■ 研
究 論 文
循環
型社 会
に
お
け
る
生
産
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
シ
ス
テ
ム
に
関
す
る
研 究
A
stttdy on a〃manufincturing management systemin
a clOsedloop
society大 阪 工 業 大 学
中
島
健
一
〇saka Lnstitute c〕fTechnobgy
,
NAKASHIMA Kenichi1.
は じめ
に産
業革命
以来, 企業体
に おける生 産 活 動は, 生 産者
主導
型で進
め ら れ,競合他社
よ り も,効率
的 で あること,
より低い コ ス トで ある こ と が求め ら れ て き た.
こ の結 果, 社 会シス テムは, 大 量 生 産・
大
量消費 ・
大 量 廃棄
型の経済
社 会シス テム と なっ た.
こ の社 会シ ステム は, 化 石 燃 料 など,
有 限の資
源を大
量 に使
い 地球
環境
に負荷
を与
えな が ら工業
生 産 を拡 大さ せて き た。
18
匿 紀の ワ ッ ト (Watt
J
.
,1736
一
ユ819
>によ る蒸気機
関の 発 明に よ り, イ ギ リス に おい て産 業 革命
が始ま り,
人 々 の生活
は変革
し た。 工業化
社 会の発 展は,
製 造 技 術 分 野だけではな く,
シス テ ムの 管 理 活 動に対 し ても注 目 を集め ること となっ た.
テ
ー
ラー
(F .W .
Taylor,1856
− 1915)
の科 学 的 管 理 法, ない しテー
ラー ・
シス テム を 近 代 的 な 工場管
理の出 発 点 と して、
工業
的な生産活動
を 効 率 的に行う
た め、 様々な 生産管
理技
術が開 発さ れ てき た。 テー
ラー
とその門 ド生によ っ て確立 され た科 学 的管
理法は,一
目の 公平な作業 (
課業
)を 決 定して これ を管
理する こ と を は じ め,
仕事
にお い て初め て科 学 的 なアプロー
チ を導 人 した画 期 的 な 業 績とい え る。フ ォ
・一
ド(
H
.
Ford
1863 〜 1947)
に よ っ て 開 発 さ れ たベ ル トコ ン ベ ヤに よ る 流 れ 作業 方
式(
フ ォー
ド・
シ ス テ ム ) は、
「標準
化(
Standardization
)
」
、「単純化 (
Simplification
)」
、「専
門 化 (Specialization
)」の3s
を 志 向 し、1
車 種 大 量 生 産 方 式 を確 立 した。
しか しその 後、
市場の 成 熟 化に伴
い 顧 客のニー
ズは多様
化 し、
生産
シス テ ム は多
種 少 量生産 を要 求さ れ る よ うになる。 ま た 経 営 方 針 とし て, フ ォー
ド主 義 を 掲 げ,
「奉 仕 機 関として の経 営 (低 価 格と高 賃金0)原理)
」
,「
奉
仕の結 果とし て の利 潤 」,「清 潔 方 策,
労 働 節 約 策 」,
「管 理 組 織の複 雑 化 を排 除 」, 「現 金 売 買 と利 潤の 社 内留
保に よ る自
己金 融方
針と高賃
金方
針」
を唱 えた。 ゼネラル・
モー
ター
ス社 (GM
) 中 興の祖と呼 ば れ る,
ス ロー
ン(
A
.
P
.
Sloan
Jr
.
