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生涯学習社会におけるNPO等の情報提供およびアドボカシー意識の実態に関する調査 : 旭川を中心とした市民活動団体の意識

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(1)Title. 生涯学習社会におけるNPO等の情報提供およびアドボカシー意識の実態に 関する調査 : 旭川を中心とした市民活動団体の意識. Author(s). 今, 尚之; 早坂, 麻衣子. Citation. 北海道生涯学習研究 : 北海道教育大学生涯学習教育研究センター紀要, 2: 65-74. Issue Date. 2002-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2787. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) “北海道生涯学習研究”北海道教育大学生涯学習教育研究センター紀要 第2号. 平成14年3月. ReportoftheResearchandEducationCenterfbrLiftlongLeaming−HokkaidoUniversityofEducationNo.2 March 2002. 生涯学習社会におけるNPO等の情報提供およびアドポカシー 意識の実態に関する調査. 一旭川を中心とした市民活動団体の意識一 今 尚之*),早坂麻衣子*) ●)北海道教育大学教育学部旭川校生活情報教室. AnInvestigationReportofRealityofInformationOf托ring andAdvocacy byNPOinLifblongLerningSociety NaoyukiKON*I),MaikoHAYASAKA+*) ’’)InstituteofLifeInformatics,AsahikawaCampus HokkaidoUniversityofEducation, Asahikawa,070−8621,J叩an. Abstracts Recentry,Itiswishedthatweutilizeresultoflifblongleminginsocialcontributionactivity・. AndNPOisexpectedasareceivingpointofsocialcontributionactivity.Therefbreitis necessaryforactivityofNPOtobepublicized.Ourgoalinthisstudyistoexaminethat realityofinformation o脆ring and advocacy by NPO at Asahikawa.Our results show fo1lows;(1)Thecitizenactivitygroupshasdonepublicitywork,however,therearealittle SuPPOrtandnetworking.(2)Consciousnessfortheindependentmediaislowandamedia. StrategylSnOtenOugh.. keywords:生涯学習の成果(Resultoflifblongleaming),NPO(NPO),情報提供(InformationO脆ring). 1.はじめに 生涯学習審議会の1999(平成11)年6月答申1)では,生涯学習の成果を社会に還元することが 必要であるとして,個人のキャリアアップ,ボランティア活動,まちづくりの3テーマを取り上 げ,それぞれのテーマごとに具体的な事例をまじえながら生涯学習成果の社会還元について答申 をしている。複雑,多様化した社会における個々人の学びは,社会の中で学ぶ受動的なものであ ることよりも,現代的な課題を解決し,よりよい社会を築くために,学習の成果が何らかの形で. 社会と結びつき,社会をよりよいものへと変革してゆく力強い能動的な学びである必要があるこ とは言うまでもない。. その意味で生涯学習審議会の答申は従来の社会の中で学ぶ,趣味,教養的な側面をもった生涯 学習の捉え方から,社会を創る学びとしての生涯学習の捉え方の重要性を指摘したものと言えよ う。この様な指摘からも学習成果を社会的に還元できる機会や場が必要であることはあえて述べ. ー65−.

