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知的障害者への「大人の塗り絵」を用いた余暇指導とスキルの向上が対象者とその家族に与える影響の検討

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Academic year: 2021

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(1)知的障害者へのr大人の塗り絵」を用いた余暇指導とスキルの向上が対象者とその家族に与える影響の検討.                                  特別支援教育学専攻                                  心身障害コース.                                   M07099K                                   岸田朋子. I.問題と目的  ノーマライゼーションの理念の浸透や、. 現在は作業所でお菓子作りの仕事に従事し. QOL(qua1ityof1ife)の向上の観点から、知的.  2.家族の余暇活動のアセスメント. 障害という制約を持った人たちが仲間との 相互的な関わりを増やすこと、年齢相応な活 動を楽しむこと、積極的な社会参加を実現す ることという観点から、余暇指導の重要性が.  対象者の家庭は、父、母、対象者、弟の4 人家族であった。対象者の趣味は漫画を読む こと、ラジオを聞きながら絵を描くことであ った。対象者の両親はクラシック音楽鑑賞を. 指摘されている。. 趣味としていた。.  このような観点から知的障害者に対して 行われてきた余暇活動の研究として、知的障 害児・者の余暇の過ごし方の実態や教師・保 護者の二一ズの調査を行った研究、知的障害 児・者に対して余暇スキルを指導した研究に.  3.指導手続き  1)Step113段階の色鉛筆の持ち方の指導. 分類することができる。.  5)Step5一①:「大人の塗り絵」を用いた家族.  これまで知的障害児・者へ余暇スキルを習. への指導(「塗り絵ガイドブック」あり). 得させる指導を行った研究は多いが、余暇ス.  6)Step5一②:r大人の塗り絵」を用いた家族. キルを向上させることに着目した研究はあ まり行われてこなかった。また、余暇スキル. への指導(「塗り絵ガイドブック」なし). ていた。.  2)Step21色鉛筆1色を用いた塗り絵の指導  3)Step3:色鉛筆2色を用いた塗り絵の指導  4)Step41色鉛筆3色を用いた塗り絵の指導. を獲得した後そのスキルが向上することに よって、本人や家族にどのような影響を与え.  4.評価方法  1)塗り絵スキルの評価  Step2の指導から、『塗り絵ガイドブック」. るのかは見当がなされていない。. と指導による塗り絵スキルの変化を見るた.  そこで本研究では対象者の意向を考慮し た活動である塗り絵とそのスキルを高める. めの手続きを以下に示した。  (1)事前テスト:何の助言なしに対象者に見. ことを目標とした余暇指導を行う。活動の楽. 本を見せて塗ってもらった。. しさを考慮し、スキルの向上と家庭での余暇.  (2)指導:事前テストの後、塗り方の手順が. 活動の定着を目指し、スキルアップしたこと. での対象者とその家族への影響を検討する. 示してあるr塗り絵ガイドブック」を対象者 に渡し、家庭で自由時間に行ってもらった。. ことを目的とする。.  (3)事後テスト:事前テストで使用した塗り. 絵を再び対象者に塗ってもらった。 II.方法.  1.対象者.  指導開始時は知的障害養護学校高等部3年 生に在籍する知的障害のある女性。WISC・皿 の結果はVIQ147,PIQ144,FIQ:40であった。.  対象者の塗り絵スキルの向上を評価する ために、初等教育を専攻する学生10名に見 本の絵と照らし合わせて、事前の絵と事後の 絵を見せどちらが上手く塗れているかの評 価を行ってもらった。その際にどのような部. 一206一.

(2) 分を上手く塗れていると判断したかをアン. かになった。また、家庭内で対象者が描いた. ケート用紙に記入してもらった。  2)家庭での塗り絵活動の楽しさの評価. 絵を掲示し、それを見た父親に褒められたこ とが分かった。.  対象者に家庭におけるガイドブックを用 いた塗り絵の活動の楽しさの評価と活動時 間を知るために記録用紙を添付し、アンケー.  本研究では、知的障害養護学校に在籍し卒. トを実施した。適時母親に対象者の家庭での. 業後福祉就労を予定している知的障害のあ. lV.考察. 様子の聞き取り調査を行った。. る女性に、対象者の意向を考慮した余暇活動 を踏まえ、現在行っている塗り絵活動のスキ. 皿.結果. ルの向上を目指し、また対象者の活動の楽し.  対象者の指導開始前の色鉛筆の持ち方は、. さを考慮して家庭での余暇活動の定着を目 指した指導を行った。平仮名、片仮名、漢字. 下の位置で持ちとても強く色を塗っていた。 一か所の塗り絵を塗る時の線の方向も縦、横、. を読み書きすることのできる対象者に合わ. 斜めとバラバラで統一感がなかった。Step1 では色鉛筆を3段階に持ち、「こく」「ふつ う」rうすく」の3つの色を塗り分ける指導 を行い、指定された持ち方で塗ることができ. せて塗り絵ガイドブックを作成した。それを. るようになった。. 上の有効性を明らかにすることができた。ス.  対象者へのアンケートより、全ての期間を. キルが向上したことによって他人から賞賛. 通じて概ね塗り絵活動に対する好意的な評 価を聞くことができた。活動時間も楽しさに 比例して伸びていき、ガイドブック以外の対 象者が好きな塗り絵や絵を描くことも行っ ていた。しかし、Step4の期問に生活環境の 変化から家庭での活動時間がO時間となり、 塗り絵活動よりもテレビを見る等受動的な 余暇を選択していた。そのため、これまでと. を受ける機会が増えたことで、絵を描く活動. 用いて家庭において一人で活動することが できる知的障害者に対してガイドブックと いう支援ツールを用いた塗り絵スキルの向. の動機づけが高められたものと推測される。. Step5一①からは一人だけではなく、家族と. 共に活動できるように活動内容を選定した が、両親の都合により一緒に行うことはなか った。このため、家族と共に余暇活動を行う ためにはより詳細な家族の二一ズを検討し、. 活動する機会や場面を設定するなどの取り. 異なる水彩色鉛筆による活動方法を提案す. 組みが必要であると思われる。. ることで再び活動が見られた。.  対象者の意向を考慮した余暇活動は生活.  第三者による対象者の塗り絵スキルの評. 環境が変化しても維持されやすく、本人なり. 価は、各ステップにおいて、指導後の塗り絵. に楽しみを見つけながら活動を行うことが. の方がrふちどりをして塗ることができてい る」「形にそって塗ることができている」r色 を混ぜて塗ることができている」「色の濃淡 が塗り分けられている」と塗り絵が上手く塗 れ、他者から見ても上手いと評価されるため. できる可能性が示唆された。余暇のスキルが 向上したことにより、生活環境が変化しても 自分なりの楽しみ方を見つけることができ、. 家庭において余暇活動として維持されたも のと考えられる。. のスキルが身についていることが分かった。.  塗り絵の指導を開始してからの対象者の 様子を知るために母親へ聞き取り調査を行 った。Step2ρ期間に家庭場面においてお風 呂掃除の仕方に変化が見られたことが明ら. 一207一. 主任指導教員 井澤信三   指導教員 井澤信三.

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