1875
一
1966
)
は , 部 品の共 通 化と設 計 技 術を開 発し,
連続
同期化
を 徹 底した 多 車 種 大 量 生 産 方 式 を確 立 した。 現 在で は常
識 となっ て い る 「割
賦 販 売 」, 「近 代 的マー
ケ ティ ング手 法 」,
「ス タ イ リン グの重視」等
を 初 め て 展 開 し た.1960 年 代
に は、
米 国で コ ン ピ ュー
タ の 使 用 を 前 提 と した 資 材 所 要 量 計 画(
MateriaI
Requirements
Planning
:MRP
) が 開 発 され、
そ の考
え方
は急 速
に 匿 界 中に広 まっ た。MRP
は、最 終 製 品に関し基
準
生産スケ ジュー
ル(
Master
Production
Schedule
:MPS
)
をた て、
部品構
成表 (
Bill
ofMaterials
;BOM
) と在 庫 フ ァ イル(
lnventory
Statues
File
)
を 用い て素 材
か ら完
成 品 まで を時 間ベ
ー
ス で管 理 する システム で ある。 さ らに
MRP
の 拡 張 とし て は、
MRP
で 用 い ら れ る情報
を 生産能力
のチ ェ ッ ク に適
用す
るCRP
(Capacity
Requirements
Planning
)や関 連す
る全 部 門で 利 用 するMRPII
(
Manufacturing
Resource
Planning)
などがある。1970
年 代 に は イ ス ラ エ ル に お い て,
OPT
(
Optimized
Production
Technology
) が 開 発 され た。
OPT
と は、
ボ トル ネッ ク工 程の 利 用 率最
大化
を目 的 と し た考
え方
お よ び ソ フ ト ウェ ア パ ッ ケー
ジであ り、 その 詳 細 なアル ゴ リズ ム は 非 公 開である。 そ して こ の基本
的 原 理 を も とに し て, サ プライ チ ェー
ンマ ネ ジメ ン ト(
Supply
Chain
Management
:SCM
)が提 案 さ れて い る。
こ のSCM
に全 体 最 適の理 論 と評 価 尺 度 を与 える もの が 制 約 条 件の 理論
(Theory
ofConstraints
:TOC )
で ある。
こ れ はシ ス テ ム の 目的を阻害
す るボ トル ネッ ク 工程 を 発 見 し, それを 改 善 して シ ス テム性能
を高
め るアプロー
チ で ある(
Goldratt
andCox
,1992
).
わ が 国におい ては、
1973
年
の オ イル シ ョ ッ ク 時 に 日本企業の ほ とんど が赤 字に 追い 込ま れ る な か、
トヨ タ自
動 車 (株)
だけは例 外で あっ た ことか ら、 ジャ ス トン タイム
(
Just
−
ln
−
Time
:JIT
>生 産 シス テムあるい は トヨ タ生 産 方 式が脚 光 を 浴 びる ことに なっ た
(
大 野,1978)。
H
本
の トヨ タ自動 車 (株 )で 開 発、 推 進 さ れて き たJIT
生 産シス テ ムは、
多 種 少 量 生 産の 条 件の も とで低 コ ス ト化
と高
流動 性 を両立 し た画 期 的 な生 産シ ス テ ム で ある。 こ のJIT
生産 シ ス テ ム を 基礎 に して,
1990
年に は, 米 国マ サ チュー
セ ッ ツ 工科
大
学 (
Massachusetts
Institute
ofTechno
!ogy :MIT )
の研 究グ ルー
プに よっ て リー
ン生産シ ス テムが 提 唱 され た (ウォマ ッ ク他,
1990
).
一
方, 経 済 的 効 率 性 を 追 求 するあ ま り, 我 が 国 に おい て は1960
− 1970 年
代に , 公害
問題 が発
生 し, その 対 応, 防LE
へ の対 策に多
くの企業が取 り 組むこ と と なっ た,
そ し て今
日,資
源の枯渇
や環
境 配 慮へ の対 策 等, 企 業の社 会 的 な 責 任として こ れ らの取 り組
み が重要
に なっ て きてい る.
ま た, 京 都 議 定 書に代 表 さ れる よう
に,
グロー
バ ル な 視 点で の環
境 問 題へ の取
り組み も必 要 と なっ てい る.
こ の よ う な背 景 か ら, 社 会シ ス テ ムは
,
大 量牛 産・
大 量 消費 ・
大 量廃棄
型社会
か ら,持続
可能社
会を指向
したシ ステムへ と移 行して きた.
社 会シ ス テムが持 続可能 社 会へ と向
かう
中で , 循環
型シ ステム とい う概 念 が生 まれた。
循 環 型シス テ ム と は, 新 た な 資 源 を用い るの で は な く使 用 済 みの資 源を再 利 用す
る こ と に よっ て,資源
を循環
さ せ て い こ うとい う 考 え方で あ る.
本研究
では, こ の よう
な背景
の も と, 次 世 代 生 産マ ネ ジ メ ン ト に お ける ク リテ ィ カルポ イン トに つ いて議 論 する。
こ こ で は, 自社の生 産マ ネジメ ントに影 響 を与 える要 因として,
外 部 か らの法 規制,利 益 を 生み出
す効率化
, の2
つ の側面 を と ら え, 現 状の課題や今後
の取 り組み につ い て の 検 討 を行 う.
2
.
循
環
型社会
に お け る生
産環境
2
.