(3) 今 尚之*),早坂麻衣子*). るまでもないであろう。. それでは,学習成果を社会的に還元できる機会や場はどのようなところにあるのであろうか。 生涯学習審議会の答申では具体的な事例をまじえながら説明をしている。その説明において学習. 成果を社会に還元する機会,場として,地域の社会問題解決をめざす市民活動団体への参画やボ ランティア活動を多く取り上げている。市民活動団体への参画やボランティア活動だけが生涯学. 習の成果を社会的に還元する場や機会とはいえないが,一つの方向性としていえよう。. しかし,成果を還元する場や機会としてそれら市民活動団体やボランティア活動をみたときに は数々の問題が存在することもまた事実である。例えば,活動を主宰する団体側と生涯学習の成 果を社会に還元する機会,場を求める側との間で,活動についてのマッチングなどを解決してい かなくてはならない。すなわち,新たに活動に参画したくとも団体や活動内容などの情報入手が 困難なため参加できないでいるという意見がみられる一方で,様々な事情からボランティアの受 け入れを見合わせている市民活動団体もまた多いことは常々指摘されていることである。. このような状況を改善することを目的として,例えば札幌近郊では特定非営利活動法人によっ て編集・発行されている「ボラ・ナビ」2)というフリーペーパーがコンビニエンスストア,大学 生協などを中心にして配付されており,情報提供による市民活動の中間支援が行われている。. 今後各地においてもこのような取り組みは積極的に行われてゆくものと思われ。また,地域にお ける生涯学習推進に必要なインフラストラクチャーの一つとして,市民活動団体やボランティア 活動の実態が縦覧できるデータベースの充実は各地方ごとに必要なものと認識され,それに向け て多くの地方公共団体においてデータベースづくりは進んできているといえよう。旭川市生活交. 流部においても,2001(平成13)年度事業として旭川市内およびその周辺の市民活動団体の実態 把握調査と並行して団体の情報提供をめざしたデータベース構築が進められている。. このように情報提供環境は整う方向にある一方で,オリジナルの情報コンテンツの提供につい. て市民活動団体やボランティア活動を主宰する側はどのような意識を持って臨んでいるかという ことについては重視されてこなかった現実がある。団体の目的やその活動について社会に知らし めることは市民活動団体として必要な取り組みの一つであることは言うまでもない。しかしなが. ら先に述べたように団体や活動内容などの情報提供,あるいは自分たちの活動に関わる政策提言 などについては十分に行われているとは言い難い現実も指摘されており,その実態や意識構造の 把握が必要といえよう。 本研究では以上の問題意識から. ,生涯学習成果の社会還元として社会活動団体がその場や機会. を提供することについて有している情報提供の意識構造を明らかとすることを目的とするもので. ある。. 今回旭川市内の市民活動団体を対象に市民向けの情報提供の実態調査を行なったのでその結果 を報告する。. 生涯学習成果の社会還元とN PO (1)生涯学習審議会答申に見る学習成果の活用に関する考え方 1999(平成11)年6月9日付けの生涯学習審議会の答申「学習成果を幅広く生かす一生涯学習 の成果を生かすための方策について−」では,「第1章 新しい社会の創造と生涯学習・その成果. −66−.

(4) 生涯学習社会におけるNPO等の情報提供およびアドポカシー意識の実態に関する調査. の活用」において「誰もが生涯学習によって得た学習成果を活用して社会に積極的に参画するこ. とができる社会的システムの形成が必要である。生涯学習行政の施策は,これまでの学習機会の 提供に加え,今後は,生涯学習の成果の活用を如何に促進するかにも重点を置くことが必要であ る」と述べ,「個人の学習成果を「個人のキャリア開発」に生かせるようにする。個人の学習成果 を「ボランティア活動」に生かせるようにする。個人の学習成果を「地域社会の発展」に生かせ るようする。」と方向性を示している。. 同答申ではさらに,例えば「第2草 生涯学習の成果を「個人のキャリア開発」に生かす」に おいて,「学習した者と学習成果を求める者を結びつけるシステムを作る」ことを述べ,学習成果 提供バンクと学習成果募集バンクなどの事例を示している。この他同答申の第3章においては 「学習成果をボランティア活動に生かすにあたっての課題と対応方策」が,第4章においては「学 習の成果を「地域社会の発展に生かす」としてそれぞれの取り組みにおいて求められる施策など について述べている。. 特に第4章では「生涯学習による地域社会の活性化の必要性」として「今日,地域社会は都市 化と過疎化の進行,住民の著しい流入・流出,地域行事の減少,地域意識の希薄化等により地縁 的なコミュニティの機能を衰退させてきた。(中略)第二に,現在各都道府県・市町村が抱えるご み処理,自然環境の保全,介護・福祉等の様々な現代的課題は,住民自らが学習し,理解し,主 体的に関わろうとするときにもっとも効果的な対処が可能となる問題であり,それだけに生涯学 習の役割が大きい。」としていわゆるまちづくりが生涯学習によって進められるものであることの 認識を示してい. る。同答申は続けて「行政部局のみでの対応は限界にあり,住民や民間の非営利. 