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ヘーゲル「法・権利の哲学」第1回講義の国家・政治体制論 : 1817/18年・冬学期(ハイデルベルク大学)

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Academic year: 2021

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(1)ヘ ー ゲル 「法 ・権 利 の哲 学 」第1回 1817/18年. ・冬 学 期(ハ. 講 義 の国 家 ・政 治体 制 論. イ デ ル ベ ル ク 大 学). 福 吉 勝 男. ヘ ー ゲル は 、主 著 の一 つ で あ る 『法 ・権 利 の哲 学 要 綱 』(以 下 で は 『要 綱 』 と記 す)を1820年 に 刊 行 した 。 この著 作 刊 行 の 目的 は 、 そ の 「 序 文 」(Vorrede)冒. 末. 頭 に お い て 、「こ の要 綱 を 出版 す. る直 接 の き っか け は 、 私 が 職 責 上 、 法 ・権 利 の哲 学 につ い て行 な う講 義 のた め の手 引 書 を 、 聴 講 者 た ちに 持 た せ て お く必 要 とい うこ とに あ る」(Grundlinien、S.11藤. 野 ほ か訳 、153頁)と. ヘー. ゲル 自身 が 書 い て い る よ うに 、 学 生 へ の 講義 の た め の テ キ ス トと して意 図 され た ので あ る。 「法 ・権 利 の 哲 学 」 の 講 義 に 関 係 して 、 す で に 『要 綱 』 刊 行 以前 の1817/18年. 冬学期にハ イデ. ル ベ ル ク大 学 に お いて 最 初 の もの が 行 な わ れ て い る。 この講 義 を含 め て 『要 綱 』 刊 行 以 前 に3回 (第1回. ・1817/18年 冬 学 期 、第2回. 後 に4回(第4回 第7回. ・1818/19年 冬 学 期 、第3回. ・1821/22年 冬 学 期 、 第5回. ・1831年 冬 学 期)ヘ. ・1819/20年 冬 学 期)、 刊 行 以. ・1822/23年 冬 学 期 、第6回. ・1824/25年 冬 学 期 、. ー ゲル は 講 義 を 行 な って い る。. み られ る よ うに 、 「 法 ・権 利 の哲 学 」に 関 して は ヘ ー ゲル は 生涯 に7回(但. し、第7回. は、 開 始 され て ま もな く病 気 の た め 中 断 され 、 そ の 直後 に 死 去 して い る の で実 質6回)講 な った こ とに な る。 本 稿 に お い て 私 が 考 察 の 対 象 に す る の は 、1817/18年. め の もの 義 を行. 冬 学 期 に ハ イ デル ベ ル. ク大 学 で行 なわ れ た 第1回 講 義 で あ る。 この 講 義 は 、1817年10月 下 旬 か ら翌 年 の3月 下 旬 ま で 、 1週 に6回(午. 前10時 ∼11時)実. 施 され た 。. こ こで あ らか じめ、 この講 義 録(聴 講 生 の ヴ ァ ンネ ンマ ンに よ る筆 記 録)に 注 目す る理 由 と こ の講 義 の有 す る特 徴 に つ いて い くつ か 指 摘 して お きた い 。 この うち特 に後 者 に つ い て は 、本 稿 の 後 半 に お い て詳 し く検 討 す る予 定 で あ る。 注 目を ひ く第1の 点 は、 こ の講 義 録 が1820年 末 刊 行 の 『要 綱 』 以 前 に 行 な わ れ た 三 つ の 講 義 (録)の. なか で 、 分量 的 にみ た 全 体 構 成 に お い て 『要 綱 』 に 最 も近 似 して い る とい うこ とで あ る。. 周 知 の よ うに、 『要 綱 』 は 全 体 で360パ ラ グ ラ フ(節)か. ら構 成 され て い る(「 序 文 」 や 「序 論 」 を. 除 く)。 第1回 講 義 録 は170パ ラ グ ラ フ、 第2回 講 義 録 は142パ ラ グ ラ フか ら成 り立 っ て い る の に 対 して、 第3回 講 義 録 はパ ラ グ ラ フに 区 切 られ て い な い 。 この よ うな パ ラ グ ラ フ とい う分量 か ら み て、 第1回 講 義 録 を編 集 したK.-H,イ ル テ ィ ング は 、 この講 義 録 はrr1820年. テ キ ス ト[要 綱]』. の本 源 形 態 」 と して あ る とい うので あ る。 注 目す べ き第2の 点 は、 内容 上 の特 徴 に つ い て で あ る。 この 点 に つ い て 先 の イ ル テ ィ ン グは 次 の よ うに述 べ る. 「 第1回 講 義 は立 憲 つ ま り議 会 君 主 制 の 、 した が って ヨ ー ロ ッパ 大 陸 に お け. る最 初 の近 代 的 な憲 法 ・国制 の理 論 的 基 礎 づ け を 実 証 して い る」。 ま た ヘ ー ゲ ル 研 究 者 と し て 著 名 なL.ジ ー プ も第1回 講 義 録 を 高 く評価 して 、 こ う述 べ て い る. 「ヴ ァ ンネ ンマ ン筆 記 録[第.

(2) 1回 講 義 録]を 読 ん で受 け る い ろ い ろ の驚 き の一 つ に 、 ヘ ー ゲ ル がす で に ハ イデ ル ベ ル ク で(18 17年)、 『民会 論 文 』 の立 憲 政 治 の構 想 を 明 らか に 自分 の もの に して いた だ け で な く、3年 後 に公 刊 され る著 作[『 要 綱 』]に 、 基 礎 お よびr建 築 術 』 の点 で、 非 常 に近 接 す る体 系 的 な 法 ・権 利 の 哲 学 を も 自分 の もの に してい た とい うこ とが あ る」。 こ の よ うに イ ル テ ィ ング、 ジ ー プ の両 者 に よ り高 く評 価 され る講 義 録 な の で あ るが 、 この 点 そ の も の の確 認 と と もに 、 イル テ ィン グが さ ら に指 摘 す る次 の点 の確 認 な らび に 検 討 が 重 要 で あ る。 つ ま りイ ル テ ィ ング は、 「ヨー ロッ パ 大陸 に お け る 最 初 の近 代 的 な 憲法 ・国 制 の 理 論 的 な 基 礎 づ け 」(第1回. 講 義 録)か. ら、 「 復 古政 治 に順 応 」 す る方 向(1820年. 『要 綱 』)に ヘ ー ゲル が み ず か ら. の政 治 的立 場 の転 換 を 図 った とす る点 の検 討 と い う こ とで あ る。 これ ら二 点 を 中心 と した事 柄 の詳 細 な 検 討 は しば ら く後 に まわ す こ とに して 、 まず は 第1回 講 義 録 の 「第 田部 訳(テ. 倫 理 」 中 の 「3.国 家 」、ra.国. キ ス トのS.148-189)し. 内法 」 部 分 を 特 に そ の 「 主 文」 に 注 目 して 翻. て お きた い。(な お 「 主 文 」 に 続 い て 、 分量 的 に 「主 文」 の 数倍 の. 「 注 解 」 が あ る。) 当該 個 所 の翻 訳 に こだわ る の は、 邦 訳 は まだ な され て いな いた め もあ るが 、 ヘ ー ゲル が 「 政治 的立 場 の 転 換」 を 図 った か ど うか の評 価 は当 面 直 ち に 問わ な いに して も、政 治 的 立 場 を 考察 す る に最 適 の 個所 が この 「国 内法 」 に他 な ら な い と考 え るか ら で あ る。. 第127節[国. 3.国. 家. a.国. 内法. 家 の有 機 的 な分 節 的 組 織 と して の 憲 法 ・国 制]. 国 家 とい う倫 理 的総 体性 は 、 普遍 的 で 自由 な意 志 が必 然 的 に現 わ れ る とい うよ うに 、 現実 的 な 生 命 性 を 有 して い る。 だ が 、 そ れ は 国家 が有 機 的 な 全体 的 な も の で あ るか ぎ りに お い て で あ る。 自 由の 有 機 体 、 す な わ ち 国民 の 理性 性 が憲 法 ・国制(Verfassung)で 第128節[外. あ る。. 的威 力 と しての 国 家]. 国 家 が 総 じて 欲 求 と特 殊性 の 体 系 に対 して と同 じよ うに個 々 の も のに 対 して 外 的 必 然 性 で あ る の は、 欲 求 お よび 特 殊 性 の 目的 と国 家 の 目的 とが 矛 盾 して い る場 合 に お い て で あ る。 欲 求 と特 殊 性 の 目的 は 外 的 な 目的 と して そ れ だ け で 固 定 さ れ るか ら、 国 家 の威 力 は 権 力 と し て 現 わ れ 、 これ に対 して 国 家 の 法 ・権 利 は 強制 法 と して 現 わ れ る。 第129節[国. 家 の な か で の 国民 精 神 の実 現]. 国家 体 制 を顧 慮 して 次 の 二 つ の 側 面 が 考 察 され ね ば な らな い: 1.国. 家 の 内 的 な有 機 的 な 規 定 か らみ た 国 家 の 概 念 、. 2.一. 般 的 な もろ もろ の職 務 へ の諸 個 人 の 配 置 と関 与 。. 国 家 体 制 の概 念 は それ 自身 次 の二 つ の契 機 を 含 ん でい る: a.普. 遍 的 で 堅実 な精 神 と.

