小学校体育における「古武術あそび」を用いた「体ほぐしの運動」の試み
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(2) 思う」∼「そう思わない」の4件法). 3−2.毎時の学習カードの作成 1時間毎に実施した各運動に対して,古武術の. えた児童が少ない結果となった.このことから, 古武術あそびの内容を理解できたと思われる.. 特性を理解できたかを「はい」,「どちらでもない」,. 3.実施した運動がrできた」群と因子得点の関係. 「いいえ」の3件法から児童の評価を捉えた.加 えて,各運動の中から印象に残ったものについて, 児童の感想を自由に記述させた. 4.実験授業. 次に,どの運動を行えば, 「体ほぐしの運動」. (1)対象:H県A市S小学校5年生(112人,3 クラス). の3つねらいを感得できるのかを探るために,各 運動に対して「できた」と回答した児童について, 各因子(心身の調節,気づき,交流)における因 子得点から人数の偏りを分析した(λ2検定及び残 差分析).. (2)実施日:平成22年6月7日∼6月28目. その結果,各運動のうち,rキツネさんの手」,. (3)調査内容 授業は,先に示した単元計画にもとづいて筆者 が行った.なお,S小学校の教諭に補助をお願い した.授業場所は,S小学校近くの武道場で行っ た.授業の最後に毎時の学習カードを配付して, 教室に戻ってから記入してもらった.. 皿.結果ならびに考察 1.児童による授業の評価 授業評価の単純集計の結果,すべての評価項目 に対して肯定的な評価が認められたことから,授. 業全体に対して児童が好感を抱いたことがわか. 「人間シーソー」, 「ペアで回る運動」, 「タオ. ル引き運動」において,有意差が認められた.こ の原因はいずれも, 「交流」の上位群に偏りが多 いことに原因があった.つまり,これら4つの運 動が交流を深めたことになる.そして,これら4 つの運動のうち, 「キツネさんの手」, 「人間シ. ーン1, 「タオル引き運動」は, 「カの出し方 ・入れ方」のカテゴリー運動であることから,「力 の出し方・入れ方」の種類の運動を行うことで,. 交流をより一層深められる可能性を示唆してい る.. 節」, 「気づき」, 「交流」3因子を抽出するこ. また, 「ペアで回る運動」は,「相手と合わせ る運動」のカテゴリーであったことから, 「相手 と合わせる運動」を行っても「交流」が深められ る可能性が示唆された. 4.自由記述 次に,各時間で印象に残った運動についての自 由記述を,主にテキストマイニングの手法を用い. とができた.. て分析した.. る.. さらに,全回答者の30項目に対する評価にはど のような因子があるのかを確認するため因子分析 を施した(主因子法,斜交プロマックス回転,初 期値!).その結果,表2のように, 「心身の調. 表2.因子分析の結果 項目文章. 因子負荷量. 14.真剣に運一動することができた.. O.56. ユ.気合いを入れることができた、. O.55. 13.相手におうじてうまく動くことができた.. O,51. 16、新しい動き方を発見できた.. O.〃. lo、友達を助けてあげた.. O.蝸. 29.からだの動かし方がわかった.. 〇一45. 23.スムーズに動くことができた.. O.44. 18.体が軽くなったような気がした. 7、一自、が荒くなったり,汗のかき方など自分の 体の変化がわかった.. O.42. 8.自然に笑顔’になった、. o.50. }2.自分の気持ち(喜び,怒り,やさしさなど〕 を感じた、. 21.友達と自分の良いところをお互いに認め 合うことができた、 19.友達の気持ち(喜び,いかり,やさしさな ど)を感じた.. 22.自分の体の様子(かたさ,柔らかさ、力が ある・ないなど〕、. 皿係数. 因子名. 心身の調節. ことが確認された.. o.眉. O.81. O.53. O.53. 気づき. o.48. o,46. 27.友達と仲良く運動できた.. o.92. lL楽しかった.. O,5]. 5、力をうまくかげんすることができた.. o、価. 2.友達と一・一つになったように感じた.. o.何. その結果,単元全体を通して,どの児童も相手 の体の様子(重い・軽い)や心の変化を感じ取る 「気づき」が深まっていることが確認された.ま た,チャンバラでの一本を取ることや約東稽古の ように,形的な要素を取り入れた運動をすること によって,相手と合わせる喜びを感じていること や相手に合わせるために力の調節がなされている. 交流. 2.毎時の学習カ』ド 毎時の学習カードの結果, 「古武術あそび」に ついて,どの質問に対しても「はい」と答えた児 童が多く, rどちらでもない」, rいいえ」と答. 一417一. lV.総括 以上の結果より, r古武術あそび」は, r体ほ ぐしの運動」の「気づき・交流・調整」というね らいに応じうる運動であることが明らかとなっ た.すなわち,自己と他者の身体への気づき,他 者との交流,そして身体の使い方のそれぞれに有 効であり,なかでも他者との交流については,特 に「力の出し方・入れ方」のカテゴリーにおける 運動が効果的であることが示唆された. 主任指導教員 永木 耕介. 指導教員 永木耕介.
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わな等により捕獲した個体は、学術研究、展示、教育、その他公益上の必要があると認められ
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