公益活動団体等とのパートナーシップの必要性が言われるようになってきており,その場合に, 生涯学習とそれによる社会参加は不可欠になっている」と,生涯学習の成果を社会に還元する場 や機会の提供主体として市民活動団体に大きな期待を寄せている。. このような答申を受けて,旧文部省(現文部科学省)は2000(平成12)年度より「生涯学習分 野のNPOの連携によるまちづくり支援事業」などの施策を全国で展開し,学習成果を社会参加 や地域社会の活性のために生かしたいと考える生涯学習グループのネットワーク化と行政との. パートナーシップ形成に向けたモデルづくりを実施するなど,市民活動が学習成果を社会た還元 する場と機会を提供するものとして位置づけている。. (2)市民活動団体,NPOの概念整理3). NPO(Notforpront Organization,Non−PrO負tOrganization)とは,現在「民間非営利団体」と 訳されることが多い。またその特徴は「自発性」,「利益のためでなく」,「社会的ミッションのた めに活動する」団体として捉えることが一般的である。広義では市民活動団体やボランティア団 体等に含まれる市民主体の団体を指した言葉であるといえる。しかし,狭義では1998(平成10) 年に制定された,特定非営利活動促進法(平成10年法律7号)によって認証を受けた団体を意味 することが多い。. さて,NPOの特徴としての「自発性」とは,市民が自らの考えに基づき活動をしている団体 であることを意味している。多種多様の想像性豊富な理念の元で生まれる数多くの活動は,日々 新たに発生する現代社会の複雑な課題について,公平性や平等性を原則とする行政の取り組みに 比べ,はるかに迅速な対応が可能であることを意味しているといえよう。また「利益のためでな. −67−.

(5) 今 尚之*),早坂麻衣子*). く」とは,利潤の追求ではないことを意味しているのであり,全く無償の活動を意味するもので はない0活動によって得た利益は,営利企業のように社員に分配されるのではなく,団体が使命 とする新たな活動の資金として活用するのがNPOとしての一般的な姿である。そして「社会的 ミッションのために活動する」とは,社会的な問題に対して,その解決を団体の使命(ミッショ. ン)として諸活動に取組むことを示している。解決に向けどのようなアプローチを採用して活動 するかは各団体の自由であるため多岐に渡ることとなり,その結果として,行政あるいは営利企 業では取組むことが困難な活動を行うことが可能となり,それゆえに市民活動の多くがNPOで 総称されているといえよう。. 日本においては,第二次世界大戦後から現在まで,公益の担い手として行政を筆頭として考え ることが一般的であり,高度経済成長過程における地域コミュニティの大きな変容は,公益を相 互に担った地縁的な生活システムの崩壊につながり,公益の担い手として行政が果たす役割の比 重が必然的に大きくなった。このような時代的な変遷を背景として,公益の担い手としての市民 やその活動団体の存在を考える視点が欠落したといわれている。このため,市民活動団体はいわ ゆる圧力団体と誤解されることも多くみられた。1995(平成7)年の阪神淡路大震災における市 民活動団体の活躍は先にも述べたが,市民活動やボランティア活動に対する認識を改める大きな きっかけとなり,そのことはまた1998(平成10)年のいわゆるNPO法の制定へともつながって いる。そのため,日本においては市民がつくる「自発的に」,「利益のためでなく」,「社会的ミッ ションのため」に活動する団体を法律に基づいた認証の有無に関わらずNPOと呼ぶことが一般 的である。. 以上のような経緯のもとで現在の用語の使用があるが,本調査では,幅広く解釈されるときの,. 市民活動団体やボランティア団体等に含まれる団体を示す解釈を用いる。 (3)NPO等による市民に対する情報提供の意義 1995年(平成7年)の阪神淡路大震災を期に,社会的ニーズに対して迅速かつ的確に対応した ボランティア団体など多くの市民活動団体の社会的役割が脚光を集めた。このことは,行政と営 利企業の二つのセクターにしか関心が持たれてこなかったといわれる第二次世界大戦後の日本社 会に対して,社会を維持し,発展させるもう一つほかのセクターがあることを気づかせることと なった。あわせて,複雑化・多様化する現代社会における水平的なネットワークが市民社会を安 全・安心なものとし,地域を発展させるものであることも改めて理解されたといえよう。特に,. 阪神淡路大震災におけるボランテ十ア団体の活動の目覚ましさは,ボランティア活動のイメージ を一新し,自己実現を求める人々が集い,活動する場として認識されるようになった。このよう にNPO等が文字通り市民権を得るようになったのであるが,その活動を維持するために必要な 人的,金銭的な資源の大部分は組織外部に支援を求めざるを得ないことが多い。このことにより. NPO等はその目的を達成するためにはボランティアによる労力提供等や行政からの助成金等に 頼らざるを得ない現状にあるといえよう。さらに活動の発展や地域に根付き,社会的地位を得る ためには,社会的利益に繋がる活動をその地域の人たちと関わり合いながら進めていくことが不 可欠である。. このためにはNPO等がどのような理念に基づき活動を展開しているのか,第三者機関が情報 をストックし提供するだけではなく,自らがメディアを活用して情報を公開し,提供することも. −68−.