(3) b.現. 実 的 で 、 み ず か らの 活 動 を 通 して 己 を 表 現 す る精 神 で あ る とい うこ と。 そ うい った もの と して そ の 精神 は 意 志 の 自己 規定 と個 体 性 とを みず か らに も っ て い る 。 意. 志 の 自己 規 定 とは 実 体 で あ り、 す べ て の 人 の 目的 と 自己 意識 で あ る。 しか しな が ら 、現 実 性 と活 動 性 と して の そ の 精 神 は みず か らの な か で 分 け られ な い塊 と して 自 己を 保 持 して い る 限 りで 、 した が って 普 遍 的 な もの の この個 人 的 な意 志 は恣 意 と偶 然 性 で あ り、 また 全 体 的 な も の は 直接 的 な 現 実性 に す ぎ な い の で あ る。 第130節[国. 家 にお け る 自由の 内 的 必 然 性]. 精 神 的実 体 が みず か ら 自身 を生 き生 き と表 現 す る の は、 実 体 自身 に おけ る次 の よ うな 有 機 的 な 活 動 で あ る:自 己 へ の否 定 的 な 関係 と して の 自 由、 した が って 普 遍 的 精 神 の 自己 自身 に お け る区 別 、 そ して精 神 の 普遍 性 が この 区別 か ら 出 て行 くこ と、 精 神 の普 遍 的 な 職 務 や 権 力 を精 神 に と っ て様 々 な権 力 と職 務 と して概 念 の契 機 へ と区 分 す る こ と。 普 遍 的 な 仕 事 で あ り存 在 で あ る と と も に普 遍 的 な心 指 し(Gesinnung)で. もあ る究 極 目的 の 様 々な 職 務 領 域 の特 定 の働 き か ら も た ら さ. れ る とい う、 この こ とは 自由 の 内的 必 然 性 で あ る。 第131節[国. 家 諸 権 力]. 国 家 の概 念 に は次 の三 つ の契 機 が 含 まれ て い る: 1.一. 面 で は憲 法 ・国制 お よび 憲 法 ・国 制 と い う法 律 と して の、 他 面 で は 本 来 の 意 味 に お け る. 法 律 と して の普 遍 的 で理 性 的 な 意 志 、 一 2.普. 憲 法 ・国 制 そ の もの と立 法権 、. 遍 的 意 志 の特 殊 化 、 つ ま り審 議 ・助 言 と反 省 と して 特 殊 的 な もの を 普遍 的 意志 の も とへ. 包 摂 す る こ と。 そ れ は、 一 面 で は 特 殊 的 な も のを 普 遍 性 の 形 式 へ と引 き上 げ 、 そ して特 殊 的 な も のを 普 遍 性 のた め に調 整 す る こ とで あ り、 他 面 で は 普 遍 的 な もの を個 々の もの へ適 用 す る こ と で あ る、 一 3.自. 統治権、. 己 に おけ る全 体 的 な も の の反 省 、 最 終 的 な 決 定 と命 令 と して の個 体 的 意 志 、. 第132節[法. 君 主権 。. ・権 利 と して の 様 々 な権 力]. こ の区 分 は次 の よ うで あ る。 1.自. 由 の た め の絶 対 的 な保 証 、 何 故 な ら こ の保 証 に よ って 自 由は も っぱ ら 自己 に お い て 現 実. 的 な法 ・権 利 を有 す るか ら で あ る。 法 ・権 利 は 自 由 の現 存 在 で あ る。 つ ま り、 現存 在 は しか しな が ら規 定 と区別 に お い て のみ 存 在 す る。 憲 法 ・国 制 に お いて 普 遍 的 意 志 の 特殊 的 な 職 務 は た ん に義 務 で あ る だ け で な く、 様 々 な権 力 と して 法 ・権 利 で も あ る とい うこ とに よ って 、 普 遍 的 意 志 と特 殊 性 との結 合 が次 の よ うな側 面 か らみ る と存 在 す る。 この 側 面 へ は 個 々人 の 本 来 の働 き と関心 が 向 け られ 、そ して個 々人 の権 利 を 彼 ら 自身 の もの と して 擁 護 しな け れ ば な らず 、 同様 に そ の よ うな特 殊 な義 務 に服 して い る諸 個 人 が普 遍 的 労 働 の この 区 分 を 通 して 陶 冶 ・形 成 さ れ 、 そ して 自身 の法 ・権 利 と して普 遍 的 意 志 の本 質 的 契 機 の 保 持 の うち に 本 来 の 自己意 識 を持 つ の で あ る。 第133節[国. 家 の 一 体 性]. この 区 分 は特 殊 的 な職 務 を 、本 来 の権 利 を持 った 自立 した組 織 体 にす る ので あ るか ら、 こ の区.

(4) 分は 2.特. 殊 的 な職 務 に相 互 に 自立 性 を与 え る の で は な い。 した が って全 体 的 な もの の一 体 性 は職. 務 の 自立 した行 為 か ら結 果 す るはず の もの で は な い の で あ る 。 そ うで は な くて、 職 務 は みず か らに お い て総 体 性 で あ るか ら、職 務 は み ず か らの規 定 と権 利 を一 面 で は た だ普 遍 的 な憲 法 ・国 制 に お い て の み 、 また そ の 憲法 ・国制 に よ って の み有 し、 他面 で は職 務 は最 終 的 な意 志 決 定 の た め に 現 実 の 個 体 的 統 一 へ と合 流 しな け れ ば な らな い 。 第134節[憲. 法 ・国 制 の基 礎 と して の 国民 精 神]. 最 初 の、 そ して最 も重 要 な 問 い は 、 国 民 の うち で 誰 が 憲法 ・国制 を つ くらな けれ ば な らな い か とい う点 に あ る よ うに み え る。 憲 法 ・国 制 は む しろ 法 的 で倫 理 的 な 国 民 生活 の絶 対 的 に存 在 す る 基 礎 と して 考 察 され るべ きで あ って 、 本 質 的 に い え ば 、 な に か つ く られ た よ うな もの 、主 観 的 に 定 立 され た もの と して 考 察 され るべ きで は な い 。 憲 法 ・国制 の絶 対 的 な根 拠 は 、歴 史 の な か で 自 己展 開す る国 民 精 神 の 原 理 な の で あ る。 この 展 開 に お け る個 々 の 規 定 の 原 因 は 非常 に 多様 な形 態 を もち うる。 進 行 自身 の こ の歴 史 的 な もの は 憲 法 ・国 制 に い っそ う高 い 権威 の 形態 を付 与 す る の で あ る。 第135節[国. 家 の 自然 的原 理 と精神 的原 理]. もろ もろ の憲 法 ・国 制 の一 般 的 な 区 別 は 、 そ れ らが 自然 に基 づ い て い るの か 意志 の 自由 に基 づ い て い る のか ど うか とい う点 に あ る。 自然 の 原 理 に よ る と貴 族 の 家 系 や 英雄 の 家柄 とい う出 生 に よ るの で あ り、 そ れ らの 家 系 や 家 柄 に は 心 指 しや そ の 他 の 弱 者 た ち が 結 び つ け られ て お り、 そ し て 自然 的 で神 的 な依 存 性 に お い てみ ず か らに 対 立 して い る。 しか し意 志 の 自 由の原 理 に よる と、 私 的 権利 や 政 治 的 権 利 は 諸 個 人 自身 の固 有 の 意 志 所 有 で あ る。 家 長 的 ・父 権 的 で東 洋 的 な制 度 、 さ らに貴 族 的制 度 、 最 後 に民 主 主 義 的 制 度 、 これ らは 自然 的 で 神 的 な 直 観 の 自然 的原 理 か ら意 志 の 原理 へ の移 行 を、 つ ま り精 神 的で 神 的 な もの の 原 理 へ の 移行 を 特 徴 づ け て い る。 第136節[国. 民 精神 の 歴 史 性]. 国 民 の憲 法 ・国制 のい っそ う立 ち入 った 特 性 は 、 地 理 的 な様 々な 原 理 に 依存 して い る 以外 に 、 自 由に つ い て の 自己 意 識 の段 階 に、 つ ま り国 民 の 精 神 的 陶 冶 ・形 成 一 般 に 依存 して い る。 一 つ の 重 要 な要 素 は国 家 の外 的 な大 き さ とい うこ とで も あ り、 この 大 き さに よ って 一般 的 な利 害 が個 人 に 一層 近 くな っ た り遠 くな った りし、 また 個 人 の 国 家 に 対 す る 積 極 的 な 関心 が よ り重 要 に な っ た り無 意 味 に な っ た りす る。 ち ょ う どそ れ は 、 国 民 の 政 治 的 で 内 的 な 自立 に つ い て の 自 己意 識 もま た 他 の諸 国民 へ の関 係 と連 関 して い るの と同 じ よ うで あ る。 第137節[憲. 法 ・国 制 の 発 展 の 結 果 と して の立 憲 君 主 制 ]. 市 民社 会 に ま で一. 総 じて 、 自由 な 自我 が み ず か らの 現存 在 に お い て 、 つ ま りみず か ら の欲 求 、. 自 由意 志 、 お よび 良心 に お い て みず か らの 無 限 性 の 意 識 に まで. 自己 を展 開 した国 民 に お い て. は、 立 憲君 主 制 だけ が可 能 な の で あ る。 な ぜ な ら、 特 殊 性 の 自己 へ の 反 省 は 、 自己に お い て具 体 的 な 個 体性 と して 自己 の特 殊 的 な諸 契 機 へ と分 け られ る普遍 的 精 神 の側 面 か らみ る と、. 憲法. ・国 制 で あ るか らで あ る。 しか しなが ら他 の 側 面 か らみ る と、 先 の反 省 は現 実 の個 別 性 の、 個 体.

