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ガーロコイレ—ニジェール西部農村社会をめぐるモラルと叛乱の民族誌— (資料紹介)

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Academic year: 2021

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ガーロコイレ ニジェール西部農村社会をめぐるモ

ラルと叛乱の民族誌 (資料紹介)

著者

武内 進一

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アフリカレポート

発行年

2014

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

(2)

37 アフリカレポート 2014 No.52 Ⓒ IDE-JETRO 2014

ガーロコイレ

――ニジェール西部農村社会をめぐる

モラルと叛乱の民族誌――

佐久間 寛 著 東京 平凡社 2013 年 446 p. 興味深い著作である。本書は、民族誌という体裁を取りつつ、「ガーロコイレ」という名の行政村 の分裂事件について、徹底的な読み解きを試みている。そのための準備は周到である。植民地期の 行政文書や研究論文を丹念に読み込み、長期のフィールドワークで得た膨大な資料を駆使してそれ らを批判的に検討したうえで、村の分裂という事件が持つ意味を様々な側面から考察している。 本書の分析は事実の発掘に留まらない。ニジェール西部農村社会の親族構造、政治体系、土地 制度の実態と変容、そこで展開された農業政策などの事実が、村の分裂の背景として詳細に記述 されるものの、筆者の視線はあくまでも人々をそうした行動に駆り立てた要因と、その情動的契 機へと向けられる。そしてその情動の根元を問うていくとき、筆者は(そして読者も)自分自身 の存在を問い直さざるを得なくなる。 徹底した資料の読解、高いソンガイ語能力に裏打ちされた膨大な語りの収集と分析、そして自 らを含めた多種多様な声を混淆させる実験的な記述。こうした点が評価され、本書は2014 年度の 日本アフリカ学会研究奨励賞と発展途上国研究奨励賞を受賞した。 本書が、広く読まれるべき素晴らしい著作であることに疑いはない。それを前提として、評者 が感じた不満を率直に述べるなら、村の分裂という事件の読み解きから得られる現代アフリカ国 家に関わる含意について、もう少し議論してほしかった。アフリカ国家をめぐる諸問題について 本書導入部で議論しながら、結論部分でほとんど総括がないのは残念である。行政村の分裂を「国 家と社会の葛藤」(p.19)という観点から分析することの重要性には完全に同意するが、本書の記 述の中心は社会構造であり、植民地期後期や独立後のニジェール国家や法制度についての分析は 厚いとは言えない。「国家と社会の葛藤」を説得的に描くために、もう少し国家に関わる分析がほ しいと感じた。 筆者は人類学を専門としており、人類学は基本的に社会の側を研究対象とするから、評者の批 判は難癖に過ぎないのかも知れない。ただ、こうした難癖を付けたくなるほど、社会科学の立場 からアフリカの国家をめぐる問題に関心を抱く評者にとって、本書は刺激に満ちていた。筆者に は今後、狭い学問領域にこだわることなく、アフリカの国家と社会に関する議論を深めてほしい。 武内 進一(たけうち・しんいち/アジア経済研究所)

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