(6) 生涯学習社会におけるNPO等の情報提供およびアドポカシー意識の実態に関する調査. 必要である。むしろ,ネットワーク社会におけるNPO等としてメディア戦略を持ち,常に社会 と交信する必要がこれからのNPO等として取るべき態度であるといえよう。 (4)NPOにおけるアドポカシーの意義. 「“閉ざされたシステム’’では地域社会に受け入れられず,社員一人ひとりが地域社会の一員と して地域活動をしてはじめて認められる」4)とあるように,情報が閉ざされ,外から見えにくい 不透明な状態にある団体や企業に対して人々は不信感を抱くことが一般的である。不信感を持た れるようであっては,公益の一端を担うNPOとして,市民の理解や支持を得ることはできない。 また,アドポカシー(advocacy)とは本来,唱道,擁護,支持等という意味で使われてきた言 葉である。最近ではNPO等をはじめとした市民活動団体が,団体の設立目的や理念に沿った主 張や提言等,または政府や行政体に政策提言を行うことなどの言論活動や,社会的弱者の発言を 代弁する行為をを指す場合に多く用いられている。欧米のNPO等はアドポカシーについて積極 的な取り組みがみられるが日本においては,市民として政策提言を行なうことへのなじみ無さも あり,一般的な取り組みとはなっていない。しかし,NPOの考え方からしてもNPO等として 今後取組むべきことと言われている。. このように広報・アドポカシーはNPO等の活動の中核ともいえ,市民主体の公益的な活動の 担い手として必要な取り組みと言えよう。. 旭川を例とした市民活動団体における広報・アドポカシーの実態に関する調査 (1)調査の概要. 本調査は,旭川を中心として活動を行なう市民活動団体を対象として,広報・アドポカシーの 実態把握と,特に広報活動に対する意識を把握することを目的に実施したものである。. 調査対象は,旭川市生活交流部生活交流課市民交流係が実地した「市民活動団体基本調査」の 回答団体と,財団法人北海道地域活動振興協会のホームページで公開されている団体及び市内の ミニコミ誌などに2001(平成13)年6月から12月にかけて活動紹介記事などが掲載された団体と した。この結果調査対象は350件となった. 調査は2001年(平成13年)12月から2002年1月にかけて行い,対象の350件に調査票を郵送配付 し,郵送回収を行なった。本調査での回収票数は201票となり,この内,既に解散してしまってい. る団体4票,休会中の団体4票,該当する団体のなかったもの1票,回答のないまま返送された ものが1票あったため,有効回答票は191票となった(回答率54.6%). (2)調査項目. 本調査における調査項目は大きく分けると以下の10項目である。. ① 市民活動団体の基本情報,② 会員制度,③ 事務所体制,④ 活動費,⑤ NPO法人認 証取得意識,⑥ 中間支援組織としての旭川NPOサポートセンターに対する認識,⑦ 行政,企 業,他団体などとの関係,⑧ 団体活動・組織運営上の課題・問題点,⑨ 情報公開の承諾, ⑲ 広報活動に対する意識 (3)回答団体の特徴. 一69一.