(5) 的 主 体 の契 機 で あ る、一. つ ま り君 主 の 契機 な の で あ る。. α.君 第138節[正. 主権. 統 と君 主 的 原 理]. 君 主 権 は みず か ら次 の三 つ の契 機 を 含 ん で い る:君 主 権 が そ の も とに 自己 の実 体 的 な 基 礎 を も つ憲 法 ・国制 お よび法 律 の普 遍 性 、 そ して 審 議 一 般 、 さ らに 最終 決 定 とい うも の で あ る。 こ の決 定 は個 体 的 な もの と して 、数 的 一 者 と しての あ る現 実 の 個 人 に 、 つ ま り君 主 に 帰 着 す る。 こ の君 主 は 、 直接 的 な 、 した が っ て 自然 的 な 仕 方 で 、 つ ま り出 生 に よ って 、意 志 の抽 象 的 な 自己 の この 究極 の か つ 直接 的 な個 別 性 と して、 そ の よ うに 規 定 され て い る。 こ うす る こ とに よって 、 国 家 の 究極 の 現実 的 な一 体性 を恣 意 の 目的 に し、 そ してそ の一 体 性 を 特 殊 性対 特 殊 性 の領 域 へ と引 き降 ろ す とい う一 い った. つ ま り王 座 そ の も の を め ぐる党 派 対 党 派 の闘 いや 、 国家 権 力 の 弱体 化 のた め に と. 可能 性 が 阻 止 され 、無 くされ る の で あ る。 並 び に そ うす る こ とに よ って、 君 主 の人 格. 的 な もの の 中 の 偶 然 的 な もの もま た 、憲 法 ・国制 と統 治 権 の完 全 な 内的 な堅 固 さを通 して ど うで も よ くな る の で あ る。 第139節[君. 主 の無 答 責 の 条 件 と して の 裁 決 の 主 体 性]. 決 定 の 客 観 的 な もの一. 内容 と法 的根 拠 と学 識 根 拠 一. は、 裁 決 の 主 体性 の な か に直 接 的 には. 含 まれ て い な い の で あ るか ら、君 主 は一 切 の統 治 行 為 に対 して責 任 が な い。 君 主 は 国民 の最 高 の 代表 者 で あ るが 、 しか し最 高 の 国家 公 務 員 で は な い し、 国民 に委 任 も され て い な い し、雇 用 もさ れ て は い な い 。 また 君 主 は 国民 との契 約 関係 に あ るわ け で も な い ので あ る。 そ うした諸 規 定 には 、 君 主 の 概念 規 定 を 構成 す る主体 性 の直 接 性 に矛 盾 す る意 志 に よる根 拠 づ けが 横 たわ って い る。 君 主 に は 特 に 、 国 家 公 務 員 の 任 命 に お け る 、並 び に 司法 活 動 を考 慮 して い うと、 犯罪 者 の恩 赦 にお け る最 終 決 定 とい うこ と もま た 帰属 す る 。 第140節[決. 、. 定 の客 観 的 な も の と大 臣 お よび 枢 密 官 の 責 任]. 君 主 権 に 含 まれ た 他 の契 機 は 、 普遍 的 な もの 一. 内容 と事 柄 一 般 の 根 拠 お よ び 客 観 的 な も の. を 君 主 に もた らす 次 の よ うな審 議 す る役 割 で あ る:そ れ は一 面 で は、特 殊 な要 件 の決 定 に対. して 遂 行 しつ つ あ る権 力 な い しは統 治 権 の頂 点 に立 つ 内 閣 で あ り、 他 面 で は普 遍 的 な もの お よび 法 律 と して 普 遍 的 な 要 件 の 準備 と審 議 の た め の枢 密 院 で あ る。 これ ら諸機 関 の 上 に 、統 治 行 為 の 責 任 が 降 りか か る。 彼 らの個 人 的 な[採 用 の さい の]選 択 と放 免 ・解 雇 は 、君 主 自身 の特 殊 な人 格 と深 く関 係 して い る君 主 の恣 意 に 帰属 す る。 君 主 権 の責 任 が大 臣に 帰 せ られ る こ とに よ って、 どん な 責 任 も ま った く個 人 的 に な る こ とは な い し、 そ して君 主 の何 か 個 人 的 な側 近 か らや 宮 廷 ・ 廷 臣 また 特 定 の 摂 政 の 行為 か ら生 じる こ と もあ りえ な い。 君 主 のす べ て の 決 定 は 当 該 の 大 臣 に よ って 署 名 され ね ば な らな い の で あ る。. 統治権 第141節[統. 治 の課 題].

(6) 統 治 権 は、 こ こで は 内部 へ 向 って い く もの と してな お 考 察 され る と、総 じて特 殊 的 な もの の 保 持 と福 祉 お よび 特殊 的 な もの の普 遍 的 な も のへ の還 元 、 並 び に 普遍 的 な 目的 の ため に 公 共 施 設 を 調 達 す る ことへ の還 元 に 関わ る。 特 殊 的 な要 件 そ の もの は 、 まず もっ て個 々 の地 方 自治 団体 、 同 業 組 合 、 諸 社会 階層 、職 業 団体 な どの特 殊 な 所 有 で あ り、 目的 で あ り、 そ して利 益 な の で あ る。 そ れ らは み ず か らに よっ て法 的 に管 理 され るだ け で な く、 この 自治 に お い て もまた 次 の よ うな倫 理 的 な面 が あ る。す なわ ち、 個 々人 に とって み ず か らの 身近 な特 殊 な 利 益 が 普 遍 的 な要 件 に な る とい うこ とで あ り、 そ して この普 遍 的 な 要 件 に 個 々人 は 、 そ の領 域 の 絶 対 的 な存 立 を なす と ころ の国 家 全 体 の反 省一 第142節[自. 国 家 のた め の絆 、 働 きそ して利 益 一. を もつ の で あ る。. 治]. 個 々の 地 方 自治 団体 、 行 政 区 、 府 ・県 ・省 、 商 工業 団体 、 そ して 社 会 階層 が 一 つ の全 体 に 結 び つ け られ 、 そ して社 会 的 利 益 とそ の特 殊 的 な 目的 の処 理 のた め に 、 そ の よ うな 権利 と して もた な け れ ばな らな い だ け で な く、 第1に み ず か らに お い て組 織 化 され 、 そ して 固 有 の管 理 者 、 長 、 経 営 者 な ど審 議 し決 定 す る官 庁 に お い て もた ね ば な らな い。 これ ら官庁 は 、 一 面 で は決 定 し執 行 す る権 威 で あ るが 、 しか しなが ら 同時 に よ り上位 の 権威 に従 うの で あ るか ら、 そ して他 面 では 官 庁 が 配 慮 す るみず か らの領 域 の直 接 的 な所 有 と利 益 が あ る ので あ るか ら、市 民 官 庁 の選 任 方 法 は 一 般 に 市 民 たち や 同 じ階 層 の者 に よる普 通 選 挙 と、彼 らに依 存 しな い 上 か らの 任 命 との混 合 とい う こ と に な るで あ ろ う。 第143節[国 第2の. 家 管 理 の 一体 性]. ことは 次 の こ とで あ る。 す なわ ち 、 これ ら特 殊 的な 利 益 、社 会 階層 そ して行 政 官 庁 が 統. 治 権 に よ って 普 遍 的 な もの の枠 内 で維 持 され 、 普 遍 的 な も のの な か へ 連 れ戻 され る とい うこ とで あ る。 こ の場 合 、統 治 権 の代 理 者 や 国家 公 務 員 や 、最 高首 脳 と して 内 閣 へ と合 流す る と ころの 、 本 質 的 に協 議 体 と して構 成 され て い る上 級 諸 官 庁 に よ って行 な わ れ るの で あ る。統 治 の諸 官 庁 の 組 織 化 に あた って次 の こ とが本 質 的 な こと と して あ る。す なわ ち、 一 方 で は 、 市民 生 活 が 具 体 的 な場 で あ る下 部 の方 か ら具 体 的 な仕 方 で統 治 され る よ うに組 織 化 され ね ば な らな い と同時 に 、 他 方 で は 、 この統 治 の一 般 的 な職 務 が抽 象 的 な 諸 部 門 に 分割 され て、 これ ら諸 部 門 が別 々 の中 心 点 と して の それ ぞ れ 独 自の諸 官 庁 に よ って取 り扱 わ れ な が らも、 最 高 の 統 治 権 に お い て再 び具 体 的 に一 望 の うちに 眺 め られ る よ うに組 織 化 され ね ば な らな い の で あ る。 第144節[公. 務 員 の任 命]. 諸 官庁 や 国家 公 務 員 とい った職 務 へ の任 命 に あた って の客 観 的 な も のは 、 彼 らの能 力 の証 明 で あ る。 この証 明 が、 任 命 の 唯一 の条 件 と して各 市 民 に 普遍 的階 層 に身 を 捧 げ る可 能性 を保 証 す る。 こ うした 職務 に就 く諸個 人 は み ず か らの精 神 的 か つ 特 殊 的 な生 存 の主 要 関 心 を、 国家 の奉 仕 に献 身 す る とい う関係 のな か へ 置 く。 そ して諸 個 人 が踏 み 入 る官 庁 は 、普 遍 的 な職 務 の うち の 、憲 法 に よ って 権 限 の与 え られ た 特殊 な 部 署 で あ る。 同時 に 、 これ ら職 務 に就 く諸 個 人 の職 務義 務 と し て の特 殊 性 を考 慮 す る と、 彼 らは 任 命 の 主観 的側 面 に した が って君 主 権 に権 限 が あ る地位 か ら遠 のけ られ うるの は恣 意 に よ って で は な く、形 式 的 な判 断 に よる 以 外考 え られ な い ので あ る。.

