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創作プロセスの探究と造形教材の提案

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Academic year: 2021

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(1)Title. 創作プロセスの探究と造形教材の提案. Author(s). 佐藤, 昌彦. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 58(2): 71-80. Issue Date. 2008-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/92. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第58巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.58,No.2. 平成20年2月 February,2008. 創作プロセスの探究と造形教材の提案. 佐 藤 昌 彦 北海道教育大学札幌枚美術教育学研究室(教員養成課程教育臨床専攻教育実践分野授業生活指導コース). AProposalforArtLessonsandaStudyoftheCreationProcess SATO Masahiko. DepartmentofArtEducation,SapporoCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 本研究は,前回の本学紀要「創作プロセスの図式化による造形教材の碇案」(第58巻第1号)に関する継 続研究の一つとして,小学校図画工作科における造形教材を創作プロセスの図式化によって提案したもので ある。また,科学研究費補助金プロジェクトによる基盤研究B「先行実践における知を活用した教育実践構 想支援システムの開発」の一環として行ったものでもある。紀要第58巻第1号では「基本形からの発想」「部 品の制作と配置」「制作条件の事前確認」という三つの観点に基づいて創作プロセスを図式化したが,今回 はそれらに「/トさな紙による試作」を新たな観点として加えた。本学紀要第54巻第2号で示した「/トさな紙 による試作」の有効性を造形教材の碇案に生かしたいと考えたからである。碇起した造形教材は二つ。一つ は的あて遊びができる「モンスターアタック」。もう一つはすべらせて遊ぶ「いろんな顔のコースター」。創. 作プロセスの探究とそれに基づく造形教材の提案は教育現場における授業の構想・立案に貢献できるものと 考える。. 1 はじめに. として行うものでもある2)。 本学紀要第58巻第1号では「基本形からの発想」. 本研究の目的は,前回の北海道教育大学紀要(教. 「部品の制作と配置」「制作条件の事前確認」と. 育科学編)第58巻第1号「創作プロセスの図式化. いう三つの観点に基づいて創作プロセスを図式化. による造形教材の碇案」1)に関する継続研究の一. したが,今回はそれらに「/トさな紙による試作」. つとして,小学校図画工作科における造形教材を. を新たな観点として加えた。本学紀要第54巻第1. 創作プロセスの図式化によって提案することにあ. 号(「工作指導における『小さな紙を活用した試作』. る。また,創作プロセスの図式化や造形教材の碇. に関する考察」)で示した「/トさな紙による試作」. 案は科学研究費補助金プロジェクトによる基盤研. の有効性を造形教材の碇案に生かしたいと考えた. 究B「先行実践における知を活用した教育実践構. からである3)。有効性とは「基本形づくりのポイ. 想支援システムの開発」(平成17∼19年)の一環. ントを把握する」「発想を広げる」「短時間でさま. 71.

