉用具の支援が受けられる システムが必要となっている。 今回、そうした現状と課題を踏まえて、全ての市民に対する適切な支援が可能なシステムの あり方を検討したので、報告する。 1.はじめに 障害者更生相談所においては,新たに策定された「仙台市障害者保健福祉計画」に基づき, 地域リハビリテーションを推進する専門機関としての機能強化を図りながら,地域リハビリテ ーションシステムの中核機関として整備する(仮)障害者総合支援センターが真に市民に貢献 する施設となるために,「障害者更生相談所アクションプラン」(以下「アクションプラン」と いう)を策定し,新たな施策や事業に積極的に取組むとともに,現在の基本事業であるテクノ エ イド業務についても,質的強化や職員の資質向上を図ることとしている。 「アクションプラン」においては,支援の対象者を『障害や疾患の種別に捉われず,生活上 の困難さを抱え,社会的支援や環境整備が必要な全ての人々』とし,『当事者と家族とすべての 市民の方々とをつなぐ』ことを基本目標に掲げ,関係機関の連携協働の下に,既存のシステム では支援が困難な方々へも積極的に支援を行うこととしている。そこで「アクションプラン」 に基づき,利用者の多様なニーズや課題に応えて,福祉用具を適切かつ速やかに提供するため には,職員の資質向上に留まらず,現行システムの見直しと新たな展開を積極的に描き,自立 支援法や介護保険における福祉用具に関する現行制度の現状分析や,ICF 等の理念を踏まえた システム構築が不可欠である。 本研究はその現状を踏まえて,福祉用具を必要とする方が,制度の違いを超えて身近なとこ ろで相談ができ,適切な福祉用具の適合・導入支援を受け,使用後のアフターフォローを適切

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に受けることができるようになることを最終目標とし,現行システムの見直しと新たな展開を 考察し,これからのテクノエイドシステムの在り方を検討することを目的としたものである。 2.検討の視点 テクノエイドシステムにおいて,行政機関の果たすべき役割は非常に大きいが,具体には, 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成 5 年 5 月施行)」については,第二十二 条,二十三条,第二十四条に市町村,都道府県等の役割が定められている。仙台市が果たすべ き役割は,上記3条を包含して検討すべきである。 なお,福祉用具とは、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律において,『心身の機 能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人(以下単に「老人」という。)または,心身障害 者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具 をいう。』とされているが,公的給付とされている補装具や日常生活用具のほか,公的給付とさ れていない多種多様なものがあり,極めて広範囲にわたる。そこで,本報告書においては,現 状の課題を明確にするために,検討の前提を自立支援法における補装具,日常生活用具及び介 護保険制度における福祉用具貸与品目,特定福祉用具の種目,住宅改修(特定されている 5 項 目)に置くこととする。 3.我国における福祉用具制度と課題 (1)種目別福祉から地域福祉へ 平成 12 年に,それまで社会福祉行政の基本法と言われた社会福祉事業法が,名称も社会福祉 法に変えて,全面改正された。この法律の目的は,「福祉サービスの利用者の利益の保護及び地 域における社会福祉(以下「地域福祉」という。)の推進を図る」(第 1 条)こととされ,「地域 福祉」が初めて法律用語として使われるとともに,地域福祉そのものの考え方が改めて明示さ れた。具体には,地域自立生活の支援・ケアマネジメントの活用・ソーシャルインクルージョ ンの理念・福祉サービスの情報提供と評価・権利擁護事業である。 平成 19 年度に厚生労働省から報告された「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告 書」においても,種目別福祉から地域福祉への転換を図る視点の重要性が報告されているが, 地域福祉の課題として,分野ごと(縦割り)で整備された公的福祉サービスの弊害,「制度の谷間 」 となっている方々への支援,現行制度では応え切れない多様なニーズへの対応,複合的問題に 対しての総合的なサービス提供等の問題を指摘している。従来の縦割り・支援者中心で考えら れていた制度を,一人の住民を中心に置くという考え方を示したものである。 また,同じ平成 12 年に施行された地方分権一括法により,国や県の権限の市町村への委譲が 推進され,補装具関連では身体障害児の補装具の交付の市町村への委譲,基準外補装具の厚生 大臣協議の廃止が実施された。この法律の目指すところは,地方分権の推進を図り,地方公共 団体の自主性・自立性を高め,住民に身近な行政をできる限り身近な行政主体において処理し, 地域住民のニーズを迅速かつ的確に反映させることにある。