(7) 今 尚之*),早坂麻衣子*). 調査結果より,今回回答のあった団体の属性として活動年数,活動費,活動分野などを整理し た結果を以下に示す。 a)回答団体の活動分野 いわゆるNPO法で規定されている特定非営. 利活動の分野は(1)保健,医療又は福祉の増進を図. る活動。(2)社会教育の推進を図る活動。(3)まち づくりの推進を図る活動。(4)文化,芸術又はス ポーツの推進を図る活動。(5)環境の保全を図る 活動。(6)災害救助活動。(7)地域安全活動。(8)人権 の擁護又は平和の推進を図る活動。(9)国際協力 の活動。(10)男女共同参画社会の形成の促進を図 る活動。(11)子どもの健全育成を図る活動。(1カ前各. 号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関 する連絡,助言又は援助の活動。の12分野である。. 今回の調査対象となっている市民活動団体は, NPO法による法人格の有無を問わないもので あるが,その活動分野を明らかにするために,12. 分類それぞれについて,活動分野とする団体の数 を数えた。なお複数の活動分野を選択する団体. も多く,今回の調査では回答の64%が複数の活動 分野に該当すると回答した。また,保健・医療・. 福祉分野,文化・芸術・スポーツ分野などが多く, 災害救援や地域安全などが少ない結果となった。. b)回答団体の活動規模. 0.0%. 会員数と活動予算から回答団体の活動規模に. 10万円以下と少額の団体が全体の19%を占めて. 100%. 15.8%. 2D O%. 250%. 300〉i. 無回答. ついてみると,会員数が20人未満の団体が全体 の約30%を占めており,また,年間の活動予算が. 50%. 上以円万0 1. 満未円万0 1∼05. 満未円万05∼03. おり,もっとも割合の多い10∼50万円規模の活. 満未円万03∼01. 動団体25.1%と二つの階級を合わせると44%を 満未円万01∼05. 超えるなど全体的に小規模な活動団体が多いこ 満未円万05∼1. とがわかった。 満未円万01. C)回答団体の活動年数. 活動年数が5年未満と回答した団体は22%で. 図3 回答団体の年間活動費(N=191). あり,10年未満の団体とあわせると35.6%となる。また,10年以上20年未満,20年以上30年未 満をあわせると35.1%であり,30年以上活動を続けている団体もあわせると10年以上活動を 続けている団体は2/3近くなり,旭川を中心とする活動団体は長期間活動を継続してきた団 体が多いことがわかった。. −70−.

(8) 生涯学習社会におけるNPO等の情報提供およびアドポカシー意識の実態に関する調査. (4)回答団体の広報活動・アドポカシー活動の実態. ① 広報活動の有無 図5に回答団体の広報活動の有無について示す. 。. 広報活動を行っている団体は72%であり,全体の 4分の3を占めていることがわかる。その一方で, NPO等として求められる広報活動に取組んでい ない団体が5分の1以上あることがわかった。 ② 回答団体の広報活動費 図6に広報活動を行なっていると回答した137. 団体の広報活動費用について示す。「1万円未満」 の団体が40.9%,「10万円以上」の団体が24.1%と 両極に分かれた結果となった。また,無回答が 14.5%と他の質問に比べその割合が高い結果と なった。. ③ 回答団体の広報活動の目的 図7に,回答団体の広報活動の目的について示. す。「会員への活動報告」が72.3%と最も高く,続 いて「会員募集」が50.5%であった。その一方で, 広報活動の目的として多く選択されると予想され. た一般市民への事業案内や利用者募集は41.6%, フォーラム・セミナー等の参加募集案内は37.6%と 以外と低い回答の割合となった。. また「自分たちの理念の発信」が46.5%であり,. また活動の支持者への活動報告を選んだ. 回答数も37.6%と比較的多くみられ,活動の理解を求めてるために広報活動を行なっている こともわかった。. ④ 回答団体が広報活動に用いるメディア. 広報活動に用いるメディアについて,「使用している」,「使用していない」,「将来使用した. …1 ■「…■‖l…■ ■ ̄’†…1 …「ハ l…■ 減慧7.. 0)i20.0% 25.0% 30.0% 350% 40.0!(45. 1万円未満 1万∼2円未満. 0% 600!〈 70.0% 800〉;. 会員への活動報告. 由0・7%. 一般市民への事業. .6!i. 2万∼3円未満 3万∼4円未満. 案内,利用者募集. フォーラム セミナー 等の参加募集案内. %. 4万∼5円未満. 会員募集. 閻0.7%. 5万∼6円未満 6万∼7円未満. 0.0%. 7万∼8円未満. 転0・7%. 支援獲得 支援者への活動報告 自分たちの理念の発信. 満. 8万∼9円未 9万∼10円未満. 他団体への情報発信 10万円以上. その他. 無回答. I / I 1 図7 広報活動の目的(N=137,MA). 図6 広報活動費(N=137). −71−.