(3) 佐 藤 昌 彦. ざまな形ができる」「気に入った形を選択ででき. る」「本格的な制作への不安をやわらげる」とい. 観点を加えて造形教材を碇案した。今回はさらに 「/トさな紙による試作」という視点を創作プロセ. う創作プロセスにおける五つの利点を指してい. スに位置づけることによって小学校図画工作科に. る。なお,科学研究費補助金プロジェクトによる. おける二つの造形教材を示したい。. 基盤研究B「先行実践における知を活用した教育. 造形教材の提案にあたっては,まず「/トさな紙. 実践構想支援システムの開発」のねらいは,先行. による試作」の利点を「工作指導における『小さ. 実践から新しい教育実践を構想・設計するための. な紙を活用した試作』に関する考察」での研究内. 「実践の知」を抽出し,それらの活用を図る教育. 容をもとに整理し,次にその創作のプロセスと創. 実践構想支援システムの開発を行おうとするもの. 作の可能性について提示することとした。創作の. である。2007(平成19)年2月の「造形教材を対. プロセスは「/トさな紙による試作」「基本形から. 象とした授業過程の構造図と基本的作成プロセス. の発想」「部品の制作と配置」「制作条件の事前確. の開発」(本学紀要第57巻第2号)では,そうし. 認」という四つの観点に基づいて検討し,創作の. たねらいの具現化に向けて授業の分析と碇案を行. 可能性に関しては本学での授業や小学校図画工作. うための授業過程の構造図と基本的作成プロセス. 科指導法講座(参加者:小学校教員)で制作され. を提起した4)。2007(平成19)年3月の「授業過. た作品の一部を掲載した。創作へ向けた指導法の. 程の構造図における基本的作成プロセスの有効. 有効性を事実によって裏付けるためである。. 性」(本学教育実践総合センター紀要第8号)では,. 本稿では,これらの結果を以下の二つの点に. 他の造形教材においても活用できるかどうかを検. そって論述した。第一は,創作プロセスと小さな. 討することによって基本的作成プロセスの有効性. 紙による試作。第二は,つくって遊ぶことができ. を検証しが)。2007(平成19)年8月の「創作プ. る二つの造形教材。一つは「モンスターアタック_・〈. ロセスの図式化による造形教材の碇案」では,そ. もう一つは「いろんな顔のコースター」。. れら二つの研究で確認された創作プロセスに基づ いて,つくって飾る造形教材とつくって身につけ る造形教材を示した。今回の「創作プロセスの探 究と造形教材の碇案」では,つくって遊ぶことが. 2 創作プロセスと小さな紙による試作 創作プロセスにおける「基本形からの発想」「部. できる造形教材を二つ碇起している。ただし一つ. 品の制作と配置」「制作条件の事前確認」という. は立体に表す教材として,もう一つは平面に表す. 三つの観点に関しては前回の本学紀要第58巻第1. 教材として示した。. 号で述べているので,今回は「/トさな紙による試. 造形教材を対象とした創作プロセスに関する先. 作」の有効性について示した。/トさな紙による試. 行研究には,本プロジェクトにかかわる一連の研. 作は,本格的な制作の前段階として,つくろうと. 究論文においても述べてきたが,大橋暗也氏の『創. するものや描こうとするものの構想を練るために. 作おりがみ』(美術出版社,1977)がある6)。そ. 設定したものである。その有効性に関する考察は. のなかで大橋氏は創作おりがみの要となる基本形. 本学紀要第54巻第2号において行ったが,そこで. とそこからの発展過程をオリガミ・ツリーとして. 示した五つの利点と効果的な指導法になりえると. 提起している。前回の「創作プロセスの図式化に. した根拠は以卜のとおりである。. よる造形教材の碇案」では,そうした基本形と発 展プロセスの重要性に着目するとともに,おりが. (1)小さな紙による試作と五つの利点. み以外の造形教材でも多様な発想を引き出すため. 小さな紙による試作を創作プロセスにおける一. の方策として「基本形からの発想」に「部品の制. つの観点に含めた理由は以下のような五つの利点. 作と配置」「制作条件の事前確認」という二つの. があると考えたからである。第一は,基本形をつ. 72.

(4) 創作プロセスの探究と造形教材の凝案. くるためのポイントを事前におさえることができ. て取り組める。. るという点である。基本形をつくるためのポイン トとは「制作手順」「制作条件」「基本的技術」を 意味する。第二は,つくろうとするもののイメー. (2)小さな紙による試作と有効性に関する検証 「工作指導における『小さな紙を活用した試作』. ジがわきやすくなるということである。目の前に. に関する考察」は,1998(平成10)年から2002(平. 具体的な形があればその形に触発されて次の形を. 成14)年にかけて筆者が教材化した造形教材を取. 思い浮かべやすい。第三は,短時間にさまざまな. り上げ本学の初等教科専門科目「図画工作の基礎」. 形をつくったり描いたりすることができるという. の受講生(38名)を対象として小さな紙による試. ことである。このことは小さな紙を活用する際の. 作の有効性を検討したものである。取り上げた造. 大きな特長になる。第四は,気に入った形をベー. 形教材は三つ。一つ日は半面としての造形教材「へ. スにして次の段階へ進むことができるということ. んしんマスク」,二つ日は空に揚がる造形教材「ミ. である。その方法は主に二つ。一つは試作したも. ニ凧」,三つ目は音が出る造形教材「びっくりバ. ののなかから一番気に入ったものを選ぶ。もう一. タバタ」である。それらの結果は小さな紙による. つは試作したものをいくつか組み合わせる(切り. 試作が三つの造形教材において効果的な指導法の. 取った形全体を組み合わせたり,よいと思う部分. 一つになりえることを示すものであった。たとえ. を組み合わせたりする)。第五は,つくったり描. ば造形教材「へんしんマスク」では第一の利点に. いたりすることへの不安をやわらげるということ. かかわる「制作手順」「制作条件」「基本的技術」. である。本番前の試作ということで「失敗したら. について以下のような内容を示した(図1)。【制. どうしよう」というような心配をせずに思い切っ. 作手順】①A4の約四分の一の紙を準備する(ほ. 図1 造形教材「へんしんマスク」と小さな紙による試作(「工作指導における『小さな紙を活用した試作』に関する考察」より). 73.