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「アクションプラン」においても,上記2つの法律の改正と同様の主旨であると考えられる ことから,新たなテクノエイドシステムを考えていく場合においても,縦割りの法制度に捉わ れず,関係機関との十分な連携の下に必要なサービスが提供されるよう,地域福祉の視点を盛 り込みながら検討していくことが求められる。 (2)障害者自立支援法における支給制度と課題 障害者自立支援法(以下:自立支援法)における補装具費支給制度は,平成 18 年 10 月より 実施されている。それ以前は,身体障害者福祉法下で補装具交付制度が実施され,この法律で は,補装具の現物支給,利用者負担においては応能負担のしくみであった。 自立支援法による補装具費支給制度は,補装具費の支給であり,原則 1 割負担の応益負担の 制度へと大きく変化した。また自治体にとっては,限られた財源の中で真に必要な方に必要な 機能を備え,ニーズに即した補装具の提供が必要であることを考えると,一層ニーズに即した 補装具の提供が求められることとなった。 また,補装具事務取扱指針により,市町村は補装具費の支給に当たり,医師,理学療法士, 作業療法士,身体障害者福祉司等の専門職員及び補装具の販売もしくは修理を行う業者との連 携を図りながら身体障害者・児の身体状況,性別,年齢,職業,教育,生活環境等の諸条件を 考慮する必要があることとしている。 また,都道府県の役割として,補装具費支給制度の運用に当たり,市町村間の連絡調整,市 町村に対する情報提供その他必要な援助を行うとともに,各市町村の区域を越えた広域的な見 地から実情の把握に努めること、また市町村が適切な実施を確保するため必要があると認めた ときは,市町村に対し必要な助言を行うこととなっている。 更に,身体障害者福祉法第 9 条第 6 項に定める身体当所が補装具費支給制度の技術的中枢機 関としての業務が遂行できるよう,必要な体制整備に努めることとしている。 このように当所の業務については,「専門職員の連携」,「専門的助言」「技術的中枢機関とし ての業務の遂行」などが期待されている一方で専門職員の配置基準は統一されておらず,各自 治体の裁量に任されている現状があり,これらの位置づけは必ずしも十分とは言えない。 社会福祉法で地域自立支援が謳われたことを契機として,障害者福祉においても,どんなに 障害が重くとも本人の望む生活や社会参加に実現を図ることが支援の基本となったが,実際に 重度な障害のある方も住み慣れた地域で在宅生活を送る方が増加し,それに伴って福祉用具も 多様なニーズが要求されるようになった。その一方で,補装具判定業務の過程で,『手すりが必 要のないところについている,使えないシャワーキャリーが購入されている,移乗動作が介助 者の負担となりベッドから車いすに移乗できない』等の場面に遭遇する機会が少なくない。 多様化するニーズに対応する支援者(専門職,相談支援事業者,ケアマネ等)が,ICF(国際 生活機能分類)の構成,要素間の相互作用を踏まえて,環境因子(福祉用具や住宅改修等)が健 康状態,心身機能,活動や参加に与える影響について十分考慮し,多職種協働の仕組みの中で 対応していることは少ないのではないか,と考えざるを得ない。多様なニーズに応えるために, ICF の理念に基づく実践ができる支援者の育成と多職種協働の仕組みづくりが,喫緊の課題で あると言える。