1
国 内にお ける制 約 要 因 日本に おい て ,一
般 廃 棄 物の 排 出量 は,1988
年以降,
年 間約5,
000
万 トン と なっ てい る.
ま た,
産 業 廃 棄 物の排 出量 は, 年 聞 約4
億 トンと なっ て い る.
政府
は, 廃棄
物の 発 生 を 抑 制さ せ るため, リ サ イ クル の推 進,
企業
な どの環境
を考慮
し た製
品づ く り , 消 費 者の環 境へ の負 荷の少 ない 製 品の 購 入 を 推 進 するため に, グ リー
ン購 入 を 勧めてい る.
また,
環 境 基 本 計 画で は,
経 済シ ス テ ム にお ける物 質の循 環を促 進し, 環 境へ の負
荷を低 減さ せ る た め に, 廃棄物
の 発 生抑
制,使
用済
み製 品の 再 使 用, 回 収 し た製 品を原 材 料と して リサイク ル するマ テ リア ル リ サイク ル , さ らに, リ サイク ル の 困難
なもの は, エ ネル ギー
とし て使
用す
る サー
マ ル リ サ イ クル を
推
進してい る。
1990
年 環 境 庁 (現,
環 境 省 )に よる循 環 型 経済
シス テ ムの提
言以来,1991 年
に は通 産 省 (現, 経 済 産 業 省)
に よ る廃 棄 物の ガイ ドライン の 公 表 が行
われ,環境
墓本法 (
1994
年施行),経
団連
環 境ア ピー
ルー
循 環 型 社 会の構 築一
(1996
年 ),
容 器 包 装 リ サ イクル法 (2000
年 施 行)
, 循 環 型 社 会 形 成推
進 基本法 (
2001 年施行
),
改正廃 棄 物 処 理 法(
2001 年施行
)
,資
源 有効
利 用促
進法 (
2001
年施行
), 家 電リ サ イ クル法(
2001
年
施行),食
品リ サ イ ク ル 法 (2002
年 施 行 ),
グリー
ン購 人 法 (2001
年 施行)
建設
リ サ イ クル法
(2002
年施行
)な ど,次
々 と循
環型社会
に向
けて の法 的整
備 や 政 府に よ る行 政 指 導, 産 業 界にお ける自主 的取
組み が実 施さ れ てい る.
循環
型 社会
に向
けた主な基 本法
と その 関 連 法 を,
以 下 に 示 す.
表1
循環型社 会に向け た 主 な法 令 法 律 名 室 な 内 蓉 循 環 型辻会彫成推 湛基本 法 廃棄 物 を減 ら して,
再 利 用 を徹 底 さ せ る た めの理 念・
方 策 な どを 定 め ている.
環 境 基 本 法のも とで の蕪本 的枠組み法に位僞づ けられる 廃棄物 処 理 法…
繭
曲
摘
廃 棄 物 の 排 出 企 業の貴 飫 を 強 化 し、
廃 棄 物 が 適 正 に 最 終 処 分 れ たか確 認 する ことを 義 務 {馳 ナる 資源 有効利 用促進 法 使用済みの製 品の部品再使用、
省 資源化 設計の義 務 付 け.
事 業 者 に3R(Redu鴒 獄 se,
Rec匹L¢)の取 組 み を 求 め る 容 雛創装リサ イク ル法 プラス チック、
紙 な どの容 囂 再 資 源 化 を 義 務 付 け る 家電リ サ イ ク ル法 テ レ ビP
エ アコン卩
洗 濯 機5
冷 蔵 癒の特 定4 品 目 の再資源 化 を 義 務 付 け る グリー
ン購 入 法 国の槻 関が環境負 荷の少 ない製品の調達の義 務付 け,
燈方公 共 団 僻、
事 業 者,
国 民 に も推 奨 し てい る 食 品 写サ イク ル法 外 食,
,ン ピニエ ン ス ス トアなど に食 品 腱 棄 物の 排 出 削 減 と 再 費源 化 を 義 務づけ る 建設リサ イ クル法 解 体業者に木材や鋼材再秘用 を義 務づけ る例
えば,家
電リ サ イク ル 法(
特定
家 庭 用 機 器 再 商 品 化 法 )は,
特 定 家 庭 用 機 器の廃 棄 を適正に処 理し,資源
の有効
な利
用の確保
をは か ることに より
, 生 活環
境の保
全及 び国 民 経 済の健 全な発 展に 寄 与すること を目的として い る.