(5) 佐 藤 昌 彦. ぼ官製はがきの大きさ)。②半分に折る。③顔の. はどれもいきなり本番でなかなか最初の一歩が踏. 輪郭を切り取る(口の部分は除く)。④折り目か. み出せませんでした。でも,今回の授業では,小. らはさみを入れて目を切り取る。⑤二つに折った. さな紙で試作したので,スムーズに気負うことな. 紙を開く。⑥①から⑤までの方法でさまざまな顔. く始められました。それに試作をすることで,ア. ができることを数枚の小さな紙で試す。⑦試作し. イディアが次々と浮かんできました」(T.Y)。【発. たもののなかから一番気に入った形をもとに色画. 想・安心感・気に入った形の選択に関する記述】. 用紙で半面(基本形)をつくる。⑧制作条件とし. 「私は『へんしんマスク』をつくるとき,いきな. て目の縁取りをつくる。⑨目の縁取り以外の部品. り『へんしんマスク』をつくるといわれてもなあ. をつけ加える。⑲さらに部品をつけ加える。※小. ……と少し戸惑いました。なぜなら,今までに『へ. さな紙による試作は①から⑥までのプロセスを指. んしんマスク』を見たことがなかったからです。. す。【制作条件】「鼻に近い部分に目をつくる」「目. でも,先生のアドバイス通りに小さな紙を切って. を際立たせるために目のまわりに縁取りをつけ. いったら,だんだん『こんな感じがいいかな』と. る」という二つの観点を制作条件として示した。. イメージがわいてきました。それに試し紙なので. 【基本的技術】はさみの使用方法として「つけね. 心おきなく切ることができました。今回のことで,. 近くでゆっくり切る」「まるく切るときには紙を. たとえミニチュアでも実際に切ってみるとイメー. まわしながら切る」という二つを碇示した。. ジがわきやすくなるということを実感しました。. 検証は2003(平成15)年4月に行った。その結. 私の小学校の図画工作では小さな紙で試作すると. 果は小さな紙による試作が造形力を高めるための. いうことはありませんでした。いきなり本番でし. 有効な指導法の一つになりうることを示すもので. たので,失敗をおそれて,ちょっと図画工作に抵. あった。根拠は二つ。一つは小さな紙による試作. 抗を感じていました。つくるということに臆病に. をもとに受講生全員(38名)が基本形を制作でき. なっていたのです。そういう子は私だけでなくた. たという事実。このことは基本形をつくるために. くさんいると思います。試作によっていろいろな. はどうすればいいのかということについて「制作. 形をつくり,そしてその中から一番つくりたいも. 手順」「制作条件」「基本的技術」の視点を踏まえ. のを選んで本番へ向かうことができれば,もっと. ながらより確実に理解することができたという状. もっと図工が好きになる子が増えると思います」. 況を示している(小さな紙で実際にやってみるこ とによって)。もう一つは,受講生全員のレポー. (Ⅰ.E)。 このような受講生の声はレポートに記載された. トに小さな紙による試作の有効性を示す記述が. ものの一部ではあるが,小さな紙による試作の効. あったという事実。レポートには次のように記さ. 果を裏付ける一つになるものと考える。. れていた。【発想・安心感に関する記述】「本番の. 前に練習用の紙で試作できたのでとても安心しま した。/トさな紙で試作する段階では完璧に切るこ とができなくてもよいと思うと思いきって切るこ. とができましたし,さまざまな方向に切る自由さ. 3 造形教材の提案と創作のプロセス (1)モンスターアタック. 造形教材「モンスターアタック」における創作. や面白さを体験することができました。この方法. のプロセスを図2に示した。ねらい,材料・用具,. であれば,工作が苦手な子はつくろうとする形を. 創作のプロセス,創作の可能性,遊び方は以下の. ゆっくり考えることができますし,得意な子はさ. とおりである7)。. らにいいアイディアが浮かんでよりよい作品がで きるようになるのではないかと思いました」 (H.K)。「私が受けてきた小・中・高での授業. 74. 【ねらい】的あて遊びで使用するモンスターを色. 画用紙でつくる。. 【材科・用具】OA4用紙 ○色画用紙 ○スト.