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(3)介護保険制度における供給システムと課題 介護保険制度は,高齢社会の進展の中で,高齢者介護に対する社会的保障を求める国民の要 求を踏まえて,平成 12 年 4 月1日から施行されたが,保険者を市町村とすることで,より地方 の状況に配慮した運営と,市町村の現状を反映できるシステムとして開始された。 この制度の導入により,それまで老人保健法による日常生活用具給付事業として旧対象とな っていた福祉用具が原則として貸与品目として保険給付対象となり,それまで全国一律の制度 としては位置づけられなかった住宅改修が保険給付となったこともあり,テクノエイドは急速 に普及することとなった。 その一方で,「福祉用具・住宅改修を日常生活活動向上の重要な手段と位置づけ,その導入プ ロセスにリハビリテーション専門職が関与すべき」と指摘されているように,本来多職種協働 で実施すべき選定や適合,使用方法の指導やモニタリングといったテクノエイド機能の多くは, 介護支援専門員や福祉用具専門相談員に委ねられることになった。それにより,「状態像に合わ ない福祉用具の提供が自立を妨げ,かえって状態像の悪化につながっているケース」も見られ る、また「住宅改修も福祉用具と同様、自立支援の観点から見ると問題のある利用事例が多い 」 と指摘されるなど,生活機能に適合しない福祉用具の供給が,報告されている。 その結果として,不適切な貸与や廃用性症候群が大きな問題となり,さらに平成 18 年の介護 保険制度改正では,福祉用具の必要性が介護度で一律に判断されることとなり、真に必要な福 祉用具が受けられない状況も発生した。 また,入所施設で使用する福祉用具は介護保険対象外であるため,施設の備品で対応してい る事例が多いが,現実には入所者一人ひとりに見合った備品を備えることが困難なことから, 「車いすに人を合わせている」状況であり,QOL の向上どころか,二次障害や生活機能低下を 引き起こしている事例もある。 このような事態は,施設サービス受給者が福祉用具貸与の保険給付を受けられないという問 題ばかりでなく,施設サービス計画書にテクノエイドが位置づけられていない,施設サービス 計画書とリハビリテーション実施計画書の不整合等の事態も引き起こしている。これらの背景 には,上述したような多職種協働によるテクノエイド機能が不十分であることが一因となって いる可能性が高い。すなわち,多職種が関っているものの,評価結果を共有し,ニーズや目標 を共有するという、本来多職種共同のケアマネジメントに基づくはずのテクノエイド機能が、 居宅サービスと同様に十分に機能しているとは言えない。 (4)縦割りの弊害 これまで述べてきたように,現行制度ごとの課題整理からは,ICF 概念に基づく多職種協働 によるテクノエイドシステム構築が急務であることが浮き彫りになった。同システム構築にお いて、最も重要なのは「縦割りの弊害」の解決であろう。例えば,地域福祉の各分野ごとに整 備されたために相互関連の薄い公的福祉サービスがもつ弊害の改善,「制度の谷間」となってい る方々への支援の構築,現行制度では応え切れない多様なニーズへの対応,また複合的問題に 対する総合的なサービスの提供等が課題になるように思われる。

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また,介護保険制度に関わる支援者が,自立支援法による補装具費の支給制度について十分 な情報を持てておらず,本来であれば補装具が必要な人、また制度を利用できるはずの人に対 して適切な支援が提供できていないという現状の改善も、「縦割りの弊害」の解決に結びつくで あろう。 これらの課題に対して、専門職が参画して相談やリハビリテーションにおいて多職種協働の しくみを作っていくことが、テクノエイドシステムを構築するための優先的課題である。 4.当所におけるテクノエイドの現状と課題 (1)相談支援体制の現状と課題 ア 補装具費の判定について 当所の判定業務については,障害者自立支援法に基づき,補装具費の支給にあたり, 補装具の必要性を医学的に評価し,PT,OT がその補助として,具体的な処方等に立会い判定し ている。判定方法については,各区役所からの判定依頼書に基づき,申請者の希望・状況を確 認しながら,来所・在宅判定の選択をしている。 当所の判定方法の特徴としては,来所が困難な方,在宅の環境の評価が必要な方, 医療機関,施設等で本人と担当者等(専門職等見)からの意見等があり,判定場面に有効と判 断した時には直接自宅や施設,医療機関等に出向き(以下在宅判定)判定をしている。そのた め,在宅判定の割合が他県,大都市等と比較すると多く,障害者の現状把握の機会にも恵まれ ている。一方では,一判定あたりにかかる時間数が多くなるという課題が残る。 義肢・装具の判定については,治療用装具を経てから判定することも多いため,処方につい ては,補装具製作事業者とのつながりが強く,義肢装具士が対応することが多いため技術的支 援の要素は少ないのが現状である。義肢・装具の特性上,個別性が高く,介護保険の福祉用具 貸与・購入項目にないため,介護保険等の影響は少なく,判定の数字的変化は大差なく経過し ている。 