(7) 第145節[公. 務 員 の責 任]. 公 務 員 の 責 任 は まず 、 本 質 的 に 利害 を有 す るは ず で あ る上 級 諸 官 庁 に対 して 、公 務 員 に よ って 代 表 され る統 治 の 権威 を 主 張 す るに 向 か う。 そ して 、 そ の 公務 員 の 同僚 は そ の 内部 で特 殊 な 位 置 に あ る。 も う一 つ の保 証 は 、 この 領域 の外 部 に あ るに ち が い な い。 そ れ は 、一 面 で は議 会 に あ り、 他 面 で は まず 官庁 の 有機 体 の うち に 、 そ して市 民 生活 の 特殊 諸 領域 の権 限 の うち に あ る。 こ うす る こ とに よ って 、 市 民 が 直 接 関 わ る政 府構 成 員 の 権 力 は 、 まず 第1に 監 督 、審 議 そ して形 式 的 な 決 定 に 制 限 され る。 そ して 公 務 員 は 、 ほ ん と うの 国 家 公 務員 で あ る よ う、す な わ ち君 主 の 公 務 員 で あ る と と もに 市 民 の 公 務 員 で あ る よ う強制 され る。 そ の よ うな 関係 に よ って 国家 の最 大 の 悪 の 一 つ 、 す な わ ち公 務 員 の 立 場 か らの 離反[公. 務員 の 立 場 か ら離 れ 、 それ に反 して い る こ と]が 防. 止 され る。 公 務 員 は 、 国 民 の 知 性 と教 養 あ る法 的 な 意識 とが 属 す る中 間 身 分(Mitteistand)の. 主. 要 部 分 を な して い る。 また 先 の よ うな 関 係 に よ って 、 中 間 身 分 が みず か らの技 能 と教 養 、 並 び に 職 務 権 限 に よ り、 恣 意 と市 民 の 抑 圧 の た め に 形成 す る関 係 が 防 止 され る の で あ る。. γ.立 法 権 第146節[憲. 法 ・国制 と立 法 権 に よ るそ の形 成 ・発 展]. 立 法 権 が 国 家 の 普 遍 的 な もの に 関 わ るの は 、 一 面 で は 本 来 の 法律 と して 、他 面 で は ま った く普 遍 的 な 国 内の 統 治 要 件 と して で あ り、 また他 の 一 面 で は 、 絶 対 的 に あ る憲法 ・国制 を基 礎 に して 、 法 律 が 次 々 と作 成 され て い く中 で 、 しか も普 遍 的 な 統 治 要 件 そ の もの の 前進 的 な性 格 に お い て 一 層 発 展 せ られ るの で あ る。 諸 制 度 の同 程 度 の 発 展 を 伴 わ な い 精 神 の 発展 は 、 した が って前 者 と後 者 は 矛 盾 して い る ので あ るが 、 た んに 不 満 の 源 泉 に な るだ け で な く、 革 命 の源 泉 に もな るの で あ る。 第147節[立. 法 権 に お け る議 会 的 要 素]. 立 法 権 は 国 家 権 力 の 本 質 的 な 一 部 で あ る。 そ して立 法 権 に つ いて の 最 も悪 い 見方 の一 つ は 、 立 法 権 を 統 治 ・政 府 と本 質 的 に 対 立 した も の とみ る見 方 で あ る。 立 法 権 は しか しな が ら、 必 然 的 に 枢 密 院 や 内閣 に 関 わ る諸 官 庁 、 ま た統 治 ・政 府 委 員 会 に委 ね られ る も ので は な い 。 立法 権 に お け る主 要 契 機 は議 会 的 な も のな の で あ る。 議 会 と と も に、 普 遍 的 意 志 と して 、 また 理 性 的 な も の と して制 定 され る も のは た んに 偶 然 的 で即 自的 で あ る の で は な くて、 対 自的 に一 の積 極 的 な 関心 と 自覚 的 な信 頼 を もっ て 第148節[議. 普遍的な市民性. 、 そ して 必然 的 に存 在 す る で あ ろ う。. 会 に お け る国 民 の 代 表]. 議 会 は そ の概 念 に お い て 、一 面 で は絶 対 的 に理 性 的 な もの と して の普 遍 的 意 志 の契 機 を含 ん で い る。 この契 機 か らみ る と議 会 に対 立 した も の と規 定 され る統 治 ・政 府 は 、支 配 権 の、 つ ま り偶 然 性 と恣 意 の抽 象 的 な個 体 性 で あ る。 他 の側 面 か らみ る と、議 会 に お い て は 国民 が大 衆 と して の 抽 象 物 に お い て 、秩 序 づ け られ た 国家 統 治 とは 区別 され て現 わ れ る。 大 衆 が そ の被 規 定 性 に お い て み られ る限 り、 大 衆 は 多数 の個 々の 特殊 的 な社 会 階 層 で あ り、 そ の利 益 は議 会 に義 務 づ け られ て い る 。 これ に 対 して 、 政 府 ・統 治 は 国家 の 普遍 的 な もの と して規 定 さ れ て い る。 立 法 権 の組 織.

(8) に お い て は 次 の二 重 の 保証 が 同等 に必 然 的 で あ る。 一 つ に は 、 こ の大 衆 の現 わ れ と特 殊 的 な利 益 の主 張 は 国 家 に対 す る暴 力 で は な い とい うこ と、 並 び に も う一 つ には 、 国家 は政 府 ・統 治 と して 立 法 の諸 機 能 を独 占 し、 そ して 支 配権 に な る と い うこ とで あ る。 第149節[議. 会 に お け る国家 諸 機 関 の 呈 示]. この保 証 は一 般 的 に 、 立 法権 の概 念 に お い て は、 立 法 権 の諸 行 為 に 要 求 され る次 の よ うな 点 に あ る。 1.諸. 法 律 の形 式 的 な 提 案 ・発議 と他 の諸 契 機 の決 定 の証 明 が帰 着 す る国家 権 力 の 普 遍 的個 体. 性 と して の君 主 的 原 理 、 2.審. 議 し、 そ して 国 家 管理 の あ らゆ る部 局 につ い て の 、 ま た 国家 管 理 の必 要 と して い る もの. に つ い て の知 識 と見 通 しを 持 ち 、競 争 す る も の と して の 内 閣 と枢 密 院 、 そ して 3.特. 殊 性 お よび個 別 性 の立 場 と利 益 を守 る が 、 しか しな が ら議 会 の選挙 人 の 仲 間 た ち は い か. な る指 図 を も受 け て い ず 、 そ して 同 時 に普 遍 的 な利 益 が義 務 づ け られ て い る と こ ろ の議 会 そ のもの。 第150節[議. 会 の議 員]. 議 会 の議 員 の諸 特 性 のた め の 保 証 は 、一 面 で は 国家 資 産 と統 治 権 の好 意 か ら も営 利 事 業 か ら も 独立 した資 産 か ら生 じる特 性 へ 区 別 され る。 そ の 点 に市 民 秩 序 の法 律 性 と維 持 の 関 心 は結 び つ け られ て い る。 そ の保 証 は他 面 で は 、 現 実 の職 務 遂 行 や 管 理 職 や他 の官 職 に よ って 取 得 され た 、 ま た実 績 に よ って 実証 され た 国 家 と市 民 生 活 との もろ もろ の利 益 と機 構 に つ い て の正 当性 、 技 能 お よび知 識 の 特 性 へ 区別 され る。 さ らに そ の保 証 は 、 育成 され 、 そ の真 価 の 認 め られ た 管 理 者 的 感 受性 と国 家 的 感 受性 の うちに あ るの で あ る。 第151節[二. 院 制]. 議 会 の 二 院 へ の区 分 に対 して 次 の よ うに い わ れ る、 1.裁. 判 所 や 政 府諸 官 庁 の場 合 の よ うに 、 二 つ の審 議機 関 に よ って 決 議が 成 熟 して い く こ と. 一 一 しか も最 重要 事 につ い て、 す な わ ち 普 遍 的 な 国 家 要 件 に つ い て、 一 一 が 一 層 保 証 され 、 また そ の場 そ の 場 の雰 囲気 の偶 然 性 や 多 数 決 に よ る決 定 に伴 い が ち な偶 然 性 が 遠 ざけ られ る とい うこ と、 2.し. 。. か しな が ら特 に 、重 要 な要 件 に つ い て の 見解 で 相 違 す る場 合 、二 院 制 に よ っ て議 会 が 政. 府 と じか に対 立 す る とい う こ とが 一 層 少 な くな る とい うこ と、 ま たそ こ で は民 主 主 義 的 原 理 が優 勢 で あ るに 違 い な い一 方 の院[と 政 府 との]間 に 媒 介 す る要 素 一. 民主主義的原理がみ. ず か らの意 見 を も って この媒 介 す る要 素 へ と踏 み 込 む 場 合 、 この媒 介 す る要 素 はそ の重 み を 一 層 減 らす 一. が あ る とい う こ と、 さ らに この媒 介 す る要 素 は最 高 の 国家 権 力 と対 立 しな い. よ うに みえ る とい うこ と、 こ うい った こ とで あ る。 第152節[貴. 族 院]. 二 院 の相 違 は 、数 か らみ て の単 な る 区分 で は な くて 、 市 民 社 会 の諸 社 会 階 層 の 中 に あ る特 定 の 違 い に な り、 ま た諸 社 会 階層 の成 員 の、 つ ま りまず も って 安 定 した所 有 を保 証 す る も ろ もろ の特.