(6) 創作プロセスの探究と造形教材の碇案. ロー(直径約6mmと約5mmのもの2種類) ○はさみ ○糊 ○セロハンテープ 【創作のプロセス】①小さな紙(はがき大程度…. おける基本形の色となる。 (彰小さい紙での試作をもとに色画用紙を切る。 横長,縦長どちらでもよい。安定しやすいように. A4用紙の約4分の1)で試作する。主な方法は. 底辺は原則として切り取らない。ただし①の右端. 二つ。一つは紙を半分に折ってから切る方法。開. の図で示したように,立たせることができるので. いたときの形は左右対称となる。もう一つは紙を. あれば切込みを入れてもよい。図2では左右対称. 折らずに切る方法。左右非対称の形をつくること. となる基本形のつくり方を示した。左右非対称の. ができる。はがき大の原形から発想を広げるため. 場合は小さな紙を活用した試作①での左右非対称. のおおもとになる基本形をつくり出す。いくつか. の制作過程と同じである。. の基本形をつくり気に入ったものを選び色画用紙. ④折り目に切れ目を入れて立体的にする場合は. で本格的につくっていく。また,一つだけを選ぶ. この段階で行う。切れ目を入れるか入れないかは. のではなく,いくつかの基本形から気に入った部. 自由。入れない場合は⑤の段階へ進む。. 分を組み合わせて本格的につくっていくこともで. ⑤目や口をつくる。モンスターという言葉を使. きる。基本形と他の基本形を合体させることも可. 用したのは,どのような顔や身体になってもいい. 能である。さらに折り目からはさみで切れ目を入. ということであり,想像をふくらませて見たこと. れて折り返し立体的にしてもよい(折り返す際の. もないようなものをつくるという教材の意図を表. 折り目をきちんとつけることで立体的に折りやす. したかったからである。しかしどのようなモンス. くなる)。立たせることができれば底辺を部分的. ターであろうとも,顔がどこにあるのかがわかり. に切り取ることもできる。/トさな紙でいろいろ試. やすいように目と口は最低限つくるという条件を. してみてモンスターづくりの第一歩を踏み出すの. つけた。つくった後になって「これではモンスター. である。初めからつくろうとするモンスターのイ. に見えない」ということになったのでは自信を失. メージがある場合にはその形に合わせて紙を切り. う原因の一つになりかねないからである。ただし,. 取る。つくろうとするものが思い浮かばないとき. その形や色,大きさ,配置は自由とする。そこに. には,「とりあえず」というような気持ちで,ま. それぞれの個性が表れるからである。臼や口の形. たは「思い切って」という気持ちでモンスターの. や色などは目の前にある基本形をじっと見て連想. 輪郭を切り取る。頭の中で考えてだめな場合は目. する。基本形をつくるときと同じように,つくろ. の前に具体的な形をつくり出してみるのである。. うとするその形がはっきりしている場合にはその. そしてその形をじっと見て「これでいいか」「もっ. 形にそって色画用紙を切る。しかしどのような形. と複雑にしようか」「単純にしようか」などと考. にしていいのか思い浮かばない場合には,基本形. えて次の形を連想する。/トさい紙であれば短時間. を切り取るときと同じように,このように切れば. にいくつもの形をつくり出すことができる。また. 目のようなものに見えるだろうというような気持. 目の前に具体的な形があると次の形を考えやす. ちでとりあえず(または思いきって)切ってみる。. い。. そして切り取った形を目の前の基本形の上に置い. ②色画用紙(四つ切の約1/8)を選ぶ。配布す. て,「この形でいいか」「たりないものはないか」「位. る色画用紙は15色(レモン,オレンジ,ときいろ,. 置はここでいいか」などについて考えるのである。. あか,あかむらさき,ぐんじょう,うすあお,あ. また,切ってすぐに貼るのではなく,基本形の上. お,こいきみどり,エメラルド,ちゃいろ,こい. に置いてみて動かしてみることも大切である。動. こげちゃ,くちばいる,みるく,くろ)。基本と. かすことによって思いもよらなかったような表情. なる12色に濃淡の段階的変化を糾しやすくするよ. や動きをつくり糾すことができる。このことは口. うに3色加えた。ここで選ぶものはモンスターに. やその他の部品についても同じである。. 75.

