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方向統計学を用いた複素信号の位相限定相関関数の統計的解析

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 75 回全国大会. 1D-2. 方向統計学を用いた複素信号の位相限定相関関数の統計的解析 八巻 俊輔 †. 阿部 正英 ‡ 川又 政征 ‡ 東北大学国際高等研究教育機構 † 東北大学大学院工学研究科電子工学専攻 ‡. 1. で与えられる.ここで,αk = θk − ϕk は 2 つの信号の位. まえがき. jαk は位相因子とよばれる. 位相限定相関 (POC: Phase-Only Correlation) 関数は, 相スペクトルの差であり,e. 2 つの信号の類似度を評価する関数として,画像マッチ ングをはじめとするさまざまな分野に幅広く応用されて きた [1].著者らのグループは,2 つの複素信号の位相ス ペクトルの差の確率的変動に対する POC 関数の挙動を 統計的に解析した [2].この解析法では,位相スペクトル の差を数直線上に分布する線形データとしてあつかって. POC 関数の統計的解析 [2]. 3. 本章では,著者らのグループがこれまでに行ってきた. POC 関数の統計的解析について紹介する. まず,位相スペクトルの差 αk を確率変数と仮定し,位 相因子 ejαk の期待値を. いた.しかし,信号の位相スペクトルは角度データであ. A = E[ejαk ]. (4). るため,方向の情報を利用して POC 関数を統計的に解 とおく.ここで,位相スペクトルの差 αk はすべての周波. 析するための概念を導入しなければならない. 本論文では,方向統計学 [3] という新しい観点に基づ. 数インデックス k に関して同一の確率分布をもつものと. く POC 関数の統計的解析法を提案する.方向統計学の. 仮定している.そのため,期待値 A は周波数インデック. 考え方を導入して,位相スペクトルの差を角度データと. ス k に依らず一定である.また,期待値 A の値は αk の. してあつかい,方向の情報を利用した POC 関数の統計. 確率密度関数を与えることによって具体的に決まる.ま. 的解析法を新たに提案する.その結果,POC 関数の期待. た,位相スペクトルの差 αk は,周波数インデックス k に. 値と分散はそれぞれ,位相スペクトルの差の円周分散の. 関して互いに独立であると仮定する. 以上の仮定のもとで,POC 関数 r(m) の期待値 E[r(m)]. 1 次関数と 2 次関数として表されることを示す. 2. および分散 Var[r(m)] を以下のように導出した.. 位相限定相関 (POC) 関数. E[r(m)] = Aδ(m) 1 Var[r(m)] = (1 − AA∗ ) N. 長さ N の 2 つの複素信号 x(n) および y(n) を考える. これらの信号の離散フーリエ変換はそれぞれ,. X(k) =. N −1 ∑. x(n)WNkn = |X(k)|ejθk. (1). y(n)WNkn = |Y (k)|ejϕk. (2). n=0. Y (k) =. N −1 ∑. ことにより,式 (5) および式 (6) の値が具体的に決まる. 方向統計学に基づく POC 関数の統計的解析. 4. 本章では,方向統計学 [3] という新しい観点に基づく. で与えられる.ここで,WN = exp(−j2π/N ) は離散フー リエ変換の回転因子であり,θk および ϕk はそれぞれ,信 号 x(n) および y(n) の位相スペクトルである.このとき,. 2 つの信号 x(n) および y(n) の間の POC 関数 r(m) は, 正規化パワースペクトルの離散フーリエ逆変換として,. r(m) = IDFT. (6). ここで,位相スペクトルの差 αk の確率密度関数を与える. n=0. [. (5). ∗. ]. 1 X(k)Y (k) = |X(k)Y (k)| N. N −1 ∑. ejαk WN−mk (3). POC 関数の統計的解析法を提案する. 4.1. 方向統計学では,角度データを表す統計量を角度確率 変数を用いて記述する.そして,角度データを単位円周 上の点と対応づけて平均や分散などを定義する.まず,角 度確率変数 α ∈ [−π, π) に関して,. k=0. Statistical Analysis of Phase-Only Correlation Functions of Complex Signals Using Directional Statistics, Shunsuke YAMAKI† , Masahide ABE‡ , and Masayuki KAWAMATA‡ , International Advanced Research and Education Organization, Tohoku University† , Depertment of Electronic Engineering, Graduate School of Engineering, Tohoku University‡ .. 方向統計学の基礎. A = E[ejα ]. (7). を 1 次三角モーメントという.この 1 次三角モーメント は,式 (4) で定義した位相因子の期待値に等しい.また,. 