(9) 性 に お け る特 定 の 違 い に な る。 この 場 合 の 安 定 した所 有 とい うの は 、 国 家資 産 か ら も商 工 業 か ら も独 立 して お り、 また 商 工 業 の な か に あ る 占有 の 不 安 定 や 、 他 人 の 窮 乏 と欲 望 か ら利 益 を 得 よ う とす る利 得 欲 か ら 自 由に な って い る とい うこ とで あ る。. こ うした安 定 した所 有 とい うの は 土. 地 資 産 で あ る。 こ の土 地 資 産 は ま さに 先 の よ うな こ とに よ って 全 体 の 、 つ ま り家 族 の資 産 で あ る が 、'この 資 産 が 重 要 な 契 機 に な る こ とに よ って 次 の こ とが 明 らか に な る。 す なわ ち 、先 述 の よ う な 自立 した 方 法 で[国 家 資 産 、 商 工 業 等 か ら独 立 して い る こ と]普 遍 的 階層 に属 し、 そ して 家 族 を 国 家 の中 の 自然 的 実 体 的 要 素 とみ な す 市 民 階 級 が存 在 す る とい うこ と、 な い しは家 族 が 国 家 の 中 に あ る とい うこ とで あ る。 そ う して 、 市 民 社 会 の 第1階 層 、 つ ま り農 地 所 有 者 は そ の よ うな 方 法 で 政 治 的 意 義 と規 定 を え る。 この よ うな 者 は 世 襲 貴 族 と呼 ば れ うる。 彼 は い か な る特 権 も封 建 的 権 利 も享 受 す るの で は な く、 か え って み ず か らの 立 場 に よ って 他 の市 民 権 や 家 族 権 を無 しで 済 ま さね ば な らな い 。 そ れ は 次 の よ うな こ とに よ って で あ る。 す な わ ち 、政 治 的特 性 の行 使 の た め の 能 力 が あ る と して 証 明 しな け れ ば な らな い彼 の 政 治 的長 所 が家 族 に 由来 す る も のへ と制 限 され 、 そ して 彼 に は そ れ 以 外 の 商 工 業 や 商 行 為 が 法 的 に 禁 止 され 、 ま た農 地 の あ る特 定 の部 分 に 関 す る 正 当 な 自 由処 分 で す ら法 的 に 禁 止 され ね ば な らな い だ ろ うとい うこ とで あ る。 第153節[代. 議 院]. 第 二 院 は 、 総 じて 市 民 社 会 の 第2階 層 を 、 しか も、資 産 の条 件 な しに 、 ただ 何 が しか の期 待 さ れ た 公 的 職 務 や 他 の 職 務 の 条 件 な しに 、 しか し権 力 な しで選 出 され る と ころ の代 議 士 の 内 に含 ん で い る。 しか し代 議 土 は 原 子 論 的 に 解 体 した 仲 間 に よ って で は な く、 そ の様 々 な仲 間 の分 節 化 に お い て 選 挙 権 か ら、 どの よ うな資 産 に よ って も彼 は そ うで あ る現 実 の い か な る市 民 も除 外 しな い 市 民 性 に よ って 選 出 され る。 こ うして 代 議 士 を 選 挙 す る権 利 、 そ して この政 治 的 な行 為 は選 挙 す るた め の た ん に個 別 的 で 一 時 的 な もの で は な く、 また個 別 的 な もの そ の もの で は な くて 、 本 質 的 に 共 同 的 な もの 、 お よび 他 の とに か く憲 法 を成 り立 た しめ る仲 間 を保 護 す る。 彼 ら は こ う して 政 治 的 連 関 に お い て 国家 へ 入 り込 む 。代 議 士 の選 挙 とそ れ に よる議 会 の存 在 は憲 法 上 の保 証 を 有 す る 。 そ の 上 、 議会 は 次 の よ うに して全 体 の 憲法 ・国制 と連 関 して い る。 す な わ ち、 選 挙 人 の 自由 な 心 指 し も代 議 士 の 自由 で 国 法 的 な心 指 し もま った く可能 で あ る とい う よ うに で あ る。 こ の場 合 、 個 々 人 の権 利 は 司 法活 動 と陪審 裁 判 所 の 公 開 に よ って 、 ま た特 殊 的 な諸 地 方 自治 団 体 の 権 利 と特 殊 的 な諸 利 益 は市 民 当局 並 び に 自治 の 自由 な設 立 ・組 織 化 に よっ て保 証 され て い る。 第154節[政. 治 的 陶 冶 手 段 と しての 議 会 の 公 開]. 議 会 を考 慮 して い う と、議 会 の会 議 は 公 開 で な けれ ば な ら な い とい うこ とが な お 注 目され うる。 公 開す る こ とに よ って 、一 面 で は議 会 の行 為 が個 々 人 の意 識 に とっ て普 遍 的 な 事 柄 に な り、 よ り 一 層 強 力 に な り、他 面 で は 、議 会 とそ の議 員 は世 論 に よっ て監 視 され 、 み ず か らに つ い て 重 要 な 判 断 が な さ れ る。 特 に 、公 開 に よ って世 論 自身 は 国家 の現 実 の要 件 や 事 態 へ の 洞 察 だ け で な く、 国家 要 件 に つ い て並 び に大 臣や 政 府 諸 官 庁 や 議 会 の議 員 自身 の人 格 的 な もの に つ い て の 理 性 的概 念 と正 当 な判 断へ 到 達 す る の で あ る。 も っぱ ら こ う して、 議 会 の公 開 は そ れ 自体 で 議 会 内部 で の 議 員 の慢 心 に対 抗 す る ま さ に手 段 で あ る と 同時 に、 国民 のた め の ま さに 陶 冶 手 段 で あ り、 しか も.

(10) 最 大 の 陶 冶 手段 の 一 つ な の で あ る 。 第155節[言. 論 ・出版 の 自由]. 議 会 とそ の公 開 の存 立 、 並 び に 十全 な 憲 法 ・国制 と直 接 連 関 して、 国 家 諸 要 件 に つ い て の 言 論 ・出 版 の 自由 の一 うこ との. 一 般 的 な 野 次 馬(Publikum)か. ら離 れ て 、他 の諸 個 人 と公 的 に 任 意 に 語 り合. 可能 性 と実 効 性 そ して 国家 要 件 へ のす べ て の 人 々の 直 接 的 な参 加 の 可能 性 とい うこ. とが あ る。一 面 で は あ の 前提 の も とで の み 言論 ・出版 の 自由 の 違 反 者 に 対 す る規則 どお りの 司 法 活 動 が あ り、他 面 で は 国 家 要件 に つ い て の認 識 が あ る が 故 に 、 世 論 は 真 の方 向性 と し っか りした 基 礎 を 有 す る。 ま た 、 ま さに そ こか ら悪 い判 断 と公 的 な毀 損 の 非 重 要 性 、 お よび そ れ ゆ え政 府 並 び に 公 人 た ち の世 論 に 対 す る 無 関 心 が生 じ うる の で あ る。 第156節[議. 会 に お け る野 党 の必 要 性 ]. 議 会 は み ず か らの 内 部 に 野 党 を擁 して は じめ て、 つ ま り普 遍 的 な もの の利 益 が 同時 に 議会 の 内 部 で 、 そ して議 会 を 基 礎 に して 内 閣 の役 割 を め ぐる功 名 心 の うち に 、 特殊 性 の利 益 に な って は じ め て 、 現実 に機 能 して い る とみ な され うる。 国家 に お い て徳 は利 益 の 特殊 性 を道 徳 的 に 捨 象す る こ とで は な くて 、 む し ろ この特 殊 性 が議 会 の 、 あ る い は 国家 の 普 遍 的 利益 へ 身 を横 た え る とい う こ とで あ る 。 第157節[議. 会 の 課 題]. 議 会 の職 務 に 属 す るの は 、. 法 的公 共 政 策 的 領 域 に 関す る 立 法 へ の お よび市 民 生 活 の特 殊 的. な 諸 領 域 に 関 わ る法 ・権 利 や 実効 方法 の規 定 へ の 協 同 以外 に一. 統 治権 を考 慮 す る と、次 の こ と. が あ る。 す な わ ち 、 公 務 員 や 行政 諸官 庁 の処 置 につ い て の個 々 人 の 苦情 ・不 平 の受 入 れ と調 査 、 大 臣 の 起 訴 、 お よび 特 に 税 の 毎年 の承 認 な どで あ る。 この税 の 承 認 を 通 じて 、議 会 は統 治 要 件 一 般 に つ い て の 間 接 的 管 理 を 得 るの で あ る が 、 それ は ま さ に統 治 諸 行為 そ の も の が議 会 の使 命 に屈 服 させ られ た とい うこ とで は な い 。 そ して君 主 権 を考 慮 して は 次 の こ とが あ る。 す なわ ち 、王 位 継 承 の 守 護 とい うこ と、 と りわ け 統治 して い る王 家 の絶 家 と新 しい 王 家 の始 ま りの時 に で あ る。 第158節[公. 的教 育 制 度 と国家 目的 と して の 芸 術 、 宗 教 お よび 学 問 の振 興]. 国家 の全 く普 遍 的 な 要 件 は 、 一 面 で は 国 家 目的 へ 向 け て諸 個 人 を 公 的 に形 成 し陶 冶 す る こ と で あ り、 他 面 で は 絶 対 的 に、 国 家 と 自然 の絶 対 的 な本 質 に つ い て の 直 観 、 感情 、表 象 お よび知 で あ る芸 術 、 宗 教 、 学 問に 他 な らな い 。 これ らは精 神 の最 高 の 充足 で あ って 、 この充 足 の 中 で精 神 は 国家 お よび 個 々人 の生 命 と行 為 を 、 並 び に歴 史 と 自然 を 現 実 に お け る絶 対者 の反 映 と して認 識 し、 あ る国 民 に お い て そ の 国民 の 明確 な 使 命 、 領 域 、 立場 が 捧 げ られ るに 違 い な い 見解 と職 務 と して 認識 す る の で あ る。. 第1回. 講 義 録 は 全 体 で170パ. ラ グ ラ フ あ り、 そ の う ち<Ⅲ.Sittlichkeit>が. グ ラ フ 有 し て い る 。 そ して 、 こ の101パ フ 、<2)DieburgerlicheGesellschaft>(市. ラ グ ラ フ の うち<1)DieFamilie>(家 民 社 会)が32パ. ほ ぼ6割. の101パ. 族)が15パ. ラ グ ラ フ 、<3)DerStaat>(国. ラ. ラグラ.

