平成 21 年 7 月 21 日発生豪雨災害から学ぶ
—平成 21 年中国・九州北部豪雨後の防府市の取組— 池田 晋・牛丸正美(防府市総務部防災危機管理課) Lessons from the Heavy rain Disaster occurred in July 21 2009
Susumu IKEDA, Masami USHIMARU (Disaster Prevention and Crisis Management Division, Hofu City)
1.はじめに 防府市は,山口県のほぼ中央部に位置し,年間を通じて温暖で穏やかな気 候であるが,平成21年7月21日の中国・九州北部豪雨は,こうした穏やかな防 府市を襲った災害であった. 2.中国・九州北部豪雨被害の特徴と対応 平成21 年 7 月中国・九州北部豪雨では,防府市における日降水量,日 最大 10 分降水量,日最大 1 時間降水量のいずれも過去 1 位(それぞれ 275mm,20.5mm,72.5mm)を記録し,集中豪雨による河川の氾濫,山崩 れ,がけ崩れ,土石流等により甚大な被害が発生した.被害状況としては, 災害関連死 5 人を含む死者 19 人の犠牲者を出し,家屋・施設被害や農林 業関連の被害等,広範囲にわたる甚大な被害となった. この災害を通じて明らかになった防災上の課題は,災害対応マニュアル 等を備えていたにもかかわらず,組織・職員の防災意識の低さからか災害 対策本部が混乱し,被害情報等の入電対応等に追われ,被害情報等の整理・ 確認が遅れるなど初動対応が十分でなかったことがあげられる.併せて, 大規模災害が発生した場合は,多少なりとも行政機能は低下するという認 識の欠如があった. 3.豪雨災害後の防災に関する新たな取組み 防府市では,防災の基本である「自助」に加え,日頃から顔を合わせてい る地域の人々が互いに協力し合いながら防災活動に取り組む「共助」が,「公 助」と連携し,効果的に機能することで災害被害を減らすことが可能である との認識のもと,次の対応策(3 項目)を重点的に 10 年間取り組んできた. 1)迅速な初動体制の確立 ① 防災危機管理課を立ち上げ,消防職員・退職自衛官の配置,職員 参集基準の見直し,災害対策本部の改編などの組織・職員体制の整 備 ② 防災行政無線屋外スピーカー(及び戸別受信機)を補完するため, 緊急告知防災ラジオ,登録制メール・電話・FAX,緊急速報メール などの複数のプッシュ型情報伝達媒体の整備 2)早期避難の実現に向けた取組み 市域の気象状況等を把握できる防災気象情報システムの導入,土砂 災害警戒区域内及び洪水浸水想定区域内の要配慮者利用施設に対する FAX による注意喚起,自治会単位による避難勧告等の発令,防災倉庫 の設置,備蓄物資の充実や各種ハザードマップや防災リーフレットを 綴じこんだ防災ファイルの全戸配付など 3)防災意識の高揚と自主防災組織の普及 市民防災の日(7 月 21 日)の制定,積極的な防災出前講座の実施, 官学協同により学校・家庭・地域へ一体的にアプローチする防災事業の 実施,自主防災リーダーに対する研修会の実施,自主防災組織等支援協 力員の配置,防災士の養成及びフォローアップ研修の実施,自主防災組 織に対する補助制度の充実など 4.おわりに—今後の方向性 この10 年間の取組みにより,平成 21 年 3 月に 31.5%であった防府市の 自主防災組織の組織率は,令和元年6 月現在 80%を超えるに至りました. 今後は,「公助」の充実はもとより,近年全国的にも激甚化・頻発化する 自然災害から命を守っていただくため,「自分・家族の命を守る」を念頭に, 近隣者による声掛け避難の推進など,地域で適時適切な避難を行うことが できるよう更なる「地域防災力の向上」に向けて取り組んでいきたい.