(9) 今 尚之*),早坂麻衣子*). い」の3項目に分け,集計した. ○%. 10X. 20X. 30%. 40!(. 50%. 80%. 70‡. 80)i. 90);. 100)i. チラシの配付. 「使用している」ものについて,. ポスターの掲示. 「取材対応」が46.6%,「年間事. 行政広報の利用. 業報告書」が43.5%,「機関誌の. フォーラムの開催. 発行」が38.7%,「チラシの配. セミナーの開催 ニューズレターの発行. 付」が38.3%であった。一方で,. 機朋舷の発行. 近年急速に普及した「インター. 年間事業報告書 取材対応. ネットの利用」については. 講演演胱. 12.6%であった。しかし,「将. 来使用したい」とした回答は. 有料マスコミ広告に掲鮫 インターネットの利用 図8 広報活動に用いているメディア(MA). 19.4%と,この項目では最も高. 団現在使用している 頭像用していない ロ将来的に使用したい口無回答. く,関心を集めていることも わかった。. (9 回答団体の広報・アドポカシー活動に関する意識. 表1 広報活動に対する意識の得点付け結果 調査項目. 分類. 広報は手間がかかり、面倒に思う. 4.33 4.32 4.13 4.10 3.84 2.18 3.63 3.96 3.94 4.18 3.84 3.49 3.54 3.89 3.71 1.98 2.45. 0.95 0.93 1.02 1.04 1.04 1.13 1.15 1.02 1.11 0.95 1.13 1.21 1.26 0.97 0.99 1.14 1.07. 資金が不足しているため広報ができない. 3、00. 人材が不足しているため広報ができない. 2.93 2.65 2.54 2.15. 1.29 1.28 1.15 1.13 1.04. 3.24 2.73 3.85 3.96 2.74 3.99. 1.15 1.10 1.11 1.02 0.93 0.98. 3.40 3.13 2.73 3.90 3.77 3.97. 1.27 1.22 1.09 1.12 1.07 1.07. 社会的な目的を知ってもらうために必要である 自分たちの活動に賛同をしてもらうために必要である 自分たちの活動の支援者を増やすために必要である 自分たちの活動理念を知らせるために必要である 市民活動団体の条件として、広報活動を行うことは必要である 自分たちの思いがあれば広報活動を行わなくてもよい 政策提言活動を行い、広報することは市民活動団体として必要である 会員を増やすために必要である 広報活動の必要性. 事業の参加者を増やすために必要である 地域とのつながりのために必要である 活動範囲を広げるために必要である 支援援助を受けやすくするために必要である 助成金,寄付金を受けやすくするために必要である 他団体との情報交換のために必要である 他団体とのつながりのために必要である 特に活動を伝える必要性を感じない. メディア支援・メディア技術の 不足. 物品が不足しているため広報ができない 広報をするための技術やノウハウがない どのような情報を伝えるとよいかわからない インターネットは広報活動に役立っている ダイレクトメールは広報活動に役立っている. メディアの活用に対する意識. マスコミは広報活動に役立っている 広報のためにマスコミと上手につきあうべきである マスコミに頼らず自分たちで広報すべきである マスコミと自分たちの広報を両方使うべきである 広報活動のために財政支援が必要である 広報活動のための技術支援が必要である. メディア支援の必要性. 平均値 標準偏差. 広報活動を請け負う組織が必要である 行政は広報活動を積極的に支援すべきである 旭川NPOサポートセンターは広報活動を積極的に支援すべきである マスコミは広報活動を積極的に支援すべきである. −72−.

