咀 嚼 運 動 に お け る 下 顎 ロ ー テ ー シ ョ ン の 分 析
Analysys of Mandibular Rotation during Chewing Movements○ 反 橋 直 也,吉 田 真 理,相 馬 季 世 子,東 和 生,高 島 史 男,丸 山 剛 郎
Naoya Sorihashi, Mari Yoshida, Kiyoko Souma, Kazuo Higashi, Fumio Takashima, and Takao Maruyama
大 阪 大 学 歯 学 部 歯 科 補 綴 学 第 一 講 座
Department of Fixed Prosthetics, Osaka University Faculty of Dentistry
1.緒 言 咀 嚼 運 動 を 行 な う 際 に は 顎 口 腔 系 の 協 調 し た 働 き が 必 要 で あ る た め,咀 嚼 運 動 に は 咬 合,咀 嚼 筋,顎 関 節 の 状 態 が 反 映 さ れ て い る.そ れ ゆ え に,咀 嚼 運 動 を 分 析 す る こ と に よ り 顎 口 腔 系 の 診 断,評 価 が で き る.当 教 室 で は,臨 床 生 理 咬 合 ξ い う 概 念1)の も と,こ の 咀 嚼 運 動 を 重 要 視 し生 理 的,動 的,機 能 的 に 咬 合 を と ら え て き た. 咀 嚼 運 動 を 観 察 し 分 析 す る た め の 下 顎 運 動 計 測 装 置 と し て,従 来 よ り,SGG,MKG等 が 用 い ら れ て お り,下 顎 切 歯 点 の 三 次 元 的 位 置(以 下, ト ラ ン系 レ ー シ ョ ン と い う)の 測 定 が行 わ れ て い る.と の ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン に 加 え て,軸 回 り の 回 転 角 度(以 下,ロ ー テ ー シ ョ ン と い う) を 測 定 す る こ と に よ り,咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 の 動 態 を さ ら に 詳 し く 調 べ る こ と が 可 能 と な る と 考 え ら れ る2). 近 年,高 精 度 の6自 由 度 下 顎 運 動 測 定 装 置 が 開 発3,4)さ れ て き て い る が,咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 ロ ー テ ー シ ョ ン の 測 定 の 報 告2,5-7)は あ ま り な さ れ て い な い 。 今 回,咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 切 歯 部 の 前 後 軸 お よ び 上 下 軸 回 り の2つ の ロ ー テ ー シ ョ ン(図1) を 測 定 す る 目 的 で シ ロ ナ ソ グ ラ フ ア ナ ラ イ ジ ン グ シ ス テ ム(カ ノ ー プ ス,東 京 歯 科 産 業)の ハ ー ド ウ ェ ア の 改 造 を 行 な い ,そ の 測 定 精 度 お よ び 咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 ロ ー テ ー シ ョ ン に つ い て 分 析 検 討 を 行 な っ た.
図1下
顎 運 動 の 座 標 系
II.研 究 方 法 1.測 定 精 度 本 シ ス テ ム は シ ロ ナ ソ グ ラ フ が 出 力 す る トラ ン ス レ ー シ ョ ン お よ び ロ ー テー シ ョ ン の ア ナ ロ グ 信 号 を 分 解 能12bitのA/Dコ ン バ ー タ ー に よ り サ ン プ リ ン グ 周 波 数100Hzで デ ジ タ ル 変 換 し 記 録 す る こ と が 可 能 な も の で あ る.ア ク リ ル 製 の 校 正 実 験 装 置1)を 用 い,以 下 の 校 正 実 験 を 行 っ た. 1)磁 石 の ロ ー テー シ ョ ン が ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン 出 力 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て ア ン テ ナ 中 央 部 を 原 点 と しX,Y,Z座 標 各15mm の 範 囲 内 の2.5mm間 隔 の 各 位 置 に お い て2.5.