しか し,
こ の 家 電リ サ イク ル法
に おい ては,消費者
が廃家
電製
品 を小 売店
や指 定さ れ た引き取 り場所
に持
っ てい く 協 力 義 務 と,
回 収・
リサ イクル費 用 を負 担 する義 務の2
つ を負わさ れる こ とに な る.
この た め, 回収 ・
リ サ イ クル費
用の後 払い 構 造か ら,
不 法 投棄
問 題が新たな 問 題と して論じ ら れる こ と となっ た.
これをう
け,2004
年
改正 の廃棄物
処理法
に おい ては,
不 法 投 棄の罰 則 強 化が行 われ てい る.
ま た, この 問 題 を解
決 するための方策
とし て は,
購 入 時の商 品の値 段 自体にリサ イ クル費 用 を組 み 込 むこと も考 えら れ, パ ソ コ ンや 自動車
の リサ イ クル に おい て は,購
入時
の価格
に その費
用 を含
め るこ と としてい る.
2.
2
グロー
バル ビ ジ ネスに おける課 題各 国 企 業におい て は, これまでの 製 品に対
す
る 製 造物責
任 (Product
Liability
:PL
)に加 え,
拡 大生産 者 責 任 (
Extended
Pr
〔〕ducer
Responsibility
) の考
え方
が, 重要
と なっ て き た.
EPR
は経 済 開 発協
力 機 構 (OECD )
が提 唱し た もの で,2000
年に各 国 政 府 向 けのガ イ ド用マ ニ ュ アルが 作 られ て い る.
EPR
の特 徴の一
つ とし て, 生 産 者に お い て製 品ライ フサ イ クル を考慮
し た環境
配慮
型設 計に取 り組む よう促 して い る点 が 挙 げられる.
こ れ に より
, 企業
に よ る ラ イフサ イ クル ア セス メ ント
(
LCA
:Life
Cycle
Assessment
)
の実 践を促
進し
,
環 境 負 荷や環 境 コス ト低 減の効 果 が 期 待 され る.
一
方,京
都 議定
.
書
:へ の取 組み に み ら れ る ように 各 国にお ける環 境 問 題へ の 意 識や対 応には温 度 差 が 見 ら れる.
例 え ば, 環 境 問 題に積 極 的に取 り組
ん でい る欧 州 連合 (
EU
)
に おい て は,
WEEE
(
Waste
Electrical
andElectronic
Equipment
)指令や
RoHS
(Restriction
ofHazardous
Substances
:)
指 令
, お よ び2007 年 6
月に施行
予定
のREACH
(
Rcgistration,
Evaluation
andAuthorisation
ofChemicals
) 規 則 等,
企 業の生 産 活 動に影 響 を 与 える様
々 な法
規制
が近年
成 、k
して い る.
サ プラ イ チ ェー
ン の観
点か らみ る と,
部 品 調 達一
生産一
配 送一
販 売とい っ た・
連の 連 鎖 が,
従 来の各 国 内に お ける 流 れの みで あ れ ば, これ ら海外
に おける法 規則等
は,
特に問題 と は な ら な かっ た.
し か し な が ら,海 外 調 達, 海 外 生 産,およ び製 品 輸 出とい っ た,今
口の グロー
バ ル 化し たビ ジネス 環 境に おい て は,
サ プライ チェー
ン構 築の際に関 連 諸 国・
地域の 法 規 則が
非常
に重要
な因 予と な り,克服
し な け ればな ら ない 問題 と な る.
これ ら関 連 諸 国・
地 域の法 規 則 を 理 解 し, 有効
な 対策
や管 理活動
を 行っ てい くこ とは, その 国 に おける文化
や慣
習を 理 解 したマ ネジメ ン トシ ステム構 築 と同 様に,
グ ロー
バ ル 企 業に おい て は今後
重要
な課題 で あ り,
次 世代
生産
シ ス テ ム 運用における・
つ の必要 条件
となる もの と考 え られ る.
3
.
環境
配
慮型
生
産
シ
ステ ム前 節で は, 生 産 活
動
の外
的な 圧力
と な る法
規 則 を中 心とした課 題につ い て,
概 説 して きた.
本 節 で は.
企 業 活 動の合 目的である利潤
を 創 出 する た め に 必要となる 生産マ ネジ メン トシステ ムにつ い て検 討 する.
近 代の製 造 技 術は, フォ
ー
ド システム に代表
さ れ る よう
に,
大 量生産の た めの作 業 効 率の向E
や自
動 化 技 術 など が中 心であ り, 生産効率
の向
上, コ ス ト削減
の み を指向
し て き た.