(7) 佐 藤 昌 彦. (㊧さらに必要な部品があるときにはつけ加え. 重ねる。部品の配置が決まったら糊付けする。. る。たとえば顔に関する部品としては,鼻,髭,. 【創作の可能性】基本形からどのように発展する. 髪の毛,眉毛,角など。顔以外に関する部品とし. 可能性があるのか。それを示す事例として9つの. ては服,手,足,飾りなど。部品は表側からだけ. 作品を掲載した(図3)。掲載にあたっては次の. でなく裏側から外側へはみ出すように貼ることも. ように分類した。. できる。より丈夫にしたい場合は色画用紙を貼り. ○基本形からの発展Ⅰ(左右対称に切り取った. 左右対称の場合(左右非対称の場合・・儲の段階は亘)と同じ。その他の手順l燭⑥と同じ). 図2 創作のプロセスーモンスターアタックー. 76.

(8) 創作プロセスの探究と造形教材の凝案. 形から)…作品ア,エ,イ,ウ,オ,カ,キ ○基本形からの発展Ⅱ(左右非対称に切り取っ. (2)いろんな顔のコースター. まるい形は同じでも描かれた顔はさまざま。ど んな顔ができるか。すべってどこまでいけるか。. た形から)…作品ク,ケ 【遊び方】ストロー製の吹き矢をつくってモンス. 教材のポイントはこの二つ8)。教材のねらい,材. ターにあてる。細いストロー(直径約5mm)の. 料・用具,創作のプロセス,創作の可能性,遊び. 先は折り曲げセロハンテープでとめる(まずジャ. 方は以下のとおり。. バラの部分を引き伸ばし,次に先端がまるくなる. 【ねらい】見たこともないような顔を紙コースター. ように折り曲げる。安全面に配慮してまるみをも. にカラーペンで描く。. たせる)。太いストロー(直径約6mm)に差し 込む。. 【材料・用具】紙コースター(直径約9cm。10 牧人り1セット100円程度)。○カラーペン。 【創作のプロセス】①小さい紙に円を数個描く。 紙はA4の半分程度。6個程度の円を印刷して配. 図3 創作の可能性−モンスターアタックー. 77.

(9) 佐 藤 昌 彦. 布してもよい。(卦最低限必要なパーツを事前に確. な顔を描く。⑧小さな紙に描いたもののなかから. 認する。ここでは「鼻・目・口」を最低限必要な. 気に入ったものを選びコースターに描く。⑨カ. パーツとした。③鼻を描く。尖った鼻,まるい鼻,. ラーペンで彩色する(作品A・B・C)。方法は. 大きな鼻,小さな鼻など,形,大きさ,描く位置. 主に二つ。一つは全体に着色(作品A)。もう一. は自由(このことは日や口についても同じ)。鼻. つは一部に着色(白い部分を残して)(作品B・. のイメージが初めからある場合にはその鼻を描. C)。線に合わせて彩色したり(作品A・C)線. く。鼻のイメージが思い浮かばない場合には,「モ. で区切らずに彩色したりすることもできる(作品. ンスターアタック」のときと同じように「とりあ. B。頬の着色。図4)。コースターのどちら側(表. えず」または「思いきって」という気持ちで,鼻. か裏か)に描けばいいのかは,描く前にテーブル. のような形を描いてみる。そしてこれでいいか,. の上ですべらせてみて判断する。一般的にはまる. 何かたりないものはないかなどと目の前にある鼻. みのある表側を下にしたほうがテーブルの上です. の形をじっと見て次に必要なものを連想する。必. べりやすい。. 要なものがあるときにはそれをつけ加える。④目. 【創作の可能性】基本形(鼻)からどのように発. を描く。基本形としての鼻に日や口などの部品を. 展していくのか,その事例として12個の作品を掲. 一つずつつけ加えることによって描こうとするも. 載した(図5)。鼻の位置,大きさ,線にそって. ののイメージを明確にしていく。(9口を描く。(参. の着色,線で区切らない着色など,さまざまな観. 他に必要なものがあれば描き加える。⑦いろいろ. 点から分類できるが,今回は彩色方法の違いに着. 図4 創作のプロセスーいろんな顔のコースターー. 78.