(11) 家)が48パ. ラ グ ラ フ 占 め て い る 。 要 す る に<3)DerStaat>が. く 皿.Sittlichkeit>の5割. 占 め て い る の で あ る 。 さ ら に 、 こ の<3)DerStaat>は. 、<a.DasinnereStaatsrecht>、. b.Dasaufss3ereStaatsrecht>、<c.DieWeltgeschichte>と 「国 内 法 」 の 個 所 に31パ れ ぞ れ4パ. ラ グ ラ フ と全 体 の7割. ラ グ ラ フ 、6パ. 分 が 量 的(パ. 「 主 文 」 を 先 の1で. 〈. 三 区 分 さ れ る が 、 第1区. 分つ ま り. 近 く が 割 り当 て ら れ て お り 、 残 り の 二 区 分 で は そ. ラグ ラフ有 す るにす ぎ な い。. こ の よ う に<Ⅲ.Sittlichkeit>中 法)部. 近 くを. の<3)DerStaat>の<a.DasinnereStaatsrecht>(国. ラ グ ラ フ 数)に. 内. 最 も多 くを 占 め て い る 。 こ の量 的 に 最 も比 重 が 高 い 個 所 の. 全 訳 した の で あ る が 、 以下 で は この全 訳 を参 照 しな が ら、 ヘ ー ゲル の 国 家 ・. 政 治 体 制 論 の 特 徴 に つ い て み て お き た い と 思 う。 第1は. 、 国 家 の 理 念 ・本 質 に つ い て の 考 え で あ る 。 こ の 点 に つ い て は 、 第127節. い て 説 明 さ れ て い る 。 第127節 で あ っ て、 そ こで は 国家 は. においては、国家は. 「現 実 的 な 生 命 性 」 を 有 し た. 「 普 遍 的 で 自 由 な 意 志 が 必 然 的 に 現 わ れ る 」(S.148)と. と 第130節. にお. 「倫 理 的 総 体 性 」. いわ れ る。 す な わ ち 、. 「自 由 の 有 機 体 」 に 他 な らず 、 国 民 の 自 由 の 実 現 態 だ と さ れ る 。 国 民 が み ず か ら の 自 由 を. 国 家 に お い て 実 現 す る と い っ て も よ い 。 ヘ ー ゲ ル に よ っ て 最 も重 視 さ れ る 自 由 の 実 現 は 、 国 家 を お い て 他 に は 考 え られ な い の で あ る 。 し た が っ て 、 国 家 の 最 も基 本 を な す 憲 法 ・国 制(Verfassung)は. 国 民 の 自 由 の 実 現 を 核 と し 、 そ の 本 質 的 表 現 で あ る 「国 民 の 理 性 性 」(S.148)を. 意 味 し、. また 保 証 して い る の で あ る。 こ う した 同 じ意 味 合 い の 事 柄 を 第130節 性 」(S.150)の. に お い て 、 ヘ ー ゲル は 国 家 に お け る. 「自 由 の 内 的 必 然. 現 わ れ 、 あ る い は 実 現 と叙 述 し た の で あ る 。 こ の よ う な 国 家 の 理 念 ・本 質 を 国 民. の 自 由 の 実 現 と の 密 接 な 内 的 連 関 で 説 明 し た ヘ ー ゲ ル の 叙 述 は 、 本 稿 で 翻 訳 した 最 初 の パ ラ グ ラ フ の3つ. 前 の パ ラ グ ラ フ(こ. の 個 所 も<3.DerStaat>に. 含 ま れ て い る)、 す な わ ち 第124節. の. 「注 解 」 に お い て 次 の よ う に 端 的 に 分 か りや す く述 べ ら れ て い る の で 紹 介 し て お き た い 。 ヘ ー ゲ ル はい う. 「国 家 は 普 遍 的 な 意 志 で あ り、 現 実 的 で 普 遍 的 な 自 己 意 識 で あ る 。 … … 国 家 の 普 遍. 的 な 本 質 は 普 遍 性 と現 実 性 に お け る 自 由 で あ る」(S.146)。. み ら れ る よ うに 、 国 家 の 本 質 は. 「自. 由 」 が 普 遍 性 と現 実 性 の 状 況 に あ る 場 合 と端 的 に 述 べ ら れ て い る 。 こ の 場 合 の 普 遍 性 と現 実 性 に ある. 「自 由Jと. は、先にみた. 「自 由 の 有 機 体 」、 「国 民 の 理 性 性 」(第127節)が. 必 然 的 に現 わ れ る. こ と 、 つ ま り国 民 の 自 由 が 実 現 す る こ と を 意 味 す る に 他 な ら な い の で あ る 。 第2は. 、 国 家権 力 と理 想 的 な統 治 形 態 に つ い て の 考 え で あ る。 国 家権 力 に つ い て の考 え とは 独. 特 の 三 権 分 立 論 の こ と で あ り、 理 想 的 な 統 治 形 態 と は. 「立 憲 君 主 制 」 の こ と で あ る 。 ま ず 、 三 権. 分 立 の 国 家 権 力 と は い か な る 権 能 と 役 割 と を 有 し た 、 ど の よ う な 権 力(Gewalt)カ る だ ろ うか 。 こ こ 第1回. 講 義 録 に お い て も、 周 知 の. 権(diegesetzgebendeGewalt)、 Gewalt)の. ミ考 え ら れ て い. 『要 綱 』 に お け る と 同 様 に 、 国 家 権 力 は 立 法. 統 治 権(dieRegierungsgewalt)、. 君 主 権(diefurstliche. 三 つ に 区 分 され る。. 三 権 力 とは 、 「 特 殊 的 な も の を 普 遍 的 意 志 の も と へ 包 摂 す る 」 権 力 と し て の 統 治 権(S.151)、 よび. 「最 終 的 な 決 定 と 命 令 」 と し て の 「個 体 的 意 志 」=君. 主 権(S.151)、. そ し て 立 法 権(S.151). お.

(12) で あ る。 これ ら三 権 力 の うち 立 法 権 に つ い て の 考 え に お い て 、『要 綱 』に おけ る場 合 とで は差 異 が み られ るの で 、 この 点 に 少 し立 ち入 って 言 及 して お きた い 。 第1回 講 義録. 「 一 面 では 憲 法 ・国 制(Verfassung)お. よび 憲法 ・国 制 とい う法 律 と. て の、 他 面 で は 本 来 の 意 味 に お け る法 律 と して の普 遍 的 で 理 性 的 な意 志 、 一. 憲 法 ・国 制 そ の し. も の と立 法 権」(S.151.第131節)。 『要 綱 』. 「 普 遍 的 な も のを 規 定 し確 定 す る 権 力 、. 立 法 権 」(Grundlinien,. S.435.藤 野 ほ か訳 、520頁 、 第273節)。 差 異 とい うの は 、 この定 義 か ら も分 か る よ うに 、 「 憲 法 ・国 制 」 と 「 立 法 権 」 との 関 係 把 握 に つ い て な ので あ る 。 この 点 に つ い て、 『要 綱 』 の第273節 で は 直 接 説 明 され てい ない 。 しか し、 立 法 権 につ いて 具 体 的 に 論 じられ る第298節 で ヘ ーゲ ル は 次 の よ うに述 べ て い る. 「 立法 権 が 関 わ. る の は、 次 々 と さ らに 進 ん で規 定 され る必 要 が あ るか ぎ りで の 法 律 そ の もの と、 内 容 上 ま った く 普 遍 的 な国 内的 諸 要 件 とで あ る。 この権 力 は そ れ 自身 、 憲 法 ・国 制 の一 部分 で あ り、 これ を 前 提 と して い る。 そ の か ぎ り憲 法 ・国制 は、 元 来 、 立 法 権 に よ って じか に規 定 され る もの の 圏 外 に あ る. 」(Grundlinien,S.465.藤. 野 ほか 訳 、553頁)。. み られ る よ うに 、立 法 権 と憲法 ・国制(Verfassung)と. の 関 係 規 定 に関 して、『要 綱 』に お い て. 立 法権 は 「憲法 ・国制 の一 部 分 」 とされ て い る。 言 い換 えれ ば 、 「憲 法 ・国制 は、元 来 、立 法 権 が そ れ を基 礎 と して 立 つ と ころ の 、 堅 固 な 、 一 般 的 に認 め られ て い る 基 盤 で な け れ ば な ら な い」 '(G rundlinien,S.465.藤 野 ほ か 訳 、554頁 、第298節 「 追 加」)と さ れ て お り、要 す るに 憲 法 ・国 制 の 方 が 立法 権 を 包 摂 す る上 位 概 念 に他 な らな い の で あ る。 こ うした 『要 綱 』に お け る位 置 づ け と異 な って 第1回 講 義 録 に お い て 立 法 権 は、 「 憲 法 ・国 制 そ の もの と立 法 権 」 といわ れ る よ うに 、憲 法 ・国制 とほぼ 並 列 して 、 高 く位 置 づ け られ て い る の で あ る。 そ れ ほ どに 高 く位 置 づ け られ た立 法 権(憲 法 を頂 点 と した諸 法 律)に. よって 規 定 され(制. 限 され)た 君 主 制 、 す な わ ち 「立 憲君 主 制 」 が ヘ ー ゲル の考 え る理 想 的 な統 治 形 態(国 制)に 他 な らな い 。 こ の立 憲君 主 制 につ い て ヘ ー ゲル は 、 第1回 講 義 録 に おい て こ う述 べ て い る まで. 「 市民社会 に. 総 じて、 自由 な 自我 が み ず か らの現 存 在 に お い て、 つ ま りみず か らの欲 求 、 自 由意 志 、. お よび 良 心 に お い て み ず か ら の無 限 性 の 意識 に まで 主 制 だ け が 可能 な の で あ る」(S.160f.第137節)。. 自己 を 展 開 した 国民 に おい て は 、 立 憲 君. こ う して立 憲 君 主制 に お い て は、 三 権 力 が 個 々. パ ラパ ラに な って い るの で は な く、 また 「 最 終 的 な決 定 と命 令 」 と して の君 主権 に 権 力 が 集 中 す る の で はな くて 、三 つ が バ ラ ン スを と りつ つ 関 連 し合 って い る と され る。 第3は 、第2に お い て も若 干説 明 した こ とで あ るが 、 「憲法 ・国 制 」 と 「立 法権 」 とが 同等 に 位 置 づ け られ る考え に つ い て で あ る。 しか も両 者 と も きわ め て高 い位 置 づ け に あ る。 例 え ば、 第1 回講 義 録 に お い て 「憲 法 ・国 制 」 の位 置 づ け に つ い て次 の よ うに述 べ られ て い る. 「国家 とい. う倫 理 的総 体性 は 、 普 遍 的 で 自由 な意 志 が 必 然 的 に 現 わ れ る とい うよ うに 、現 実 的 な 生 命 性 を 有 して い る。 だ が 、 そ れ は 国 家 が有 機 的 な 全 体 的 な もの で あ る か ぎ りに お い て で あ る。 自由 の有 機.