し か し,
近年
で は, 市 場の変 動に対 応 し た 製 品や技術
の多様化
, 高 付 加 仙 値 化 に伴い,
人 を 中 心 と した 生 産の マ ネジメ ン トが見直
さ れ て き てい る.
さ ら に,
地球 環 境 問題に対 する 企業の影 響は大 き く, 産 業 部 門 か らの 二酸 化 炭 素 排 出 量は, 温 室 効 果ガス の 半 分 を 占め て おり
,2003
年度
時点
で産
業か らの排 出 量は,1990 年
比約 7
%の増 加と なっ て い る.
し た がっ て,
これ か らの企 業 活 動におい て は, 環 境 面 に配 慮した 持 続卩∫能 社 会構築
へ の貢献
が , その社会
的責任
と して も重要となる.
これを 達 成 するた めのマ ネ ジメ ン トアプロー
チを,2
つ の観 点か ら と らえるこ と とす
る.一
つ は, 現場
,作
業に おけ る個々 の オペ レー
シ ョ ナルな部 分で の管理(
オペ レー
シ ョ ンズ・
マ ネジメ ン ト)であり
, もう
一
つ は, 環境マ ネジ メ ン トシス テム(
Environmental
Management
System
;EMS
)
に代 表 さ れ る トー
タル なマ ネジメ ン トシ ス テム である
.
以 下 で はま ず,
循 環 型 生 産シ ス テムにつ い て概 説 し,オベ レー
シ ョ ンズ・
マ ネ ジメ ン トの立場か らの課 題につ い て検 討 を行 う.
3.
1
循環型
生産
システ ム 生産 者は,
将 来の多 大 な廃 棄 物やその処理 コス トの リス クを回避す
る た め に, あら か じ め廃棄処
琿 し やすい製品
や,
あるい は廃棄物
の排
出 し にく い よ う な 製 品 を設 計・
製 造 することが 必 要になっ て き た.
さ ら に,製
品の企画・
設計
, 生産
, 運用, 保守
, 再 利 用・
リサ イク ル , 廃 棄 など, 製 品の奈 ラ イフサ イ クル を考
慮に 入 れ た製 品ラ イフ サ イ ク ル の 環 境 負 荷 評 価 (LCA
)を行い,
再 利 用や リ サ イク ルの 徹 底に より, 物 質の 流 れ をで きる限 り 閉ルー
プ化し,
ルー
プ外へ の廃棄物
の排出 を最 小 化 (Emission
−
Minimum
) し よう
とする インバー
ス・
マ ニ ュ ファ ク チ ャ リング が提
唱さ れ てい る(
梅
田,2001
).
イン バー
ス・
マ ニ ュ フ ァ ク チャ リン グ の 冖的は,単
に廃棄
物 を 処理する逆工程 という
意味
のみ な らず,製
品ライフサ イ クル全体
を よ り 合 理 的, 工 学 的に取 り扱 う技 術 体 系 として 「循 環 型生産
シス テ ム」
を考
え るこ と に あ る.
インバー
ス・
マ ニ ュ フ ァ クチャ リング は,
製 品ライフ サ イ ク ル全体
とし て,資源 ・
エ ネルギー
消 費 量 , 廃 棄 物, および 環 境 負 荷 を最 小 化 するよ う な, 製 品ラ イ フサ イ クル シス テム を構 築 する こ と を目 的と し てい る.
例 え ば , 循 環 型 生 産シ ステム の概 念 図 と し て, 株 式 会 社リコー
で は ,資
源・
エ ネル ギー
消費
量の低 減, 最 終 廃 棄 物の低 減, 有 害 物の排 出 防 1ヒを目的と して, これ ら を達 成 するため の再生産 サ イクル の概 念 を, エ ネルギー ・
原 材 料か ら製 品 にい た る まで の各
段 階の リ サ イ クル に示し た 「コ メッ トサー
クル」 を提 案してい る (谷,
1998
).
3 .
2
閉ループ
サプ
ライ チェー
ン
Guide
andVan
Wassenhove
(2001
)は,
再生産 分野 に お
け
る潜在
的な経済性分析
に関す
る研
究 が, こ れ まで に少 ない こ と を指 摘 して い る.