2-25. Copyright 2013 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 75 回全国大会. Im. 1. e. |E[r(0)]|. j. jα1. α ¯ A. v −1. 0 0. α1. |A|. 0. 0.5. α ˜. 1. Re. 0.5 circular variance v. 1. 0.5 circular variance v. 1. 1 Var[r(m)] × N. α2 ejα2. −j. 0.5. 0 0. 図 1: 方向統計学における平均方向と円周分散の幾何学 的解釈.角度確率変数 α1 および α2 が与えられたときの 1 次三角モーメント A,平均合成ベクトル長 |A|,平均方 向α ¯ ,円周分散 v ,算術平均 α ˜.. 図 2: 位相スペクトルの差の円周分散 v に対する POC 関 数 r(m) の期待値 |E[r(0)]| および分散 Var[r(m)]. 式 (10) および式 (11) より,位相スペクトルの差の円周. 1 次三角モーメント A の絶対値 |A| を平均合成ベクトル. 分散 v に対する POC 関数の r(m) の期待値 |E[r(0)]| お. 長という.さらに,平均方向 α ¯ および円周分散 v が. よび分散 Var[r(m)] のそれぞれの値は図 2 のように図示 できる.任意の円周確率分布に関して,位相スペクトル. α ¯ = arg(A) (−π ≤ α ¯ < π). (8). v = 1 − |A| (0 ≤ v ≤ 1). (9). と定義される.平均と分散の定義のしかたが一般の統計 学とは異なる点に注意しなくてはならない.. の差の円周分散 v が 0 から 1 に増加するにしたがい,期 待値 |E[r(0)]| は 1 から 0 に単調減少し,分散 Var[r(m)] は 0 から 1/N に単調増加する.. 5. むすび. 簡単な例として,2 つの角度確率変数 α1 および α2 の. 本論文では,方向統計学の考えに基づいた POC 関数 平均方向 α ¯ と円周分散 v の幾何学的な解釈を図 1 に示す. の新しい統計的解析法を提案した.その結果,POC 関数 平均方向 α ¯ は,角度確率変数 α を複素数平面上の単位ベ の期待値と分散はそれぞれ,2 つの信号の位相スペクト クトル ejα に対応づけたときの平均的な方向を表してお. ルの差の円周分散の 1 次関数と 2 次関数として非常に単. り,円周分散 v は単位ベクトル ejα の方向のばらつき度. 純な形で表せることを示した.また,位相スペクトルの. 合を表している.この例の場合,平均方向 α ¯ が算術平均. 差の円周分散が増加するにしたがい,POC 関数の期待値. α ˜ = (α1 + α2 )/2 と異なる点に注意が必要である.. |E[r(0)]| は単調減少し,分散 Var[r(m)] は単調増加する. 4.2. ことを理論的に示した.. POC 関数との関連性. POC 関数の統計的解析において,位相スペクトルの差 αk は角度データと考えることができる.すると,従来の POC 関数の統計的解析の考え方が方向統計学の考え方と 関連づけられることがわかる.式 (9) より,|A| = 1−v で. 参考文献. [1] C. D. Kuglin and D. C. Hines, “The phase correlation image alignment method,” Proc. Int. Conf. Cybernetics and Society, pp. 163–165, 1975.. あることを用いると,POC 関数 r(m) の期待値 E[r(m)] および分散 Var[r(m)] は,位相スペクトルの差の円周分. [2] S. Yamaki, J. Odagiri, M. Abe and M. Kawamata, “Effects of stochastic phase spectrum differences on phase-only correlation functions —Part I: Statistically constant phase spectrum differences for fre-. 散 v を用いて以下のように表すことができる.. |E[r(m)]| = |A|δ(m) = (1 − v)δ(m) (10) ( ) 1 1 1 − (1 − v)2 (11) Var[r(m)] = (1 − AA∗ ) = N N. quency indices —,” Proc. IEEE Int. Conf. Network Infrastructure and Digital Content, Beijing, China, pp. 360–364, Sept. 2012.. すなわち,POC 関数 r(m) の期待値 E[r(m)] および分散. Var[r(m)] はそれぞれ,円周分散 v の 1 次関数および 2 次関数として非常に単純な形で表せる.. [3] 清水邦夫, “方向統計学の最近の発展,” 計算機統計学, vol. 19, no. 2, pp. 127–150, 2006.. 2-26. Copyright 2013 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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