(13) 体 、す なわ ち 国民 の理 性 性 が憲 法 ・国 制 で あ る」(S.148.第127節)。. 自由 が 実現 し、国 民 の 理 性 性. が 現 出す る 国家 そ の も のが 憲 法 ・国 制 とい うこ とで あ る。 この よ うに 高 く評 価 され る憲 法 ・国制 と立 法 権 と が、 第1回 講 義 録 で は 並 列 され て い るの で あ る こ の よ うに 、第1回 講 義 録 で は国 家 権 力 の代 表 と して 立 法 権 が 位置 づ け られ て い る と もい え る。 とす る と、「最終 的 な 決定 と命 令」 と して の 君主 権 との位 置 づ け ・関 係 で矛 盾 して くる。 しか しな が ら、第1回 講 義 録 の君 主 権 を よ り詳 細 に規 定 した 個 所 に お い て、ヘ ー ゲ ル は 述 べ て い る 「君 主 権 はみ ず か ら次 の三 つ の 契 機 を 含 ん で い る:… … 憲 法 ・国 制 お よび法 律 の普 遍 性 、 そ して 審 議 一 般 、 さ ら に最 終 決 定 とい うも の で あ る」(S.161.第138節)。 み られ る よ うに 、君 主 権 も 「 最 終 決 定1と い う点 だ け で な く、 「憲法 ・国制 の普 遍 性 」 とい う契 機 ・要 素 も含 ん で い る と され るの で あ るか ら、 先 の よ うな立 法 権 の方 が君 主 権 よ り上 位 とい う よ うな ス トレー トな確 認 は 当 然 で きな い で あろ う。 一 方 、 『要 綱 』 に おい て は 、 「 最終意志決定 とし て の主 体 性 の権 力 」=「 君 主 権 」 が 、 「 全体 る」(Grundlinien,S.435.藤. す なわ ち立 憲 君 主 制. 野 ほか 訳 、520頁 、第273節)と. の頂 点 で あ り起 点 で あ. され 、君 主 権 が 立 法 権 を も包 摂 し、立. 法 権 の 上 位 に 位 置 づ け られ る。 こ うした 『要 綱 』 に お け る君 主 権 と立 法 権 の関 係 把 握 に比 べ て 、 第1回 講 義 録 で は両 者 の 関 係 は も っ と接 近 して い る. 立 法権 の位 置 づ け が高 い. と理 解 で き. る。 第4は 、 第1回 講 義 録 に お け る立 法 権 の 高 い位 置 づ け の具 体 的 内容 に つ い て で あ る。 そ の点 を 以 下 で は 、(1)〈 の権 能一 (1)〈. 立 法 権 一君 主 権 〉関 係 、(2)〈. 特に議会. 立 法 権 一統 治 権 〉関 係 、(3)立. 法権そ のもの. に つ い て の ヘ ー ゲル の 考 え に つ い て み て お き た い。. 立 法 権一 君 主 権 〉 関 係:ヘ ー ゲ ル は述 べ て い る. 「 君 主 権 の 責任 が 大 臣 に 帰 せ られ. る こ とに よ って 、 どん な 責 任 もま った く個 人 的 に な る こ とは な い し、 そ して 君 主 の 何 か 個 人 的 な 側 近 か らや 宮 廷 ・廷 臣 また 特 定 の摂 政 の 行為 か ら生 じる こ と もあ りえ ない 。 君 主 の す べ て の決 定 は 当 該 の 大 臣 に よ って 署 名 され ね ば な らな い」(S.165.第140節)。. 君 主 の決 定 の さ い 大 臣 の署 名. が 必要(「 副 署権 」)と の主 張 は 、「 最 終 的 な決 定 と命 令 」(第131節)権. 限 を 有す る と され る君 主 権. とは 矛 盾 す る よ うに 思 わ れ る。 しか し先 の ヘ ー ゲ ル の説 明 は 、矛 盾 と い うよ りも大 臣 が 絶 対 的 な 権 限 を 有 して い る と思 わ れ る 君 主 に さえ 完 全 に は従 属 して い な い こ とを あ らわ して い る と理 解 す る 方 が 妥 当 で あ る 。 とい うの も、 大 臣 に と って対 君 主 ばか りで な く対 議 会(立 法 権)の あ り方 が 重 要 だ と され て い るか らで あ る。 ヘ ー ゲ ル は い う. 国 内外 政 策 の決 定 と実 行 に深 くか か わ る諸. 大 臣 か ら成 る 「内 閣 は議 会 に お い て多 数 派 を形 成 しなけ れ ば な ら」 ず 、 も し内 閣 が 少 数 派 しか 有 して い な い な らば 、 「 そ の 内閣 は 他 の 内閣 と交 代 しな け れ ば な らな い」(S.187.第156節 (2)〈. 「 注 解 」)。. 立 法 権 一 統 治 権 〉関 係:統 治 権 の いわ ば代 理 者 と して 普遍 的 国家 利 益 を追 求 し、政 策. を 日々執 行 す る の が 公務 員(上 級 、下 級 にか か わ らず)で. あ る。 この 公務 員 の 「 任 命 の 唯一 の条. 件 」 は 出生 な どで は決 して な く、 「 彼 らの 能 力 の証 明」(S。170.第144節)以 う した 公 務員 の 「 任 命 は 君 主 権 に 帰 せ られ る」(S.171.第144節. 外 に な い 。そ して 、 こ. 「 注 解 」)と され る。問 題 は 、普 遍. 的 国家 利 益 の追 求 に も っ ぱ ら関 わ る義 務 と責 任 を 有 す る公 務 員 が職 務 に違 反 した り、権 力 の濫 用.

(14) を 行 な った りしな い保 障. 「公 務員 の立 場 か らの離 反[公 務 員 の立 場 か ら離 れ 、そ れ に反 して. い る こ と](EntfernungundEntfremdungdesBeamtenstands)」(S.172.第145節)を. 防 ぐ保 障 一. 一 が ど こに あ る か とい うこ とで あ る。 「主要 な保 障 は 公務 員 の権 利 ・義 務 の 規 定[使 命]の うちに 直 接 あ らね ば な ら な い」(S.172.第145節. 「注 解」)の は い うまで もな い 。 そ して ヘ ー ゲル は この 保. 障 の 体 制 を 、「官庁 の有 機 体 」(S.171.第145節)つ. ま り上 級 ・下 級 の 公 務 員 シ ス テ ム の有 機 的 全 体. の あ り方 に まず 求 め て い る。 しか し特 に注 目した い のは 、 これ と並 ん で ヘ ー ゲ ルは 立 法 権 の 中 核 を な す 「議会 」 に 公 務 員 に 対 す る チ ェ ック ・監 視 権 限 を 与 え て い る点 な の で あ る(vgl.S.172.第 145節. 「 注 解」 参 照)。. (3)立. 法 権 そ の も のの 権 能:ま ず 、 総 論 的 な 説 明 と して立 法 権 が 国 家 権 力 の本質 的 な一 部 と. され 、 高 く評価 され て い る次 の ヘ ー ゲ ル の叙述 に 注 目 した い. 「 立 法 権 は 国 家 権 力 の本 質 的 な. 一 部 で あ る。 そ して 立 法 権 に つ い て の最 も悪 い 見 方 の 一 つ は 、立 法 権 を統 治 ・政 府 と本 質 的 に対 立 した もの とみ る見方 で あ る。 立 法 権 は しか しな が ら、 必然 的 に枢 密 院 や 内閣 に 関 わ る諸 官 庁 、 ま た統 治 ・政 府 委 員会 に 委 ね られ る も ので は な い 。 立 法権 に お け る主 要 契 機 は 議 会 的 な もの な の で あ る 。議 会 と と もに 、 普 遍 的 意 志 と して 、 また理 性 的 な もの と して制 定 され る もの は た ん に偶 然 的 で 即 自的 で あ るの で は な くて、 対 自的 に一 を も って. 普遍 的 な市 民 性 の積 極 的 な 関 心 と 自覚 的 な信 頼. 、 そ して 必 然 的 に 存 在 す るで あ ろ う」(S.174.第147節)。. 第5は 、立 法 権 の 中核 を な す 「 議 会 」 の あ り方 の特 徴 に 関す る指 摘 や 、 議 会 の具 体 的 権 能 に 関 して 高 く評 価 す るへ 一 ゲル の 考 え につ い て で あ る。 そ れ は次 の諸 点 に み られ る。 (1)二. 院制 議 会 に お け る 「代 議 院 」 の重 視 に つ い て. 議 会 は二 院 制(貴 族 院 と代 議 院). が 採用 され る。 大 土地 所 有 者 や 貴 族 に よ り構 成 され る貴 族 院(dieAdelskammer)よ 院(dieDeputiertenkammer)が. りは 、 代 議. 重 視 され る。代 議 院 の拠 って立 つ原 理 は 、 「 民 主 主 義 的原 理 」 だ. とい わ れ る。 こ うした 原 理 の 優 勢 な 議 会 と政 府 との対 立 関 係 が 、 普 遍 的 な 国家 要 件 を 審 議 す る場 合 の基 本 関係 と して確 認 され る。 但 し、対 立 関係 に お い て審 議 す る こ とは重 要 で あ るが 、 この 対 立 関 係 だ け で終 始 して は 決 議 が な され な い。 そ こで、 決 議 を い っそ う成 熟 させ るた め の もの 、 す な わ ち 民主 主 義 的 原理 の優 勢 な 代 議 院 と政 府 との 間 の 「 媒 介 す る要 素 」 と して 、貴 族 院 が 考 え ら れ て い る。 政 府 と議会 との 関 係 に おい て 、二 院 制 議 会 内 で基 軸 を な す 議 院 は ど こまで も代 議 院 で あ り、他 方 の貴 族 院 は 政 府 と議 会(代 議 院)と の媒 介 要 素 だ と い うこ とで あ る。 以 上 の こ とに つ い て 、 ヘ ー ゲル は 次 の よ うに 述 べ てい る. 「 民 主 主 義 的原 理 が 優 勢 で あ る に違 い な い 一 方 の 院. [と政 府 との]間 に媒 介 す る要 素 …… が あ る とい う こ と、 さ らに こ の媒 介 す る要 素 は 最 高 の 国 家 権 力 と対立 しない よ うに み え る」(S.180.第151節)。 (2)議. 員 の 「選挙 」 に 対 す る肯 定 的 評価 につ い て. 議 会 に お い て 、一 方 の貴 族 院 よ りは. 重 視 され る も う一 方 の 代 議 院 を 構 成 す る議 員 は ま さに代 議 士 で あ って 、 市 民 社 会 の第2階 層(商 工 業 階 層)の 選 挙 を 通 して 選 出 され る ので あ る。 こ う した選 挙 の有 す る意 義 につ いて ヘ ー ゲル は いう. 「 代 議 士 を 選 挙 す る権 利 、 そ して この政 治 的 な行 為 は選 挙 す るた め の たん に 個 別 的 で 一. 時 的 な もの で はな く、 また 個 別 的 な も のそ の もの で は な くて、 本 質 的 に 共 同 的 な も の、 お よび 他.