図1
は,
彼 等 が 提 案 した ビ ジネス分 野にお ける製 品 開発, 製品 回収, お よ び 冉牛 産オペ レー
ショ ン課 題に お け る基本
的な関係
を 示 してい る.製
品 回 収のプロ セ スは, マ ネジメ ン トが 必 要 と なる重 要 な分野 であ り, この結
果, 再 利用・
再生 産の活
動 が ど れ だけ 経済
的な ものに な る か が,
決ま ることとなる
.
この統
合化
され た枠
組み は,
意 思 決 定 者 に対 して, グロー
バ ルな経済
的利
益 と製
品図収
プ ロ セス の 基礎
とな る役割
に焦点
を当
てさ せ るもの である.
こ の よう な 閉 じたルー
プ を仮 定 し た 生産
シス テ ム は, 閉ルー
プ 生産 シス テ ム , あ るいは閉ル
ー
プのサ プ ライチェー
ン (Guide
andVan
Wassenhove
,
2002
) と呼 ばれ, その効率
的かつ 効 果 的 な 運 川ア プ ロー
チの検 討 が 求め られてい る.
例 えば,
Guide
et al,
(2003
)におい て は,
携帯
電話
の例 を とり
あげ,利
益最大化
を行 う
需 要 と 供 給の マ ッチング問 題 を 議 論 してい る.
閉ル
ー
プ サプ ライチェー
ン におい ては, 回 収 さ れ た製
品は, 企業に おける再生産シス テ ム の イン プッ ト要 素とな り, 従っ て コス トを考
慮 し た, 品 質・
量・
タ イ ミングの問
題 が重 要 とな る。
Guide
(2000
)で は, 米 国にお ける数 多 くの 再生 産 企 業 に関 す る こ の 分 野の事
例 が 研 究 されて い る.
ま た,不確
実 性 を考
慮した 再 生 産シス テム の モ デル 化に よ る最適
政 策につ い て は,Nakashima
et al,
(2004
>におい て,
コ ス ト要 因 分 析につ い て は有 光 ら (2004
)におい て, 論 じら れ てい る.
/
唖疆〕
\
Relnanu魚cmr漁9 0pera[三〇nal lssuesRemanufacturing Products Market
Develvpment
図
1
製 品回 収・
修 復マ ネジメ ン ト (Guide
andVan
Wassenhove ,
2001
)4
.
EMS
と継続
的改
善
4.
1
環 境へ の取 組 み とマ ネ ジメン トシステム前節
で は,
オペ レー
シ ョ ン ズ・
マ ネジメン トの 観 点 か ら循 環 型生産シ ステム モ デル を取 り上げ,
その 問 題 解 決アプロー
チにつ い て論 じた.
こ こ で はISO
に代 表 さ れ る シス テ ム全体の マ ネ ジメ ン トにつ い て論 じる.
循環
型 社会
形 成 を指 向
し, 企業
をは じ め とす
る様
々 な組織
に おい て は,Reduce
(
廃 棄 物の発 生 抑 制)
,Reuse
(
再 使 用)
,Recycle
(再 生 利 用)
の 「3R 」
や環 境会
計, 環 境 報 告書
の導
入 など が 積 極 的に行われ てい る。
なか で も トー
タ ル なマ ネ ジメ ン ト システム の代表
例 とし て,各
組織
に お ける環 境マ ネジメ ン トシス テム (EMS
)の構 築 が 挙 げ ら れる.
この 構 築 さ れ たEMS
におい て,ISOI4001
(
JIS
Q
l4001)
の 要求す
る事
項を み た してい るか ど うかの 「適 合 性 」審 査 が 第三者によっ て行 わ れ, 合 格 し た 場 合にISO14001
認 証 取 得 企 業となる.
し か し,ISOI4001
(JIS
Q
14001)
の 規 格 要求事
項で はパ フ ォー
マ ン ス を要求
してい る もの の,明確
な指標
は なく,
その判断
は各組織
に 委 ね ら れて い る.
また, これ らの
環
境 対策
の取
組みを 明 らか にす
るため,環
境報告書
を ま とめ一
般
に公表
し てい る.
環 境 報 告 書と は, 企業 等の 事 業 者が,
経 営 責 任 者 の緒 言,
環 境 保 全に関 する方 針・
目標・
計 画,
環 境マ ネ ジメン トに関 する状 況,
環 境 負 荷の低 減に向
けた取 組の 状 況等
につ いて取 りま と め たもの で ある.