(10) 生涯学習社会におけるNPO等の情報提供およびアドボカシー意識の実態に関する調査. 回答団体の広報・アドポカシー活動に対する意識の傾向を把握するために,広報活動に関 する質問34項目に対して5段階評価を行ってもらった。評価の結果については,まず各項目 の平均値と標準偏差を算出し,項目間の差を見ることとした。その結果を表1に示す。 表に示した平均値の傾向を見ると,「広報活動の必要性」については,自分たちの活動日的を知 らせ,同意を得るためや人的資源を増加させるために広報活動を必要とする意見は高く評価され ており,また標準偏差も他と比較して小さい値となっている。さらに,地域とのつながりのため に必要であるとした質問に対しても高い得点が与えられており,自分たちのミッションや取り組 みを幅広く知らしめることについて高い意識を持っていることが伺える。「資金援助を受けやす くするために必要である」「助成金,寄付金を受けやすくするために必要である」など金銭的な資 源を求めるために広報活動などが必要であるとの意識は他と比べてやや低い値を示しており,ま た標準偏差も若干であるが大きく,経済的な資源確保に向けた広報活動の意義にはばらつきと消 極性がみられるものと予想される。さらに,市民活動団体としてこれから求めらるアドポカシー に対する意識として「政策提言活動を行ない,広報することは市民活動団体として必要である」 との質問に対しても他と比べ低い点となっており,アドポカシーに関する活動への関心や取り組 みに対する意識もまた消極的であると予想される。. また「メディア支援・メディア技術の不足」について,質問項目全体の平均値が低く,不足と 感じていない傾向にあることもわかった。. さらに,「メディアの活用に対する意識」について,ダイレクトメールに対する評価は低くイン ターネットヘの評価が高くなっていることは時代を表しているものと思われる。また,ダイレク トメールやインターネットのような自前メディアに比べ,マスコミに対する期待に対しては高い 評価がなされており,「広報のためにはマスコミと上手につきあうべきである」との質問の得点は 高いものとなっている。あわせて「マスコミと自分たちの広報を両方使うべきである」との質問 にも高い得点がつけられており,マスコミを活用しつつ自前メディアも利用するという組みあわ せ的な使い方に関心があり,広報手段としてマスコミに偏っている傾向もうかがえた。. 「メディア支援の必要性」を見ると,技術支援や支援を請け負う中間支援組織については余り多 くを求めていないようであるが,財政的な支援や行政による広報活動,マスコミによる広報支援 に対して高い得点がつけられている。公的な機関あるいはそれに準じた機関による広報が活動に 役立つものとの理解が中心であることのあらわれと想像される結果となった。 まとめ. 旭川周辺で活動するNPO等を対象に,市民活動団体として求められている広報・アドポカ シー活動の実態ついて調査を行った。その結果,旭川市内で活動する団体は,広報活動を実施し ているものの,支援やネットワーク化に向けた取組みが少なく,マスコミに頼る一方で,自前の メディアや中間支援組織の必要性の意識が低いなど,メディア戦略の考え方に不足が見られる傾 向を得ることができた。. 今後活動分野毎にみられるであろう取り組みのことなりやその背景となる意識構造の分析に行 う予定である。. ー73−.

(11) 今 尚之*),早坂麻衣子*). 【謝辞】. 本調査においては,旭川ひとづくり・まちまなび実行委員会(構成団体:旭川NPOサポート. センター,旭川中央公民館他,平成13年度文部科学省委嘱事業)の皆さまには調査にあたり各種 ご協力をいただきました。また調査データ分析に当たり,北海道教育大学旭川校生活情報教室所 属の大西美佳さん,鍋島塑望さん,藤原大介さん,前田郁芙さんには貴重な時間をいただいて データ入力などに従事していただきました。また,本研究は,北海道教育大学生涯学習教育研究 センターの研究助成金ならびに文部科学省・生涯学習分野のNPOの連携によるまちづくり支援. 事業の支援をいただきました。ここに記して謝辞と致します。 【参考文献】. 1)生涯学習審議会:学習の成果を幅広く生かす一生涯学習の成果を生かすための方策について −(答申),http‥//www.mext.gojp/b_menu/shingi/12/shougai/toushin/990601.htm. 2)ボラナビ倶楽部,http‥//www.npohokkaido.jp/volunavi/ 3)山岡義典編著「NPO基礎講座一市民社会の創造のために−」,ぎょうせい,1997. 4)「広報・コミュニケーション戦略」,JSMS,1992,都市文化社. −74−.

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