(15) の とに か く憲 法 を 成 り立 た しめ る仲 間 を 保 護 す る。彼 らは こ うして政 治 的 連 関 に お い て 国家 へ 入 り込 む 。 代 議 士 の 選 挙 とそ れ に よ る議 会 の 存在 は 憲法 上 の保 証 を有 す る」(S.183.第153節)。 (3)議. 会(に お け る討 論)の. 「公 開 」 の重 要 性 に つ い て. 議 会 が 公 開 され る こ とに よっ. て 、議 会 と議 会 の 議 員 は 世 論 に よ って 監 視 され み ず か らに つ い て の重 要 な 判 断 を もつ よ うに な り、 世論(国. 民)の 方 は 国 家 の 現 実 の 要 件 と状 態 お よび大 臣 や議 員 の個 人 的 な才 能 な どにつ いて 理 性. 的 な理 解 と正 当 な 判 断 を え る よ うに な る。 こ う して 、 「 議 会 の 公 開 は そ れ 自体 で 議 会 内 部 で の 議 員 の慢 心 に 対 抗 す る ま さに 手段 で あ る と同 時 に 、 国民 の た め の ま さに陶 冶 手 段(Bildungsmittel) で あ り、 しか も最 大 の 陶 冶 手段 の一 つ な の で あ る」(S.184.第154節)。 (4)「 言 論 ・出版 の 自 由」 の必 要 性 に つ い て. ヘ ー ゲ ル は 「言 論 ・出 版 の 自 由 」(die. Pressefreiheit)を 基 本 的 に 国家 諸 要 件 との 関わ りで考 え、 そ の重 要 性 を 次 の よ うに 強 調 す る 「議会 とそ の 公 開 の 存 立 、並 び に 十 全 な 憲 法 ・国制 と直 接 連 関 して、 国 家 諸 要 件 につ い て の 言 論 ・出 版 の 自由 の … … 可 能性 と実 効性 そ して 国家 要 件 へ のす べ て の人 々 の直 接 的 な参 加 の 可 能 性 と い うこ とが あ る」(S.185.第155節)。 (5)議. 会 に お け る 「与 野 党 の 対 立」 の 必要 性 に つ い て. も し議 会 が 一 致 して政 府 ・統 治. に反 対 す る と、 政 府 は 壊 れ るか 自己 解 体 す るに違 い な い 。 こ う した ことは 国 家 の破 壊 に 帰 着 す る の で あ るか ら、 政 府 ・統 治 は 権 力 と して 議 会 を解 散 させ るに違 い な い。 逆 の場 合 、 つ ま り議 会 が 一 致 して政 府 ・統 治 に 賛成 す る場 合 も、 議 会 は まだ議 会 の使 命 や 目標 に 到 達 して い な い(vgl.S. 187.第156節. 「 注 解 」 参 照)。 こ う確 認 しつ つ ヘ ー ゲル は 、 した が って議 会 の 内部 に健 全 な 対 立 者. ・野 党(eineOpposition)が. 存 在 し、 内閣 ・政 府 側 の 与 党(基 本 的 に多 数 派 を形 成)と. の議 論 を. 通 して 進 行 す る必 要 を 強 調 して 述 べ る。 「 議 会 は みず か らの 内部 に 野 党 を擁 し て は じめ て 、 … … 現 実 に 機 能 して い る とみ な され うる」(S.186.第156節)。. 内 閣 ・政 府(側 の 与 党)が 少 数 派 な ら、. そ の 内閣 は 他 の 内閣 と交 代 しな け れ ばな らな い と の重 要 な 確 認 もヘ ー ゲ ル は 当 然 行 な って い る (vgl.S.187.第156節. 「 注 解 」 参 照)。. 以 上 み て き た よ うに、 第1回 講 義 録 に おけ る三 つ の国 家 権 力 間 で 立 法 権 ・議 会 の 独 自性 が 際 立 っ て お り、そ の比 重 が相 対 的 に高 く、重 く され て い る こ とか ら、 この講 義 録 を 編 集 したK.-H.イ ル テ ィン グ は 「 第1回 講 義 は立 憲 つ ま り議 会 君 主 制 の、 した が って ヨ ー ロ ッパ 大 陸 に お け る最 初 の近 代 的 な憲 法 ・国制 の理 論 的基 礎 づ け を実 証 して い る」 と評 価 した の で あ る。 そ して イ ル テ ィ ング は この 時期 の ヘ ー ゲ ル を 、「南 ドイ ツ初 期 立 憲 主 義 の 最 も傑 出 した 理 論 家 」 と特徴 づ けた 。 ま たL.ジ ー プ も こ の講 義 録 に おけ るヘ ー ゲル の権 力 分 立 論 は 、 諸 権 力 の重 要 さを均 等 に 分与 し、 諸 権 力相 互 の 依存 性 を 制 度 的 に よ り強 く保 証 す る 限 りで 、 「古 典 的 権 力 分立 論 」 に 近 い と結 論 づ け る。 こ う して イ ル テ ィ ン グ、 ジ ー プ、 両 者 に よ る第1回 講 義 録 に つ い て の評 価 は適 確 な もの とい い うる で あ ろ う。. イ ル テ ィ ン グや ジ ー プに よ る先 の よ うな評 価 ・特 徴 づ け を 承 認 し、 そ れ を 前 提 に した上 で な お.

(16) 次 の こ とを検 討 を して お かね ば な らな い 。そ れ は、 ヘ ー ゲ ル に おけ る国 家 権 力 の三 区 分 とい って も、 司法 権 が統 治 権 に含 め られ て い る こ とを は じめ と して、 ヨー ロ ッパ近 代 に 確 立 され た三 権 分 立 と は異 な る 点 が 多 い とい う点 な の で あ る。 そ の観 点 か ら して最 大 の 問題 は 君 主 権 が 設定 され 、 そ の君 主 権 が絶 大 な権 力 を有 して い る と され て い る点 で あ る。 特 に ヘ ー ゲ ル の 『要 綱』 に お い て は君 主 権 の位 置 づ け が高 く、 そ の権 限 の強 大 さは 際 立 っ てい る。 この君 主 権 の 位 置 づ け を は じめ、 先 に 第1回 講 義 録 に おけ る特 徴 と して確 認 した 事 項 に 関 す る、 第1回 講 義 録 と 『要綱 』 とに おけ る叙 述 上 の相 違 につ いて 以 下 で 確 認 す る ことに した い 。 まず 、 『要綱 』 に お い て 「 最 終 意 志決 定 と して の主 体 性 の権 力 」 と端 的 に定 義 され る君 主権 は 、 さ らに 詳 細 に 次 の よ うに 説 明 され る. 「君 主 権 自身 が 総 体 性 の三 つ の契 機 を 己れ の うちに含 ん. で い る。 す な わ ち憲 法 お よび 法 律 の 普 遍 性 と、 特殊 的 な もの を普 遍 的 な もの へ 関連 させ る こ と と して の 審 議 と、 自 己規 定 と して の 最 終 決 定 の契 機 とが そ れ で あ る。 そ して この 最 後 の もの へ他 の す べ て は 立 ち 返 り、 そ れ を 己 れ の 現 実性 の起 点 とす る。 この絶 対 的 な 自己規 定 のは た ら き こそ 、 君 主 権 そ の もの の 他 の権 力 か ら区別 す る 原理 で あ る」(Grundlinien,S.441藤. 野 ほ か訳 、526-527. 頁 、 第275節)。 み られ る よ うに 、 「 憲 法 お よび 法律 」 に 関 わ る立 法 権 も、 「 審 議 」 に 関 わ る統 治 権 を も包 括 す る と ころ に 「 最 終 意 志 決 定 」 と して の君 主 権 の意 義 が あ る とされ る 。 こ うした君 主 権 につ い て の 理 解 に 対 して 、第1回 講 義 録 では 、 先 に 確 認 した よ うに 、君 主 の決 定 に さい し大 臣 の 「副署 権」 の 必要 性 が主 張 され 、 ま た諸 大 臣 に よ り構成 され る内 閣 は議 会 の 多 数 派 形 成 如 何 に 依 存 す る こ とが指 摘 され て いた 。 要 す る に 、第1回 講 義録 で は 『要 綱 』 と比 べ て 、統 治 権 や 特 に 立 法 権 の位 置づ け が 高 く、 そ の 相 対 的 な独 自性 が 強 調 され て い た の で あ る。 同様 の こ とが く立 法 権一 統 治 権 〉関 係 、立 法権 そ の もの の権 能 や 議 会 の あ り方 に おい て もみ ら れ る の で あ る。 〈立 法 権一 統 治 権 〉関 係 で は 、統 治 権 の執 行 者 と して の 公 務 員 の 任 命 権 は 君主 権 に あ る(第1回. 講 義 録 、 『要 綱 』 と もに)の で あ る が 、公 務 員 の権 力 濫 用 等 に 関 す るチ ェ ック ・監. 視権 限 が 第1回 講 義 録 で は議 会 に 付 与 され て い た。 これ に対 して 、 『要 綱 』 に お い て は、 「 諸官庁 お よび 公 務 員 の 位 階制 と責 任 制 」(S.463.藤 野 ほか 訳 、551頁 、第295節)に 主 に 求 め られ 、議 会 の 権 限 が 弱 め られ て い る よ うに思え る。 また 立 法 権 そ の もの の権 能 や 議 会 の あ り方 に 関 して は 、次 の 点が 指 摘 し うる。す な わ ち、「立 法 権 が 国 家 権 力 の本 質 的 な一 部 」 とされ 、 そ の 「立 法 権 の 主 要 契 機 は 議 会 的 な も の な の で あ る」 (S.174)と. の 理 解 に 対 して 、 『要 綱 』 で は先 に 確認 した よ うに 、 立 法 権 ・議 会 は 「最 終 意 志 決. 定 」 権 力 と して の君 主 権 に 強 く絡 め 取 られ て 、 そ の独 自的意 義 は きわ め て希 薄 に され て い る。 ま た 『要 綱 』 で は、議 会 の あ りか た や そ の 具体 的 権 能 に関 して次 の よ うな特 徴 が 示 され る。(1)二 院 制 議 会 に おけ る 「民 主 主義 的 原 理 」 の 優勢 な代 議 院[下 院]の 重 視 との 対 立 を媒 介 す る要 素 は貴 族 院[上 院 ] に あ る(第1回. した が って政 府 と議 会. 講 義録 、S .180.第151節)に. 対 し. て 、 『要 綱 』 で は 「 媒 介 す る要 素 が第2社 会 階 層[商 工 業 階 層]に もあ る場 合 に は 、 この階 層 の 見 解 が 一 段 と非 党 派 的 な現 われ 方 をす る」(Grundlinien,S.481藤. 野 ほ か訳 、571頁 、第313節)と. さ. れ 、 議 会 内で の軸 足 は上 院[貴 族 院]へ 移 され 、下 院[代 議 院]は 逆 に 「媒 介 す る要 素 」 へ と疑.

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