これ ら を公 表 するこ と に より,
社 会 的 な説 明 責 任 を 果たすと ともに, 事業 者に対 する信 頼 性 の 増 加,
社 内の 環 境へ の 関心 をよ り高
め,環
境に 関わ る活 動を活 性 化 するこ と が期 待 さ れて い る.
環
境報
告 書は, 日本 だけ で な く, 欧 州, ア ジ ア, ア メ リカ な どで も発行
さ れてい る.特
にオラ ンダ等で は,
環 境 報 告 書の作 成 を 義 務づ ける制 度 が設
けら れており
,EU
で は,環境報告書
の作
成・
公表
も盛 り 込 ん だ,
環境管理 監査 制 度(
EMAS
:Eco −Management
andAudit
Sclleme
)が実 施 されてい る
.
4−2
EMS
と適 合 性 審 査ISO14001
(JIS
Q
l400
ユ) は2004
年に改 訂 が 行 わ れ た が,今
回 は「
要求事項
の明確化」
や,2000
年に改 訂 さ れた 「ISO9
〔〕Ol
(品 質マ ネジメ ン トシ ス テム)との 両立性の 向上」に限 定 した もの であ る とい える.各
企業に おい て は, 自社の環境マ ネジ メ ン ト シス テ ム
(
EMS
)
の構
築に よっ て,
こ れ まで の レビュー
や監 査 を 組 織に組み込 まれ体
系化
さ れ たマ ネジメ ン トシ ス テ ム の中
で行 う
こ とによ り効 果 的 な もの とする こ とを 目 的 として い る.
こ の構築
さ れ たEMS
に対
して ,ISOI4001
(
JIS
Q
14001)
の 要 求 する規 格 要 求事
項 (表2
) をみ たし てい る か どう
か の「
適 合性 」審
査が第
三者に よっ て行われ,
合 格 する とISO14001
認 証 取 得 企 業となる.
こ こで注 意 すべ き は ,EMS
≠ISOI4001
である点で,
ISO14001
認 証 取 得を行
っ てい ない 企 業におい て も,
確 、Z
したマ ネジメ ン ト シス テム と してEMS
が 存 在 してい る ケー
ス も成 立 してい る.参
考まで に平 成18
年9
月 末に おけ るISO14001
審 査 登 録 件 数は,21,
116 件
となっ て い る.
表21SO14001
(JIS
Q
14001
:2004
)要求 事項 (日 本 規格 協会,2004
) 4.
L一
般 要 求 事 頂 4、
細 文 書 類 4.
2 環魔 方針「
44.
5 文書 管理 4.
3 言晒 4.
斗.
6 運用 管理 4.
3、
1 環 境 側 面 4.
4,
7 麋 急 熾 態へ
の準 襠 及 び 対 応 432 羣…的及び そ の他の要求事項 45 点検 4、
3.
3 目的,
国標 及 び実施 計 闇 曙5、
1 監視及 び 劇電 44 実施及び運用 45.
2 順 守評価 44.
1 資 源,
役霽.
,
責 鍾 及 び 権 限 4.
5.
3 不 適 合 腫 〔アに是 正 及 び 予防 措置 44.
2 々 量,
教育訓練及び白覚 q、
5、
4 記録の管理 44.
3 コ ミュ
ニケー
ション 45…
.
鞘
5内
内 部 監 査 46 マ 京ジ メン トレ ビ訊一
シス テムの評価 ・
改善
の観点
か ら見
れ ば,
例 えば 同じ業界
内に おける様々 な 企 業 とのパ フ ォー
マ ン ス の相対
的 比較
が な さ れ るべ きであり,
そ れを反 映 した改 善 策 が 議 論 さ れることが 今 後 必 要と考 え ら れ る.
5.
おわ
りに 本 稿では,
持 続卩∫能 な社 会にお ける次 世代 生 産 シス テムへ の取
組みを 考 え るべ く , 今 後の 中 心 的 課題 と な る循
環型 生産
シス テムに焦点
をあ て,
重 要 要 因の検 討 を 行っ た.
こ こで は , 外 的 な 要 因 である法 規 制, お よび 内 部の イン セン テ ィブ とな る効 率 化 を生み 出 すマ ネジメ ン トシステム につ い ての議論
を行
っ た.特
にマ ネジ メ ン トの捉
え方
と し て は,
オペ レー
シ ョナル面,
お よ び トー
タル シ ステム面の2
つ の側 面 か ら, 課 題へ の取 り組み ア プロー
チ につ い て検
討し た,今
後は, 企業活
動に おける従 来の社会
科 学 的 側 面か らの アプロー
チ に 加 え, よ り工学 的 な 評 価システム の導 入 を 行う
こ とが期待
さ れ る.
