【巻頭言】「チーム学校」への叡智(フロネーシス)を磨く
3
0
0
全文
(2) 【巻 頭 言】. 「チーム学校」への叡智(フロネーシス)を磨く. 北海道教育大学大学院 学校臨床心理専攻長. 庄 井 良 信. 1.教育学と心理学の交哲化 このたび「学校臨床心理学研究j 第13号を刊行することができました.本巻は,北海道教育大学 大学院教育学研究科・学校臨床心理専攻の教育と研究の足跡を深く刻んだ労作を集約した研究紀要 です. 学校臨床心理専攻は,平成14年4月に設立されました.その後13年間,本専攻は一貫して,教育 臨床の専門性と心理臨床の専門性を互いに尊塞しながら,主として小・中・高等学校等の現職教員 及び社会人を対象として,児童生徒の成長発達とこれに対する指導授助にかかわる学校教育の諸課 題に関して,教育臨床的アプローチを有効に進めることのできる人材の養成に,邁進してまいりま した.. その営みは,教育学(pedagogy/scienceofeducation)という学問が培ってきた論理と,心理学 という学問(psychology/clinicalpsychology)という学問が形成してきた論理を,その差異を承認 しつつ尊重し,教育や心理的援助において探究すべき課題を探索しあう日々でもありました.一般 に,異なる母学問を持つものどうしが互恵的な関係性を形成することは決して容易なことではあり ません.しかし,本専攻では,様々な困難を抱えて生きる人びとへの理解と支授・指導の在り方(臨 床的な対人援助の思想と方法)を,具体的な実践の事例やテーマに即して考え合うという一点で協 働しあうことを通して,教育学と心理学という異なる母学問を持つ探究者(教員・院生)どうしが, 互恵的なパートナーシップを構築しつつあります. 共約不可能(incommensurable)な「臨床という場」において,あるいは,研究者と実践者が, 他者(子ども等)の声を聴きながらジャミングする創造現場において,臨床的な対人援助という方 法意識を共有しつつ,教育学と心理学を交響化(orchestration)してきたのが,本学大学院・学校 臨床心理専攻の13年間の歴史だったのだと思います.そして,この探究の歴史こそが,今日の教員 養成に求められる高度な専門職性や資質能力の問い直しにも開かれていくものだと思うのです..
(3) 2.チームとしての学校俊 平成27年7月16日,中央教育審議会の「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」 は,「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」という中間まとめを公表しました. そこでは,多様化・複雑化する子どもの状況への対応や,学校数育の質的充実に対する社会的要請 の高まりを背景に,学校の教員と連携できる専門スタッフと様々な業務を連携・分担して「チーム として職務を担う体制」を整備する必要性が強調されています.教員の専門性の向上を図るととも に,教員に加えて多様な専門スタッフを配置し,いわゆる「チーム学校」を実現しようという構想 が具体化されようとしています. この構想では,学校の教員と,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門ス タッフが,将来的に教員定数として算定され,常勤職として国庫補助の対象となる可能性が示唆さ れています.また,このような専門スタッフ(心理職や福祉職)と学校の教員が,有機的に協働し, そのなかで個々の教員やスタッフが,その能力を最大限に発揮できるような環境を構成するマネジ メント(ある種の“diversitymanagement”)が求められるであろうことにも言及されています. もとより,教育職と心理職等の多職種連携や協働の在り方は,これまでも多くの教育・心理関連 語学会などでも協議されてきたことですし,OECDに加盟している諸外国の教育改革でも既に多 くの先進事例が報告されています.また,実質を伴わない形式的な連携や協働にならないために何 が必要か,ということもさらに試論を深めていくことが必要でしょう. 子どもの人生(ライフ)を援助するために,教育職,心理職,福祉職が,それぞれの専門職性に 於持を持って互恵的に連携していくために何が必要か,その端緒はどこにあるのか,という問いは, 北海道教育大学大学院の学校臨床心理専攻が,これまで一貫して探究し続けているテーマでもあり ます.複雑で多様化する現代社会において,人間をケアし援助する「育み」の論理,人間を主体的 かつ能動的に文化参加や社会参加へと誘う「学び」の論理を領域横断的に探究してきたのが本専攻 の強みでもあります.この研究紀要には,多職種協働によるケアと人間発達授助の叡智(フロネー シス)が深く埋め込まれています.子どもの心のケア,教員養成の高度化,「チーム学校」の構想 等に関心をもってくださる多くの読者からご批正いただければありがたく思います. 平成27年の4月から,学校臨床心理専攻は,本学改組に伴い,本格的な独立専攻として再出発い たしました.本専攻は,既設の大学院や教職大学院と,いっそう互恵的に連携するための教育研究 活動を推進してまいりたいと思います.さらなるご理解とご支授をお願いいたします..
(4)
関連したドキュメント
調査の対象とした小学校は,金沢市の中心部 の1校と,金沢市から車で約60分の距離にある
「主体的・対話的で深い学び」が求められる背景 2030 年の社会を見据えて 平成 28(2016)年
・学校教育法においては、上記の規定を踏まえ、義務教育の目標(第 21 条) 、小学 校の目的(第 29 条)及び目標(第 30 条)
副校長の配置については、全体を統括する校長1名、小学校の教育課程(前期課
取組の方向 安全・安心な教育環境を整備する 重点施策 学校改築・リフレッシュ改修の実施 推進計画 学校の改築.
日時:令和元年 9月10日 18:30~20:00 場所:飛鳥中学校 会議室.. 北区教育委員会 教育振興部学校改築施設管理課
私は昨年まで、中学校の体育教諭でバレーボール部の顧問を務めていま
公立学校教員初任者研修小・中学校教員30H25.8.7森林環境教育の進め方林業試験場