イ 介護保険対象者と補装具について 介護保険の福祉用具貸与品目と補装具費で支給される品目で同様なものは電動車いす,車い す,歩行器,歩行補助つえ等があるが,これらについては介護保険実施後,判定件数のみなら ず,補装具の品目や対象者の相談状況等が変化した。 それは特に車いすで顕著である。まずは平成 12 年度で車いすの判定件数が半減した。現在も 65 歳以上の車いすの判定件数は介護保険以前よりも減少している。 介護保険対象者で車いすの判定を受ける方は統計上も要介護度が高い方が多く,その方々の 多くは座位が自立していない方が多い。仙台市の新しい取り組みとして、介護保険対象者が車 いす等の補装具費を申請する場合には,貸与品を実際に試してみて,ケアマネジャーがサービ ス調整会議(もしくはケア会議等)の中で必要性を確認したことを規定の書式(介護保険に係 る意見書)に記載し,補装具費申請書と合わせて提出してもらうこととしている。そのよう なに申請のあった方は,個別の身体状況に配慮した車いすが必要であることが多く,申請に至 るまでの評価・判断が適切であることが分かる。

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一方,介護保険の現場における福祉用具について当所が把握している現状としては, 補装具の判定業務で介護保険施設等に訪問した場合,利用者が施設備品の車いすに乗りホール に集まっている光景を多く目にするが,不適切な姿勢で座っている方が散見される。離床に関 してはどの施設も積極的にすすめられているが,その離床の手段である車いすが利用者に不適 合であることに対応できていない場面を目にする。また,在宅判定の場合にも,身体状況的に 使用困難な福祉用具を目にする機会がある。しかし更生相談所職員が限られた時間の中で訪問 した時であり、ケアマネジャーが同席せず,支援計画上の位置づけ等が把握できないため,直 接的助言等をできないのが現状である。 (2) 処方,適合判定の現状と課題 補装具費判定の場合には,数回の来所・訪問で補装具の適否とそれに準じた処方, 適合判定を実施しており,短時間でそれらを判断している。現在では,高齢者・障害者の 生活は多様化しており,それらのニーズを的確に把握していくことが短時間では困難であ り,本人・家族・関係機関等の各情報が必須のものとなっている。本人が直接訴えや要望 等を言える方については,話しあいながら決めていくことが可能であるが,重度障害の方々 が増えていき,多方面からの状況を整理しないと補装具が有効に機能しないことがあるこ とは当所としても見過ごすことができない。 義肢・装具等に関しては,機能評価と本人の要望が合致することで処方が可能とな る場合が多いが,その部品等の選定にあたっては,本人の活動度や社会的要因等を十分考 慮し判断する知識等が必要とされている。 車いす等に関しては,機能評価のみならず,家屋の状況把握,外出,買い物等の社 会参加状況把握,介護の状況,導入しているサービス等を把握する必要性がある。この必 要性を理解していても,判定場面で十分な情報収集ができないこともある。 また,判定においては,本人・家族へ制度上の説明や処方においての説明等が十分 に行われる必要性があることは言うまでもない。そのようなことからも日頃の連携や的確 な情報収集・提供の技術は欠かせない。 (3) モニタリングの現状と課題 補装具の判定後・使用後のモニタリングについては,残念ながら十分には行われて いない。その後の情報については補装具製作事業者が把握していることも多いため,時に その状況をきくという程度に止まっている現状である。 補装具については,補装具支給後は補装具製作事業者へ相談することが多く,修理 等においては本人と事業者でやりとりする場面が多い。一方,判定側では補装具使用後の フォローアップやモニタリングがシステム化されておらず,処方したものがどのように生 活に生かされているのか把握しにくい状況である。 宮城県リハビリテーション支援センターの補装具支給後の使用状況に関する調査( 平 成 20 年 4 月)では,個別性の高い補装具であるにも関わらず 5%が使用されず,使用してい る方の約 10%は補装具が使いづらいという調査結果を出している。 判定・処方・適合判定を実施している専門機関としては,使用後のアフターフォロー やモニタリングについても,その役割を持つことは必要な機能である。この機能は市