(10) 創作プロセスの探究と造形教材の凝案. ング競技のようにコースターをすべらせ円内に入. 目して次のように分類した。. ○全体に着色…作品イ,ウ,オ,ク,コ. れて得点を競うこともできる。その際,円は大き. ○一部に着色(白い部分を残して)…作品ア,. な紙に描きその上で競い合う。また着色は線描き したものをパソコンに取り込んで行うこともでき. エ,カ,キ,ケ,サ,シ 【遊び方】テーブルの上ですべった距離を競う。. できるだけ距離をのばす。テーブルから落ちた場. る(カラー印刷したものを切り取ってコースター に月占る)。. 合は失格。①テーブルの端にコースターを置く。 コースターのヘリはテーブルより外側へ少しだけ 出す。②コースターのはみ出した部分を手で軽く. おわりに. たたいて前へ押し出す。その際には,テーブルか. 以上,本研究では前回の北海道教育大学紀要(教. ら落ちずにできるだけ遠くへいくようにたたく強. 育科学編)第58号第1号「創作プロセスの図式化. さを加減する。(卦すべった距離を比べる。カーリ. による造形教材の提案」に関する継続研究の一つ. 図5 創作の可能性−いろんな顔のコースターー. 79.

(11) 佐 藤 昌 彦. として,創作プロセスの図式化によって小学校図 画工作科における二つの造形教材を碇起した。. その提案にあたっては,本学紀要第58巻第1号. 2007,pp63−72。 2)科学研究費補助金プロジェクトによる基盤研究B「先. 行実践における知を活用した教育実践構想支援システ ムの開発」平成17∼19年度,三橋功一,中村紘司,山. で述べた創作プロセスの三つの観点(「基本形か. 崎正吉,梅沢実,尾藤弥生,坂本紀子,姫野完治,佐. らの発想」「部品の制作と配置」「制作条件の事前. 藤昌彦。. 確認」)に「/トさな紙による試作」という観点を. 新たに加え,全体として四つの観点から造形教材 の制作過程を示した。「/トさな紙による試作」に. は次の五つの利点があると考えたからである。第 一は基本形づくりのポイントを把握する。第二は 発想を広げる。第三は短時間でさまざまな形がで きる。第四は気に入った形を選択できる。第五は. 本格的な制作への不安をやわらげるというもので ある。本稿ではそうした「基本形からの発想」「部 品の制作と配置」「制作条件の事前確認」「/トさな. 紙による試作」という四つの観点に基づいて創作 プロセスを提示するとともに実際に制作された作 品の一部を掲載することによって創作の可能性に ついても言及した。四つの観点に基づく創作プロ. 3)佐藤昌彦「工作指導における『小さな紙を活用した 試作』に関する考察」北海道教育大学紀要(教育科学編). 第54巻第2号,2003,pp99−108。 4)佐藤昌彦「造形教材を対象とした授業過程の構造図 と基本的作成プロセスの開発」北海道教育大学紀要(教. 育科学編)第57巻第2号,2007,pp187−196。 5)佐藤昌彦「授業過程の構造図における基本的作成プ ロセスの有効性」教育実践総合センター紀要第8号, 2007,pp31−39。. 6)人橋暗也『創作おりがみ』美術出版社,1977。 7)佐藤昌彦「モンスターアタック」『教室ツーウェイ』. 7月号,明治図書出版株式会社,2007,p63。佐藤昌 彦「続・モンスターアタック」『教室ツーウェイ』11月. 号,明治図書出版株式会社,2007,p63。 8)佐藤昌彦「いろんな顔のコースター」『教室ツーウェ. イ』5月号,明治図書出版株式会社,2007,p63。佐 藤昌彦「続・いろんな顔のコースター」『教室ツーウェ イ』9月号,明治図書出版株式会社,2007,p63。. セスの有効性を発想の広がりにかかわる事実に よって裏付けたいと考えたためである。. 今後の課題は主に二つある。一つは創作プロセ スにおける効果的な観点の提起。たとえば「参考 作品の碇示と取り外し」「/トさなステップの積み 重ね」「基本的技術の習得」などというものである。. もう一つは造形教材の検索システムに関する試案 の碇起。本研究は科学研究費補助金プロジェクト による基盤研究B「先行実践における知を活用し た教育実践構想支援システムの開発」の一環とし て行ったものでもあるが,先行実践として蓄積さ れてきた造形教材を活用しやすくするためにはど のような検索システムをつくればいいのか,とい うことに関する検討である。これらの視点を踏ま え,教育現場の実践に貢献できるようこれからも 継続的に研究を行っていきたい。. 註 1)佐藤昌彦「創作プロセスの図式化による造形教材の 碇案」北海道教育大学紀要(教育科学編)第58巻第1号,. 80. (札幌校教授).

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