母親の子どもに対する心理的距離からみた子育て不安とSense of Coherence
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(2) 抽出された。母親年齢と子育て不安との関連は「子. r学び」r課題」r気づき」r成果」r成長」r感謝」r楽し. 育て自信喪失感」のみに認められ,就学前から中. み」「幸せ」といった,自分にとって重要な糧をも. 学生の母親は子育てに対する自信喪失感が高く,. たらすとともに,「怒り」や「腹立ち」をももたらす. 特に小学生高学年の母親は,高校生以上の母親よ. というアンヒバレントな存在であった。そして意. り子育ての自信を失っていた。. 味づけられた母親の成長とはr自分自身の姿を通. ④子育て環境,心理的距離,SOC,ソーシャルサ. して気づく親の成長」と「子どもの姿から気づか. ポートとの関係が子育て不安に及ぼす影響:r子. される親の成長」であった。そして母親は子育て. 育て相談の対象者」が多いことは同居の学生社会. で体験する様々な出来事を,汎抵抗資源に支えら. 人の,r子育て以外の時間や場所の確保」は就学前,. れながら対処しており,子どもの現状に応じた適. 同居の高校生の母親の子育て不安を軽減していた。. 切なかかわり方ができるよう自己を変容させてい. 心理的距離は就学前から学生社会人までの母親に. た。こうした出来事への対処は,子どもとの適切. 強く影響していたが,その影響の仕方は子どもの. な心理的距離を獲得していくプロセスともなって. 年代によって異なっていた。就学前には子どもが. いる可能性が示され,母親はそうした中で他者と. 母親に近いほど,子どもが思春期になると子ども. の関係を広げ,子どもの姿や自分自身の姿の中に. が離れるほど,また母親が子どもに接近している. 親として成長を見出していた。そして子どもの危. ほど,また接近したいと思うほど子育て不安を高. 機体験を成功的に対処することが,SOC能力を高. めていた。そしてSOCは同居の学生社会人を除く. めていくとも考えられた。. すべての段階の母親に強い負の影響を与え,SOC. 4.総合考察. が高いほど子育て不安が軽減されていた。またソ. 質問紙調査及び面接調査双方から幅広い子育て. ーシャルサポートとの良好な関係は,子育て不安. 期の母親には,ソーシャルサポートと良好な関係. を軽減していた。. を育める環境づくりや子育て相談の対象者,子育 て以外の時間や場所を確保することが重要である. (2)面接調査. ①母親が保有する汎抵抗資源:幼児期から青年期. ことが示された。また心理的距離の不一致は母親. までの子どもを育てる母親の汎抵抗資源は,r育児. の子育て不安に強い影響を及ぼしていたが,母親. 書・図書館」「相談機関」「子育てクラブ」「子ども. が子育てで経験する子どもの危機体験は,こうし. から離れる時間」,「配偶者」「友人・知人」「先生」. た母子相互の心理的距離の不一致を調整し,子ど. r自分の親やきょうだい」「近所の人」r自己の生. もに応じた心理的距離を獲得していくプロセスと. 育歴」「楽観主義」r子どもの危機体験」「子どもの. もなっていることが示された。こうした心理的距. 存在」の13カテゴリーにまとめられ,どの資源. 離の不一致は,子どもとの摩擦を招き母親の悩み. を保有し,その保有数や活用方法は母親によって. や葛藤を引き起こし母親にとっても大きなストレ. 違いがあったが,r子どもの危機体験」はすべての. ッサーともなるが,これらの出来事を成功的対処. 母親が保有,活用していた。母親は子どもの危機. することでSOC能力を高めていくとも考えられる. 体験への対処を通して,子どもへのかかわり方を. ことから,心理的距離の不一致が起こる時期には. 変容させ,子どもの状態に応じた適切なかかわり. 母親が子どもと適切な距離がとっていけるよう子. 方を見出していた。つまり子どもの危機体験は,. 育て環境を整備し,支援していくことが重要であ. 母親にとって子どもとの新たな心理的距離を獲得. ると考えられる。. していく過程ともなっている可能性が示された。. 主任指導教員 浅川潔司. ②子育ての意味:子育ては「仕事」「趣味」「勉強」. 指導教員 秋光恵子. 一73一.
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