間 隔 で15° ま で 磁 石 をX軸 お よ びZ軸 回 り に 回 転 さ せ そ の 時 の シ ロ ナ ソ グ ラ フ の 出 力 値 を 測 定 し た. 2)磁 石 の ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン が ロー テ ー シ ョ ン 出 力 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て ア ン テ ナ 中 央 部 を 原 点 と しX,Y座 標 各15mm,Z 座 標30mmの 範 囲 内 で 磁 石 を 回 転 さ せ る こ と な く 2.5mm間 隔 で 平 行 移 動 さ せ 各 出 力 値 を 測 定 し た.2.咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 ロ ー テ ー シ ョ ン の 測 定 被 験 者 に は,顎 口 腔 機 能 に 特 に 異 常 を 認 め な い 者 か ら,正 常 者 群 と し て 個 性 正 常 咬 合 者20名 (男 性17名,女 性3名,年 齢23∼32歳,平 均 年 齢26.2歳),咬 合 異 常 者 群 と し て 臼 歯 部 交 叉 咬 合 を 有 す る 者5名(男 性4名,女 性1名,年 齢23 ∼29歳 ,平 均 年 齢25.8歳)を 選 択 し た.ま た, 正 常 者 群 で は そ の 前 頭 面 ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン パ タ ー ン か ら,開 口 初 期 に お い て 非 咀 嚼 側 へ の 歯1 の 滑 走 を 認 め る グ ラ イ ン デ ィ ン グ ・ タ イ プ(Gl I タ イ プ)19側 お よ び 開 口 路 の 非 咀 嚼 側 へ の 歯 の 滑 走 を 殆 ど 認 め な い チ ョ ッ ピ ン グ ・タ イ ブ(C タ イ プ)21側 に 分 類 し た8).咬 合 異 常 者 群 で は 被 験 側 を 臼 歯 部 交 叉 咬 合 を 有 す る 側 と し,両 側 に 臼 歯 部 交 叉 咬 合 を 有 す る 者 が2名,片 側 に 臼 歯 部 交 叉 咬 合 を 有 す る 者 が3名 い た こ と か ら計7 側 を 被 験 側 と し た. 被 験 運 動 は 咀 嚼 側 を 指 定 し た ガ ム 咀 嚼(ロ ッ テ 社 製 フ リ ー ゾ ー ン)で,咀 嚼 開 始 後 約5秒 後 か ら の10ス ト ロ ー ク を 分 析 し た. 分 析 方 法 は,各 被 験 側 に お い て 中 心 咬 合 位, 最 下 方 点 お よ び 垂 直 的 開 口 量1.2,3.4,6.8.10, 12mmレ ベ ル に お け るRXお よ びRZの 値 の10ス ト ロ ー ク の 平 均 を 代 表 値 と し各 群 の 平 均 お よ び 標 準 偏 差 を 求 め 比 較 検 討 し た 。 III.結 果 1.測 定 精 度 1)磁 石 の ロ ー テ ー シ ョ ン が ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン 出 力 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て ア ン テ ナ 中 央 部(X.Y.Z)=(0.0.0)に お い て ロ ー テ ー シ ョ ン 出 力 値RX,RZは と も に 良 好 な 直 線 性 を 示 し 、10° 以 下 で は 誤 差 が0.2° 以 下 と な っ た.ま た,ト ラ ン ス レー シ ョ ン 出 力 値X,Y, Zに 及 ぼ す 影 響 は0.2mm以 下 で あ っ た(図2,3). X,Y.Z座 標 が 各 々15mm,15mm,0mmの 位 置 で 磁 石 をX軸 回 り に 回 転 さ せ た 時,磁 石 の 回 転 に と も な いRXお よ びZの 出 力 値 が 直 線 的 に 増 加 し た(図 4). X,Y,Z座 標 の 各 位 置 で 磁 石 をX軸 お よ びZ軸 回 り に 回 転 さ せ る とX.Y,Z各 出 力 値 に 変 化 が 生 じ た. 測 定 値 よ り 磁 石 の ロ ー テー シ ョ ン が ト ラ ン ス 似 式 が 最 小 二 乗 法 に よ り 得 ら れ た(図5).し か し,通 常 の 咀 嚼 領 域 お よ び ロ ー テー シ ョ ン の 範 囲 内 で は,臨 床 応 用 上,特 に 補 正 の 必 要 は な い と 思 わ れ る. 図2磁 石 の 前 後 軸 回 り の 回 転 と 各 出 力 値 (X,Y,Z)=(0,0,0) 図3磁 石 の 上 下 軸 回 り の 回 転 と 各 出 力 値 (X,Y,Z)=(0,0,0) 図4磁 石 の 前 後 軸 回 り の 回 転 と 各 出 力 値 (X,Y,Z)=(15,15,0)