さ ら に,
分 野横 断
的な観点
か ら効
果 的にPDCA
サ イ クルをス パ イラ ルに ま わ し,
企 業 活 動 を 改 善・
発 展 させる仕 組み を埋め込んだ, 持 続 可 能 な 生 産マ ネ ジメ ン トシス テ ムの 構 築が望 ま れ る。
参 考文 献規 格 要 求 事 項
4.
3
.
1
におい ては, 著 しい 環 境 影 響 を もつ か 又 は も ちう
る環 境 側 而を決定
する た め,活動,製
品 又は サー
ビス の環 境 側 面を特 定 す る こ とが 組 織に は要 求さ れ てい る,
さ ら に4
.
5.
1
に おい て は, 環 境 影 響に関わ る運 用 及び鍵 とな る特 性を定 常 的に監 視 及び測 定 する こ と が要 求 さ れてお り,
パ フ ォー
マ ン ス,
環 境 目 的へ の適 合 情 報 を 含 むこと も要求
さ れ てい る.
この よう
に 規格
要求事
項に おい て は,
環 境側面,
環境
目的あ るい はパ フ ォー
マ ンス の要 求が行われてい るが, その 評 価,
判 断につ い ては, 各組 織に委 ね られてい る ことが わ か る.
この時,組織体
に おけるPlan−
Do
−
Check
−Act
(PDCA
) 活 動 を 考 え た 場 合に, システムを評 価 し, ア ク シ ョ ン を とる際に は, 内
部
の 基準
に よ る判 断で良
い こと になる。
しか し な が ら,
有 光 大 幸・
中 島 健・
・
能 勢 豊一
・・
栗rll仙 之 助 (2004) 「循 環 型生産シ ステムに お ける コス ト要 因 分析 」「オフ ィ ス・
オー
トメー
シ ョ ン』.
Vol.
25,
pp.
88−94.
梅田靖 (2001
) 「循 環 型 生 産シ ステム実現のた めの課 題 」,
「日本 インダス トリ ァル・
エ ンジニ ァ リング協 会IE
レ ビュー
』42,
pp、
6−
12,
大 野 勝 久・
円村隆善・
森 健一 ・
中 島健一
(2002) 「生産 管 理 システ ム』,
朝倉書 店.
大 野 耐一
(1978)T
トヨ タ生 産 方 式 ⊥,
ダイ ヤモ ン ド社.
巣 山仙 之助Q995
)「総合 経 営情 報シス テ ム』,
NOMA 総 研.
谷 達 雄Cl998
) 「リ サ イク ル し やすい設 計の事例」 『日 本機 械 学 会 誌1
,
Vol.
101,
No.
954,
pp,
371−376,
口本規 格 協 会,
JIS
Q
14001:1996 (ISO 14001:2004),
2004.
ジェー
ム ズ・
P・
ウォマ ッ ク,
ダニ エ ル・
ルー
ス,
ダニ エ ル・
T・
ジョー
ンズ (沢 田 博 訳丿(1990) 『リー
ン生産 方 式 が 世 界の 自動 車 産 業をこ う変え る』,
経 済 界.
North RiverPressInc.
Guide
Jr..
V,
D.
R.
<2000)
"Preductionplanlling and
control
for
remanufaeturing,"JoLirnal
ofOperations
Management,
Vol.18,
pp,,t67-483.Guide
Jr,,
V.
D.R.
andWassenhove
L.N. V.C2001)
'iManaging
product returns
ior
remanufacturing,"Production Operations Management.
VoLIO,
pp.142.155.
Guide
Jr.
V. D,R. and Wassenhove L.N. V.(2002)
"Closed-loop
supply chains"
,
R,Ayers,1..iXyres.eds.
A
Handbook
of IndustrialEcology. Edward Elgar,
Nort.hamptom,
MA, pp.497-509.Guide
Jr,,
V,
D.
R,,
Teunter
R
D.
alld W'assenhove L.N,V.
(2003)
''ptCatchEng supply mnd demand Loinaxiniizeprofits t'romremanLtfacturing,'' ]v'Ianufacturing& ServiceOperationsManagement, VoL,5,pp,303-316.
Nakashima
K.Arimitsu
II.,Nose T.and Kuriyama S.
(2004)
"Optimal
eontrol of a remanuiacturingsystem,''