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民サービスの向上のみならず,当所の職員の資質をあげることにもつながる。また, 補装具使用することで十分に機能の補完,代替がなされ,日常生活になくてはならな いものとして使用されていることを評価することは、本人,家族のみならず,利用者 に関わる様々な支援者にとっても支援の向上につながることである。 5. 仙台市における課題 これまで本報告書では,障害者自立支援法及び介護保険法における制度上の問題と 課題,地域福祉の観点からみた制度別・縦割り行政の弊害,当所の実績・実態からみた課 題を分析したが,それを纏めると,仙台市における課題は以下のように整理される。 (1) 制度別・縦割り行政の弊害の解消 仙台市においても,介護保険施行以降の福祉用具供給システムについては,法の縦 割りの中で障害者と高齢者が分断され,本来利用できる制度の情報提供機能が充分に生か されず,利用者にとって不利益な状況がある。これは,相談窓口となる各区障害者総合相 談,地域包括支援センター,介護支援専門員等による情報提供機能が不十分であること, 担当外(担当制度以外)との連携が不十分であること,結果としてどこに相談すればよい かの判断ができなくなっているという負の連鎖から生じていると考えられる。最も情報を 有している当所は,仙台市の相談システムにおける機能と役割から,一次相談窓口にはな りにくいため,各区保健福祉センターや障害者福祉センター,地域包括支援センター,居 宅介護支援事業所等の,直接市民と接する相談機関への情報提供がスムーズにできる方法 の検討が必要である。 (2) ICF 概念に基づく多職種協働による支援体制の構築 多くの支援者や福祉用具製作業者が,福祉用具という「物」に着目してしまい,環境へ の働き掛け(福祉用具の活用)が本人の心身機能や活動,参加にどのように作用するかとい う,ICF に基づく検討も無いまま対応し,場合によっては,二次障害や生活機能の低下を 引き起こしている事例があるという現状がある。また,支援チームによるケアマネジメン トも機能していない。従って,「専門家」と称する支援者チームで検討したものが,「もの」 に「人」を当てはめる結果となっている。 支援者が,所属する機関や職種の違いを超えて協働できるようになるために,ICF やケアマネジメントの理念や実践の普及啓発と,個別支援を通して協働できる場を積極的 に作り出していくための方策の検討が必要である。 (3)モニタリングシステムの構築 当所における補装具使用後のフォローアップやモニタリングの機能が不十分であるため に,有効に活用されているのかが殆ど見えない状況にある。宮城県リハビリテーション支 援センターの調査によると,全県で補装具を支給された者のうち,1 割強が使用中止とな っているという結果が出ているが,仙台市においても,同様の状況であると推測される。 現在は,利用者との関係で補装具製作業者がその一部を担っているが,判定機関である当

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所が中核となったモニタリングシステム構築の検討が必要である。 6.仙台市において取組むべき具体の方策について (1) 相談支援体制の強化 各区保健福祉センターや障害者福祉センター,地域包括支援センター,居宅介護支 援事業所等の,直接市民と接する相談機関が相談者に対して適切に対応できるようにする ために,当所は後方支援期間となって,研修や HP 等による普及啓発や情報提供を積極的に 行う。また,直接市民と接する相談機関では支援が困難な事例に対しては,当所が専門的 技術支援を行うことで,テクノエイドシステムにおける重層的な相談支援体制を構築する。 そのためには,現行業務の再編,見直しによる業務の効率化を図ることに加え,大学や研究 機関等との連携システムの構築,更生相談所職員の知識・技術の向上,専門的技術支援に 必要となる機器等の整備などが重要となる。 (2)関係機関の連携協働の推進 新たなテクノエイドシステムを構築していくためには,高齢者施策と障害者施策が 協働できるシステムが必要不可欠である。現在の法制度の下では,仙台市のみが単独で導 入することは困難であるが,今後我国として当然に整備すべき課題である。そうした将来 展望を持ちつつ,当所が中心となって,テクノエイドシステム構築するための共通言語と して ICF を活用し,併せてケアマネジメントに関わる研修,普及啓発,事例検討等を,多 職種協働で推進する必要がある。その蓄積が,いずれは障害者支援,高齢者支援の枠を超 えて,共に同じ視点・信念で取り組めるシステムの土台となり,多くの支援機関の有機的 ネットワークが形成できることにつながる。 (3)システム構築に関わる調査研究の推進 新たなシステムを構築するに当っては,仮説を立てながら,モデル的な取組みを実 施し,その評価を下にまた次のステップへという方策も有効である。 