図5磁 石 の ロ ー テー シ ョ ン が トラ ン ス レ ー シ ョ ン 出 力 に 及 ぼ す 誤 差 に 対 す る 補 正 量 2)磁 石 の ト ラ ン ス レー シ ョ ン が ロ ー テ ー シ ョ ン 出 力 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て XY平 面 上,Y=Xの 直 線 上 に 沿 っ て 磁 石 を 動 か し た 時,磁 石 が 回 転 し て い な い に も か か わ ら ず 原 点 か ら 離 れ る に 従 っ てRZの 出 力 値 が 増 加 し た (図6).XYZ座 標 の 各 位 置 に 磁 石 を 平 行 移 動 さ せ る とRX.RZ各 出 力 値 に 変 化 が 生 じ た.測 定 値 よ り 磁 石 の ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン が ロ ー テー シ ョ ン 出 力 に 及 ぼ す 誤 差 に 対 す る 補 正 の 近 似 式 が 最 小 二 乗 法 に よ り 得 ら れ た(図7). YZ平 面 上 各 位 置 で 測 定 さ れ た 補 正 前 のRX出 力 値 は 磁 石 が 回 転 し て い な い に も か か わ ら ず,原 点 か ら 離 れ る に 従 っ て 増 加 し た(図8A).近 似 式 を 用 い て 補 正 を 行 う こ と に よ り ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン の 影 響 に よ るRX出 力 値 の 誤 差 は 各 頂 点 上 で 最 大 誤 差 を 示 し0.60以 下 に な っ た(図8B). XY平 面 上 各 位 置 で 測 定 さ れ た 補 正 前 のRZ出 力 値 は 磁 石 が 回 転 し て い な い に も か か わ ら ず,原 点 か ら 離 れ る に 従 っ て 増 加 し た(図9A).近 似 式 を 用 い て 補 正 を 行 う こ と に よ り ト ラ ン ス レ ー シ ョ ン の 影 響 に よ るRZ出 力 値 誤 差 は 各 頂 点 上 で 最 大 誤 差 を 示 し0.7° 以 下 に な っ た(図9B). 図6磁 石 の 平 行 移 動 量 と 各 出 力 値 (XY平 面 上,Y=X) 図7磁 石 の トラ ン ス レ ー シ ョ ン が ロ ー テ ー シ ョ ン 出 力 に 及 ぼ す 誤 差 に 対 す る 補 正 量
図8磁
石 の 平 行 移 動 量 とRX出 力 値
(YZ平 面 上)
図9磁
石 の 平 行 移 動 量 とRZ出 力 値
(XY平 面 上)
図9磁
石 の 平 行 移 動 量 とRZ出 力 値
(XY平 面 上)
図11Cタ イ プ の ト ラ ン ス レ ー シ ョ ンパ タ ー ン と ロ ー テ ー シ ョ ン の 重 ね 合 わ せ 表 示 例 2.咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 ロ ー テ ー シ ョ ン の 測 定 1)正 常 者 群 Gタ イ プ で 観 察 さ れ た1ス ト ロ ー ク に お い て, 前 後 軸 回 り の ロ ー テ ー シ ョ ンRXは 開 口 時,咀 嚼 側 が 非 咀 嚼 側 よ り も 下 方 に な る 回 転 を 示 し,最 下 方 点 で ほ ぼ 水 平 に も ど り,閉 口 時,咀 嚼 側 が 上 方 に な る 回 転 を 示 し,中 心 咬 合 位 で 水 平 に も ど る.上 下 軸 回 り の ロ ー テ ー シ ョ ンRZは 開 口 時 や や 咀 嚼 側 が 非 咀 嚼 側 よ り も前 方 に な る 回 転 を 示 し,開 口 終 期 に 咀 嚼 側 が 後 方 に な る 回 転 を 示 し,閉 口 に い た り,中 心 咬 合 位 で 平 行 に も ど る (図10).な お,図 の 短 い 線 分 の 傾 斜 角 度 は 各 軸 回 り の ロ ー テ ー シ ョ ン の5倍 を 示 し,ロー テ ー シ ョ ン の 変 化 量0 .3° 毎 に 表 示 さ せ て い る. Cタ イ プ で 観 察 さ れ た1ス ト ロ ー ク に お い て, RXはGタ イ プ と 異 な り 開 口 時 ほ ぼ 水 平 に 開 口 す る.RZもRXと 同 様 な 変 化 を 示 す(図11). Gタ イ プ の 平 均 経 路 に お い て,前 後 軸 回 り の ロ ー テ ー シ ョ ンRXは 開 口 時,咀 嚼 側 が 下 方 に な る 回 転 を 示 し,垂 直 的 開 口 量 の 約1/4に お い て 最 大 値 約1.1° を 示 し,開 口 末 期 に 水 平 に も ど り,閉 口 時 に お い て 最 下 方 点 か ら 閉 口 す る に 従 い,咀 嚼 側 が 上 方 に な る 回 転 が 増 加 し,垂 直 的 開 口 量 の 約1/2に お い て 最 大 値 約3.4° を 示 し, そ の 後 減 少 す る(図12).な お,図 の 表 示 は 全 て 左 側 咀 嚼 に 統 一 し て い る.縦 軸 が 垂 直 的 開 口 量,横 軸 がRXを 示 し,RXが 正 の 値 を と る 時,咀 嚼側 が 非 咀 嚼 側 よ り も下 方 に な る 回 転 を,ま た 負 の 値 を と る 時,咀 嚼 側 が 上 方 に な る 回 転 を 示 す. Cタ イ プ の 平 均 経 路 で はGタ イ プ と 異 な り, 開 口 す る に 従 い,咀 嚼 側 が 非咀 嚼 側 よ り も 上 方 に な る 回 転 が 増 加 し,閉 口 時 に お い て も さ ら に 増 加 を 示 し,垂 直 的 開 口 量 の 約2/3に お い て 最 大 値 約3.0° を 示 し,1そ の 後 減 少 す る(図13). Gタ イ プ の 平 均 経 路 に お い て,上 下 軸 回 り の ロ ー テ ー シ ョ ンRZは 開 口 時,咀 嚼 側 が 前 方 に な る 回 転 を 示 し,垂 直 的 開 口 量 の 約1/4に お い て 最 大 値 約0.30を 示 し,平 行 に も ど り,閉 口 時 に お い て,垂 直 的 開 口 量 の 約2/3に お い て 最 大 値 約1.40を 示 し,そ の 後 減 少 す る(図14). な お,図 の 縦 軸 が 垂 直 的 開 口 量,横 軸 がRZを 示 し,RZが 正 の 値 を と る 時,咀 嚼 側 が 非 咀 嚼 側 よ り も 前 方 に な る 回 転 を,ま た 負 の 値 を と る 時, 咀 嚼 側 が 後 方 に な る 回 転 を 示 す. Cタ イプ の 平 均 経 路 で は,Gタ イ プ と 異 な り, 開 口 す る に 従 い,咀 嚼 側 が 非 咀 嚼 側 よ り も 後 方 に な る ロ ー テ ー シ ョ ン が 増 加 し,閉 口 時 に お い て も さ ら に 増 加 を 示 し,垂 直 的 開 口 量 の 約2/3図12Gタ
イ プ の 各 垂 直 的 開 口量 レベ ル に お け
るRXの 各 被 験 側 の 平 均 と標 準 偏 差
図13Cタ
イ プ の 各 垂 直 的 開 口 量 レベ ル に お け
るRXの 各 被 験 側 の 平 均 と 標 準 偏 差
図14Gタ
イ プ の 各 垂 直 的 開 口 量 レベ ル に お け
るRZの 各 被 験 側 の 平 均 と 標 準 偏 差
図15Cタ
イ プ の 各 垂 直 的 開 口量 レベ ル に お け
るRZの 各 被 験 側 の 平 均 と標 準 偏 差
2)咬
合 異 常 者 群
臼 歯 部 交 叉 咬 合 を 有 す る 咬 合 異 常 者 群 の 前 頭
面 トラ ン ス レー シ ョ ンパ タ ー ン に 特 徴 的 に 観 察
され た リバ ー ス パ タ ー ンの1ス
トロ ー ク に お い
て,中
心 咬 合 位 か ら咀 嚼 側 へ 偏 位 して の 開 口時
に 咀 嚼 側 が 上 方 お よ び 後 方 に な る 回 転 を 示 す.
閉 口時 は 正 常 者 に お け るパ タ ー ン と は 逆 に 閉 口
路 が 開 口 路 よ り も非 咀 嚼 側 に 位 置 し,咀 嚼 側 が
上 方 お よ び 後 方 に な る 回 転 が 減 少 しな が ら中 心
咬 合 位 に い た る(図16).