具体的には,ニーズを掘り起こせる相談機能のあり方,更に多職種協働によるニー ズアセスメント機能,それらのニーズ解決をしてくれる地域の施設機能,それらをバック アップする当所機能の強化等を検証できるモデル事業を実施し,同時に介護保険も検証で きるものとする。 (4)情報収集提供機能の強化 テクノエイドに関る情報の収集・提供は広範・多岐にわたり,一定の専門性が必要 である。このため当所が情報収集,提供機能の中継役を担い,必要な情報が速やかに関係 機関から市民に,市民ニーズを関係機関に提供するシステムの構築が必要である。 具体的には,大学等の研究機関,製作,供給事業者,テクノエイド協会等の研究機 関と連携して,こうした知見を収集し相談機関へ後方機関として効率的な情報提供を実施 する。 (5)障害者更生相談所の機能強化 これまで述べてきたように,新たなシステム構築の中核機関は,障害者更生相談所が担

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うものであり,障害者更生相談所の機能如何でシステムが左右される。 従って,個別の判定業務,人材養成,調査研究等に実際に携わる職員一人ひとりの資質 向上と所自体の機能強化とは,同時並行的に進めていく必要がある。 障害者更生相談所は,どのようなシステムであっても,その中核機能及び企画調整機能 を担う必要があるが,それが有効に駆動しないと,システムそのものが崩壊しかねない。 そのために,現行業務の見直しを実施し,専門機関・研究機関等への派遣研修や最新の機 器等の整備等,最新の福祉用具の知識や適用技術,使用技術等の習得を可能とする環境整 備のために,仙台市として必要な措置を講ずるべきである。 7.おわりに 本研究は,今後,当市における課題を解決できるよう,上記にあげた取組みを実践しな がら,その有効性を検証していく必要がある。また,実践の場の現状を更に吸い上げ,有 機的な連携を目指し実施していきたい。 最後に市民の方へ適切な支援ができるよう,住民目線で実施できる事業としていきたい。 テクノエイドにおける重層的支援システム図             (福祉用具供給事業者も含む)        (福祉用具供給事業者も含む)  総合相談窓口    各区保健福祉センター(障害高齢課)         テクノエイドセンター(仮)      テクノエイドセンター(仮)                        後方支援      老人保健施設(仮)    専門的技術支援機関         協力連携    後方支援   障害者更生相談所 協力・連携        協力・連携             関係機関 専門研修機関  宮城県リハビリテーション支援センター  在仙大学等研究機関, 介護研修室  福祉用具製造事業者(メーカー) 国立障害者リハビリテーションセンター 発達相談支援センター(アーチル)        自立訓練事業,生活訓練、   生活介護,相談支援事業等   障害者福祉センター      協力連携 直接相談 在宅・施設サービス事業所 在宅・施設サービス事業所 身近な 相談支 援機関       高齢者支援係、介護保険係、障害者支援係 身近な 相談支 援機関      テクノエイドにおける重層的支援システム 仙台市民  (福祉用具を必要とする本人・家族)    地域包括支援センター(1次相談窓口)    直接相談 参考資料: 1) 平成 19 年度厚生労働省報告「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」 2) 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成 5 年 5 月) 3) 支援費制度における補装具交付のあり方に関する事項 4) 介護保険改正〈平成 18 年 10 月:福祉用具貸与に関する事項〉 5) 障害者自立支援法 補装具費支給制度について

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6) 仙台市障害者保健福祉計画 7) 仙台市障害者更生相談所 アクションプラン 8) 仙台市障害者更生相談所 平成 20 年度補装具費実績統計 9) 宮城県リハビリテーション支援センター: 補装具支給後の使用状況に関する調査 10)高齢者リハビリテーション研究会報告書(平成 16 年 1 月)

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