咬 合 異 常 者 群 の 平 均 経 路 で は 正 常 者 群 と は 異
な り,開
口時 に 閉 口 時 よ り も,よ
り咀 嚼 側 が 上
方 お よ び 後 方 に な る 回 転 を 示 す(図17,18).
図16咬 合 異 常 者 群 の ト ラ ン ス レ ー シ ョ ンパ タ ー ン と ロ ー テ ー シ ョ ン の 重 ね 合 わ せ 表 示 例図17咬
合 異 常 者 群 の 各 垂 直 的 開 口 量 レベ ル に
お け るRXの 各 被 験 側 の 平 均 と標 準 偏 差
図18咬
合 異 常 者 群 の 各 垂 直 的 開 口 量 レベ ル に
お け るRZの 各 被 験 側 の 平 均 と標 準 偏 差
IV.結 論 咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 切 歯 部 の 前 後 軸 お よ び 上 下 軸 回 り の2つ の ロ ー テ ー シ ョ ン を 測 定 す る 目 的 で シ ロ ナ ソ グ ラ フ ア ナ ラ イ ジ ン グ シ ス テ ム の ハ ー ド ウ ェ ア の 改 造 を 行 な い ,そ の 測 定 精 度 お よ び 咀 嚼 運 動 中 の 下 顎 ロ ー テ ー シ ョ ン に つ い て 分 析 検 討 を 行 な っ た 結 果,以 下 の 結 論 を 得 た. 1.シ ロ ナ ソ グ ラ フ を 用 い て 下 顎 切 歯 部 の 前 後 軸 お よ び 上 下 軸 回 り の ロ ー テ ー シ ョ ン を 測 定 2.シ ロ ナ ソ グ ラ フ の ア ン テ ナ 中 央 部 で ロ ー テ ー シ ョ ン の 測 定 誤 差 は0.2。 以 下 を 示 し,一 辺30mmの 立 方 体 の 範 囲 内 で は 各 頂 点 上 で 最 大 誤 差0.7° を 示 し た. 3.正 常 者 群 のGタ イ プ とCタ イ プ の 問 に 咀 嚼 運 動 の 開 口 時 の 前 後 軸 回 り の ロ ー テ ー シ ョ ン の 変 化 に 特 徴 的 な 違 い が み ら れ た. 4.臼 歯 部 交 叉 咬 合 を 有 す る 被 験 者 の リバ ー ス パ タ ー ン に お け る ロ ー テ ー シ ョ ン の 変 化 は 正 常 者 と は 異 な っ た. V.参 考 文 献 1) 丸 山 剛 郎:臨 床 生 理 咬 合― 顎 口 腔 機 能 の 診 断 と 治 療―,第1版,医 歯 薬 出 版,東 京,1 ∼308. 1988. 2) 間 藤 哲 司,石 垣 尚 一,丸 山 剛 郎 ほ か:咀 嚼 運 動 に お け る ロ ー テ ー シ ョ ン パ タ ー ン に 関 す る 臨 床 的 研 究 第1報 ト ラ ン ス レー シ ョ ン パ タ ー ン と の 関 連 性,顎 機 能 ,10:27∼32, 1992. 3) 林 豊 彦,加 藤 一 誠,塩 沢 恭 郎 ほ か:半 導 体 セ ン サ ー を 用 い た 下 顎 運 動 の3次 元 計 測 法 と 解 析 シ ス テ ム に つ い て,顎 機 能,2:127∼ 135, 1984. 4) 坂 東 永 一,藤 村 哲 也,鈴 木 温 ほ か:デ ィ ジ タ ル 方 式 よ る 下 顎 運 動 測 定,顎 機 能,2: 137∼143, 1984. 5) Lewin,A.: Electrognathographics, 94•`161,Quintessence Publishing Co, Chicago, 1985
6) Siegler,S.,Hayes,R.,Nicolella,D. et al
: A technique to investigate the three-di
mensional kinesiology of the human tempo
romandibular joint, J Prosthet Dent,65:
833-840, 1991. 7) 上 田 龍 太 郎:外 側 翼 突 筋 下 頭 の 活 動 様 式, 補 綴 誌,36:94∼107, 1992. 8) 西 尾 公 一:咀 嚼 運 動 に お け る 咬 合 様 式 の 機 能 的 意 義 に 関 す る 臨 床 的 研 究,阪 大 歯 誌,33, 267∼300, 1988.